JP5484354B2 - Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用 - Google Patents

Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用 Download PDF

Info

Publication number
JP5484354B2
JP5484354B2 JP2010540362A JP2010540362A JP5484354B2 JP 5484354 B2 JP5484354 B2 JP 5484354B2 JP 2010540362 A JP2010540362 A JP 2010540362A JP 2010540362 A JP2010540362 A JP 2010540362A JP 5484354 B2 JP5484354 B2 JP 5484354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hla
antioxidant
positive monocytes
anticoagulant
blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010540362A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010061580A1 (ja
Inventor
裕美子 加塩
正美 櫻井
威 助川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Medical Co Ltd filed Critical Asahi Kasei Medical Co Ltd
Priority to JP2010540362A priority Critical patent/JP5484354B2/ja
Publication of JPWO2010061580A1 publication Critical patent/JPWO2010061580A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5484354B2 publication Critical patent/JP5484354B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/36Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits
    • A61M1/3679Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits by absorption
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M2202/00Special media to be introduced, removed or treated
    • A61M2202/04Liquids
    • A61M2202/0413Blood
    • A61M2202/0439White blood cells; Leucocytes
    • A61M2202/0443Macrophages, e.g. monocytes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Anesthesiology (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、HLA−DR陽性単球の選択除去器及び該選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用に関する。
白血球除去フィルターを用いて選択的に白血球を除去する技術は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、及びクローン病などの自己免疫性疾患、並びに白血病などの治療を目的として、開発され改良されてきた。現在、不織布などをフィルターとして用いた白血球除去器が開発されている。
白血球除去療法の対象となる疾患には、さまざまな免疫細胞による免疫反応が深く関与している。免疫反応に大きな役割を担うT細胞は、その表面に存在する抗原レセプターに抗原が結合することによって活動を開始するが、T細胞の反応には抗原提示細胞の存在が必要である。T細胞は抗原提示細胞上の主要組織適合抗原(MHC抗原)と抗原の組み合わせに反応する。
MHC抗原はヒトの場合HLA抗原と呼ばれ、白血球のうち抗原提示細胞となる分画にはHLA−DR抗原が発現している。活動を開始したT細胞は、他の白血球分画により抗原提示を受け、さらに活性化され、免疫反応が進んでいく。活性化された白血球は腸上皮細胞の傷害や骨破壊を起こし、疾患の発症につながる。
このようにHLA−DR抗原陽性細胞である抗原提示細胞は、免疫反応の最初の段階から、さらに、それに続く反応にも深く関与する重要な免疫細胞であるといえる。
また、白血球除去器の対象疾患である関節リウマチや潰瘍性大腸炎の患者は、健常人に比べてHLA−DR抗原陽性細胞の割合が高いことも知られている(非特許文献1および2を参照)。
白血球を白血球除去フィルターにて選択的に除去する技術として、特許文献1には、多量のクエン酸を血液に添加することにより、造血幹細胞の粘着性を適度に弱めて、造血幹細胞の回収率を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、単球および/または単球由来のマクロファージを選択的に除去するフィルター装置が開示されている。
特開平11−322618号公報 特許第3812909号公報
Mottonen M. et.al., Immunology, 2000, vol.100, p.238-244 Sawada K. et.al., Jpn. J. Apheresis., 1995, vol.14. No.1, p.48-50
抗原提示細胞、T細胞を含むリンパ球以外の白血球分画としては顆粒球がある。顆粒球も活性酸素の産生による細胞傷害性などで疾患の発症に関与する。顆粒球の活性化にも抗原提示細胞である単球や、抗原提示により活性化されたリンパ球の関与は大きい。白血球による免疫反応の開始段階である抗原提示を制御することで、ほとんどの免疫反応を制御することができると考えられる。
従来の白血球除去療法では、免疫細胞のさまざまな分画を除去しているに過ぎない。免疫反応に、より大きく関与する抗原提示細胞を選択的に除去することができれば、白血球除去の治療効果の効率がより向上すると考えられる。特に、白血球除去の治療効果の効率を上げるには、粒子状の大きな抗原を食作用(ファゴサイトーシス)により取り込んで抗原提示するHLA−DR陽性単球の選択的除去が重要であると考えられる。
しかしながら、臨床で使用できるHLA−DR陽性単球の選択除去器は未だ知られておらず、特許文献1および2にも、HLA−DR陽性単球を選択的に除去することができる手段は開示されていない。
上記事情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、臨床で使用可能な、HLA−DR陽性単球の選択除去器を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、抗酸化剤を含む充填液を接触させて放射線滅菌した細胞除去フィルターを備える除去器に、クエン酸またはその塩を含む抗凝固剤の存在下で血液を流すと、HLA−DR陽性単球が選択的に除去されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のHLA−DR陽性単球の選択的除去器を製造するための抗酸化剤の使用、HLA−DR陽性単球の選択的除去器およびHLA−DR陽性単球を選択的に除去する方法を提供する。
(1)
抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去する、HLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用であって、
前記HLA−DR陽性単球の選択除去器は、表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備え、
前記細胞除去フィルターが、抗酸化剤を含む充填液で充填され、かつ、放射線滅菌され、
前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、HLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用。
(2)
前記充填液が、300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む、前記(1)に記載の抗酸化剤の使用。
(3)
前記放射線が、γ線または電子線である、前記(1)または(2)に記載の抗酸化剤の使用。
(4)
抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去するためのHLA−DR陽性単球の選択除去器であって、
表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備え、
前記細胞除去フィルターが、抗酸化剤を含む充填液で充填され、かつ、放射線滅菌され、
前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、HLA−DR陽性単球の選択除去器。
(5)
前記充填液が、300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む、前記(4)に記載の選択除去器。
(6)
前記放射線が、γ線または電子線である、前記(4)または(5)に記載の選択除去器。
(7)
上流側の第1の流路および下流側の第2の流路に接続され、抗酸化剤を含む充填液を充填して放射線滅菌された細胞除去フィルターと、
前記第1の流路に接続され、かつ、抗血液凝固剤を含む血液を前記細胞除去フィルターに供給することができる、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の抗血液凝固剤を含む容器と、
を備えたHLA−DR陽性単球の選択除去器。
(8)
表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備える選択除去器を用いて、抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去する方法であって、
前記細胞除去フィルターを、抗酸化剤を含む充填液で充填する工程、
前記充填液で充填された細胞除去フィルターを放射線滅菌する工程、および
クエン酸またはその塩を含む抗血液凝固剤を含有する血液を前記フィルター装置に通液して濾過する工程を含み、
前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、
HLA−DR陽性単球を選択的に除去する方法。
(9)
前記充填液が、300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む、前記(8)に記載の方法。
(10)
前記放射線が、γ線または電子線である、前記(8)または(9)に記載の方法。
本発明によれば、臨床で安全に使用できる、HLA−DR陽性単球の選択除去器を提供することができる。
本実施の形態の選択除去器の一例の概略図を示す。
以下に本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のHLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用は、抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去する、HLA−DR陽性単球の選択除去器の製造のための抗酸化剤の使用であって、
前記HLA−DR陽性単球の選択除去器は、表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備え、
前記細胞除去フィルターが、抗酸化剤を含む充填液で充填され、かつ、放射線滅菌され、
前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、HLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用である。
本実施の形態におけるHLA−DR陽性単球の選択除去器(以下、単に「選択除去器」と記載する場合がある。)は、従来の白血球除去器と比較してHLA−DR陽性単球の除去率が特に高いものであり、全血、血漿、または赤血球製剤もしくは血小板製剤などの血液由来製剤からHLA−DR陽性単球を選択的に除去するために使用することができる。
選択除去器として用いる容器としては、細胞除去フィルターを備えることができる容器であれば特に限定されるものではない。
選択除去器としては、特に限定されるものではないが、例えば、細胞除去フィルターを積層状に充填した容器や、円筒状に巻いた細胞除去フィルターを充填した容器などが挙げられる。
選択除去器の容器形状は、特に限定されるものではないが、例えば、円柱状、または三角柱状、四角柱状、六角柱状もしくは八角柱状などの角柱状などが挙げられる。
選択除去器の容器形状は、好ましくは円筒状である。好適な円筒状の選択除去器としては、血液の流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最も内側に集まり血液流出口より出ることを特徴とする容器が挙げられる。また、容器の断面積が血液の流れの入口から出口に向かうに従って、小さくなる形状を有する容器なども好適に用いられる。
本実施の形態において、選択除去器には、さらに、血液を処理する際や選択除去器を洗浄する際に液を流入または流出させるために使用するチューブ、回路などを設けることもできる。
選択除去器の容器の材質としては、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
本実施の形態における細胞除去フィルターは、表面を改質していないポリエステル不織布からなる。
ポリエステル不織布を積層状にした積層体や、円筒状にポリエステル不織布を巻くことにより細胞除去フィルターとすることができる。
本実施の形態における「表面を改質していないポリエステル不織布」とは、血液とポリエステルが直接接触するように不織布の表面にポリエステルが配置されていることをいい、ポリエステル不織布の表面に親水化処理などが施されていないことを意味する。
親水化処理には、例えば、ポリマーによるコーティングなどが挙げられる。
本実施の形態におけるポリエステル不織布において、ポリエステル不織布の繊維径が吸着や濾過の能力に寄与するため、有効な平均繊維径を有するポリエステル不織布を用いることが好適である。
ポリエステル不織布の繊維径が、大きすぎる場合には接触効率が低下し、小さすぎる場合には凝集塊などの目詰まり物質の吸着量が増加する観点から、ポリエステル不織布の平均繊維径は、好ましくは0.5μm以上50μm以下の範囲内であり、より好ましくは1μm以上40μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは1.5μm以上35μm以下の範囲内である。
本実施の形態における「平均繊維径」とは、以下の方法に従って求められる値を意味する。
細胞除去フィルターを構成する1枚または複数枚のポリエステル不織布から目視で実質的に均一と認められる部分をサンプリングする。
サンプリングに際しては、ポリエステル不織布のうち、血液を濾過する際に、血液が透過する部分に該当する有効濾過断面積部分を、1辺が0.5cmの正方形によって区分し、その中から6ケ所をランダムサンプリングする。ランダムサンプリングするには、例えば、区分した箇所の全てに番地を指定した後、乱数表を使うなどの方法で、必要な数の区分を選ぶことにより行う。3ケ所以上好ましくは5ケ所以上のサンプリングした各区分について、走査電子顕微鏡を用いて拡大倍率2500倍で写真に撮る。
サンプリングした各区分について中央部分及びその近傍の箇所の写真を撮っていき、写真に撮られた繊維の合計本数が区分ごとに100本を超えるまで写真を撮り、繊維の直径を測定する。
直径とは、繊維軸に対して直角方向の繊維の幅をいう。測定した全ての繊維の直径の和を、繊維の数で割った値を平均繊維径とする。
但し、複数の繊維が重なり合っており、他の繊維の陰になって繊維の幅が測定できない場合、複数の繊維が溶融するなどして、太い繊維になっている場合、著しく直径の異なる繊維が混在している場合等には、これらのデータは考慮せずに、繊維の幅を測定する。
「複数の繊維が重なり合っており、他の繊維の陰になって繊維の幅が測定できない場合」とは、走査電子顕微鏡写真において陰になっている場合を意味し、「複数の繊維が溶融するなどして、太い繊維になっている場合」とは、他の繊維径の平均の1.5倍以上となるものを溶融などしている場合を意味し、「著しく直径の異なる繊維が混在している場合」とは、他の繊維径の平均の2倍以上となる場合を意味する。
ポリエステル不織布の目付けは、目詰まりを抑制し、圧損の上昇を防ぎ、流れをスムーズにする観点から、好ましくは20g/cm以上110g/cm以下であり、60g/cm以上100g/cm以下である。
本実施の形態における「容器への細胞除去フィルターの充填密度」は、容器中に細胞除去フィルターを充填した時の一定体積当たりの重さを意味するが、容器への細胞除去フィルターの充填密度は、好ましくは0.01g/cm以上0.5g/cm以下である。該充填密度は、血液サンプルとの接触効率を上げ、目詰まりを抑制し、圧損の上昇を防ぎ、流れをスムーズにする観点から、より好ましくは0.03g/cm以上0.3g/cm以下である。
本実施の形態における細胞除去フィルターは、抗酸化剤を含む充填液で充填される。
本実施の形態における「抗酸化剤」とは、他の分子などに電子を与え易い性質を持つ原子、分子またはイオンを意味し、抗酸化剤は、細胞除去フィルターが酸素により変化を受けるのを抑制する性質を有する。
抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である。
アスコルビン酸誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、5−メチル−3、4−ジヒドロキシテトロン(MDT)などが挙げられる。
抗酸化剤は1種類で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
抗酸化剤としては、取扱い性、安全性の観点から、好ましくはピロ亜硫酸ナトリウムである。
本実施の形態における「細胞除去フィルターが充填液で充填されている」とは、充填液は細胞除去フィルターに接触するように保持されており、充填液中に細胞除去フィルターが浸された状態を意味する。
本実施の形態における「充填液」とは、選択除去器の製造段階で、選択除去器の内部に充填される液体を意味し、充填液には抗酸化剤が添加されている。
抗酸化剤を含む充填液は、抗酸化剤を水、または生理食塩水などの生理的溶液などの充填液に直接添加して溶解するか、またはあらかじめ少量のアルコールなどの溶剤に抗酸化剤を溶解し、得られた溶液を充填液に添加して作成することができる。
抗酸化剤を含む溶液中の抗酸化剤の濃度は、選択除去器に用いられる抗酸化剤の種類および滅菌の条件によって最適な濃度が決定されるが、好ましくは100ppm以上1000ppm以下であり、より好ましくは300ppm以上1000ppm以下である。
本実施の形態における「放射線滅菌」とは、充填液で充填された細胞除去フィルター中に存在する微生物を殺滅または除去することを意味する。
本実施の形態における「放射線」とは、α線、β線、中性子線、または電子線などの粒子線や、X線またはγ線などの電磁波を含む電離放射線を意味し、放射線は、医療用具の滅菌に常用される観点から、好ましくは電子線またはγ線である。
電子線は荷電粒子線であり、荷電粒子線は照射対象物質の原子の軌道電子または分子に束縛された電子に直接電気的な力を及ぼして電離を起こさせる。
γ線は照射対象物質の原子あるいは原子核との相互作用を介して荷電粒子線を発生させ、二次的に発生した荷電粒子線が電離作用を持つ。
本実施の形態における電子線およびγ線による微生物の滅菌効果は、電離作用により生じたフリーラジカルが微生物のDNA鎖を損傷し、細胞分裂能を阻害することによるものであり基本的な滅菌原理は同一である。
放射線滅菌に用いる放射線の照射線量は、選択除去器に存在する菌の種類、菌の数、また意図する無菌性保証水準などによって異なり、D値を測定したり、バリデーションを実施するなどして個々に決定することができるが、一般に用いられる、10kGy以上100kGy以下であることが好適であり、中でも10kGy以上50kGy以下、特に15kGy以上40kGy以下が好適である。
本実施の形態における「D値」とは、特定の微生物数の90%を死滅させる、または特定の微生物数を10分の1に減少させる滅菌処理単位(時間又は吸収線量など)を意味する。
電子線はγ線と比較して短時間で一定線量の照射が終了するため、時間あたりの照射線量(線量率)が高く一般的にラジカルの生成量が少ないため、照射対象物質の酸化劣化を低減させることができる傾向がある。これは線量率が高いと表面で酸素が消費されて内部へ拡散されないうちに消費され尽くすためである。
電子線滅菌の方がγ線滅菌よりもポリエステルの分解が減少する可能性は考えられるが、ラジカルが生成しないわけではない。
本実施の形態のHLA−DR陽性単球の選択除去器を用いることにより、抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去することができる。HLA−DR陽性単球を選択的に除去することにより、従来の白血球除去の治療効果に比して効率がより向上すると考えられる。
本実施の形態における「HLA−DR陽性細胞」とは、ヒト血液成分である白血球のうち細胞表面にHLA−DR抗原を発現している血球細胞を意味する。
本実施の形態における「HLA−DR陽性単球」とは、単球であるHLA−DR陽性細胞を意味し、「HLA−DR陽性B細胞」とは、B細胞であるHLA−DR陽性細胞を意味する。
本実施の形態における「抗血液凝固剤を含む血液」とは、ヒトより採取した新鮮血液に抗血液凝固剤を混合したものを意味する。
本実施の形態における「HLA−DR陽性単球を選択的に除去することができる」とは、除去された白血球に占める除去されたHLA−DR陽性単球の割合が12%以上であることを意味する。
本実施の形態における抗血液凝固剤とは、クエン酸またはその塩からなる群から選択される少なくとも1種である。
抗血液凝固剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸ナトリウム溶液、ACD−A液、CPD液などが挙げられる。ACD−A(acid−citrate−dextrose)液は、クエン酸ナトリウム、クエン酸、およびブドウ糖からなる溶液であり、CPD(citrate−phosphate−dextrose)液はクエン酸ナトリウム、クエン酸、ブドウ糖、およびリン酸二水素ナトリウム二水和物からなる溶液である。
抗血液凝固剤は1種類で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施の形態のHLA−DR陽性単球の選択除去器は、上流側の第1の流路および下流側の第2の流路に接続され、抗酸化剤を含む充填液を充填して放射線滅菌された細胞除去フィルターと、
前記第1の流路に接続され、かつ、抗血液凝固剤を含む血液を前記細胞除去フィルターに供給することができる、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の抗血液凝固剤を含む容器と、
を備えていることが好適である。
選択除去器10は、例えば図1に記載の構成をなす。第1の流路20は、抗血液凝固剤を含む容器30および細胞除去フィルター40を接続した流路である。第1の流路20は送液ポンプ50に取り付けられ、患者から採血された血液を細胞除去フィルター40に送液することができる。容器30中に貯留された抗血液凝固剤は第1の流路20に供給され、第1の流路20を流れる血液と混合される。そして、この抗血液凝固剤を含む血液が細胞除去フィルター40に導入され、濾過が行われる。第2の流路60は、細胞除去フィルターで濾過された血液を細胞除去フィルター外に導出する流路である。
本実施の形態の抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去する方法は、表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備える選択除去器を用いることにより血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去することのできる方法であり、以下の工程を含む:
前記細胞除去フィルターを、抗酸化剤を含む充填液で充填する工程、
前記充填液で充填された細胞除去フィルターを放射線滅菌する工程、および
クエン酸またはその塩を含む抗血液凝固剤を含有する血液を前記フィルター装置に通液して濾過する工程。
本実施の形態における第一の工程は、選択除去器内に充填液を通液することにより、細胞除去フィルターを充填する工程である。
本実施の形態における第二の工程は、第一の工程により充填液で充填された細胞除去フィルターを充填液の存在下放射線滅菌する工程である。
放射線滅菌の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、HLA−DR陽性単球の選択除去器を包装して照射する方法などが挙げられる。
放射線滅菌装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、JS9500型放射線滅菌装置(AECL社)などが挙げられる。
本実施の形態における第三の工程は、第二の工程により放射線滅菌された細胞除去フィルターに、抗血液凝固剤を含有する血液を通液して濾過する工程である。
血液を細胞除去フィルターで濾過することにより、細胞除去フィルターにHLA−DR陽性単球が捕捉され、HLA−DR陽性単球を選択的に除去することができる。
本実施の形態において、第三の工程において血液を通液する前に、充填液中の抗酸化剤を除くために、細胞除去フィルターをあらかじめ洗浄することが好適である。洗浄に使用する液としては、生理的溶液であれば各種のものを用いることができる。また、血液凝固因子への刺激を抑制するために生理的溶液に抗血液凝固剤を添加した溶液を用いることができ、中でも生理食塩水または生理食塩水に抗血液凝固剤を添加した溶液を好適に用いることができる。
本実施の形態の選択除去器を用いることにより、血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去した血液を製造することができる。
本実施の形態においてHLA−DR陽性単球を選択的に除去した血液を製造する方法は、
細胞除去フィルターを、抗酸化剤を含む充填液で充填する工程、
充填液で充填された細胞除去フィルターを放射線滅菌する工程、および
クエン酸またはその塩を含む抗血液凝固剤を含有する血液をフィルター装置に通液して濾過する工程を含む。
本実施の形態のHLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用は、前記抗酸化剤を含む充填液が300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む充填液であることが好適である。
本実施の形態のHLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用は、前記放射線がγ線または電子線であることが好適である。
本実施の形態において、HLA−DR陽性単球の選択除去器の臨床での使用状況には以下のような状況が考えられるが特に限定されるものではない。
関節リウマチ患者または潰瘍性大腸炎患者を対象として臨床で使用される場合には、血液3LをHLA−DR陽性単球の選択除去器で処理することを週1回ずつ計5回繰り返すことが好適である。
本実施の形態において、血液3Lを処理するとは、以下のことを示す。
まず、採血回路、送液ポンプ、返血回路に接続したHLA−DR陽性単球の選択除去器に、採血回路に接続した生理的溶液1Lを流す。続いて、抗血液凝固剤を添加した生理的溶液500mLをHLA−DR陽性単球の選択除去器に流す。
続いて、採血回路を患者の肘静脈などに接続し、返血回路を患者の別の肘静脈などに接続する。採血回路の分岐には抗凝固剤入りの生理的溶液へつながる導管を接続する。
送液ポンプを50mL/minの流速で1時間動かし、抗血液凝固剤を含む生理的溶液を添加した血液3Lを選択除去器に通す。血液3Lを通し終わったら、生理的溶液を採血回路に接続し、生理的溶液を選択除去器に500mL流して患者に血液を返す。
抗血液凝固剤を含む生理的溶液の添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、4%(w/v)クエン酸ナトリウムを含む生理的溶液の1容量に対し、血液が5〜40容量となるようにポンプを動かして血液に生理的溶液を添加する方法などが挙げられる。
採血回路は、肘静脈などに接続できる血液の導入部と、血液の導入部と選択除去器をつなぐ導管からなり、抗血液凝固剤を含む生理的溶液へ続く導管との分岐を有する。抗血液凝固剤を含む生理的溶液へと続く導管には、採血回路とは別に制御できる送液ポンプが接続される。
本実施の形態における「血液の導入部」とは血液を導管まで導く部分のことを意味する。
血液の導入部としては、特に限定されるものではないが、例えば、スパイク針、採血針などが挙げられる。
導管としては、血液および生理的溶液などを送液でき、生体にとって安全に送液できるものであればいかなる導管でも用いることができる。また、導管の材質としては、血液および生理的溶液などの溶液によって有害な物質が溶出しない材質であればいずれの材質でも用いることができる。
導管としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル、シリコン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。導管としては、強度の観点から、好ましくは塩化ビニルが用いられ、塩化ビニルの具体例としては、LC−3000N(旭化成クラレメディカル社)が挙げられる。
送液ポンプとは、送液手段であればよく、例えば、ポンプなどを用いたあらゆる公知の手段を用いることができる。ポンプの構造としては、ローラーポンプ、フィンガーポンプなどが好適に用いられるが、20mL/min〜300mL/minの流速範囲で精度よく送液できるポンプが好ましい。ポンプの具体例としては、プラソートLC(旭化成クラレメディカル社)が挙げられる。
本実施の形態における「生理的溶液」とは、体液とほぼ等張な溶液であって、生きている細胞や組織ができるだけ正常な生理的機能を営むことができるように調製された溶液を意味する。
生理的溶液として、特に限定されるものではないが、例えば、生理食塩液(生理食塩水を含む)、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、タイロード液などの生理的塩類溶液;ブドウ糖、デキストラン、ヘパリンなどの糖類含有液;抗凝固剤含有液などが挙げられる。
生理的溶液としては、上記に例示した生理的塩類溶液、糖類含有液、抗凝固剤含有液などを少なくとも一つ以上加えた混合液を希釈した液も好ましく用いられる。
生理的溶液は1種類で用いてもよいし、2種類以上を任意の割合で混合した混合液として用いてもよく、中でも、生理食塩液が用いられる。
本実施の形態において、患者から採取した血液をHLA−DR陽性単球の選択除去器により処理することにより、HLA−DR陽性単球が選択的に除去された血液製剤を得ることができる。
患者から採取した血液としては、特に限定されるものではないが、例えば、全血、血漿、または赤血球製剤もしくは血小板製剤などの血液由来製剤などが挙げられる。
以下に、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布(平均繊維径2.3μm、目付90g/m、厚み0.45mm)を直径6.8mmの円状に切り取り、11枚を重ねて細胞除去フィルターとし、該細胞除去フィルターを直径6.8mmで容器容量1mLのポリエチレン製のカラム(モビコール(登録商標)、モビテック社)に積層した(充填密度 0.14g/cm)。カラム内をピロ亜硫酸ナトリウム水溶液(ピロ亜硫酸ナトリウム:林純薬)で充填し、該カラムを段ボールケースに入れて包装し、25kGyのγ線を照射して滅菌処理した。得られたカラムを選択除去器とした。水溶液中のピロ亜硫酸ナトリウムの濃度は800ppmとした。
健常人ボランティアより血液を採取し、抗血液凝固剤としてクエン酸ナトリウム水和物を4%(w/v)含むクエン酸ナトリウム液(チトラミン(登録商標)、扶桑薬品)が9.1%(v/v)含まれるようにクエン酸ナトリウム液を添加したヒト新鮮血液(クエン酸ナトリウム水和物の最終濃度0.36g/100mL)を濾過前サンプルとした。
滅菌済みの選択除去器を生理食塩水(大塚生食注(登録商標)、大塚製薬)を通液することで洗浄し、濾過前サンプルを0.18mL/分で10分濾過した。その際出口より流出する血液を濾過後サンプルとして、以下の測定に用いた。
白血球除去率については濾過前後の白血球濃度を自動血球数測定装置(Sysmex SF−3000(東亜医用電子製))を用いて測定し次式(1)より算出した。
式(1):
白血球除去率(%)=[1−(濾過後白血球濃度/濾過前白血球濃度)]×100
[比較例1]
充填液として、水(ピロ亜硫酸ナトリウムを含まない)を充填する以外は、実施例1と同様の方法で白血球除去器を得た。
抗血液凝固剤としてメシル酸ナファモスタット10mg/100mLの溶液が12%(v/v)含まれるようにメシル酸ナファモスタット溶液(フサン(登録商標)、鳥居薬品、以下、同じ。)を添加したヒト新鮮血液(メシル酸ナファモスタットの最終濃度1.2mg/100mL)を濾過前サンプルとした。上記白血球除去器を用い、実施例1と同様の方法で濾過前サンプルを濾過した。白血球濃度を測定して、白血球除去率を算出した。
[比較例2]
抗血液凝固剤としてメシル酸ナファモスタット10mg/100mLの溶液が12%(v/v)含まれるようにメシル酸ナファモスタット溶液を添加したヒト新鮮血液(メシル酸ナファモスタットの最終濃度1.2mg/100mL)を濾過前サンプルとした。実施例1の選択除去器を用い、実施例1と同様の方法で濾過前サンプルを濾過した。白血球濃度を測定して、白血球除去率を算出した。
[比較例3]
比較例1と同様に作成した白血球除去器を用いた以外は、実施例1と同様の方法で濾過を行った。白血球濃度を測定して、白血球除去率を算出した。
[実施例2〜4]
実施例1と同様に作成したカラム内を100ppm、300ppmまたは1000ppmのピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で充填した以外は実施例1と同様の方法で白血球除去率を算出した。
[実施例5]
抗血液凝固剤としてACD−A液(0.8%クエン酸、2.2%クエン酸ナトリウム、2.2%ブドウ糖溶液を含む、テルモ社)が12%(v/v)含まれるようにACD−A液を添加したヒト新鮮血液を濾過前サンプルとした。実施例1の選択除去器を用い、実施例1と同様の方法で濾過前サンプルを濾過した。白血球濃度を測定して、白血球除去率を算出した。
実施例1〜5および比較例1〜3の結果を表1に示す。
本実施の形態に用いられるHLA−DR陽性単球の選択的除去の試験方法は以下のとおりである。
[試験例1]
濾過前、濾過後サンプルをそれぞれ蛍光標識された抗HLA−DR抗体(BDバイオサイエンス社)と反応させてフローサイトメトリー(FACS Calibur、BDバイオサイエンス社)で解析した。抗HLA−DR抗体と反応したものをHLA−DR陽性細胞とし、サンプルごとのHLA−DR陽性細胞濃度を算出した。
各実施例および比較例における、除去されたHLA−DR陽性細胞の白血球に占める割合を次式(2)により算出した。
式(2):
除去されたHLA−DR陽性細胞の白血球に占める割合(%)=(濾過前HLA−DR陽性細胞濃度−濾過後HLA−DR陽性細胞濃度)/(濾過前白血球濃度−濾過後白血球濃度)×100
除去されたHLA−DR陽性細胞の白血球に占める割合は、実施例1〜5でそれぞれ20.8%、17.2%、19.5%、26.9%、15.7%であった。また、比較例1〜3でそれぞれ7.5%、7.5%、16.0%であった。
算出された割合について、比較例1の値を1.0とした結果を表1に示す。
[試験例2]
試験例1と同様に、サンプルをそれぞれ蛍光標識された抗HLA−DR抗体、抗CD14抗体(BDバイオサイエンス社)と反応させてフローサイトメトリーで解析した。抗HLA−DR抗体および抗CD14抗体と反応したものをHLA−DR陽性単球とし、サンプルごとのHLA−DR陽性単球濃度を算出した。
各実施例および比較例における、除去されたHLA−DR陽性単球の白血球に占める割合を次式(3)により算出した。
式(3):
除去されたHLA−DR陽性単球の白血球に占める割合(%)=(濾過前HLA−DR陽性単球濃度−濾過後HLA−DR陽性単球濃度)/(濾過前白血球濃度−濾過後白血球濃度)×100
除去されたHLA−DR陽性単球の白血球に占める割合は実施例1〜5でそれぞれ18.3%、12.2%、16.5%、28.4%、18.6%であった。また、比較例1〜3でそれぞれ8.7%、8.7%、10.3%であった。
算出された割合について、比較例1の値を1.0とした結果を表2に示す。
[試験例3]
試験例1と同様に、サンプルをそれぞれ蛍光標識された抗HLA−DR抗体、抗CD19抗体(BDバイオサイエンス社)と反応させてフローサイトメトリーで解析した。抗HLA−DR抗体および抗CD19抗体と反応したものをHLA−DR陽性B細胞とし、サンプルごとのHLA−DR陽性B細胞濃度を算出した。
各実施例および比較例における、除去されたHLA−DR陽性B細胞の白血球に占める割合を次式(4)により算出した。
式(4):
除去されたHLA−DR陽性B細胞の白血球に占める割合(%)=(濾過前HLA−DR陽性B細胞濃度−濾過後HLA−DR陽性B細胞濃度)/(濾過前白血球濃度−濾過後白血球濃度)×100
除去されたHLA−DR陽性B細胞の白血球に占める割合は実施例1〜5でそれぞれ24.6%、24.6%、24.6%、24.6%、24.8%であった。また、比較例1〜3でそれぞれ5.6%、5.6%、24.6%であった。
算出された除去された各分画の白血球に占める割合について、比較例1の値を1.0とした結果を表3に示す。
表1〜3の結果から、ピロ亜硫酸ナトリウムを含む充填液の存在下で選択除去器をガンマ線滅菌し、クエン酸および/またはクエン酸ナトリウムを含む抗血液凝固剤の存在下で血液を処理した実施例1〜5では、HLA−DR陽性単球が選択的に除去されることがわかる。
HLA−DR陽性単球の選択的除去には、クエン酸および/またはクエン酸の塩のカルシウムキレート作用による細胞の接着能低下が関与していると推定される。
また、充填液の抗酸化作用により、不織布表面の陰性荷電が減少した結果、HLA−DR陽性単球に対する選択性が増加したと考えられる。
本出願は、2008年11月25日出願の日本特許出願(特願2008−300176号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のHLA−DR陽性単球の選択除去器は、HLA−DR陽性単球を選択的に除去する際に有用に用いることができる。
本発明のHLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用、HLA−DR陽性単球の選択除去器およびHLA−DR陽性単球を選択的に除去する方法は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ(悪性関節リウマチを含む)、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病などの自己免疫性疾患、白血病などの治療に産業上の利用可能性を有する。
10 選択除去器
20 第1の流路
30 抗血液凝固剤を含む容器
40 細胞除去フィルター
50 送液ポンプ
60 第2の流路

Claims (7)

  1. 抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去する、HLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用であって、
    前記HLA−DR陽性単球の選択除去器は、表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備え、
    前記細胞除去フィルターが、抗酸化剤を含む充填液で充填され、かつ、放射線滅菌され、
    前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、HLA−DR陽性単球の選択除去器を製造するための抗酸化剤の使用。
  2. 前記充填液が、300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の抗酸化剤の使用。
  3. 前記放射線が、γ線または電子線である、請求項1または2に記載の抗酸化剤の使用。
  4. 抗血液凝固剤を含む血液からHLA−DR陽性単球を選択的に除去するためのHLA−DR陽性単球の選択除去器であって、
    表面を改質していないポリエステル不織布からなる細胞除去フィルターを備え、
    前記細胞除去フィルターが、抗酸化剤を含む充填液で充填され、かつ、放射線滅菌され、
    前記抗血液凝固剤は、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記抗酸化剤は、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種である、HLA−DR陽性単球の選択除去器。
  5. 前記充填液が、300ppm以上のピロ亜硫酸ナトリウムを含む、請求項4に記載の選択除去器。
  6. 前記放射線が、γ線または電子線である、請求項4または5に記載の選択除去器。
  7. 表面を改質していないポリエステル不織布からなり、上流側の第1の流路および下流側の第2の流路に接続され、抗酸化剤を含む充填液を充填して放射線滅菌された細胞除去フィルターと、
    前記第1の流路に接続され、かつ、抗血液凝固剤を含む血液を前記細胞除去フィルターに供給することができる、クエン酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の抗血液凝固剤を含む容器と、
    を備えたHLA−DR陽性単球の選択除去器。
JP2010540362A 2008-11-25 2009-11-24 Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用 Active JP5484354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010540362A JP5484354B2 (ja) 2008-11-25 2009-11-24 Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008300176 2008-11-25
JP2008300176 2008-11-25
PCT/JP2009/006327 WO2010061580A1 (ja) 2008-11-25 2009-11-24 Hla-dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用
JP2010540362A JP5484354B2 (ja) 2008-11-25 2009-11-24 Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010061580A1 JPWO2010061580A1 (ja) 2012-04-26
JP5484354B2 true JP5484354B2 (ja) 2014-05-07

Family

ID=42225467

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010540362A Active JP5484354B2 (ja) 2008-11-25 2009-11-24 Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP2361644B1 (ja)
JP (1) JP5484354B2 (ja)
CN (1) CN102223907B (ja)
ES (1) ES2460669T3 (ja)
WO (1) WO2010061580A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10591472B2 (en) 2012-08-13 2020-03-17 Minicare B.V. Use of antioxidants in methods and means for detection of target molecules in a blood sample
GB201421013D0 (en) 2014-11-26 2015-01-07 Turzi Antoine New standardizations & medical devices for the preparation of platelet rich plasma (PRP) or bone marrow centrate (BMC)
US20190293521A1 (en) * 2016-11-11 2019-09-26 Biosurgical S.L. Filtration apparatus
CN110108535A (zh) * 2019-06-03 2019-08-09 江西益康医疗器械集团有限公司 一种用于真空采血管的抗凝剂及其制备方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001218834A (ja) * 1999-12-03 2001-08-14 Asahi Medical Co Ltd 白血球選択除去フィルター及びその製造方法
JP2005287621A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Asahi Kasei Medical Co Ltd 損傷上皮の修復装置および方法
JP2005323652A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Asahi Kasei Medical Co Ltd 細胞吸着材の照射滅菌方法および照射滅菌された細胞吸着材
JP2007307280A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Asahi Kasei Medical Co Ltd 特定細胞吸着装置
JP2008508952A (ja) * 2004-08-04 2008-03-27 アスピラ バイオシステムズ, インコーポレイテッド 部分的分子インプリントを用いる体液からの生体分子の捕獲および除去
JP2008125932A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 特定細胞吸着器
JP2008272352A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 中空糸膜型血液浄化器

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3812909B2 (ja) * 1995-09-11 2006-08-23 旭化成メディカル株式会社 単球及び/又は単球由来のマクロファージ選択除去フィルター装置
DE69837152T2 (de) * 1997-08-22 2007-11-22 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. Prozess zur herstellung hydrophilisierten polyolefinen und von materialen zum eliminieren von weissen blutkörperchen
JPH11322618A (ja) 1998-05-13 1999-11-24 Asahi Medical Co Ltd 有核細胞分離回収方法及び有核細胞含有液
CN100349934C (zh) * 2002-06-17 2007-11-21 旭化成医疗株式会社 生物相容性聚合物和使用它的白细胞选择除去过滤材料
KR101413825B1 (ko) * 2002-08-21 2014-07-01 도레이 카부시키가이샤 개질 기재, 분리막 및 분리막 시스템
JP5080866B2 (ja) 2007-05-31 2012-11-21 株式会社ミツバ 電磁継電器

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001218834A (ja) * 1999-12-03 2001-08-14 Asahi Medical Co Ltd 白血球選択除去フィルター及びその製造方法
JP2005287621A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Asahi Kasei Medical Co Ltd 損傷上皮の修復装置および方法
JP2005323652A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Asahi Kasei Medical Co Ltd 細胞吸着材の照射滅菌方法および照射滅菌された細胞吸着材
JP2008508952A (ja) * 2004-08-04 2008-03-27 アスピラ バイオシステムズ, インコーポレイテッド 部分的分子インプリントを用いる体液からの生体分子の捕獲および除去
JP2007307280A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Asahi Kasei Medical Co Ltd 特定細胞吸着装置
JP2008125932A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 特定細胞吸着器
JP2008272352A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 中空糸膜型血液浄化器

Also Published As

Publication number Publication date
EP2361644A1 (en) 2011-08-31
EP2361644A4 (en) 2013-02-27
WO2010061580A1 (ja) 2010-06-03
CN102223907A (zh) 2011-10-19
JPWO2010061580A1 (ja) 2012-04-26
ES2460669T3 (es) 2014-05-14
CN102223907B (zh) 2014-07-02
EP2361644B1 (en) 2014-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5935436A (en) Device for simultaneously removing leukocytes and methylene blue from plasma
US5639376A (en) Process for simultaneously removing leukocytes and methylene blue from plasma
EP2450431B1 (en) Blood component separation system and separation material
JP4587213B2 (ja) 生体適合性ポリマーおよびそれを用いた白血球選択除去フィルター材
CA2777007C (en) An immunoactivation blood perfusion filter for the treatment of malignant tumors
JP4138488B2 (ja) 直接血液灌流が可能な体液処理器
JP5484354B2 (ja) Hla−dr陽性単球の選択除去器及びその製造のための抗酸化剤の使用
JP2009529924A (ja) 血液から白血球を除去するための方法
JP5336109B2 (ja) 単核細胞と血小板の濃縮方法
EP2843035B1 (en) Nucleated-cell capturing filter and nucleated-cell preparation method using same
JPH04187206A (ja) 白血球分離装置及び白血球分離材料の製造方法
JP6621414B2 (ja) 濾過装置
JP3534361B2 (ja) 白血球除去材料
WO2014119529A1 (ja) 赤血球の除去方法
JP2521090B2 (ja) 血球分離装置
JP4833443B2 (ja) 造血幹細胞の採取方法
JP4082893B2 (ja) 耐滅菌性に優れた白血球選択除去フィルター材
JP4135893B2 (ja) 白血球除去フィルターから白血球が除去された血液を回収する方法
KR20130131598A (ko) 수혈 부작용 예방을 위한 백혈구 제거용 이단계 필터
JP2008079890A (ja) 血液成分処理用材料、および血液成分処理装置
Vienken Biomaterials for medical devices: Are current hemo‐or biocompatibility tests adequate?
JPH0724066A (ja) 白血球選択捕捉器及び白血球捕捉装置
JP6154678B2 (ja) 薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法
JPH09623A (ja) 天疱瘡治療用体外循環血液処理装置
JPH09621A (ja) 多発性筋炎治療用体外循環血液処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20120416

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5484354

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350