JP5488658B2 - 鋼材の材質制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強磁場を利用した鋼の機械的性質の制御に関するものである。さらに詳しくは、高炭素鋼線材の伸線加工時の時効硬化、又は、伸線加工後の室温時効を抑制する方法に関する。
鋼の侵入型元素の拡散により引き起こされる種々の現象を抑制することにより組織を制御して、機械的性質を調整する方法が従来より用いられている。例えば、高炭素鋼線の伸線加工時の発熱による延性劣化を抑制する技術として、特許文献1に開示されている方法がある。
この方法は、伸線加工中に発生する加工発熱により高温となり、侵入型元素が拡散し易くなる現象について、鋼線を直接水で冷却することにより、延性が劣化するのを防ぐ技術である。
しかし、この直接鋼線を水冷する方法を用いても、スチールコードのような0.15〜0.4mm径の3.0GPa以上のワイヤでは、加工温度の低下により変形抵抗が増加し、それによって、かえって発熱の増加が有り、十分に冷却の効果を得られないという問題があった。
一方、Siを多量に含む高炭素鋼を熱間圧延で線材圧延する場合、熱間圧延の過程で、鋼材の温度がAe3変態点以下の温度になると、フェライトが生成し、フェライト中の炭素の拡散速度が大きいために、脱炭が促進されるとの問題があった。
このような課題に対しては、例えば、特許文献2に開示されているような技術がある。この方法では、鋼に、アンチモンを添加することで、鋼の表面に、Fe酸化物より緻密なSb酸化物を形成し、鋼の表面からの炭素が抜け出すのを防止するという技術である。
しかし、この方法では、アンチモンなどの、環境負荷が大きい元素を用いるため、実用に際しては制限が多く、一般的に用いることができないとの問題があった。
特開昭62−284044号公報 特開平01−319650号公報
このように、加工技術、鋼材成分などの工夫を行なっても、鋼の侵入型元素の拡散によって生じる問題に対する解決策には限界があり、侵入型元素の拡散に関する、新たな制御技術方法が必要とされていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされた発明であり、鉄、鋼などの鋼材の機械的性質に影響を与える炭素、窒素、水素などの侵入型元素の拡散の制御方法であり、これを通じて、鋼材の機械的性質を改善する技術を提供することを目的としている。
さらに、具体的には、例えば、スチールコード、ベルトコード、ゴムホース用ワイヤ、ロープ用ワイヤなどの細引き用途に使用されるピアノ線材、硬鋼線材などに用いられる高炭素鋼線材に関し、熱間圧延後の伸線加工性に優れ、伸線加工の際に内部欠陥を発生し難い、高延性の高炭素鋼線材を提供することにより、中間パテンティング処理を省略することが可能な、高延性の高炭素鋼線材を提供することを目的としている。
本発明は、以下を要旨とする。
(1)炭素を0.80質量%以上含む鋼を加工する際に、
真ひずみ3.6以上で加工を行い、その後、
当該鋼に対しテスラ以上の強磁場をかけた状態で保持する
ことを特徴とする鋼材の材質制御方法。
本発明により、従来では不可能であった鋼の加工時に発生する時効硬化、加工後に発生する室温時効を抑制することが可能となった。
このことにより、例えば、伸線ワイヤの時効硬化を抑制する際のフェライト域圧延で、脱炭を、磁場をかけることで抑制することが可能となり、線材又は鋼線の高延性化が可能となった。
強磁場による拡散係数の変化を示す図である。 磁場強度と拡散係数の関係を示す図である。
本発明者らは、強磁場中におけるフェライト中の炭素の拡散速度に着目して、本発明に至った。本発明者らが測定を行なった強磁場中の炭素の拡散速度を、図1に示す。図1に示すように、6テスラの強磁場をかけることにより、鉄中の炭素の拡散係数は、ほぼ4分の1となっている。
つまり、鋼材に強磁場をかけることにより、鋼中炭素の拡散速度が4分の1程度に低下する。このことを利用すれば、鋼の機械的性質の変化に、炭素の拡散が影響しているものに関しては、磁場をかけることにより、炭素の拡散を遅延させることが可能となる。
そして、この炭素の拡散速度の抑制は、炭素含有量が0.3質量%以上、好ましくは0.8質量%以上の鋼で、効果が顕著である。
また、この磁場による炭素の拡散速度抑制効果は、図2に示すように、磁場の強度に比例して大きくなる。
したがって、磁場により炭素の拡散速度に及ぼす影響が明瞭となる1テスラ以上、好ましくは2テスラ以上の磁場をかける必要がある。本発明では、テスラ以上の磁場としているが、期待する効果に応じて、磁場の強度を調整することが可能である。
鋼の加工を行う場合、加工度が小さいと、鋼材中心部まで圧縮応力が届かず、内部クラックを生じるので、加工減面率を、少なくとも、10%以上とする必要がある。
また、ダイスを用いる伸線加工の場合、ダイスの出側で、最も鋼材の温度が高温となるので、ダイスを使用する加工の場合は、少なくとも、ダイスの出側位置で、強磁場を掛ける必要がある。
なお、この伸線加工を行なった後に行なうスキンパス伸線は、通常、減面率が1%以上10%未満であるが、伸線ワイヤの内部に、カッピー破断を引き起こすクラックを生じない条件であれば、本発明の強磁場を利用することが可能である。
同様に、鋼材の加工後に、室温で起きる時効現象の抑制にも用いることができる。この場合、炭素が0.3%以上、特に、0.%以上の鋼線で室温時効が現れるので、0.%以上炭素を含む鋼線に適用する。
また、室温時効は炭素量ばかりでなく、伸線加工により導入された転位密度にも影響されるので、真ひずみで1.5以上、特に、3.6以上の加工を行った場合に、加工後、テスラ以上の磁場をかけた状態で保持することが効果的である。
なお、このような強磁場による効果は、炭素に代表されるが、その他の侵入型元素である窒素、又は、水素であっても、同様に、強磁場により拡散係数を小さくすることが可能である。
次に、鋼材に強磁場をかけることにより、鋼材表層の脱炭も抑制できることについて、説明する。
磁場をかけることで脱炭を抑制する場合に、フェライト域脱炭の影響が大きくなるのは、0.3%以上、特に、0.8%以上の炭素を含む鋼である。また、フェライト域脱炭は、炭素の拡散が早くなる500℃以上の温度域で影響が大きく、γ中に、フェライトが生成するAe3変態点以下の温度域で、脱炭が大きくなる。このため、500℃以上、Ae3変態点以下の温度範囲で磁場をかけるものとする。
磁場の強度は、圧延中の雰囲気に影響されるので、脱炭の大きさや、必要な脱炭の制御範囲によって調整することが可能である。一般的に、1テスラ以上の強度で脱炭抑制の効果が大きくなるので、1テスラ以上、好ましくは2テスラ以上の磁場をかけるものとする。
(実施例1)
実炉で、JIS SWRS82A相当の鋼を溶製し、熱間圧延で5.5mm径の線材とした。得られた線材に、伸線加工と中間熱処理を施して、1.85mm径のワイヤとした。その後、950℃でオーステナイト化を行い、575℃の鉛浴に浸漬する鉛パテンティング処理を行なった。さらに、湿式の連続伸線機を用いて、伸線加工で、1.85mm径の鋼線を0.3mm径のワイヤにした。
本発明法のワイヤの場合、連続伸線機のダイス出側に、強磁場をかける磁場発生装置を配置して、伸線加工を行なった。
表1に、最終ダイスの出側でワイヤにかけた磁場強度、伸線加工後に直ちに行なった引張試験結果、及び、捻回試験におけるデラミネーションの有無を示す。本発明法1から3は、引張強度TSが少し低いが、捻回試験におけるデラミネーションは発生していない。比較法4は、磁場をかけなかった場合で、伸線加工後の捻回試験でデラミネーションが発生している。
Figure 0005488658
また、表1の本発明法3のサンプルを室温中に放置した場合と、強磁場をかけた状態で室温中に置いた場合とのワイヤの機械的性質の変化を、表2に示す。強磁場をかけることで、室温での時効が抑制されていることが判る。
Figure 0005488658
(実施例2)
実炉で、表3に成分組成を示す鋼を溶製した。熱間圧延で9mm径の線材とした。1000℃でオーステナイト化した後、800℃から水冷を行い、7mm径に大気中で加工を行い、その後、直ちに、600℃の鉛浴に浸漬するパテンティング処理を行なった。その際に、6テスラの強磁場をかける本発明法と、磁場をかけない比較法の2つの条件で試験をした。
得られた線材の脱炭深さを、表4に示す。本発明法により、脱炭深さが小さくなっていることが解る。
Figure 0005488658
Figure 0005488658

Claims (1)

  1. 炭素を0.80質量%以上含む鋼を加工する際に、
    真ひずみ3.6以上で加工を行い、その後、
    当該鋼に対しテスラ以上の強磁場をかけた状態で保持する
    ことを特徴とする鋼材の材質制御方法。
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