JP6954087B2 - 離型フィルム及び粘着体 - Google Patents

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本発明は、耐熱性、耐薬品性(耐溶剤性)、離型層と基材との密着性に優れ、粘着剤層
を離型層に直接塗工可能な離型シートに関する。また、本発明は、離型シートの離型層上
に粘着剤層を設けた粘着体にも関する。
離型フィルムは、粘着面あるいは接着面を保護するものとして広く使用されている。離
型フィルムの離型面を構成する素材として最も一般的に使用されてきたのは、シロキサン
単位を含有するシリコーン系ポリマーであった。ところが、シリコーン系離型剤にはシロ
キサン系低分子物が内在するため、電子部材などの精密用途に適用された場合、これが揮
散して空気中で酸化されたものが固着しトラブルを生じる場合があった。このため、シロ
キサン源を持たず且つシリコーン系離型フィルムと同等の離型性を有するフィルムが求め
られていた。例えば、ハードディスク装置は、著しい勢いで高性能化、高密度化が進んで
おり、今後もこのような高性能化、高密度化は、さらに進行するものと考えられる。そし
て、ハードディスク装置の高性能化、高密度化がさらに進むと、前述したような微小なシ
リコーン化合物の堆積が、ハードディスクの読み込みや書き込みに悪影響を及ぼす可能性
が指摘されている。
珪素もハロゲン元素も含まない離型層の例として、ポリオレフィンあるいは長鎖アルキ
ル含有ポリマーなども以前より知られている。
ポリオレフィンを用いて剥離力の低減を達成した例として、特許文献1〜6が挙げられ
る。このうち特許文献1はポリオレフィンと基材フィルムの密着性が十分でなく、粘着剤
と離型層を剥離する際に離型層が粘着剤側へ脱離する問題があった。また、ポリオレフィ
ンは、剥離性が良好であるものの耐熱性が高くないことから、加熱剥離力が大きくなると
いう問題があった。特許文献2〜5はポリオレフィンを有機溶剤に溶解し、さらにポリオ
レフィンポリオールとイソシアネート系架橋剤を混合して塗布・乾燥することでポリオレ
フィンと基材との密着性を改良がなされているが、十分とは言えない。特許文献6は酸変
性されたポリオレフィンと架橋剤からなる塗膜を基材上に形成しているが、剥離特性が十
分ではなく、基材と離型層との密着性、耐熱性、耐溶剤性の評価はなされていなかった。
粘着剤の両側に離型フィルムを配置する基材レス粘着シートや転写塗工を採用する粘着
体では、離型層上に粘着剤液を塗布し加熱、乾燥したのち粘着剤液に含まれる有機溶剤を
蒸散させるとともに粘着剤の化学反応を行うことで粘着剤層を設ける。しかしながら、こ
れまでの非シリコーン離型材は、耐薬品性(耐溶剤性)、耐熱性に劣っていたり、そもそ
も低い剥離力を生得していなかったりしたため、基材レス粘着シートおよび転写塗工を採
用する粘着体には不適とされてきた。
特開2001−246697号公報 特開2011−52207号公報 特開2011−94096号公報 特開2012−87210号公報 特開2012−87211号公報 特開2009−101680号公報
これらの従来技術の課題を考慮して、本発明は、耐熱性、耐溶剤性、離型層と基材との
密着性に優れ、剥離力の小さい離型フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、離型フィルムの離型層
が、非反応性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンおよび架橋剤を含有する樹脂組成物
の硬化層であることにより、上記課題を解決することを見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層が設けられた離型フィルムであり
、当該離型層が非反応性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンおよび架橋剤を含有する
樹脂組成物の硬化層であることを特徴とする離型フィルム。
(2)前記非反応性ポリオレフィンのエチレン単位が50質量%以上80質量%以下であ
る前記(1)に記載の離型フィルム。
(3)前記非反応性ポリオレフィンが、エチレンとα−オレフィンの共重合体である前記
(1)又は(2)に記載の離型フィルム。
(4)前記非反応性ポリオレフィンの密度が0.85〜0.92g/cmである前記(
1)〜(3)のいずれかに記載の離型フィルム。
(5)前記酸変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸で変
性されたものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の離型フィルム。
(6)前記酸変性ポリオレフィンに含まれる官能基量が0.1〜5質量%である前記(1
)〜(5)のいずれかに記載の離型フィルム。
(7)前記酸変性ポリオレフィンの密度が、0.94g/cm3以下である前記(1)〜
(6)のいずれかに記載の離型フィルム
(8)前記架橋剤がエポキシ化合物である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の離型フ
ィルム。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積
層させた粘着体。
本発明によれば、耐熱性、耐薬品性(耐溶剤性)、離型層と基材との密着性に優れ、剥
離力の小さい離型フィルムが提供される。
<ポリエステルフィルム>
本発明におけるポリエステルフィルム(以下、単に基材ということがある)は、単層構
成であっても2層以上の積層構成であってもよい。例えば、表層原料に高機能化されたポ
リエステルを用いて、効果的に各種の特性の向上を図る目的で、表層と中間層の原料を変
えて、3層構成にすることも可能である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フ
ィルムであってもよいが、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムである
ことがより好ましい。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエス
テルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリ
コールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が
挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示され
る。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種また
は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用すること
ができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合
物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この
中でも、アンチモン化合物は安価で触媒活性が高いという利点がある。
本発明におけるポリエステルフィルム中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防
止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合す
る粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例と
しては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カル
シウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チ
タン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工
程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状
、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限は
ない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜3μ
mの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を
与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0
.0003〜3質量%の範囲である。粒子がない場合、あるいは非常に少ない場合は、フ
ィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるた
め、塗布層中に粒子を入れることにより滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある
。また、粒子含有量が多すぎる場合は、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来
公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階に
おいて添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後
、添加するのがよい。また、押出機等によってポリエステルに粒子を溶融混練して配合す
ることもできる。
ポリエステルフィルムが3層以上の積層構成である場合は、表層のみに粒子を含有させ
ることも好ましい。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従
来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれ
ば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から
、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜125μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下
の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を乾燥
したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却
固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるた
めシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/
または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延
伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の
延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で
あり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の
延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり
、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き18
0〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィル
ムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用すること
もできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うの
が好ましい。
また、本発明においてはポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用す
ることもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好まし
くは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸
し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜3
5倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温
度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の
延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、
リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる
塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエス
テルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗
布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、好適な離型フィルムを製造すること
ができる。
なお、本発明の離型フィルムを構成する「ポリエステルフィルム」とは、予めフィルム
として成形されたもののみを意味するものではなく、離型フィルムにおいてポリエステル
層を構成していればよい。すなわち、「ポリエステルフィルム」は「ポリエステル層」と
同義である。よって、ポリエステルフィルムの表面に離型層をラミネートする態様のみな
らず、ポリエステル層と離型層とを共押出成形することによってポリエステルフィルムと
することもできる。
<離型層形成用組成物>
(非反応性ポリオレフィン)
本発明において使用する非反応性ポリオレフィンとは、実質的に反応性を有さないポリ
オレフィンである。より具体的には、架橋剤との反応性を有さないポリオレフィンを意味
する。非反応性ポリオレフィンは単独で使用しても、2種以上を用いてもよい。離型性と
耐熱性の観点からは、ポリエチレン共重合体を用いることが好ましい。
ポリエチレン共重合体を用いる場合は、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等の遷
移金属触媒を用いて合成されたものを使用することが好ましい。なかでも、メタロセン触
媒を用いて合成されたものを使用すれば、離型性および耐熱性に優れた離型フィルムを得
ることができるという利点がある。ポリエチレン共重合体としては、具体的にはエチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチ
レン−オクテン共重合体等のエチレンとα−オレフィンの共重合体が挙げられる。
非反応性ポリオレフィンの密度は、特に限定されないが、0.92g/cm3以下であ
ることが好ましく、0.90g/cm3以下であるのがより好ましい。また、非反応性ポ
リオレフィンの密度は通常0.85g/cm3以上である。非反応性ポリオレフィンの密
度が上記範囲であることで、離型性が良好となる傾向がある。
非反応性ポリオレフィンに含まれるエチレン単位の含有量は特に限定されないが、50
質量%以上、80質量%以下が好ましい。エチレン単位の含有量が80質量%以下である
ことで塗工中のゲルの発生が少なく、フィルターの昇圧や、離型フィルムの外観の悪化が
抑制され、生産性が良好となる傾向がある。またエチレン単位の含有量が50質量%以上
であることで、十分な離型性が得られる傾向がある。
本発明において、非反応性ポリオレフィンを一種のみ使用する場合、離型層形成時の塗
膜強度の観点等から、非反応性ポリオレフィンは、230℃、荷重2.16kgにおける
MFR(メルトフローレート)が100g/10分以下であるものが好ましく、MFRが
70g/10分以下であるものがより好ましく、MFRが50g/10分以下であるもの
がさらに一層好ましく、MFRが10g/10分以下であるものが特に好ましい。下限は
特に限定されないが、通常0.2g/10分以上である。
また、非反応性ポリオレフィンを2種以上使用する場合、そのうちの少なくとも1種類
が230℃、荷重2.16kgにおけるMFRが100g/10分以下であるものを用い
るのが好ましく、また、離型層中においてかかるMFRが100g/10分以下のポリオ
レフィンの割合が10質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
この条件を満たせば、他のポリオレフィンとして230℃、荷重2.16kgにおけるM
FRが100g/10分を超えるものを使用してもよい。
離型層形成用組成物中の非反応性ポリオレフィンの含有量は、好ましくは80〜99質
量%、より好ましくは90〜99質量%である。含有量が80質量%以上であることによ
り、剥離性が良好となり剥離力が小さい傾向があり、99質量%以下であることにより、
架橋する成分が少なくなり過ぎず十分な塗膜強度が得られる傾向がある。
(酸変性ポリオレフィン)
本発明において使用する酸変性ポリオレフィンは、架橋剤と反応して3次元網目を形成
する。このような架橋反応を通して、離型層に耐熱性と耐薬品性(耐溶剤性)を付与する
ことができる。
酸変性ポリオレフィンは分子中の酸変性されていない部分がエチレンと1種以上のα−
オレフィンからなる単位で構成されていることが好ましい。α−オレフィンとしては、例
えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデ
セン等が挙げられる。これらの中でも、経済性の観点や入手のしやすさの観点から、プロ
ピレン又は1−ブテンが好ましい。
酸変性ポリオレフィンにおける、エチレン単位の質量比は、50質量%以上80質量%
以下が好ましく、より好ましくは60質量%以上75質量%以上である。エチレン成分が
50質量%であることで離型性が良好となる傾向があり、80質量%以下であることによ
り塗工時のゲル発生が小さい傾向がある。
本発明で使用できる酸変性ポリオレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸
、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フ
マル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等により変性されたポ
リオレフィンや、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子
内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合
物が挙げられる。入手のしやすさから無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸によ
り変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸変性ポリオレフィンがより好ま
しい。
市販の酸変性ポリオレフィンとしては、三菱ケミカル社製モディックシリーズや、三井
化学社製タフマーシリーズのMP−0620、MH−7020、MA−8510などが挙
げられる。
低剥離力と基材に対する密着性を両立するためには、酸変性ポリオレフィンに含まれる
官能基量は0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより
好ましい。上記範囲であることにより、剥離力が小さく、かつ基材と離型層の密着性が良
好となる傾向がある。ここで言う官能基量とは、カルボキシル基及び酸無水物基の含有量
を意味し、他の官能基は含まない。
酸変性ポリオレフィンの密度が低ければ、剥離力に与える影響を軽減することができる
ので、密度は0.94g/cm3以下が好ましく、0.90g/cm以下であるのがよ
り好ましい。一方、下限は特に限定されないが、0.80g/cm以上であるのが好ま
しい。
酸変性ポリオレフィンは、離型層形成時の塗膜強度の観点から、230℃、荷重2.1
6kgにおけるMFR(メルトフローレート)が100g/10分以下であるものが好ま
しく、MFRが70g/10分以下であるものがより好ましく、MFRが50g/10分
以下であるものがさらに一層好ましく、MFRが10g/10分以下であるものが特に好
ましい。一方、下限は特に限定されないが、通常0.2g/10分以上である。
酸変性ポリオレフィンは分子中にカルボキシル基または酸無水物基以外の官能基、例え
ば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、グリシジル基等を有していてもよい。ま
た、本発明で用いる酸変性ポリオレフィンは、複数の酸変性ポリオレフィンからなる組成
物であってもよい。
また、本発明において 離型剤形成用組成物中の酸変性ポリオレフィンの含有量は、好
ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%である。含有量が1質量%以上
であることで耐熱性や耐溶剤性が良好となる傾向がある。また40質量%以下であること
で、剥離力が小さくなる傾向がある。
(架橋剤)
架橋剤は、酸変性ポリオレフィンと反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する化合
物である。酸変性ポリオレフィンと反応しうる官能基を有する反応性ポリオレフィンを架
橋剤として用いることもできる。
架橋剤は、酸変性ポリオレフィンにミクロに分散するか或いは相溶し、且つ酸変性ポリオ
レフィンと架橋することでネットワークを形成し、それによって、耐熱性と耐薬品性を向
上させる作用を有する化合物である。該架橋剤は、さらに基材表面に存在する官能基と反
応または相互作用して基材との密着性を向上させる作用も有する化合物であることが好ま
しい。
架橋剤としては、従来公知の各種の架橋剤を使用することが可能であり、例えば、メラ
ミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカ
ップリング化合物等が挙げられる。これらの中でも特に、酸変性ポリオレフィンとの反応
性の観点からイソシアネートが好ましい。具体例としてはテトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トランス−シク
ロヘキサンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート等及びそれらの付加体等
の多官能イソシアネート、多価アルキルアミン及びそれらの組成物が挙げられる。離型層
の強度および耐熱性の観点からは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシ
アネートが好ましい。
離型層の密着性、耐熱性の観点からは、エポキシ化合物が好ましい。具体例としては、
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン
、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製
、商品名「テトラッドC」)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社
化学社製、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエー
テル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE−400」
)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオー
ルP−200」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商
品名「デナコールEX−611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケム
テックス社製、商品名「デナコールEX−314」)、ペンタエリスリトールポリグリシ
ジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商
品名「デナコールEX−512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジ
グリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、分
子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
離型層形成用組成物(硬化前の離型層)中の架橋剤の含有量は、0.5〜20質量%で
あり、好ましくは0.5〜10質量%である。含有量が0.5質量%以上であることで十
分な耐熱性・耐溶剤性を得ることができる傾向がある。また、含有量が20質量%以下で
あることで剥離性が良好となり剥離力が小さくなる傾向がある。
(その他成分)
本発明の離型層形成用組成物には、その他必要に応じて、前記非反応性ポリオレフィン
および反応性ポリオレフィン以外のオレフィン系樹脂、パラフィン、パラフィンワックス
、プロセスオイル、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤
や帯電防止剤、カーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜
鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、触媒等を適宜配合してもよい。
本発明の離型フィルムの製造に用いられる離型層形成用組成物には、離型層の反応を促
進させるために触媒を加えてもよい。触媒の種類は特に限定されないが、離型層形成用組
成物に含まれる酸変性ポリオレフィンと架橋剤との反応を促進させる上で、硬化触媒を用
いることが好ましい。
架橋剤としてイソシアネートを用いる場合の硬化触媒としては、3級アミン、3級アミ
ンのカルボン酸塩、カルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナス
オクトエート等)及び有機金属化合物(ジブチルチンジラウレート等)が挙げられ、3級
アミンが好ましい。
3級アミンとしては、例えば、N−エチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピロリ
ジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジエチルエタノ
ールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジメ
チルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ
−[5,4,0]−ウンデセン−7(カルボン酸塩)及びビス(ジメチルアミノエチル)
エーテル(カルボン酸塩)並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
また、架橋剤としてエポキシ化合物を用いる場合の硬化触媒としては、ベンジルジメチ
ルアミン、トリス(ジメチルアミンメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン
等の第3級アミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダソール、
1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[
5.4.0]ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジア
ザビシクロアルケン類、及びそれらの塩類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウ
ムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物;トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィ
ン化合物等;第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。
硬化触媒の含有量は特に限定されないが、反応促進の観点から0.01質量%以上が好
ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。一
方、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ま
しい。
<離型フィルム>
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層が設けられ
たものであるが、該離型層を積層する方法は限定されない。具体的には、離型層を構成す
る組成物を希釈溶剤に溶解させ、その溶液を基材に塗布後、乾燥させることにより得られ
る。溶液濃度(固形分濃度)は特に限定されないが、通常、0.1〜5質量%の範囲内で
調整される。
希釈溶剤としては、離型層形成用組成物を均一に溶解又は懸濁分散させることができれ
ば特に限定されないが、本発明における剥離剤が、ポリオレフィンを主成分としているた
め、主として炭化水素系溶剤を使用することが、均一に溶解又は懸濁分散させる観点から
好ましい。炭化水素系溶剤としては、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族炭
化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素系溶剤が例示される。更に必要に応じて、メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノン、アセチルアセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール等のアルコール類などを併用してもよい。
また、離型層形成用組成物の基材への塗布方法は、キスロールコーター、ビードコータ
ー、ロッドコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど公知
慣用の方法が利用できる。乾燥方法についても特に限定はないが、最も一般的な方法は熱
風乾燥であり、基材の耐熱性にもよるが80〜150℃程度の温度で乾燥させることによ
り離型層が得られる。
また、離型層の厚さは30〜500nmが好ましく、より好ましくは45〜400nm
、最も好ましくは60〜300nmである。離型層の厚さが30nm未満の場合は、剥離
力が大きくなる場合があり、500nmを超えるとロール状に巻き取った時にブロッキン
グしたり、剥離力が大きくなったりする場合がある。
<粘着体>
本発明は、離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積層させた粘着体を提供するもので
ある。
前記粘着体の粘着剤層に用いる粘着剤としては、特に限定されないが、ゴム系、アクリ
ル系、ポリエステル系粘着剤等が挙げられ、このうちアクリル系粘着剤やポリエステル系
粘着剤は、安定した剥離性が得られるため好ましい。
アクリル系粘着剤は、溶液重合法、エマルション重合法、UV重合法などの慣用の重合
法により得られるアクリル系ポリマーを主剤とし、これに必要により、架橋剤、粘着付与
剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤などの各種の添加剤を加えることにより調製できる。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えばブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、必要に
より共重合可能な改質用モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートな
どのヒドロキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基含有モノマー、
スチレンなどのスチレン系モノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル類等の他のモノマ
ーを加えたモノマー混合物の共重合体が用いられる。
また、ポリエステル系粘着剤としては、脂肪族系カーボネートジオール(例えば、ブタ
ンジオール等のジオール成分とエチレンカーボネートなどのカーボネート化合物との反応
により得られるカーボネートジオールなど)を必須のポリオール成分としたポリエステル
系重合体を主剤とする粘着剤が挙げられる。
また、粘着剤層は、例えば粘着剤を含む溶液を離型フィルムの離型層上に塗布し、これ
を乾燥させることにより形成することができる。また、粘着剤層の厚みは、粘着性などを
考慮して適宜選択することができ、通常3〜100μm、好ましくは5〜90μm、さら
に好ましくは10〜80μmである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおり
である。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精
秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを
加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測
定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムの常態剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.31B」)の片面を
貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の
剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル20
01型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、常態剥離
力(A)を測定した。
(4)離型フィルムの加熱剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.31B」)の片面を
貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、100℃にて1時間放置
し、常温(23℃)に冷却後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株)インテ
スコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、
180°剥離を行い、加熱剥離力(B)を測定した。
(5)離型フィルムの溶剤処理および溶剤処理後の剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に太平理化工業製ラビングテスターを使用して4mlのトル
エンを浸み込ませたセルロース不織布ワイパーを10往復させ、次いで風乾し粘着テープ
(日東電工製「No.31B」)を貼り付けた。これを50mm×300mmのサイズに
カットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株
)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の
条件下、180°剥離を行い、溶剤処理後の剥離力(C)を測定した。
溶剤処理後の剥離力(C)と常態剥離力(A)の比((C)/(A))を求めて耐溶剤
性の比較を行った。前記(C)/(A)の値が小さいほど常態剥離力からの剥離力の変化
が小さく、耐溶剤性が高いことを示唆する。
(6)離型フィルムの離型層の基材密着性評価(実用特性代用評価)
塗工直後の試料フィルムの離型面を触手により20回擦り、離型層の脱落程度を下記判
定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない、あるいは塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能

×:塗膜の脱落が確認された(実用困難)
実施例および比較例において使用した材料は、以下のようにして準備したものである。
[基材の原料]
・ポリエステルA:
ポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.66dl/g)
・ポリエステルB:
平均粒径2μmの非晶質シリカを1000ppm含有するポリエチレンテレフタレート
ホモポリマーのチップ(固有粘度:0.62dl/g)
[離型層の原料]
<非反応性ポリオレフィン>
・エチレン−プロピレン共重合体B1:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(1H−NM
Rによる組成質量比:エチレン/プロピレン=74/26、MFR(230℃,荷重2.
16kg)2.0g/10分、密度0.86g/cm3)。
・エチレン−プロピレン共重合体B2:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(1H−NM
Rによる組成質量比:エチレン/プロピレン=51/49、MFR(230℃,荷重2.
16kg)2.0g/10分、密度0.86g/cm3)。
・エチレン−プロピレン共重合体B3:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(1H−NM
Rによる組成質量比:エチレン/プロピレン=47/53、MFR(230℃,荷重2.
16kg)2.0g/10分、密度0.86g/cm3)。
・エチレン−ヘキセン共重合体C1:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−ヘキセンランダム共重合体(1H−NMR
による組成質量比:エチレン/ヘキセン=76/24、MFR(230℃,荷重2.16
kg)3.5g/10分)。
・エチレン−ヘキセン共重合体C2:
メタロセン触媒によって得られたエチレン−ヘキセンランダム共重合体(1H−NMR
による組成質量比:エチレン/ヘキセン=85/15、MFR(230℃,荷重2.16
kg)7g/10分)。
<反応性ポリオレフィン>
・三菱ケミカル社製、ポリテールH(水酸基を有するポリブタジエンの水素化物、数平均
分子量2700 、NMRより求めたOH基量1.5質量%、密度0.85g/cm3
<酸変性ポリオレフィン>
・三井化学社製 タフマーMA8510(無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重
合体、密度0.885g/cm 、MFR(230℃,荷重2.16kg)5g/10
分)
<3官能イソシアネート>
三菱ケミカル社製、脂肪族3 官能イソシアネート・トリオール付加体、
マイテックNY718A(75質量% 酢酸ブチル溶液)
三井化学社製、脂環式3官能イソシアネート・トリメチロールプロパン付加体
タケネートD120N(75質量%酢酸エチル溶液)
<エポキシ化合物>
ナガセケムテックス社製、多官能エポキシ化合物
デナコールEX−614B
<硬化触媒>
和光純薬工業社製、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン
実施例1:
(基材の作製)
前記ポリエステルAを中間層用の原料とし、前記ポリエステルBを表層用の原料とし、
各原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して、表層/中間層/表層の2種3層
積層の無定形シートを冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化さ
せて無配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に90℃で3.4倍に延伸した。さらにテンター内で12
0℃予熱工程を経て幅方向(横方向)に4.1倍に延伸を行い、230℃で3秒間の熱処
理を行い、基材としてのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの
厚さは38μmであり、表層/中間層/表層の厚み構成は3μm/32μm/3μmであ
った。
エチレン−プロピレン共重合体B2、エチレン−ヘキセン共重合体C1、およびタフマ
ーMA8510をそれぞれ、トルエンとともに加熱することによって、2%濃度のトルエ
ン溶液を得た。離型層形成用組成物(以下、離型剤と略することがある)中の固形分中の
組成がエチレン−プロピレン共重合体B2/エチレン−ヘキセン共重合体C1/タフマー
MA8510/デナコールEX614B/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタ
ン=40/40/17/2/1(質量比)となるように混合して離型剤液を得た。離型剤
液を、上記で得たポリエステルフィルムにマイヤーバーにより塗布し、150℃のドライ
ヤーで30秒乾燥させることで、厚み0.2μmの離型層を有する離型フィルムを得た。
実施例2:
離型剤の固形分中の組成をエチレン−プロピレン共重合体B2/タフマーMA8510
/タケネートD120N/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=80/17
/2/1(質量比)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例3:
離型剤の固形分中の組成をエチレン−プロピレン共重合体B1/タフマーMA8510
/デナコールEX614B/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=50/4
4/5/1(質量比)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例4:
離型剤の固形分中の組成をエチレン−ヘキセン共重合体C1/タフマーMA8510/
デナコールEX614B/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=60/35
/4/1(質量比)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
実施例5:
離型剤の固形分中の組成をエチレン−プロピレン共重合体B1/エチレン−ヘキセン共
重合体C2/タフマーMA8510/デナコールEX614B/1,4−ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタン=20/20/53/6/1(質量比)とした以外は実施例1と
同様にして離型フィルムを作成した。
比較例1:
離型剤を固形分中の組成をエチレン−プロピレン共重合体B1=100としたこと以外
は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例2:
離型剤の固形分中の組成をタフマーMA8510/デナコールEX614B/1,4−
ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=89/10/1(質量比)とした以外は実施例
1と同様にして離型フィルムを作成した。
比較例3:
離型剤の固形分中の組成をエチレン−プロピレン共重合体B3/ポリテールH/マイテ
ックNY718A/1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン=80/17/2/
1(質量比)とした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
表1に実施例および比較例で作成した離型フィルムの評価結果を示す。
Figure 0006954087
実施例1〜5より、基材密着性が良好かつ剥離力が小さく、加熱後および溶剤処理後も
剥離力が比較的小さく、溶剤処理後の剥離力(C)と常態剥離力(A)の比((C)/(
A))が小さく、耐溶剤性が高い離型フィルムを作成することができた。比較例1は、離
型層が酸変性ポリオレフィン及び架橋剤を含まない離型層形成用組成物で作成したため、
基材密着性が不十分であり、また、加熱剥離後及び溶剤処理後の剥離力が大きく、耐熱性
および耐溶剤性が不十分であることが示唆される。比較例2は、上記(C)/(A)が比
較的小さいものの離型層が非反応性ポリオレフィンを含まない離型層形成用組成物で作成
したため、加熱剥離力が200mN/cmを超え、耐熱性が不十分であることが示唆され
る。比較例3は酸変性ポリオレフィンの代わりに水酸基を有する反応性ポリオレフィンを
用いたが、離型層と基材との密着性が不十分であり、常態剥離力が大きくなった。

Claims (9)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層が設けられた離型フィルムであり、当
    該離型層が非反応性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンおよび架橋剤を含有する樹脂
    組成物の硬化層であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 前記非反応性ポリオレフィンのエチレン単位が50質量%以上80質量%以下である請
    求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記非反応性ポリオレフィンが、エチレンとα−オレフィンの共重合体である請求項1
    又は2に記載の離型フィルム。
  4. 前記非反応性ポリオレフィンの密度が0.85〜0.92g/cmである請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  5. 前記酸変性ポリオレフィンが、無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸で変性さ
    れたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  6. 前記酸変性ポリオレフィンに含まれる官能基量が0.1〜5質量%である請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  7. 前記酸変性ポリオレフィンの密度が、0.94g/cm3以下である請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の離型フィルム。
  8. 前記架橋剤がエポキシ化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の離型フィルム
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の離型フィルムの離型層の上に粘着剤層を積層させ
    た粘着体。
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