JP5485644B2 - 脱インクパルプの製造方法 - Google Patents

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本願発明は、脱インクパルプの製造方法に関する。
古紙の利用は環境意識の高まりのみならず、製造費削減の面からもその重要性は益々高まっている。古紙パルプには古紙を離解するだけの離解パルプと、脱墨工程を経た脱インクパルプがあるが、より高品質の紙製品に配合できる脱インクパルプの技術開発が近年目覚しい。
脱インクパルプを製造するには、大きく2つの工程から成っている。インクをパルプ繊維から剥離する工程と、剥離したインクを系外へ除去する工程である。インクを系外へ除去する方法にはフローテーション法と洗浄法があるが、現在ではフローテーション法が主流となっている。
インクをパルプ繊維から剥離する工程で剥離したインクは、フローテーション法におけるフローテーターや洗浄装置などを用いた脱墨工程において、容易に除去可能であり、黒ひげ状繊維が少なく、高白色の脱インクパルプが得られる。しかしながら、インクの剥離が不十分であると、未剥離インクが残留したままの繊維(黒ひげ状繊維)は、最終的に紙製品のダートとなり、外観を損ねるため好ましくないばかりか、白色度の低下を招き、更には漂白しても白色度が上がりにくくなるといった問題を生じる。
そのため、インク剥離性を向上し、黒ひげ状繊維を減少するために、さまざまな技術開発がなされてきた。たとえば、従来よりミキサーやニーダー、ディスパーザーなどを用いた機械的処理によるインク剥離や、脱インク剤の使用によるインク剥離が一般的に行われている。
たとえば、機械的処理によるインク剥離技術として、3時間以上アルカリ条件下での漂白を行った後、ミキサー、またはニーダーで攪拌処理を行う方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。また、脱墨剤および漂白剤を添加し、約15%以上のパルプ濃度ならびに5.0g/l(NaOHとして)以上のアルカリ濃度において、レファイナー、ニーダー、ミキサーまたはディスパーザーを使用し、加温下で圧縮力を与えながら機械的攪拌を行う方法が開示されている(たとえば特許文献2参照)。更に、漂白の前後で、2段の機械的処理を行う方法が開示されている(たとえば特許文献3参照)。
特開昭54−120705号公報 特開昭55−40850号公報 特開昭63−28992号公報
従来、脱インクパルプを得るための原料古紙としては市中から回収された新聞やチラシ等が中心であったが、近年、インクジェット方式で印刷された印刷物の利用が増加していることから、今後は、原料古紙としてもインクジェット方式で印刷された印刷物が増加していくことが予想される。しかしながら、とりわけ、顔料インクで印刷されたインクジェット印刷物を原料古紙とした場合に、十分な白色度を示す脱インクパルプが得られる脱インク方法は見出されていない。
一般に新聞古紙を用いた脱インクパルプの製造方法は、(1)古紙をスラリー状にする離解工程(パルパー)、(2)離解工程で剥離したインクを排出し更には次のニーディング工程でより強い剪断力得るためにパルプ濃度を上げる事を目的とした脱水工程、(3)出来るだけ強い剪断力をかけてインクを剥離させるニーディング工程、(4)漂白工程、(5)剥離したインクを効率よく系外に排出するフローテーション工程及び洗浄工程等を適宜組み合わせて実施している。
それに対し、本発明者らは、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙を用いた脱インクパルプの製造方法においては、(3)ニーディング工程などのインク剥離工程で強い剪断力をかけるとかえって白色度が低下する一方で、逆に弱い剪断力で処理した方が高い白色度が得られる場合があることを見出した。この知見に基づき、離解工程からフローテーション工程までのパルプスラリーにおけるインク剥離程度の指標として、パルプシートのダート数の変化が少ないこと、且つパルプシートのインク粒子径が特定範囲にあるパルプスラリーをフロテーション工程で用いることが、白色度の向上に有効であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙からインクを剥離する工程(以下、離解工程という)と、剥離したインクをフローテーション法により除去する工程(以下、フローテーション工程という)とを含む脱インクパルプの製造方法であって、
フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D1の、離解工程後のパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D0に対する比率が(D1/D0)×100で75%以上であり、且つ
フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートにおけるインクの平均粒子径r1が2.5〜10μmである、
脱インクパルプの製造方法に関する。
本発明によれば、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙から白色度の高い脱インクパルプを製造することができる。
本発明では、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙を用いる。原料古紙中、インクジェット印刷紙の含有量は、30重量%以上、50重量%以上、更に70重量%以上、より更に90重量%以上が、本発明の効果をより効果的に発現させる観点から好ましい。原料古紙は、新聞、チラシ、雑誌等の、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙以外の印刷物を含んでいてもよい。
一般に新聞古紙を用いた脱インクパルプの製造方法は、(1)古紙をスラリー状にする離解工程(パルパー)、(2)離解工程で剥離したインクを排出し更には次のニーディング工程でより強い剪断力得るためにパルプ濃度を上げる事を目的とした脱水工程、(3)出来るだけ強い剪断力をかけてインクを剥離させるニーディング工程、(4)漂白工程、(5)剥離したインクを効率よく系外に排出するフローテーション工程及び洗浄工程等を適宜組み合わせて実施される。
本発明では、離解工程とフローテーション工程とを含み、フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D1(以下、ダート数D1という)の、離解工程後のパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D0(以下、ダート数D0という)に対する比率(以下、ダート数変化率という)が(D1/D0)×100で75%以上であり、より好ましくは80〜160%、更に好ましくは85〜150%である。理論的には、ダート数変化率は100%が上限であるが、インク凝集剤を添加した場合には、凝集剤の影響によりインク凝集が生じてダート数変化率が100%以上になる場合があると考えられる。また、ダート数が100個以下、さらに50個以下、さらに20個以下になると、得られるパルプシート中の振れにより、D0に対するD1の比率が100%以上になる場合があると考えられる。
本発明では、離解工程とフローテーション工程とを含み、フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートにおけるインクの平均粒子径r1(以下、平均粒子径r1という)が2.5〜10μmであることが必要である。すなわち、フローテーション工程前のパルプスラリーから得られるパルプシートのインクの平均粒子径r1が2.5〜10μmであることが必要である。インクの平均粒子径r1が前記範囲であると、フローテーション効率の低下が抑制され、得られる紙製品の白色度が向上させることができる。
離解工程はフローテーション工程より前に実施される。離解工程とフローテーション処理工程の他に、ニーダー処理工程、アルカリ条件下で漂白する工程等を含むことができる。具体的には、離解、除塵、希釈、脱水、ニーディング、漂白、フローテーション(インク除去)及び洗浄等の工程を適宜組み合わせる脱インクパルプの製造方法として実施できる。離解工程では、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙と水とを含有するパルプスラリーが調製され、必要に応じて上記工程を経た後、該パルプスラリーがフローテーション工程に導入される。
本発明において、ダート数変化率を75%以上とし、且つインクの平均粒子径r1を2.5〜10μmとするには、フローテーション工程までのパルプスラリーを低剪断力で処理することが好ましく、例えば、離解工程を通常のように行った後、一般的な脱インク方法で採用されるニーディング工程を行わずにフローテーション工程を行うことや、ニーディング工程でのパルプスラリーへの剪断力を弱くすることが挙げられる。
具体的には、離解工程での剪断力は、古紙を繊維状に解きほぐす必要最低限の剪断力は必要であるが、フローテーション工程に導入するパルプスラリーのインクの平均粒子径の観点から、パルプスラリーをより低剪断力で処理することが好ましく、例えば、離解工程で用いる装置として、高濃度パルピングシステム(アイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー)、高濃度パルパー(相川鉄工)、デルタパルパー(低中濃度パルパー)(相川鉄工)、ファイバーフロー(アンドリッツ)が挙げられる。これらの装置は、列記した順に剪断力が低くなると推定される。また、それぞれの装置でパルプ濃度を下げる、攪拌速度下げる、等により低剪断力で処理することができる。また、ニーディング工程を行う場合も、離解工程と同様に低剪断力で処理することが好ましく、例えばニーダー(山本百馬製作所)、マイカプロセッサー(アイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー)、ディスパーザー(相川鉄工)、ホットディスパーザー(ファイバーテック)、コニディスク(相川鉄工)等の装置を用いることができる。これらニーディング工程で用いられる装置は離解工程で用いられる装置に比べ剪断力が強いため、ニーディング工程を行わずにフローテーション工程を行う、ニーディング工程でパルプスラリー濃度を下げる、攪拌回数を減らす、クリアランス等を調整し負荷動力を下げる、等により低剪断力で処理することができる。
パルプシートについてのダートとインクは、何れもパルプシート表面に存在する汚れであり、顔料等のインク配合物の集合体を含むものと考えられる。ダートは、0.01mm2以上の比較的大きな目視で観察できる汚れであり紙製品の外観を損ねる。またインクは、0.01mm2未満の比較的小さな目視で観察できない汚れであり、顕微鏡による拡大観察で判別でき、紙製品の色調(白色度)に影響する。
本発明において、ダート数D1およびインクの平均粒子径r1は、以下の方法で測定されたものをいう。
<ダート数D1の測定方法>
(1)フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーを絶乾重量で2.5g採取し、4Lの水で希釈した後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%となるように濃縮する。それを更に4Lの水で希釈後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%に濃縮する操作を3回繰り返し、遊離インクを除去したパルプスラリー(以下、洗浄パルプスラリーという)を得る。
(2)洗浄パルプスラリーを抄紙して得られたパルプシートを、紙塵測定用画像解析ソフトDF−1000(Ver.2.02、王子計測機器株式会社製)を用い、しきい値50〔露出値0、ガンマ値50、ハイライト値自動(238〜260)、シャドウ値60〕の条件で、視野(1万mm2)中の0.01mm2以上の着色物(ダート)の個数を検出しダート数D1とする。なお、パルプシートそのものに替えて、パルプシートをスキャナーで画像データとしてパソコンに取り込み、前記ソフトを用いて解析してもよい。また、抄紙は、後述の実施例における抄紙方法により行うことが好ましい。すなわち、洗浄パルプスラリーを用いて、150メッシュワイヤーで坪量100g/m2となるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製することが好ましい。
<インクの平均粒子径r1の測定方法>
フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーを抄紙し、パルプシートを得る。得られたパルプシートを、キーエンス株式会社製マイクロスコープVH−6200を用い、1000倍レンズ(VH−1001)で撮影し(視野は約0.06mm2)、画像解析ソフトWin ROOF(Ver.2.11、三谷商事社製)を用い、視野中の0.01mm2未満の着色物(インク)を全て抽出し、0.01mm2以上の着色物(ダート)が存在しない視野についてインクの平均粒子径を測定し、5視野の平均値をインクの平均粒子径r1とする。なお、パルプシートをスキャナーで画像データとしてパソコンに取り込んだ後、前記ソフトを用いて解析するのが簡易である。また、抄紙は、後述の実施例における抄紙方法により行うことが好ましい。すなわち、フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーを用いて、150メッシュワイヤーで坪量100g/m2となるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製することが好ましい。
なお、インクの平均粒子径r1の算出に用いる1視野あたりのインクの数は、測定誤差を小さくする観点から、10〜300個、更に20〜100個から選定することが好ましい。
ダート数D1は、生産性向上の観点から、3個以上が好ましく、得られる紙製品の外観悪化を抑制する観点から、90個以下がより好ましく、50個以下が更に好ましく、20個以下がより更に好ましい。
本発明では、離解工程後のパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D0(測定方法は上記ダート数D1の通り、ただし「フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリー」は「離解工程直後のパルプスラリー」と読み替える)、すなわち離解工程直後の洗浄後のパルプスラリーから得られるパルプシートの単位視野あたりのダート数D0が100個以下であることが、白色度の高い脱インクパルプを得る観点から好ましい。このダート数D0は、離解工程直後のパルプスラリーから得たシートについてダート数D1と同様にして測定されたものである。ダート数D0は、95個以下がより好ましく、50個以下が更に好ましく、20個以下がより更に好ましい。
また、本発明では、フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーから得られるパルプシートのインクの平均粒子径r1の、離解工程直後のパルプスラリーから得られるパルプシートのインクの平均粒子径r0(以下、平均粒子径r0という)(測定方法は上記インクの平均粒子径r1の通り、ただし「フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリー」は「離解工程直後のパルプスラリー」と読み替える)に対する比率(以下、粒子径変化率という)が、(r1/r0)×100で80%以上であることが、白色度の高い脱インクパルプを得る観点から好ましい。粒子径変化率は、80〜100%、更に85〜100%、より更に90〜100%であることが、白色度の高い脱インクパルプを得る観点から好ましい。平均粒子径r0は、離解工程直後のパルプスラリーから得たシートについて平均粒子径r1と同様にして測定されたものである。
また、本発明では、インクの平均粒子径r1が本発明の範囲を満たせばよく、複数のインクが混合されたことで粒度の分布が複数の山(ピーク)を持つものであっても良い。なお、平均粒子径r1は、2.5〜7.5μm、更に2.5〜5.0μmが好ましい。
原料古紙からインクを剥離する離解工程では、脱インク剤の存在下でインクを剥離することが好ましい。脱インク剤としては、(A1)高級アルコール系脱インク剤、(A2)脂肪酸系脱インク剤、(A3)油脂/多価アルコール系脱インク剤、及び(A4)アミン系脱インク剤から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。このうち、(A1)〜(A3)は、曇点が20〜90℃であり、活性水素を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加して得られ、オキシアルキレン基を除く活性水素1個当りの平均炭素数が15超〜24であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数が、活性水素を有する化合物1モルあたり10〜500である脱インク剤が好ましい。本発明では、少なくとも離解工程を含む工程を、これら(A1)〜(A4)からから選ばれる1種以上の脱インク剤の存在下で行うことが好ましい。これらのなかでも(A4)に属する脱インク剤の存在下で行うことが好ましい。
(A1)高級アルコール系脱インク剤
該脱インク剤は、平均炭素数が15超〜24である高級アルコール系脱インク剤が好ましい。
具体的には、平均炭素数15超〜24の飽和もしくは不飽和の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する第1級アルコールのAO付加物が挙げられる。構成アルコールとしては、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。また、アルコールに付加するアルキレンオキサイド(以下、AOと表記する)は、エチレンオキサイド(以下、EOと表記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと表記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと表記する)が挙げられ、特にEOを必須とするのが望ましい。AOの平均付加モル数は、アルコール1モルに対し10〜200モル、さらに20〜100モル、特に40〜80モルが好ましく、この範囲において特にインク剥離性が良好で液状化が容易な脱インク剤が得られる。付加形態はランダム付加又はブロック付加のどちらでも良く、具体的にはPO付加、EO付加、(EO/POランダム付加)の何れか2つを段階的に付加した2段付加、何れか3つを段階的に付加した3段付加、何れか4つを段階的に付加した4段付加形態が挙げられる。
(A2)脂肪酸系脱インク剤
平均炭素数15超〜24の飽和もしくは不飽和の高級脂肪酸のAO付加物及び多価カルボン酸もしくは無水物のAO付加物、さらにこれらのエステル化合物が挙げられる。
高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸はパルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また不飽和脂肪酸ではパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等が挙げられる。
多価カルボン酸又はその酸無水物には、炭素数20〜40の高級脂肪酸のダイマー酸及び/又はポリマー酸、さらにはそれらのエステル化物も含まれる。ここで言うダイマー酸及び/又はポリマー酸は、モノエン酸又はジエン酸、具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸モノマーをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。また、ダイマー酸、ポリマー酸等の多価カルボン酸はアルコールとの混合物を用いることができる。
また、高級脂肪酸又は多価カルボン酸もしくはその無水物に付加するAOは、EO、PO、BOが挙げられ、特にEOを必須とするのが望ましい。AOの平均付加モル数は、高級脂肪酸又は多価カルボン酸もしくはその無水物1モルに対し50〜450モル、特に100〜400モルが好ましい。付加形態はランダム付加又はブロック付加どちらでも良い。多価カルボン酸はアルコール共存下でAOを付加して、部分的にエステル化した化合物を含むことができる。平均炭素数にはエステル結合したアルコールの炭素数も含む。
(A3)油脂/多価アルコール系脱インク剤
(A3)の油脂/多価アルコール系脱インク剤としては、平均炭素数15超〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂と2〜10価の多価アルコールとの混合物のAO付加物が挙げられる。脂肪酸としては上記(A3)で例示したものが挙げられる。2〜10価の多価アルコールとしては、油脂にAOを付加する際に反応効率を上げるのに有効であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。該混合物において、油脂と多価アルコールとの比率は、油脂/多価アルコール=10/1〜1/1(モル比)が好ましい。また、該混合物に付加するAOは、EO、PO、BOが挙げられ、特にEOを必須とするのが望ましい。AOの平均付加モル数は、油脂及び多価アルコールの合計1モルに対し10〜200モル、特に20〜80モルが好ましい。付加形態はランダム付加又はブロック付加どちらでも良い。
(A4)アミン系脱インク剤
該脱インク剤は、アミン又はアミン塩からなるものであり、下記(A4−1)〜(A4−8)で表されるものが好ましく、なかでも(A4−2)で表されるものが好ましい。
Figure 0005485644
〔式中、
1:炭素数8〜36のアルキル基、炭素数8〜36のアルケニル基又は炭素数8〜36のβ−ヒドロキシアルキル基
2、R3:炭素数1〜24のアルキル基又は水素原子
HA:無機酸又は有機酸
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基
l、m:l+mが0超300以下となる整数
1、W2、W3、W4:水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基
を意味する。〕
上記各式において、R2、R3としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル、ミルシチル、パルミトイル、ステアリル、ベヘニル、オレイル、リノレイル、イソプロピル、イソブチル基等が挙げられ、R2、R3は同一でも異なっていてもよい。HAは無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等が挙げられる)又は、1価あるいは多価有機酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸等が挙げられる)である。l、mはl+mが0より大きく300以下となるような整数である。また、W1、W2、W3、W4も同一でも異なっていてもよい。
脱インク剤としては、(A4)で表されるものが好ましい。
脱インク剤は、古紙100重量部に対して、0.01〜1重量部の割合で用いられることが好ましい。
また、本発明では、離解工程で、インク凝集剤の存在下でインクを剥離することが好ましい。インク凝集剤としては、炭素数14〜24の高級脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸又はその塩もしくはその酸無水物、及び炭素数14〜24の高級脂肪酸に由来するダイマー酸もしくはポリマー酸から選ばれる1種以上が好ましく、炭素数14〜24の高級脂肪酸又はその塩がより好ましい。本発明では、少なくとも離解工程を含む工程を、インク凝集剤である炭素数14〜24の高級脂肪酸又はその塩の存在下の存在下で行うことが好ましい。インク凝集剤は、予め脱インク剤に配合して用いることもできる。
炭素数14〜24の高級脂肪酸としては、具体的には、モノカルボン酸としては、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアロール酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ロジン酸、牛脂脂肪酸、トール油脂肪酸、なたね油脂肪酸、魚油脂肪酸、或いはこれらの半硬化乃至硬化された脂肪酸、及びこれら全ての脂肪酸の塩を挙げる事ができる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等を挙げる事ができる。
また、多価カルボン酸又はその塩もしくはその酸無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン化オレイン酸、クエン酸、過クエン酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、テトラデカンヘキサカルボン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ステアリルコハク酸等が挙げられる。
また、炭素数14〜24の高級脂肪酸に由来するダイマー酸もしくはポリマー酸は、モノエン酸又はジエン酸、具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸モノマーをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。また、ここで言うポリマー酸とは、1分子内にカルボキシル基を3個又はそれ以上有するポリカルボン酸であり、ダイマー酸を含まない。生成したダイマー酸及び/又はポリマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応のモノマー酸が残っていても構わない。
インク凝集剤は、全脱インク工程のうち、少なくとも1つの工程に添加されればよいが、好ましくはニーディング工程で添加することである。
インク凝集剤は、古紙100重量部に対して、0.01〜1重量部の割合で用いられることが好ましい。
離解工程を経たパルプスラリーから得られるパルプシートの単位視野(1万mm2)あたりのダート数が3〜100個であり、且つ該パルプシートのインクの平均粒子径が2.5〜10μmであれば、そのままフローテーション工程に供することができるので、本発明では、離解工程の直後にダート数D1とインクの平均粒子径r1の測定を行うことが好ましい。また、漂白工程を行うことが好ましく、離解工程より後であればどこで行っても良い。
フローテーション工程は、一般的に用いられている装置が使用でき、OKフローテーター(王子エンジニアリング)、MTフローテータ、EcoCellフローテーター(何れもアイ・エイチ・アイフォイトペーパーテクノロジー)、MAC CELLフローテーター(相川鉄工)、バーチカルフローテーター(アゼッタ)等が挙げられる。フローテーション工程で、脱インク剤やインク凝集剤を添加してもよい。
本発明の対象となる原料古紙は、顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む。顔料インクは、着色剤として顔料を含む。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。また、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。色相は特に限定されず、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーン有機顔料等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料を用いることができる。
これらの顔料は、高分子分散剤や界面活性剤などの分散剤を用いて分散剤分散型顔料として、または、親水性官能基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合させた自己分散型顔料として、若しくは顔料を含有するポリマー粒子として、インク中に配合させることが好ましい。
なかでも、本発明は、顔料を含有するポリマー粒子を用いた顔料インクによりインクジェット方式で印刷された印刷物に適用することができる。顔料を含有するポリマー粒子に用いられるポリマーは、アニオン性ポリマーであることが好ましく、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、水分散体の保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。アニオン性ビニル系ポリマーとしては、(a)アニオン性モノマー〔以下、(a)成分という〕と、(b)マクロマー〔以下、(b)成分という〕及び/又は(c)疎水性モノマー〔以下、(c)成分という〕とを含むモノマー混合物を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。なかでも(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、(c)成分由来の構成単位を全て含有するものが好ましい。
顔料インクには非水系又は水系インクがあるが、本発明は、水系の顔料インクでインクジェット方式で印刷された印刷物に好適である。インクジェット印刷物は、通常、コピー用紙のような紙に印刷されているが、塗工紙であるチラシやパンフレット等の商業印刷紙に印刷されたものでもよい。
フローテーション工程を経たパルプスラリーは、濃縮、洗浄等を経て脱インクパルプとなり、抄紙工程に供される。よって、本発明により、本発明の脱インク方法を含む脱インクパルプシートの製造方法が提供される。
本発明で製造される脱インクパルプは、パルプシートの原料として用いることができる。顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む古紙を原料とした脱インクパルプでありながら、白色度に優れたパルプシートを得ることができる。
下記の各種原料古紙に対して、下記の脱インク処理、抄紙を行い、得られたパルプシートの白色度、脱インクパルプシートのダート数を測定した。
(原料古紙)
評価用のインクジェット印字紙は、スキャナーで取り込んだ新聞の株式欄の画像を、市販のコピー用紙(富士ゼロックス株式会社製、普通紙「4024」)にインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、EM−930C)で印字したものを、80℃、5時間強制熱劣化させたものを用いた(表中、IJ印字紙と表記する)。これは、夏場の劣化古紙想定としたものである。なお、比較用の染料インクは、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社、PM−750C、純正インクを使用)を用いて行った。また、前記IJ印字紙と新聞紙を50/50(重量%)の比率で配合したものを80℃、5時間強制熱劣化させたものも用いた(表中、混合古紙50/50と表記する)。
また、比較用の原料古紙として、新聞紙/チラシ比=60/40(重量%)の比率で配合したものを、80℃、5時間強制熱劣化させたものを用いた(表中、新聞古紙と表記する)。
(脱インク処理方法)
下記の各工程を順に行い脱インク処理を行った。ただし、実施例及び比較例では、条件を以下の通りとした。
実施例1〜3、5、6、9:ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる離解(攪拌)を行わない。
実施例4、7:ニーディング工程において、PFIミルによる離解を行わない。
実施例8:ニーディング工程において、PFIミルによる攪拌を50回とする。
比較例1〜3、5、7、8:ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる攪拌を500回とする。
比較例4、9:ニーディング工程において、PFIミルによる攪拌を500回とする。
比較例6:ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる離解(攪拌)を行わない。
比較例10:ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる攪拌を200回とする。
参考例1:原料古紙として新聞古紙を用い、ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる攪拌を500回とする。
参考例2:原料古紙として新聞古紙を用い、ニーディング工程において、インク凝集剤を添加せず、PFIミルによる離解(攪拌)を行わない。
離解工程(パルパー工程):5cm角に裁断した原料古紙100重量部(絶乾重量)に対し、苛性ソーダ0.3重量部、脱インク剤0.2重量部を離解機(直径150mmの3Lの円筒状ステンレス製容器)に入れ、45℃の水で合計2500重量部にし(パルプ濃度4.0重量%)、攪拌羽根(羽根3本、長さ各35mm、回転数3000rpm)で10分間離解した。
脱水工程:パルプ濃度が28重量%になるまで80メッシュステンレスワイヤーにて濃縮した。
ニーディング工程:パルプ100重量部(絶乾重量)に対し、苛性ソーダ0.5重量部、3号珪酸ソーダ1.0重量部、過酸化水素0.5重量部、脱インク剤(表1参照)0.1重量部、インク凝集剤(表1参照)0.1重量部を添加し、さらにパルプ濃度が25重量%になるまで水を添加した。その後、熊谷理機工業株式会社製PFIミルを用い攪拌を所定回数(表1参照)行い離解した。
漂白工程:パルプスラリーを60℃の条件下で180分間放置した。
希釈工程:パルプ濃度が1重量%となるよう水を加え、攪拌羽根でパルプが十分ほぐれるようによく攪拌した。
フローテーション工程:スラリー(パルプ濃度1重量%)1リットル当たり2.5リットル毎分の送気量で空気を吹き込み、極東振興株式会社製デンバー型フローテーターを用い、5分間フローテーションを行った。その間、1分間毎にフローテーションセル上に蓄積したインクを含んだ泡沫を除去する操作を行った。
(抄紙方法)
脱インク処理後のパルプスラリーを用いて、150メッシュワイヤーで坪量100g/m2となるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製した。
(ダート数変化率の測定方法)
(1)離解工程直後のパルプスラリーを絶乾重量で2.5g採取し、4Lの水で希釈した後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%となるように濃縮し、それを更に4Lの水で希釈後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%に濃縮する操作を3回繰り返し、遊離インクを除去した洗浄パルプスラリーを得た。
(2)洗浄パルプスラリーを抄紙し、得られたパルプシートをスキャナーで画像データとしてパソコンに取り込み、紙塵測定用画像解析ソフトDF−1000(Ver.2.02、王子計測機器社製)を用い、しきい値50〔露出値0、ガンマ値50、ハイライト値自動(238〜260)、シャドウ値60〕の条件で、視野(1万mm2)中の0.01mm2以上の着色物(ダート)の個数を検出しダート数D0とした。
(3)フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーを絶乾重量で2.5g採取し、上記(1)と同様にして洗浄パルプスラリーを得た。得られた洗浄パルプスラリーから上記(2)と同様の方法によりダート数D1を測定した。
(4)上記(1)〜(3)により測定されたダート数D1及びダート数D0から、ダート数変化率((D1/D0)×100)を算出した。
(インク粒子径変化率の測定方法)
(1)離解工程直後のパルプスラリーを抄紙し、パルプシートを得た。得られたパルプシートを、キーエンス株式会社製マイクロスコープVH−6200を用い、1000倍レンズ(VH−1001)で撮影し(視野は約0.06mm2)、画像データとしてパソコンに取り込んだ後、画像解析ソフトWin ROOF(Ver.2.11、三谷商事社製)を用い、視野中の0.01mm2未満の着色物(インク)を全て抽出し、0.01mm2以上の着色物(ダート)が存在しない視野についてインクの平均粒子径を測定し、5視野の平均値をインクの平均粒子径r0とした。
(2)フローテーション工程に導入する直前のパルプスラリーを抄紙し、上記(1)と同様の測定によりインクの平均粒子径を測定し、5視野の平均値をインクの平均粒子径r1とした。
(3)上記(1)及び(2)により得られた平均粒子径r0と平均粒子径r1から、粒子径変化率((r1/r0)×100)を算出した。
(白色度の測定方法)
フローテーション工程後のパルプスラリーを抄紙しそのシートを用い、Technidyne社製Color Touch PC(分光光度計型測色計)を用い、ISO白色度を測定した。白色度の数値が大きいほど白いパルプであることを表す。原料の古紙の種類やロットの種類や脱インクパルプの製造時の目標パルプ歩留まり等により、得られる脱インクパルプの白色度の絶対値が異なるが、同じ評価条件での相対比較で白色度が1%違うと大きく差が認められるものである。
(脱インクパルプシートのダート数の測定方法)
(1)フローテーション工程後のパルプスラリーを絶乾重量で2.5g採取し、4Lの水で希釈した後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%となるように濃縮した。それを更に4Lの水で希釈後、80メッシュワイヤーでパルプ濃度13重量%に濃縮する操作を3回繰り返し、遊離インクを除去した洗浄パルプスラリーを得た。
(2)洗浄パルプスラリーを抄紙し、得られたパルプシートをスキャナーで画像データとしてパソコンに取り込み、紙塵測定用画像解析ソフトDF−1000(Ver.2.02、王子計測機器社製)を用い、しきい値50〔露出値0、ガンマ値50、ハイライト値自動(238〜260)、シャドウ値60〕の条件で、視野(1万mm2)中の0.01mm2以上の着色物(ダート)の個数を検出しダート数とした。
顔料インクで印刷されたIJ印字紙を含む原料古紙では、実施例1〜9のように、ニーディング工程でのPFIミルでの攪拌を行わない、あるいは攪拌回数を少なくして、ダート数変化率を高くした方が白色度は格段に高くなる。これは、当業界での技術常識(参考例1及び2)からは予想外の結果である。
Figure 0005485644
・顔料インクA:顔料を含有するポリマー粒子を含有する水系インク(下記インク製造例1により得られたもの)
・顔料インクB:分散剤分散型顔料(下記インク製造例2により得られたもの)
・顔料インクC:自己分散型顔料(下記インク製造例3により得られたもの)
・染料インク:セイコーエプソン株式会社製PM−750C用純正インク(黒)
・A−1:ステアリルアルコールEO20モルPO10モルランダム付加物(数字は平均付加モル数である。以下同様)
・A−2:ステアリン酸EO20モルPO10モルランダム付加物
・A−3:ステアリルアミンの酢酸中和物
(インク製造例1)
反応容器内に、メチルエチルケトン10重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.02重量部、メタクリル酸3重量部、スチレンマクロマー(東亜合成社製、AS−6S、数平均分子量6000)2.2重量部、ステアリルメタクリレート10重量部、スチレン2重量部、ポリプロピレングルコールモノメタクリレート(ニチユ社製、PP1000、プロピレンオキサイド平均付加モル数5、末端水素原子)2.8重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、メタクリル酸12重量部、スチレンマクロマー(東亜合成社製、AS−6S、数平均分子量6000)8.8重量部、ステアリルメタクリレート40重量部、スチレン8重量部、ポリプロピレングルコールモノメタクリレート(ニチユ社製、PP1000、プロピレンオキサイド平均付加モル数5、末端水素原子)11.2重量部を仕込み、次いで前記の重合連鎖移動剤0.08重量部、メチルエチルケトン80重量部及び重合開始剤〔2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〕0.5重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー混合溶液を攪拌しながら75 ℃まで昇温した後、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、前記の重合開始剤0.6重量部をメチルエチルケトン10重量部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に75℃で1時間を3回繰返した後、85℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー溶液を得た。得られた水不溶性ポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって水不溶性ポリマーを単離した。その重量平均分子量は51000であった。
水不溶性ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25重量部を、メチルエチルケトン71.5重量部に溶かし、その中にイオン交換水209.7重量部と中和剤(5N−水酸化ナトリウム水溶液)を酸価に対して65%加えた混合物で塩生成基を中和し、カーボンブラック(キャボット社製CB−1、平均粒子径86μm)75重量部を加え、ディスパーを用いて分散した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)を用いて180MPaの圧力で15パス分散処理した。得られた分散体から、エバポレーターを用いて減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、カーボンブラック(キャボット社製、MONARCH880)と水不溶性ポリマーとからなるポリマー粒子を含有する水分散体(固形分量20重量%)を得た。
前記で得られたカーボンブラックと水不溶性ポリマーとからなるポリマー粒子の水分散体25重量部、グリセリン10重量部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5重量部、ヘキサンジオール2重量部、アセチレングリコールEO付加物(平均付加モル数10)0.5重量部及びイオン交換水57.5重量部を混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系インク(顔料インクA)を得た。
(インク製造例2)
顔料インクAの製造に用いた水不溶性ポリマーを用い、ペルオキソ二硫酸塩で酸化処理された自己分散型カーボンブラック(キャボット社製CB−3、平均粒子径142μm)を75部用いた以外は、顔料インクAと同様にして水系インク(顔料インクB)を製造した。
(インク製造例3)
インク製造例1において、カーボンブラックと水不溶性ポリマーとからなるポリマー粒子の水分散体25重量部の代わりに、市販のインクジェットプリンター用色材(オリエント化学工業社製、BONJET BLACK CW−1、固形分量20%の水性顔料分散体)を、インク製造例1の前記水分散体とカーボンブラックの固形分換算量で同等となるように用いた以外は、顔料インクAと同様にして水系インク(顔料インクC)を製造した。

Claims (5)

  1. 顔料インクで印刷したインクジェット印刷紙を含む原料古紙からインクを剥離する工程(以下、離解工程という)と、剥離したインクをフローテーション法により除去する工程(以下、フローテーション工程という)とを含む脱インクパルプの製造方法であって、
    離解工程を行った後、ニーディング工程を行わずにフローテーション工程を行い、
    フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D1の、離解工程後のパルプスラリーから得られるパルプシートのダート数D0に対する比率が、(D1/D0)×100で75%以上であり、且つ
    フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートにおけるインクの平均粒子径r1が2.5〜10μmである、
    脱インクパルプの製造方法。
  2. フローテーション工程に導入するパルプスラリーから得られるパルプシートのインクの平均粒子径r1の、離解工程後のパルプスラリーから得られるパルプシートのインクの平均粒子径r0に対する比率が、(r1/r0)×100で80%以上である、請求項1記載の脱インクパルプの製造方法。
  3. 離解工程直後の洗浄後のパルプスラリーから得られるパルプシートの単位視野あたりのダート数D0が100個以下である、請求項1又は2記載の脱インクパルプの製造方法。
  4. 少なくとも離解工程を含む工程を、高級アルコール系脱インク剤、脂肪酸系脱インク剤、油脂/多価アルコール系脱インク剤、及びアミン系脱インク剤から選ばれる1種以上の脱インク剤の存在下で行う、請求項1〜の何れか1項記載の脱インクパルプの製造方法。
  5. 少なくとも離解工程を含む工程を、炭素数14〜24の高級脂肪酸又はその塩の存在下の存在下で行う、請求項1〜の何れか1項記載の脱インクパルプの製造方法。
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