以下に本発明の吸水性樹脂を用いた吸収体および吸収性物品について説明する。なお、吸収性物品としては、紙おむつ、失禁パッド、生理用ナプキンなどが挙げられるが、本発明では、これらのものには限定されない。
本発明の吸水性樹脂を組み込んだ吸収性物品は、水性液体を通過することのできる液体透過性シート(トップシート)と、水性液体を通過することのない液体不透過性シート(バックシート)との間に、水性液体を吸収・保持する吸収体を保持した構造を有している。液体透過性シートは、身体と接触する側に配されており、液体不透過性シートは、身体と接触することのない側に配されている。
液体透過性シートとしては、たとえばポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等からなる不織布、あるいは多孔質の合成樹脂シートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
液体不透過性シートとしては、たとえばポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどからなる合成樹脂フィルム、これら合成樹脂と不織布との複合材料からなるフィルムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
吸収体は、親水性繊維と吸水性樹脂から構成されている。吸収体における吸水性樹脂の割合は、吸収性物品の薄型化を達成すべく、吸収体の全体重量の30重量%以上100重量%未満、好ましくは40重量%以上100重量%未満、さらに好ましくは50重量%以上100重量%未満、最も好ましくは60重量%以上100重量%未満とされる。吸収体の構成としては、たとえば吸水性樹脂と親水性繊維を均一にブレンドしたミキシング構造、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂を保持したサンドイッチ構造、あるいは吸水性樹脂と親水性繊維とをティッシュでくるんだ構造などが挙げられるが、これらのものには限定されない。なお、吸収体においては、補強材として合成繊維を含んでいても良い。
親水性繊維としては、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプなどのセルロース繊維、レーヨン、アセテートなどの人工セルロース繊維などが知られている。また、ポリアミドやポリエステル、ポリオレフィンなどの合成繊維を含有しても良い。親水性繊維は、これらに限定されるものではない。
本発明の吸水性樹脂は、吸水開始から30秒後における人工尿の加圧吸水量が10g/g以下、好ましくは5g/g以下、さらに好ましくは0.1〜5g/gであり、吸水開始から30分後における人工尿の加圧吸水量が20g/g以上、好ましくは30g/g以上、さらに好ましくは30〜70g/gである。本発明の吸水性樹脂では、生理食塩水に対する飽和吸水量が40g/g以上、好ましくは40〜100g/g、より好ましくは40〜90g/g、さらに好ましくは40〜80g/gである。吸水開始から一定時間経過後の加圧吸水量や飽和吸水量が低すぎると、吸収体の吸収量が低くなりすぎるため、本発明の目的を達成し得ないからである。
ここで、本発明でいう人工尿に対する加圧吸水量や生理食塩水に対する飽和吸水量は、後述する方法で測定したものをさしている。また、本発明でいう人工尿は、蒸留水100重量部に対して、NaClを1重量部、CaCl2・2H2Oを0.03重量部、MgCl2・6H2Oを0.06重量部溶解させたものをいい、本発明でいう生理食塩水とは、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液をいう。
吸水性樹脂は、主として紙おむつなどの吸収性物品に使用されるものであり、親水性繊維との複合体において水性液体の拡散を阻害することなく多量の水性液体を吸収する必要がある。また、吸収性物品の使用時には、吸水性樹脂に対していくらかの荷重が作用した状態とされているため、吸収性物品に使用される吸水性樹脂には、ある程度の加圧下において上述した性能が要求される。
これに対して、本発明の吸水性樹脂は、吸水開始30秒後の加圧吸水量が比較的少ないためにゲルブロッキングが生じにくく、吸水開始直後では水性液体の拡散が支配的となり、吸水開始30分後には吸水が支配的となるような性能を有している。従って、吸収体は吸水性樹脂と親水性繊維との複合状態を勘案した評価に基づいて構成されたものであり、拡散性に優れ、逆戻りを抑制した極めて実用的なものとなっている。また、このような特性を有する結果、吸収体を吸収性物品に使用した場合、吸水性樹脂の割合を多くしても十分に水性液体を拡散・吸収することができるため、従来の問題を回避しつつ吸収性物品の薄型化を達成することができる。
本発明の吸水性樹脂は、ゲルブロッキングの発生や使用者が感じる異物感の程度を抑制すべく、その重量平均粒子径を200〜600μmの範囲とするのが好ましく、300〜600μmの範囲とするのがさらに好ましい。吸水性樹脂の重量平均粒子径が200μmより小さいと、小粒子の存在割合が多くなり、粉立ちなどにより粉体の取り扱い性が悪化するばかりか、ゲルブロッキングが生じやすくなって本発明の目的を達成するのが困難となるために好ましくない。一方、吸水性樹脂の重量平均粒子径が600μmより大きいと、吸水性樹脂をおむつなどの吸収性物品に採用したときに使用者が異物感を感じて、吸収性物品を快適に使用することができなくなるために好ましくない。
本発明の吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物などが挙げられる。
このような吸水性樹脂は、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの中和物から選ばれる1種類以上の単量体を重合若しくは共重合させた後、この重合体に対して必要に応じて粉砕・分級などの操作を行って、所望とする重量平均粒子径に調整することにより得られる。単量体としては、安価であり入手が容易なことからアクリル酸およびその中和物が好ましい。
本発明の吸水性樹脂の製造方法として採用できる重合方法は、特に限定されるものではなく、逆相懸濁重合法や水溶液重合法などの一般的に知られた種々の重合法を採用することができる。
本発明の吸水性樹脂の製造の1例としての逆相懸濁重合法を以下に説明する。
逆相懸濁重合法では、分散安定剤の存在下で、有機溶媒中に単量体水溶液を分散させた状態で、たとえば重合開始剤を用いることにより重合が行われる。
有機溶媒としては、炭化水素溶媒が用いられる。ここで用いられる炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒または脂環族炭化水素溶媒である。脂肪族炭化水素溶媒としては、たとえばn−ヘキサン、n−ヘプタンなどが挙げられる。脂環族炭化水素溶媒としては、たとえばシクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの炭化水素溶媒のうち好ましいものは、工業的に品質が一定しておりかつ入手が容易で安価なn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンである。なお、炭化水素溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体水溶液としては、不飽和カルボン酸水溶液が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、β−ヒドロキシアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸およびこれらの塩が挙げられる。単量体水溶液中の単量体の濃度は、たとえば10重量%〜飽和重量%とされ、さらに好ましくは25重量%〜飽和重量%とされる。
不飽和カルボン酸塩を構成する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられるが、特に好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が使用される。
不飽和カルボン酸水溶液は、不飽和カルボン酸単量体以外の共重合成分を含んでいてもよい。共重合成分としては、たとえば(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのノニオン性親水性基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有不飽和単量体やそれらの4級化物などを挙げることができるが、共重合成分については特に限定されない。また、これらの不飽和カルボン酸水溶液に、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体、水溶性ポリアクリル酸(塩)およびそれらの架橋体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子などを添加してもよい。
分散安定剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。このような分散安定剤は、2種以上が混合して用いられてもよい。
分散安定剤とともに高分子分散助剤を用いてもよい。これらは、重合前に分散安定剤と併用して用いても、重合後に添加して用いてもよい。高分子分散助剤としては、たとえばエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酸化変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)などが用いられる。
なお、分散安定剤および/または高分子分散助剤の使用量は、通常、不飽和カルボン酸水溶液の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%である。使用量が0.1重量%未満の場合は、分散が不十分となる。逆に、5重量%を超えても、それに見合う効果が得られない。
重合開始剤としては、一般に使用される水溶性ラジカル重合開始剤である過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどが適し、これらと亜硫酸塩などを併用したレドックス系重合開始剤として用いることも可能である。これら重合開始剤の使用量は、 単量体に対して0.001モル%〜2モル%の範囲内が好ましく、0.01モル%〜0.5モル%の範囲内がより好ましい。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類によっても異なるが、通常、20〜110℃、好ましくは40〜80℃とされる。重合温度が20℃より低いと、重合速度が低下して重合時間が長くなるために経済的でない一方、重合温度が110℃より高い場合には重合熱を除去するのが困難となって円滑な重合反応を行うのが困難となる。
本発明の吸水性樹脂は、複数の重合性不飽和基や、複数の反応性基を有する架橋剤と反応または共重合させることにより、その内部が架橋されていることが好ましい。また、吸水性樹脂は、架橋剤を必要としない自己架橋型であってもよい。
架橋剤としては、たとえば重合性架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリンなどのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリルエステル類;前記ポリオール類とマレイン酸、フマール酸などの不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミンエステル類;アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N′,N″−トリアリルイソシアネレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
これらの中でエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、N,N′,N″−トリアリルイソシアヌレート、N,N′−メチレンビスアクリルアミドなどが通常使用される。
一方、不飽和カルボン酸またはその重合体中のカルボキシル基との反応を利用した架橋剤としては、たとえばジグリシジルエーテル化合物、イソシアネート化合物、ハロエポキシ化合物などであり、これらの中では特にジグリシジルエーテル化合物が適している。
ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルなどがあり、中でもポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが最も好適な結果を与える。ハロエポキシ化合物としてはエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α―メチルエピクロルヒドリンなどが挙げられる。イソシアネート化合物としては、2,4―トリレンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。例示した化合物のうち、複数の重合性不飽和基を有する化合物を架橋剤として用いることがより好ましい。
吸水性樹脂の内部を架橋する架橋剤の使用量は、吸水性樹脂を製造する際の単量体の合計に対して、0.001〜3重量%、好ましくは0.003〜2重量%、さらに好ましくは0.005〜1重量%である。架橋剤の使用量が0.001重量%より少なくなると吸水性樹脂の吸水時のゲル強度が低下し目的を達し得ない一方、3重量%を越えるようになると吸水量が極度に低下するので好ましくない。
本発明の吸水性樹脂には、疎水処理を施し、あるいは疎水処理に加えて、表面架橋を施しておくのが好ましい。
ここで、疎水処理を施した場合には、吸水性樹脂が初期吸水時においては膨潤しにくく、ゲルブロッキングが生じにくくなるために水性液体の拡散性が向上する。一方、表面架橋とは、吸水性樹脂の粒子の表層を架橋し、内層に比べて表層の架橋度を大きくすることをいう。このため、表面架橋が施された粒子は、表面架橋を施していないものに比べて表層部の強度が強くなるため、粒子内に液体を取り込んだ場合においても変形しにくく、ゲルブロッキングが生じにくくなって吸水時の拡散性を良好なものとでき、吸収体を有効に利用でき逆戻り量を小さくできる。したがって、疎水処理や表面架橋を施せば、吸水開始初期の段階では、液体の拡散を支配的にできるとともに、吸水開始から一定時間(たとえば30分)経過後における加圧吸水量や飽和吸水量を大きく確保できるようになる。
疎水処理は、たとえば疎水性材料を各種溶剤に溶解した溶液、あるいは加熱により溶融させて、吸水性樹脂に噴霧・乾燥してコーティングすることにより、あるいは吸水性樹脂の製造の際に、疎水性材料の存在下で重合してコーティングすることにより行うことができる。本発明においては、疎水処理の方法は、これらに限定されるものではない。
上記疎水性材料の添加量は、種類により異なるが、吸水性樹脂100重量部に対し、0.001〜10重量部の範囲が好ましい。使用量が0.001重量部未満の場合は、効果が不充分となり、逆に10重量部を超えると、それに見合う経済的な効果が見られない。
疎水性材料としては、実質的に水に不溶な材料、例えば、n−ドデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン等の高級脂肪族炭化水素、ドデカン−1−オール、ヘキサデカン−1−オール等の高級脂肪族アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル類等の高級脂肪族化合物;ラウリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酸化変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)等のポリオレフィン類;ナイロン等のポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、エチルセルロース、ベンジルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類誘導体;疎水性シリカ等の疎水化された無機粉末等が挙げられる。これらのものは、単独で用いても良く、2種類以上を併用して用いることもできる。なかでも、脂肪酸エステル類が好ましく、とりわけHLBが5以下、好ましくはHLBが4以下、さらに好ましくはHLBが3以下の脂肪酸エステル類が好ましい。
表面架橋剤としては、吸水性樹脂中のカルボキシル基と反応し得るものが用いられる。たとえば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロゲン化エポキシ化合物;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、(ポリ)グリセリン、ジオール類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、シクロヘキサンジオール類、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;アルミニウム、マグネシウム、チタン等の水酸化物及び塩化物等の多価金属化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記の表面架橋剤のうち、エポキシ化合物、多価アルコール化合物がより好ましく用いられる。これら表面架橋剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
表面架橋剤の使用量は、上記単量体の合計量に対して、0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜4重量%、さらに好ましくは0.03〜3重量%である。架橋剤の使用量が0.01重量%より少なくなると吸水性樹脂の吸水時のゲル強度が低下し目的を達し得ないおそれがある。一方、5重量%より多いと吸水量が極度に低下するおそれがあり好ましくない。
表面架橋剤の添加時期については、単量体の重合終了後であれば特に限定されないが、水の存在下で添加することが好ましい。水の量については、吸水性樹脂固形分100重量部に対して、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であることが望ましい。
表面架橋剤の添加方法は、例えば重合終了直後の含水ポリマーから一定量の水分を留去した後に添加する方法、あるいは粉体の吸水性樹脂に少量の水に分散させた表面架橋剤を噴霧するなどして均一に添加する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例、比較例とともに説明するとともに、各実施例および比較例での測定項目についてその測定方法を説明する。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが13.1のヘキサグリセリルモノベヘニレート1.38gを添加して分散させ、50℃まで昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを用意し、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、ヒドロキシエチルセルロース0.46gを添加し、2時間攪拌溶解した。その後、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを単量体水溶液とした。
次に、上記単量体水溶液を、上記五つ口円筒型丸底フラスコに、撹拌下で全量加えて分散させ、系内を窒素で充分置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。重合終了後、含水状ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共沸させて留去した。脱水した含水状ゲル状物に4.6gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル92.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、50mlのn−ヘプタンに分散した粉末状のエチルセルロースを0.92g添加し、さらに1時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(A)を得た。
エチルセルロースに代えて粉末状の無水マレイン酸変成ポリエチレン0.92gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂(B)を得た。
エチルセルロースに代えてHLBが1.8のソルビタントリオレート0.92gを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、吸水性樹脂(C)を得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが13.1のヘキサグリセリルモノペヘニレート1.38gを添加して分散させ、50℃に昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを2つ用意し、まず、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを1段目重合用の単量体水溶液(a)とした。次いで、別の500ml容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液119.1gを加え、上記のごとく冷却しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液132.2gを滴下して、75モル%の中和を行い、さらに水27.4g過硫酸カリウム0.14gを添加し、これを2段目重合用の単量体水溶液(b)とした。
次に、上記五つ口円筒型丸底フラスコに、攪拌下で1段目重合用の単量体水溶液(a)を全量加えて分散させ、系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。その後、重合スラリー液を40℃に冷却し、2段目重合用の単量体水溶液(b)を添加した。全量添加後、再び系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し2段目の重合反応を1時間行った。2段目の重合終了後、含水ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水ゲル状物に10.5gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル211.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、50mlのn−ヘプタンに分散した粉末状の無水マレイン酸変成ポリエチレンを2.1g添加し、さらに1時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(D)を得た。
無水マレイン酸変成ポリエチレンに代えて粉末状の疎水性シリカ1.0gを用いた以外は、実施例4と同様の操作を行い、吸水性樹脂(E)を得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが3.0のショ糖脂肪酸エステル0.92gを添加して分散させ、55℃まで昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを用意し、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。これに、ヒドロキシエチルセルロース0.46gを添加し、2時間攪拌溶解した。その後、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを単量体水溶液とした。
次に、上記単量体水溶液を、五つ口円筒型丸底フラスコに、撹拌下で全量加えて分散させ、系内を窒素で充分置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。重合終了後、含水状ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水状ゲル状物に4.6gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル92.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(F)を得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが3.0のショ糖脂肪酸エステル0.92gを添加して分散させ、55℃に昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを2つ用意し、まず、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを1段目重合用の単量体水溶液(a)とした。次いで、別の500ml容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液119.1gを加え、上記のごとく冷却しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液132.2gを滴下して、75モル%の中和を行い、さらに水27.4g過硫酸カリウム0.14gを添加し、これを2段目重合用の単量体水溶液(b)とした。
次に、五つ口円筒型丸底フラスコに、攪拌下で1段目重合用の単量体水溶液(a)を全量加えて分散させ、系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。その後、重合スラリー液を40℃に冷却し、2段目重合用の単量体水溶液(b)を添加した。全量添加後、再び系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し2段目の重合反応を1時間行った。2段目の重合終了後、含水ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水ゲル状物に10.5gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル211.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(G)を得た。
2段目の重合終了後の操作として、脱水した含水ゲル状物に10.5gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル211.0mgを添加して80℃で2時間保持した後さらに、50mlのn−ヘプタンを分散した粉末状のエチルセルロースを0.92g添加して1時間保持してから、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥した以外は、実施例7と同様な操作を行い、吸水性樹脂(H)を得た。
比較例1
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが13.1のヘキサグリセリルモノペヘニレート1.38gを添加して分散させ、50℃に昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを2つ用意し、まず、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを1段目重合用の単量体水溶液(a)とした。次いで、別の500ml容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液119.1gを加え、上記のごとく冷却しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液132.2gを滴下して75モル%の中和を行い、さらに水27.4g過硫酸カリウム0.14gを添加し、これを2段目重合用の単量体水溶液(b)とした。
次に、五つ口円筒型丸底フラスコに、攪拌下で1段目重合用の単量体水溶液(a)を全量加えて分散させ、系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。その後、重合スラリー液を冷却し、予め冷却した2段目重合用の単量体水溶液(b)を添加した。全量添加後、再び系内を窒素で十分に置換した後、浴温を70℃に保持して2段目の重合反応を1時間行った。2段目の重合終了後、含水ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水ゲル状物に10.5gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル211.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(I)を得た。
比較例2
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1000ml容の五つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタンを500ml加えた。これに、HLBが8.7のソルビタンモノラウレート1.84gを添加して分散させ、50℃まで昇温して溶解した後、30℃まで冷却した。
一方、500ml容の三角フラスコを用意し、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを単量体水溶液とした。
次に、上記単量体水溶液を、五つ口円筒型丸底フラスコに、撹拌下で全量加えて分散させ、系内を窒素で充分置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。重合終了後、含水状ゲル状物から水分をn−ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水状ゲル状物に4.6gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル92.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、余剰の水およびn−ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(J)を得た。
加圧吸水量:
吸水開始から30秒後および30分後の加圧吸水量は、図1に概略構成を示した測定装置Xを用いて行った。
図1に示した測定装置Xは、天秤1と、この天秤1上に置かれたボトル2と、空気吸入管3と、導管4と、ガラスフィルタ5と、このガラスフィルタ5上に置かれた測定部6とからなっている。天秤1はコンピューター7に連結され、秒単位また分単位でその重量変化を記録できるようになっている。ボトル2は、その内部に人工尿8を保持するものであり、その頂部の開口部に空気吸入管3が入れられている一方、胴体部に導管4が取り付けられている。空気吸入管3の下端部は、人工尿8中に没している。ガラスフィルタ5の直径は、25mmである。ガラスフィルタ5としては、相互理化学ガラス研究所のガラスフィルターNo.1(孔径100〜160μm)を用いた。そして、ボトル2およびガラスフィルタ5は、導管4によって互いに連通している。また、ガラスフィルタ5は、空気吸入管3の下端に対して僅かに高い位置に固定されている。測定部6は、円筒60と、この円筒60の底部に貼着されたナイロンメッシュ61と、重り62とを有している。円筒60の内径は、2センチである。ナイロンメッシュ61は 200メッシュ(目の大きさ75μm)に形成されている。そして、ナイロンメッシュ61上に所定量の吸水性樹脂9が均一に撒布されるようになっている。重り62は、吸水性樹脂9上に置かれ、吸水性樹脂9に対して5gの荷重を均一に加えることができるようになっている。
このような構成の測定装置Xでは、まずボトル2に所定量の人工尿8および空気吸入管3を入れて測定の準備を行う。人工尿8としては、蒸留水 5934.6g、NaCl 60g、CaCl2・2H2O 1.8g、MgCl2・6H2O 3.6gからなり、食用青色1号で着色したものを用いた。次いで、円筒60のナイロンメッシュ61上に0.10gの吸水性樹脂9を均一に撒布して、この吸水性樹脂9上に重り62を置いた。測定部6は、その中心部がガラスフィルタ5の中心部に一致するようにしてガラスフィルタ5上に置いた。
一方、電子天秤1に連結されているコンピューター7を起動し、吸水し始めた時点から継続的に、ボトル2内の人工尿8の減少重量(吸水性樹脂9が吸水した人工尿8の重量)Wa(g)を、天秤1から得られる値に基づいて、分単位好ましくは秒単位にてコンピューター7に記録した。吸水開始から30秒後および30分後における吸水性樹脂9の加圧吸水量は、各時点における重量Wa(g)を吸水性樹脂9の重量(0.10g)で除することにより得た。
飽和吸水量:
吸水性樹脂2.0gを、500ml容のビーカー中で生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)500gに分散し、1時間穏やかに撹拌して十分膨潤させた。一方で、75μm標準篩(JIS−Z8801−1982対応)の重量Wb(g)を測定しておき、膨潤ゲルを含んだ水溶液を75μm標準篩でろ過した。水平に対して成す角を約30度程度となるように傾けた状態で75μm標準篩を30分放置して、吸水性樹脂から余剰の生理食塩水を除いた。膨潤ゲルを含んだ篩重量Wc(g)を測定するとともに、この重量Wc(g)から75μm標準篩の重量Wb(g)を引いたものを、吸水性樹脂の重量(2.0g)で除することにより飽和吸水量を算出した。
重量平均粒子径:
吸水性樹脂100gを量り取りその重量を仕込量Wd(g)とした。JIS−Z8801−1982対応の8つの標準篩(目開き850μm、500μm、355μm、300μm、250μm、180μm、106μm、底容器の順番に積み重ねた)の一番上の篩に吸水性樹脂を入れ、ロータップ式篩振動器を用いて10分間振動させた後に吸水性樹脂を含んだ篩の重量We(g)を測定した。各篩に残った吸水性樹脂の重量割合は、吸水性樹脂を含んだ篩の重量We(g)から篩の重量Wf(g)を引いて当該篩に残った吸水性樹脂の重量Wg(g)を測定した後、この重量Wg(g)を仕込量Wd(g)で除して100を乗ずることにより算出した。そして、各篩上に残った吸水性樹脂の重量を測定し、その結果に基づいて、積算重量が全重量の50重量%になる重量平均粒子径を次式により算出した。
式中、Aは、粒度分布の粗い方から順次重量を積算し、積算重量が50重量%未満であり、かつ50重量%に最も近い点の積算値を求めた場合の当該積算値(g)であり、また、Bは、当該積算値を求めた時の節目開き(μm)である。また、Dは、粒度分布の粗い方から順次重量を積算し、積算重量が50重量%以上であり、かつ50重量%に最も近い点の積算値を求めた場合の当該積算値(g)であり、また、Cは、当該積算値を求めた時の節目開き(μm)である。
逆戻り量および拡散長:
逆戻り量および拡散長は、吸収性物品の状態で測定した。吸収性物品は、吸収体を40cm×12cmの大きさで重さ1gの不織布、同じ大きさで同じ重さのポリエチレンシートで挟み付けることにより作製した。吸収体は、吸水性樹脂および粉砕パルプ(親水性繊維)をミキサーを用いて乾式混合したものを大きさが40cm×12cmで重さが1gのティッシュに吹き付けた後に同じ大きさおよび重さのティッシュを重ねてシート状にし、これの全体に196kPaの加重を加えてプレスすることにより作製した。
吸収性物品の中心付近に人工尿150mlを1分間かけて注ぎ、5分間放置した。その後、10cm×10cmに裁断したろ紙(東洋ろ紙No.2)20枚を重ねて吸収性物品の中心付近に置き、その上から3.5kgのおもり(底面=10cm×10cm)を載せて3分間加重した。ろ紙に吸収された人工尿量を測定し、これを逆戻り量とした。また、吸収性物品に吸収された人工尿について、吸収性物品の長手方向の拡がりを測定し、これを拡散長とした。
実施例1で得られた吸水性樹脂(A)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例1で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例9において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例9と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例2で得られた吸水性樹脂(B)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例2で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例11において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例11と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例3で得られた吸水性樹脂(C)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例3で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例13において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例13と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例4で得られた吸水性樹脂(D)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例4で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例15において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例15と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例5で得られた吸水性樹脂(E)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例5で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例17において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例17と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例6で得られた吸水性樹脂(F)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例6で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例19において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例19と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例7で得られた吸水性樹脂(G)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例7で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例21において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例21と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
実施例8で得られた吸水性樹脂(H)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、実施例8で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
実施例23において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は実施例23と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
比較例3
比較例1で得られた吸水性樹脂(I)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、比較例1で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
比較例4
比較例3において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は比較例3と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
比較例5
比較例2で得られた吸水性樹脂(J)について、上述した方法により30秒後の加圧吸水量、30分後の加圧吸水量、飽和吸水量、および重量平均粒子径を測定した。一方、比較例2で得られた吸水性樹脂8gおよび粉砕パルプ18gを用いて、上述した方法により、重さが26g、吸水性樹脂の割合が30重量%である吸収体を作製した後に、この吸収体から吸収性物品を作製して逆戻り量および拡散長を測定した。これらの測定結果は、表1に示した。
比較例6
比較例5において吸水性樹脂15g、粉砕パルプ10gを用いて重さが25g、吸水性樹脂の割合が60重量%である吸収体を作製した以外は比較例5と同様にして吸収性物品を作製し、逆戻り量および拡散長を測定した。その結果は、表2に示した。
表1および表2から明らかなように、吸水開始から30秒後の加圧吸水量が小さく、吸水開始から30分後の加圧吸水量が大きい吸水性樹脂を用いた吸収性物品は、逆戻り量が小さく、拡散長が大きくなっている。このような傾向は、吸収体中の吸水性樹脂の濃度が30重量%および60重量%の双方の場合ともに現れている。このように、初期吸水量が小さく、最終吸水量の大きな吸水性樹脂(A)〜(H)を用いた吸収性物品は、吸収体中の樹脂の割合が大きくても優れた拡散性を発揮するばかりか、逆戻り量も少なくなっていることが確認された。
評価
以上のように、本発明の吸水性樹脂を用いた吸収性物品は、吸収体中の吸水性樹脂の割合が大きくても優れた拡散性を発揮するばかりか、逆戻り量も少ない。そのため、吸収性物品では、実際の使用状態において漏れを防ぎ、ドライ感を与えることができる優れた性能(吸水特性)を発揮することができる。