JP5728143B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、帯電防止性を有する離型フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、帯電防止性、透明性、離型性、基材密着性、非移行性に優れ、かつ生産性が高く、フラットパネルディスプレイおよびその周辺部材、タッチパネル周辺部材、帯電防止包装材料等に使用するのに適した帯電防止離型フィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れ、コストパフォーマンスにも優れるため各種の用途において基材として使用されているが、ポリエステルフィルムは摩擦、ロールからの巻出し等の際に帯電しやすく、異物や塵埃の付着、静電気放電障害等の問題が発生する。
特に離型フィルムにおいては、粘着剤等の被着体から剥離させた際に剥離帯電が発生する場合があり、その結果加工現場においては、異物等の付着或いは巻き込みによる不具合のみならず、静電気障害によって近傍の電子素子が損傷を受け製品不良が発生する等の深刻な不具合を生じる場合があった。そのため製造工程における設備対応による帯電防止対策だけでは必ずしも十分ではなく、離型フィルム自体の帯電防止処理が強く望まれる状況である。
このため種々の帯電を防止する対策が行われている。その中でも一般的な物として、まず表面に帯電防止性塗布層を設け、その上にシリコーン離型層を設ける方法がある。ポリエステルフィルムに塗工される帯電防止剤としては、四級アンモニウム基に代表されるカチオン性の基を含むカチオン系の物、スルホネート基やホスホネート基に代表されるアニオン性の基を含むアニオン系の物が主に用いられる。これらはイオン導電性で帯電防止能が周囲の湿気や水分の影響を受けやすい。特に低湿度下では導電性が低下し所望の帯電防止能が得られなくなる欠点がある。アニオン系の帯電防止剤においてこの傾向がより顕著となることが多い。
また近年、環境問題への関心の高まり、一緒に組み込まれる他部材への影響の懸念などからポリエステルフィルムにハロゲン不使用を求められることが多い。カチオン系の場合、四級アンモニウム基の対アニオンが塩化物イオンの物が一般的であるがこの場合は使用できない。対アニオンをモノアルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン等とした物も有るがイオンの移動度が低くなり帯電防止性能が劣る。
電子導電性化合物は、上記イオン導電性化合物に比べるとより優れた帯電防止性を発現することが可能であり、湿度による影響も受けにくい。電子導電性化合物としては、種々の導電性有機ポリマー化合物、中でもポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物が提案されている。
ポリチオフェン化合物は、優れた導電性を持ち、フィルムに塗布した際には高い帯電防止性、透明性を発現させることが可能である(特許文献1、2)。
延伸ポリエステルフィルムにおいては、フィルムの製膜工程中で塗布を行ういわゆるインラインコーティング法によって塗膜を設ける事が生産性、経済性で有利であるが(特許文献3、4)、ポリチオフェン化合物を含有する塗布層は、このインラインコーティング法によって設けると、十分な帯電防止性能を発現させることが難しい。これは、フィルムの延伸に伴って電子導電層が延伸されるときに、電子導電層が導電機構を保持した状態でフィルムの延伸に追従することができず、その結果、導電機構が壊れるためと考えられる。またそのような場合の塗布層は、外観にも劣るものであり、光学部材への応用は難しくなる。このため、インラインコーティング法においても優れた帯電防止性を示し、かつ外観不具合が少ない方法が求められている。
ポリエステルフィルムにシリコーン離型層を設ける場合、シリコーンの移行を低減するために硬化型シリコーンとすることが多い。特に白金に代表される遷移金属触媒を用いてビニル基とケイ素−水素結合を反応させて架橋する付加型シリコーンが軽剥離、低移行性、低温硬化性等優れた特性を有するため一般的に用いられている。
ところが前記事情から帯電防止性塗布層の上にシリコーン離型層を設けようとすると、しばしば硬化反応が阻害され硬化不良が起こる。特に少量の触媒を高回転させる付加型シリコーンでは顕著である。この事も解決を求められている課題のひとつである。
特開2002−060736号公報 特開2008−296380号公報 特開2003−154594号公報 特開平9−131843号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、透明性、帯電防止性に優れ、軽剥離で移行性も少なくかつ経済性と生産性を兼ね備えた離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の種類の化合物の組み合わせからなる帯電防止性塗布層の上にシリコーン離型層をこの順に設けることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、帯電防止性塗布層とシリコーン離型層とを順次設けたフィルムであって、前記帯電防止性塗布層が下記の化合物(A)、(B)、および(C)を含有する塗布液から形成されたものであり、当該塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する化合物(A)の重量比率が1〜10重量%であり、化合物(C)の重量比率が2〜15重量%であることを特徴とする離型フィルムに存する。
(A):チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体
(B):グリセリン(b1)、ポリグリセリン(b2)、グリセリンまたはポリグリセリ
ンへのアルキレンオキサイド付加物(b3)、ポリアルキレンオキサイド(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物
(C):ポリウレタン樹脂
本発明によれば、透明性、帯電防止性に優れ、軽剥離で移行性も少なくかつ経済性と生産性を兼ね備えた離型フィルムを提供することができる。
本発明の塗布フィルムの基材フィルムは、ポリエステルからなるものである。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。
粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、含有させる場合の粒子量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。含有粒子量が1.0重量%を超える場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。少ない場合には粒子による効果が十分でない場合がある。
粒子が無い場合、あるいは少ない場合はフィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなるが、すべり性が不十分となるなど取り扱いが難しくなる場合があるため、ナーリングや塗布層中に粒子を入れる等の工夫が必要になることがある。
粒子を含有させる場合の平均粒径に関しては、通常は0.01〜5μmの範囲である。平均粒径が5μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりする傾向がある。平均粒径が0.01μm未満では、粒子による効果が十分でない場合がある。
含有させる場合の粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
またその他に、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等をフィルム中に加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理(熱固定)を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理のゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造のいずれであっても良い。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
本発明における帯電防止性塗布層とは、具体的には、塗布層の表面抵抗率が低く、電荷を漏洩する機構を持つ塗布層のことである。塗布層の表面抵抗率が低いほど、帯電防止性が良好であるといえる。離型フィルムとして表面抵抗率が1×1012Ω以下であれば帯電防止性を持つと言え、1×10Ω以下であれば良好な帯電防止性であると言え、さらに1×10Ω未満であればきわめて良好な帯電防止性能と言える。
表面抵抗率の下限は特にないが、導電剤のコストを勘案すると離型フィルムとして1×10Ω以上とするのが好ましい。
本発明で使用する化合物(A)は、チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体である。これらの物質は、優れた導電性を示し好適である。化合物(A)としては、たとえば下記式(1)もしくは(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものを例示できる。
Figure 0005728143
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などを表す。
Figure 0005728143
上記式(2)中、nは1〜4の整数を表す。
重合時に使用するポリ陰イオンとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などが例示される。かかる重合体の製造方法としては、例えば特開平7−90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本発明において、好ましい様態として、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが挙げられる。
またこれらのポリ陰イオンが酸性である場合、一部または全てが中和されていてもよい。中和に用いる塩基としてはアンモニア、有機アミン類、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
化合物(B)は、グリセリン(b1)、ポリグリセリン(b2)、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b3)、ポリアルキレンオキサイド(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物である。
グリセリン(b1)、ポリグリセリン(b2)とは、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0005728143
上記式中のnが1の化合物がグリセリン(b1)であり、nが2以上の化合物はポリグリセリン(b2)である。本発明においては、式中のnは、2〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。グリセリンを用いた場合、得られる帯電防止性塗布層の帯電防止性が若干劣る場合がある。
グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b3)とは、一般式(3)で表されるグリセリンまたはポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
ここで、グリセリンまたはポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに、付加されるアルキレンオキサイドの構造は異なっていても構わない。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基に付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドまたはその誘導体が付加されている必要はない。
グリセリンまたはポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、帯電防止性塗布層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはエチレンオキサイドである。また、その付加数は、最終的な化合物(b3)としての重量平均分子量で200〜2000の範囲になるものが好ましく、300〜800の範囲ものがさらに好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(b4)として好ましいものは、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイド構造中のアルキル鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、帯電防止性塗布層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはポリエチレンオキサイドである。重量平均分子量で200〜2000のものがさらに好ましい。
本発明において、化合物(B)として特に好ましい様態としては、ポリグリセリン(b2)および、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b3)である。
化合物(C)はポリウレタン樹脂である。化合物(C)を配合することによりシリコーン離型層への密着性が向上し、またシリコーンの硬化阻害を防止することができる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(C)とはウレタン結合を分子内に有する高分子化合物であり、水分散性または水溶性のものが好ましい。本発明では単独でも2種以上を併用してもよい。
水分散性または水溶性を付与させるために、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をウレタン樹脂に導入することが一般的であり好ましい。前記の親水性基のなかでも、塗膜物性及び密着性の点からカルボン酸基またはスルホン酸基が特に好ましい。
本発明で用いる塗布層の構成成分であるウレタン樹脂を作成する方法の一つに、水酸基とイソシアネートとの反応によるものがある。原料として用いられる水酸基としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
これらの中でもポリエステルポリオールが好ましく、芳香環を有するポリエステルポリオールがさらに好ましい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
また、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を用いて、ウレタン骨格にカルボキシル基を導入し、後に塩基性化合物で中和してウレタンを親水化する手法も好ましく用いられる。
本発明において化合物(A)、(B)、および(C)は、ハロゲン原子を含まないものを選択する上で特段の障害はない。よって本発明において帯電防止層をハロゲン不含有とすることは容易であり好ましい。
本発明によって設けられた帯電防止性塗布層中の化合物(A)の重量は、通常0.5〜15mg/mで、好ましくは1〜9mg/m、さらに好ましくは2〜5mg/mである。化合物(A)の量がこれより少ないと、帯電防止性もしくは耐大気暴露性が不十分となることが多い。またこれより多いとコストが増大し、着色がめだってくる。また延伸する場合に透明性の低下等の問題を起こすことがある。
塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として化合物(A)の比率は重量比率で通常1〜80%、好ましくは2〜30%、より好ましくは3〜15%、さらに好ましくは4〜10%である。化合物(A)の比率がこれより高いと、塗膜の強度、透明性または帯電防止性能が不十分となることが多い。化合物(A)の比率がこれより低いと、帯電防止性能が不十分となったり、十分な帯電防止性能を付与するための塗膜が極めて厚くなったりする。塗膜が厚くなると外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやすく好ましくない。
化合物(B)の比率は重量比率で通常1〜90%、好ましくは5〜85%、より好ましくは20〜85%、さらに好ましくは30〜80%である。この範囲を外れると、帯電防止性能や塗膜の外観が悪化しやすい。
化合物(C)の比率は重量比率で通常2〜90%、好ましくは3〜70%、より好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜55%である。この範囲を外れると、帯電防止性能や塗膜の強度や外観が悪化しやすい。
本発明で使用する帯電防止性塗布液中には、フィルムへの塗布性を改良するため、界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤としては、特にその構造中に(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる塗布層の帯電防止性を阻害せず、より好ましい。
本発明で使用する帯電防止性塗布液中には、必要に応じて、架橋反応性化合物を含んでいてもよい。架橋反応性化合物は主に、他の樹脂や化合物に含まれる官能基との架橋反応や、自己架橋によって、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。使用することのできる架橋反応性化合物としては、メラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系などのアミノ樹脂や、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系などが好適に用いられる。他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。
さらに必要に応じて、(C)以外のバインダー樹脂の1種もしくは2種以上を併用することができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂を含有することで、得られる塗布層の強度や基材フィルムへの密着性を向上する可能性がある。
本発明で使用する帯電防止性塗布液は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、離型剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。また、これら添加剤としては、その構造中に、(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる塗布層の帯電防止性を阻害せず、より好ましい。
本発明における帯電防止性塗布液は、取扱い上、作業環境上、また帯電防止性塗布液組成物の安定性の面から、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する帯電防止性塗布層の形成について説明する。帯電防止性塗布層は、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、塗布層自身も強固なものとすることができ、耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
本発明において帯電防止性塗布層の塗膜の乾燥時、前記インラインコーティングを用いない場合でも150℃以上の温度にすることが望ましい。150℃未満では乾燥に時間がかかり生産性を悪くしたり、塗膜自身または密着の強度が低下したりする恐れがある。
本発明の塗布層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
帯電防止性塗布層の塗工量は、最終的な被膜としてみた際に、通常0.005〜1.5g/m、好ましくは0.01〜0.5g/m、さらに好ましくは0.02〜0.2g/mである。塗工量が0.005g/m未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5g/mを超える塗布層は、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやすい。
本発明の離型フィルムを構成するシリコーン離型層は離型性を有するシリコーンを主とする物で、硬化型シリコーンが好ましい。
さらに硬化課程においてビニル基とケイ素-水素結合を有する基の付加反応を用いるいわゆる付加型シリコーンが好ましい。
本発明で用いる硬化シリコーンの架橋剤であるポリハイドロジェンシロキサン化合物は特に規定されない。一般的に使用される物としてポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン−ポリジメチルシロキサン共重合物が例示できる。
本発明で用いる付加型シリコーンにおいてその架橋反応に関与するシロキサンの≡SiH基とビニル基の含有比(SiH/Vi比)は、通常の場合1.2〜10、好ましくはS1.5〜7、より好ましくは2〜5である。
本発明におけるシリコーン塗料の形態は特に規定されない。高粘度のシリコーンを溶剤に希釈して塗工するいわゆる溶剤型、低粘度のシリコーンをそのまま塗工する無溶剤型、水系の液に微分散させた水系分散型が例示できる。
これらの中で塗工外観がとりわけ重視されるポリエステル基材の離型フィルムにおいては溶剤型が好ましく用いられる。
この場合の希釈溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類が例示でき、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用する。
本発明で用いるシリコーンの分子量は特に限定されないが、使用形態および塗工設備に応じて選択される。溶剤型においては、30%トルエン溶液とした時の粘度で1000〜100000mPa・s、好ましくは1000〜20000mPa・sのものを主成分とすることが塗工性等の面で好ましい。
また、離型層の特性を調整するために反応調整剤、密着強化剤、剥離調整剤等の助剤を併用してもよい。
剥離調整剤に特に制限は無いが、塗料乾燥時に離型塗料のシロキサンポリマーと反応して中に取り込まれるタイプの反応性調整剤が移行性を抑えられるので好ましい。
離型層の塗工量(乾燥後)は0.01〜1g/m、好ましくは0.04〜0.5g/m、さらに好ましくは0.06〜0.3g/mの範囲である。離型層の塗工量が少な過ぎる場合、剥離力の安定性に欠けることがある。一方、塗工量が多すぎる場合、移行性の増大、ブロッキングの懸念がある。
本発明において、シリコーン離型層を設ける方法として、マルチロールコート、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、シリコーン離型層の硬化処理におけるエネルギー源は特に限定されないが、熱処理、紫外線照射、電子線照射が例示できる。これら単独、あるいは組み合わせて用いられるが、熱処理単独、熱と紫外線の併用処理が好ましく用いられる。
本発明における離型フィルムの透明度は特に制限されないが、透明性が必要とされる場合、本発明の塗布層が透明である特長を生かし、塗布後の離型フィルム全体のヘーズとして1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下とすることができる。
本発明における離型フィルムの全光線透過率は特に制限されないが、塗布後の離型フィルム全体で好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法やサンプルの処理方法は下記のとおりである。
(1)塗布層の透明性(塗布層によるヘーズ上昇)、全光線透過率
JIS−K7136に準じて、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−2000によりフィルムのヘーズ、全光線透過率を測定した。塗布層を設けていないフィルムと塗布層を設けたフィルムのヘーズの差(Δヘーズ)値を計算し、塗布層を設けることによるヘーズの上昇を求め、塗布層の透明性として評価した。かかるヘーズの上昇が小さいほど、塗布層の透明性が優れるといえる。本方法においてヘーズの差が0.5%以下であれば透明性に優れ、0.3%以下であれば特に優れているといえる。一方、0.5%を超える場合は塗布層の透明性がやや劣り、1.0%を超える場合は特に劣るといえる。
(2)表面抵抗率
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、印加電圧100mVの条件で、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面抵抗率を測定した。
(3)剥離力の測定
試料フィルムの離型面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、23℃,50%RHの測定雰囲気で1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3m/minの条件下、180°剥離を行った。
(4)シリコーン密着性の評価−ラブオフ試験
塗工後気温23℃、相対湿度50%に調整された恒温恒湿室にて10日間保管した試料フィルムの離型面を人差し指の腹で一方向に3回擦り、離型層の脱落程度を擦った部分の粘着テープの剥離によって判定した。シリコーンの基材密着性が悪いと摩擦により塗膜が脱落し、その部分の剥離が重くなる。
《判定基準》
○:擦った部分と擦っていない部分の剥離力に差がなくスムーズに剥離できた
△:擦った部分で少し重くなったが概ねスムーズに剥離できた
×:擦った部分で引っ掛かり、スムーズに剥離できなかった
(5)シリコーン硬化性の評価−スミア試験
塗工後気温23℃、相対湿度50%に調整された恒温恒湿室にて10日間保管した試料フィルムの離型面を人差し指の腹で一方向に3回擦り、離型層の外観変化を下記判定基準により判定を行った。シリコーンの硬化性が悪いと摩擦により塗膜が損傷し、白く見える(スミア)ことがある。
《判定基準》
○:塗膜外観に変化が見られない
△:塗膜が僅かに白くなる
×:塗膜に明確な白い擦り跡が残る
(6)シリコーンの移行性評価
試料フィルムをA4大に切り取り、離型面に75μm厚二軸延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製:ダイアホイルT100−75)を重ねて温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスする。この離型面に押し当てた75μm厚フィルムを移行性評価フィルムとする。未処理のPETフィルムにも同様にして75μm厚二軸延伸PETフィルム(同)を押し当て、基準フィルムとする。それぞれのフィルムの押し当てた面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、気温23℃、相対湿度50%にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行い、下記の式に従い移行性評価接着率を求めた。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力/基準フィルムの剥離力)×100
移行性の大きなフィルムでは押し当てたフィルムに多くのシリコーンが付着するため、粘着テープの剥離力が小さくなり、移行性評価接着率(%)が低下する。下記判定基準により非移行性の判定を行った。
《判定基準》
○:移行性評価接着率95%以上
△:移行性評価接着率90%以上95%未満
×:移行性評価接着率90%未満
90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.64のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径2.4μmの非晶質シリカを0.2重量%含有する、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
また、塗布組成物としては以下を用いた。
(A1):ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電剤、アグファゲバルト社製 Orgacon ICP1010を濃アンモニア水で中和してpH=9とした物。
(B11):前記式(3)で平均n=4であるポリグリセリン
(B21):前記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格へ、ポリエチレンオキサイドが平均4分子付加した化合物。
(C1):テレフタル酸282重量部、イソフタル酸282重量部、エチレングリコール62重量部、およびネオペンチルグリコール250重量部を成分とするポリエステルポリオールを(C1a)としたとき、(C1a)876重量部、トリレンジイソシアネート244重量部、エチレングリコール81重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させた物(濃度20%、25℃での粘度50mPa・s)。
(D1):下記式に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤
Figure 0005728143
上記式中のm、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す整数であり、ここではm+nの平均が10となるものを用いた。
(E1):テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸/エチレングリコール/1,4−ブタンジオールがモル比で55/40/5/65/35である、水分散性ポリエステル樹脂
(F1):下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)。
(S1):付加型硬化タイプで移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン、信越化学社製KS−847H。塗工時に白金含有硬化触媒、信越化学社製catPL−50TをKS−847Hに対して1重量%添加した。
比較例1:
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比92/8でブレンドし、十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.3倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施し、フィルム厚みが50μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
このフィルムの特性を、表2に示す。この時のフィルムヘーズ値は0.7%であった。比較例1においては塗布層を設けていないため、表2に示す結果は、ポリエステルフィルム表面について直接評価を行ったものである。
比較例2:
比較例1で得られたフィルムに下記組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.13g/mになるように塗布し、120℃、30秒間熱処理した。
このフィルムの特性を表2に示す。なお、塗布層透明性を評価する際、塗布層を設けていないフィルムのヘーズ値としては、比較例1のフィルムヘーズ0.7%を用いた(以下の実施例、比較例においても同様)。
《離型剤組成》
移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン(信越化学(株)製:KS−847H、不揮発分30%) 100重量部
白金含有触媒(信越化学(株)製:catPL−50T) 1重量部
これをMEK/トルエン/イソオクタンの混合溶媒(混合重量比率は1:4:5)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を作製した。
実施例1:
上記比較例1と同様の工程の中で、長手方向への延伸後の一軸配向フィルムの片面に下記表1に示すとおりの塗布組成物を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行い、以降は比較例1と同様にし、フィルム厚みが50μmの基材フィルムの上に0.03g/mの量の帯電防止性塗布層を積層した塗布フィルムを得た。
得られたフィルムに下記組成からなる離型剤を塗布量(不揮発成分量)が0.13(g/m)になるように塗布し、120℃、30秒間熱処理し、帯電防止性塗布層の上にシリコーン離型層が積層されたフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。
《離型剤組成》
移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン
(信越化学(株)製:KS−847H、不揮発分30%) 100重量部
白金含有触媒(信越化学(株)製:catPL−50T) 1重量部
これをMEK/トルエン/イソオクタンの混合溶媒(混合重量比率は1:4:5)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を作製した。
実施例2、3:
実施例1と同様の工程において、帯電防止性塗布層の内容を表1に示すように変更し、他は実施例1と同様にして塗布フィルムを得た。このフィルムの特性を、表2に示す。
比較例3〜6:
実施例1と同様の工程において、帯電防止性塗布層の内容を表1に示すように変更し、他は実施例1と同様にして塗布フィルムを得た。なお比較例4〜6においては帯電防止性塗布層の積層時点で塗工面状が悪化し、ヘーズが著しく上昇しためシリコーン離型層の塗布は行わなかった。これらのフィルムの特性を、表2に示す。
Figure 0005728143
塗布量は、フィルムの面積あたりの、塗布層組成物中の不揮発分の重量を意味する。
Figure 0005728143
本発明によれば、透明性、帯電防止性に優れ、軽剥離かつ移行性も少ない離型フィルムを安価に提供することができるので産業上の利用価値は高い。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、帯電防止性塗布層とシリコーン離型層とを順次設けたフィルムであって、前記帯電防止性塗布層が下記の化合物(A)、(B)、および(C)を含有する塗布液から形成されたものであり、当該塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する化合物(A)の重量比率が1〜10重量%であり、化合物(C)の重量比率が2〜15重量%であることを特徴とする離型フィルム。
    (A):チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体
    (B):グリセリン(b1)、ポリグリセリン(b2)、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b3)、ポリアルキレンオキサイド(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物
    (C):ポリウレタン樹脂
  2. 帯電防止性塗布層が少なくとも一方向に延伸されている請求項1に記載の離型フィルム。
  3. シリコーン離型層が付加型の硬化型シリコーンを主として形成されたものである請求項1または2に記載の離型フィルム。
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