JP6954100B2 - 離型フィルム及び粘着体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、耐溶剤性、離型層と基材との密着性、および、帯電防止性に優れ、
粘着層を離型層に直接塗工可能な離型シートに関する。また、本発明は離型シートの離型
層上に粘着層を設けた粘着体にも関する。
離型フィルムは、粘着面あるいは接着面を保護するものとして広く使用されている。離
型フィルムの離型面を構成する素材として最も一般的に使用されてきたのは、シロキサン
単位を含有するシリコーン系ポリマーであった。ところが、シリコーン系離型剤にはシロ
キサン系低分子物が内在するため、電子部材などの精密用途に適用された場合、これが揮
散して空気中で酸化されたものが固着しトラブルを生じる場合があった。このため、シロ
キサン源を持たず且つシリコーン系離型フィルムと同等の離型性を有するフィルムが求め
られていた。例えば、ハードディスク装置は、著しい勢いで高性能化、高密度化が進んで
おり、今後もこのような高性能化、高密度化は、さらに進行するものと考えられる。そし
て、ハードディスク装置の高性能化、高密度化がさらに進むと、前述したような微小なシ
リコーン化合物の堆積が、ハードディスクの読み込みや書き込みに悪影響を及ぼす可能性
が指摘されている。
珪素もハロゲン元素も含まない離型層の例として、ポリオレフィンあるいは長鎖アルキ
ル含有ポリマーなども以前より知られている。
また、粘着剤等の被着体から離型フィルムを剥離させた際に剥離帯電が発生する場合が
あり、その結果加工現場においては、異物等の付着或いは巻きこみによる不具合のみなら
ず、静電気障害によって近傍の電子素子が損層を受け製品不良が発生する等の深刻な不具
合が発生する場合があった。そのため製造工程における設備対応による帯電防止対策だけ
では必ずしも十分ではなく、離型フィルム自体の帯電防止処理が強く望まれる状況である
ポリオレフィンを用いて軽剥離を達成した例として、特許文献1〜5が挙げられる。こ
のうち特許文献1はポリオレフィンと基材フィルムの密着性が十分でなく、粘着剤と離型
層を剥離する際に離型層が粘着剤へ脱離する問題があった。また、ポリオレフィンは、剥
離性が良好であるものの耐熱性が高くないことから、加熱剥離力が重いという問題があっ
た。文献2〜5はポリオレフィンを有機溶剤に溶解し、さらにポリオレフィンポリオール
とイソシアネート系架橋剤を混合して塗布・乾燥することでポリオレフィンと基材との密
着性を改良および耐熱性の改善をしているが、ともに十分とは言えない。
また、帯電防止層を設けた例として、特許文献6〜9が挙げられる。文献6ではポリオ
レフィンと帯電防止剤を混合した離型層を設けることが提案されているが、帯電防止剤を
混合することにより、剥離力が重くなることを避けることができない。文献7では基材と
離型層の間に帯電防止層を設けることが提案されているが、離型層がポリオレフィンであ
り、加熱剥離力が大きくなるという問題点があった。特許文献8は特許文献7と同様に、
基材と離型層の間に帯電防止層を設け、離型層に酸変性ポリオレフィンを用いており、加
熱剥離力や塗膜の密着性の改善が図られているが、剥離力が未変性のポリオレフィンと比
較して重くなってしまう問題があった。文献9では、基材とシリコーン離型層の間に紫外
線照射で硬化させた帯電防止層を設けることでシリコーンの硬化阻害を防止し、剥離力が
軽く、帯電防止性のある離型フィルムが提案されているが、帯電防止層が紫外線照射を必
要とするため、基材の製膜時にインラインでのコーティングが困難であったり、紫外線照
射設備が必要であったりと生産性が良くない。また、離型層がシリコーンであることから
ハードディスクをはじめとした電子部材用途には適していない。
粘着剤の両側に離型フィルムを配置する基材レス粘着シートや転写塗工を採用する粘着
体では、離型層上に粘着剤液を塗布し加熱、乾燥したのち粘着剤液に含まれる有機溶剤を
蒸散させるとともに粘着剤の化学反応を行うことで粘着層を設ける。しかしながら、これ
までの非シリコーン離型材は、耐薬品性、耐熱性に劣っていたり、そもそも低い剥離力を
成し得ていなかったりしたため、基材レス粘着シートおよび転写塗工を採用する粘着体に
は不適とされてきた。
特開2001−246697 特開2011−52207 特開2011−94096 特開2012−87210 特開2012−87211 特開平10−86289 WO2009/069445 特開2009−101680 特開2005−153250
これらの従来技術の課題を考慮して、本発明は耐熱性、耐溶剤性、離型層と基材との密
着性、および帯電防止性に優れ、剥離力の軽い離型フィルムを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムの少な
くとも片面に帯電防止層と離型層が順次設けられた離型フィルムであって、当該離型層が
非反応性ポリオレフィン、反応性ポリオレフィン及び架橋剤を含有する樹脂組成物の硬化
層であり、当該離型層の表面抵抗率が特定値以下である離型フィルムであることにより、
上記課題を解決することを見出した。即ち、本発明の要旨は以下に存する。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止層と離型層が順次設けられた離
型フィルムであり、当該離型層が非反応性ポリオレフィン、反応性ポリオレフィン及び架
橋剤を含有する樹脂組成物の硬化層であり、当該離型層の表面抵抗率が1×1012Ω/
□以下である離型フィルム。
(2)前記反応性ポリオレフィンがポリオレフィンポリオール又は酸変性ポリオレフィン
である(1)に記載の離型フィルム。
(3)前記反応性ポリオレフィンの密度が1.0g/cm以下である(1)または(2
)に記載の離型フィルム。
(4)前記反応性ポリオレフィン中における官能基量が0.01〜5質量%である(1)
〜(3)のいずれかに記載の離型フィルム。
(5)
前記非反応性ポリオレフィンが、エチレンとα−オレフィンの共重合体である(1)〜
(4)のいずれかに記載の離型フィルム。
(6)前記非反応性ポリオレフィンの密度が0.85〜0.92g/cmである(1)
〜(5)のいずれかに記載の離型フィルム。
(7)前記架橋剤が、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート、エ
ポキシ化合物及びメラミン化合物からなる群から選ばれる(1)〜(6)のいずれかに記
載の離型フィルム。
(8)前記帯電防止層が、4級アンモニウム塩系化合物及び複素環共役系高分子から選ば
れる帯電防止剤を含有する(1)〜(7)のいずれかにに記載の離型フィルム。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積層さ
せた粘着体。
本発明によれば、耐熱性、耐溶剤性、離型層と基材との密着性、および帯電防止性に優
れた離型フィルムが提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止層と離型
層が順次設けられ、当該離型層が非反応性ポリオレフィン、反応性ポリオレフィン及び架
橋剤を含有する樹脂組成物の硬化層であり、当該離型層の表面抵抗率が1×1012Ω/
□以下である。本発明の離型フィルムは、後述する通り、帯電防止層に含有する帯電防止
剤の選択や、離型層を構成する材料、各層の厚み、離型フィルムの製造方法(各層の形成
方法)等を最適化することにより、たとえ帯電防止層が表面に露出していなくとも、その
上に設けた離型層が良好な帯電防止性能を発揮することができ、更に加熱等の環境変化が
あった場合でも安定した剥離力を維持することができる。
<ポリエステルフィルム>
本発明におけるポリエステルフィルム(以下、単に基材ということがある)は、単層構
成であっても2層以上の積層構成であってもよい。例えば、表層原料に高機能化されたポ
リエステルを用いて、効果的に各種の特性の向上を図る目的で、表層と中間層の原料を変
えて、3層構成にすることも可能である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フ
ィルムであってもよいが、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムである
ことがより好ましい。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエス
テルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリ
コールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が
挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示され
る。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種また
は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用すること
ができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合
物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この
中でも、アンチモン化合物は安価で触媒活性が高いという利点がある。
本発明におけるポリエステルフィルム中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防
止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合す
る粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例と
しては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カル
シウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チ
タン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工
程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状
、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限は
ない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜3μ
mの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を
与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0
.0003〜3質量%の範囲である。粒子がない場合、あるいは非常に少ない場合は、フ
ィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるた
め、後述の帯電防止層中に粒子を入れることにより滑り性を向上させる等の工夫が必要な
場合がある。また、粒子含有量が多すぎる場合は、フィルムの透明性が不十分な場合があ
る。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来
公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階に
おいて添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後
、添加するのがよい。また、押出機等によってポリエステルに粒子を溶融混練して配合す
ることもできる。
ポリエステルフィルムが3層以上の積層構成である場合は、表層のみに粒子を含有させ
ることも好ましい。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従
来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれ
ば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から
、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜125μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下
の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を乾燥
したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却
固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるた
めシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/
または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延
伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の
延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で
あり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の
延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり
、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き18
0〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィル
ムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用すること
もできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うの
が好ましい。
また、本発明においてはポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用す
ることもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好まし
くは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸
し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜3
5倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温
度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の
延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、
リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる
塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエス
テルフィルム上に後述の帯電防止層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能にな
ると共に帯電防止層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、好適な離型フィルム
を製造することができる。
なお、本発明の離型フィルムを構成する「ポリエステルフィルム」とは、予めフィルム
として成形されたもののみを意味するものではなく、離型フィルムにおいてポリエステル
層を構成していればよい。すなわち、「ポリエステルフィルム」は「ポリエステル層」と
同義である。よって、ポリエステルフィルムの表面に離型層をラミネートする態様のみな
らず、ポリエステル層と離型層とを共押出成形することによってポリエステルフィルムと
することもできる。
<帯電防止層>
本発明における帯電防止層は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられるも
のであり、具体的には、離型フィルムの離型層の表面抵抗率が低く、電荷を漏洩する機構
を持つ層のことである。前記離型層の表面抵抗率が低いほど、帯電防止性が良好であると
いえる。離型フィルムとして表面抵抗率が1×1012Ω/□以下であれば帯電防止性を
持つと言え、1×1010Ω/□以下であれば良好な帯電防止性であると言える。
本発明における帯電防止層に使用できる帯電防止剤としては、ポリアセチレンなどの脂
肪族共役系高分子;ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレンなどの芳香族共役系高分子
;、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン、アルキレンジオキシポリチオフェンな
どの複素環共役系高分子;ポリチエニレンビニレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)な
どの混合系共役高分子;、ポリアニリン、ポリチアジルなどの含ヘテロ原子共役系高分子
;カーボンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボン;酸化スズ、アンチモン
ドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウムなどの酸化スズ系超微粒子;4級アンモニウ
ム塩などのアンモニウム基を有する化合物;イオン液体;チオフェン系化合物;ボロン系
化合物;スルホン酸塩;リチウム塩;シロキサン系化合物などが挙げられる。これらの帯
電防止剤を単体もしくはバインダー樹脂、架橋剤等と混合した液状組成物として基材の表
面に塗工することにより、帯電防止層を形成することができる。特に4級アンモニウム塩
系化合物は入手のしやすさの観点から好ましい。また、帯電防止性の高さからは複素環共
役系高分子が好ましい。従って、帯電防止層に含まれる帯電防止剤は、4級アンモニウム
塩系含有化合物及び複素環共役系高分子から選ばれるのが好ましく、これらは1種を用い
ても複数種を用いてもよい。
4級アンモニウム塩系化合物の帯電防止剤としては、分子中の主鎖や側鎖に4級アンモ
ニウム塩基を含む構成要素を有する4級アンモニウム塩基含有ポリマーが好ましい。前記
4級アンモニウム塩基含有ポリマーの具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂
、ポリビニル系樹脂、ポリアミン系樹脂が挙げられる。
4級アンモニウム塩基含有ポリマーを構成する4級アンモニウム塩基を有する単量体と
しては、例えば、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、ヒドロキシアルキルアミ
ンの4級化物、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチ
ルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウ
ム塩、アクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩等の基を有す
る重合性単量体が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてもよいし、併用してもよ
い。
4級アンモニウム塩基の対イオンとなるアニオンとしては、例えば、ハロゲン、アルキ
ルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、スルファミン酸等
のイオンが挙げられる。中でも、耐熱性の点から、アルキルサルフェート、アルキルスル
ホネート、硝酸イオンが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有ポリマーには、必要に応じて、さらに、その他の単量体を共
重合してもよい。その他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル;(メ
タ)アクリル酸アミド;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;マレイン酸、フ
マル酸、オレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル化合物;スチレン、イソプ
レン、ブタジエン等の不飽和炭化水素化合物が挙げられる。
また、4級アンモニウム塩基含有ポリマーの分子量に関して、分子量が低すぎる場合は
、帯電防止層から容易に除去されて経時的に性能が低下、或いは製造過程において帯電防
止層のブロッキング等の不具合を生じる可能性がある。また、分子量が低いと耐熱安定性
に劣る傾向がある。
かかる観点より、4級アンモニウム塩基含有ポリマーの数平均分子量は、通常1000
以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上である。一方、数平均分
子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる可能性がある
ので、数平均分子量の上限は500,000以下、好ましくは200,000以下を目安
にするのが好ましい。また、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合
わせて用いてもよい。
帯電防止層における4級アンモニウム塩基含有ポリマーの配合量は、乾燥重量比で20
〜70質量%の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは40〜70質量%の範囲であ
る。
帯電防止層は帯電防止性を良好とするために、複素環共役系高分子が好ましく、中でも
ポリチオフェン又はその誘導体を含有することがより好ましい。ポリチオフェン誘導体と
しては、例えばチオフェン環の3位と4位の位置に官能基が結合した化合物が例示され、
3位と4位の炭素原子に酸素原子が結合した下記式(I)で表される化合物が塗液の水性
化のし易さから好ましい。
Figure 0006954100
上記式(I)において、R,Rはそれぞれ独立に、水素元素、炭素数1〜12の脂
肪族鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、もしくは芳香族炭化水素基を表し、RとR
が連結して環を形成してもよい。R,Rで表される水素原以外の基としては、具体的
には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基、フェニル基等が挙げられる。
また、RとRが連結して環を形成する場合の帯電防止剤としては、下記式(II)で
表されるポリチオフェン誘導体が挙げられる。
Figure 0006954100
上記式(II)において、nは1〜4の整数である。
例えば上記式(II)で、n=1(メチレン基)、n=2(エチレン基)、n=3(プロ
ピレン基)の化合物が好ましい。中でも特に好ましいのは、n=2のエチレン基の化合物
、すなわち、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
帯電防止層には、上記ポリチオフェンとポリ陰イオンとからなる組成物、又は上記ポリ
チオフェン誘導体とポリ陰イオンとからなる組成物を含有することが更に好ましい。
前記ポリ陰イオンとは「遊離酸状態の酸性ポリマー」を指し、高分子カルボン酸、ある
いは、高分子スルホン酸などが好ましい。高分子カルボン酸の具体例としては、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸が例示される。高分子スルホン酸の具体例と
して、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸が例示される。中でも、ポリスチ
レンスルホン酸が導電性の点で最も好ましい。なお、遊離酸の一部が中和された塩の形を
とってもよい。ポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体の重合時に、これらポリ陰イオ
ンを用いることにより、本来、水に不溶なポリチオフェン系化合物を水分散あるいは水性
化しやすく、かつ、酸としての機能がポリチオフェン系化合物のドーピング剤としての機
能も果たすものと考えられる。
また、高分子カルボン酸や高分子スルホン酸は、共重合可能な他のモノマー、例えば、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンなどと共重合した形で用いること
もできる。
ポリ陰イオンとして用いられる高分子カルボン酸や高分子スルホン酸の分子量は特に限
定されないが、帯電防止層の形成に用いられる帯電防止塗布液の安定性や導電性の点で、
その重量平均分子量は1000〜1000000が好ましく、より好ましくは5000〜
150000である。本発明の特性を阻害しない範囲で、一部リチウム塩やナトリウム塩
などのアルカリ塩やアンモニウム塩などを含んでもよい。中和された塩の場合も、非常に
強い酸として機能するポリスチレンスルホン酸とアンモニウム塩は、中和後の平衡反応の
進行により、酸性側に平衡がずれることが分かっており、これによりドーパントとして作
用すると考えられる。
ポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体に対して、ポリ陰イオンは、固形分重量比で
より過剰に存在させた方が導電性の点で好ましく、ポリチオフェン又はポリチオフェン誘
導体が1重量部に対し、ポリ陰イオンは1重量部〜5重量部が好ましく、1重量部〜3重
量部がより好ましい。上記ポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体とポリ陰イオンから
なる組成物に関して、例えば、特開平6−295016号公報、特開平7−292081
号公報、特開平1−313521号公報、特開2000−6324号公報、ヨーロッパ特
許EP602731号、米国特許US5391472号などに記載例があるが、これら以
外の方法であってもよい。一例を挙げると、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−
ジカルボキシエステルのアルカリ金属塩を出発物質として、3,4−エチレンジオキシチ
オフェンを得たのち、ポリスチレンスルホン酸水溶液にペルオキソ二硫酸カリウムと硫酸
鉄と、先に得た3,4―エチレンジオキシチオフェンを導入し、反応させ、ポリ(3,4
−エチレンジオキシチオフェン)などのポリチオフェンに、ポリスチレンスルホン酸など
のポリ陰イオンが複合体化した組成物を得る。
上記ポリチオフェンとポリ陰イオンからなる組成物、又は上記ポリチオフェン誘導体と
ポリ陰イオンからなる組成物については、例えば、「導電性ポリマー技術の最新動向」(
株式会社東レリサーチセンター発行、1999年6月1日、第1刷)にも記載例がある。
帯電防止層は、帯電防止剤に加えて、更にバインダー樹脂を含むのが好ましい。
帯電防止層を構成し得るバインダー樹脂とは、「高分子化合物安全性評価フロースキー
ム」(昭和60年11月、化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物
で、かつ造膜性を有するものと定義する。但し、前記ポリ陰イオンは除くものとする。
バインダー樹脂としては、帯電防止剤と相溶又は混合分散可能であれば、熱硬化性樹脂
であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイ
ミド樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6等のポリアミド樹脂;ポリフッ化ビニリデン
、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等の
ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル樹脂;エポキシ樹脂;オキセタン
樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン樹脂;ポ
リウレア樹脂;メラミン樹脂;フェノール樹脂;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が
挙げられる。これらバインダー樹脂は、有機溶剤に溶解されていてもよいし、スルホ基や
カルボキシル基などの官能基が付与されて水溶液化されていてもよい。
バインダー樹脂を用いる場合、帯電防止剤とバインダー樹脂の割合は、通常1:99〜
99:1質量%であり、好ましくは5:95〜95:5質量%である。中でも帯電防止剤
として4級アンモニウム塩基含有ポリマーを用いる時、帯電防止剤とバインダー樹脂の割
合は20:80〜70:30質量%がより好ましく、40:60〜70:30質量%がさ
らに好ましい。
また、本発明の離型フィルムにおける帯電防止層を形成する際に、造膜性や外観を向上
させるために、架橋剤を併用してもよい。
この架橋剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物
、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙
げられる。その中でも造膜性の観点からメラミン化合物、イソシアネート系化合物がより
好ましい。
架橋剤を用いる場合、帯電防止塗布液中の全不揮発成分における架橋剤の含有量は、好
ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは20〜4
0重量%である。
本発明の離型フィルムにおける帯電防止層の形成に使用する帯電防止塗布液は、消泡剤
、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、離型剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、界面活性剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これら
の添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、帯電防止塗布液は、取扱い上、作業環境上、また帯電防止組成物の安定性の面か
ら、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明
の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
次に本発明における離型フィルムを構成する帯電防止層の形成について説明する。帯電
防止層は、基材であるポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、イ
ンラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布す
る、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティング
により形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う
方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げ
るまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる
未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で
巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば
逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコー
ティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と帯電
防止層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーテ
ィング後に延伸を行うために、帯電防止層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき
、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。ま
た、延伸前にフィルム上に帯電防止層を設けることにより、帯電防止層を基材フィルムと
共に延伸することができ、それにより帯電防止層を基材フィルムに強固に密着させること
ができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフ
ィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することがで
き、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができ
る。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることがで
きるために、帯電防止層の造膜性が向上し、帯電防止層と基材フィルムをより強固に密着
させることができ、さらには、帯電防止層自身も強固なものとすることができ、耐湿熱性
等の性能を向上させることができる。
本発明において帯電防止層の塗膜の乾燥時、前記インラインコーティングを用いない場
合でも150℃以上の温度にすることが望ましい。150℃未満では乾燥に時間がかかり
生産性を悪くしたり、塗膜自身または密着の強度が低下したりする恐れがある。
本発明の帯電防止層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロー
ルコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコー
ト、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸
コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工
方式を用いることができる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学
処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
帯電防止層の膜厚は、最終的な被膜としてみた際に、通常0.005〜1.5μm、好
ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.02〜0.2μmである。膜厚が
0.005μm未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超える帯
電防止層は、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやす
い。
<離型層形成用組成物>
(非反応性ポリオレフィン)
本発明において使用する非反応性ポリオレフィンとは、実質的に反応性を有さないポリ
オレフィンである。より具体的には、後述する架橋剤との反応性を有さないポリオレフィ
ンを意味する。非反応性ポリオレフィンは単独で使用しても、2種以上を用いてもよい。
離型性と耐熱性の観点からは、ポリエチレン共重合体を用いることが好ましい。
ポリエチレン共重合体を用いる場合は、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等の遷
移金属触媒を用いて合成されたものを使用することが好ましい。なかでも、メタロセン触
媒を用いて合成されたものを使用すれば、離型性および耐熱性に優れた離型フィルムを得
ることができるという利点がある。ポリエチレン共重合体としては、具体的にはエチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチ
レン−オクテン共重合体等のエチレンとα−オレフィンの共重合体が挙げられる。
非反応性ポリオレフィンの密度は特に限定されないが、0.92g/cm3以下である
ことが好ましく、0.90g/cm3以下であるのがより好ましい。また、非反応性ポリ
オレフィンの密度は通常、0.85g/cm3以上である。非反応性ポリオレフィンの密
度が上記範囲であることで、離型性が良好となる傾向がある。
非反応性ポリオレフィンに含まれるエチレン単位の含有量は特に限定されないが、50
質量%以上、80質量%以下が好ましい。エチレン単位の含有量が80質量%以下である
ことで塗工中のゲルの発生が少なく、フィルターの昇圧や、離型フィルムの外観の悪化が
抑制され、生産性が良好となる傾向がある。またエチレン単位の含有量が50質量%以上
であることで、十分な離型性が得られる傾向がある。
本発明において、非反応性ポリオレフィンを一種のみ使用する場合、離型層形成時の塗
膜強度の観点等から、ポリオレフィンは、230℃、荷重2.16kgにおけるMFR(
メルトフローレート)が100g/10分以下であるものが好ましく、MFRが70g/
10分以下であるものがより好ましく、MFRが50g/10分以下であるものがさらに
一層好ましく、MFRが10g/10分以下であるものが特に好ましい。下限は特に限定
されないが、通常0.2g/10分以上である。
また、非反応性ポリオレフィンを2種以上使用する場合、そのうちの少なくとも1種類
が230℃、荷重2.16kgにおけるMFRが100g/10分以下であるものを用い
るのが好ましく、また、離型層中においてかかるMFRが100g/10分以下のポリオ
レフィンの割合が10質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
この条件を満たせば、他のポリオレフィンとして230℃、荷重2.16kgにおけるM
FRが100g/10分を超えるものを使用してもよい。
離型層形成用組成物中(離型層中)の非反応性ポリオレフィンの含有量は、好ましくは
80〜99質量%、より好ましくは90〜99質量%である。含有量が80質量%以上で
あることにより、剥離性が良好となり剥離力が小さい傾向があり、99質量%以下である
ことにより、架橋する成分が少なくなり過ぎず十分な塗膜強度が得られる傾向がある。
(反応性ポリオレフィン)
本発明において使用する反応性ポリオレフィンは、架橋剤と反応して3次元網目を形成
する。このような架橋反応を通して、離型層に耐熱性と耐薬品性を付与することができる

本発明で使用できる反応性ポリオレフィンは、架橋剤と反応し得るポリオレフィンであ
れば特に限定されないが、溶融や溶液状態において官能基を有する化合物を用いてポリオ
レフィンを変性したものや、触媒の存在下にエチレン等と反応性を有する化合物を共重合
する等の手法によって得られるもの等を挙げることができる。反応性基としては特に限定
されないが、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水基等が挙げられる。
具体的には、分子中にヒドロキシル基、エポキシ基等を有するポリオレフィンや、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコ
ニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリ
ルコハク酸等により変性されたポリオレフィン、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、
ハーフアミドを有するもの等が挙げられる。入手しやすさや、加熱後の剥離力の観点から
好ましくは、ヒドロキシル基を少なくとも分子中に平均して1個以上有する化合物、具体
的にはポリオレフィンポリオールが好ましい。基材密着性の観点からは無水マレイン酸に
より変性され、これに由来する基を少なくとも分子中に平均1個以上有する酸変性ポリオ
レフィンが好ましい。
低剥離力と基材に対する密着性を両立するためには、反応性ポリオレフィンに含まれる
官能基量は0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることが
より好ましい。この範囲であることにより、剥離力が小さく、かつ基材と離型層の密着性
が良好となる傾向がある。
また、剥離力の点から、反応性ポリオレフィンの密度は、1.0g/cm3以下が好ま
しく、特に0.94g/cm3以下が好ましく、特に0.90g/cm3以下が好ましい。
下限は特に限定されないが、通常、0.7g/cm3以上である。
反応性ポリオレフィンの具体例として、エチレン−α−オレフィン共重合体のヒドロキ
シ(メタ)アクリレート変性物、ポリエチレンのヒドロキシ(メタ)アクリレート変性物
、ポリプロピレンのヒドロキシ(メタ)アクリレート変性物、ポリオレフィンポリオール
、エチレン−α−オレフィン共重合体のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物
、ポリエチレンのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、核水添スチレンジエ
ン共重合体のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート変性物、ポリプロピレンのエポキ
シ基を有する(メタ)アクリレート変性物、エチレン−α−オレフィン共重合体の酸変性
物等挙げられる。市販品を容易に入手できるためポリオレフィンポリオールが好ましい。
密着性の観点からは無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
ポリオレフィンポリオールの具体例としては三菱ケミカル社製ポリテールH(末端水酸
化水添ポリブタジエン)、出光興産社製Poly bd R−45HT(水酸基末端液状
ポリブタジエン)、出光興産社製Poly ip(水酸基末端液状ポリイソプレン)、出
光興産社製エポール(水酸基末端液状水添ポリイソプレン)、日本曹達社製GI−100
0(水酸基含有液状水添ポリブタジエン)、日本曹達社製GI−2000(水酸基含有液
状水添ポリブタジエン)、日本曹達社製GI−3000(水酸基含有液状水添ポリブタジ
エン)などが挙げられる。
市販の無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、三菱ケミカル社製モディックシリ
ーズや、三井化学社製タフマーシリーズのMP−0620、MH−7020、MA−85
10などが挙げられる。
反応性ポリオレフィンは分子中に異なる複数の種類の官能基を有していてもよい。また
、本発明で用いる反応性ポリオレフィンは、複数の反応性ポリオレフィンからなる組成物
であってもよい。
また、本発明において、離型層形成用組成物中(硬化前の離型層中)の反応性ポリオレ
フィンの含有量は、0.2〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%である。含有量
が0.2質量%以上であることで耐熱性や耐溶剤性が良好となる傾向がある。また30質
量%以下であることで剥離性が良好となり剥離力が小さくなる傾向がある。
(架橋剤)
架橋剤は、反応性ポリオレフィンにミクロに分散するか或いは相溶し、且つ架橋するこ
とでネットワークを形成し、それによって、耐熱性と耐薬品性を向上させる作用を有する
化合物である。架橋剤は、さらに基材表面に存在する官能基と反応または相互作用して離
型基材との密着性を向上させる作用も有する化合物であることが好ましい。
架橋剤は、通常、反応性ポリオレフィンと反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有す
る。反応性ポリオレフィンと反応しうる官能基を有する反応性ポリオレフィンを架橋剤と
して用いることもできる。
架橋剤としては、従来公知の各種の架橋剤を使用することが可能であり、例えば、メラ
ミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカ
ップリング化合物等が挙げられる。これらの中でも特に、反応性の観点から、イソシアネ
ートが好ましい。テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジ
イソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソ
シアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、
ノルボルネンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサンジイソシアネート、水素化ト
リレンジイソシアネート等及びそれらの付加体等の多官能イソシアネート、多価アルキル
アミン及びそれらの組成物が挙げられる。離型層の強度および耐熱性の観点より、1分子
中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネートが好ましい。
離型層の密着性の観点からは、エポキシ化合物が好ましい。具体例としては、N,N,
N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3
−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名
「テトラッドC」)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製
、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(共
栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグリシジル
エーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE−400」)、ポリ
プロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールP−2
00」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デ
ナコールEX−611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス
社製、商品名「デナコールEX−314」)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエー
テル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デ
ナコールEX−512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパ
ンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジ
ルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾ
ルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、分子内にエ
ポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
また、耐熱性や耐薬品性の点からはメラミン化合物が好ましい。メラミン化合物として
は、トリアジン環の3つの炭素原子にアミノ基がそれぞれ結合したいわゆるメラミン(1
,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)又はメラミンのアミノ基に種々の変性
を施した化合物が挙げられ、トリアジン環が複数縮合したものも含む。変性された化合物
としては、3つのアミノ基の水素原子のいくつかがアルキル化もしくはメチロール化され
たものが広く使用される。一般にアルキル化されたものよりもメチロール化もしくは置換
されていない水素原子の方が反応性が高く、用途に応じて適正な種類のメラミン化合物を
選定することができる。この中で好ましいのは、トリアジン環の縮合数が平均3以下で、
少なくとも1つ以上のアミノ基がアルキル化されたものであり、これらは溶剤への分散性
と樹脂との反応性の点で優れている。メラミン化合物の市販品としては、例えば、三井化
学社製のユーバン60R(イソブチル化メラミン樹脂)、日本サイテックインダストリー
社製のサイメルシリーズ、住友化学社製のスミマール、DIC社製のアミディアなどが挙
げられる。
従って、架橋剤としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネー
ト、エポキシ化合物及びメラミン化合物からなる群から選ばれるのが好ましい。
離型層形成用組成物中(硬化前の離型層中)の架橋剤の含有量は、0.05〜20質量
%であり、好ましい下限は0.1質量%、更に好ましくは0.5質量%であり、一方、好
ましい上限は10質量%である。含有量が0.5質量%以上であることで耐熱性・耐溶剤
性が良好となる傾向がある。また、含有量が20質量%以下であることで、剥離性が良好
となり剥離力が小さくなる傾向が強い。
(その他成分)
本発明における離型層形成用組成物には、その他必要に応じて、前記非反応性ポリオレ
フィン以外のオレフィン系樹脂、パラフィン、パラフィンワックス、プロセスオイル、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤や帯電防止剤、カーボ
ンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充
填剤、顔料、触媒等を適宜配合してもよい。
本発明の離型フィルムの製造に用いられる離型層形成用組成物には、離型層の反応を促
進させるために触媒を加えてもよい。触媒の種類は特に限定されないが、架橋剤としてイ
ソシアネートを用いる場合は、これと反応性ポリオレフィンとの反応を促進させる上で、
硬化触媒を用いることが好ましい。
架橋剤としてイソシアネートを用いる場合の硬化触媒としては、3級アミン、3級アミ
ンのカルボン酸塩、カルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナス
オクトエート等)及び有機金属化合物(ジブチルチンジラウレート等)が挙げられ、3級
アミンが好ましい。
3級アミンとしては、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−メチ
ルピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オク
タン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジ
アミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1
,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7(カルボン酸塩)及びビス(ジ
メチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)等が挙げられ、これらの2種以上を併用
してもよい。
また、架橋剤としてエポキシ化合物を用いる場合の硬化触媒としては、ベンジルジメチ
ルアミン、トリス(ジメチルアミンメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン
等の第3級アミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダソール、
1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[
5.4.0]ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジア
ザビシクロアルケン類、及びそれらの塩類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウ
ムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィ
ン化合物等;第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。
硬化触媒の含有量は特に限定されないが、反応促進の観点から0.01質量%以上が好
ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。一
方、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ま
しい。
また、架橋剤としてメラミン化合物を用いる場合は、これと反応性ポリオレフィンとの
反応を促進させる上で、酸硬化触媒を用いることが好ましい。
酸硬化触媒としては、例えば無水リン酸や無水アリールスルホン酸が好ましい。無水ア
リールスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノール
スルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールス
ルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等
があげられ、これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いて
もよい。また、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロ
ールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。
離型層形成用組成物中(硬化前の離型層中)の酸硬化触媒の含有量は特に限定されない
が、反応促進の観点から0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ま
しく、0.05質量%以上がさらに好ましい。一方、上限は5質量%以下が好ましく、4
質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
<離型フィルム>
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止層と離型
層が順次設けられた離型フィルムである。ポリエステルフィルム上の帯電防止層上に離型
層を形成する方法は特に限定されないが、離型層形成用組成物を希釈溶剤に溶解させ、そ
の溶液をポリエステルフィルム上の離型層に塗布後、乾燥させることにより得られる。溶
液濃度は特に限定されないが、通常、0.1〜5質量%の範囲内で調整される。
希釈溶剤としては、離型層形成用組成物を均一に溶解又は懸濁分散させることができれ
ば特に限定されないが、本発明における剥離剤が、ポリオレフィンを主成分としているた
め、主として炭化水素系溶剤を使用することが、均一に溶解させる観点から好ましい。炭
化水素系溶剤としては、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤
、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系
溶剤が例示される。更に必要に応じて、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセチ
ルアセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール等のアルコール類などを併用してもよい。
また、帯電防止層を有するポリエステルフィルム(以下、帯電防止層付基材と略するこ
とがある)への離型層形成用組成物の塗布方法は、キスロールコーター、ビードコーター
、ロッドコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど公知慣
用の方法が利用できる。乾燥方法についても特に限定はないが、最も一般的な方法は熱風
乾燥であり、帯電防止層付基材の耐熱性にもよるが80〜150℃程度の温度で乾燥させ
ることにより離型層が得られる。
また、離型層の厚さは30〜500nmが好ましく、より好ましくは45〜400nm
、最も好ましくは60〜300nmである。離型層の厚さが30nm未満の場合は、重剥
離となる場合があり、500nmを超えるとロール状に巻き取った時にブロッキングした
り、剥離力が大きくなったりする場合がある。
本発明の離型フィルムの常態剥離力は1mN/cm以上75mN/cm以下であること
が好ましく、更に好ましくは1mN/cm以上、70mN/cm以下である。75mN/
cmよりも剥離力が大きいものは使用できる粘着剤が限られるため、軽剥離の離型フィル
ムとしては75mN/cm以下が好ましい。
本発明の離型フィルムは、後述の実施例に記載の方法で測定した加熱剥離力を常態剥離
力で割った値が3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.0以下である。
3.0以下であることで、離型フィルムに十分な耐熱性を有することを示唆しており、粘
着剤を直接離型フィルム上に形成する手法に好適に用いられる。
同様に、後述の実施例に記載の方法で測定した溶剤処理後の剥離力を常態剥離力で割っ
た値が3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.0以下である。3.0以
下であることで、離型フィルムに十分な耐溶剤性を有することを示唆しており、粘着剤を
直接離型フィルム上に形成する手法に好適に用いられる。
また、本発明の離型フィルムの離型層の表面抵抗率は1×1012Ω/□以下であり、
好ましくは、1×1010Ω/□以下である。表面抵抗率は小さい程好ましい。表面抵抗
率が上記であることにより、粘着剤等の被着体から離型フィルムを剥離させた際の剥離帯
電を防止でき、その結果、加工現場にける異物等の付着・巻きこみによる不具合や、静電
気障害による近傍の電子素子の損層を抑制できる。
<粘着体>
本発明は、離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積層させた粘着体を提供するもので
ある。
前記粘着体の粘着剤層に用いる粘着剤としては、特に限定されないが、ゴム系、アクリ
ル系、ポリエステル系粘着剤等が挙げられ、このうちアクリル系粘着剤やポリエステル系
粘着剤は、安定した剥離性が得られるため好ましい。
アクリル系粘着剤は、溶液重合法、エマルション重合法、UV重合法などの慣用の重合
法により得られるアクリル系ポリマーを主剤とし、これに必要により、架橋剤、粘着付与
剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤などの各種の添加剤を加えることにより調製できる。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えばブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、必要に
より共重合可能な改質用モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートな
どのヒドロキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基含有モノマー、
スチレンなどのスチレン系モノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル類等の他のモノマ
ーを加えたモノマー混合物の共重合体が用いられる。
また、ポリエステル系粘着剤としては、脂肪族系カーボネートジオール(例えば、ブタ
ンジオール等のジオール成分とエチレンカーボネートなどのカーボネート化合物との反応
により得られるカーボネートジオールなど)を必須のポリオール成分としたポリエステル
系重合体を主剤とする粘着剤が挙げられる。
また、粘着剤層は、例えば粘着剤を含む溶液を離型フィルムの離型層上に塗布し、これ
を乾燥させることにより形成することができる。また、粘着剤層の厚みは、粘着性などを
考慮して適宜選択することができ、通常3〜100μm、好ましくは5〜90μm、さら
に好ましくは10〜80μmである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおり
である。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精
秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを
加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SA−CP3型)を使用して測定した
等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムの常態剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工社製「No.31B」)の片面
を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥
離力を測定した。剥離力は、引張試験機(インテスコ社製「インテスコモデル2001型
」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(4)離型フィルムの加熱剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工社製「No.31B」)の片面
を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、100℃にて1時間放置し
、常温(23℃)に冷却後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機(インテスコ社製
「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180
°剥離を行った。
(5)離型フィルムの離型層の基材密着性評価(実用特性代用評価)
塗工直後の試料フィルムの離型面を触手により20回擦り、離型層の脱落程度を下記判
定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない、あるいは塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能
なレベル)
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(6)表面抵抗率
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:H
P16008Bを使用し、印加電圧100mVの条件で、23℃,50%RHの測定雰囲
気でサンプルを30分間調湿後、表面抵抗率を測定した。
実施例および比較例において使用した材料は、以下のようにして準備したものである。
[基材の原料]
・ポリエステルA1:
ポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.66dl/g)
・ポリエステルA2:
平均粒径2μmの非晶質シリカを1000ppm含有するポリエチレンテレフタレート
ホモポリマーのチップ(固有粘度:0.62dl/g)
[離型層の原料]
<非反応性ポリオレフィン>
・エチレン−プロピレン共重合体C1:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(1H−NM
Rによる組成質量比:エチレン/プロピレン=74/26、MFR(230℃,荷重2.
16kg)2.0g/10分、密度0.86g/cm3)。
<帯電防止塗布液の調整>
(帯電防止塗布液B1)
ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電剤(アグファ
ゲバルト社製、Orgacon ICP1010)を濃アンモニア水で中和してpH=9
としたものを5質量%、下記記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格へ、ポリエチ
レンオキサイドが平均4分子付加した化合物を90質量%、下記式(4)に示す、側鎖に
ポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤(下記式(4)中のm、n
はエチレンオキサイドの付加モル数を示す整数であり、m+nの平均が10となるもの)
を5質量%となるように混合し、帯電防止塗布液B1を得た。
Figure 0006954100
Figure 0006954100
(帯電防止塗布液B2)
下記式(5)の繰り返し単位を有する、数平均分子量50000の帯電防止剤を50質量
%、エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロ
ールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(質量%)の乳化重合体(
乳化剤:アニオン系界面活性剤)を25質量%、ヘキサメトキシメチロールメラミンを2
5質量%となるように混合し、帯電防止塗布液B2を得た。
Figure 0006954100
<反応性ポリオレフィン>
・三菱ケミカル社製、ポリテールH(水酸基を有するポリブタジエンの水素化物、数平均
分子量2700、NMRより求めた水酸基量1.5質量%、密度0.85g/cm3
・三井化学社製 タフマーMA8510(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重
合体、密度0.885g/cm3
<架橋剤>
・三菱化学社製、脂肪族3官能イソシアネート・トリオール付加体、
マイテックNY718A(75質量%酢酸ブチル溶液)
・三井化学社製、脂環式3官能イソシアネート・トリメチロールプロパン付加体
タケネートD120N(75質量%酢酸エチル溶液)
・三井化学社製、芳香族3官能イソシアネート・トリメチロールプロパン付加体
タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)
・ナガセケムテックス社製、多官能エポキシ化合物
デナコールEX−611
・DIC社製、イソブチル化変性メラミン樹脂
アミディアG-1825(60質量%ブタノール溶液)
<硬化触媒>
・和光純薬工業社製、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン
<酸性触媒>
・和光純薬工業製 p−トルエンスルホン酸
実施例1:
(基材の作製)
前記ポリエステルA1を中間層用の原料とし、前記ポリエステルA2を表層用の原料と
し、各原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して、表層/中間層/表層の2種
3層積層の無定形シートを冷却したキャスティングドラム上に共押出し冷却固化させて無
配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に90℃で3.4倍に延伸した。その後前記帯電防止塗布
液B2を乾燥後の厚みが0.03μmとなるように塗布した後にテンター内で予熱工程を
経て120℃で幅方向(横方向)に4.1倍に延伸を行い、230℃で3秒間の熱処理を
行い、基材としてのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの厚さ
は38μmであり、表層/中間層/表層の厚み構成は3μm/32μm/3μmであった
エチレン−プロピレン共重合体C1、および、ポリテールHをそれぞれ、トルエンとと
もに加熱することによって、2%濃度のトルエン溶液を得た。離型層形成用組成物(以下
、離型剤と略することがある)中の固形分中の組成がエチレン−プロピレン共重合体C1
/ポリテールH/マイテックNY718A/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オク
タン=95/3/1/1(質量部)となるように混合して離型剤液を得た。離型剤液を、
上記で得たポリエステルフィルムにマイヤーバーにより塗布し、150℃のドライヤーで
30秒乾燥させ、厚み0.2μmの離型層を有する離型シートを得た。
実施例2:
帯電防止層を帯電防止塗布液B1にて形成し、離型層をエチレン−プロピレン共重合体
C1/ポリテールH/タケネートD120N/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オ
クタン=95/3/1/1(質量部)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを
作成した。
実施例3:
離型層をエチレン−プロピレン共重合体C1/ポリテールH/アミディアG−1825
/p−トルエンスルホン酸=88.5/10/1/0.5(質量部)とした以外は実施例
1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例4:
離型層をエチレン−プロピレン共重合体C1/タフマーMA8510/デナコールEX
611/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=77/20/2/1(質量部
)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例1:
帯電防止層を帯電防止塗布液B1にて形成し、離型層をエチレン−プロピレン共重合体
C1のみの層とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例2:
離型層をタフマーMA8510/デナコールEX611/1,4−ジアザビシクロ[2
,2,2]オクタン=89/10/1(質量部)とした以外は実施例1と同様にして離型
フィルムを作成した。
比較例3:
離型層を以下のシリコーン離型剤S1で形成した以外は実施例1と同様にして離型フィ
ルムを作成した。
<シリコーン離型剤S1の調製>
シリコーン離型剤(信越化学社製、KS−847H)を99質量%、白金含有硬化触媒
(信越化学社製、cat PL−50T)を1質量%添加した混合物を、シリコーン離型
剤S1として調製した。
比較例4:
帯電防止層を帯電防止塗布液B1にて形成し、離型層を比較例3のシリコーン離型剤S
1で形成した以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
表1に実施例および比較例で作成した離型フィルムの評価結果を示す。
Figure 0006954100
実施例1〜4より、基材と離型層の間に帯電防止層を有しながら、帯電防止層を有する
基材への密着性が良好かつ剥離力が小さく、加熱後の剥離力が変化しづらい離型フィルム
を作成することができた。一方、基材と離型層の間に帯電防止層を有する比較例の内、比
較例1は離型層に反応性ポリオレフィンが含まれていないため、基材密着性が不十分であ
り、加熱剥離力も顕著に上昇していた。比較例2は離型層に非反応性ポリオレフィンが含
まれていないため、常態剥離力及び加熱剥離力の何れも大きくなった。比較例3、4では
シリコーン離型剤を用いた離型層であるため、基材密着性が悪くなった。このように比較
例からは基材密着性が良好かつ剥離力が小さく、加熱後の剥離力が変化しづらい離型フィ
ルムを得ることはできなかった。

Claims (9)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に帯電防止層と離型層が順次設けられた離型フ
    ィルムであり、当該離型層が非反応性ポリオレフィン、反応性ポリオレフィン及び架橋剤
    を含有する樹脂組成物の硬化層であり、当該離型層の表面抵抗率が1×1012Ω/□以
    下である離型フィルム。
  2. 前記反応性ポリオレフィンがポリオレフィンポリオール又は酸変性ポリオレフィンであ
    る請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記反応性ポリオレフィンの密度が1.0g/cm以下である請求項1または2に記
    載の離型フィルム。
  4. 前記反応性ポリオレフィン中における官能基量が0.01〜5質量%である請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  5. 前記非反応性ポリオレフィンが、エチレンとα−オレフィンの共重合体である請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  6. 前記非反応性ポリオレフィンの密度が0.85〜0.92g/cmである請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  7. 前記架橋剤が、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート、エポキ
    シ化合物及びメラミン化合物からなる群から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の離型フィルム。
  8. 前記帯電防止層が、4級アンモニウム塩系化合物及び複素環共役系高分子から選ばれる
    帯電防止剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積層させ
    た粘着体。
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