JP5491514B2 - 収容容器 - Google Patents

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Description

この発明は、薬やサプリメント等の錠剤及びカプセル等の粒状体やマイクロカプセル等の粉状体を収容するのに好適な収容容器に関する。
一般に、薬の錠剤は、ガラス瓶その他の容器に収容されている。錠剤を収容した容器を搬送すると、搬送時の振動によって錠剤の密度が高くなり、その結果容器の内部の上端部に空間が発生する。すると、振動によって錠剤どうしが相対移動して互いにぶつかったり、擦れあったりし、その結果錠剤が割れたり、錠剤の表面が擦過されて微粉末が発生したりする等の不都合が生じることがある。
そこで、下記特許文献1に記載のものにおいては、容器の底部に遅延された形状回復性を有する発泡体を配置している。この発泡体は、容器の上部に空間が発生しようとすると、その空間を埋めるように膨張する。したがって、容器内に空間が発生することがなく、錠剤どうしがぶつかったり、擦過したりすることが防止される。
特開平9−118366号公報
上記従来の容器に用いられている発泡体は、遅延された形状回復性を有するものであるから、容器に錠剤を充填した直後に容器の上部に空間が発生するような場合にはその空間を発泡体によって埋めることができない。例えば、容器に錠剤を充填した直後にその容器を搬送ラインに沿って搬送するような場合には、搬送時の振動によって容器の上部に空間が発生することがある。ところが、発泡体は、容器に挿入された後には直ちに膨張することがない。したがって、錠剤の充填直後に容器の内部に空間が発生した場合には、その空間を発泡体で埋めることができない。このため、錠剤が充填された容器は、その内部に空間が形成された状態で製造ラインに沿って搬送されることになる。この結果、搬送時の振動によって錠剤が割れたり、擦過されて微粉末が発生するおそれがあった。
この発明は、上記の問題を解決するために、先端が開口した収容部、及びこの収容部の基端部を閉じる底部を有する容器本体と、上記収容部の先端開口部を閉じる蓋体とを備えた収容容器において、上記収容部がプラスチックフィルムによって形成され、 上記底部が、先端側から基端側に向かって凸になる第1の状態と、基端側から先端側に向かって凸になる第2の状態とに変形可能に形成され、上記底部を所定の大きさの力で上記第2の状態に維持する形状維持手段をさらに備えていることを特徴としている。
この場合、上記底部がプラスチックフィルムによって形成され、上記形状維持手段が、上記底部より基端側に位置する上記収容部の基端部内周に固定された形状維持部材であり、この形状維持部材が上記底部に突き当たることによって上記底部が上記第2の状態に維持されていることが望ましい。上記形状維持部材は、上記第1の状態と上記第2の状態に変形可能に形成されていてもよい。さらに、上記形状維持部材は、上記底部の先端側の面と基端側の面とのいずれか一方に一体的に設けられていれもよい。
上記底部が、上記第1の状態と上記第2の状態とに弾性変形可能に形成され、しかも上記底部は、それ自体の強度によって上記第2の状態を維持することができるよう、形状維持手段として兼用されていてもよい。
上記形状維持手段が、上記容器本体の内部に形成された負圧であり、この負圧によって上記底部が上記第1の状態から上記第2の状態に変形させられるものであってもよい。
上記特徴構成を有するこの発明の収容容器に例えば粒状体を充填する場合には、底部を第1の状態にしておいて容器本体内に粒状体を所定量だけ装入する。その後、直ちに容器本体を振動させて粒状体の密度を上げる。すると、粒状体の密度が上がった分だけ容器本体の内部に空間が形成される。次に、底部を第2の状態にする。すると、容器本体の内部容積が、底部が第1の状態から第2の状態に変わった分だけ減少するとともに、粒状体全体が先端側へ押圧移動させられる。この結果、容器本体の内部に形成された空間が粒状体によって埋められる。しかも、形状維持手段により底部が第2の状態に維持されるから、容器本体の内部に空間が形成されることがない。したがって、容器本体に粒状体を装入した直後に容器本体が振動したとしても、粒状体が割れたり、擦過されて微粉末が発生することがない。また、容器本体を振動させて粒状体の密度を一旦上げているから、粒状体入りの容器の製造完了後の搬送によって容器が振動したとしても、容器内に空間が形成されることがない。よって、容器本体への粒状体の装入直後の搬送のみならず、製品完成後の搬送時にも粒状体が割れたり、微粉末が発生するような事態を確実に防止することができる。
図1は、この発明の第1実施の形態を示す縦断面図である。 図2は、同実施の形態の要部の拡大断面図である。 図3は、この発明の第2実施の形態を示す縦断面図である。 図4は、同第2の実施の形態の一部を、形状維持部材を容器本体から分離した状態で示す縦断面図である。 図5は、同第2の実施の形態の要部を示す拡大断面図である。 図6は、この発明の第3実施の形態の一部を示す縦断面図である。 図7は、この発明の第4実施の形態の一部を示す縦断面図である。 図8は、同第4実施の形態において用いられている形状維持部材を示す斜視図である。 図9は、この発明の第5実施の形態の要部を、底部が上方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図10は、同第5実施の形態の要部を、底部が下方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図11は、この発明の第6実施の形態の要部を、底部が上方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図12は、同第6実施の形態の要部を、底部が下方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図13は、この発明の第7実施の形態の要部を、底部が上方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図14は、同第7実施の形態の要部を、底部が下方に向かって凸になった状態で示す拡大断面図である。 図15は、この発明の第8実施の形態を示す縦断面図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態の収容容器1は、容器本体2及び蓋体3を有している。
容器本体2は、収容部4、密封シール5、補強筒体6、補強リング7及び底部8を有している。
収容部4は、上端(先端)及び下端(基端)が開口した断面円形の筒状をなしており、プラスチックフィルムによって形成されている。この場合、プラスチックフィルムとしては、単層のプラスチックフィルムを用いることも可能であるが、積層フィルムや共押出し多層フィルムを採用することが望ましい。
収容部4を形成する積層フィルムは、二つの基層とそれらの間の中間層とを有する。基層は、補強筒体6や補強リング7を射出成形する場合には、収容部4を補強筒体6及び補強リング7の射出成形と同時に溶着することができるようなプラスチックフィルムで構成され、補強筒体6及び補強リング7の成形後に収容部4が接着される場合には、接着性の相性を考慮して基層を構成するフィルムが採用される。通常、基層として用いられるプラスチックフィルムには、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、又はこれらの混合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、生分解性ポリエステル樹脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物等)等からなる未延伸フィルムが挙げられる。また、必要に応じてシール面にヒートシール可能な樹脂層を設けた共押出し多層フィルムやエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックを用いることも可能である。基層の厚さは、10〜200μmの範囲で選択でき、15〜100μmを選択することが望ましい。
中間層は、基材層及び/又は機能層を有する。基材層は、突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃強度等の機械適性や印刷適性が高いプラスチックフィルムを採用することが望ましい。そのようなフィルムとしては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリビニル系、エチレンービニルアルコール共重合体系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の合成樹脂からなるフィルム、又はこれらの合成樹脂を多層共押出ししたフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、無延伸フィルムであってもよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。基材層として用いるフィルムは、印刷適性の観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムを用いることが望ましい。具体的には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリアミド(ONY)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の延伸プラスチックフィルム等が挙げられる。また、必要に応じて合成紙、セロハン、紙、不織布等やエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックを使用することもできる。基材層の厚さは、6〜100μmの範囲で選択でき、12〜30μmにするのが好ましい。
機能層を構成する材質は、ガスバリア性、強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の要求される機能に応じて適宜選択される。機能層を構成するフィルムとしては、例えばアルミニウム、鉄、銅、マグネシウム等の金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体系、又はこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、若しくはアルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機物を蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニル等のフィルムや断熱性を有する不織布や発泡フィルム等、耐熱性、耐溶剤適性が良いエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。機能層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。機能層の厚さは、要求される機能を満たすことができる厚さであればよく、6〜30μmにすることが望ましい。
共押出し多層フィルムとしては、3層〜7層程度のものが用いられるが、例えば次のような多層フィルムを挙げることができる。この多層フィルムは、その一方の面から他方の面に向かって順次配置された、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリアミド(NY)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の3層からなるもの、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリアミド(NY)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(NY)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の5層からなるものである。
収容部4は、例えばプラスチックフィルム又は膜状体からなる素材を円筒状に丸めた後、その素材の周方向の両端部どうしを互いに固着することによって製造することができる。なお、積層フィルムを用いて収容部4を製造する場合には、二つの基層の一方が外側に配置され、他方が内側に配置される。その結果、収容部4の外周面が一方の基層の外面によって構成され、収容部4の内周面が他方の基層の外面によって構成される。収容部4は、継ぎ目が生じないようにするために、ブロー成形、その他の成形法によって成形することも可能である。
収容部4は、必ずしもプラスチックで形成することなく、ガラス等の剛性を有するもので形成してもよい。また、収容部4の断面形状は、円形に限るものではなく、多角形その他の形状にしてもよく、断面形状をその長手方向に沿って変えてもよい。さらに、収容部4の内外径をその全長にわたって一定にすることなく、上端開口部及びその近傍部分を下部より小径にしてもよい。これらの変形は、適宜組み合わせてもよい。
収容部4の上端開口部は、密封シール5によって気密に閉じられている。密封シール5は、プラスチックフィルムによって形成されている。プラスチックフィルムとしては、単層フィルムを用いてもよいが、中間層にアルミニウム箔等の金属層を有する積層フィルムを用いることが望ましい。通常、密封シール5を形成するフィルムとしては、収容部4を構成する上記積層フィルムの機能層と同様のフィルムが採用される。密封シール5の下面の外周部は、収容部4の上端面及び次に述べる補強筒体6の上端面に固着されている。これにより、収容部4の上端開口部が気密に閉じられているのである。
補強筒体6は、比較的硬質のプラスチックを円筒状に成形してなるものであり、収容部4の外周面の上端部に嵌合され、接着、溶着等の固着手段によって固着されている。特に、この実施の形態では、インサート成形法によって補強筒体6を成形することにより、補強筒体6を成形するのと同時に補強筒体6が収容部4に溶着されている。そのために、補強筒体6を構成するプラスチックとしては、収容部4を形成する積層フィルムのうちの基層を構成するプラスチックとして挙げられたものの中から選択され、特に基層に溶着可能なプラスチックが採用される。補強筒体6は、それ自体の形状を一定に維持するだけの所定の強度を有している。したがって、補強筒体6が収容部4の上端部に固着されることにより、収容部4の上端部が一定の形状に、つまり断面円形に維持されている。補強筒体6の上端面は、収容部4の上端面と同一平面上に位置させられている。そして、補強筒体6の上端面には、密封シール5が固着されている。勿論、密封シール5は、収容部4内に粒状体や粉状態(いずれも図示せず)が充填された後、収容部4及び補強筒体6に固着される。
補強筒体6の外周面には、蓋体3が螺合固定されている。蓋体3は、比較的硬質のプラスチック又は金属によって形成される。蓋体3に使用可能なプラスチックとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、などを含む全てのポリエチレン類、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどがある。蓋体3は、補強筒体6の外周面に螺合される筒部31と、この筒部31の上端開口部を閉じる天板部32とを有している。そして、蓋体3は、その筒部31を補強筒体6の上端部に螺合させて締め付けることにより、補強筒体6に着脱可能に固定されている。固定状態においては、蓋体3の天板部32の下面が密封シール5の上面にほぼ接触している。蓋体3は、他の固定方法によって補強筒体6に着脱可能に固定してもよい。補強筒体6に固定された蓋体3は、収容部4の開口部を閉じている。したがって、蓋体3が収容部4の上端開口部を気密に封止することができるものであれば、密封シール5は省略してもよい。また、補強筒体6に螺合固定された蓋体3は、密封シール5を覆っている。したがって、密封シール5は、それに他の物体が衝突する等の外的要因によって破られることが蓋体3によって防止されている。
補強リング7は、比較的硬質のプラスチックを円形のリング状に成形してなるものであり、収容部4の内周面の下端部に嵌合され、接着、溶着等の固着手段によって固着されている。特に、この実施の形態では、インサート成形法によって補強リング7を成形することにより、補強リング7の成形と同時に収容部4に補強リング7が溶着されている。そのために、補強リング7を構成するプラスチックとしては、収容部4を形成するフィルムのうちの基層を構成するプラスチックとして挙げられたものの中から選択され、特に基層に溶着可能なプラスチックが採用される。補強リング7の下端面は、収容部4の下端面と同一平面上に位置させられている。補強リング7は、それ自体の形状を一定に維持するだけの所定の強度を有している。したがって、補強リング7が収容部4の下端部に固着されることにより、収容部4の下端部も一定の形状に、つまり断面円形に維持されている。このように、収容部4の上下の端部が補強筒体6及び補強リング7によって断面円形に維持されているので、収容部4は比較的腰の弱い積層体によって形成したとしても、水平面上に載置したときに一定の形状を維持することができる。
底部8は、プラスチックその他の樹脂で形成することができる。底部8に使用可能な材料としては、蓋体3に使用可能なプラスチックがある。それらに加えて、天然ゴムや合成ゴムも使用可能である。底部8は、上記のような材料を板状に成形してなるものであり、その下面の外周部が補強リング7の上面71に接着等の手段によって固着されている。この場合、補強リング7の上面71が径方向外側へ向かうにしたがって上方へ向かうようなテーパ面に形成されていることに対応して、底部8の外周部81もテーパ状に形成されているが、補強リング7の上面71が水平面とされるときには、底部8の外周部81も水平な平板状に形成される。
底部8の補強リング7より内側の部分は、凸曲面状板部82とされている。凸曲面状板部82は、仮想の球殻の一部によって構成されており、その中心が収容部4の軸線上に位置するように配置されている。凸曲面状板部82は、図1において想像線で示すように、上に向かって凸の状態(第2の状態)と、図1において実線で示すように下に向かって凸の状態(第1の状態)とに弾性変形可能になっている。特に、この実施の形態では、底部8の下面に切欠き部83が環状に形成されており、この切欠き部83は、外周部81と凸曲面状板部82との境界部に配置されている。この切欠き部83が形成されることにより、凸曲面状板部82が下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに弾性変形し易くなっている。しかも、凸曲面状板部82は、上に向かって凸の状態になると、その状態を所定の大きさの力で維持するだけの強度を有している。すなわち、上に向かって凸の状態になった凸曲面状板部82は、収容部4内に充填された粒状体の荷重によっては下に向かって凸の状態に弾性変形することがないのは勿論のこと、容器1が通常の搬送時に上下方向へ振動したとしても、その振動によって粒状体に作用する下方への加速度(下方への力)によっても下に向かって凸の状態に弾性変形することがなく、上に向かって凸の状態を維持するだけの強度を有している。このように、底部8は、収容部4の下端部を閉じるという機能のみならず、それ自体を所定の大きさの力で上に向かって凸の状態に維持するという形状維持手段としての機能を有しているのである。
上記構成の粒状体用容器1に薬の錠剤等の粒状体を充填する場合には、予め容器本体2(収容部4)の上端開口部を開いてくとともに、底部8を下に向かって凸の状態にしておく。そして、粒状体を収容部4内にその上端開口部から所定量だけ、例えば最も上側に位置する粒状体が収容部4の上端面とほぼ同一位置に位置するまで装入される。その後、収容部4を上下に振動させる。すると、粒状体の密度が高くなり、その分だけ上端に位置する粒状体が収容部4の上端より下方に位置するようになり、収容部4の上部に空間が形成される。この空間の容積は、下に向かって凸の状態の凸曲面状板部82と上に向かって凸の状態の凸曲面状板部82とによって囲まれる空間の容積とほぼ同一になるように設定されている。したがって、下に向かって凸になっている凸曲面状板部82を上に向かって凸の状態に変形させると、収容部4内に充填された粒状体全体が上方へ移動させられ、最も上側の粒状体が収容部4の上端と同一位置に位置するようになる。その後、密封シール5を収容部4及び補強筒体6の上面に固着し、補強筒体6に蓋体3を螺合固定する。これによって、粒状体が充填された容器1の製造が完了する。
上記のようにして粒状体が充填された容器1においては、収容部4に粒状体を装入した直後に収容部4を振動させることによって粒状体の密度を上げ、その後底部8を下に向かって凸の状態から上に向かって凸の状態に弾性変形させ、それによって最も上側の粒状体を収容部4の上端とほぼ同一位置に位置させるようになっているから、収容部4の上端開口部を密封シール5によって封止し、かつ蓋体3を螺合固定したときには、最も上側に位置する粒状体と密封シール5との間に空間が形成されることがない。したがって、粒状体が相対移動することが底部8と蓋体3(密封シール5が介在した蓋体3)とによって阻止される。よって、粒状体が割れたり、その表面が擦過されて微粉末が発生するような事態を防止することができる。しかも、収容部4に充填された粒状体の密度を装入直後に上げているから、その後の搬送時の振動によって粒状体の密度が高くなることがなく、最も上側に位置する粒状体と密封シール5との間の収容部4の内部に空間が生じることがない。よって、製造時以外の通常の搬送時にも、粒状体が割れたり、微粉末が発生することを防止することができる。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態については、上記実施の形態と異なる構成だけを説明することとし、上記実施の形態と同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図3〜図5は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Aにおいては、底部8に代えて底部8Aが用いられている。底部8Aは、単層又は積層のプラスチックフィルムによって構成されている。この実施の形態では、底部8Aが収容部4と同様の積層フィルムによって構成されている。したがって、底部8Aは、下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに変形可能になっている。しかし、底部8Aは、上に向かって凸の状態を維持するだけの強度を有していない。そこで、底部8Aを上に向かって凸の状態に維持するための形状維持部材(形状維持手段)9が用いられている。
形状維持部材9は、円板状をなしており、その外周面が補強リング7の内周面に挿入可能に嵌合されている。形状維持部材9の外周面には、係合突条91が環状に形成されている。この係合突条91が補強リング7の内周面に環状に形成された係合凹部72に嵌り込むことにより、形状維持部材9が補強リング7に固定されている。形状維持部材9の上面は、上に向かって凸の状態になった底部8Aの下面と同一形状に形成されており、底部8Aの下面に隙間無く接触している。
上記構成の容器1Aに粒状体を充填するときには、形状維持部材9を補強リング7から予め外しておく。それにより、底部8Aを下に向かって凸の状態にしておく。そして、収容部4にその上端開口部から所定の量の粒状体を装入した後、収容部4を振動させる。次に、係合突条91が係合凹部72に嵌り込むまで形状維持部材9を補強リング7にその下端開口部から挿入する。すると、底部8Aの凸曲面状板部82が下に向かって凸の状態から上に向かって凸の状態に変形するとともに、その状態に維持される。その後、上記の実施の形態と同様に、密封シール5及び蓋体3によって収容部4の上端開口部を閉じる。この実施の形態では、蓋体3が密封シール5を介して粒状体に接触するとともに、形状維持部材9が底部8Aを介して粒状体に接触しており、粒状体は、蓋体3と形状維持部材9とによって挟持されている。この挟持力が形状維持部材9の一部において過度に強くなるのを防止するために、換言すれば、形状維持部材9に底部8Aを介して接触する各粒状体に作用する挟持力をできる限り同一にするために、形状維持部材9の底部8Aと接触する少なくとも上面部は、若干の弾性を持たせておくことが望ましい。
図6は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Bにおいては、形状維持部材9に代えて形状維持部材9Aが用いられている。形状維持部材9Aの上面の曲率半径は、底部8Aの凸曲面状板部82の下面の曲率半径より若干小さくなっている。このため、形状維持部材9Aの上面の中央部は、凸曲面状板部82の中央部に接触しているが、形状維持部材9Aの上面の外周側の部分は、凸曲面状板部82に対して若干下方に離れ、それらの間には隙間が環状に形成されている。これから明らかなように、形状維持部材9は、必ずしもその上面全体を底部8Aに接触させる必要がなく、その一部を底部8Aから上下方向へ離間させてもよい。そこで、形状維持部材9Aの上面を中央側が外周側より高くなるように、階段状に形成してもよい。このような構造は、以下に述べる第4〜第7実施の形態にも採用可能である。
図7及び図8は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Cにおいては、形状維持部材9に代えて形状維持部材9Bが用いられている。形状維持部材9Bは、一体に形成された二つの棒材92,93からなるものであり、各棒材92,93は、円弧状に延びており、長手方向の中央部において互いに交差するように配置され、その交差部において一体化されている。各棒材92,93の両端部は、係合凹部72に嵌め込まれている。これにより、形状維持部材9Bが補強リング7に固定されている。なお、形状維持部材9Bは、二つの棒材92,93によって構成することなく、棒材92,93のうちのいずれか一方の棒材だけで構成してもよい。この点は、以下に述べる第5〜第7実施の形態にも適用可能である。
図9及び図10は、この発明の第5実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Dにおいては、補強リング7の内周面に係合凹部72に代わる係合突条73が形成されている。この係合突条73は、断面略半円状をなしており、環状に延びている。また、形状維持手段として形状維持部材9Cが用いられている。形状維持部材9Cは、全体的な形状は、形状維持部材9Bと同様であるが、各棒材92,93の端面には、嵌合凹部92a,93aが形成されている。嵌合凹部92a,93aには、係合突条73がその中心線を中心として上下方向へ相対回転可能に嵌り込んでいる。また、形状維持部材9Cは、下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに弾性変形可能であり、嵌合凹部92a,93aに係合突条73が回転可能に嵌り込むことにより、形状維持部材9Cが容易に変形することができるようになっている。形状維持部材9Cが下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに弾性変形可能であるから、形状維持部材9Bは、底部8Aの下面に固着してもよい。
この容器1Dに粒状体を充填する場合には、形状維持部材9Cを予め下に向かって凸の状態にしておく。勿論、それに伴って底部8Aが下に向かって凸の状態になる。そして、収容部4に粒状体を装入した後、振動させて粒状体の密度を上げる。次に、形状維持部材9Cを弾性変形させて上に向かって凸の状態にする。その後、密封シール5及び蓋体3によって収容部4の上端開口部を閉じる。
図11及び図12は、この発明の第6実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Eにおいては、形状維持部材9Dが用いられている。形状維持部材9Dは、全体的な形状、及び下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに弾性変形可能である点において上記形状維持部材9Cと同様であるが、形状維持部材9Dの各棒材92,93の上面が底部8Aの下面に固着されている。また、各棒材92,93の端面には、略半球状の当接部92b,93bが形成されている。各当接部92b,93bは、各棒材92,93自体の弾性によって補強リング7の内周面に押圧接触させられている。したがって、形状維持部材9Bは、それ自体の弾性により、上に向かって凸の状態になっているときには底部8Aを上方へ付勢し、下に向かって凸の状態になっているときには底部8Aを下方へ付勢している。なお、形状位置部材9Bは、当接部92b,93bの補強リング7との接触箇所を中心として、下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに上下に反転する。
図13及び図14は、この発明の第7実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Fにおいては、形状維持部材9Eが用いられている。この形状維持部材9Eも二つの棒材92,93からなり、各棒材92,93が底部8Aに固着され、さらに各棒材92,93が弾性的に上下に反転可能である点において上記形状維持部材9C、9Dと同様である。その一方、この形状維持部材9Eにおいては、棒材92,93の両端部が、補強リング7の内周面の上端部に一体に形成されている。各棒材92,93と補強リング7との連結箇所の下部には、切欠き部94、95がそれぞれ形成され、それによって各棒材92,93の補強リング7との連結部に薄肉部92c,93cが形成されている。これにより、形状維持部材9Eが下に向かって凸の状態と上に向かって凸の状態とに容易に反転することができるようになっている。
図15は、この発明の第8実施の形態を示す。この実施の形態の粒状体用容器1Gにおいては、部材としての形状維持手段によって底部8Aを上に向かって凸の状態に維持することに代え、収容部4の内部を真空にすることによって底部8Aを上に向かって凸の状態に維持するようになっている。つまり、収容部4の内部の負圧が形状維持手段として用いられているのである。
容器1Gに粒状態を充填する場合には、上記の各実施の形態と同様に、まず収容部4の内部にその上端開口部から粒状体を所定量だけ装入し、その後収容部4を振動させて粒状体の密度を上げる。このとき、底部8Aは、下に向かって凸の状態になっている。その後、収容部4内を真空吸引する。収容部4内が所定の大きさを越える負圧になると、底部8Aが外気圧により粒状体の重量に抗して押し上げられ、上に向かって凸の状態になる。このとき、収容部4の周壁部、特にその上下方向の中央部が負圧によって内側に凹むと、容器1Gの見栄えが低下してしまう。そこで、収容部4は、底部8Aが最大限度まで上に向かって凸の状態になるときの負圧より所定の圧力だけ低い圧力までは変形しないような強度をもって形成されている。その後、収容部4内を負圧に維持したまま密封シール5を収容部4及び補強筒体6の上端面に固着し、その後蓋体3を補強筒体6に螺合固定する。
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、容器本体2が上下方向に向けて配置されているが、横向きに配置してもよい。その場合には、容器本体2の左右いずれか一方の端部に開口部が形成され、他端部に底部8が形成される。
この発明に係る収容容器は、薬やサプリメント等の錠剤等の粒状体やマイクロカプセル等の粉状体を収容するための容器として利用可能である。
1 収容容器
1A 収容容器
1B 収容容器
1C 収容容器
1D 収容容器
1E 収容容器
1F 収容容器
1G 収容容器
2 容器本体
3 蓋体
4 収容部
8 底部
8A 底部
9 形状維持部材(形状維持手段)
9A 形状維持部材(形状維持手段)
9B 形状維持部材(形状維持手段)
9C 形状維持部材(形状維持手段)
9D 形状維持部材(形状維持手段)
9E 形状維持部材(形状維持手段)

Claims (6)

  1. 先端が開口した収容部、及びこの収容部の基端部を閉じる底部を有する容器本体と、上記収容部の先端開口部を閉じる蓋体とを備えた収容容器において、
    上記収容部がプラスチックフィルムによって形成され、
    上記底部が、先端側から基端側に向かって凸になる第1の状態と、基端側から先端側に向かって凸になる第2の状態とに変形可能に形成され、上記底部を所定の大きさの力で上記第2の状態に維持する形状維持手段をさらに備えていることを特徴とする収容容器。
  2. 上記底部がプラスチックフィルムによって形成され、上記形状維持手段が、上記底部より基端側に位置する上記収容部の基端部内周に固定された形状維持部材であり、この形状維持部材が上記底部に突き当たることによって上記底部が上記第2の状態に維持されていることを特徴とする請求項1に記載の収容容器。
  3. 上記形状維持部材が、上記第1の状態と上記第2の状態に変形可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の収容容器
  4. 上記形状維持部材が上記底部の先端側の面と基端側の面とのいずれか一方に一体的に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の収容容器
  5. 上記底部が、上記第1の状態と上記第2の状態とに弾性変形可能に形成され、しかも上記底部は、それ自体の強度によって上記第2の状態を維持することができるよう、形状維持手段として兼用されていることを特徴とする請求項1に記載の収容容器。
  6. 上記形状維持手段が、上記容器本体の内部に形成された負圧であり、この負圧によって上記底部が上記第1の状態から上記第2の状態に変形させられることを特徴とする請求項1に記載の収容容器。
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