JP5481919B2 - ワーク加工装置とその制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の「力制御装置及びそれを用いたロボット」は、切削によって生じる加工反力を計測し、切削工具をワークへ押付ける力が設定した値になるように力制御しながら、予め教示した軌道に沿って加工するものである。
また、特許文献2の「ワークの倣い加工装置」は、形状にばらつきのあるワークに対して、基準面に倣いながら加工するものである。
図1(A)に示すように、工具押付け力Ftが目標値になるように力制御した場合、加工反力Rの変動に追従できない問題点があった。すなわち、特許文献1の制御手段により鋳鉄等の硬い材質のワークを加工した場合、工具押付け力Ftの目標値からのズレをフィードバックして目標値に近づけようとしても、高周期の振動や衝撃力には、通常の制御周期では制御が追いつかずに工具の位置が変位し、加工面に悪影響が出る。そのため、図1(B)に示すように、ロボットハンドに取付けたワーク加工装置が衝撃力・新動力によりワークから離れる方向、或いはワークから離れる方向以外にも発生する。(例えば、加工反力が急に小さくなったらそれに合わせて工具を押付けなくてはならない。)
いずれにせよ工具反力の激しい変動を打ち消すように制御することは通常の制御周期では困難であるため、加工精度の劣化や工具の破損等が発生する問題点があった。
また、基準面に倣いながら加工する特許文献2の手段は、比較的柔らかい材質の製品を対象としているため、鋳鉄等の硬い材質のワークには適用できない。また、緩衝機構を備えているため、加工反力の変動で加工精度が劣化する問題点があった。
また、本発明の第2の目的は、ワークのバリ取り、C面取り、ラウンドエッジ加工、平面の加工、及びワークに基準とできる形状があれば、それを倣うができるワーク加工装置とその制御方法を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、C面取り及びラウンドエッジ加工の寸法を変化させることができるワーク加工装置とその制御方法を提供することにある。
該力センサに取り付けられワークの外面を倣う倣い部材を有する倣い治具と、
該倣い治具又はロボットハンドに取り付けられワークを加工する加工工具と、
前記倣い治具のワーク外面に対する倣い治具押付力を、予想される加工反力の最大値よりも大きい値に力制御する加工制御装置とを備え、
前記倣い部材でワークの外面を倣いながら倣い治具をワークの外面に沿って移動し、前記加工工具によりワークを加工する、ことを特徴とするワーク加工装置が提供される。
該力センサに取り付けられワークの外面を倣う倣い部材を有する倣い治具と、
該倣い治具又はロボットハンドに取り付けられワークを加工する加工工具と、
前記倣い治具のワーク外面に対する倣い治具押付力を力制御する加工制御装置とを備え、
前記倣い治具押付力を予想される加工反力の最大値よりも大きい値に設定し、
前記倣い部材でワークの外面を倣いながら倣い治具をワークの外面に沿って移動し、前記加工工具によりワークを加工する、ことを特徴とするワーク加工装置の制御方法が提供される。
また、ロボットハンド4の剛性が低い場合でも、ロボットハンド及びこれに取り付けられた加工工具が加工反力によって逃げない(すなわち変位しない)ため、加工量は倣い冶具と加工工具との幾何学的関係で決まり、1回の加工で精度の高い加工面が得られる。
従って、鋳鉄等の硬い材質のワークを加工する場合に、衝撃的な加工反力が発生しても加工精度を維持しかつ工具の破損等を防止することができる。
ワーク1は、この例ではテーブル2の上面の所定位置に正確に固定されている。
ロボット制御装置5は、例えば数値制御装置であり、指令信号によりロボットハンド4を6自由度(3次元位置と3軸まわりの回転)に制御するようになっている。
後述する本発明の加工制御装置20は、この例では、ロボット制御装置5に含まれる。なお、加工制御装置20をロボット制御装置5と別個に独立して設けてもよい。
この図において、本発明のワーク加工装置10は、力センサ12、倣い治具14、加工工具16及び加工制御装置20を備える。
この力センサ12で検出される外力は、好ましくは6自由度の外力(3方向の力と、3軸まわりのトルク)であるが、本発明はこれに限定されず、後述する倣い治具押付力Fallが検出できる限りで、その他の力センサであってもよい。
第1倣い部材15aと第2倣い部材15bは、C面もしくはラウンドエッジ加工するエッジ1aを共有するワーク1の2面1b,1cを倣うようになっている。
この例において、1bはワーク1の上面、1cはワーク1の側面であり、第1倣い部材15aの端面は、上面1bに対し垂直かつ下向きに接し、第2倣い部材15bの端面は、側面1cに対し垂直かつ横向き(図で右向き)に接するようになっている。なお、上面1bは水平面、側面1cは鉛直面であるのが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
またこの例で、第1倣い部材15aと第2倣い部材15bは、倣い治具14と一体に成形されている。しかし、本発明はこれに限定されず、別個であってもよい。
この例において、加工工具16は、ワーク1を加工する工具16a(この例ではカッター)とこれを回転駆動する駆動装置16b(この例ではスピンドルモータ)とからなる。工具16aは、この例では、円錐形の切削工具又は研削工具である。しかし、工具はカッターに限定されず、その他の工具(砥石やブラシ)であってもよい。
また、駆動装置16bはスピンドルモータ以外にもエアモータでも代替可能である。
なお、この計算に必要となるデータ(例えば、ワーク加工装置10の構成部品の寸法、重量等)は、予めロボット制御装置5又は加工制御装置20の記憶装置に記憶されている。
(A) それぞれの方向の倣い治具押付力Fallを予想される加工反力Rの最大値よりも大きい値に設定し、
(B) 倣い部材(第1倣い部材15aと第2倣い部材15b)でワーク1の外面(2面1b,1c)を倣いながら倣い治具14をワーク1の外面に沿って移動し、加工工具16によりワーク1を加工する。
従って、鋳鉄等の硬い材質のワーク1を加工する場合に、衝撃的な加工反力Rが発生しても加工精度を維持しかつ工具の破損等を防止することができる。
この図において、18はツールチェンジャであり、互いに着脱可能なチェンジャ本体18aとチェンジ部材18bとからなる。上述した倣い治具14は、ツールチェンジャ18を介して力センサ12に取り付けられ、チェンジャ本体18aとチェンジ部材18bを必要に応じて分離し、異なる倣い冶具14又は加工工具16に交換できるようになっている。
また、この図において、16a-1,16a-2,16a-3は、刃の形状の異なる複数の工具16aを示している。その他の構成は、図3と同様である。
この図に示すように、予めスピンドル取付位置の異なる複数(この例では3つ)の倣い治具14(14-1,14-2,14-3)を準備し、これを順次交換して、ワーク1の加工を複数回実施することにより、ラウンドエッジ加工を行うことができる。
この例において、本発明のワーク加工装置10は、倣い治具14に取付けられた工具移動装置19を備える。工具移動装置19は、この例では、加工工具16を図で斜め方向に直線上に移動させるようになっている。なお、移動方向は直線上に限定されず、任意の曲線上であってもよい。
工具移動装置19は、加工反力によって後退しないノンバックドライバブルであるのがよい。このような構成は、ウォームネジ、スクリューネジ、等によって構成できる。その他の構成は、図3と同様である。
この例において、倣い治具14は、倣い部材15(第1倣い部材15aと第2倣い部材15b)をワーク1の外面(1b,1c)に向けて付勢するばね17(例えば圧縮ばね)を有する。またこのばね17のばね定数は、加工反力の変動による倣い冶具の変位が無視できるように大きく設定されている。
その他の構成は、図3と同様である。
図9(A)において、倣い治具押付け力Fallの目標値が十分大きく、加工反力Rの変動が倣い冶具の押し付け力Fallを超えなければ、倣い冶具14がワーク表面を離れる方向の加速度は発生せず、またばね定数が大きいため、倣い冶具14の変位も小さく抑えられる。結果として工具の変位は抑えられ、なめらかな加工面が得られる。
また、ロボットアーム軌道に同期して、倣い治具押付け力Fallの目標値を変えることで、図9(B)に示すように、工具を変位させ、軌道に沿ってC面の寸法を変えることができる。
例えば、ばね定数を500N/mmとし、倣い冶具を100Nで押付けたときにC0.3のC面加工ができるように倣い冶具とカッターとの位置関係を決める。ロボットの軌道の途中で押付け力を250NにするとC0.6の面取り加工になる。また、加工中に10Nの大きさの加工反力の変動があったとすると、0.02mmばねが変位する。
この図において、第1倣い部材15aと第2倣い部材15bは、それぞれ球面ローラからなる。また、工具16aは、この例では球面形状の球面カッターである。
その他の構成は図3と同様である。
図10において、倣い冶具15の倣い部材15a,15bとして球面ローラを使用すると、ワーク1へのローラの押し当て角度によって、C面加工の寸法・角度を調整することができる。
図10のように、球面ローラの中心を結ぶ直線6を軸に倣い冶具15を回転させると、加工工具16(球面カッター)がワーク1に切り込む深さが変わる。
ただし球面カッターを使用した場合、球面カッターの中心が回転軸6上にあってはならない。また、球面カッターの中心と回転軸6との距離が大きいほど、少しの傾きで切り込み深さが大きく変化する。これにより、C面取りの寸法を目的の寸法に加工できる。
この図に示すように、2つの球面ローラのそれぞれをワーク1に接した状態でスライドさせると、球面カッターがワーク1に当たる角度が変わる。これにより、C面取りの角度を目的の寸法に加工できる。ただし、切り込み深さも変化するので、前述の方法で切り込み深さの再調整が必要になる。
さらに、これらの加工を組み合わせ、ロボットの軌道を変えて複数回加工することで、ラウンドエッジ加工を得ることができる。
なお、倣い冶具は、球面ローラ以外にも、球面に加工した当て面をワーク面に滑らせても同様の効果が得られる。また、ローラ、カッターとも、球面以外の曲面を使用することも可能である。
1a エッジ、1b 上面、1c 側面、
2 テーブル、3 ロボット、4 ロボットハンド、
5 ロボット制御装置、6 直線(回転軸)
10 ワーク加工装置、
12 力センサ、
14(14-1,14-2,14-3) 倣い治具、
15 倣い部材、
15a 第1倣い部材、15b 第2倣い部材、
16 加工工具、
16a(16a-1,16a-2,16a-3) 工具(カッター)、
16b 駆動装置(スピンドルモータ)、
17 ばね(例えば圧縮ばね)、
19 工具移動装置、
20 加工制御装置
Claims (2)
- 空間6自由度をカバーして移動可能なロボットハンドに取り付けられ、これに作用する外力を検出する力センサと、
該力センサに取り付けられワークの外面を倣う倣い部材を有する倣い治具と、
該倣い治具又はロボットハンドに取り付けられワークを加工する加工工具と、
前記力センサで検出した外力に基づいて、前記倣い部材に作用する力を算出し、前記倣い治具のワーク外面に対する倣い治具押付力を、予想される加工反力の最大値よりも大きい値に力制御する加工制御装置とを備え、
前記倣い部材でワークの外面を倣いながら倣い治具をワークの外面に沿って移動し、前記加工工具によりワークを加工し、
前記倣い治具は、前記倣い部材をワークの外面に向けて付勢するばねを有し、該ばねのばね定数は、加工反力の変動による倣い冶具の変位が要求される加工精度以内に収まるように大きく設定されている、ことを特徴とするワーク加工装置。 - 空間6自由度をカバーして移動可能なロボットハンドに取り付けられ、これに作用する外力を検出する力センサと、
該力センサに取り付けられワークの外面を倣う倣い部材を有する倣い治具と、
該倣い治具又はロボットハンドに取り付けられワークを加工する加工工具と、
前記倣い治具のワーク外面に対する倣い治具押付力を力制御する加工制御装置とを備え、
前記倣い治具押付力を予想される加工反力の最大値よりも大きい値に設定し、前記力センサで検出した外力に基づいて、前記倣い部材に作用する力を算出し、前記倣い治具押付力を、前記最大値よりも大きい値に力制御し、前記倣い部材でワークの外面を倣いながら倣い治具をワークの外面に沿って移動し、前記加工工具によりワークを加工し、
前記倣い治具は、前記倣い部材をワークの外面に向けて付勢するばねを有するものであり、該ばねのばね定数は、加工反力の変動による倣い冶具の変位が要求される加工精度以内に収まるように大きく設定されている、ことを特徴とするワーク加工装置の制御方法。
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