JP5483372B2 - 塗布フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、塗布フィルムに関するものであり、詳しくは、優れた金属蒸着外観を有し、かつ蒸着金属との間の接着性が良好な塗布フィルムに関するものである。
金属蒸着フィルムは、蒸着金属を選択することにより、ガスバリアー性、水分不透過性、可視・紫外光の遮蔽性、熱線反射性、導電性、透明導電性、磁気記録性、美麗性などの特性を有するため、各種の用途、例えば、包装材料、装飾用材料、窓ガラスの遮蔽用材料、金・銀糸用材料、コンデンサー材料、表示材料、配線基板材料、磁気記録材料などに利用されている。しかしながら、金属蒸着フィルムは、一般的な基材フィルムとして知られているポリエステルフィルムと蒸着金属との接着性が悪いという欠点がある。
上記の接着性を改良するためには、ポリエステルフィルムと蒸着金属との間に下塗り層を設けるのが有効である。従来、下塗り層としては、各種ポリウレタンや各種ポリエステルを用いてコーティングすることによって設けられたものが知られている(例えば、特許文献1および2)。
しかし、上記方法では、高度な金属蒸着外観および蒸着金属との接着性の2つが求められる用途において依然として対応できていない。
特開2000−238183号公報 特開平5−117841号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、優れた金属蒸着外観を有し、かつ蒸着金属との間の接着性が良好な塗布フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用することによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、共重合成分としてアクリロニトリルを含有する水性アクリル樹脂(A)と、熱反応型水系ウレタン樹脂(B)とを含有する塗布液から形成された、少なくとも1方向に延伸された、厚さが0.002〜1μmである塗布層を有することを特徴とする塗布フィルムに存する。
本発明によれば、優れた金属蒸着外観を有し、かつ蒸着金属との間の接着性が良好な塗布フィルムが提供でき、本発明の工業的価値は高い。
本発明の塗布フィルムの基材フィルムは、ポリエステルからなるものである。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。
これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径(d50)に関しては、通常0.01μm〜3μm、好ましくは0.02μm〜2.5μm、さらに好ましくは0.03μm〜2μmの範囲である。平均粒径が3.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりすることがある。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。
粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルムの厚さは、特に制限を受けるものではないが、3〜500μmの範囲が望ましく、機械強度と可撓性の点で5〜200μmの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の塗布層は、共重合成分としてアクリロニトリルを含有する水性アクリル樹脂(A)と、ブロックイソシアネート化合物(B)とを含有する塗布液から形成される。
本発明のフィルムの塗布層中には、塗布液に含有されている成分が反応しきっていない場合、その成分の未反応物と反応生成物の双方が含まれることとなる。
本発明で使用する塗布液は
、蒸着金属との強固な接着性を発現させる観点から、共重合成分としてアクリロニトリルを含有する水性アクリル樹脂(A)を含有する。(A)の含有量は、塗布液中の不揮発分中での比率で20〜95重量%が好ましく、特に40〜80重量%であることが好ましい。(A)の含有量が上記の比率を外れる場合は、蒸着金属との接着性が低下する場合がある。
本発明で使用する塗布液は、ブロックイソシアネート化合物(B)を含有する。本発明で用いられる熱反応型水系ウレタン樹脂は、(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、を反応させて得られるウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基をブロック化剤によりブロックしたものである。
かかるウレタンプレポリマーの親水化あるいは水溶性化は、ウレタンプレポリマー主鎖中に親水基を導入する方法や親水基を有するブロック化剤でウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基をブロックする方法があるが、ウレタンプレポリマーの製造の観点から親水基を有するブロック化剤でウレタンプレポリマーのイソシアネート基をブロックする方法が好ましい。
なお、このウレタンプレポリマーを合成する段階において、分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を使用することも可能である。
前記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端または分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。
コハク酸、アジピン酸、フタル酸および無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよびトリメチロールプロパン等の多価の飽和および不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
さらに、ポリエステルポリオールとしては、ラクトンおよびヒドロキシ酸から得られるポリエステル類が挙げられる。また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加させたポリエーテルエステル類を使用することができる。
前記(2)のポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネートおよび4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。 前記の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4?ブタンジオール、および1,6?ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類あるいは水が挙げられる。
前記ブロック化剤としては、フェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、クロルフェノール、フェニルフェノール等のフェノール類置換フェノール類、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトオキシム等のオキシム類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、置換イミダゾール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類そして、重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩類が挙げられる。
上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
(B)の含有量は、塗布液中の不揮発分中での比率で5〜80重量%が好ましく、特に10〜50重量%であることが好ましい。(B)の含有量が上記の比率を外れる場合は、共重合成分としてアクリロニトリルを含有する水性アクリル樹脂(A)との相乗作用による蒸着金属との接着性の向上効果が十分に発揮されず、蒸着金属との接着性が低下する場合がある。
本発明では、さらに塗布液中に架橋剤を含有していてもよく、架橋剤を含有する形態は、蒸着金属との接着性をさらに向上させる観点からより好ましい形態である。かかる架橋剤として、例えば、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、メラミン系、カルボジイミド系、アルコキシシラン系、シランカップリング剤、有機金属錯体などの公知の架橋剤を用いることが可能であるが、接着性向上の効果の観点から、メラミン系架橋剤およびエポキシ系架橋剤の内、少なくとも1種を用いることが好ましく、尿素を共縮合したタイプのメラミン系架橋剤を用いることはさらに好ましい。
架橋剤の含有量は、塗布液中の不揮発分中での比率で5〜80重量%が好ましく、特に10〜50重量%であることが好ましい。
本発明の塗布液は少なくとも一種以上の平均粒径0.01〜0.3μmの粒子を含有してもよい。塗布液における粒子には、フィルムの易滑性を有効に改善する効果の観点から、コロイダルシリカを用いることが好ましい。粒子の含有量は、塗布液中の不揮発分中での比率で1〜12重量%が好ましく、特に1〜6重量%であることが好ましい。粒子の含有量が少なすぎる場合は、フィルム表面の易滑効果が十分に得られず、フィルムの生産時にフィルム表面に傷が入ったり、ロールにフィルムが巻けなかったりする可能性がある。また、粒子の含有量が多すぎると、金属蒸着後の金属蒸着層表面の突起が大きくなり、金属蒸着外観の美麗性を損なうことがある。
塗布フィルムのヘーズは、金属蒸着外観の観点から通常10%以下であり、5%以下であることはより好ましく、2%以下であることはさらに好ましい。
本発明においては、前述までの塗布層の構成成分に加え、さらに塗布層の赤外線吸収スペクトルのピーク強度比が下記の式を満たすことにより、塗布層と金属との接着性が特に優れる。
赤外線吸収ピーク強度比=I(1508cm−1)/I(2868cm−1)≧1
I(1508cm−1):1508±10cm−1の範囲に現れる最大吸収のピーク強度
I(2868cm−1):2868±10cm−1の範囲に現れる最大吸収のピーク強度
ポリエステルフィルムまたはシートに塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコータ、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いてフィルム製造工程内で塗布を行う。例えば、二軸延伸フィルムに塗布層を設ける場合は、縦方向に一軸延伸したフィルムに水溶液または水分散体とされた塗布液を塗工し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延伸し、引続き熱処理を施す。この方法は、製膜、塗布および乾燥を同時に行えることから、製造コスト面を加味したメリットが大きいために、特に好ましく採用される方法である。
本発明において、塗布層は片面あるいは両面に設けることができ、また、両面に設ける場合、塗布層の種類は同一でも異なっていてもよい。なお、シートまたはフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にシートまたはフィルムの表面に化学処理や放電処理を施してもよい。
塗布層の厚さは、最終的な被膜としてみた際に、通常0.002〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.2μmである。塗布層の厚さが0.002μm未満の場合は均一な樹脂層が得難い傾向があり、そのため製品に塗布むらが生じる場合があり、1μmを超える塗布層は、金属蒸着外観の悪化やフィルムの滑り性が低下してフィルムの取扱いが困難となることがある。
また、実際の塗布層の厚みは、塗布フィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にて塗布フィルム断面の塗布層を複数個所観測し、その実測値を平均することで確認することができる。
本発明において、蒸着する金属としては、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、銀、銅、金、インジウム、錫、ステンレス鋼、クロム、チタン等が挙げられるが、最も好ましい金属は、アルミニウムである。なお、上記の金属には、金属の酸化物も含まれる。蒸着する金属膜の厚さは、金属被覆フィルムの最終用途によって適宜選択される。蒸着の方法は、一般には真空蒸着によるが、エレクトロプレーティング、スパッタリング等の方法によってもよい。なお、金属蒸着後に接着性、特に、耐水接着性や耐擦傷性等を付与するために、蒸着金属面に樹脂保護層を設けてもよい。蒸着フィルムは表裏の美麗さが要求されるので、表面が平坦であることが好ましい。具体的には、塗布フィルム表面の粗さRaが0.001μm〜0.05μm、さらには0.001μm〜0.02μmであることが好ましい。
本発明における表面粗さRaは中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。表面粗さの測定は小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線から、その中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。
中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Figure 0005483372
本発明におけるポリエステルの極限粘度の測定は、ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。 本発明におけるポリエステルフィルム中に添加する粒子の平均粒径(d50)はレーザー回折散乱法(堀場製作所社製 LA−910)によって求められる全粒子の50%点にある粒子の等価球形直径をもって平均粒径(μm)とした。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。本発明で用いる評価方法は次に示すとおりである。
(1)金属蒸着フィルムの作製
塗布フィルムの塗布面に、抵抗加熱型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10-4Torr以下としてアルミニウムを500Åの厚みに蒸着した。
(2)金属蒸着外観の評価
金属蒸着フィルムを暗室の三波長ランプ下にて目視検査し、金属蒸着外観を下記の基準により判定した。
○:黒く引き締まった金属外観
○△:極微量に白みを帯びた金属外観
△:白みを帯びた金属外観
×:蛍光灯下でも確認が可能な白い金属外観
製品の特性を鑑みて、○△以上を合格とした。
(3)蒸着金属との接着性評価
塗布フィルムと同種でコロナ処理を行なった同一厚さのフィルム表面に、85.3重量%の酢酸エチル、13.8重量%の東洋モートン社製AD−502、0.9重量%の東洋モートン社製CAT−10Lからなる溶液を、最終的な被膜としてみた際に1.1g/mとなるように塗工し、90℃で1分間乾燥させて、糊フィルムを作成した。
金属蒸着フィルムの蒸着薄膜層表面に、上記糊フィルムを圧着温度50℃、圧着圧28.9N/cm、圧着時間1分間の条件のドライラミネート法により積層した後、積層フィルムを温度60℃、湿度90%RHの恒温槽に3時間入れてエージング処理を行った。得られた積層フィルムを幅25mmの短冊状にし、短冊状試料の端部を一部剥離して、剥離試験機により100mm/分の速度で180°剥離を行った。
得られた剥離強度と剥離後の蒸着金属の剥離面積の割合で接着性の評価を行った。評価の基準は下記のとおりである。
・剥離面積の割合
○:0〜10%の金属蒸着膜の剥がれがある
△:11〜50%の金属蒸着膜の剥がれがある
×:51以上の金属蒸着膜の剥がれがある
製品の特性を鑑みて、○を合格とした。
・剥離強度
○:剥離強度が4.5N/25mm以上
○△:剥離強度が3.5N/25mm以上、4.5N/25mm未満
×:剥離強度が3.5N/25mm未満
製品の特性を鑑みて、○△を合格とした。
(4)赤外線吸収スペクトルの強度比(IR強度比)の算出
塗布フィルムの塗布層を削り取り、粉末のKBrと混合し、それに圧力をかけて錠剤形の試料を作成した。次に、リファレンスとして基材のPETフィルムを削り取り、前記と同様の方法にて錠剤形の試料を作成した。作成した各々の錠剤形試料を、顕微透過法により下記の条件で赤外線吸収スペクトルを測定した。
・測定条件
装置:FT−IR分析装置 日本バイオラッド社製 FTS−6000
分解能:4cm−1
積算回数:128回
塗布層の赤外線吸収スペクトルは、塗布層から作成した錠剤形試料の赤外線吸収スペクトルと基材のPETフィルムから作成した錠剤形試料の赤外線吸収スペクトルとの差スペクトルとして求めた。1508±10cm−1の範囲に現れる最大吸収のピーク強度をI(1508cm−1)とし、2868±10cm−1の範囲に現れる最大吸収のピーク強度をI(2868cm−1)として、得られたピーク強度から下記式により赤外線吸収ピーク強度比を求めた。
赤外線吸収ピーク強度比=I(1508cm−1)/I(2868cm−1
なお、2000〜2100cm−1の範囲における水平部位をベースラインとした。
(5)ヘーズ
JIS−K7136に準じて、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−2000により塗布フィルムのヘーズを測定した。また、塗布液成分としては下記を用いた。
・A−1メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルを主成分として構成されるTg=約25℃のアクリル樹脂
・A−2:アクリル樹脂 (ロームアンドハースジャパン社製 プライマルHA−16)
・B−1ポリエーテルポリオール100部(グリセリン、PO/EO共重合重付加物、分子量1500、PO/EO=80/20)にヘキサメチレンジイソシアネート32部添加し、100℃下210分間反応を行ない遊離イソシアネート基5.70%(仕込、ポリエーテルポリオール、ヘキサメチレンジイソシアネート総和量に対して)を含有するウレタンプレポリマーを得た。次に系内40℃下に冷却した後、エタノール70部を添加し、同温にて10分間撹拌をした後、25%濃度の酸性亜硫酸ナトリウム水溶液78部を添加し、40〜50℃の温度範囲で、120分間混合を行なった後、水で希釈し樹脂分を22%としたブロックイソシアネート化合物
・B−2ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6部を添加し、100℃×2時間反応を行い、遊離イソシアネート基4重量%を有するウレタンプレポリマーを得た。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液84部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水で希釈し樹脂分を25%としたブロックイソシアネート化合物
・B−3片末端をメチル封鎖したエチレンオキサイド重付加物(分子量2,500)62.5部とエチレンオキサイド重付加物(分子量2,000)200部にヘキサメチレンジイソシアネート38部を添加し、100℃で2時間反応を行い、遊離イソシアネート基3.2%を有するウレタンプレポリマー(EO=87%、平均官能基数1.8)を得た。次に、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液87部を添加し、45℃で60分間撹拌を行った後、水で希釈し、樹脂分を30%としたブロックイソシアネート化合物
・C−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、平均分子量236
・C−2:オキサゾリン価が220[g/eq]であるアクリル系樹脂にオキサゾリン基がブランチされたポリマー型架橋剤。
・C−3:アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂
・C−4:ポリグリセロールポリグリシジルエーテル。
・D−1:平均粒径0.07μmのシリカゾル水分散体
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径(d50)が3.2μmの非晶質シリカを0.6重量%含有する、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
比較例1〜3:
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で
93/7でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して再外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40℃〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA/B/A=1/8/1となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムの片面に、表1中に記載の比較例1〜3の塗布組成物を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、フィルム厚みが23μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に0.019g/mの量の塗布層を設けた塗布フィルムを得た。これらのフィルムの表面粗さは0.01〜0.015μmの範囲にあった。
実施例1〜5:
比較例1〜3における塗布組成物を、表1中に記載の実施例1〜5の塗布組成物に変更した以外は比較例1〜3と全く同じ条件でフィルムの製膜を行い、フィルム厚みが23μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に0.019g/mの量の塗布層を設けた塗布フィルムを得た。これらのフィルムの表面粗さは0.01〜0.015μmの範囲にあった。また、得られた塗布フィルムの赤外線吸収スペクトルの強度比は、実施例3を除き全ての塗布フィルムが1以上だった。得られた塗布フィルムは、蒸着金属との接着性評価および金属蒸着外観において、下記表1に示すとおりの優れた蒸着金属との接着性と金属蒸着外観を有していた。なお、表1中の比率は乾燥塗膜中での比率を重量%で表している。
Figure 0005483372
本発明のフィルムは、例えば、金属蒸着用フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、共重合成分としてアクリロニトリルを含有する水性アクリル樹脂(A)と、熱反応型水系ウレタン樹脂(B)とを含有する塗布液から形成された、少なくとも1方向に延伸された、厚さが0.002〜1μmである塗布層を有することを特徴とする塗布フィルム。
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