JP5401935B2 - 脱墨パルプの製造方法 - Google Patents

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Description

中性新聞古紙を含む印刷古紙からなる古紙パルプのダート低減方法に関し、さらに詳しくは中性新聞古紙を含む新聞古紙を主体とする印刷古紙を脱墨再生する際に、ダートを効率よく低減させ、脱墨パルプの品質を向上させることを目的とする。
従来、印刷古紙を脱墨再生させるには、離解・除塵・漂白・分散・脱墨・洗浄の工程の組み合わせからなる方法で製造を行ってきた。また、特に脱墨パルプのダートを低減させるためには、スクリーン、クリーナー等の除塵機を高性能化するか、分散工程でニーディングを強化する事が必要であったが、最近、印刷古紙の中に灰分が多く、表面処理剤により極端に脱墨性の劣る中性新聞が混入するようになり、これまで通常に行われていた脱墨パルプフローではインクを主体とするダートを十分に除去する事が困難となってきた。
一方、ダートを極力低減させ、BKPと同等もしくはそれに準ずる品質を有するDIPが望まれてきたが、これまで、新聞古紙や雑誌古紙をはじめとする印刷古紙からこれに該当する古紙パルプを製造することは極めて困難であった。
従来のダートを低減させる技術には、マイカプロセッサーをはじめとする、一軸のローター集面に送り刃と戻り刃が配置され、かつステーターの刃と各刃間に十分な間隙を有したミキサーを用いることを特徴とするもの(例えば、特許文献1参照)、パルプ濃度20〜35%にして酸化型漂白剤を添加した後、機械的に攪拌して酸化漂白するとともに、漂白した後の繊維懸濁液をパルプ濃度10〜30%にして、還元漂白剤を添加した後、機械的に攪拌して還元漂白しているもの(例えば、特許文献2参照)があるが、この程度の処理では中性新聞を含む新聞古紙のダートを満足できる状態まで低減させる事ができていない。
また、インキ剥離工程において、二酸化チオ尿素を添加し、ニーダーの如く100〜1000rpm、処理時間1〜30分であるような混練機を用いて処理後、ただちにパルプを希釈する技術が公開されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、ダート減少を狙ったものではないため効果が低い。
特開平4−050391号公報 特開2005−281914号公報 特開2002−69877号公報
本発明の目的は、上記のような問題を解消させ、脱墨性の悪い中性新聞を含む印刷古紙から製造される脱墨パルプのダートを大幅に低減させて、高品質の脱墨古紙パルプを製造させることができる方法を提供するものである。
(1)印刷古紙を離解する離解工程、除塵するスクリーニング工程、脱墨処理するフローテーション工程、漂白塔において漂白をする漂白工程、分散処理するニーディング工程、洗浄処理する洗浄工程の組み合わせからなる古紙のパルプ化工程において、前記離解工程で絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを0.7〜3.5%、前記漂白工程の漂白塔出の処理温度を75℃〜90℃、前記ニーディング工程で90℃〜130℃の高温ディスパーザー処理を行なう脱墨パルプの製造方法。
(2)(1)の記載の方法で製造され、パルプシート中に0.004〜5.0mmの大きさのダート個数が5000〜50000個/mである脱墨パルプ。
(3)(2)記載の脱墨パルプを10〜100%配合した紙。
本発明により、原料古紙の品質によらず、脱墨パルプのダートが低減し、品質が向上することにより、紙製品へ、クラフトパルプ、メカニカルパルプ等より安価な脱墨パルプを高配合する事が可能となり、古紙の利用範囲が広がる。
原料となる印刷古紙の例としては、中性新聞紙が含まれるほかに、酸性新聞古紙、微塗工紙、高灰分の塗工紙、非塗工紙等、灰分を5%〜35%含む古紙があげられる。本発明は、多量の表面処理剤により脱墨性が悪い中性新聞古紙を含む印刷古紙に特に効果的である。
本発明の離解工程では苛性ソーダの添加率以外には特に制限は無いが、好ましい処理として原料印刷古紙を固形分濃度12〜18%になるように稀釈水を入れた後に、更に苛性ソーダを対パルプ0.7〜3.5質量%、好ましくは1.0〜2.5質量%添加する。離解工程での一般的な苛性ソーダの添加率は、0.3〜0.6%程度であるが、苛性ソーダの添加条件を0.7%以上と高くすることで、パルプ繊維に苛性ソーダ及び脱墨剤等の薬品の浸透が良くなると共にパルプ繊維が膨潤するため、繊維からインキがより剥離しやすくなるので好ましい。
更に脱墨剤を添加する場合には、パルプ繊維への浸透性が強く、インキの剥離性の強いものが好ましく、脱墨剤を対パルプ0.01〜0.5質量%、好ましくは0.03〜0.3質量%加える。離解時間は、10〜30分、好ましくは10〜25分、更に好ましくは10〜18分、離解温度は10〜50℃、好ましくは30〜50℃で離解することが好ましい。
インキの剥離性の強い脱墨剤としては、高級アルコール系脱墨剤があり、例えば、花王(株)社製のDI−7020、DI−7300、DI−767、DI−7282、日新化学研究所(株)社製のDIA−Z−100、DIA−Z−5000、東邦化学(株)社製のネオスコアFW−780、ネオスコアFW−790、ネオスコアFW−795、FT−467、FT−470、FT−487、FT−511、FT−515、FT−517、FT−519、B−B剤、第一工業製薬(株)社製ダイホープ940、ダイホープ960、日華(株)社製リポブライトDP−810等があるがこの限りではない。
本発明では、除塵工程としては特に制限は無い。スクリーン・クリーナーで原料中の異物を取り除くことが可能であればよいが、スリットスクリーン(1段目0.15mmスリット以下、2段目0.15mmスリット以下)を使用することが好ましい。クリーナーは重量異物を効率良く取り除くことが可能であればいずれでもよい。
また、洗浄工程で使用する洗浄装置としてはエキストラクター、フォールウオッシャー(栄工機製)、ダブルニップシックナー(石川島産業機械製)等があるが、洗浄装置は、原料中の灰分を優先的に除去し、繊維分のロスを最小限に止める洗浄機であることが好ましい。中でもワイヤー洗浄機が好ましく、目穴は、20〜200メッシュ程度までが考えられるが、好ましくは40〜100メッシュが良く、更に好ましくは、50〜80メッシュが適している。
漂白工程で古紙再生の漂白薬品としては過酸化水素、ハイドロサルファイド、二酸化チオ尿素、ハイポ等が使用される。本発明では過酸化水素を使用する。また、本発明ではアルカリ過酸化水素漂白を行うが、過酸化水素は対パルプ0.5〜5.0質量%添加する。これ以上添加量を増やしても白色度上昇はサチュレーションする傾向にある。苛性ソーダは、対パルプ1.5〜3.0質量%、珪酸ソーダは、対パルプ0.5〜1.0質量%(NaOHとして)添加し、漂白時間は10分間〜5時間、好ましくは1.5〜3時間で行う。漂白時間が短すぎると過酸化水素が十分に反応しきらないため好ましくない、また5時間より長くしても逆に過酸化水素の消費が進み、残過酸化水素がなくなった時点からパルプの黄色化が起きるため、適切ではない。漂白パルプ濃度は15〜35%、好ましくは25〜30%、濃度が15%より低くなると過酸化水素の反応性が悪くなる。また、35%より高い濃度にするとディスパーザーでの薬品との混合に斑ができるため、好ましくない。また、漂白時のpHは、10.5〜12.0が好ましく、この範囲を外れると過酸化水素の漂白性が劣る。本発明の漂白塔出の温度は75〜120℃、好ましくは75〜90℃で行うことが効果的である。75℃より低い場合、十分なダートの低減効果がなくなり、120℃を超える高温の場合は、蒸気原単位も極端に悪化するため、実際的ではない。本発明では高温ディスパーザー処理前の漂白工程の温度を75℃以上にするが、高温にすることでパルプ繊維が膨潤するため、インクが剥離しやすくなり、後段の高温ディスパーザーでの処理効果が著しく向上するため好ましい。
漂白工程では脱墨剤さらに添加してもよい。インキ凝集性の強い脱墨剤としては、脂肪酸あるいは、脂肪酸誘導体系の脱墨剤があるが、例えば、脂肪酸の場合、花王(株)社製のDI−254(オレイン酸)、DI−268、第一工業製薬(株)社製のK−4004−D等がある。また、脂肪酸誘導体系の場合、花王(株)社製のDI−1120、DI−1050、日新化学研究所(株)社製のDIY−23543、第一工業製薬(株)社製のペーパーエイドW、ダイホープ1000等があるがこの限りではない。
本発明での分散処理には低速・高濃度用軸タイプの分散機または、ディスクタイプの分散機が適しているが、ディスクタイプの分散機の方がより適している。低速・高濃度用軸タイプの分散機としては、一軸型または二軸型のニーダータイプのディスパーザーが好ましい。軸状のローターに取り付けられた回転刃と、ケーシングに取り付けられた固定刃を有し、回転数50〜300rpmの低速で、処理濃度20%〜50%の高濃度、好ましくは、25%〜40%で処理する。軸タイプの分散機では、繊維間の摩擦作用が主体となって、インキ剥離・ダートの分散が起こる。処理濃度が20%未満では、機械的負荷がかかりにくく、インキ剥離・ダートの分散性が低下する上、温度上昇に必要なエネルギーが莫大となるため、適さない。また、処理濃度50%を越えて高濃度にすると機械的に搾水するのは困難である。
一般的には、一軸型ニーダーとして、ニーディング・ディスパージャーKD(商品名:アイ・エイチ・アイ フォイト ペーパーテクノロジー社製)、ディスパーザー(商品名:相川鉄工社製)、ディスパーザー(商品名:アセック社製)、ディスパーザー(商品名:三栄レギュレーター社製)、CCE型にーディングマシン(商品名:新浜ポンプ製作所社製)、ニーダー(商品名:山本百馬製作所社製)などが使用され、また、二軸型ニーダーとして、新浜ポンプ製作所社製、山本百馬製作所製のものなどが使用されるが、特定の機種に限定するものではない。しかし、10〜25%の処理濃度で、1200〜1800rpmの高速で、空転動力負荷を差し引いた実動力負荷が5〜30kW/t程度で、弱い機械力を与えながら撹拌処理を行う、いわゆるマイカプロセッサーのような高速撹拌装置では高いダート減少効果や高い剥離効果が得られないため本発明では適さない。
また、ディスクタイプの分散機とは、ディスク型ディスパーザーまたはコニカル型ディスパーザーであれば特に制限はない。構造的にはディスクリファイナーと似ているが、ディスクプレートの構造が異なっている。また、コニカル型ディスパーザーは回転刃がコニカル状になっている。回転数300rpm〜2500rpm、処理濃度20%以上で処理する。軸タイプの分散機と異なる点は、繊維と刃の衝突作用が主体となってインキ剥離・ダートの分散が起こる点である。一般的には、ディスク型ディスパーザーとして、ディスパージャーHTD(商品名:アイ・エイチ・アイ フォイト ペーパーテクノロジー社製)、KRIMAホットディスパージョン設備(商品名:Cellwood社製)などが使用され、また、コニカル型ディスパーザーとして、コニディスク(商品名:相川鉄工社製)、コニカルディスパージョンシステム/HIプリヒーター/OptiFinerディスパーザー(商品名:メッツォ SHI社製)などが使用されるが、特定の機種に限定するものではない。
分散機は一段処理でも問題ないが、二段あるいは三段の処理により、分散効果がより向上する。また、一段〜三段の分散処理のうち一段は90〜130℃で処理するディスク型の高温ディスパーザーであるであることが好ましい。
ディスク型で高温処理する場合、原料の流動性が増すため、ディスクのクリアランスを小さくすることができるためによりインキを機械的に剥離させる効果が高くなる。但し、三段処理で高温ディスパーザー処理が二段以上になる場合、パルプ繊維が損傷し、引裂き強度が低下しやすいので、温度条件、クリアランス条件等の処理条件には注意する必要がある。
本発明の高温ディスパーザーによる分散処理時の温度は、90〜130℃であるが、90℃未満の処理では、十分なダート減少効果が得られず、一方、130℃を超えると蒸気原単位が実際的ではないのとパルプの黄変が生じるため適さない。分散機には、過酸化水素、二酸化チオ尿素のほかにアルカリ薬品を添加してもよい。アルカリ薬品としては、水酸化ナトリウムが好ましい。過酸化水素添加量は、絶乾パルプ質量に対して0.05〜3質量%、二酸化チオ尿素の添加量は、絶乾パルプ質量に対して0.1〜2質量%で、特に好ましくは0.2〜1.0質量%である。
本発明のフローテーション処理は、フローテーターの形式に制限はないが、処理濃度は0.7〜1.5%、フローテーター処理温度は10〜55℃、好ましくは30〜50℃で行うのがよい。また、フローテーター処理は1段、2段処理いずれでも特に制限はないが、分散工程後にフローテーション処理を行なうほうがインク除去により効果的である。フローテーション工程の後の洗浄工程は、フローテーターで取り除けなかった微細なインキを脱水洗浄する工程であり、洗浄装置に特に制限は無いが、0.6〜1.5%のパルプスラリーを清水または抄紙機のクリア白水で希釈した後、15〜35%まで脱水洗浄することが好ましい。
インキの剥離を促し、最終的に完成パルプのダートを低い水準内に収めるためには、パルパーでのアルカリ増添、漂白塔での温度上昇、更に高温のディスパーザー処理を一貫して行ない、パルプ繊維をより膨潤させ、より効果の高い機械的シェアをかけてインキ剥離するということを繰り返すことが大切であり、夫々を連続して処理することにより、ダート低減の相乗効果を生み出すと考えられる。
本発明で最もダート低減に効果的なフローは、パルパー処理後に前段除塵を行い、その後前段のインキ除去工程(フローテーター、或いはそれに相当する洗浄機)を経て、漂白塔前の前段ディスパーザー工程で処理し、漂白工程直後に高温のディスパーザー処理を行う。その後は、剥離されたインキを十分に除去できるよう後段フローテーター処理を行い、その後に後段除塵し、洗浄機及び脱水機にて洗浄処理を行うことである。ダート低減に最も効果的な工程は高温のディスパーザーにあるが、このディスパーザーを最大限に発揮させるには、パルパーのアルカリ増添、漂白工程での温度上昇が必要であり、本発明の条件が最も好ましい相性のいいバランスである。
本発明により得られたパルプは、0.004〜5.0mmのダート個数が5000〜50000個/mであることが好ましい。ダート個数50000個を越えるとBKPに比べて極端に見劣りする。また、ダート個数5000個/m以下とするには、パルプとしては品品質の高いものになるが莫大な薬品、エネルギーが必要となる。
また、本発明は上記パルプを10質量%〜100質量%配合した紙を含む。10質量%未満の配合率では抄紙時に上記効果が消失してしまうため、好ましくない。本発明で得られたパルプは白色度さえ適度に合わせれば、ダートが少ないため50質量%以上配合することが可能である。
本発明により、新聞古紙を主体とした印刷古紙より製造される脱墨パルプのISO白色度は50%〜85%まで幅広く製造できるが、いずれもダートの低減された品質を達成することが可能となる。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、実施例は本発明をなんら限定するものではない。本実施例中では、百分率(%)は白色度以外すべて質量%を意味し、また、薬品添加率は、対絶乾パルプあたりの質量%で示した。古紙パルプの品質は、以下に示したダート評価方法によるダート個数で評価した。特にことわりが無い限り原料濃度は灰分込みの固形分濃度、薬品添加率は質量%である。本発明の実施は、完成パルプ60ADT/Dの脱墨パルプ製造設備を使用した。
<ダート評価方法>
脱墨パルプを150メッシュワイヤー上に分取し、パルプ1gあたり約20リットルのフィルター通過清水を用いて、繊維から遊離しているインクを完全に洗浄後、坪量60g/mの手すき紙をJIS P 8222に示される試験用手すき紙の調製方法に準じて5枚作製した。手すき紙5枚中の中心10cm×10cm中に含まれる0.004〜5.0mmサイズのダート個数を王子計測機器社製ダートアナライザー(DIP−200)を用いて測定した。測定結果は、パルプ1mあたりの個数に換算し、ダート個数とした。
<比引裂き強度測定方法>
パルプを離解した後、Tappi試験法T205os−71(JIS P 8209)に従って坪量60g/mのシートを作製し、JIS P 8116に従ってパルプの比引裂き強度を測定した。
実施例1
新聞紙(中性新聞約60%含有)及びチラシを主体とする古紙(灰分含有量13.9%)の原料をパルパーに仕込み原料濃度15%、水酸化ナトリウム添加率対パルプ1.5%、高級アルコール系脱墨剤(東邦化学社製、FT−517)添加率対パルプ0.10%、離解時間15分、離解温度35℃で離解した、離解後離解原料を除塵工程にて処理し、1.0%に濃度調整後、フローテーター(王子エンジニアリング(株)製)にて処理した。フローテーター脱墨条件は、フローテーター処理濃度1.1%、フローテーター処理温度37℃で行った。
フローテーター後のパルプスラリーは、エキストラクター、ディスクシックナーで洗浄後、スクリュープレスで脱水し、漂白塔出の温度が80℃となるように加温ミキサーで75℃まで昇温後、軸タイプの分散機として、相川鉄工社製ディスパーザーで一段目の分散処理(パルプ濃度約27%、電力原単位約40kwh/パルプT)をし、その後漂白を行なった。漂白条件は過酸化水素添加率対パルプ2.5%、水酸化ナトリウム添加率対パルプ2.0%、珪酸ナトリウム添加率対パルプ水酸化ナトリウム換算0.6%、パルプ濃度約26.5%で、漂白時間150分で行った。次いで、蒸気にて原料温度を110℃に昇温後、第二段目にディスクタイプの分散機として、Cellwood社製のKURIMAホットディスパーザー(電力原単位約80kwh/パルプT)を用いて分散処理を行なった。その後王子エンジニアリング社製のフローテーター処理を行なった。フローテーター脱墨条件は、特殊脂肪酸誘導体(花王社製、DI−1120)添加率0.12%、フローテーター処理濃度1.1%、フローテーター処理温度40℃で行った。ディスクシックナーにて脱水洗浄後、製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例2
第二段目のディスクタイプの分散処理を95℃で行なう以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例3
第二段目のディスクタイプの分散処理を125℃で行なう以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例4
漂白塔出の温度が75℃となるように加温ミキサーで72℃まで昇温した以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例5
漂白塔出の温度が90℃となるように加温ミキサーで84℃まで昇温した以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例6
パルパーに仕込む時の水酸化ナトリウムの添加率を0.8%とする以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
実施例7
パルパーに仕込む時の水酸化ナトリウムの添加率を3.0%とする以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
比較例1
第二段目のディスクタイプの分散処理を85℃で行なう以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
比較例2
パルパーに仕込む時の水酸化ナトリウムの添加率を0.5%とする以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
比較例3
パルパーに仕込む時の水酸化ナトリウムの添加率を0.5%で、また、第二段目の分散処理を85℃で行なう以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
比較例4
漂白塔出の温度が68℃となるように加温ミキサーで65℃まで昇温した以外は、実施例1と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
比較例5
第二段目の分散処理後、110℃で三段目の分散処理を行なう以外は、比較例2と同様に処理し、製品パルプを製造した。製品パルプのダート数及び引裂き強度を表1に示す。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005401935
実施例1〜3及び比較例1を比較すると明らかなように水酸化ナトリウムを同一添加率にしても、ディスパーザー温度が90℃未満では、ダートが減少せず効果が低い。また、実施例1、6、7及び比較例2を比較すると明らかなようにディスパーザー温度を同一温度にしても、パルパーの水酸化ナトリウム添加率が0.7%未満であれば、やはりダートが減少せず効果が低く、比較例3に示すようにパルパーの水酸化ナトリウム添加率が0.7%未満で、ディスパーザー温度も低い場合は、極端にダート数値が高くなった。更に 実施例1、4,5及び比較例4を比較すると明らかなように晒塔出の温度が75℃より低い場合、やはりダートの低減効果も低い。
一方、比較例5に示すようにアルカリ添加率を0.5%で、三段の分散処理を行なう方法もあるが、ダート数は満足する数値が出ても比引裂き強度が低下するために有効な方法ではない。
印刷古紙を離解する離解工程、除塵するスクリーニング工程、脱墨処理するフローテーション工程、漂白及びソーキング処理をする漂白工程、分散処理するニーディング工程、洗浄処理する洗浄工程の組み合わせからなる脱墨パルプ製造設備から構成される古紙のパルプ化工程において、前記離解工程で絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを0.7〜3.5%、前期漂白工程の漂白塔出の処理温度を75℃〜90℃、前記ニーディング工程で90℃〜130℃の高温ディスパーザー処理を行なう事で、脱墨性の劣る中性新聞を含む印刷古紙を使用しても、ダートの少ない脱墨パルプを製造する事が可能となった。

Claims (1)

  1. 中性新聞古紙を含有する古紙を離解する離解工程、除塵するスクリーニング工程、脱墨するフローテーション工程、漂白塔において漂白する漂白工程、分散処理する2段で行なうニーディング工程、洗浄処理する洗浄工程組み合わせからなる古紙のパルプ化工程において、最初に行なう前記離解工程で絶乾パルプ質量当たり、苛性ソーダを1.0〜3.5%添加しスクリーニング工程を経た後、初段の脱墨工程後の前記漂白工程の漂白塔出の処理温度を75〜90℃にし該漂白工程に続く、前記ニーディング工程を90〜130℃の高温ディスパーザー処理を行なうことを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
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