JP6657705B2 - 離型ポリエステルフィルムおよびグリーンシート積層体 - Google Patents

離型ポリエステルフィルムおよびグリーンシート積層体 Download PDF

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Description

本発明は、グリーンシート用として好適な離型フィルム、およびグリーンシート積層体に関するものである。
半導体集積回路の製造分野においては、その高密度化に伴い、ファインパターン化、多層化が要求されている。多層化するにはスルーホールが必要で、また、高密度化には一層のファインパターン化とともにスルーホールの狭小化が必要である。
このような特にファインパターン化やスルーホールの狭小化が進んだ回路基板においては、スルーホール打ち抜き時に発生するごみを始めとしてグリーンシート面へのわずかな異物の付着や巻き込みが不良率を高めて大きな問題となる。
セラミックスラリーを離型ポリエステルフィルム上塗布してグリーンシートを成形する方法は、厚さ精度よく安定的かつ効率的にグリーンシートを成形する方法として知られているが、殊に白色ポリエステルフィルムを基材とした離型ポリエステルフィルムはスルーホールの打ち抜き性が良く回路基板用として採用されているところである。一方で成形したグリーンシートを離型フィルムから剥がす際には帯電が起きやすく、打ち抜き時に発生するごみなどグリーンシート上に異物が付きやすかったり巻き込みしやすかったりする問題がある。
また、セラミックスラリー中の有機成分を少なくしたタック性をあまり有しないグリーンシートの要求も増えており、安定した重剥離の離型ポリエステルフィルムが必要とされるところであるが、セルロース誘導体をシリコーン離型層に含有させ、その含有量を調整することによって得られた重剥離な離型フィルムでは、離型層中でシリコーン成分の再配列を生じやすく、経時で軽剥離化する問題を抱えている。
このように、セラミックグリーンシート用離型ポリエステルフィルムにおいて、グリーンートを剥離した際に生じる帯電を抑え、かつ安定した重剥離の離型層を有した白色離型ポリエステルフィルムが必要とされている。
特開2002−060736号公報 特開2008−296380号公報 特開2003−154594号公報 特開平9−131843号公報 特開2004−223714号公報 特開平1−215857号公報 特開平9―87594号公報 特開平10―86304号公報
信越シリコーン剥離紙用シリコーンカタログ(信越化学工業株式会社)
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、グリーンシートを離型フィルムから剥離する際に生じる剥離帯電を抑えて、剥離したグリーンシート面の異物の付着、巻き込みによる不具合を減らし、かつ経時での剥離力の変化が小さい安定した重剥離の離型ポリエステルフィルム、およびグリーンシート積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、帯電防止性塗布層とシリコーン離型層が順次設けられたフィルムであって、表面抵抗率が1×1012Ω以下であり、常態剥離力が400mN/cm以上であり、80℃で1週間保持後の常態剥離力の変化率が±20%以内であることを特徴とする離型ポリエステルフィルム、および、当該フィルムのシリコーン離型層上にセラミック層を有することを特徴とするグリーンシート積層体に存する。
本発明によれば、経時での剥離力の変化が小さい重剥離の離型層を有し、かつグリーンシートを剥離した際に生じる帯電を抑えてグリーンシート上への異物の付着、巻き込みを少なくした離型ポリエステルフィルム、グリーンシート積層体を得ることができ、その工業的価値は高い。
本発明の白色ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、代表的には、例えば、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。その他にも、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびオキシモノカルボン酸などのエステル形成性誘導体を使用することができる。また、ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、グリーンシート多層積層法によってセラミック基板を作成する際、スルーホールの打ち抜き性を良好にするために、フィルム中に無機顔料粒子を含有させる方法が好ましく用いられる。粒子としては、従来公知のものを使用することができ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、二酸化珪素等が例示されるが、使用される粒子の種類は上記例に限定されるものではない。
本発明で用いる無機顔料の平均粒子径は、通常0.1〜1.0μmの範囲であり、さらに好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。含有する粒子の平均粒径が0.1μm未満の場合、粒子スラリー中において粒子が凝集しやすく、一方、平均粒径が1μmを超える粒子を添加した場合、ポリエステルフィルムの表面粗度が粗くなり過ぎると同時にポリエステルフィルムから粒子が脱落しやすくなる傾向があり、スルーホール打ち抜き時に発塵しやすくなる。含有する粒子の添加量が5重量%未満では、スルーホール打ち抜き性が悪くなる。一方、粒子添加量が20重量%を超える場合には、フィルムの機械的強度が低下する。ここで、無機顔料は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
本発明の白色離型ポリエステルフィルムは、基材である白色ポリエステルフィルムが製膜できる厚さであればよく、通常25〜250μm、好ましくは38〜125μmの範囲である。25μm未満では、シワが入りやすい傾向がある。一方、125μmを超えると、打ち抜き性が悪くなる。またコシが強く、重量化して取扱いが難しくなる。
本発明の白色ポリエステルフィルムには、上記の顔料粒子以外にも、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、蛍光増白剤、染料、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
次に、二軸延伸を用いた場合のポリエステルフィルムの製造方法の一例を詳細に説明するが、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下の例に限定されるものではない。
まず、ポリエステルフィルムを構成する原料を押出機へ供給し、溶融混練後、押し出す。(積層フィルムの場合は、異なる押出機から供給された原料⇒溶融ポリマーをTダイ内でスリット状に積層してから押し出す。)次に、ダイから押し出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面均一性、冷却効果を向上させるためには、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法が好ましく採用される。次いで、得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。まず、通常70〜150℃、好ましくは75〜130℃の延伸温度、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の延伸倍率の条件下、前記未延伸シートを一方向(縦方向)に延伸する。かかる延伸にはロールおよびテンター方式の延伸機を使用することができる。ここで縦延伸後のフィルムに、上述の通り、塗布層を設けることが好ましい。次いで、通常75〜150℃、好ましくは80〜140℃の延伸温度で、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の延伸倍率の条件下、一段目と直交する方向(横方向)に延伸を行い、二軸配向フィルムを得る。かかる延伸には、テンター方式の延伸機を使用することができる。
上記の一方向の延伸を2段階以上で行う方法も採用することができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが好ましい。次いで、テンター内熱処理を、通常180〜245℃、好ましくは200〜240℃で、1秒〜5分間行う。この熱処理工程では、熱処理の最高温度のゾーンおよび/または熱処理出口直前の冷却ゾーンにおいて、横方向および/または縦方向に0.1〜20%の弛緩を行うことが、熱寸法安定性付与の点で好ましい場合がある。
本発明の白色離型ポリエステルフィルムでは、帯電防止性塗布層が、シリコーン離型層が設けられる前に設けられることが必要である。
かかる帯電防止性塗布層は、表面抵抗率が1×1012Ω以下であれば特に限定されるものではないが、カチオン性帯電防止剤として下記式(I)または(II)式で示される主鎖にピロリジニウム環を有するユニットを主たる繰り返し単位として含有するカチオンポリマーを有する塗布層や、化合物(ア)チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体を帯電防止剤として用いた塗布層は低い表面抵抗率を示し、特に化合物(ア)は非常に優れた導電性を示すものであり、これを用いた塗布層も非常に低い抵抗率を示すため好適に用いることができる。
Figure 0006657705
Figure 0006657705
上記(I)式あるいは(II)式の構造において、R、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基もしくは水素であることが好ましく、これらは同一基でもよいし異なっていてもよい。またR、Rのアルキル基は、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基で置換されていてもよい。さらに、RとRとが化学的に結合していて、環構造を有するものであってもよい。また、(I)式あるいは(II)式のXは、ハロゲンイオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン、モノエチル硫酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオンの何れかである。
上述の、主鎖にピロリジニウム環を有するユニットを主たる繰り返し単位として含有するカチオンポリマーの中でも、特に(I)式の構造で、Xが塩素イオンである場合には、帯電防止性能が優れると同時に、帯電防止性能の湿度依存性が小さく、低湿度下でも帯電防止性能の低下が少なくなる点で好ましい。また、帯電性易接着にハロゲンイオンを使用できない場合においては、塩素イオンの代わりにメタンスルホン酸あるいはモノメチル硫酸イオンを使用することで、塩素イオンの場合に近い帯電防止性能を得ることができる。
(I)式のユニットを繰り返し単位とするポリマーは、次の(III)式で示されるジアリルアンモニウム塩を単量体として、水を主とする媒体中で、ラジカル重合で閉環させな
がら重合することで得られる。また、(II)式のユニットを繰り返し単位とするポリマーは、(III)式の単量体を、二酸化硫黄を媒体とする系で環化重合させることにより得られる。
Figure 0006657705
また、(I)式または(II)式に示すユニットを繰り返し単位とするポリマーは、単一のユニットから構成されるホモポリマーである場合が、より良好な帯電防止性能を得ることができるが、後述するように、カチオンポリマーを含む塗布液をポリエステルフィルムに塗布した後に、さらにポリエステルフィルムを延伸する場合に、塗布層の透明性を改善するために、(I)式または(II)式で示されるユニットの0.1〜50モル%が、共重合可能な他の成分で置き換えられてもよい。
共重合成分として用いる単量体成分としては、(III)式のジアリルアンモニウム塩と共重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を1種あるいは2種以上を選ぶことが
できる。
これらは具体的には、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、マレイン酸およびその塩あるいは無水マレイン酸、フマル酸およびその塩あるいは無水フマル酸、モノアリルアミンおよびその4級化物、アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジアルキルアミンおよびその4級化物、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジアルキルアミンおよびその4級化物、(メタ)アクリロイルアミノエチルジアルキルアミンおよびその4級化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジアルキルアミンおよびその4級化物などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
一方、化合物(ア)を帯電防止剤として用いる場合、次の化合物(イ)、および化合物(ウ)との組み合わせで、これらを含有する塗布液から形成されたものであることが、低い抵抗率を示すことと、後でシリコーン離型層を塗布する際のことも含めた実用的な耐久性を示すことで好ましい。
あらためて、化合物(ア)は、チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体である。これらの物質は、優れた導電性を示し好適である。化合物(ア)としては、たとえば下記式(1)もしくは(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものを例示できる。
Figure 0006657705
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などを表す。
Figure 0006657705
上記式(2)中、nは1〜4の整数を表す。
重合時に使用するポリ陰イオンとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などが例示される。かかる重合体の製造方法としては、例えば特開平7−90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本発明において、好ましい様態として、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが挙げられる。
またこれらのポリ陰イオンが酸性である場合、一部または全てが中和されていてもよい。中和に用いる塩基としてはアンモニア、有機アミン類、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
化合物(イ)は、グリセリン(イ−1)、ポリグリセリン(イ−2)、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(イ−3)、ポリアルキレンオキサイド(イ−4)の群から選ばれる1種以上の化合物である。
グリセリン(イ−1)、ポリグリセリン(イ−2)とは、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0006657705
上記式中のnが1の化合物がグリセリン(イ−1)であり、nが2以上の化合物はポリグリセリン(イ−2)である。本発明においては、式中のnは、2〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。グリセリンを用いた場合、得られる帯電防止性塗布層の帯電防止性が若干劣る場合がある。
グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(イ−3)とは、一般式(3)で表されるグリセリンまたはポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
ここで、グリセリンまたはポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに、付加されるアルキレンオキサイドの構造は異なっていても構わない。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基に付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドまたはその誘導体が付加されている必要はない。
グリセリンまたはポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、帯電防止性塗布層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはエチレンオキサイドである。また、その付加数は、最終的な化合物(イ−3)としての重量平均分子量で200〜2000の範囲になるものが好ましく、300〜800の範囲ものがさらに好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(イ−4)として好ましいものは、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイド構造中のアルキル鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、帯電防止性塗布層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはポリエチレンオキサイドである。重量平均分子量で200〜2000のものがさらに好ましい。
本発明において、化合物(イ)として特に好ましい様態としては、ポリグリセリン(イ−2)および、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(イ−3)である。
化合物(ウ)はポリウレタン樹脂である。化合物(ウ)を配合することによりシリコーン離型層への密着性が向上し、またシリコーンの硬化阻害を防止することができる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(ウ)とはウレタン結合を分子内に有する高分子化合物であり、水分散性または水溶性のものが好ましい。本発明では単独でも2種以上を併用してもよい。
水分散性または水溶性を付与させるために、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をウレタン樹脂に導入することが一般的であり好ましい。前記の親水性基のなかでも、塗膜物性および密着性の点からカルボン酸基またはスルホン酸基が特に好ましい。
本発明で用いる塗布層の構成成分であるウレタン樹脂を作成する方法の一つに、水酸基とイソシアネートとの反応によるものがある。原料として用いられる水酸基としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
これらの中でもポリエステルポリオールが好ましく、芳香環を有するポリエステルポリオールがさらに好ましい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
また、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を用いて、ウレタン骨格にカルボキシル基を導入し、後に塩基性化合物で中和してウレタンを親水化する手法も好ましく用いられる。
本発明によって設けられた帯電防止性塗布層中の化合物(ア)の重量は、通常0.5〜15mg/mで、好ましくは1〜9mg/m、さらに好ましくは2〜5mg/mである。化合物(ア)の量がこれより少ないと、帯電防止性もしくは耐大気暴露性が不十分となることが多い。またこれより多いとコストが増大し、着色が目立ってくる傾向がある。また、延伸する場合に透明性の低下等の問題を起こすことがある。
塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として化合物(ア)の比率は重量比率で通常1〜80%、好ましくは2〜30%、より好ましくは3〜15%、さらに好ましくは4〜10%である。化合物(ア)の比率がこれより高いと、塗膜の強度、透明性または帯電防止性能が不十分となることが多い。化合物(ア)の比率がこれより低いと、帯電防止性能が不十分となったり、十分な帯電防止性能を付与するための塗膜が極めて厚くなったりすることがある。塗膜が厚くなると外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやすくなることがある。
化合物(イ)の比率は重量比率で通常1〜90%、好ましくは5〜85%、より好ましくは20〜85%、さらに好ましくは30〜80%である。この範囲を外れると、帯電防止性能や塗膜の外観が悪化することがある。
化合物(ウ)の比率は重量比率で通常2〜90%、好ましくは3〜70%、より好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜55%である。この範囲を外れると、帯電防止性能や塗膜の強度や外観が悪化することがある。
本発明で使用する帯電防止性塗布液中には、フィルムへの塗布性を改良するため、界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤としては、特にその構造中に(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる塗布層の帯電防止性を阻害せず、より好ましい。
本発明で使用する帯電防止性塗布液中には、必要に応じて、架橋反応性化合物を含んでいてもよい。架橋反応性化合物は主に、他の樹脂や化合物に含まれる官能基との架橋反応や、自己架橋によって、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。使用することのできる架橋反応性化合物としては、メラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系などのアミノ樹脂や、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系などが好適に用いられる。他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。
さらに必要に応じて、(ウ)以外のバインダー樹脂の1種もしくは2種以上を併用することができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂を含有することで、得られる塗布層の強度や基材フィルムへの密着性を向上する可能性がある。
本発明で使用する帯電防止性塗布液は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、離型剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。また、これら添加剤としては、その構造中に、(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる塗布層の帯電防止性を阻害せず、より好ましい。
本発明における帯電防止性塗布液は、取扱い上、作業環境上、また帯電防止性塗布液組成物の安定性の面から、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
次に本発明における帯電防止性塗布層の形成について説明する。帯電防止性塗布層は、白色ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、塗布層自身も強固なものとすることができ、耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
本発明において帯電防止性塗布層の塗膜の乾燥時、前記インラインコーティングを用いない場合でも150℃以上の温度にすることが望ましい。150℃未満では乾燥に時間がかかり生産性を悪くしたり、塗膜自身または密着の強度が低下したりする恐れがある。
本発明の塗布層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
帯電防止性塗布層の塗工量は、最終的な被膜としてみた際に、通常0.005〜1.5g/m、好ましくは0.01〜0.5g/m、さらに好ましくは0.02〜0.2g/mである。塗工量が0.005g/m未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5g/mを超える塗布層は、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやすい。
次に、本発明の白色離型ポリエステルフィルムの離型層を設ける方法について説明するが、セルロース誘導体(A)、付加反応型シリコーン(B)、MQレジン(C)および触媒が含まれることが経時で安定した重剥離の離型層を得るために好適である。
これらは一旦トルエンやトルエン/MEKなどの溶剤組成物として配合された後、オフラインコーティングによって前述の帯電防止性塗布層が設けられた白色ポリエステルフィルム上に設けられることが一般的であり、本発明においても好ましい。
セルロース誘導体(A)としては筆記性を発現させると同時に離型層を重剥離化させるものとして、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース誘導体を適宜使用することができる。
付加反応型シリコーン(B)としては分子中にアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン、分子中にヒドロシリル基(Si−H)を含有するポリオルガノシロキサンであるが、いずれも1分子中に少なくとも2個以上のアルケニル基、ヒドロシリル基を有するものである。ポリオルガノシロキサンの主鎖または骨格を形成しているものとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルセイロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどが上げられる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが上げられるが、中でもビニル基、ヘキセニル基が好ましい。
MQレジン(C)は、M単位[RSiO1/2(式中Rは1価の炭化水素基)]で示されるシロキサン単位およびQ単位[SiO4/2]で示されるシロキサン単位を含むシリコーンレジンである。MQレジンは単独または2種以上組み合わされて用いられてもよく、D単位[RSiO2/2(式中、Rは1価の炭化水素)]やT単位[RSiO3/2(式中、Rは1価の炭化水素)]を含んでいてもよい。また、分子中にアルケニル基などの官能基を有していてもよい。MQレジン(C)は、全構成単位(100%)のうち、M単位およびQ単位の合計の割合が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。またM単位とQ単位との割合は特に限定されないが、M単位:Q単位(モル比で)、0.1:1.0〜1.3:1.0であることが好ましく、より好ましくは0.5:1.0〜1.0:1.0である。
MQレジン(C)の具体的な市販品の例としては、例えば、商品名「KS−3800」(信越化学工業株式会社製)、商品名「X−92−183」(信越化学工業株式会社製)、商品名「SD7292」(東レ・ダウコーニング株式会社製)、商品名「BY24−843」(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが上げられる。
ところで、本発明においては、セルロース誘導体(A)は離型層全体に対して20重量%以上含有されることが好ましいが、これは20重量%以上含有されないと十分な重剥離の離型層を得ることができず、本発明の効果が発揮されないからである。
本発明においては、常態剥離力が400mN/cm以上であることが必要である。400mN/cm未満では、本発明の効果が得られない。さらに、80℃で1週間保持後の常態剥離力の変化率が±20%以内である必要があり、この範囲を外れると、本発明の効果を享受することができない。
付加反応型シリコーン(B)とMQレジン(C)の重量比率は、0.2≦(C)/(B)≦2であることが好ましい。さらには、0.25≦(C)/(B)≧1.5であることがより好ましいが、(C)/(B)が0.2未満である場合、経時での軽剥離化を十分抑制することができないことがある。一方、(C)/(B)が2より大きい場合は、経時での重剥離化が起こること上がり、また、MQレジン(C)の増膜性が悪いことに起因し、得られる離型層の外観が非常に悪いものとなってしまうことがある。
本発明の離型層に用いられる触媒は付加反応用触媒であれば特に限定はされないが、例えば付加反応型シリコーン用の触媒として白金系触媒が一般的に用いられており、好ましく上げられる。白金系触媒としては、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体から選ばれた少なくとも1つの白金系触媒が好ましい。その中でもシロキサン構造部分を含む白金のオレフィン錯体が好ましく、さらにKarstedt触媒(米国特許第3715334号明細書、第3775452号明細書参照)がシリコーンの硬化性に優れる点で好ましい。
離型層中における触媒の量は特に限定されないが、白金系触媒である場合、全固形分に対して白金換算で10〜1000重量ppmであることが好ましい。10未満では反応が遅く硬化不足になりやすく、1000より多いと溶剤組成物のポットライフが短くなるおそれがある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、帯電防止性塗布層が設けられた白色ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては、硬化されれば特に限定されるものではないが、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、100〜200℃で15秒〜1分間、好ましくは120〜180℃で20〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。
離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下することがある。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは固型分としての「重量部」を示す。また、本発明で用いた評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステルフィルムに用いるフィラー(微粒子)の平均粒子径(d50:μm) 遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を平均粒径とした。
塗布層に用いる微粒子の平均粒子径(nm)
微粒子の分散液を、マイクロトラックUPA(日機装社製)にて、個数平均の50%平均径を測定して、これを平均粒子径(nm)とした。
(3)表面抵抗率
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、印加電圧100mVの条件で、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面抵抗率を測定した。
(4)透過濃度(OD値)
Macbeth社製 透過濃度測定装置 TD−904を使用し、フィルム透過濃度(OD値)を測定した。
(5)色調(L、a、b、W)
日本電色工業製色差計ZE2000タイプを用いて、反射法によりフィルム表面の測定を行った。2°視野、C光源を用い、表色系はLab(CIE1976)およびハンターW値とした。なお、フィルム厚さが合計約400μmになるようにフィルムを重ねて測定した。
(6)離型ポリエステルフィルムの常態剥離力(F)、変化率の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
さらに、離型ポリエステルフィルムを製造後、1日以上経過させたものの常態剥離力を(F0)とし、80℃熱風循環式オーブンの中で、1週間経過させたものの常態剥離力を(F1)とし、次式によって常態剥離力の変化率を求めた。
変化率%=(F1−F0)/F0×100
〈白色ポリエステルフィルムの製造〉
製造例1
ベント付き二軸押出機を使用し、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粒子を5重量%、平均粒子径3.5μmの不定形シリカ粒子を0.1重量%を含有させた、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート原料(A)を280℃〜300℃の温度で溶融押し出しし、静電密着法を併用しながら冷却ドラム上にキャストして、無定形フィルムを得た。このフィルムを82℃で縦方向に3.5倍延伸し、さらに120℃で横方向に4.0倍延伸し、230℃で熱処理して、透過濃度0.4、色調L、a、b、wがそれぞれ92.8、0.2、−1.9、92.6で、厚さ50μmの白色ポリエステルフィルムを得た。
〈帯電防止性塗布層を有する白色ポリエステルフィルムの製造1〉
製造例2
製造例1において縦延伸後のフィルムの片面に、別表の組成からなる水性塗布液を各々バーコート方式で塗布する以外は製造例1と同様にして、厚さ50μmの帯電防止性塗布層を有する白色ポリエステルフィルムを得た。
各塗布層を構成する化合物は以下のとおりである。
・ポリウレタン樹脂(1):
6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートとの反応により得られるポリカーボネートポリオール(GCPでの数平均分子量約1000)を76.7重量部と、ポリエチレングリコール(第一工業製薬社製、商品名PEG600、分子量600)を6.4重量部と、トリメチロールプロパンを2.0重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを19.9重量部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを84.0重量部と、MEK87重量部を反応容器に取り、70〜75℃で反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を16.8重量部添加し、50〜60℃で反応させて、カチオン性ウレタンポリマーを得た。これに水623重量部を添加して乳化させた後、MEKを回収することにより、ポリウレタン樹脂(1)の水分散体を得た。
・カチオン性高分子帯電防止剤(2):
ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いた4級アンモニウム塩含有カチオンポリマー((I)式のピロリジニウム環含有ポリマー)平均分子量約30000
・架橋剤(3):
2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとアクリル系モノマーとの共重合ポリマー型架橋剤水溶液(日本触媒社製 商品名 エポクロスWS−500)、オキサゾリン基量=4.5mmol/g
・微粒子(4):
コロイダルシリカ微粒子(平均粒径0.07μm)
〈帯電防止性塗布層を有する白色ポリエステルフィルムの製造2〉
製造例3:
製造例1において縦延伸後のフィルムの片面に、別表の組成からなる水性塗布液を各々バーコート方式で塗布する以外は製造例1と同様にして、厚さ50μmの帯電防止性塗布層を有する白色ポリエステルフィルムを得た。
各塗布層を構成する化合物は以下のとおりである。
(ア):ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電剤、アグファゲバルト社製 Orgacon ICP1010を濃アンモニア水で中和してpH=9とした物。
(イ1):前記式(3)で平均n=4であるポリグリセリン
(イ2):前記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格へ、ポリエチレンオキサイドが平均4分子付加した化合物。
(ウ):テレフタル酸282重量部、イソフタル酸282重量部、エチレングリコール62重量部、およびネオペンチルグリコール250重量部を成分とするポリエステルポリオールを(ウ1a)としたとき、(ウ1a)876重量部、トリレンジイソシアネート244重量部、エチレングリコール81重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させた物(濃度20%、25℃での粘度50mPa・s)。
(エ):下記式に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤
Figure 0006657705
上記式中のm、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す整数であり、ここではm+nの平均が10となるものを用いた。
実施例1:
下記表1の組成で帯電防止性塗布層が設けられた製造例2より得られた基材白色ポリエステルフィルム(50μm)に、シリコーン離型層を白色ポリエステルフィルムの帯電防止性塗布層の上に次のように設けて白色離型ポリエステルフィルムを得た。
シリコーン離型層は次に示す離型層組成からなる塗料(MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で調整)を、乾燥温度150℃、乾燥時間30秒で、塗布量が0.1g/m(乾燥後)になるようにして設けた。離型層の組成は表1のとおりとした。
・離型層組成
(A)エチルセルロース(X−62−9201A、固形分10%:信越化学工業製) 100部
(B)ポリジメチルシロキシジフェニルシロキサンを主成分とする付加反応シリコーン(X−62−9201B、固形分30%:信越化学工業製) 100部
(C)MQレジン(KS−3800、固形分30%、信越化学工業製) 100部
(D)白金系触媒(PL−50−T、信越化学工業製) 0.6部
実施例2、3:
実施例1で帯電防止性塗布層の組成を表1のように、シリコーン離型層の組成を表1のようにした以外は、実施例1と同様に白色離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例4〜9:
表1の組成で帯電防止性塗布層が設けられた製造例3より得られた基材白色ポリエステルフィルム(50μm)に、シリコーン離型層を白色ポリエステルフィルムの帯電防止性塗布層の上に次のように設けて白色離型ポリエステルフィルムを得た。離型層の組成は表1のとおりとした。
比較例1〜5:
実施例4のシリコーン離型層の組成を下記表2のようにした以外は、実施例4と同様に白色離型ポリエステルフィルムを得た。
比較例6:
製造例1より得られた帯電防止性塗布層が設けられていない白色ポリエステルフィルムを基材とした以外は、実施例2、5と同様に白色離型ポリエステルフィルムを得た。
各実施例、比較例の塗布層の組成、および評価結果を表に示す。
Figure 0006657705
Figure 0006657705
本発明の離型フィルムは、グリーシート製造用として好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 白色ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、帯電防止性塗布層とシリコーン離型層が順次設けられたフィルムであって、表面抵抗率が1×1012Ω以下であり、以下の離型ポリエステルフィルムの常態剥離力、変化率の評価において、常態剥離力が400mN/cm以上であり、80℃で1週間保持後の常態剥離力の変化率が±20%以内であり、シリコーン離型層の離型層中のセルロース誘導体(A)の割合が20重量%以上であり、付加反応型シリコーン(B)とMQレジン(C)の重量比率が0.2≦(C)/(B)≦2である離型ポリエステルフィルム。
    離型ポリエステルフィルムの常態剥離力、変化率の評価
    試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行う。さらに、離型ポリエステルフィルムを製造後、1日以上経過させたものの常態剥離力を(F0)とし、80℃熱風循環式オーブンの中で、1週間経過させたものの常態剥離力を(F1)とし、次式によって常態剥離力の変化率を求める。
    変化率%=(F1−F0)/F0×100
  2. 帯電防止性塗布層が下記の化合物(ア)、(イ)、および(ウ)を含有する塗布液から形成されたものである請求項に記載の離型ポリエステルフィルム。
    (ア):チオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体、またはチオフェンまたはチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体
    (イ):グリセリン(イ1)、ポリグリセリン(イ2)、グリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(イ3)、ポリアルキレンオキサイド(イ4)の群から選ばれる1種以上の化合物
    (ウ):ポリウレタン樹脂
  3. 請求項1または2に記載の離型ポリエステルフィルムのシリコーン離型層上にセラミック層を有することを特徴とするグリーンシート積層体。
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