JP5479868B2 - ペリクル及びその取付方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜トランジスタやカラーフィルター等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスク(又はレティクル)に異物が付着することを防止するために用いられるペリクル及びフォトマスクへのペリクルの取付方法に関する。
従来、半導体素子の回路パターンを形成するためのフォトリソグラフィー工程においては、一般にペリクルと呼ばれる防塵手段を用いて、フォトマスク又はレティクル(本明細書においてはこれらを区別せずに「フォトマスク」と称する)への異物の付着を防止する技術が提案され、実用化されている。
ペリクルは、フォトマスクの形状に対応させた形状(一般的には四辺形)を有する厚さ数ミリ程度の枠体の上縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース、セルロース誘導体又はフッ素ポリマー等の透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という)を展張して接着し、かつ、この枠体の下縁面に粘着材層を塗布等によって積層して構成したものである。通常、ペリクルを実際の使用に供するまでは、粘着材層は保護フィルムを積層させることにより保護されている。
このようなペリクルは、一般的に、ペリクルを製造するメーカーからフォトマスクを製造するメーカーに供給され、そこで、粘着材層を介してフォトマスクに貼り付けられる。通常、貼付け部から異物が侵入しないように、ペリクルはフォトマスクに密着させて貼り付けられるため、そのままではペリクルとフォトマスクで囲まれた閉空間は外部空間との通気性がないことになる。一方、ペリクルは、通常、温度湿度がコントロールされたクリーンルームにおいて大気圧雰囲気下で使用するものであるが、使用場所の移動による高度の変化や、低気圧の接近等の気象の変化による雰囲気の気圧変化の影響を受けることがある。
すなわち、ペリクルとフォトマスクで囲まれた閉空間と外部との通気性がない場合には、このような雰囲気の気圧変化により、ペリクル膜の中央部が、枠体に接した周辺部に対して外側に膨らんだり逆に内側に凹んだりして、ペリクル膜の平坦性に変動が生じる。その結果、例えばペリクル膜が外側に膨らんで露光用の装置の一部にペリクル膜が接触したり、ペリクルを貼り付けたフォトマスクにおいてペリクル膜上の異物検査を行った際に照明用のレーザーのフォーカスがずれて誤検出したりする等の問題が発生することがあった。
かかる問題に対しては、ペリクルをフォトマスクに貼り付けた状態においてペリクルとフォトマスクで囲まれた閉空間と外部空間との気圧差をなくすことを目的として、ペリクルの枠体の側面に気圧調整用の通気孔を開ける技術が提案されている(特許文献1参照)。かかる技術においては、通気孔を通じて外部空間から閉空間内に出入する空気からの異物進入を防ぐために、通気孔にフィルターを設置する等の工夫がなされている。
また、半導体素子用のペリクルにおいては、ペリクル及びフォトマスクによって形成される閉空間と外部空間との気圧差をなくすために、ペリクルの枠体の側面に通気孔を設け、テープでこの通気孔の開口部を開閉可能にシールした構造を有するペリクルが提案されている(特許文献2参照)。かかる技術においては、通常はペリクルの開口部をシールしたまま使用して、気圧変動時にテープを剥がすことにより閉空間と外部空間との気圧差をなくすことが意図されている。
さらに、近年においては、通気孔の開口部から異物が入りにくいように枠体の側面に向って斜め方向に通気孔を設ける技術(特許文献3参照)、通気孔の断面形状をくの字型に設ける技術(特許文献4参照)、ペリクル及びフォトマスクにより形成される閉空間内への通気と閉空間外への通気とを、弁が設けられた2つの通気孔により別々に行う技術(特許文献5参照)が提案されている。また、異物捕獲性能と通気性能とを両立させたフィルターとして、環境気圧を減圧させて保持した時に、膨らんだペリクル膜が元の状態に復元するのに要する時間が5分から180分となるフィルターを選択し、このフィルターを通気孔に貼り付けたペリクルが提案されている(特許文献6参照)。
実公昭63−39703号公報 特開平02−244046号公報 特開平05−113658号公報 特開平02−250055号公報 特開平06−27643号公報 特開2000−305253号公報
ところで、特に大型のペリクルにおいては、近年の更なる大型化に伴って新たな問題が生じている。すなわち、フォトマスクに大型のペリクルを貼り付ける際に、雰囲気の気圧変化とは関係なく、周囲の空気を巻き込んで貼り付けられた結果として、ペリクル膜の中央部が枠体に接した周辺部に対して膨らんだ状態になることがある、という問題が生じている。
一般的に、前述した雰囲気の気圧変化による閉空間内の空気の膨張収縮量よりも、貼付け時におこる空気の巻き込み量がはるかに大きいため、ペリクル膜の膨らみ量も大きくなることが多い。一方、生産タクトを考えると、この膨らみ量が大きくても貼付け後は速やかに元の状態に回復する事が好ましい。ペリクル膜の面積が小さい半導体素子用ペリクルの場合は、フォトマスクへの貼付け時の空気の巻き込みによってペリクル膜の中央部が膨れた状態であったとしても、従来知られているフィルターを有する通気孔を枠体に複数個設けることで、ある程度速やかにペリクル膜の平坦性を元の状態に回復させることができ、生産タクトが問題になるまでには至らなかった。
しかしながら、ペリクル膜の面積が6000cm2以上、さらには15000cm2以上の大型ペリクルになると、貼付け時に巻き込んだ空気の体積はペリクル膜の面積に比例して大きくなるため、フォトマスクへの貼付け時に中央部が膨らんだペリクル膜の平坦性を元の状態に回復させるにはかなりの時間を要し、生産タクトが長くなるという新たな問題が発生している。
すなわち、フィルターを有する通気孔を枠体に設けることで、雰囲気の気圧変化によるペリクルとフォトマスクで囲まれた閉空間内の空気の膨張収縮に対して異物を閉空間内に流入させることなくペリクル膜の平坦性を保つことが可能となる。しかしながら、フィルターの通気抵抗に起因して通気孔からの空気流出速度が小さくなるため、ペリクル膜の面積が6000cm2以上の大型ペリクルでは、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気によるペリクル膜の中央部の膨れを解消して平坦性を元の状態に回復させるために多大な時間を要してしまうこととなる。
一方、フィルターを有さない通気孔を枠体に設けた場合は、空気流出速度が大きく、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気によるペリクル膜の中央部の膨れを解消して平坦性を元の状態に回復させるために要する時間は少ないが、雰囲気の気圧変化によって通気孔から異物が流入する可能性がある。フィルター以外の異物対策としては、通気孔の形状を非直線形状にしたり通気孔の内面に異物捕捉用の粘着材を塗布したりするといった手段もあるが、完全ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、フォトマスクへの異物付着を招くことなく周囲雰囲気の圧力変化時に対応できる通気性を有するとともに、フォトマスクに貼り付ける時に巻き込んだ空気によるペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができるペリクルの取付方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者は、枠体の側面に、周囲雰囲気の気圧変化に対応するためのフィルター付きの第一の貫通孔を有するとともに、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクルとフォトマスクの間の閉空間から外部空間に速やかに放出するための第二の貫通孔を有する大型ペリクルによって達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
本発明に係る第一のペリクルは、枠体と、この枠体の下縁面に積層された粘着材層と、この枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を備えるペリクルであって、第一のフィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、第二のフィルターが取り付けられた第二の貫通孔と、を枠体の側面に有し、第二のフィルターの圧力損失が第一のフィルターの圧力損失より小さく設定されてなるものである。
また、本発明に係る第一の取付方法は、前記した第一のペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、第一のペリクルを粘着材層でフォトマスクに貼り付ける工程と、ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に第二の貫通孔にシール材を取り付ける工程と、を含むものである。
かかる構成及び方法を採用すると、圧力損失が比較的大きい第一のフィルターが取り付けられた第一の貫通孔により、ペリクルをフォトマスクに取り付けた状態における周囲雰囲気の気圧変化に対応するための通気性を確保することができる。また、圧力損失が比較的小さい第二のフィルターが取り付けられた第二の貫通孔により、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクルとフォトマスクの間の閉空間から外部空間に速やかに放出して、ペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。
本発明に係る第二のペリクルは、枠体と、この枠体の下縁面に積層された粘着材層と、この枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を備えるペリクルであって、フィルターが取り付けられたと第一の貫通孔と、開閉可能通気手段が取り付けられた第二の貫通孔と、を枠体の側面に有するものである。
また、本発明に係る第二の取付方法は、前記した第二のペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、開閉可能通気手段を閉状態にして第二のペリクルを粘着材層でフォトマスクに貼り付ける工程と、開閉可能通気手段を開状態にする工程と、ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に開閉可能通気手段を閉状態にする工程と、を含むものである。
かかる構成及び方法を採用すると、フィルターが取り付けられた第一の貫通孔により、ペリクルをフォトマスクに取り付けた状態における周囲雰囲気の気圧変化に対応するための通気性を確保することができる。また、ペリクルをフォトマスクに取り付けた後に第二の貫通孔の開閉可能通気手段を開状態にすることにより、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクルとフォトマスクの間の閉空間から外部空間に速やかに放出し、ペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。そして、ペリクル膜の平坦性が回復した後に開閉可能通気手段を閉状態にすることにより、その平坦性を維持することができる。
また、本発明に係る第三の取付方法は、枠体と、この枠体の下縁面に積層された粘着材層と、この枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を有するペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、ペリクルは、フィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、フィルター又はシール材が取り外し可能に取り付けられた第二の貫通孔と、を枠体の側面に有し、このペリクルを粘着材層でフォトマスクに貼り付ける工程と、第二の貫通孔からフィルター又はシール材を取り外す工程と、ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に第二の貫通孔にフィルター又はシール材を取り付ける工程と、を含むものである。
かかる方法を採用すると、フィルターが取り付けられた第一の貫通孔により、ペリクルをフォトマスクに取り付けた状態における周囲雰囲気の気圧変化に対応するための通気性を確保することができる。また、ペリクルをフォトマスクに取り付けた後に第二の貫通孔のフィルター又はシール材を取り外すことにより、フォトマスクへのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクルとフォトマスクの間の閉空間から外部空間に速やかに放出し、ペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。そして、ペリクル膜の平坦性が回復した後にフィルター又はシール材を第二の貫通孔に取り付けることにより、その平坦性を維持することができる。
前記第一及び第二のペリクルにおいて、枠体の側面における第一の貫通孔の開口部の合計面積を、ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.1mm2以上10mm2以下に設定することが好ましい。また、これら第一及び第二のペリクルにおいて、枠体の側面における第二の貫通孔の開口部の合計面積を、ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.6mm2以上30mm2以下に設定することが好ましい。
第一の貫通孔の開口部の合計面積が、ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.1mm2以上であると、異物捕捉能力を有するフィルターをとりつけた時に気圧変動時のペリクル膜の平坦性低下に追従させることができる。また、第二の貫通孔の開口部の合計面積が、ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.6mm2以上であると、空気を巻き込んで貼り付けられたペリクルとフォトマスクとの間の閉空間から速やかに空気を外部空間に排出してペリクル膜の平坦性を元の状態に戻すことができる。また、第一の貫通孔5の開口部の合計面積と第二の貫通孔6の開口部の合計面積との和が、ペリクル膜4の面積1000cm2あたり40mm2以下であれば、枠体の強度が保たれることとなり、好ましい。
本発明によれば、フォトマスクへの異物付着を招くことなく周囲雰囲気の圧力変化時に対応できる通気性を有するとともに、フォトマスクに貼り付ける時に巻き込んだ空気によるペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができるペリクルの取付方法を提供することが可能となる。
本発明に係るペリクルの構成を示す斜視図である。 図1のII-II部分の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るペリクル及びその取付方法について説明する。本発明は、ペリクル膜の面積が大きくなるほど顕著な効果を奏し、具体的には、ペリクル膜の面積が6000cm2以上、特に15000cm2以上の場合により顕著な効果を奏する。このように、本発明は、ペリクル膜の面積が大きくなるほど顕著な効果を奏するのであるが、現時点でTFTLCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)の製造に用いるフォトマスクに要求されている大きさから、ペリクル膜の面積の上限の一例としては40000cm2である。なお、ペリクル膜の面積とは、ペリクル膜が接着された枠体の内寸で定まる面積をいい、枠体の幅の部分の面積は含まないものとする。
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態に係るペリクル1の構成について説明する。ペリクル1は、枠体2と、枠体2の下縁面に積層された粘着材層3と、枠体2の上縁面に展張接着されたペリクル膜4と、を備えるものである。ペリクル膜4は、通常、枠体2の上縁面に図示していない接着剤層を介して接着される。また、粘着材層3の表面には、粘着材を保護するための図示していない保護フィルム(以下「ライナー」ということがある)が積層されている。ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける時には、このライナーを剥がしてペリクル1をフォトマスク7に密着させる。
まず、本実施形態に係るペリクル1の第一の貫通孔5について説明する。枠体2には、側面に第一の貫通孔5が設けられている。第一の貫通孔5は、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付けた時にペリクル1とフォトマスク7との間にできる閉空間内の空気が周囲環境の気圧変動(あるいは温湿度変動)によって膨張収縮しペリクル膜4の平坦性が低下するのを防ぐための気圧調整用の貫通孔である。
第一の貫通孔5の開口部の寸法(円の場合は直径、多角形の場合は外接する円の直径)は、枠体2の高さ(下縁から上縁までの寸法)や枠体2の材質等を勘案して適宜設定することができる。例えば、枠体2の高さが6mm程度の場合には、枠体2の強度を保持できるように第一の貫通孔5の開口部の寸法は2mmより小さくすることが好ましい。枠体2の強度が低下すると、ペリクル1をフォトマスク7に長期間貼り付けた状態においた場合に、貼付け部にエアパスが入ったり、変形がおこりやすくなったりするため好ましくない。
第一の貫通孔5の数は単数でも複数でもよいが、枠体2の側面における第一の貫通孔5の開口部の合計面積がペリクル膜4の面積1000cm2あたり0.1mm2以上であることが好ましい。この合計面積がペリクル膜4の面積1000cm2あたり0.1mm2以上であれば、異物捕捉能力を有するフィルターをとりつけた時に気圧変動時のペリクル膜4の平坦性低下に追従させることができる。また、第一の貫通孔5の開口部の合計面積と、後述する第二の貫通孔6の開口部の合計面積と、の和がペリクル膜4の面積1000cm2あたり40mm2以下であれば、枠体2の強度が保たれる。このとき、第一の貫通孔5の開口部の合計面積の和が、ペリクル膜4の面積1000cm2あたり10mm2以下であればより好ましい。
第一の貫通孔5は単数でも複数でも良いが、面積が大きい大型ペリクルの場合の気圧調整用としては、第一の貫通孔5を複数として、1個あたりの面積を小さくかつ合計面積を大きくすることがより好ましい。また、第一の貫通孔5は、枠体2をフォトマスク7に貼り付ける時に把持する部分を除いた場所であれば枠体2の側面のどこに設けてもよいが、枠体2の高さ方向の中心近傍に設けることが枠体2の強度上好ましい。枠体2が四辺形の場合は、枠体2の長辺の2辺のみ又は短辺の2辺のみに第一の貫通孔5を設けてもよいし、長辺の1辺のみ又は短辺の1辺のみに設けてもよいし、4辺全てに設けてもよい。
第一の貫通孔5においては、ペリクル1とフォトマスク7との間にできる閉空間と外部空間との間で空気を出入りさせる必要がある。このため、第一の貫通孔5の内壁に異物捕捉用の粘着材を塗布するか、又はこの貫通孔5にフィルター8を取り付けることが好ましい。異物捕捉効果の点から、第一の貫通孔5にフィルター8を取り付けることがより好ましい。
フィルター8の取付方法としては、第一の貫通孔5の内部に詰める形態であってもよいし、枠体2の側面における貫通孔5の開口部に貼り付ける形態であってもよい。貫通孔5の開口部より少し大きめのサイズを有するフィルム状のフィルターを粘着材で貫通孔5の開口部の周囲に貼り付ける方法は、フィルター取り付けが簡単であるため好ましい。
好ましいフィルター8としては、異物捕捉能力と通気性のバランスで適切な孔径のものを選定する必要があり、平均孔径が0.1μm以上10μm以下のものが好ましい。平均孔径が0.1μm以上であれば気圧変動に対する追随性能に優れ、平均孔径が10μm以下であれば防塵性能が高い。
フィルター8の材質としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やナイロン66等の樹脂、316Lステンレス等の金属、アルミナ、チッ化アルミ等のセラミックス等を挙げることができるが、いずれにしろ多孔質であり、通気性を有するものであれば特に限定されるものではない。
フィルター8を枠体2に貼り付ける粘着材は、フィルター8の内側表面、すなわち、フィルター8を第一の貫通孔5の開口部を覆うようにペリクル1の枠体2に貼り付けた時に枠体2側になる面の周辺に、当該開口部をつぶさない範囲に粘着材を塗布して形成される。粘着材を形成する材料としては、両面粘着テープ、シリコーン樹脂粘着材、アクリル系粘着剤を挙げることができる。
また、フィルター8には、機械的衝撃や物理的外圧から守るためのフィルター保護材をフィルター本体の外側表面に積層していてもよい。このフィルター保護材としては、適度な強度とクッション性、通気性を有する多孔質プラスチックシートが好ましく使用され、材質には、例えばシリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。
次いで、本実施形態に係るペリクル2の第二の貫通孔6について説明する。枠体2の側面には、前記した第一の貫通孔5に加えて、第二の貫通孔6が設けられている。第二の貫通孔6は、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける時の空気の巻き込みによるペリクル膜4の平坦性の低下、すなわちペリクル膜4が枠体2近傍に比して中央部が大きく膨れた状態でフォトマスク7に接着された状態を、元の状態に速やかに回復させて平坦にするための貫通孔である。
第二の貫通孔6の開口部の寸法(円の場合は直径、多角形の場合は外接する円の直径)は、枠体2の高さや枠体2の材料等を勘案して適宜設定することができるが、第一の貫通孔5と同じ寸法かそれ以上の寸法がより好ましい。例えば、枠体2の高さが6mm程度の場合には、枠体2の強度を保持できるように第二の貫通孔6の開口部の寸法を3mm以下に設定することが好ましい。枠体の強度が低下すると、ペリクル1をフォトマスク7に長期間貼り付けた状態においた場合に、貼付け部にエアパスが入ったり、変形がおこりやすくなったりするため好ましくない。また、第二の貫通孔6の面積をそれ以上大きくすることは、ペリクル膜4の平坦性回復中に異物が侵入する確率も高くなるため好ましくない。
第二の貫通孔6の数は単数でも複数でもよいが、枠体2の側面における第二の貫通孔6の開口部の合計面積が、ペリクル膜4の面積1000cm2あたり0.6mm2以上30mm2以下であることが好ましい。より好ましくはペリクル膜4の面積1000cm2あたり0.96mm2以上12.6mm2以下で、更に好ましくは1.62mm2以上10.3mm2以下である。この合計面積が0.6mm2以上であれば、空気を巻き込んで貼り付けられたペリクル1とフォトマスク7との間の閉空間から速やかに空気を外部空間に排出してペリクル膜4の平坦性を元の状態に戻すことができる。また、前記のとおり、第一の貫通孔5の開口部の合計面積と第二の貫通孔6の開口部の合計面積との和がペリクル膜4の面積1000cm2あたり40mm2以下であれば、枠体2の強度が保たれる。このとき、第二の貫通孔6の開口部の合計面積がペリクル膜4の面積1000cm2あたり30mm2以下であればより好ましい。
第二の開口部6を設ける位置は、枠体2をフォトマスク7に貼り付ける時に把持する部分を除いた場所であれば枠体2の側面のどこに設けてもよいが、枠体2の高さ方向の中心近傍に設けることが枠体2の強度上好ましい。枠体2が四辺形の場合は、枠体2の長辺の2辺のみ又は短辺の2辺のみに第二の貫通孔6を設けてもよいし、長辺の1辺のみ又は短辺の1辺のみに設けてもよいし、4辺全てに設けてもよい。
第二の貫通孔6においては、ペリクル1とフォトマスク7との間にできた閉空間から貼付け時に巻き込まれた空気を外部空間に放出することが目的であるため、貫通孔1個あたりの空気流出速度が第一の貫通孔5より大きいことが好ましく、速度の比が10倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることがさらに好ましい。
第二の貫通孔6においては、フォトマスク7にペリクル1を貼り付けた時からペリクル膜4の平坦性が元の状態に回復するまでの間は、空気流出速度向上のためにフィルターを取り付けないか、第一の貫通孔5に取り付けられているフィルターの圧力損失より小さい圧力損失を有するフィルターを取り付けることが好ましい。また、第二の貫通孔6の内面に異物捕捉用の粘着層を設けることも好ましい。粘着層を形成する材料としては、シリコーン樹脂粘着剤、アクリル系粘着剤等を挙げることができる。なお、フィルターの圧力損失は、JISK3803に規定された方法で測定できる。
なお、第二の貫通孔6が前記機能を発揮するのは、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付けた時からペリクル膜4の平坦性が元の状態に回復するまでの時間である。従ってペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける前までは第二の貫通孔6の開口部に取り外し可能なフィルター又はシール材を取り付けておき、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける直前又は貼り付けた後にフィルター又はシール材を取り外してもよい。ペリクル膜4の平坦性が元の状態に回復した後は、異物の進入を防止するために、第二の貫通孔6に再度フィルター又はシール材を取り付けることが好ましい。
ここで、第二の貫通孔6に取り付けるシール材とその取付方法としては、樹脂や金属箔からなる通気性を有さないフィルムを第二の貫通孔6の開口部に粘着材で貼り付ける方法や、粘着材、硬化性の接着剤、パテ、又ははんだ等で第二の貫通孔6を埋める方法があげられる。
また、第二の貫通孔6に開閉可能通気手段(例えばコック又は逆止弁)をとりつけておき、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける前までは第二の貫通孔6に取り付けた開閉可能通気手段を閉状態にしておき、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける直前又は貼り付けた後に開閉可能通気手段を開状態にして、ペリクル膜4の平坦性が元の状態に回復した後に開閉可能通気手段を閉状態にしてもよい。
続いて、貫通孔5、6以外について、本実施形態に係るペリクル1を構成する材料及び製造方法について説明する。
ペリクル膜4を形成する材料としては、光をよく通過させる材料であれば特に限定されるものではないが、例えばセルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等、又はこれら2種以上の混合物)、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュポン社製のテフロン(登録商標)AF、旭硝子社製のサイトップ(登録商標)、アウジモント社製のアルゴフロン(登録商標)等)等のポリマーを用いることができる。現在用いられている一括露光液晶露光機の光源である超高圧水銀ランプに対しては、耐光性やコストの点から、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが好ましく使用される。
ペリクル膜4の膜厚は、0.5μm〜10μm程度が好適であり、本実施形態に係るペリクル1では、ペリクル膜4の強度や均一な膜の作り易さから、2μm〜8μmが好ましい。前記したポリマーは、夫々に適した溶媒(ケトン系、エステル系、アルコール系、フッ素系等)により、ポリマー溶液として成膜する。ポリマー溶液の成膜法には、スピンコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、キャスト法等があるが、均一性やポリマー溶液中の異物の管理のしやすさの点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法により成膜基板上にポリマーを成膜した後、必要に応じてホットプレート、クリーンオーヴン、(遠)赤外線加熱等により溶媒を乾燥することにより、均一な膜が形成される。この時の成膜基板としては、合成石英、溶融石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス等が利用出来る。
また、ペリクル膜4の片側、あるいは両側に、ペリクル膜4よりも屈折率の低い材料からなる反射防止層を形成することにより、露光光線に対する透過率を高めることが出来、好ましい。反射防止層の材料としては、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュポン社製のテフロン(登録商標)AF、旭硝子社製のサイトップ(登録商標)、アウジモント社製のアルゴフロン(登録商標)、ポリフルオロアクリレート等)や、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム等屈折率の低い材料が使用される。この反射防止層の膜厚は10nm〜500nmの範囲内で設定するのが好ましく、反射防止効果を高める観点から20nm〜180nmの範囲内で設定するのが特に好ましい。
ペリクル膜4を枠体2に接着するための接着剤は、ペリクル膜4の材質と枠体2の材質によって適宜選択する。例えば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系等の接着剤が使用される。また、硬化方法は、それぞれの接着剤に適した硬化方法(熱硬化、光硬化、嫌気性硬化等)が採用される。発塵性、コスト、作業性の面から、アクリル系の紫外線硬化型接着剤が好ましい。
枠体2の材質としては、アルミニウムやその合金(例えばジュラルミン)又は鉄や鉄系合金(例えばステンレス)といったペリクル1に用いられる公知の材料が挙げられる。これらの中で大型化による枠体2の自重の増加を考慮すれば、軽量で、かつ、剛性を有するものを用いることが好ましく、例えば、アルミニウムやその合金が好ましい。
枠体2をフォトマスク7に貼り付けるための粘着材には、それ自身に粘着力のあるホットメルト系(ゴム系、アクリル系、スチレンエチレンブチレンスチレン系、スチレンエチレンプロピレンスチレン系)、基材の両面に粘着材を塗布したテープ系(基材としてアクリル系、PVC系等のシートあるいはゴム系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のフォーム等が適用出来、粘着材としてゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着材が適用される)等が使用される。
本実施形態に係る大型のペリクル1では、粘着材として、ペリクル1をフォトマスク7に低荷重で均一に貼り付けるために、比較的柔らかいホットメルト材料やフォームが好適である。フォームの場合は、その断面をアクリル系や酢酸ビニル系の粘着性材料あるいは非粘着性材料で覆うことにより、フォームからの発塵を防ぐことができる。粘着材層の厚さは0.2mm以上2mm以下が好ましいが、フォトマスク7への均一な貼付けのために、より好ましくは1mm以上である。粘着材層の粘着面をフォトマスク7に貼り付けるまでの間保護するために、シリコーンやフッ素で離型処理されたポリエステルフィルムが好適に使用される。
次に、本実施形態に係るペリクル1をフォトマスク7に取り付ける方法について説明する。
まず、ペリクル1を粘着材層3でフォトマスク7に貼り付ける。この時ペリクル1とフォトマスク7との間の閉空間内に空気を巻き込むため、ペリクル膜4が膨れて平坦性が低下する。この時の枠体2の周辺部に対する中央部のペリクル膜4の膨れ量は0.3〜5.0mm程度になることがある。しかしながら、ペリクル膜4の張力によりペリクル膜4は平坦な状態に戻ろうとするため、貫通孔(特に第二の貫通孔6)を通して閉空間内の空気が徐々に外部空間に排出され、ペリクル膜4の平坦性は徐々に回復する。また、できる限り早くペリクル膜4を平坦に回復させたい場合は、真空ポンプによる吸引等の物理的手段をとってもよい。ペリクル膜4の膨れ量が所定の値以下に回復したところで、第二の貫通孔6の開口部をシール材か粘着材で閉じるか、フィルターを取り付けるか、開閉可能通気手段を閉状態にする。この所定の値は、使用する露光装置のワーキングディスタンスの余裕や欠陥検査装置の能力で定めればよいが、通常1mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。
第二の貫通孔6の開口部を閉じる方法としては、硬化性の接着剤やパテはんだ等で貫通孔をシールする方法、及び第二の貫通孔6の開口部の外側からシール材又はフィルターを貼り付ける方法や開閉可能通気手段を閉状態にする方法があげられる。フィルターとしては、ペリクル膜4の膨らみ時の膜戻り時間を早めるために、第一の貫通孔5に使用するフィルターよりも圧力損失が小さいものが好ましい。具体的には、第一の貫通孔5に使用するフィルターの圧力損失は300〜500Paが好ましく、第二の貫通孔6に使用するフィルターの圧力損失は50〜250Paが好ましい。材質としては、超高分子量ポリエチレンを使用した多孔質のフィルターや、焼結金属フィルター、多孔質のセラミックスフィルター等が好ましく使用できる。
シールに使用する素材は、異物がでないテープが好ましいが、防塵性、低アウトガス性に優れたシール材であればどのような素材でも良い。ただ、貼付け時前は、防塵性、低アウトガス性に優れ、輸送や保管時に振動等で剥がれない程度の粘着力があればよい。これは、貼付け直後に開口部のシールを剥がし、ペリクル膜4が回復するまで開口するためであり、ある程度の剥離性があった方が糊残り等で発塵しないためである。例えば、防塵性テープや、通気孔のフィルターに粘着層を設けたものであれば何でもよい。シール材としては、フッ素樹脂製やポリオレフィン樹脂製の防塵用テープが挙げられる。また、粘着材としてはペリクル1に使用されるマスク粘着材のホットメルトやシリコーン系粘着材、発泡性の両面テープ等が挙げられる。
以上説明した実施形態に係る取付方法においては、圧力損失が比較的大きいフィルター8(第一のフィルター)が取り付けられた第一の貫通孔5により、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付けた状態における周囲雰囲気の気圧変化に対応するための通気性を確保することができる。また、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付ける時の空気の巻き込みに対しては、空気流出速度の大きい第二の貫通孔6が主に機能し、フォトマスク7へのペリクル1貼付け時に巻き込んだ空気をペリクル1とフォトマスク7の間の閉空間から外部空間に速やかに放出し、ペリクル膜4の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。
また、以上説明した実施形態に係る取付方法において、第二の貫通孔6に開閉可能通気手段(例えばコック又は逆止弁)を取り付けた場合には、ペリクル1をフォトマスク7に貼り付けた後に開閉可能通気手段を開状態にすることにより、フォトマスク7へのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクル1とフォトマスク7の間の閉空間から外部空間に速やかに放出し、ペリクル膜4の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。そして、ペリクル膜4の平坦性が回復した後に開閉可能通気手段を閉状態にすることにより、その平坦性を維持することができる。
また、以上説明した実施形態に係る取付方法において、第二の貫通孔6にフィルター又はシール材を取り外し可能に取り付けた場合には、ペリクルをフォトマスクに貼り付けた後に第二の貫通孔6のフィルター又はシール材を取り外すことにより、フォトマスク7へのペリクル貼付け時に巻き込んだ空気をペリクル1とフォトマスク7の間の閉空間から外部空間に速やかに放出し、ペリクル膜4の中央部の膨れを速やかに解消して平坦性を元の状態に回復させることができる。そして、ペリクル膜4の平坦性が回復した後にフィルター又はシール材を第二の貫通孔6に取り付けることにより、その平坦性を維持することができる。
以下、実施例と比較例を挙げながら、本実施形態を詳細に説明する。
[実施例1]
表面をアルマイト処理した、平面視長方形のアルミニウム合金製の枠体(内寸1493mm×1711mm、長辺幅16.5mm、短辺幅18.5mm、高さ6.0mm)の長辺の2辺の側面中央付近に直径1.5mmの貫通孔を4個ずつ、計8個あけ第一の貫通孔とした。次に、枠体の角部と第一の貫通孔との間に直径2.2mmの貫通孔を2個ずつ、計4個あけ第二の貫通孔とした。
ペリクル膜としては、セルロースエステルのポリマー溶液を低アルカリガラス上に塗布しスピンコートで主膜を形成し、次いで、その膜上にフッ素ポリマー溶液をスピンコートで塗布して反射防止層を成形した厚み4μmのペリクル膜を用いた。得られたペリクル膜を展張して枠体の上縁面に接着剤で接着した。また、枠体の下縁面に、スチレンエチレンブチレンスチレン系のホットメルト粘着材を塗布乾燥して厚さ1mmの粘着材層を形成し、ポリエチレンフィルム製の厚さ0.1mmのライナーを粘着材層に貼り付けて保護した。
8箇所の第一の貫通孔に、平均孔径0.6μm、厚み0.15mm、大きさ3.0mm×7.5mmのPTFE製のフィルター(圧力損失380Pa)を、第一の貫通孔の枠体の側面における開口部をそれぞれ別個に覆うように、厚み0.1mmの両面テープを用いて枠体に貼付けた。一方、4箇所の第二の貫通孔に、平均孔径17μm、厚さ0.5mm、大きさ3.5mm×8.0mmの超高分子量ポリエチレン製のフィルター(圧力損失120Pa)を、第二の貫通孔の枠体の側面における開口部をそれぞれ別個に覆うように、厚み0.1mmの両面テープを用いて枠体に貼り付けた。
以上のようにして作製したペリクルからライナーを剥離させて除去し、フォトマスクの代わりのガラス基板(縦1700mm×横1800mm×厚さ14.8mm)に6.5N/cm2の荷重をかけて貼り付け密着させた。
その後、ガラス基板上に貼り付けられたペリクルと該ガラス基板とで構成された閉空間内に第一の貫通孔の一つからポンプで空気を入れて、ペリクル膜の中央部の高さが枠体周辺部の高さの平均値(枠体の4辺の各辺中心部の平均値)より2mm高くなるまで膨らませた。その後、第二の貫通孔の開口部のフィルターを4個ともそのまま貼り付けてペリクル膜の膨らみを観察し、ペリクル膜の膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。ペリクル膜の中央部の膨れ量は、レーザー変位計(KEYENCE LC−2450)で測定した。その結果を表1に示す。また、ペリクル膜の平坦度が戻った後、ペリクル内に異物が混入したかどうかを目視検査した。その結果も表1に示す。
[実施例2]
枠体の寸法を、内寸1122mm×1342mm、長辺幅12mm、短辺幅12mm、高さ5.0mmとした以外は、実施例1と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた後、膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。また、同じ条件で目視検査も行った。その結果も表1に示す。
〔実施例3〕
第二の貫通孔に取り付けた超高分子量ポリエチレン製のフィルターをシール材(日東電工製「エコクリアテープ」)3mm×7.5mmに変更した以外は実施例1と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた。その後、前記シール材を4個とも取り外してペリクル膜の膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。測定後は、前記シール材と同じ寸法、同じ形状の新しいシール材を貼り付けて、第二の貫通孔を封止した。その後、ペリクル内に異物が混入したかどうかを目視検査した。その結果も表1に示す。
〔実施例4〕
枠体の寸法を、内寸1122mm×1342mm、長辺幅12mm、短辺幅12mm、高さ5.0mmとした以外は、実施例3と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた後、膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。また、同じ条件で目視検査も行った。その結果も表1に示す。
〔比較例1〕
枠体が第二の貫通孔を有さない以外は、実施例1と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた後、膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。また、同じ条件で目視検査も行った。その結果も表1に示す。
〔比較例2〕
枠体が第二の貫通孔を有さない以外は、実施例2と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた後、膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。また、同じ条件で目視検査も行った。その結果も表1に示す。
〔比較例3〕
枠体が第二の貫通孔を有さないことと、第一の貫通孔を長辺の2辺の中央に8個ずつ計16個にしたこと以外は、実施例2と同じようにしてペリクルを作製し、同じ条件でペリクル膜を2mm高くなるまで膨らませた後、膨れ量が0mmとなるまでに要した時間を測定した。その結果を表1に示す。また、同じ条件で目視検査も行った。その結果も表1に示す。
Figure 0005479868
以上の結果から明らかなように、ペリクルに第二の貫通孔を設けた実施例1〜4においては、圧力損失が比較的小さく空気流出速度が大きい第二の貫通孔が、ペリクルをガラス基板(フォトマスクの代用)に貼り付ける時の空気の巻き込みに対して有効に機能し、比較例1〜3と比較して、ペリクル膜の中央部の膨れを速やかに解消することができる。
本発明に係るペリクルの取付方法は、液晶パネル製造の分野で好適に利用できる。
1…ペリクル
2…枠体
3…粘着材層
4…ペリクル膜
5…第一の貫通孔
6…第二の貫通孔
7…フォトマスク
8…フィルター

Claims (8)

  1. 枠体と、前記枠体の下縁面に積層された粘着材層と、前記枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を備えるペリクルであって、
    第一のフィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、第二のフィルターが取り付けられた第二の貫通孔と、を前記枠体の側面に有し、
    前記第二のフィルターの圧力損失が、前記第一のフィルターの圧力損失より小さく設定されてなり、
    前記枠体の側面における前記第一の貫通孔の開口部の合計面積が、前記ペリクル膜の面積1000cm 2 あたり0.1mm 2 以上10mm 2 以下に設定されてなる、ペリクル。
  2. 枠体と、前記枠体の下縁面に積層された粘着材層と、前記枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を備えるペリクルであって、
    第一のフィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、第二のフィルターが取り付けられた第二の貫通孔と、を前記枠体の側面に有し、
    前記第二のフィルターの圧力損失が、前記第一のフィルターの圧力損失より小さく設定されてなり、
    前記枠体の側面における前記第二の貫通孔の開口部の合計面積が、前記ペリクル膜の面積1000cm 2 あたり0.6mm 2 以上30mm 2 以下に設定されてなる、ペリクル。
  3. 枠体と、前記枠体の下縁面に積層された粘着材層と、前記枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を備えるペリクルであって、
    フィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、開閉可能通気手段が取り付けられた第二の貫通孔と、を前記枠体の側面に有するものである、ペリクル。
  4. 前記枠体の側面における前記第一の貫通孔の開口部の合計面積が、前記ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.1mm2以上10mm2以下に設定されてなる、請求項に記載のペリクル。
  5. 前記枠体の側面における前記第二の貫通孔の開口部の合計面積が、前記ペリクル膜の面積1000cm2あたり0.6mm2以上30mm2以下に設定されてなる、請求項3又は4に記載のペリクル。
  6. 請求項1又は2に記載のペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、
    前記ペリクルを前記粘着材層で前記フォトマスクに貼り付ける工程と、
    前記ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に前記第二の貫通孔にシール材を取り付ける工程と、
    を含む、ペリクルの取付け方法。
  7. 請求項3から5の何れか一項に記載のペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、
    前記開閉可能通気手段を閉状態にして前記ペリクルを前記粘着材層で前記フォトマスクに貼り付ける工程と、
    前記開閉可能通気手段を開状態にする工程と、
    前記ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に前記開閉可能通気手段を閉状態にする工程と、
    を含む、ペリクルの取付方法。
  8. 枠体と、前記枠体の下縁面に積層された粘着材層と、前記枠体の上縁面に展張接着されたペリクル膜と、を有するペリクルをフォトマスクに取り付ける方法であって、
    前記ペリクルは、フィルターが取り付けられた第一の貫通孔と、フィルター又はシール材が取り外し可能に取り付けられた第二の貫通孔と、を前記枠体の側面に有し、
    前記ペリクルを前記粘着材層で前記フォトマスクに貼り付ける工程と、
    前記第二の貫通孔から前記フィルター又は前記シール材を取り外す工程と、
    前記ペリクル膜の中央部の膨れ量が所定の値以下に回復した後に前記第二の貫通孔に前記フィルター又は前記シール材を取り付ける工程と、
    を含む、ペリクルの取付方法。
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