JP5492443B2 - 有機感光層を有する電子写真感光体の保護層用塗工液およびその用塗 - Google Patents
有機感光層を有する電子写真感光体の保護層用塗工液およびその用塗 Download PDFInfo
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一方、有機光導電性材料は、無機光導電性材料に比べて、感度、耐久性および環境に対する安定性などの点で若干劣るものの、毒性、製造コスト、材料設計の自由度などの観点から、近年では広く用いられている。
現在では、導電性支持体上に、中間層と、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型(機能分離型)感光層とがこの順で積層された構成が主流となっている。
しかし、感光体上のトナーの全てが転写されることはなく、一部のトナーは感光体に残留し、このような状態で画像形成が繰り返されると、残留トナーの影響で潜像形成が乱されて、汚れのない高画質な複写(画像)を得ることができない。
このため、残留トナーを除去するために、ファーブラシ、磁気ブラシまたはブレードなどのクリーニング手段が必要となる。これらの中でも、性能、構成などの点から板状のゴム弾性体を部材とするブレードが一般的用いられている。
特に、熱硬化樹脂を用いた保護層は、従来の有機感光層と同様な製造法で安価に製造でき、耐溶剤性、環境安定性に優れた三次元網目構造を形成するために広く検討され、電荷輸送性能付与基を有したシロキサン系樹脂(特開2000-171990号公報:特許文献8)やポリオール系樹脂と多価イソシアネート系硬化剤からなるウレタン系樹脂(特公平3-59428号公報:特許文献9)は、感光体の耐摩耗性を著しく向上させ得ることが報告されている。
よって、環境・コスト両面よりこれら石油系溶剤の削減が急務となっている。
また、樹脂の硬化反応は比較的反応性が高く、常温でも徐々に反応が進みかつ空気中の水分などによって硬化剤が失活するために、硬化樹脂を用いた塗工液のポットライフが非常に短いという問題がある。
前記保護層が、上記の保護層用塗工液から熱硬化を経て形成された層であることを特徴とする感光体が提供される。
また、現在ほとんどの感光体の製造に利用されている浸漬塗工法で保護層用塗工液を塗布する場合に、下地層の材料を溶解・膨潤させることがなく、塗布時に感光体への悪影響や塗工液の汚染を防ぐことができる。
また、熱硬化により形成されたウレタン樹脂は、架橋により三次元網目構造を形成して耐摩耗性に優れかつ適度な弾性を有し耐傷性に優れているので、極めて長寿命の感光体を提供することができる。
また、水酸基のようなイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を有する樹脂を用いることにより、イソシアネート化合物と容易に熱硬化反応させることができる。
さらに、本発明では、イソシアネート基が、樹脂中の活性水素含有基に対して0.5以上3.0以下のモル比でブロックイソシアネート化合物中に存在することにより、緻密な硬化膜を形成することができ、感光体として優れた耐摩耗性と環境特性を実現することができる。
抵抗制御剤の構成材料としては、上記の機能を発揮し得る材料であれば特に限定されず、さらに保護層の耐摩耗性を向上し得る材料であれば特に好ましい。
保護層の体積抵抗は、1010〜1014Ωcm、好ましくは1011〜1013Ωcmである。
保護層の体積抵抗が1010Ωcm未満では、画像のシャープ性が低下するおそれがある。また、1014Ωcmを超えると、感光体の電気特性が著しく劣化するおそれがある。これらの傾向は保護層の膜厚が厚いほど顕著に表われる。
脂肪酸塩類、高級アルコール類、硫酸エステル類、脂肪酸アミン類、第4級アンモニウム塩類、イオン液体、アルキルピリジウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、イミダゾリン誘導体などのアニオン系、カチオン系もしくはノニオン系有機電解質;
Au、Ag、Cu、Ni、Alなどの金属;
酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、Sb2O3含有SnO2、In2O3含有SnO2などの無機酸化物;
硫酸バリウム(BaSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、ヨウ化リチウム(LiI)などの金属塩類、
テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテートエチルエステルなどの有機チタン化合物;
などが挙げられる。
上記の材料の中でも、安定性、感光体の繰り返し特性の面で、また耐摩耗性を向上させるフィラーとしても機能する無機酸化物、硫酸バリウムのような金属塩類が好ましく、無機酸化物が特に好ましい。
また、無機酸化物の中でも、導電性や分散性の点で酸化スズおよび酸化亜鉛が特に好ましい。
抵抗制御剤の平均一次粒径は、10〜300nm程度、好ましくは20〜200nm程度が特に好ましい。
抵抗制御剤の平均一次粒径が10nm未満では、分散安定性が低く凝集体が発生する可能性が高くなると共に塗液のポットライフが低下するおそれがある。また、300nmを超えると、可視光の光を散乱するために露光光が感光層に到達できず、画像形成ができなくなるおそれがある。
そのような無機酸化物微粒子としては、例えば、
石原産業株式会社製、製品名:SN−100P(形状:粒状、平均一次粒径:10〜30nm、粉体抵抗:1〜5Ωcm)、SN−100D(形状:水分散体、平均一次粒径:95〜120nm、粉体抵抗:5〜30Ωcm)およびFS−10D(形状:水分散体、平均一次粒径:非開示、粉体抵抗:〜600Ωcm)、
三菱マテリアル株式会社製、製品名:S-1(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:106Ωcm)、S-2000(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm)、T−1(形状:球状、平均一次粒径:20nm、粉末比抵抗:1〜5Ωcm)、EP SP−2(形状:球状、平均一次粒径:非開示、粉末比抵抗:非開示)、TDL−5(形状:水分散体、平均一次粒径:50〜85nm、粉末比抵抗:非開示)およびEP SPDL−2(形状:水分散体、平均一次粒径:90〜200nm、粉末比抵抗:非開示)
などの酸化スズ微粒子;
などの酸化亜鉛微粒子;
三菱マテリアル株式会社製、製品名:W−1(形状:球状、平均一次粒径:20nm、粉末比抵抗:2〜10Ωcm)
などの酸化チタン微粒子;
などのインジウムスズ酸化物の微粒子などが挙げられる。
また、金属塩類の微粒子としては、例えば、三井金属株式会社製、製品名:TYPE−IV 硫酸バリウム4310(形状:球状、平均粒径:100nm、粉体抵抗:74Ωcm)などの硫酸マグネシウム微粒子などが挙げられる。
これらの有機ポリイソシアネートの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートベースの有機ポリイソシアネートは、水との親和性を持たせやすく、そのため水への溶解・分散が容易で、また架橋密度を高めることも容易なことから特に好ましい。
これらのブロック剤の中でも、汎用性、製造の簡易さ、作業性の点から、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム系化合物およびε−カプロラクタムなどのラクタム系化合物は特に好ましい。
したがって、ブロックイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートをオキシム系またはラクタム系のブロック剤でブロック化した構造を有するものが好ましい。
住化バイエルウレタン株式会社製、製品名:バイヒジュールBL5140、BL5235およびVPLS2310;
三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−700、WB−820およびWB−920;
日本ポリウレタン工業株式会社製、開発品名:BWD−102
旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1238、X1248およびX1258
などが挙げられる。
すなわち、硬化剤であるブロックイソシアネートと架橋構造を形成するために、ブロックイソシアネート化合物中の少なくとも2つのイソシアネート基と当量以上の、つまり少なくとも2つの水酸基またはアミド基を有する(1つの官能基しか有さない場合には架橋構造とはならず、高分子量となる)ポリオール樹脂やポリアミド樹脂が好適である。また、これらポリオール樹脂やポリアミド樹脂の構造を制御することにより、良好に水に分散および溶解させることができ、さらにこれらの樹脂は接着性が高く、感光体としたときの下地層との接触不良による画像欠陥も効果的に防止できる。
日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名:AQD−457およびAQD−473、旭硝子株式会社製、製品名:エクセノール420および720、三洋化成工業株式会社製、製品名:サンニックスGP−400、GP−700およびSP−750などのポリエーテルポリオール系樹脂;
日立化成工業株式会社製、製品名:フタルキッドW2343、DIC株式会社製、製品名:ウォーターゾールS−118、CD−520およびBCD−3040、ハリマ化成株式会社製、製品名:ハリディップWH−1188などのポリエステルポリオール系樹脂;
DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300、WE−304およびWE−306、亜細亜工業株式会社製、製品名:WAP−473−FDおよびWAP−548、Nuplex Industries Ltd.製、製品名:SETAQUA6514などのポリアクリルポリオール系樹脂;
積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−1およびKW−3などのポリビニルアセタール系樹脂;
信越化学工業株式会社製、製品名:メトローズ65SH−50および65SH−400などの水溶性セルロースエーテルのようなセルロース;
ナガセケムテックス株式会社製、製品名:トレジンFS−350およびFS−500などの水溶性ナイロン(ポリアミド化合物系樹脂)
などが挙げられる。
上記の樹脂の中でも、ポリエーテルポリオール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂、ポリアクリルポリオール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂およびセルロースが特に好ましい。
このモル比(H/B)が0.5未満の場合には、架橋密度が低くなり、形成された保護層の耐摩耗性が著しく低下するおそれがある。3.0を超える場合には、未反応の官能基が多く残存して、電気特性や環境安定性が悪化し、また硬くなりすぎて繰り返しの使用により保護層のクラックや剥離が起きる可能性が増大する。
重量比(P/R)が上記の範囲であれば、本発明の優れた効果が得られる。
抵抗制御剤(P)の量は、上記の保護層の体積抵抗に合わせて適宜設定すればよい。
フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーのいずれであってもよく、その粒径は上記の抵抗制御剤の平均一次粒径と同様であるのが好ましい。
無機フィラーを構成する材料としては、上記の抵抗抑制剤の無機酸化物に例示のものおよびシリカ、コロイダルシリカおよび窒化ケイ素などが挙げられる。
有機フィラーを構成する材料としては、フッ素系樹脂、ポリシロキサン系樹脂および高分子電荷輸送物質が挙げられる。
一般に撥水性処理として、シランカップリング剤での処理、フッ素系シランカップリング剤での処理したもの、高級脂肪酸処理または高分子材料などとの共重合処理などが挙げられ、無機物処理として、アルミナ、ジルコニア、酸化スズまたはシリカでの処理などが挙げられる。
フィラーの添加量は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)1重量部に対して0.5〜0.005重量部程度である。
酸化防止剤としては、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノールとヒンダードアミンとが同一分子中に存在する化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の添加量は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)1重量部に対して0.2〜0.001重量部程度である。
水性媒体は、水、水と低級アルコールなどの親水性有機溶剤との混合媒体を意味するが、本発明においては水のみが好ましい。
保護層用塗工液の構成成分、特に無機酸化物微粒子などの水性媒体に不溶な粒子を水性媒体に分散させるために、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いてもよい。
このような発泡を抑えるために、本発明の保護層用塗工液は、ごく微量の消泡剤をさらに含んでいてもよい。
消泡剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー444、470、485、PC(ポリエーテル系)、SNデフォーマー1311、1316(シリコーン系)、SNデフォーマー777、328、480、H−2(オイルコンパウンド系)、日硝産業株式会社製、製品名:TSA750(オイルコンパウンド系)、TSA770(エマルション系)、東レ・ダウコーニング株式会社製:製品名:DK Q1−1247のようなシリコーン・エマルションなどが挙げられる。
消泡剤が0.05重量部を超える場合、感光体の電気特性を悪化させるおそれがあり、0.0005重量部未満の場合、有効な破泡効果が得られないおそれがある。
分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸系、リン酸塩系、ポリリン酸系、特殊カチオン系、界面活性剤系などが挙げられ、これらの中でも、分散安定化効果の点でポリカルボン酸系およびナフタレンスルホン酸系が特に好ましい。
分散剤が0.02重量部を超える場合、感光体の電気特性を悪化させるおそれがあり、0.0005重量部未満の場合、有効な分散安定化効果が得られないおそれがある。
図1〜3は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2は、感光層が電荷輸送層と電荷発生層とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図3は、感光層が一層からなる単層型感光層である単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1および2の積層型感光層はいずれであってもよいが、図1の積層型感光層が好ましい。
図2の感光体は、導電性支持体1の表面に、中間層2と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層4と電荷発生物質を含有する電荷発生層3とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層5がこの順で形成され、最表層に保護層が形成されている。
図3の感光体は、導電性支持体1の表面に、中間層2と、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層5’がこの順で形成され、最表層に保護層が形成されている。
なお、中間層2はなくてもよく、感光層と保護層の間には接着層があってもよい。
まず、本発明の保護層用塗工液を用いて形成される保護層について説明し、次いで本発明の感光体の各構成について説明する。
保護層は、感光層の耐刷性を向上させることができると共に、感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾンまたは窒素酸化物などの感光層への化学的悪影響を防止する機能を有する。
保護層は、例えば、上記の保護層用塗工液を導電性支持体上に形成された感光層の最表面に塗布し、得られた塗膜を硬化させることにより形成することができる。
塗布方法は、塗工液の物性や生産性などを考慮して最適な方法を選択すればよく、浸漬法、ブレードコーター法およびスプレー法が特に好ましい。
熱硬化は、熱風乾燥炉および遠赤外線乾燥炉などの公知の装置を用いて行うことができ、その条件は、用いるブロックイソシアネート化合物や樹脂の種類、配合割合などにより適宜設定すればよく、通常、温度110〜150℃、好ましくは130〜150℃で、時間10分間〜1時間程度である。
保護層の膜厚が0.5μm未満では、ブレードまたは帯電ローラの接触などによる外力を受けたとき、保護層が下地層の感光層との界面から剥離し易くなる。これは、保護層の膜厚が薄いと、外力を受けた時に保護層自体では抗し切れず、感光層との界面に常時力が負荷され、それが長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じ易くなるためと考えられる。また、摩耗により保護層の全てが感光体の寿命前に消失する可能性もある。
一方、保護層の膜厚が10μmを超えると、キャリアが保護層内を移動する過程において拡散するので、文字太りなどの画像ボケが生じ易くなり、かつ感度低下および繰返しによる残留電位上昇が起こり易くなる。
本発明の感光体における保護層は、単層だけでなく、複数層であってもよい。
接着層は、感光層と保護層とを緊密に接着する機能を有し、例えば、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシアミノエーテルなどのフィルム形成用樹脂を主成分として、さらに上記の抵抗制御剤を含んでいてもよい。
接着層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜1μm程度が好ましい。
導電性支持体は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、セルロース、ポリ乳酸などの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、カーボンブラックなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
積層型感光層5は、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることにより、各層を構成する最適な材料を独立して選択することができる。
以下の説明では、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(図1)について説明するが、逆二層型の積層型感光層(図2)の場合には積層順が異なるだけで基本的に同様である。
電荷発生層は、照射された光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質を主成分とし、任意に公知の添加剤およびバインダ樹脂(結合剤)を含有する。
具体的には、アゾ系顔料(カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有する、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(キナクリドン、アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなど)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、チオピリリウム色素、ピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ぺリレン系顔料は高感度を有することから特に好ましい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)のようなヒンダードフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミンなどのアミン系酸化防止剤、ビタミンE、ハイドロキノン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄系化合物、有機燐系化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗工液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないおそれがある。また、酸化防止剤の添加量が40重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
乾式法としては、例えば、電荷発生物質を導電性支持体の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質、必要に応じて添加剤およびバインダ樹脂を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗工液を調製し、この塗工液を導電性支持体上に形成された中間層表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリオール、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
比率(G/B)が1/9未満であると、感光体の感度が低下するおそれがある。
一方、比率(E/B)が95/5を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれがある。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗工液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、それを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
具体的には、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、多環芳香族系化合物、アニリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、芳香族アミン化合物、トリフェニルアミン系化合物及びその2量体、トリフェニルメタン系化合物、テトラフェニルブタジエン系化合物、エナミン系化合物およびスチルベン系化合物、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリ−N−ビニルカルバゾール等の重合体などのホール輸送物質;
が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
比率(T/B)が10/25未満であると、電荷輸送物質に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなり、十分な感度が得られないおそれがある。
一方、比率(T/B)が10/8を超えると、電荷輸送層の耐刷性や感光体の耐久性が低下するおそれがある。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、電荷輸送物質との相溶性に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗工液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないおそれがある。また、酸化防止剤の添加量が50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
レベリング剤および可塑剤としては、電荷発生層における例示化合物が挙げられる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
単層型感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層および電荷輸送層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
本発明の感光体は、導電性支持体と感光層との間に中間層を有していてもよい。
中間層は、導電性支持体から単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのを防止する。
中間層としては、各種樹脂材料からなる樹脂層、アルマイト層などが用いられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂、および
メラミン樹脂、フェノール樹脂やポリウレタン樹脂等の硬化樹脂が好適に用いられる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
また、樹脂の重量(E)と金属酸化物の重量(F)との比率(E/F)は、90/10〜1/99、好ましくは70/30〜5/95である。
例えば、導電性の無機酸化物微粒子を含有する膜厚2〜20μmの第1中間層(導電層)と無機酸化物微粒子を含有しない膜厚0.2〜1μmの第2中間層(絶縁層)との組み合わせ、無機酸化物微粒子を含有しない膜厚0.2〜1μmの第1中間層(絶縁層またはブロックング層)と導電性の無機酸化物微粒子および光散乱粒子あるいは200nm以上の導電性の無機酸化物微粒子を含有する膜厚3〜10μmの第2中間層(導電層かつモアレ防止層)と組み合わせなどが挙げられる。
図4は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図4の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1〜3の感光体のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーニング手段(クリーナ)27と、定着手段(定着器)31と、除電手段(図示せず、クリーニング手段27に併設される)を含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
導電性支持体として、直径30mm×長さ360mm×厚さ0.8mmのアルミニウム製の円筒型導電性支持体を用いて、図1の層構成を有する感光体を作製した。
まず、無機酸化物微粒子としての、酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ジルコニウム(ZrO2)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製、製品名:TTO−D−1)6重量部と、樹脂としての共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製、製品名:アミランCM8000)4重量部とを、1,3−ジオキソラン50重量部とメタノール40重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散処理して、中間層用塗工液(全量1kg)を調製した。
得られた中間層形成用塗工液を塗布槽に満たし、導電性支持体を浸漬した後引き上げ、自然乾燥させて、膜厚1.0μmの中間層を形成した。
得られた電荷発生用塗工液を、中間層と同様の浸漬塗布法で、先に形成した中間層上に塗布し、得られた塗膜を自然乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
得られた電荷輸送層用塗工液を、中間層と同様の浸漬塗布法で、先に形成した電荷発生層上に塗布し、温度130℃で30分間乾燥させて、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
得られた保護層用塗工液を、中間層と同様の浸漬塗布法で、先に形成した電荷輸送層上に塗布し、温度130℃で1時間乾燥・硬化させて、膜厚5.0μmの保護層を形成した。
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
以上のようにして、実施例1の感光体を作製した。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):6.3重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):9.6重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
水:72重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):6.3重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):9.6重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:72重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての水性ポリアクリルポリオール(固形分:45%、OH価:80、DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300):8.4重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:40%、NCO含有率:5.4%、三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−920):10.5重量部
消泡剤(ポリエーテル系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:SNディスパーサント5468):0.03重量部
水:69重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリエーテルポリオール(固形分:35%、OH価:60、日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名:AQD−473):14.3重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:42%、NCO含有率:7.5%、日本ポリウレタン工業株式会社製、開発品名:BWD−102):7.1重量部
消泡剤(ポリエーテル系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470):0.03重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:SNディスパーサント2060):0.02重量部
水:67重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての水溶性セルロース(OH価:360、信越化学工業株式会社製、製品名:メトローズ65SH−50):1.09重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:4.3%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1458):9.9重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.03重量部
分散剤(三洋化成工業株式会社製、製品名:サンスパールPS−2):0.02重量部
水:77重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:960、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−1):0.49重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:37.5%、NCO含有率:3.7%、住化バイエルウレタン株式会社製、製品名:バイヒジュールVPLS2310):5.1重量部
消泡剤(オイルコンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.005重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.008重量部
水:65重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例8の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての水溶性ナイロン(固形分:20%、NH含有率:10%、ナガセケムテックス株式会社製、製品名:トレジンFS−350):8.8重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:45%、NCO含有率:7.0%、三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−820):13.9重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー480):0.03重量部
分散剤(三洋化成工業株式会社製、製品名:キャリボンL-400):0.02重量部
水:65重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例9の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:粒状、平均一次粒径:10〜30nm、粉体抵抗:1〜5Ωcm、石原産業株式会社製、製品名:SN−100P):8重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):9.4重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):14.5重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.02重量部
水:68重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して4/6の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例10の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての、酸化亜鉛(形状:粒状、平均一次粒径:20〜40nm、体積抵抗率:20〜100Ωcm、ハクスイテック株式会社製、製品名:Pazet GK−40):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):6.3重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):9.6重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:72重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化チタン(形状:粒状、平均一次粒径:30〜60nm、粉体抵抗:10〜30Ωcm、石原産業株式会社製、製品名:ET−300W):10重量部
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):7.8重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):12.0重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.025重量部
水:70重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して5/5の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例12の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての、硫酸マグネシウム微粒子(形状:球状、平均粒径:100nm、粉体抵抗:74Ωcm、三井金属株式会社製、製品名:TYPE−IV 硫酸バリウム4310):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):6.3重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):9.6重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:72重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例13の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:20nm、粉末比抵抗:1〜5Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:T−1):8重量部
フィラーとしてのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)微粒子(ダイキン工業株式会社製、製品名:ルブロンL−2):8重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):9.4重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):14.5重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.02重量部
水:100重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して4/6の重量比(P/R)であった。
中間層を下記のように形成したこと以外は、実施例3と同様にして実施例14の感光体を作製した。
まず、金属酸化物粒子としての酸化チタン微粒子(平均一次粒径:35nm、テイカ株式会社製、製品名:MT-500SAS)16重量部と、樹脂としてのポリビニルアセタール系(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3)1.6重量部と、ブロックイソシアネート化合物(固形分:37.5%、NCO含有率:3.7%、住化バイエルウレタン株式会社製、製品名:バイヒジュールVPLS2310)9.8重量部と、消泡剤(オイルコンパウンド系、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777)0.08重量部と、分散安定剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.04重量部とを、水73重量部に加え、ペイントシェーカを用いて6時間分散処理して中間層用塗工液(全量1kg)を調製した。
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、無機酸化物微粒子(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して8/2の重量比(P/R)であった。
得られた中間層用塗工液を塗布槽に満たし、導電性支持体を浸漬した後引き上げ、得られた塗膜を温度150℃で30分間乾燥・硬化させて、膜厚1.0μmの中間層を形成した。
電荷輸送層と電荷発生層との積層順を逆にしたこと、すなわち電荷輸送層上に電荷発生層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図2の層構成を有する実施例15の感光体を作製した。
下記のように電荷輸送層と電荷発生層の両層を単層型感光層として形成したことこと以外は、実施例1と同様にして、図3の層構成を有する実施例16の感光体を作製した。
電荷発生物質としてのX型無金属フタロシアニン(DIC株式会社)1重量部と、電荷輸送物質としての上記構造式(1)で表されるトリフェニルアミン−ブタジエン誘導体10重量部と、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、製品名:Z−400)12重量部と、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン5重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部と、THF65重量部とを、ボールミルで12時間分散し、単層感光層用塗工液(全量1kg)を調製した。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例17の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):12.7重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):7.8重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:68重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して0.4のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例18の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):9.5重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):8.7重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:70重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して0.6のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例19の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):2.5重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):10.7重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:75重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して2.8のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例20の感光体を作製した。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):2.0重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):10.9重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:75重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して3.5のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層を形成せず、電荷輸送層の膜厚を20μmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の感光体を作製した(保護層なし)。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の感光体を作製した(有機溶剤系)。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリビニルブチラール(OH価:250、積水化学工業株式会社製、製品名:BM−1):3.0重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:75%、NCO含有率:11,2%、住化バイエルウレタン株式会社製、製品名:スミジュールBL−3175):6.7重量部
有機溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK):66重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、抵抗制御剤(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の感光体を作製した(水系、ブロック型でないイソシアネート化合物(20℃、20時間でNCO基が完全に分解する)を使用)。
抵抗制御剤としての酸化スズ微粒子(形状:球状、平均一次粒径:30nm、粉末比抵抗:10〜50Ωcm、三菱マテリアル株式会社製、製品名:S−2000):12重量部
樹脂としてのポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):11.2重量部
水分散型イソシアネート(非ブロック型、NCO含有率:16.5%、旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名:デュラネートWB40−100):5.8重量部
消泡剤(ポリエーテル系、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470):0.02重量部
分散剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40):0.03重量部
水:71重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比で、無機酸化物微粒子(P)は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)に対して6/4の重量比(P/R)であった。
保護層用塗工液を下記成分で調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の感光体を作製した(抵抗制御剤なし)。
樹脂としての、ポリビニルアセタール(固形分:20%、OH価:570、積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−3):9.4重量部
ブロックイソシアネート化合物(固形分:70%、NCO含有率:7.9%、旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1248):14.5重量部
消泡剤(コンパウンド系抑泡剤、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー777):0.012重量部
水:76重量部
ブロックイソシアネート化合物のイソシアネート基は、樹脂の活性水素含有基に対して1.0のモル比であった。
実施例1〜20および比較例1〜4において用いた材料および重量比P/Rを表1示す。
(1)感光体の電気特性および環境安定性
実施例1〜20および比較例1〜4において得られた感光体を、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(ジェンテック株式会社製、型式:CATE751)を設けた、市販のデジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX−3100FG)にそれぞれ搭載し、各感光体の電気特性および環境安定性を評価した。
まず、温度22℃、相対湿度65%のN/N環境下において、帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として測定した。また、レーザ光(波長:780nm)によって露光を施した直後の感光体の表面電位をN/N環境下における残留電位VL(V)として測定した。
さらに、N/N環境下と同様にして、温度25℃、相対湿度85%のN/H環境下および温度25℃、相対湿度5%のN/L環境下における残留電位VL(V)を測定し、これらの差を電位変動ΔVL(V)として求めた。すなわち、電位変動ΔVL(V)が小さい程、環境安定性(環境特性)に優れると評価できる。
得られた結果を表2に示す。なお、表2には中間層用塗工液に用いた溶剤を付記する。
また、同時に初期から10万枚複写後の減少膜厚を求め、さらに10万枚複写後の保護層に剥離やクラックがないかも確認した。
なお、実施例15および16については、正帯電プロセスに改造して各物性を測定した。
得られた結果を表2に示す。
実施例1〜20ならびに比較例2および3において調製した保護層用塗工液を常温常湿(温度20℃、湿度50%)下で3ヶ月間保存した後、同様にして感光体を作成し、得られた感光体について、N/N環境下での残留電位VL(V)を測定し、上記(1)の初期残留電位VL(V)の値との差を、ポットライフの指標となる電位変動ΔVLP(V)として求めた。
得られた結果を表2に示す。
実施例1〜20および比較例2および3において調製した保護層用塗工液0.5gをそれぞれ寸法50mm×50mm×厚さ1.5mmのガラス板の表面に、ワイヤーバー法により均一に塗布し、得られた塗膜を温度150℃で30分間乾燥・硬化させてサンプルを得た。
得られたサンプルを、それぞれ温度20℃のアセトン中に回転数30rpmで攪拌しながら1日間浸漬し、浸漬前の初期重量と浸漬後重量との重量差に基づいて下式により硬化度(%)を求めた。
硬化度(%)=(1−(初期重量−浸漬後重量)/初期重量)×100
また、(2)ポットライフの検討と同様に3ヶ月間保存した保護層用塗工液についても上記と同様にサンプルを作成し、その硬化度(%)を求めた。
なお、比較例1および2の保護層用塗工液については、硬化樹脂ではないため硬化度を評価しなかった。
得られた結果を表2に示す。
(1)本発明の感光体(実施例1〜20)は、保護層用塗工液の溶剤として水を用いているにもかかわらず、メチルエチルケトン(MEK)を用いた有機溶剤系の比較例2の感光体と比較して、電気特性、環境安定性、疲労特性、耐摩耗性(耐刷性)および塗液安定性(ポットライフ)の全てにおいて同等以上の性能を有している。
一方、樹脂に対するブロックイソシアネート化合物の量が多い場合、すなわち樹脂中のOH基に対するNCO基が多い場合(実施例20)には、環境特性はそれほど低下しないが、疲労特性や塗液の保存性が低下する。これは、過剰に存在するイソシアネート基が水分と反応し電気特性に影響を及ぼすような不純物が生成したためと考えられる。また、高度に架橋するためか、硬くなり過ぎて疲労試験後の塗膜に僅かにクラックが認められた。
2 中間層(下引き層)
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 積層型感光層
5’単層型感光層
6 保護層
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写手段(転写器)
27 クリーニング手段(クリーナ)
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着手段(定着器)
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ
Claims (11)
- 抵抗制御剤と、ブロックイソシアネート化合物と、前記ブロックイソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を有する樹脂と、水のみの媒体とを含むことを特徴とする有機感光層を有する電子写真感光体の保護層用塗工液。
- 前記活性水素含有基が、水酸基である請求項1に記載の保護層用塗工液。
- 前記イソシアネート基が、前記活性水素含有基に対して0.5以上3.0以下のモル比で前記ブロックイソシアネート化合物中に存在する請求項1または2に記載の保護層用塗工液。
- 前記ブロックイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートをオキシム系またはラクタム系のブロック剤でブロック化した構造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護層用塗工液。
- 前記樹脂が、ポリエーテルポリオール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂、ポリアクリルポリオール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂およびセルロースから選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護層用塗工液。
- 前記抵抗制御剤が、無機酸化物からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の保護層用塗工液。
- 前記無機酸化物が、酸化スズまたは酸化亜鉛である請求項6に記載の保護層用塗工液。
- 前記抵抗制御剤が、平均一次粒径10〜300nmの微粒子である請求項1〜7のいずれか1つに記載の保護層用塗工液。
- 前記保護層用塗工液が、消泡剤または分散剤をさらに含む請求項1〜8のいずれか1つに記載の保護層用塗工液。
- 導電性支持体上に、少なくとも有機感光層と保護層とがこの順で積層されてなり、
前記保護層が、請求項1〜9のいずれか1つに記載の保護層用塗工液から熱硬化を経て形成された層であることを特徴とする電子写真感光体。 - 請求項10に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
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