JP5479968B2 - 脱インキパルプの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脱インキパルプの製造方法に関する。
古紙の再生は古紙原料からインキを剥離し、剥離したインキを除去するいわゆる脱インキ処理を施すことで、再生パルプを得て再生紙を製造することにより行われる。近年、美しく見栄えのよい印刷に対する需要の増大とそれに伴う印刷技術の進展により、紙とインキの結合が強固になってきている。また、夏場には熱や紫外線の影響で紙からインキが剥離しにくくなる現象(難剥離化)がより顕著になる。
これら印刷技術の進展や夏場の古紙原料の難剥離化に関わらず、安定した品質が得られる脱インキパルプの製造方法への期待が増大している。
一般的に脱インキパルプは、インキ剥離工程、インキ除去工程、パルプ洗浄工程を実施できる装置を備えた脱インキ設備にて製造される。脱インキパルプの製造工程は、具体的には、パルパー、ニーダー、ケミカルミキサー、ディスパーザー等によるインキ剥離工程、フローテーター等によるインキ除去工程、シックナー、ウオッシャー、エキスト等による洗浄工程により構成され、所望の脱インキパルプ品質を得るために各製紙会社は、様々に各設備の配列、導入を実施している。
良質な脱インキパルプを得るために脱インキ剤や脱インキ方法を改良することが従来から種々提案されている。特許文献1には、特定のアルキレンオキサイド重合鎖を含む化合物を含有する脱墨剤が開示されている。特許文献2には、特定の2つの工程において特定条件下で圧縮力を与えながら機械的攪拌処理を行う印刷古紙の脱墨方法が開示されている。また、特許文献3には、ニーディング工程が三段からなり、少なくとも一段以上がディスクタイプの分散機で95℃〜130℃の高温処理であり、三段のニーディング処理後にフローテーションによる脱墨処理を行なう、脱墨パルプの製造方法が開示されている。
特開平7−26484号公報 特開昭63−28992号公報 特開2008−169507号公報
近時、新聞の印刷方式はオフセット印刷が主流となっているが、オフセット印刷された新聞紙から脱インキパルプを製造する場合は、インキ剥離性が低下する傾向を示す。特許文献3のようにニーディング工程を3段(複数)行うことや、ニーディング工程での剪断力を高めることは、古紙からのインキ剥離を促進するためには望ましいが、一方で、過剰にインキが微細化し、くすみによる白色度の低下や、フローテーション工程でのインキ除去性の低下をもたらす原因となり得る。例えば、脱インキ剤として公知の高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、比較的インキ剥離性能がよい脱インキ剤として知られているが、これを、古紙パルプに高剪断力を負荷する脱インキ条件下で用いると、インキの微細化により、前記のような白色度やインキ除去性の低下は顕著となる。特許文献2は、オフセット印刷古紙から高白色度で黒ヒゲの少ない脱インキパルプを製造できるとしているが、その効果は未だ十分ではない。
本発明の課題は、古紙パルプに高剪断力を負荷する脱インキ条件においても、インキ除去性が良好で、且つインキ剥離性を向上できる脱インキパルプの製造方法を提供することである。
本発明は、離解工程、ニーディング工程、漂白工程及びフローテーション工程を含む、印刷古紙からの脱インキパルプの製造方法であって、
下記一般式(I)で表される化合物を含有する脱インキ剤であって、一般式(I)で表される化合物の全量中、一般式(I)中のRが炭素数15のアルキル基である化合物の割合が60〜99重量%であり、一般式(I)中のRが炭素数17の炭化水素基である化合物の割合が1〜40重量%である脱インキ剤を用いる、
脱インキインキパルプの製造方法に関する。
RCOO(AO)nH (I)
(式中、Rは炭素数7〜23の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは10〜300の数である。)
また、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物を含有する脱インキ剤であって、下記一般式(I)で表される化合物の全量中、一般式(I)中のRが炭素数15のアルキル基である化合物の割合が60〜99重量%であり、一般式(I)中のRが炭素数17の炭化水素基である化合物の割合が1〜40重量%である、上記本発明の脱インキパルプの製造方法に好適に用いられる脱インキ剤に関する。
RCOO(AO)nH (I)
(式中、Rは炭素数7〜23の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは10〜300の数である。)
本発明によれば、古紙パルプに高剪断力を負荷する脱インキ条件においても、インキ除去性が良好で、且つインキ剥離性を向上できる脱インキパルプの製造方法が提供される。
一般に、脱インキパルプは、(1)印刷古紙をスラリー状にする離解工程(パルパー)、(2)離解工程で剥離したインクを排出する脱水工程、(3)強い剪断力を与えてインクを剥離させるニーディング工程、(4)漂白工程、(5)剥離したインクを効率よく系外に排出するフローテーション工程及び洗浄工程等を適宜組み合わせて製造される。本発明の製造方法は、少なくとも離解工程、ニーディング工程、漂白工程及びフローテーション工程を含む、印刷古紙からの脱インキパルプの製造方法に関する。
離解工程は、印刷古紙を繊維状に解きほぐすと共にパルプ繊維からインキを剥離する工程である。離解工程における水−パルプスラリー(以下、パルプスラリーという)中のパルプ濃度は、通常、3重量%以上18重量%未満であり、好ましくは4〜16重量%である。離解工程では、好ましくは水酸化ナトリウム等をパルプに対して0〜5重量%、更に0.1〜3重量%添加する。離解手段(離解機)としては、高濃度パルピングシステム(アイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー社)、高濃度パルパー(相川鉄工社製)、デルタパルパー(低中濃度パルパー)(相川鉄工社製)、ファイバーフロー(アンドリッツ社製)等が用いられる。パルプ繊維への浸透性及びインキ剥離性の観点から、アルコール系非イオン性界面活性剤をパルプに対して0.01〜1重量%添加してもよい。離解時間及び離解温度は、特に限定されないが、通常5〜60分、5〜60℃である。
ニーディング工程は、離解工程で得られた離解古紙に、より強い剪断力を与えて、パルプ繊維からインキを剥離する工程である。ニーディング工程は、通常、パルプスラリーを脱水してパルプ濃度を高めたスラリーに対して行われる。ニーディング工程において、パルプスラリー中のパルプ濃度は、通常、18重量%以上50重量%以下であり、機械的負荷によるインキ剥離性向上の観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは22重量%以上であり、機械的剪断力の低下防止、搾水容易性の向上及び添加薬剤の反応性向上の観点から、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。
ニーダー処理する手段としては、ニーダー(山本百馬製作所社製)、マイカプロセッサー(アイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー社製)、ディスパーザー(相川鉄工社製)、ホットディスパーザー(ファイバーテック社製)、コニディスク(相川鉄工社製)等が用いられる。
本発明の製造方法においては、ニーディング工程は、インキ剥離性向上の観点から、少なくとも2回行なうことが好ましく、3回以上行うことがより好ましく、生産性の向上及びインキ微細化による白色度低下抑制の観点から、4回以下が好ましく、3回以下が更に好ましい。従って、本発明では、ニーディング工程を2回又は3回行うことが好ましい。なお、本発明の製造方法において、「2回以上」のニーディング工程とは実施時期の異なるものについての計数結果であり、同じ時期において複数回ニーディング処理を実施しても1回として計数する。ニーディング工程におけるニーダー処理条件は特に限定されないが、インキ剥離性向上の観点から、パルプスラリー濃度、攪拌回数、クリアランス等を適宜調整して、離解工程と比べてより高剪断力で処理することが好ましい。また、複数のニーディング工程におけるニーダー処理条件は同じであっても異なっていてもよい。
通常、脱インキパルプの製造工程は、離解工程、ニーディング工程、漂白工程、フローテーション工程の順に行われるが、本発明の製造方法では、前記工程を離解工程、漂白工程及びフローテーション工程の順に行い、インキ剥離性向上の観点から、ニーディング工程を、離解工程後漂白工程前、漂白工程後フローテーション工程前、及びフローテーション工程後から選ばれる1つ以上の時期に行うことが好ましい。ニーディング工程を少なくとも2回行う場合、前記工程を離解工程、漂白工程及びフローテーション工程の順に行い、同様の観点から、離解工程後漂白工程前、漂白工程後フローテーション工程前、及びフローテーション工程後から選ばれる2つ以上の時期に行うことが好ましく、離解工程後漂白工程前及び漂白工程後フローテーション工程前に、それぞれ1回づつ行うことがより好ましい。
本発明の製造方法において、漂白工程とは、漂白剤添加後にソーキング処理する工程を意味するものとする。ソーキング処理は、漂白剤添加後のパルプスラリーを、実質的に剪断力を負荷しない状態で、40〜90℃で30〜360分保持することにより行うのが好ましい。実質的に剪断力を負荷しない状態とは、古紙の離解やパルプの微細化等を目的とした剪断力を、攪拌機等によりパルプスラリーに負荷しない状態である。漂白剤としては過酸化水素、ハイドロサルファイド、二酸化チオ尿素、ハイポ等が使用されるが、過酸化水素が好ましい。漂白工程におけるパルプスラリー中のパルプ濃度は、通常、18重量%以上50重量%以下であるが、機械的剪断力の低下防止、漂白剤の反応性向上及びインキ剥離性向上の観点から、好ましくは20重量%以上40重量%以下、より好ましくは22重量%以上35重量%以下である。また、漂白時のpHは、漂白性向上の観点から10〜12が好ましい。
フローテーション工程は、剥離したインキを系外に除去する工程であり、特に限定されないが、好ましくは、パルプ濃度は0.1〜3重量%、処理温度は5〜65℃である。フローテーション工程を行う手段として、OKフローテーター(王子エンジニアリング社製)、MTフローテータ、EcoCellフローテーター(何れもアイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー社製)、MAC CELLフローテーター(相川鉄工社製)、バーチカルフローテーター(アゼッタ社製)等の装置が一般的に用いられている。
本発明の製造方法では、これらの工程の他に、必要に応じて、除塵するスクリーニング工程等を組み合わせることができる。
本発明の製造方法では、脱インキ剤として、下記一般式(I)で表される化合物を含有する脱インキ剤であって、一般式(I)で表される化合物の全量中、一般式(I)中のRが炭素数15のアルキル基である化合物(以下、C15化合物という)の割合が60〜99重量%であり、一般式(I)中のRが炭素数17の炭化水素基である化合物(以下、C17化合物という)の割合が1〜40重量%である脱インキ剤を用いる。本発明に係る脱インキ剤は、C15化合物及びC17化合物以外の一般式(I)で表される化合物を含みうる。
RCOO(AO)nH (I)
(式中、Rは炭素数7〜23の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは10〜300の数である。)
脱インキパルプの製造、なかでも印刷古紙に高剪断力を負荷する脱インキパルプの製造条件において、本発明の脱インキ剤を用いた場合に、インキ除去性及びインキ剥離性が両立できる理由は明らかではないが、次のように推定される。すなわち、本発明の脱インキ剤の主成分であるC15化合物は、パルプ繊維とインキ界面への浸透性を改善しインキ剥離性を向上させる。一方、インキとの親和性が強いC17化合物を適量含有させることで、脱インキ剤が効率よくインキに吸着し高いインキ除去性が得られ、高インキ剥離性と高インキ除去性がバランスされ、インキ除去性を維持した状態でインキ剥離性が向上すると推定される。
上記一般式(I)で表される化合物中におけるC15化合物の割合は、インキ剥離性及びインキ除去性の両立の観点から、上記一般式(I)で表される化合物の全量に対して、60〜99重量%であり、好ましくは65〜95重量%、より好ましくは70〜93重量%、更により好ましくは70〜90重量%、更により好ましくは75〜90重量%である。
上記一般式(I)で表される化合物中におけるC17化合物の割合は、インキ除去性向上の観点から、上記一般式(I)で表される化合物の全量に対して、1〜40重量%であり、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは3〜30重量%、更により好ましくは3〜20重量%、更により好ましくは3〜10重量%である。C17化合物におけるRの炭化水素基は、炭素数17のアルキル基又は炭素数17のアルケニル基が好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物中におけるC15化合物とC17化合物の重量比(C15化合物の重量/C17化合物の重量)は、インキ剥離性及びインキ除去性の両立の観点から、60/40〜99/1が好ましく、65/35〜95/5がより好ましく、75/25〜90/10がさらに好ましい。
本発明に係る脱インキ剤において、一般式(I)で表される化合物の全量中、Rが炭素数11〜17のアルキル基又はアルケニル基である化合物の割合は、インキ剥離性及びインキ除去性の両立の観点から、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
上記一般式(I)中のAOは、インキ除去性向上の観点から、好ましくはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基である。また、一般式(I)中のnは、AO基の平均付加モル数を表し、フローテーション工程での起泡性向上の観点から、10〜300、好ましくは15〜100、より好ましくは20〜40である。また、AO基は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とを含み、且つオキシエチレン基の平均付加モル数が10〜40であり、オキシプロピレン基の平均付加モル数が5〜30であることがより好ましい。この場合、付加形態はブロック、ランダムの何れでもよい。
上記一般式(I)で表される化合物は、例えば、アルキレンオキシドを付加させた重合物に脂肪酸を反応させ、エステル化反応を行うか、又は脂肪酸にアルキレンオキシドを付加反応させることによって得ることができる。具体的な脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸等、及びそれらの脂肪酸を含むヤシ油脂肪酸、大豆脂肪酸、トール油脂肪酸、牛脂脂肪酸、魚油脂肪酸等、又はそれら脂肪酸の水素添加物の天然物より得られる脂肪酸及び合成脂肪酸等を調整して用い得る。
本発明の製造方法に用いられる脱インキ剤における、上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、インキ除去性及びインキ剥離性の両立の観点から、脱インキ剤全量に対して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、更により好ましくは80重量%以上である。また、上限値は、好ましくは100重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
本発明の製造方法では、インキ除去性向上と起泡性制御の観点から、更に炭素数8〜24の脂肪酸〔以下、脂肪酸(II)という〕を用いることが好ましい。脂肪酸(II)としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸等、及びそれらの脂肪酸を含むヤシ油脂肪酸、大豆脂肪酸、トール油脂肪酸、牛脂脂肪酸、魚油脂肪酸等、又はそれら脂肪酸の水素添加物の天然物より得られる脂肪酸及び合成脂肪酸及びそれらの混合物が挙げられる。インキ剥離性とインキ除去性の両立の観点から、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸が好ましく、液状で配合が容易であることから、オレイン酸およびリノール酸がより好ましい。
脂肪酸(II)は、本発明に係る脱インキ剤中に含有させて用いることができる。その場合、脱インキ剤中の脂肪酸(II)の含有量は、インキ除去性向上と起泡性の制御の観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、更により好ましくは15重量%以上であり、インキ除去性及びインキ剥離性の両立の観点から、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、更により好ましくは20重量%以下である。脂肪酸(II)は、RCOOH(Rは炭素数7〜23の炭化水素基である。)で表した場合、Rが炭素数15のアルキル基である化合物の割合が60〜99重量%であり、Rが炭素数17の炭化水素基である化合物の割合が1〜40重量%であるものが好ましい。
また、本発明では、脂肪酸(II)を、本発明に係る脱インキ剤とは別にパルプスラリーに添加することもできる。すなわち、脂肪酸(II)を、一般式(I)で表される化合物とは混合せずに本発明の何れかの工程で印刷古紙に添加する方法を採用できる。
一般式(I)で表される化合物と脂肪酸(II)の重量比は、インキ除去性向上と起泡性制御の観点から、(I)/(II)=100/0〜50/50、更に95/5〜60/40、より更に90/10〜70/30が好ましい。
本発明の製造方法では、脱インキ剤は、インキ除去性及びインキ剥離性の両立の観点から、原料である印刷古紙100重量部に対して、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.03〜3.0重量部、更により好ましくは0.05〜1.0重量部で用いられる。また、脱インキ剤は、一般式(I)で表される化合物の添加量が、原料である印刷古紙100重量部に対して、好ましくは0.005〜5.0重量部、より好ましくは0.015〜3.0重量部、更により好ましくは0.025〜1.0重量部となるように用いられることが好ましい。また、脂肪酸(II)は、原料である印刷古紙100重量部に対して、好ましくは0〜2.5重量部、より好ましくは0〜1.5重量部、更により好ましくは0〜0.5重量部となるように用いられることが好ましい。
本発明の製造方法では、脱インキ剤は、インキ剥離性及びインキ除去性の両立の観点から、フローテーション工程又はそれ以前に添加されることが好ましく、最初のニーディング工程又はそれ以前に添加されることがより好ましく、最初のニーディング工程以前に添加されることが更に好ましい。また、上記脱インキ剤は、インキ剥離性及びインキ除去性の両立の観点から、離解工程、ニーディング工程、フローテーション工程のうち、いずれか2つの工程で添加されることが好ましく、更には最初のニーディング工程を含む2つの工程で添加されることが好ましく、離解工程とニーディング工程で添加されることが更に好ましい。
本発明において原料古紙として用いられる印刷古紙は、新聞古紙(新聞紙とチラシの混合物)、雑誌古紙、模造色上古紙など、一般的に用いられている原料古紙が使用できる。
本発明の製造方法では、必要に応じて、従来から一般に用いられている公知の脱インキ剤、例えばアルコール系非イオン性界面活性剤、高級アルコール硫酸塩、ポリオキシアルキレン高級アルコール硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸あるいはその塩等を、脱インキ剤として使用することも可能である。更に本発明の製造方法では、苛性ソーダや珪酸ソーダ等の公知のアルカリ薬剤、過酸化水素、次亜塩素酸塩、次亜硫酸塩等の漂白剤、スケール防止剤等、ピッチコントロール剤、消泡剤、スライムコントロール剤等の公知のパルプ製造薬品を併用することもできる。
アルコール系非イオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和の第1級もしくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物又は総炭素数8〜12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。構成アルコールとしては、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。また、アルコールに付加するAOは、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイドが挙げられ、特にEOを必須とするのが望ましい。AOの付加モル数は、アルコール又はアルキルフェノール1モルに対し3〜200モル、特に10〜80モルが好ましく、この範囲において特にインキ剥離性が良好で液状化が容易な非イオン性界面活性剤が得られる。付加形態はランダム付加又はブロック付加どちらでも良い。
下記の原料古紙に対して、下記の脱インキ処理、抄紙を行い、得られたパルプシートの白色度及びダート数を測定した。ダート数の測定は、脱インキ処理後(洗浄工程後)に除去しきれていない遊離インキを洗い流したパルプシートについて行った。なお、表1に脱インキ剤(脂肪酸のEO・PO付加物)の原料脂肪酸の構成脂肪酸の組成を示した。また、評価結果等を表2に示した。
(原料古紙)
評価用の原料古紙は、新聞紙/チラシ比=60/40(重量%)の比率で配合し、80℃、5時間強制熱劣化させたものを用いた。強制熱劣化は、夏場の劣化古紙を想定したものである。
(脱インキ処理方法)
下記の各工程を順に行い脱インキ処理を行った。
(1)離解工程(パルパー工程)
5cm角に裁断した原料古紙100重量部(絶乾重量)に対し、苛性ソーダ0.3重量部、脱インキ剤(I)0.2重量部又は脱インキ剤(I)と脂肪酸(II)(表1参照)とを合計で0.2重量部を離解機(直径150mmの3Lの円筒状ステンレス製容器)に入れ、45℃の水で合計2500重量部にし(パルプ濃度4.0重量%)、攪拌羽根(羽根3本、長さ各35mm、回転数3000rpm)で10分間離解した。
(2)脱水工程
パルプ濃度が28重量%になるまで80メッシュステンレスワイヤーにて脱水、濃縮した。
(3)ニーディング工程(A)
脱水工程で得られたパルプスラリーに、その固形分100重量部(絶乾重量)に対し、苛性ソーダ0.5重量部、3号珪酸ソーダ1.0重量部、過酸化水素0.5重量部、脱インキ剤(I)0.1重量部又は脱インキ剤(I)と脂肪酸(II)(表1参照)とを合計で0.1重量部を添加し、更にパルプ濃度が25重量%になるまで水を添加してパルプスラリーを調製した。その後、熊谷理機工業株式会社製PFIミル(クリアランス0.6mm、線圧3.4kg/cm)を用い攪拌を500回行い離解した。
(4)漂白工程
ニーディング工程(A)で得られたパルプスラリー(パルプ濃度25重量%)を60℃の条件下で180分間放置した。
(5)ニーディング工程(B)
漂白工程で得られたパルプスラリー(パルプ濃度25重量%)を熊谷理機工業株式会社製PFIミル(クリアランス0.6mm、線圧3.4kg/cm)を用い再び攪拌を500回行い離解した。
(6)希釈工程
ニーディング工程(B)で得られたパルプスラリーにパルプ濃度が1重量%となるよう水を加え、攪拌羽根でパルプが十分ほぐれるようによく攪拌した。
(7)フローテーション工程
希釈後のパルプスラリー(パルプ濃度1重量%)1リットル当たり2.5リットル毎分の送気量で空気を吹き込み、極東振興株式会社製デンバー型フローテーターを用い、5分間フローテーションを行った。その間、1分間毎にフローテーションセル上に蓄積したインキを含んだ泡沫を除去する操作を行った。
(8)洗浄工程
フローテーション後のパルプスラリーを、パルプ濃度が10重量%なるまで80メッシュステンレスワイヤーにて濃縮した後、水で1重量%に希釈し脱インキパルプスラリーを得た。
なお、実施例及び比較例では、ニーディング工程を以下の通りとした。
実施例1〜4、比較例1、3、5〜9
ニーディング工程(A)及び(B)を行い、ニーディング工程(A)において脱インキ剤(I)を添加した。
実施例5
ニーディング工程(A)及び(B)を行い、ニーディング工程(A)において脱インキ剤(I)及び脂肪酸(II)を添加した。
比較例2、4
ニーディング工程(A)において、脱インキ剤(I)を添加し、ニーディング工程(B)は行わなかった。
(抄紙方法)
洗浄工程後のパルプスラリーを用いて、150メッシュワイヤーで坪量100g/m2となるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製した。
(白色度の測定方法)
洗浄工程後の抄紙シートを用い、Technidyne社製Color Touch PC(分光光度計型測色計)を用い、ISO白色度を測定した。白色度の数値が大きいほど白いパルプであることを表す。原料の古紙の種類やロットの種類や脱インキパルプの製造時の目標パルプ歩留まり等により、得られる脱インキパルプの白色度の絶対値が異なるが、同じ評価条件での相対比較で白色度が1%違うと大きく差が認められるものである。
(ダート数の測定方法)
(1)洗浄工程後のパルプスラリーを絶乾重量で2.5g採取し、4Lの水で希釈した後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%となるように濃縮し、それを更に4Lの水で希釈後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%に濃縮する操作を3回繰り返し、遊離インキを除去した洗浄パルプスラリーを得た。
(2)洗浄パルプスラリーを抄紙し、得られたパルプシートをスキャナーで画像データとしてパソコンに取り込み、紙塵測定用画像解析ソフトDF−1000(Ver.2.02、王子計測機器社製)を用い、しきい値50〔露出値0、ガンマ値50、ハイライト値自動(238〜260)、シャドウ値60〕の条件で、視野(1万mm2)中の0.01mm2以上の着色物(ダート)の個数を検出しダート数とした。
(泡沫重量の測定方法)
上記フローテーション工程において、1分間毎にフローテーションセル上に蓄積したインキを含んだ泡沫をビーカーに採取し、最終的に蓄積した泡沫の総重量を測定した。
Figure 0005479968
*1 構成脂肪酸の「C」の次の数字はアルキル基の炭素数を示し、例えば、C11は炭素数11のアルキル基を意味する。また、「その他」は不飽和結合を有する炭化水素基等である。
Figure 0005479968
*2 脂肪酸A〜JのEO・PO付加物は、何れも、EO平均付加モル数20、PO平均付加モル数10(ランダム付加)である。また、ステアリルアルコールのEO・PO付加物は、EO平均付加モル数30、PO平均付加モル数20(ランダム付加)である。

Claims (8)

  1. 離解工程、ニーディング工程、漂白工程及びフローテーション工程を含む、印刷古紙からの脱インキパルプの製造方法であって、
    下記一般式(I)で表される化合物を含有する脱インキ剤であって、一般式(I)で表される化合物の全量中、一般式(I)中のRが炭素数15のアルキル基である化合物の割合が60〜99重量%であり、一般式(I)中のRが炭素数17の炭化水素基である化合物の割合が1〜40重量%である脱インキ剤を用いる、
    脱インキインキパルプの製造方法。
    RCOO(AO)nH (I)
    (式中、Rは炭素数7〜23の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは10〜300の数である。)
  2. ニーディング工程を少なくとも2回行う、請求項1記載の脱インキパルプの製造方法。
  3. 前記工程を離解工程、漂白工程及びフローテーション工程の順に行い、ニーディング工程を、離解工程後漂白工程前、漂白工程後フローテーション工程前、及びフローテーション工程後から選ばれる2つ以上の時期に行う、請求項2記載の脱インキパルプの製造方法。
  4. 脱インキ剤が、更に炭素数8〜24の脂肪酸を含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の脱インキパルプの製造方法。
  5. 脱インキ剤を、少なくとも最初のニーディング工程又はそれ以前に添加する、請求項1〜4の何れか1項記載の脱インキパルプの製造方法。
  6. 脱インキ剤が、一般式(I)で表される化合物を50〜100重量%含有する、請求項1〜5の何れか1項記載の脱インキパルプの製造方法。
  7. 下記一般式(I)で表される化合物を含有する脱インキ剤であって、下記一般式(I)で表される化合物の全量中、一般式(I)中のRが炭素数15のアルキル基である化合物の割合が60〜99重量%であり、一般式(I)中のRが炭素数17の炭化水素基である化合物の割合が1〜40重量%である、請求項1〜6の何れか1項記載の脱インキパルプの製造方法に用いられる脱インキ剤。
    RCOO(AO)nH (I)
    (式中、Rは炭素数7〜23の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは10〜300の数である。)
  8. 更に炭素数8〜24の脂肪酸を含有する、請求項7記載の脱インキ剤。
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