JP5486629B2 - 脆性棒状部材の割断支援具及び割断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脆性棒状部材の割断支援具及び割断方法に係り、特に、軸線に対して傾斜した端面を有する脆性棒状部材を得るための脆性棒状部材の割断支援具及び割断方法に関する。
従来、脆性棒状部材の一例であるガラス棒を切断するための装置として特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
特開平6−092664号公報 特開平7−300330号公報
特許文献1,2に記載された各装置は、ガラス棒の軸線に直交するきれいな切断面を得ることができるものであるが、軸線に傾斜した切断面を得ることはできない。
端面が軸線に対して傾斜しているガラス棒は、種々の用途で有用であり、このようなガラス棒は低コストで簡単に得られることが望まれている。
しかしながら、傾斜端面を有するガラス棒のような脆性棒状部材を素部材から得ようとする場合、各特許文献に記載されたいずれかの装置を利用し、素部材を切断刃面に対して傾斜保持して切断を行うことが検討される。
しかしながら、各特許文献に記載された装置を利用すると、構造が複雑で大がかりになるので高コストである。また、いずれも動力を必要とするため、切断作業が準備を含めて容易とは言えず、特に、作業現場での切断作業が行い難いという問題点が生じる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、傾斜端面を有する脆性棒状部材を低コストで容易に得るための脆性棒状部材の割断支援具及び割断方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成及び手順を有する。
1) 脆性の棒状部材(G)の周面(Gs)に割断のための溝(M)を形成する脆性棒状部材の割断支援具であって、
前記棒状部材(G)を周方向で三点支持可能なよう配置された一対のテーパーローラ(7a,7b)及び円盤状の切り込み刃(5)を有し、
前記一対のテーパローラ(7a,7b)は、前記三点支持した状態の前記棒状部材(G)の一方端側に向かうに従ってその軸線(CLG)から離れるように傾斜した回転軸(CL7a,CL7b)まわりに回転自在とされ、
前記切り込み刃(5)は、前記軸線(CLG)を含む平面と平行な平面内で前記軸線(CLG)と直交する平面(CLG2)に対して所定角度(β)傾斜した回転軸(CL5)まわりに回転自在とされ、
前記三点支持した状態の前記棒状部材(G)を回転させることで、前記棒状部材(G)が前記軸線(CLG)方向に移動しつつ前記切り込み刃(5)により前記周面(Gs)に前記溝(M)を螺旋状に形成可能なよう構成されていることを特徴とする脆性棒状部材の割断支援具(51)である。
2) 保持部(Hz)によって保持した脆性の棒状部材(G)の表面(Gs)に溝(M)を形成し、前記棒状部材(G)を前記溝(M)に沿って割断する脆性棒状部材の割断方法であって、
前記保持部(Hz)は、前記棒状部材(G)を三点支持する一対のテーパローラ(7a,7b)と切り込み刃(5)とであって、前記一対のテーパローラ(7a,7b)を、前記三点支持した前記棒状部材(G)の一方端側に向かうに従ってその軸線(CLG)から離れるように傾斜した回転軸(CL7a,CL7b)まわりに回転自在とすると共に、前記切り込み刃(5)を、前記軸線(CLG)を含む平面と平行な平面内で前記軸線(CLG)に直交する平面(CLG2)に対して所定角度(β)傾斜した回転軸(CL5)まわりに回転自在としており、
前記棒状部材(G)を、前記一対のテーパローラ(7a,7b)と前記切り込み刃(5)とにより周方向に三点支持する支持ステップと、
前記棒状部材(G)を、所定の回転方向(DR2)に所定の角度範囲(α)だけ回転させて前記切り込み刃(5)によって前記棒状部材(G)の表面(Gs)に前記所定の角度範囲(α)に対応した長さの螺旋状の溝(M1)を形成する溝形成ステップと、
前記棒状部材(G)を、前記溝(M1)を開く方向に曲げて、前記溝(M1)に沿う傾斜破断面(Gs1)で割断する割断ステップと、
を含むことを特徴とする脆性棒状部材の割断方法である。
3) 前記所定の角度範囲(α)を、180°以下とすることを特徴とする2)に記載の脆性棒状部材の割断方法である。
本発明によれば、傾斜端面を有する脆性棒状部材を低コストで容易に得ることができる、という効果が得られる。
本発明の脆性棒状部材の割断支援具の実施例を説明するための外観斜視図である。 本発明の脆性棒状部材の割断支援具の実施例で脆性棒状部材を保持した状態を説明するための斜視図である。 本発明の脆性棒状部材の割断支援具の実施例の要部を説明するための図である。 本発明の脆性棒状部材の割断支援具の実施例で形成可能な溝について説明するための図である。 本発明の割断方法の実施例で形成する溝説明するための図である。 本発明の割断方法の実施例で形成する溝を説明するための斜視図である。 本発明の割断方法の実施例で割断した脆性棒状部材の一方を説明する斜視図である。
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図7を用いて説明する。
図1は、本発明の脆性棒状部材の割断支援具の実施例であるカッタ51を示す外観斜視図である。図2は、カッタ51の使用状態を説明する斜視図である。この実施例では、脆性棒状部材の例としてガラス棒Gを説明する。
図1において、カッタ51は、基部1と、基部1に一体的に取り付けられ作業者が把持するグリップ部2と、基部1からグリップ部2とは反対側に延出した略アーチ状の腕部3と、を有している。
基部1には、刃ホルダ4がグリップ部2とは反対側において矢印DR1方向に移動自在に設けられている。刃ホルダ4の先端側には、円盤状の切り込み刃5が回転軸線CL5まわりに回転自由に取り付けられている。
刃ホルダ4は、送りノブ9を回すことでその回転方向に応じて基部1に対して矢印DR1方向に出入りし、セットスクリュ6によって所望の位置で固定できるようになっている。
腕部3の先端側には、一対のテーパローラ7a,7bを有するガイド部8が設けられている。
テーパローラ7a,7bは、それぞれ回転軸線CL7a,CL7bまわりに回転自在とされている。テーパローラ7a,7bの側面7a1,7b1(テーパ面)は、その軸線に対して角度θaで傾斜している(図3参照)。
テーパローラ7a,7bにおいて側面7a1,7b1を含む部位は、例えばゴム,樹脂,又は金属で形成されている。
ガラス棒Gの割断にカッタ51を利用する。まず、刃ホルダ4を基部1側に縮めた状態で、一対のテーパローラ7a,7bと切り込み刃5との間にガラス棒Gを収め、その後、刃ホルダ4を伸ばしてテーパローラ7a,7bと切り込み刃5とで当接保持させる。
すなわち、ガラス棒Gは、一対のテーパローラ7a,7bと切り込み刃5とからなる保持部Hzにより周方向で三点支持される。
この状態で、テーパローラ7a,7b及び切り込み刃5とガラス棒Gとの当接関係は、図3に示されるようになっている。
図3(a)は、ガラス棒Gと、代表として一方のテーパローラ7aとの当接関係を説明する図である。
テーパローラ7aの軸線CL7aは、ガラス棒Gの軸線CLGを含む平面に含まれガラス棒Gの軸線CLGに対して角度θaで傾斜して設定されている。
換言するならば、一対のテーパローラは、三点支持した状態の棒状部材の一方端側に向かうに従ってその軸線から離れるように角度θaで傾斜した回転軸まわりに回転自在とされている。
これにより、テーパローラ7aの側面7a1は、ガラス棒Gの表面Gsに対し、軸線CLGに平行な線上で概ね線接触するようになっている。これらの当接関係は、テーパローラ7bについても同様である。
図3(b)は、ガラス棒Gと切り込み刃5との当接関係を説明する図である。より詳しくは、両者の接触点Pを通る法線の外方側から見た図である。
切り込み刃5の回転軸線CL5は、ガラス棒Gの軸線CLGと平行な平面に含まれて延在し、かつ軸線CLGに対して角度θbで傾斜している。
図3(c)は、テーパローラ7a,7b及び切り込み刃5のガラス棒Gに対する周方向位置を説明する図であり、ガラス棒Gの軸線CLG方向から見た図である。
切り込み刃5は、テーパローラ7aの中心CTR7aとガラス棒Gの中心CTRGとを通る直線LN1と、テーパローラ7bの中心CTR7bとガラス棒Gの中心CTRGとを通る直線LN2と、の間の、各テーパローラ7a,7bに対して中心CTR7aを挟んだ反対側でガラス棒Gに当接するようになっている。
次に、ガラス棒Gを斜め割断する手順について説明する。カッタ51は、この斜め割断を簡便に行うための道具として使用される。
斜め割断に際しては、切り込み刃5をガラス棒Gに所定の力で押しつけるように(表面Gsに溝Mが形成できるように)刃ホルダ4の位置決めをして固定しておく。
この状態は図2に示されている。以下の説明における前後方向を、図2の矢印で示される方向に規定する。
<割断の手順>
まず、この図2に示される状態において、ガラス棒Gを軸線CLGまわりの一方向に回転させる。ここでは、例えば矢印DR2方向に回転させる。
この回転において、まず一対のテーパローラ7a,7bの接触を考える。すなわち、ガラス棒GのDR2方向の回転に伴い、その表面Gsとテーパローラ7aの側面7a1,7b1との摩擦力によってテーパローラ7a,7bは共に矢印DR3方向に回転する。
すると、テーパローラ7a,7bは、ガラス棒Gの軸線CLGに対して角度θaだけ傾斜した回動軸線CL7a,CL7bまわりに回転するので、例えば一回転した際の接触距離は、前方側よりも後方側の方が長くなる。
そのため、ガラス棒Gは、後方側が図2の手前側に来るように(矢印DR4参照:〔図3(a)も参照〕)その姿勢を回転させようとする。
しかしながら、図3(c)に示されるように、ガラス棒Gは、一対のテーパローラ7a,7b及び切り込み刃5により保持されその矢印DR4方向の姿勢回転が規制される。
その結果、テーパローラ7a,7bの側面7a1,7b1とガラス棒Gの表面Gsとの間で前後方向のすべりが生じ、ガラス棒GはDR2方向に回転しつつ前方に向け移動する(矢印DR5参照)。
一方、切り込み刃5は、その回転軸線CL5がガラス棒Gの軸線CLGに対して角度θbで傾いており、かつ、刃先がガラス棒Gの表面Gsに食い込んでいるので、ガラス棒Gの矢印DR5方向の移動速度は実質的に切り込み刃5により規制されて一定となる。
ここにおいて、テーパローラ7a,7bの傾斜した角度θaに起因して生じる移動の移動速度との差は、上述の側面7a1,7b1と表面Gsとの間のすべりに吸収される。
以上の結果、ガラス棒Gの回転に、伴い切り込み刃5によってガラス棒Gの表面Gsに前後方向に傾いた溝Mが刻まれる。
この溝Mについて図4を参照して詳述する。図4(b)はガラス棒Gの側面図であり、図4(a)はガラス棒Gの周面を展開して平面化した図であり、図4(c)は、溝Mに直交する面で切断した溝Mの断面図である。
ガラス棒Gの直径をDaとすると、図4(a)の展開図において表面Gsの幅はπDaとなる。切り込み刃5による表面Gsへの切り込みは、ガラス棒Gの軸線CLGに直交する面に対し角度βで傾いた姿勢で上述したテーパローラ7a,7bの作用によりガラス棒Gが軸線方向(矢印DR5)にも移動しつつ行われる。
そのため、仮に、切り込み刃5でガラス棒Gの全周にわたり溝Mを形成したとすると、溝Mは、この展開図において軸線CLGに相当する軸線CLG1に直交する平面CLG2に対して角度βで傾いた直線状となる。
この全周にわたる溝Mは、ガラス棒Gの側面視で図4(b)に示されるように略螺旋状を呈するので、ガラス棒Gの一回転で両端は繋がらない。
すなわち、溝Mの形跡は、ガラス棒Gをある傾斜平面で切断してできる端面の周縁部形状とは一致しない。
また一方、一般的にガラス棒は、表面にその表面と直交する方向に切り込まれた溝が設けられ、その溝を中心として溝を開く方向に引っ張りつつ折り曲げられると、概ね表面に対して直交する方向に脆性的に破断する。
そこで、実施例においては、切り込み刃5の刃の断面形状を、溝Mの断面が図4(c)に示されるように、ガラス棒Gの表面Gsに対して直交する方向に切り込まれるものとし(溝Mの最奥位置Mpが直交する線LN3上にある)、切り込み刃5によって周方向の半周(180°)以下の角度αの範囲にのみ溝M(以下、溝M1と称する)を設け、その溝M1を中心としてその溝M1を開く方向に引っ張りつつ折り曲げることで斜め割断を行うようにしている。
これについて、図5を参照して説明する。
図5(b)はガラス棒Gの側面図であり、図5(a)はガラス棒Gの周面を展開して平面化した図であり、図5(c)は、図5(b)における矢視Y図である。
ここではα=120°とし、周方向の角度120°の範囲にのみ溝M1を設けた例を説明する。
図5(a)に示されるように、溝M1を、ガラス棒Gの軸線CLGに相当する軸線CLG1に直交する平面CLG2に対して角度βで傾斜し、その形成範囲は図5(b),(c)に示されるように、軸線CLGに対し直交する平面における周方向の角度α(=120°)に対応した範囲にのみ(長さでのみ)形成する。
すなわち、図2に示される保持状態において、切り込み刃5により切り込みを行いながらガラス棒Gを120°回転させたところで停止し、刃ホルダ4を基部1側に移動させて切り込み刃5とガラス棒Gとの当接を解除する。
図6は、ガラス棒Gに溝M1を形成した状態を示す斜視図である。
周方向の角度αの範囲に溝M1を形成したら、溝M1を中心として軸線CLG方向に引っ張り(矢印DR6)つつ溝M1を開くように折り曲げる(矢印DR7)。
これにより、ガラス棒Gは、図7に示されるように、溝M1を周縁の一部に含む傾斜した破断面Gs1で破断し、ガラス棒Gは割断される。図7では割断した一方側のみ示されている。
以上の手順により、カッタ51を用いることで、ガラス棒Gを斜め割断を容易に行うことができる。
破断面Gs1は、厳密には平面状の傾斜面ではないので、平面状の傾斜面を得る場合には、二次加工を行うとよい。この二次加工も、軸線CLGに直交した破面から面を傾斜させる加工は含まれないので、工数は大幅に低減される。
テーパローラ7a,7bにおけるテーパの角度θa,切り込み刃5の傾斜の角度β,及び溝M1を形成する周方向の角度αは、得るべき破断面Gs1の角度、テーパローラの材質等に応じて適宜設定することができる。
基本的に、切り込み刃5の傾斜の角度βが破断面Gs1の角度に反映される。
テーパローラ7a,7bの角度θaは、その角度θaに基づく軸方向への送りで切り込み刃5にかかる負荷がより少なくなるように、テーパローラ7a,7bの材質等に応じて設定するとよい。
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
脆性棒状部材はガラス棒に限らない。セラミックスや脆性を呈する金属等であってもよい。
カッタ51は、ハンディタイプのものを説明したが、それに限定されない。
一対のテーパローラ7a,7bの間隔を可変として、安定して保持できる被割断部材の太さを拡張できるようにするとよい。
刃ホルダ4は、切り込み刃5の角度βを可変とする構造にするとよりよい。
1 基部
2 グリップ部
3 腕部
4 刃ホルダ
5 切り込み刃
6 セットスクリュ
7a,7b テーパローラ、 7a1,7b1 側面(テーパ面)
8 ガイド部
9 送りノブ
CL5,CL7a,CL7b 回転軸線、 CLG 軸線、CLG2 面
CTR7a,CTR7b,CTRG 中心
DR1〜DR7 方向
Hz 保持部
G ガラス棒(脆性棒状部材)、 Gs 表面
LN1,LN2 直線
M,M1 溝
P 接触点
θa,θb,β,α 角度

Claims (3)

  1. 脆性の棒状部材の周面に割断のための溝を形成する脆性棒状部材の割断支援具であって、
    前記棒状部材を周方向で三点支持可能なよう配置された一対のテーパーローラ及び円盤状の切り込み刃を有し、
    前記一対のテーパローラは、前記三点支持した状態の前記棒状部材の一方端側に向かうに従ってその軸線から離れるように傾斜した回転軸まわりに回転自在とされ、
    前記切り込み刃は、前記軸線を含む平面と平行な平面内で前記軸線と直交する平面に対して所定角度傾斜した回転軸まわりに回転自在とされ、
    前記三点支持した状態の前記棒状部材を回転させることで、前記棒状部材が前記軸線方向に移動しつつ前記切り込み刃により前記周面に前記溝を螺旋状に形成可能なよう構成されていることを特徴とする脆性棒状部材の割断支援具。
  2. 保持部によって保持した脆性の棒状部材の表面に溝を形成し、前記棒状部材を前記溝に沿って割断する脆性棒状部材の割断方法であって、
    前記保持部は、前記棒状部材を三点支持する一対のテーパローラと切り込み刃とであって、前記一対のテーパローラを、前記三点支持した前記棒状部材の一方端側に向かうに従ってその軸線から離れるように傾斜した回転軸まわりに回転自在とすると共に、前記切り込み刃を、前記軸線を含む平面と平行な平面内で前記軸線と直交する平面に対して所定角度傾斜した回転軸まわりに回転自在としており、
    前記棒状部材を、前記一対のテーパローラと前記切り込み刃とにより周方向に三点支持する支持ステップと、
    前記棒状部材を、所定の回転方向に所定の角度範囲で回転させて前記切り込み刃によって前記棒状部材の表面に前記所定の角度範囲に対応した長さの螺旋状の溝を形成する溝形成ステップと、
    前記棒状部材を、前記溝を開く方向に曲げて、前記溝に沿う傾斜破断面で割断する割断ステップと、
    を含むことを特徴とする脆性棒状部材の割断方法。
  3. 前記所定の角度範囲を、180°以下とすることを特徴とする請求項2記載の脆性棒状部材の割断方法。
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