以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
〔実施の形態 1.〕
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置の内部構成を示す正面図及び側面図である。また、図3は、この加湿装置の要部構成を示すブロック図である。
更に、図4及び図5は、この加湿装置が備える加湿量切換記憶部及びスケール対策記憶部夫々に記憶してあるデータの一例を示す模式図である。
図中1は加湿装置であり、加湿装置1は、図1〜図3に示すように、筐体100、CPU10、ROM11、RAM12、EEPROM13、表示部14、操作部15、湿度センサ16、空気浄化フィルタ17、フィルタ2、回転駆動機構3、水槽4、送風機5、及び回転センサ6を備え、フィルタ2の含水量及び送風機5の送風量を夫々制御して、空気を加湿すべき量(即ち加湿量)を調節するよう構成されている。
CPU10は加湿装置1の制御中枢であり、内部バス、信号線等を介して、ROM11、RAM12、EEPROM13、表示部14、操作部15、湿度センサ16、回転駆動機構3のフィルタモータ制御部30、送風機5のファンモータ制御部50、及び回転センサ6に接続されている。CPU10はRAM12を作業領域として用い、ROM11に記憶された制御プログラム及びデータ、並びにEEPROM13に記憶されたデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。
EEPROM13の記憶領域の一部には加湿量切換記憶部131(図4参照)が設けられており、他部にはスケール対策記憶部132(図5参照)が設けられており、更に他部には回転総数記憶部133が設けられている。
筐体100は、床面に立設される縦型の直方体状であり、背部に吸気口101が、天部に排気口102が、夫々形成されており、更に、吸気口101と排気口102とを結ぶ通風路103を有し、通風路103の中途に、空気浄化フィルタ17と、フィルタ2、回転駆動機構3及び水槽4と、送風機5とが、空気の流れの上流側から下流側へこの順に配されている。
空気浄化フィルタ17は、通気性を有する集塵及び脱臭兼用のフィルタ本体と、フィルタ本体を保持する合成樹脂製の枠体とを用いてなり、吸気口101を全体的に被覆する矩形状であって、空気浄化フィルタ17自身を通過する空気を濾過して空気中の微小な浮遊ゴミ、砂塵等を濾し取り、また、脱臭する。
水槽4は筐体100の底部に設けられており、上部が開口したトレイ状であって、図示しない給水タンクから供給された水を貯留する。この給水タンクは、水槽4にて所定の水位を維持すべく、水槽4に対して自動的に給水するよう構成されている。
フィルタ2は適宜の厚みを有する円盤状であり、吸水性及び通気性を有するハニカム構造のフィルタ本体と、フィルタ本体を保持する合成樹脂製の枠体とを用いてなる。また、フィルタ2は、円柱状の回転軸部20が中心位置に設けられており、フィルタ2の外周部の一部が水槽4にて浸水可能であるよう縦姿勢に配される。従って、回転軸部20は横姿勢に配される。ここで、回転軸部20は、筐体100の底部内面に立設されている図示しない支持部に設けられた軸受けによって回転自在に支持され、この結果、フィルタ2は回転軸部20を中心に周方向へ回転自在に支持される。
空気浄化フィルタ17及びフィルタ2夫々は、枠体に対してフィルタ本体を、使用者が手作業で容易に取り付け、また取り外すことが可能であるよう構成されている。
回転駆動機構3は、フィルタモータ制御部30、電動のフィルタモータ31、回転ローラ32及び連結軸部33を備える。フィルタモータ制御部30は、CPU10に制御されて、回転数[rpm]を示す制御信号をフィルタモータ31に与える。フィルタモータ31はDCモータを用いてなり、フィルタモータ制御部30から与えられた制御信号に従って、自身の回転数を連続的に増減する。
フィルタモータ31の出力軸部と回転ローラ32の回転軸部とは連結軸部33を介して連結されており、フィルタモータ31が作動することによって回転ローラ32が図1中白抜矢符A3方向(図1における左回り)に回転する。
回転ローラ32は、回転ローラ32の周面がフィルタ2の外周面の最頂部に接触するよう配されており、また、回転軸部20と回転ローラ32の回転軸部とは互いに平行に配されている。
このため、フィルタモータ31が作動することによって回転ローラ32が回転すると、回転ローラ32の回転に伴い、フィルタ2が図1中矢符A2方向(図1における右回り)に回転する。
フィルタモータ31の出力軸部に対しては、回転センサ6が設けられており、回転センサ6はフィルタモータ31の出力軸部の回転動作を検出し、検出結果をCPU10に与える。CPU10は、回転センサ6の検出結果に基づいて、フィルタモータ31の出力軸部が回転した回数を計数し、計数結果を回転総数記憶部133に記憶させる。ここで、フィルタモータ31の出力軸部が回転した回数は、フィルタ2が回転した回数に等しいため、回転総数記憶部133にはフィルタ2が回転した回数(以下、回転総数という)が記憶されることになる。
フィルタ2の回転総数は、フィルタ2のフィルタ本体が新しいフィルタ本体(又は清掃済みのフィルタ本体)に取り替えられたときに“0”にリセットされ、このフィルタ本体が次の新しいフィルタ本体(又は清掃済みのフィルタ本体)に取り替えられるまで増加し続ける。
送風機5はシロッコ・ファンを用いてなり、ファンモータ制御部50、電動のファンモータ51、及び羽根52を備える。ファンモータ制御部50は、CPU10に制御されて、回転数[rpm]を示す制御信号をファンモータ51に与える。ファンモータ51はDCモータを用いてなり、ファンモータ制御部50から与えられた制御信号に従って、自身の回転数を連続的に増減する。
ファンモータ51が作動することによって羽根52が回転し、吸気口101から湿度が低い空気が吸入され、空気浄化フィルタ17及びフィルタ2をこの順に通過する。このとき空気は、空気浄化フィルタ17及びフィルタ2夫々に対し、空気浄化フィルタ17及びフィルタ2夫々に直交する方向に送風される。送風された空気は、まず、空気浄化フィルタ17を通過することによって浄化される。次いで、浄化された空気がフィルタ2を通過することによって、フィルタ2が吸収していた水が気化し、気化した水はフィルタ2を通過した空気に含まれる(即ち、水蒸気によって空気が加湿される)。このようにして湿度が高くなった空気は、通風路103を通過して、排気口102から、加湿装置1が設置されている室内へ排出される。
湿度センサ16は、加湿装置1が設置されている室内の湿度を検出し、検出結果をCPU10に与える。本実施の形態においては、CPU10は湿度センサ16の検出結果(即ち室内の湿度)を表示部14に表示させることによって使用者に報知する。
表示部14は、CPU10により制御されて、例えば加湿装置1の作動状態、室内の湿度等を表示し、操作部15は、ハードキーを用いてなる各種ファンクションキーを備える。本実施の形態においては、加湿装置1の使用者が表示部14を見ながら操作部15を操作することによって各種の作動命令を加湿装置1に与え、また、加湿量及び送風量を設定する。なお、例えば湿度センサ16の検出結果に応じて、CPU10が加湿量及び送風量を自動的に設定する構成でもよい。
操作部15に設けられるファンクションキーは、例えば電源キー150、加湿開始キー151、送風開始キー152、停止キー153、加湿量切換キー154、送風量切換キー155、及びリセットキー156であり、使用者は、加湿装置1の電源をオン/オフする場合に電源キー150を操作する。
また、使用者は、加湿装置1に加湿及び空気浄化を両方実行させる場合に加湿開始キー151を操作し、空気浄化のみ実行させる場合に送風開始キー152を操作し、実行中の加湿及び空気浄化を一時停止させる場合に停止キー153を操作する。更に使用者は、加湿量を3段階(加湿量“大”、加湿量“中”、及び加湿量“小”)に切り換える場合に加湿量切換キー154を操作し、送風量を2段階(送風量“大”及び送風量“小”)に切り換える場合に送風量切換キー155を操作し、フィルタ2を取り替えた後で、リセットキー156を操作する。
CPU10は、電源キー150が操作される都度、電源のオン命令/オフ命令を交互に受け付け、オン命令を受け付けた場合は図示しない電源回路から供給される電力を必要最大限の装置各部に配電して加湿及び空気浄化を実行可能とする。一方、オフ命令を受け付けた場合、CPU10は電源回路から供給される電力を必要最小限の装置各部(例えばCPU10自身のみ)に配電して、オン命令を受け付けるまで待機する。
また、加湿開始キー151が操作された場合、CPU10はフィルタモータ制御部30及びファンモータ51夫々を介してフィルタモータ31及びファンモータ51を作動させて加湿及び空気浄化を実行する。一方、送風開始キー152が操作された場合、CPU10はファンモータ51を介してファンモータ51のみを作動させて空気浄化を実行する。
停止キー153が操作された場合、CPU10はフィルタモータ制御部30及びファンモータ51夫々を介してフィルタモータ31及びファンモータ51を一時停止させる。この場合、加湿及び空気浄化は実行されない。
リセットキー156が操作された場合、CPU10は、回転総数記憶部133に記憶されている回転総数の値を“0”にリセットする。
加湿量切換キー154が操作される都度、CPU10は、加湿量“大”、加湿量“中”、及び加湿量“小”の何れか一つを示す加湿量変更命令をこの順に繰り返し受け付ける。また、送風量切換キー155が操作される都度、CPU10は、送風量“大”又は送風量“小”を示す送風量変更命令を交互に受け付ける。更にCPU10は、受け付けた加湿量変更命令が示す加湿量及び受け付けた送風量変更命令が示す送風量をEEPROM13に記憶させる。
更にまた、ROM11にはデフォルトの加湿量及び送風量が記憶されており、EEPROM13に加湿量及び/又は送風量が記憶されていない場合は、ROM11に記憶されているデフォルトの加湿量及び/又は送風量がEEPROM13に記憶される。
EEPROM13に加湿量及び/又は送風量を記憶させることを、以下では、加湿量及び/又は送風量を設定するという。
図4に示すように、加湿量切換記憶部131には、フィルタモータ31の回転数とファンモータ51の回転数との組み合わせが記憶されている。ここでは、空気浄化及び加湿を同時的に行なう場合を説明する。
フィルタモータ31は第1フィルタ回転数Fi1[rpm]及び第2フィルタ回転数Fi2[rpm]の何れか一方の回転数で作動し、Fi1>Fi2(ただしFi1,Fi2は自然数)である。従って、フィルタモータ31が第1フィルタ回転数Fi1で作動している場合は、第2フィルタ回転数Fi2で作動している場合よりもフィルタ2の回転数が増加する。このため、フィルタ2の外周部の浸水していた一部が空中へ移動して乾燥し、再び浸水するまでの速度が速くなり、フィルタ2の含水量が増大する。この結果、加湿量が大きくなる。
一方、ファンモータ51は第1ファン回転数Fa1[rpm]及び第2ファン回転数Fa2[rpm]の何れか一方の回転数で作動し、Fa1>Fa2(ただしFa1,Fa2は自然数)である。従って、ファンモータ51が第1ファン回転数Fa1で作動している場合は、第2ファン回転数Fa2で作動している場合よりも羽根52の回転数が増加して、送風量が大きくなる。この結果、フィルタ2を通過する送風量が大きくなるため、加湿量も大きくなる。
従って、フィルタモータ31が第1フィルタ回転数Fi1(又は第2フィルタ回転数Fi2)で作動し、ファンモータ51が第1ファン回転数Fa1(又は第2ファン回転数Fa2)で作動している場合は、フィルタ2の回転数及び羽根52の回転数が両方増加(又は減少)するため、加湿量“大”(又は加湿量“小”)になる。一方、フィルタモータ31が第1フィルタ回転数Fi1(又は第2フィルタ回転数Fi2)で作動し、ファンモータ51が第2ファン回転数Fa2(又は第1ファン回転数Fa1)で作動している場合は、フィルタ2の回転数及び羽根52の回転数の内、一方が増加し他方が減少するため、加湿量“中”になる。
送風量を一定にして加湿量を増減させたい場合は、ファンモータ51の回転数を第1ファン回転数Fa1(又は第2ファン回転数Fa2)で固定して、フィルタモータ31の回転数を第1フィルタ回転数Fi1又は第2フィルタ回転数Fi2に切り換えればよい。このことによって、加湿量“大”と加湿量“中”(又は加湿量“中”と加湿量“小”)との切り換えが可能となる(図4中の矢符参照)。
一方、加湿量を一定にして送風量を増減させたい場合は、ファンモータ51の回転数の増加(又は減少)に伴って、フィルタモータ31の回転数を減少(又は増加)させればよい(図4中の白抜矢符参照)。
仮に、ファンモータ51の回転数を制御して送風機5の羽根52の回転数を2段階に切り換えるのみの構成であれば、加湿量も2段階にしか切り換えることができず、また、送風量一定で加湿量を変更することができない。しかしながら、フィルタモータ31を制御してフィルタ2の回転数も2段階に切り換えることによって、加湿量を3段階に切り換えることが可能となり、また、送風量一定で加湿量を変更することが可能となる。つまり、加湿装置1は、従来の加湿装置に比べて加湿能力の調節の自由度が高い。
ところで、空気浄化のみ行ない加湿を行なわない場合は、フィルタモータ31の回転数を“0”で一定にすればよい。ただし、このとき、フィルタ2(少なくともフィルタ2のフィルタ本体)が浸水しないようにしておくことが望ましい。また、空気浄化及び加湿を両方行なわない場合も、少なくともフィルタ2のフィルタ本体が浸水しないようにしておくことが望ましい。
なお、本実施の形態においては各モータの回転数を2段階に切り換えることで加湿量を3段階に切り換える構成としているが、これに限らず、加湿量を4段階(例えば加湿量“最大”、“大”、“小”、“最小”)に切り換える構成でもよく、各モータの回転数を3段階以上に切り換えることで加湿量を更に多段階に切り換える構成でもよい。
ここで、フィルタモータ31の第1フィルタ回転数Fi1及び第2フィルタ回転数Fi2夫々の具体的な値は、フィルタ2の回転総数[回]に応じて、スケール対策記憶部132に記憶されている図5に示すようなテーブルに従って変更される。
A,B,C,…をA<B<C<…の自然数とした場合、スケール対策記憶部132には、回転総数がA[回]以下のときは第1フィルタ回転数Fi1がA1[rpm]、第2フィルタ回転数Fi2がA2[rpm](ただしA1,A2はA1>A2の自然数)となるよう予め(例えば工場出荷時に)データが記憶されている。また、スケール対策記憶部132には、回転総数がB[回]以下のときは第1フィルタ回転数Fi1がB1[rpm]、第2フィルタ回転数Fi2がB2[rpm](ただしB1,B2はB1>B2,B1>A1,B2>A2の自然数)となるよう予めデータが記憶されている。つまり、フィルタ2の回転総数が増加するに従って、フィルタモータ31の第1フィルタ回転数Fi1及び第2フィルタ回転数Fi2夫々の値も増加する。
フィルタ2の回転総数の増加は、フィルタ2の使用時間の長さに対応し、フィルタ2の使用時間の長さは、フィルタ2に付着しているスケールの量の増大に対応する。また、フィルタ2に付着しているスケールの量が増大すると、フィルタ2の吸水性が低下するため、フィルタ2の回転数が一定である場合はフィルタ2の含水量が低下するという不都合が生じる。このような不都合を解消するために、スケールの量の増大に応じてフィルタ2の回転数(具体的にはフィルタモータ31の回転数)を増加させることで、フィルタ2の含水量を維持する。
この結果、フィルタ2を長時間使用しても加湿機能が低下することがない。つまり、加湿装置1がフィルタ2の経年劣化に自動的且つ適切に対応するため、使用者がフィルタ2を交換する回数が減少して、使用者の利便性が向上される。
ただし、付着したスケールの量の増大は緩やかであるため、フィルタ2の回転数の増大も緩やかであることが望ましい。
なお、フィルタ2の回転総数が所定値を超過すると、フィルタモータ31の回転数を増加させてもスケールの量の増大によるフィルタ2の含水量低下を相殺できなくなると考えられるため、表示部14を用いて、フィルタ2を交換(又は清掃)するよう使用者に促す(具体的には、例えばフィルタ2の交換時期が来たことを報知するランプを点灯させる。又は、加湿装置1に音声発生部を追加して、所定のメロディ、メッセージ等を出力する)ことが望ましい。
更に、図5に示すようなテーブルに限定されず、フィルタ2の回転総数を用いて第1フィルタ回転数Fi1及び第2フィルタ回転数Fi2夫々の値を求める数式がROM11又はEEPROM13に記憶されていてもよい。
以下では、加湿及び空気浄化を同時的に行なう場合を説明する。このため、使用者は、電源キー150をオンにした後、加湿開始キー151を操作する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置のCPUが実行する加湿量制御処理の手順を示すフローチャートであり、加湿量制御処理は、電源キー150が操作されることによって電源がオンされた場合に実行される。
CPU10は、加湿開始キー151が操作されたか否かを判定し(S11)、操作されてない場合(S11でNO)、S11の処理を繰り返し実行する。
加湿開始キー151が操作された場合(S11でYES)、CPU10は、回転総数記憶部133に記憶されている回転総数を読み出し(S12)、次いで、読み出した値に対応する回転数の組み合わせをスケール対策記憶部132から読み出して、読み出した回転数の組み合わせを第1フィルタ回転数Fi1及び第2フィルタ回転数Fi2の組み合わせとして設定する(S13)。具体的には、S12で読み出した値xがA<x≦Bであるならば、CPU10は回転数の組み合わせB1,B2を読み出し、第1フィルタ回転数Fi1=B1、及び第2フィルタ回転数Fi2=B2として設定する。
S13の処理完了後、CPU10は、設定されている加湿量をEEPROM13から読み出し(S14)、読み出された加湿量に対応する回転数の組み合わせを加湿量切換記憶部131から読み出して、読み出した回転数の組み合わせをフィルタモータ31及びファンモータ51の回転数の組み合わせとして決定する(S15)。具体的には、S14で読み出したデータが加湿量“中”である場合、フィルタモータ31の回転数が第1フィルタ回転数Fi1、ファンモータ51の回転数が第2ファン回転数Fa2として設定する。
なお、Fi1,Fa2の組み合わせではなく、Fi2,Fa1の組み合わせにしてもよいが、この組み合わせの場合、各モータの回転に起因する騒音はFi1,Fa2の組み合わせの場合に比べて大きな変化がないものの、送風量(延いては送風速度)が増大する分、フィルタ2、吸気口101、排気口102、通風路103等における空気の通過に起因する騒音が増大すると考えられる。
S15の処理完了後、CPU10は、S15で決定した回転数に基づいてフィルタモータ制御部30及びファンモータ制御部50夫々を制御することによって、S15で決定した回転数でフィルタモータ31及びファンモータ51夫々を作動させる(S16)。次いでCPU10は、回転センサ6の検出結果に基づくフィルタモータ31の回転総数の計数を開始する(S17)。回転総数の計数は、後述するS24で計数を終了するまで継続して実行される。
更にCPU10は、加湿量切換キー154が操作されて加湿量変更命令を受け付けたか否かを判定し(S18)、加湿量切換キー154が操作されていない場合(S18でNO)、送風量切換キー155が操作されて送風量変更命令を受け付けたか否かを判定する(S19)。
加湿量切換キー154が操作されて加湿量変更命令を受け付けた場合(S18でYES)、又は送風量切換キー155が操作されて送風量変更命令を受け付けた場合(S19でYES)、CPU10は、受け付けた加湿量変更命令が示す加湿量又は受け付けた送風量変更命令が示す送風量を設定して、設定した加湿量又は送風量に対応する回転数の組み合わせを加湿量切換記憶部131から読み出して、読み出した回転数の組み合わせをフィルタモータ31及びファンモータ51の回転数の組み合わせとして決定する(S20)。
S20の処理完了後、CPU10は、S20で設定した回転数に基づいてフィルタモータ制御部30及びファンモータ制御部50夫々を制御することによって、S20で決定した回転数でフィルタモータ31及びファンモータ51夫々を作動させ(S21)、処理をS18へ戻す。
送風量切換キー155も操作されていない場合(S19でNO)、CPU10は、電源キー150が操作されることによって電源がオフされたか否かを判定し(S22)、電源キー150が操作されてない場合(S22でNO)、処理をS18へ戻す。
電源キー150が操作されることによって電源がオフされた場合(S22でYES)、CPU10は、フィルタモータ制御部30及びファンモータ制御部50夫々を制御することによってフィルタモータ31及びファンモータ51夫々を停止させ(S23)、フィルタモータ31の回転総数の計数を終了して(S24)、加湿量制御処理を終了する。
このような加湿量制御処理におけるCPU10は、フィルタモータ制御部30及びファンモータ制御部50夫々を制御することによって、加湿制御手段及び回転制御手段として機能する。また、CPU10は、回転センサ6の検出結果を受けて、計数手段として機能する。
以上のような加湿装置1は、フィルタ2の含水量及び送風機5の送風量を夫々制御するため、加湿量及び送風量夫々が適切に調節され、使用者が所望する空気調和が得られる。仮に、フィルタモータ31又はファンモータ51のみの回転数を増減する場合、回転数が極端に高い(又は低い)値となって無用な共振が生じることがあるが、フィルタモータ31及びファンモータ51の両方の含水量を増減することで、共振が生じる回転数を用いないようにすることが可能となる。
また、加湿量を大きくするときでも、無用な送風量の増大に起因する騒音の増大が抑制され、加湿量を小さくするときでも、無用な送風量の減少に起因する空気浄化能力の低下が防止される。
しかも、フィルタ2の回転数を増加させることで、スケールの付着量の増大に関わらず、フィルタ2の含水量が維持される。
なお、加湿装置1の構成は、本実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、送風機5が送風する空気をフィルタ2の上流側で加熱しておくことでフィルタ2における更なる蒸散を促進してもよく、また、排気口の近傍にイオン発生素子を配して、発生させたプラスイオン及びマイナスイオンを、排出する空気に付加してもよい。
更に、本実施の形態のような各モータを連続的に回転させる構成に限定されず、断続的に回転させる構成でもよい。このような構成においては、各モータをDCモータではなく安価なACモータで構成し、モータを作動させる時間と停止させる時間との割合を変更することによって、モータの平均回転数(即ち、時間の経過に従って変化する回転数の平均値)を変更する。この場合、加湿装置1のコスト・アップを招くことなく、フィルタ2の平均含水量及び送風機5の平均送風量(即ち、時間の経過に従って変化する含水量及び送風量の平均値)を夫々制御して、加湿量を多段階に調節することが可能となる。
ところで、本実施の形態においては、フィルタモータ31及びファンモータ51夫々は、CPU10によって決定された回転数で連続的に回転するため、この回転数と平均回転数とは等しい。
〔実施の形態 2.〕
図7は、本発明の実施の形態2に係る加湿装置の内部構成を示す側面図であり、図8は、この加湿装置が備えるフィルタ、水槽及び給水タンクの構成を示す背面図である。図9は、この加湿装置が備えるフィルタ及び水槽の構成を示す平面図であり、図10は、この加湿装置が備える飛散防止部近傍を示す平面図である。
また、図11は、この加湿装置の仕切り部に形成されている通水孔近傍を示す背面図であり、図12は、飛散防止部を備えていない加湿装置の仕切り部に形成されている通水孔近傍を示す背面図である。
図中1は加湿装置であり、図7〜図11に示す本実施の形態の加湿装置1は、実施の形態1の加湿装置1と同様の構成であるが、合成樹脂製の飛散防止部9が追加されている。その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図7〜図12に示すように、筐体100の左側部には、水槽4に水を供給する給水タンク7が着脱可能に取り付けられている。
筐体100の内部は、合成樹脂製の板状の仕切り部8,81及び筐体100内の図示しない隔壁によって、空気浄化フィルタ17、フィルタ2、回転駆動機構3、合成樹脂製の水槽4、及び送風機5が配されている通風路103側(図8、図11及び図12における仕切り部8,81の右側、並びに図9及び図10における仕切り部8,81の左側)と、水槽4及び給水タンク7が配されているタンク配置側(図8、図11及び図12における仕切り部8,81の左側、並びに図9及び図10における仕切り部8,81の右側)とに仕切られている。このため、仕切り部8,81を回避してタンク配置側と通風路103側との間で空気の流入出が生じることはほとんどない。
水槽4は、水槽4の底面40に一体に突設されている仕切り部8によって、筐体100の中央部から右側部に渡って配されている左右方向に細長い通風路103側の貯水部4aと、筐体100の左側部に配されているタンク配置側の貯水部4bとに仕切られている。
給水タンク7は、開口7aを水槽4の貯水部4bに対向させて倒立状態で筐体100に固定され、水槽4にて所定の水位W1を維持すべく、水槽4の貯水部4bに対して自動的に給水するよう構成されている。ここで、水位W1は、フィルタ2が十分に浸水し、しかも、水槽4の各側面よりも十分に低い位置である。ただし、水槽4の貯水部4aの正面側及び背面側の側面41,42(即ちフィルタ3に平行な2枚の側面41,42)は、フィルタ2を通過する空気を阻害しない適宜の高さを有する。
貯水部4aと貯水部4bとは、仕切り部8の最下部に形成されている通水孔8aによって連通されている。通水孔8aの最下端は貯水部4aの底面40の同一平面上に、通水孔8aの開口上端は水位W1よりも十分に低い位置に、夫々配されており、貯水部4bに供給された水は、貯水部4bから通水孔8aを通って貯水部4aへ供給される。また、水槽4の水位が、通水孔8aの開口上端よりも高い位置にあれば(即ち通水孔8aが完全に水没していれば)、通水孔8aを通ってタンク配置側と通風路103側との間で空気の流入出が生じることはない。
送風機5が作動することによって、吸気口101から空気が吸入され、吸入された空気は、まず、脱臭フィルタ171及び集塵フィルタ172を積層してなる空気浄化フィルタ17を通過することによって浄化され、次いで、フィルタ2を通過することによって加湿される。このようにして浄化及び加湿された空気は、通風路103を通過して、排気口102から、加湿装置1が設置されている室内へ排出される。
このとき、筐体100内部の通風路103側の気圧は、タンク配置側の気圧より低くなる。通風路103側とタンク配置側との気圧差の大/小は、ファンモータ51の回転数の高低に比例する。
仮に、仕切り部8,81が供えられていない場合、タンク配置側から通風路103側へ、空気浄化フィルタ17を通過していない空気が容易に流入するため、空気の浄化効率が悪化する。つまり、仕切り部8,81は、空気の浄化効率を向上させている。
次に、図12に示す加湿装置(即ち飛散防止部9を備えていない加湿装置)について、送風機5の作動中に何らかの事情(例えば給水タンク7からの給水量の不足)によって、水槽4の水位が、通水孔8aの開口上端と同じか僅かに低い水位W2に達した場合に生じる水滴の飛散現象について説明する。
水没していた通水孔8aの一部が空気中に露出したときに、タンク配置側と通風路103側との気圧差によって、タンク配置側から通風路103側へ吹き込む風Bが発生する。この風Bは、通水孔8aの空気中に露出した部分が狭いため、高い風速を有する。この結果、水槽4に貯留されている水が風Bに巻き上げられて、水滴が飛散する。
飛散した水滴の少なくとも一部は、側面41,42を超えて水槽4外部へ移動し、水槽4の外面、筐体100の底面、水槽4と送風機5との間に配されている図示しない保護板等、水槽4外部の物体に付着する。また、飛散した水滴の量が多い場合、筐体100の底面を伝って筐体100の外部へ水が漏出することもある。更に、水槽4外部の物体に付着した水が乾燥することによって、この水に含まれている不純物が水槽4外部の物体に付着する。
水槽4外部の物体に付着した水及び不純物は、加湿装置1の使用者が拭浄しなければならず、使用者の利便性が悪化する。また、筐体100の外部へ漏出した水は、加湿装置1が載置されている床を濡らす。
従って、水槽4外部への水滴の飛散を防止する必要がある。
図8〜図11に示すように、本実施の形態の加湿装置1には、水槽4外部への水滴の飛散を防止すべく、通水孔8aから水槽4の通風路103側の開口までの間に、さらに詳細には、風Bに伴って飛散しようとする水滴の飛散経路(即ち風Bの通風経路)を遮蔽する位置に、飛散防止部9が配されている。
飛散防止部9は撥水性を有する平板状をなし、屋根の庇のように傾斜して仕切り部8の通風路103側に取り付けられている。更に詳細には、飛散防止部9は、前後方向が水槽4の側面41,42の間に亘って配されている平板状をなし、左右方向については、基端側から先端側へ徐々に低くなるように、水槽4の底面40に対して傾斜する方向に配されている。飛散防止部9の基端側は側面41,42の上端部よりも十分に低い位置に配され、飛散防止部9の先端側は通水孔8aの開口上端よりも十分に高い位置に配されている。また、飛散防止部9は、先端側がフィルタ2に可及的接近し、且つ、フィルタ2から適長離隔した状態で、飛散防止部9の先端側から中央部分までが、フィルタ2の下側に配されている。
図11に示すように、水槽4の水位が水位W2に達してタンク配置側から通風路103側へ吹き込む風Bが発生した場合、水槽4に貯留されている水が風Bに巻き上げられて、水滴が飛散する。
しかしながら、飛散した水滴は飛散防止部9の下面に衝突して水槽4へ落下するか、飛散防止部9に付着する。また、飛散防止部9に付着した水滴は、飛散防止部9を伝って水槽4へ落下する。
ここで、飛散防止部9は側面41,42間を塞いでおり、また、飛散防止部9の先端側の上方にはフィルタ2が配されているため、水滴が飛散防止部9を回避することはなく、回避してもフィルタ2に衝突する。従って、水滴が水槽4外部へ飛散することが防止される。
また、フィルタ2から離隔配置されているため、飛散防止部9がフィルタ2の回転を阻害することはない。更に、通水孔8aの開口上端よりも上方に配されているため、飛散防止部9が通水孔8aを介した通水を阻害することはない。ここで、飛散防止部9の先端の高さが通水孔8aの開口上端の高さに等しい場合、飛散防止部9と水位W2の水面との間で強い風が生じて水滴が飛散する可能性があるため、飛散防止部9の先端の高さは通水孔8aの開口上端の高さよりも十分に高いことが望ましい。
なお、飛散防止部9は水槽4の底面40に平行に配されていてもよく、仕切り部8又は側面41,42に一体に形成されていてもよい。また、飛散防止部9は底面40から突出する構成でもよい。更に、飛散防止部9が吸水性を有する素材(例えばスポンジ)で形成されていてもよい。この場合、飛散防止部9に衝突した水滴は飛散防止部9に吸収され、吸水量が多くなると水槽へ滴下するため、水槽4外部へ飛散することが防止される。
本実施の形態の飛散防止部9は、水位W1よりも高い位置に配されているが、飛散防止部9の一部又は全部が水位W1よりも低い位置に配される構成でもよい。
また、飛散防止部9を設けると共に、又は飛散防止部9を設けることなく、スポンジのような通気性及び通水性を有する物体で形成されている飛散防止部が、通水孔8aの通風路103側の開口を閉塞する構成でもよい。この場合、飛散防止部を通過した風Bの速度が低減されるため水滴の飛散が抑制され、また、水面近傍で僅かに水滴が飛散したとしても、飛散した水滴は飛散防止部に吸収されるため、水槽4外部へ水滴が飛散することが防止される。しかも、通水孔8aを介した通水を飛散防止部が阻害することはほとんどない。
以上のような加湿装置1は、側面41,42を超えて水槽4外部へ飛散した水滴が、水槽4外部の物体に付着すること、飛散した水滴が筐体100外部へ流出すること、飛散した水滴に含まれている不純物が水槽4外部の物体に付着すること等を防止することができるため、使用者の利便性を向上させることができ、また、付着物によって加湿装置1の美観を損なうことを防止することができ、加湿装置1が設置されている床を濡らすことを防止することができる。
ところで、水槽4外部へ水滴が飛散する現象は、回転する円盤状のフィルタ2を備える加湿装置に顕著に発生する。何故ならば、フィルタ2の円滑な回転のために、フィルタ2を水槽4内面から十分に離隔させる必要があるからである。特許文献7に開示されている加湿装置のように、回転しない矩形平板状のフィルタを備える加湿装置では、このフィルタで通水孔を塞いで水滴の飛散を防止することができる。
しかしながら、送風量を変えることなく加湿量を大きく(又は小さく)することを加湿装置の使用者が望んでいる場合、加湿量を大きく(又は小さく)するために送風量を大きく(又は小さく)しなければならず、使用者が所望する空気調和が得られないという問題がある。
また、加湿量を大きくするために送風量を大きくすると、フィルタを通過する空気の騒音、送風機のファンモータの騒音等が大きくなるという問題がある。更に、加湿装置が集塵、脱臭等の機能を有する空気浄化フィルタも備えている場合、加湿量を小さくするために送風量を小さくすると、空気浄化フィルタを通過する空気の量が減少するため、空気の浄化効率が低下するという問題がある。
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、空気を加湿すべき量の大小に応じて、フィルタの含水量及び送風機の送風量を夫々制御する構成とすることにより、送風機の送風量の増減のみによらずに加湿量を調節することができる加湿装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、空気を加湿すべき量の大小に応じて、フィルタを回転させるフィルタモータの平均回転数及び送風機の羽根を回転させるファンモータの平均回転数を夫々制御する構成とすることにより、2種類のモータの平均回転数を夫々増減して加湿量を調節することができる加湿装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、フィルタの使用時間に応じて、フィルタの平均回転数を高くする構成とすることにより、スケールが付着して吸水性が低下したフィルタにも十分に吸水させることができる加湿装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、フィルタが回転した回数の増加に応じて、フィルタの平均回転数を高くする構成とすることにより、フィルタの使用時間を容易に求めることができる加湿装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、撥水性又は吸水性を有する素材を用いてなる飛散防止部が、水滴の飛散経路に配されていることにより、水槽の外部への飛散を防止すべく水滴を撥ね返すか吸い取ることができる加湿装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、水槽の両側面間に亘って配されている板状の飛散防止部が、水槽の外部への水滴の飛散を防止する構成とすることにより、水槽の外部への水滴の飛散を簡易な構成で防止することができる加湿装置を提供することにある。
本発明に係る加湿装置は、吸水性及び通気性を有する円盤状のフィルタと、該フィルタを周方向に回転させるための回転駆動機構と、水を貯留する水槽と、前記フィルタに対し、該フィルタに交差する方向に送風する送風機とを備え、前記フィルタは縦姿勢に配されて、該フィルタの外周部の一部が前記水槽にて浸水可能にしてある加湿装置において、空気を加湿すべき量の大小に応じて、前記フィルタの含水量及び前記送風機の送風量を夫々制御する加湿制御手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、吸水性及び通気性を有する円盤状のフィルタと、該フィルタを周方向に回転させるための回転駆動機構と、水を貯留する水槽と、前記フィルタに対し、該フィルタに交差する方向に送風する送風機とを備え、前記フィルタは縦姿勢に配されて、該フィルタの外周部の一部が前記水槽にて浸水可能にしてある加湿装置において、空気を加湿すべき量の大小に応じて前記送風機の送風量を制御する加湿制御手段と、前記水槽に水を供給する給水タンクと、前記水槽の内部を、前記給水タンクが配されているタンク配置側と、前記フィルタ、前記回転駆動機構、及び前記送風機が配されている通風路側とに仕切り、前記タンク配置側から前記通風路側へ水を供給するための通水孔が形成されている仕切り部と、前記通水孔から前記水槽の前記通風路側の開口までの間に前記フィルタから適長離隔して配されており、前記水槽の水位が低下した場合に前記タンク配置側と前記通風路側との気圧差によって発生する前記水槽の外部への水滴の飛散を防止する飛散防止部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記回転駆動機構は、前記フィルタを回転させるフィルタモータを有し、前記送風機は、該送風機の羽根を回転させるファンモータを有し、前記加湿制御手段は、加湿すべき量を大きく(又は小さく)する場合に、前記フィルタモータ及び/又は前記ファンモータの平均回転数を増加(又は減少)させるようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記飛散防止部の一側が前記仕切り部に配され、前記飛散防止部の他側が前記フィルタの下側に配されていることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記フィルタの使用時間に応じて、前記フィルタの平均回転数を高くする回転制御手段を更に備えることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記飛散防止部は、前記仕切り部の側から前記フィルタの側へ前記水槽の底面に接近する方向に傾斜していることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記フィルタが回転した回数を計数する計数手段を更に備え、前記回転制御手段は、前記計数手段が計数した回数の増加に応じて、前記平均回転数を高くするようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記飛散防止部は、前記水槽の前記フィルタに対面する一面及び他面に亘って配されていることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記水槽に水を供給する給水タンクと、前記水槽の内部を、前記給水タンクが配されているタンク配置側と、前記フィルタ、前記回転駆動機構、及び前記送風機が配されている通風路側とに仕切り、前記タンク配置側から前記通風路側へ水を供給するための通水孔が形成されている仕切り部と、前記通水孔から前記水槽の前記通風路側の開口までの間に前記フィルタから適長離隔して配されており、前記水槽の水位が低下した場合に前記タンク配置側と前記通風路側との気圧差によって発生する前記水槽の外部への水滴の飛散を防止する飛散防止部とを更に備えることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記フィルタの使用時間に応じて、前記フィルタの平均回転数を高くする回転制御手段と、前記フィルタが回転した回数を計数する計数手段とを更に備え、前記回転制御手段は、前記計数手段が計数した回数の増加に応じて、前記平均回転数を高くするようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記飛散防止部は、撥水性又は吸水性を有する素材を用いてなり、前記水滴の飛散経路を遮蔽する位置に配されていることを特徴とする。
本発明に係る加湿装置は、前記飛散防止部は板状をなし、前記通水孔の開口上端以上且つ前記水槽の側面の上端部以下の高さであって前記水槽の底面に平行に又は該底面に対して傾斜する方向に、前記フィルタに平行な2枚の前記側面の間に亘って配されていることを特徴とする。
本発明にあっては、フィルタ、回転駆動機構、水槽、送風機、及び加湿制御手段を備え、フィルタは円盤状であって、吸水性及び通気性を有する。
フィルタは縦姿勢に配されて、このフィルタの外周部の一部が、水を貯留する水槽にて浸水可能にしてある。また、回転駆動機構は、縦姿勢に配されたフィルタを周方向に回転させ、送風機はフィルタに対し、このフィルタに交差する方向に送風する。外周部の一部が浸水しているフィルタに対して送風機で送風することによって、フィルタを通過した空気が吸湿し、吸湿した空気が装置外部へ送風される。
加湿制御手段は、空気を加湿すべき量(即ち加湿量)の大小に応じて、フィルタの含水量及び送風機の送風量を夫々制御する。加湿量を非常に大きくする場合、加湿制御手段は、フィルタの含水量及び送風機の送風量の両方を増大させる。一方、加湿量を非常に小さくする場合、加湿制御手段は、フィルタの含水量及び送風機の送風量の両方を減少させる。
また、送風機の送風量を一定に保った状態で、フィルタの含水量を増減させることによって、送風量を変更することなく、加湿量が調節される。つまり、加湿装置の使用者が所望する加湿量と送風量とが両立される。
しかも加湿量を増大させるために送風機の送風量を増大させる必要がないため、送風量の増大に伴う騒音の発生が抑制される。更に加湿量を減少させるために送風機の送風量を減少させる必要がないため、送風量の減少に伴う空気調和機能の低下が防止される。
本発明にあっては、回転駆動機構が、フィルタを回転させるフィルタモータを有し、送風機が、送風機の羽根を回転させるファンモータを有する。
加湿制御手段は、加湿量を大きく(又は小さく)する場合に、フィルタモータ及び/又はファンモータの平均回転数を増加(又は減少)させる。
具体的には、フィルタモータの平均回転数を増加(又は減少)させると、フィルタの含水量が増大(又は減少)し、加湿量が増大(又は減少)する。何故ならば、フィルタモータの平均回転数が増加(又は減少)すると、フィルタの平均回転数が増加(又は減少)するため、フィルタの外周部の浸水していた一部が空中へ移動して、送風されることによって乾燥し、再び浸水するまでの速度が速く(遅く)なるからである。一方、ファンモータの平均回転数を増加(又は減少)させると、送風機の羽根の平均回転数が増加(又は減少)して、送風機の送風量が増大(又は減少)するため、加湿量が増大(又は減少)する。
つまり、2種類のモータの平均回転数を夫々増減して加湿量を調節することができる。
また、加湿量を非常に大きく(又は小さく)する場合、加湿制御手段は、フィルタモータ及びファンモータ両方の平均回転数を増加(又は減少)させる。このため、フィルタモータ及びファンモータの一方を極端に高い(低い)値の平均回転数に設定して非常に大きな(又は小さな)加湿量を得る場合とは異なり、フィルタモータ及びファンモータの両方を適宜の値の平均回転数に設定することで、非常に大きな(又は小さな)加湿量が得られる。
更に、ファンモータの平均回転数を一定に保った状態で、フィルタモータの平均回転数を増減させることによって、送風量を変更することなく、加湿量が調節される。つまり、加湿装置の使用者が所望する加湿量と送風量とが両立される。
本発明にあっては、回転制御手段が、フィルタの使用時間に応じて、フィルタの平均回転数を高くする。ここで、フィルタの使用時間とは、例えばフィルタの使用開始からの単純な経過時間、又はフィルタが浸水していた時間の合計等である。
フィルタの使用時間が長くなるに従って、フィルタに付着するスケールの量は増大し、フィルタに付着するスケールの量が増大するに従って、フィルタの吸水性は低下するが、スケールの付着による吸水性の低下は、フィルタの平均回転数を増加させてフィルタの含水量を増大させることによって相殺される。つまり、スケールが付着して吸水性が低下したフィルタに十分に吸水させることができる。
また、フィルタに付着しているスケールの量を直接的に検出することは困難であるが、フィルタの使用時間を計時することは、例えばフィルタを取り付けた時点からの経過時間を計時するタイマを備えることによって容易に実現されるため、加湿装置を簡易に構成することができる。
本発明にあっては、フィルタが回転した回数を計数手段が計数する。
フィルタの使用時間の長さは、フィルタの使用開始時点から現時点までの間にフィルタが回転した回数の多さに対応すると考えられる。従って、回転制御手段は、計数手段が計数した回数、即ちフィルタが回転した回数の増加に応じて、フィルタの平均回転数を高くする。つまり、スケールが付着して吸水性が低下したフィルタに十分に吸水させることができる。
また、例えばタイマを用いて、フィルタを取り付けた時点からの経過時間を単純に計時する場合とは異なり、フィルタが回転していない時間(即ちフィルタが使用されていない時間)を使用時間に含めないため、より正確な使用時間を得ることができる。なお、加湿を行なわずフィルタを使用しない間は、フィルタ(少なくとも吸水性を有するフィルタ本体)を非浸水状態にしておくことが望ましい。
本発明にあっては、水槽に水を供給する給水タンクと、通水孔が形成されている仕切り部と、飛散防止部とを更に備える。
加湿装置の通風路側にはフィルタ、回転駆動機構及び送風機が配されており、タンク配置側には給水タンクが配されている。
水槽の内部を通風路側とタンク配置側とに仕切る仕切り部は、タンク配置側の空気が水槽を介して通風路側へ移動することを防止するために設けられている。ただし、給水タンクによって水槽のタンク配置側に供給された水を、通風路側に配されているフィルタが吸い上げるために、仕切り部には、タンク配置側から通風路側へ水を供給するための通水孔が形成されている。
加湿装置が使用される場合、送風機の送風によって、装置内部の通風路側の気圧はタンク配置側の気圧より低くなる。通常、通水孔は水面下に位置するため、タンク配置側の空気が通水孔を通って通風路側へ移動することはない。
ところが、何らかの事情で通水孔の開口上端と同じか僅かに低い高さまで水面が低下した場合、タンク配置側の空気が通水孔を通って通風路側へ移動する。
通水孔から水槽の通風路側の開口までの間には飛散防止部が配されている。このため、タンク配置側から通風路側へ吹き出す空気が水槽の水を巻き上げたとしても、巻き上げられた水滴が飛散防止部に当たって水槽に落ちるか、又は飛散防止部に吸収される等して、水槽の外部へ飛散することが防止される。又は、飛散防止部は、タンク配置側から通風路側へ吹き出す空気が水槽の水を巻き上げることを防止する。
本発明にあっては、タンク配置側と通風路側との気圧差によって水槽の外部へ飛散しようとする水滴の飛散経路を遮蔽する位置に、撥水性又は吸水性を有する素材を用いてなる飛散防止部が配されている。このため、タンク配置側から通風路側へ吹き出す空気が水槽の水を巻き上げたとしても、巻き上げられた水滴が、撥水性を有する飛散防止部に当たって水槽に落ちるか、又は吸水性を有する飛散防止部に吸収される等して、水槽の外部へ飛散することが防止される。
本発明にあっては、撥水性又は吸水性を有する板状の飛散防止部を備える。
飛散防止部は、通水孔の開口上端以上且つ水槽側面の上端部以下の高さに配されている。このため、飛散防止部は、通水孔における通水を阻害することがなく、また、タンク配置側から通風路側へ吹き出す空気によって水滴が飛散したとしても、飛散した水滴が水槽側面の上端部を越えて水槽外部へ移動することを確実に防止する。
更に、飛散防止部は、水槽の底面に対して平行又は傾斜する方向に配されているため、飛散した水滴は飛散防止部に付着する(又は吸収される)か、飛散防止部に当接して水槽へ落下する。水滴の水槽への落下を促進するためには、飛散防止部は傾斜している方が好ましい。
更にまた、飛散防止部は、フィルタに平行な2枚の水槽側面の間に亘って配されているため、この水槽側面と飛散防止部との間を抜けて水槽外部へ水滴が飛散することを防止する。
本発明の加湿装置による場合、フィルタの含水量及び送風機の送風量を夫々制御するため、送風機のフィルタに対する送風量の増減のみによらず、加湿量を調節することができる。従って、使用者が所望する空気調和(加湿量及び送風量)を得ることができる。
また、加湿量を大きくするときでも、騒音の増大を抑制することができ、加湿量を小さくするときでも、空気調和機能の低下を防止することができる。
更にまた、本発明の加湿装置による場合、フィルタの平均回転数を増加させることで、スケールの付着によるフィルタの吸水性の低下に関わらず、フィルタに十分に吸水させることができる。
本発明の加湿装置による場合、簡易な構成の飛散防止部が、水槽外部への水滴の飛散を防止する。従って、飛散した水滴が水槽外部の物体に付着することを防止することができるため、付着した水滴を使用者が拭き取る手間暇を省くことができる。更に、水槽外部の物体に付着した水滴が乾いて、水滴に含まれていた不純物が付着することを防止することができる。従って、不純物によって加湿装置内部が汚れ、また、美観を損なうことを防止することができ、付着した不純物を使用者が掃除する手間暇を省くことができる。更にまた、飛散した水滴が装置外部へ漏れ出すことを防止することができる。