JP3943913B2 - 再生パルプの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷用紙から再生パルプを製造する方法、およびその方法により製造された再生パルプを用いて製造された紙および塗被紙等の印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境への関心の高まりから、より多くの古紙を利用することが望まれており、その利用範囲も従来の新聞用紙等の下級紙にとどまらず、印刷用紙等の上級紙にまで広がってきている.しかしながら、古紙の中には紙だけでなく、アルミフォイルやプラスチック等のいろいろな異物が混在している。更に、紙の中にも修正シールや封筒に使われている粘着剤、背糊のホットメルトなど粘着性を有しているもの(本明細書では粘着異物と記す)も数多く含まれている。この粘着異物は製品である紙の外観を悪化させるだけでなく、抄紙工程やその後の塗工機による塗布工程等において、紙切れを起こし、印刷機で印刷する場合にはインキ抜け、紙剥け、断紙等の主要因となっている。
【0003】
以上のことから、製紙工場では上記トラブルを避けるため、いままでは選別された古紙を使用し、できるだけ粘着異物を古紙再生工程に持ち込ませないようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法でトラブルを解決しようとすると、禁忌品を古紙の中から見つけだすのは多大な努力が必要であることから、作業者に大きな負担をかけるだけでなく、人件費によるコストアップが問題となっていた。また、古紙中に粘着異物がどのくらい含まれていれば問題であるのかがわからなかったため、古紙を過剰に選別し、更にコストを大幅に上昇させていた。
【0005】
一般に、古紙の離解工程は古紙に苛性ソーダ等の脱墨薬品を加えて、機械的攪拌処理することにより、古紙を繊維化させる作用だけではなく、同時に脱墨薬品による化学的効果と繊維同士の摩擦力によりインキを繊維から剥離させる作用も担っている。つまり、化学的処理と機械的攪拌処理を強くするとインキ剥離を促進させる効果が高い。
【0006】
しかし、古紙の中に禁忌品として粘着異物が含まれてきた時には、苛性ソーダ等の薬品による化学的処理と機械的攪拌処理は粘着異物を微細化してしまい、微細化した粘着異物はクリーナーやスクリーン等の異物除去装置を用いても古紙再生処理工程中から分離除去することは困難であった。
【0007】
従って、新聞用紙や上級紙等に配合可能な古紙からの再生パルプ(DIP)を得るには微細な粘着異物を生成させない離解、脱墨方法の確立が必要であった。
本発明の他の目的は、インキ剥離工程において、粘着物の微細化を防止しながら繊維からインキを効率よく剥離させ、しかもその後のフローテーション又は洗浄処理において、剥離インキの付着性が高く、インキを効率よく除去することができ、インキが除去された後は消え易い泡を発生することにより、高白色度で未剥離インキの極めて少なく、粘着物の少ない高品質の再生パルプを製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記混入する粘着異物の微細化を防ぎ、またコストアップの原因となる古紙の選別を最小限にするべく、鋭意研究を重ねた結果、離解工程、熟成工程、浮遊選別工程、洗浄工程及び漂白工程の各工程を有する、古紙を脱墨することによる再生パルプの製造方法において、前記離解工程にて、原料古紙を脱墨薬品とともに処理することを特徴とし、かつ、離解装置内で、前段離解処理、浸漬処理及び更なる後段離解処理を行い、ここで、前記3つの処理を10〜20重量%のパルプ濃度で行うことを特徴とすることにより、脱墨薬品の浸透によるインキ剥離効果を促進し、かつ離解工程全体での機械的攪拌処理をできる限り弱い条件にすることにより、粘着異物を微細化させずに大きなまま除去することが可能になり、粘着異物の少ない高品質のDIPが得られること見出し本発明を完成した。なお、前記3つの処理を、一つの離解装置内で行うこともできる。
【0009】
ここでいう脱墨薬品とは、少なくとも苛性ソーダと脱墨剤とを含んだものであり、その他に珪酸ソーダ、過酸化水素のような酸化性漂白剤、還元性漂白剤等を添加してもかまわない。
【0010】
上記の浸漬処理は、経済性や薬品の効果を考えるとできるだけ高濃度で行なうのがインキ剥離に関してはよいが、特開昭57−25488号公報に開示されている従来の古紙濃度20%以上での浸漬処理では回転式地球釜などの特別な浸漬装置を必要とする。
【0011】
これに対して本発明では、一般的な高濃度パルパーが使用できる10〜20重量%で行うことにより、インキ剥離の効率を損なわず、かつ、特別な装置を必要としないことに特徴を有する。
【0012】
本発明は、離解工程、熟成工程、浮遊選別工程、洗浄工程および漂白工程の各工程を有する、古紙を脱墨処理することによる再生パルプの製造方法において、前記離解工程にて、雑誌を5%以上含む原料古紙を苛性ソーダと非イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤とともに処理することを特徴とし、かつ、45℃以下の離解装置内で、パルプ濃度10〜20重量%で浸漬処理を行うことを特徴とする再生パルプの製造方法をもその対象としている。
【0013】
前記発明では、離解装置内で、前段離解処理、浸漬処理及び後段離解処理を行うことができる。離解工程での処理に要する全処理時間のうち、30%以上70%未満の比率で、浸漬処理を行うことができる。古紙重量に対して0.05〜0.3重量%の範囲の非イオン界面活性剤とともに、0.02〜0.1重量%の範囲で陰イオン界面活性剤を添加することができる。非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の重量比が99:1〜70:30、好ましくは95:5〜80:20となるように使用することができる。陰イオン界面活性剤として25℃における臨界ミセル濃度が0.5重量%以下であり、25℃におけるアマニ油に対する界面張力が7mN/m以下の化合物および/またはリン酸塩を分子内に含有する化合物を使用することができる。非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤を前段離解処理段階及び後段離解処理段階の少なくとも一方の段階で1回以上添加することができる。脂肪酸または脂肪酸塩を前段離解処理段階または後段離解段階の少なくとも一方の段階で添加することができる。原料古紙が1重量%以上、好ましくは5重量%以上のオフィス古紙を含むことができる。このような方法により製造された再生パルプを用いて紙および塗被紙を製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とする古紙は、回収新聞又は雑誌又はこれらを主体とした古紙である。古紙標準品質規格(古紙ハンドブック1999 古紙再生促進センター 平成12年3月)によると、回収新聞は粘着異物等の禁忌品の混入が0.3%以下なら認められており、言い換えれば、0.3%くらいの粘着異物が常に混入しているといえる。また、雑誌は、家庭、会社、官公庁等より発生する雑誌及び残本としており、これ以上詳しく分類されていないが、古紙再生促進センターが同時期に発行した「リサイクルに適した雑誌製本のあり方に関する調査」で雑誌古紙には粘着異物が含まれていることが示されている。つまり、回収新聞又は雑誌古紙には粘着異物は必ず存在していると考えられる。
【0015】
離解工程において使用する装置はどのようなものでも構わないが、離解効率の高いタブ型の高濃度パルパーが望ましい。約15%濃度での離解回流状態は高濃度下における繊維同士のニーデイングを主体としたもので、ローターの回転数も周速約12〜15m/秒と低速であるため異物を砕くカが小さい。
【0016】
また、特公昭49−037721号公報に開示されているパルプ濃度15%で漫漬処理後、希釈して離解羽根を高速回転して離解する処理があるが、この方法では脱墨については有利な点もみられるが、段ボール古紙処理工程において、高速離解機の使用が異物破砕を引き起こし、スクリーン出口原料品質を大きく低下させている例が報告されており、低濃度で高速回転して離解することが粘着異物を微細化してしまう欠点があり望ましくない(紙パルプ技術協会誌、1992年12月、第48巻第12号、p1534)。
【0017】
本発明の離解工程は、通常、パルパーに古紙及び脱墨薬品を投入し、離解を開始する(前段離解)。前段離解終了後、ローターの回転を止め、浸漬する。浸漬終了後、再びローターを回転させて離解を開始する(後段離解)ことにより行う。前段離解、浸漬及び後段離解で処理する総時間は、通常の離解時間と同じである。前段離解で使用するローターの回転数は、通常の回転数の100〜50%程度で行うことができる。これは、アルカリに接触している時間が同じであるため、その範囲の値に落としてもインキ剥離性は同等であり、粘着異物の微細化は押さえられるためである。ただし、50%以下にするとインキ剥離性が悪化する。後段離解では、通常使用している回転数で行うことができる。
【0018】
本発明で使用する脱墨薬品は、少なくとも苛性ソーダと脱墨剤を含む。ただし、脱墨剤は、苛性ソーダに比べてインキ剥離力が劣るため、前段離解に必ず入れなければならないということではなく、前段離解処理段階及び更なる後段離解処理段階のいずれの段階でも、数回に分割して添加してもかまわない。過酸化水素は、目標品質によって添加することもできる。
【0019】
脱墨薬品のうち苛性ソーダの添加量は、インキ被膜強度を下げるために、0.2〜5重量%(対絶乾原料古紙)が好適である。
温度は常温でも構わないが、40〜50℃に加温すれば脱墨薬品の反応が促進され、浸漬時間の短縮及び添加薬品の節減を図ることができる。しかし、粘着異物は温度が高いほど軟化し、機械力がかかった場合にはより微細化しやすくなる。従って、粘着異物の除去率を高く維持するためには、処理時の温度は45℃以下が望ましい。
【0020】
本発明の浸漬処理は、異物を微細化させないよう、機械力は一切かけない。
また、離解工程での処理に要する全処理時間のうち、30%以上70%未満の比率で、浸漬処理を行なうことが望ましい。全処理時間のうち浸漬処理時間が30%以下であれば浸漬処理の効果が小さく、また、浸漬処理時間が70%を超えると、未離解古紙が増加し、離解が不十分となり粗選工程で排出される異物量が増加する。従って、操業効率も低下するため好ましくない。
【0021】
本発明で使用する非イオン界面活性剤としては、公知または新規の非イオン界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの単一成分からなるものでも2種以上の成分の混合物でも良い。非イオン界面活性剤の使用量としては、古紙重量に対して0.05%以上0.3%未満であることが望ましい。0.05%未満では界面活性剤の濃度が界面活性能の高い臨界ミセル濃度以下となり、著しくインキ剥離性が低下する。0.3%以上では発泡性が高すぎて泡問題を引き起こし、繊維収率が低下する。
【0022】
本発明において、特にインキ除去と泡切れを促進させる目的で使用する陰イオン界面活性剤としては、公知または新規の陰イオン界面活性剤、例えば脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸塩等が挙げられる。インキ除去の点からは、25℃における臨界ミセル濃度が0.5%以下であり、アマニ油に対する界面張力が7mN/m以下の界面活性剤を好適に用いることができ、泡切れの促進という点からは、特に分子内にリン酸基またはこの塩を有する界面活性剤を好適に用いることができる。陰イオン界面活性剤の使用量としては非イオン界面活性剤の添加重量に対して1%以上30%未満、好ましくは5%以上20%未満の範囲で使用することが望ましい。一般に陰イオン界面活性剤自体の発泡性は非イオン界面活性剤よりも高いため、非イオン界面活性剤に対して30%以上の添加では発泡量が増加するため泡問題を改善できない。1%未満の添加では薬品濃度が低すぎて非イオン界面活性剤の性質を改変できない。
【0023】
原料古紙に脱墨薬品を添加して行う攪拌、浸漬、そしてその後の離解を、2つ以上の装置で行うこともできる。また、前段離解、浸漬、後段離解処理の組み合わせを2回以上繰り返すことにより更に好結果が得られる。
【0024】
離解後はクリーナー、スクリーン等からなる除塵工程や離解工程で繊維から剥離したインキを除くためのフローテーション、洗浄処理による脱インキ工程を有するが、勿論、要求品質によっては、離解工程で繊維から剥離しなかったインキを更に剥離するためにニーダー等の混練機を用いて処理するインキ剥離工程や、パルプの白色度を上げるための漂白工程を何段組み入れても何ら問題ない。
【0025】
上記工程を経て製造されたDIPは粘着異物が非常に少なく、このパルプを100%用いて印刷用紙を製造することができる。その場合の印刷用紙は公知の抄紙機にて抄造されるが、その抄造条件は特に規定されるものではない。また、高速抄造を考慮に入れた場合には、ギャップフォーマーを有する抄紙機を用いることが好適である。
【0026】
また、抄造時に、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の填料の他、一般に使用される各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、ろ水性向上剤、紙力増強剤や内填サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、染料、蛍光増白剤、PH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加しても何ら問題はない。
【0027】
また、外填としてポリアクリルアミド、デンプン等を塗布しても構わない。
更に、このようにして抄造した紙は、塗工用塗料を塗工することによって、高品質の塗被紙を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】
離解工程にて、原料古紙を脱墨薬品とともに処理することを特徴とし、かつ、離解装置内で、前段離解処理、浸漬処理及び更なる後段離解処理を行い、ここで、前記3つの処理を10〜20重量%のパルプ濃度で行うことにより、以下のような効果がある。
【0029】
1.離解工程で処理される総時間は従来法と同じであるが、ローターを回転している時間は短いので、粘着異物が微細化されず、スクリーンでの除去効果が高くなる。
【0030】
2.繊維からのインキの剥離は、苛性ソーダと古紙との接触時間が従来法と同じであることから従来法と変わらない。
3.粘着異物の少ない高品質のDIPが製造できる。
【0031】
4.離解工程でのエネルギーの節減ができる。
4.古紙の用途が拡大できる。
更に、本発明は古紙原料を利用することで資源の再利用ができ、環境破壊をすることなく良質のパルプを得ることができ、また、経済性もあり工業的に有効な方法である。
【0032】
また、本発明による再生パルプの製造方法では、粘着物を多く含む雑誌やオフィス古紙を含む、新聞、チラシ、コピー、コンピュータープリントアウトなどから、粘着物および残インキが少ない高品質・高白色度の再生パルプを得ることができる。また、再生パルプの製造工程においてインキを除去した後の泡が消え易く、操業性を著しく改善することができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
《脱墨試験1》
古紙として、印刷後3ヵ月経過した新聞古紙60重量%とチラシ40重量%からなる古紙を細断し混合した。また、印刷後のコピー印刷物80重量%と感熱紙10重量%、感圧紙10重量%からなる古紙を細断し試料とした。その古紙絶乾450gに対して苛性ソーダ1.0重量%、珪酸ソーダ3.0重量%、過酸化水素1.0重量%、表1に示す市販脱墨剤およびその混合物を加え、水でパルプ濃度15重量%に調整した後、2リットル容量のパルパーを用いて、40℃で、6分間離解した。離解した試料に水を加えて古紙濃度が1%になるように希釈し、これをフローテーターに注入して3分間フローテーションを行った。フローテーション後のパルプスラリーを0.2%濃度に希釈し、JIS法に従って白水循環手すきを行ない、パルプシートを作成した。
《脱墨試験2》
相川鉄工(株)技術センターの脱墨パイロット設備を用いて脱墨試験を行った。古紙としては印刷後約3ヶ月経過した新聞古紙およびチラシ50重量%と更系およびコート系雑誌古紙50重量%からなる古紙800kgを高濃度パルパーに投入し、古紙に対して苛性ソーダ1.0重量%、珪酸ソーダ3.0重量%、過酸化水素1.0重量%、表2に示す市販脱墨剤およびその混合物を加え、温水でパルプ濃度15重量%に調整した後、40℃で、離解工程の合計時間が14分となるように処理を行った。浸漬処理を行った場合、2分間の前段離解に引き続いて6分間の浸漬を行い、その後6分間の後段離解を行った。離解後のパルプは粗選スクリーン(相川GFC400型)を通した後、マックセルフローテーター(相川鉄工製)を用いてインキ除去を行い、更に精選スクリーン(相川GFF400型)処理を行い完成原料とした。
《インキ剥離性の評価》
インキ剥離状態の評価はフローテーション後の試料を150メッシュの篩を用いて流水で完全に洗浄した後、JIS法に従って手すきシートを作成し、画像解析装置Scan Mark 800を用いて、異なる5枚の手すきシート上の0.05mm2以上の残インキ数を画像処理にて測定し、その平均値から算出した。
《フローテーターでの発泡性の評価》
脱墨試験1ではフローテーションでの発泡性について、除去したフロス重量から単位体積あたり泡体積を以下の式によって算出した。
【0034】
発泡性(%)=3分間のフローテーションで発生したフロス重量/初期スラリー重量×100
また、脱墨試験2ではフロス体積1L中の泡の占める体積を百分率で示した。《粘着物測定方法》
実施例及び比較例で得られたパルプ中に含まれる粘着異物の測定は、以下に示す特開平11−083845に規定されている方法に準じて行った。
【0035】
粘着異物測定方法
(1) セルロース繊維スラリーに含まれる混入異物を1000分の6インチ幅を持つテスト用フラットスクリーンを用いて分離する。
(2) 該混入異物を、ガラス繊維ろ紙上に集めた後、乾燥後、セルロース繊維ろ紙をガラス繊維ろ紙の上に被せ、該混入異物を挟む。
(3) セルロース繊維ろ紙に高粘着性粘着異物が付着するように105℃、3.5kg/cm2(0.34MPa)で5分間加熱加圧処理を行う。
(4) 冷却後、ガラス繊維ろ紙とセルロース繊維ろ紙を分離する。
(5) セルロース繊維ろ紙に付着した高粘着性粘着異物の個数を計測する。
尚、実施例、比較例における薬品添加量(%)は絶乾原料に対する重量%を示す。
【0036】
原料古紙としては、新聞古紙(チラシ古紙を含む)と雑誌古紙(背糊付きを含む)を1:1で混合したものを使用した。
実施例1
原料古紙を以下の条件となるように、高濃度パルパー(熊谷理機工業社製、5リットル容)に投入した。
・苛性ソーダ添加量 1.2%
・過酸化水素 1.0%
・珪酸ソーダ(3号) 3.0%
・脱墨剤(花王株式会社製商品名DI 767) 0.2%
・パルプ濃度15%、40℃
まず、古紙と上記薬品をパルパーに投入し、所定濃度、温度になるように調整した後、2分間ローターを400rpmで回転し離解した(前段離解)。終了後ローターの回転を止め、8分間浸漬処理を行った後、再びローターを400rpmで回転させて6分間離解した(後段離解)。
【0037】
離解後のパルプは、相川鉄工(株)製ラボスクリーン(スリット幅0.15mm)を用いて、除塵処理を行い、ラボスクリーン出口試料中の粘着異物個数を測定した。特開平11−083845で高粘着性異物個数が100個以下ならトラブルをほとんど起こさないとしているので、100個以下がよいものとする。
【0038】
また、インキ剥離状態の評価はラボスクリーン出口試料を150メッシュの篩を用いて流水で完全に洗浄したのち、JIS法に従って手すきシートを作成し、目視にてインキの剥離状態を観察した。評価は◎、○、△、×の4段階とし◎と○がよいものとした。
実施例2
脱墨剤を前段離解の始めから添加する代わりに後段離解の始めに添加する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
実施例3
前段離解の回転数を200rpmにする以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例1
実施例における8分間の浸漬処理をせず、連続して8分間ローターを回転し続けた以外は、実施例1と同様の処理を行った。
比較例2
実施例における8分間の浸漬処理をせず、連続して16分間ローターを回転し続けた以外は、実施例1と同様の処理を行った。
比較例3
前段離解を2分間、浸漬時間を4分間、後段離解を10分間にした以外は、実施例1と同様の処理を行った。
比較例4
前段離解を2分間、浸漬時間を12分間、後段離解を2分間にした以外は、実施例1と同様の処理を行った。
比較例5
脱墨剤を離解開始に入れる代わりに、離解してから2分後に添加した以外は、比較例2と同様の処理を行った。
比較例6
脱墨剤を離解開始に入れる代わりに、離解してから10分後に添加した以外は、比較例2と同様の処理を行った。
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例4
非イオン界面活性剤として市販脱墨剤A1(高級アルコールEO/PO付加物、ライオン(株)製) を古紙に対して0.18重量%、陰イオン界面活性剤として市販界面活性剤B1(日華化学(株)製)を古紙に対して0.02重量%用いて、上記脱墨試験1を行った。離解後の試料について、インキ剥離性およびフローテーションでの発泡性、粘着異物個数について測定した。
実施例5
陰イオン界面活性剤としてB1をB2に変更した以外は、実施例4と同じ操作を繰り返した。
実施例6
非イオン界面活性剤としてA1をA2(ライオン(株)製)に、陰イオン界面活性剤としてB1をB2に変更した以外は、実施例4と同じ操作を繰り返した。
実施例7
A1を古紙に対して0.12重量%、B1を0.08重量%添加した、以外は、実施例4と同じ操作を繰り返した。
比較例7〜9
非イオン界面活性剤としてA1、A2およびA3(高級アルコールEO/PO付加物、(株)日新化学研究所製)を古紙に対して0.2重量%使用し、陰イオン界面活性剤を添加していない以外は、実施例4と同様の処理を行った。
比較例10
非イオン界面活性剤に対する陰イオン界面活性剤の添加量が30%を超えるように、A1を古紙に対して0.16重量%、B1を0.04重量%添加した以外は、実施例4と同じ操作を繰り返した。
【0041】
実施例4〜7及び比較例7〜10の結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例8
非イオン界面活性剤としてA2を古紙に対して0.2重量%、陰イオン界面活性剤を0.02重量%添加して、上記脱墨試験2を行った以外は、実施例4と同様の処理を行った。
実施例9
古紙およびA2(0.2重量%)、B2(0.02重量%)をパルパーに投入後、2分間離解(前段離解)し、その後6分間の浸漬処理を行い、引き続いて6分間の離解処理(後段理解)を行った以外は実施例8と同様の処理を行った。
比較例11
非イオン界面活性剤としてA2を古紙に対して0.2重量%使用し、陰イオン界面活性剤を添加していない以外は、実施例8と同様の処理を行った。
比較例12
A2を古紙に対して0.1重量%使用し、陰イオン界面活性剤の古紙に対する添加量が0.02%未満となるように、B2を0.01重量%使用した以外は、実施例8と同様の処理を行った。
比較例13
非イオン界面活性剤としてA3((株)日新化学研究所)を古紙に対して0.2重量%使用し、陰イオン界面活性剤を添加しない以外は、実施例8と同様の処理を行った。
比較例14
古紙およびA3(0.2重量%)のみをパルパーに投入後、2分間離解(前段離解)し、その後6分間の浸漬処理を行い、引き続いて6分間の離解処理(後段理解)を行った以外は実施例8と同様の処理を行った。
【0044】
実施例8、9及び比較例11〜14の結果を表3に示した。
【0045】
【表3】
Claims (5)
- 離解工程、熟成工程、浮遊選別工程、洗浄工程及び漂白工程の各工程を有する、古紙を脱墨することによる再生パルプの製造方法において、前記離解工程にて、原料古紙を苛性ソーダと脱墨剤とを含む脱墨薬品とともに処理することを特徴とし、かつ、前記離解工程は一つの離解装置内で、前段離解処理、浸漬処理及び後段離解処理を行い、ここで、前記3つの処理を10〜20重量%のパルプ濃度で行い、離解工程での処理に要する全処理時間のうち 30 %以上 70 %未満の比率で浸漬処理を行ない、離解工程を 45 ℃以下で行うことを特徴とする再生パルプの製造方法。
- 脱墨剤を前段離解処理段階及び後段離解処理段階の少なくとも一方の段階で1回以上添加することを特徴とする請求項1記載の再生パルプの製造方法。
- 前記離解工程において、原料古紙に脱墨薬品を添加して行う前段離解処理、浸漬処理、そしてその後の後段離解処理を、2つ以上の装置で行うことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の再生パルプの製造方法。
- 前段離解処理、浸漬処理、後段離解処理の組み合わせが2回以上繰り返されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の再生パルプの製造方法。
- 原料古紙が雑誌又は回収新聞を含む請求項1〜4のいずれかに記載の再生パルプの製造方法。
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