JP2000305254A - フィルター付きペリクル - Google Patents

フィルター付きペリクル

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JP2000305254A
JP2000305254A JP11458099A JP11458099A JP2000305254A JP 2000305254 A JP2000305254 A JP 2000305254A JP 11458099 A JP11458099 A JP 11458099A JP 11458099 A JP11458099 A JP 11458099A JP 2000305254 A JP2000305254 A JP 2000305254A
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Japan
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filter
pellicle
foreign matter
resin
air
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Taku Matsuoka
卓 松岡
Yuichi Hamada
裕一 浜田
Shu Kashida
周 樫田
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Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F1/00Originals for photomechanical production of textured or patterned surfaces, e.g., masks, photo-masks, reticles; Mask blanks or pellicles therefor; Containers specially adapted therefor; Preparation thereof
    • G03F1/68Preparation processes not covered by groups G03F1/20 - G03F1/50
    • G03F1/82Auxiliary processes, e.g. cleaning or inspecting
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  • General Physics & Mathematics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性を確保しつつ、エアーブロー等の激し
い空気流によっても異物の発生を抑えて固定することが
でき、より微細な異物を捕捉できるような通気機能を有
するフィルター付きペリクルを提供する。 【解決手段】 少なくとも一つの気圧調整用の通気孔を
持つペリクルフレームを有するペリクルにおいて、前記
通気孔を覆うように貼り付けられているフィルターの内
側表面の全面、かつフィルターの体積の50%以上に樹
脂が含浸されていることを特徴とするフィルター付きペ
リクル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部の気圧変化に
よりペリクル膜に膨らみやへこみが生じないように、ペ
リクルフレームにフィルターを有する通気機構を設けた
ペリクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】LSI、超LSIなどの半導体用デバイ
スまたは液晶表示用デバイスの製造においては、シリコ
ンウエーハなどの半導体ウエーハまたは液晶用原版上に
露光原版(本明細書中ではフォトマスク、レチクル等を
総称した意味で用いる)を配置し、この露光原版に光を
照射してこれを透過した光によりパターンを転写するこ
と、すなわちリソグラフィーが行われている。
【0003】しかしながら、このような工程において露
光原版に異物(以下、ゴミ、塵埃ということがある)が
付着していると、この異物が光を吸収したり光を曲げて
しまうため、半導体ウエーハや液晶用原版上に転写され
るパターンが変形したり、エッジががさついたものとな
るほか、白地が黒く汚れたりして、寸法、品質、外観な
どが損なわれる。その結果、半導体用デバイスや液晶表
示用デバイスの性能や製造歩留りの低下をもたらすとい
った問題が生じる。
【0004】このような問題を回避するため、通常、リ
ソグラフィーは、クリーンルーム内で行われる。しかし
ながら、クリーンルーム内でも露光原版を完全に清浄に
保つことは困難である。そこで、露光原版の表面に異物
等が付着しないように、露光用の光を良く透過させるペ
リクルを装着する方法が採られている。このようにペリ
クルを装着した場合、異物は露光原版の表面には直接付
着せずにペリクル膜上に付着する。したがって、リソグ
ラフィー時に焦点を露光原版のパターン上に合わせてお
けば、このような異物の存在は転写とは無関係となり、
上述した問題が生じることはない。
【0005】このようなペリクルについて、図1、図2
を用いて簡単に説明する。このペリクル1は、ペリクル
フレーム2と、このペリクルフレーム2の上端面に接着
されたペリクル膜3とから概略構成されてなるものであ
る。このペリクル膜3は通常ペリクルフレーム2の上端
面に接着剤層(不図示)を介して接着される。また、ペ
リクルフレーム2の下端面には、ペリクル1をフォトマ
スク10に密着させるための粘着層6が設けられ、その
表面には粘着層6を保護するためのライナー(不図示)
が貼り付けられている。リソグラフィー時には、このラ
イナーを剥してペリクル1をフォトマスク10上に置
き、密着させる。
【0006】上記ペリクルは、露光原版上に異物(ゴ
ミ)が付着することを防止するために設けられるもので
あるから、ペリクルが露光原版に装着された場合は、ペ
リクル外部の異物がペリクル内に侵入しないように、通
常ペリクルは露光原版に密着され、ペリクルの外部と内
部とは通気性がない。その結果、この露光原版とペリク
ルにより形成される空間は気密な空間とされる。
【0007】一方、ペリクルは、通常大気圧下で使用す
るものであるが、輸送時や使用場所等の状況によりいく
らかの気圧の変化を受けることがある。例えば、空輸時
や使用場所が高地である場合などでは、気圧が低くなる
ことになり、また低気圧が接近した場合等においても気
圧が下がる。さらに、減圧下での使用も考えられる。ペ
リクルが露光原版に取り付けられた状態で、このように
周囲の気圧が変化すると、上述したように露光原版とペ
リクルにより形成される空間は気密な空間であるので、
ペリクル膜が膨らんだりへこんだりしてペリクル膜の高
さに変動が生じる。その結果、例えばペリクル膜が膨ら
んで露光用の装置の一部にペリクル膜が接触したり、ペ
リクル膜上の異物検査を行った際に例えば照明用のレー
ザーのフォーカスがずれて誤検出したりする等の、使用
上の大きな問題となっていた。
【0008】このような場合、ペリクルの外部と内部と
の気圧を調整するだけであれば通気孔を設ければよいの
であるが、単に通気孔を設けるだけでは通気孔からの空
気の流入に伴って異物が侵入してしまうことになり、ペ
リクル内部の露光原版表面への異物の付着防止というペ
リクル本来の目的を損なうことになってしまうことにな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような観点から、
ペリクル枠の側面に通気孔を設けると共にこの通気孔の
外側にフィルターを設けることにより、異物の侵入を防
止しつつペリクル内外の気圧調整を行う方法が提案され
た(実公昭63−39703号公報参照)。これは、例
えば気圧調製用通気孔5をペリクルフレーム2の側面に
設け、フィルター4でこの通気孔5を覆うように貼り付
けて、異物のペリクル内への侵入を防止している。この
ように、小さな通気孔を設け、その外側にフィルターを
貼り付ける方法では、リソグラフィーを行う上で問題と
なるサイズの異物の侵入を防止するために、通常は想定
される異物径と同等か、これよりも小さな径の孔を多数
設けた樹脂板、または金属板が使用されている。
【0010】ところで、このフィルターをペリクルフレ
ームに貼り付ける際に、屈曲、擦れ等によりフィルター
の表面や内部が損傷を受け異物が発生する恐れがある。
また、フィルターの製造時からフィルターの微細な孔に
潜在していた異物が内外の気圧差による空気の流れ(通
気)によってペリクル内部に放出されることがあった。
この点を解決するためにフィルターの一部に粘着剤を付
けてフィルターからの発塵を抑える方法(特開平9−6
8792号、特開平9−160223号公報参照)が提
案されている。
【0011】しかしながら、現実には、LSIのパター
ンルールはサブハーフミクロンへと微細化が進んでお
り、マスクパターン面の付着許容異物のサイズもより微
細なものとなってきている。そのような状況下におい
て、ペリクルの使用に際してはさらなるクリーン化への
要求が強く、異物除去の目的でフィルターの外部からエ
アーブロー等を行うことがある。このようなエアーブロ
ーによってフィルターを通過する空気の流れは、大気圧
の変化に伴う空気の流れと比較して非常に激しいため、
従来のようなフィルターの粘着剤処理条件では異物の捕
捉、固定が充分になされず、異物がペリクル内に放出さ
れることがあった。
【0012】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、通気性を確保しつつ、エアーブロー等の激し
い空気流によっても異物を発生することなく固定するこ
とができ、より微細な異物を捕捉できるような通気機能
を有するフィルター付きペリクルを提供することを主目
的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載した発明は、少なくとも一
つの気圧調整用の通気孔を持つペリクルフレームを有す
るペリクルにおいて、前記通気孔を覆うように貼り付け
られているフィルターの内側表面の全面、かつフィルタ
ーの体積の50%以上に樹脂が含浸されていることを特
徴とするフィルター付きペリクルである。
【0014】このように、本発明によれば、ペリクルフ
レームに設けた気圧調整用の通気孔に対して、フィルタ
ーの内側表面の全面、かつフィルターの体積の50%以
上に樹脂を含浸したフィルターを貼り付けたことによ
り、フィルターの製造時にその微細な孔内に潜在してい
た異物は発塵しないように確実に固定され、強力なエア
ーブローを受けても異物を発生することは殆どない。ま
た、フィルター内で発生したり外部から侵入してきた異
物は、空気流と樹脂との摩擦で発生する静電気や微細孔
によって捕捉されペリクル内に侵入することは殆どな
い。さらにこの樹脂含浸によってもフィルターの実用上
の通気性は充分確保されたものとなっている。
【0015】この場合、請求項2に記載するように、フ
ィルターに含浸される樹脂が粘着性を有することが好ま
しい。このようにフィルターに含浸される樹脂を粘着性
を有するものとすれば、異物の捕捉性能と固定化をより
一層向上させることができる。
【0016】そして、本発明の請求項3に記載した発明
は、樹脂を含浸したフィルターが、液化樹脂をフィルタ
ー表面に塗布する方法および/または液化樹脂中にフィ
ルターを浸漬する方法で作製されたものであることを特
徴とするフィルター付きペリクルである。
【0017】このようにフィルターに樹脂を含浸する方
法を、液化樹脂をフィルター表面に塗布する方法および
/または液化樹脂中にフィルターを浸漬する方法で行え
ば、フィルター内の微細孔の表面を均一にしかも隅々ま
でコーティングすることができるので、フィルターの製
造時から潜在していた異物が、激しいエアーブローによ
って発塵したり、フィルターが外圧を受けて損傷した場
合に発生する異物を確実に固定すると共に、外部から侵
入してくる異物を確実に捕捉することが出来るフィルタ
ー付きペリクルとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本
発明者等は、少なくとも一つの気圧調整用の通気孔を持
つペリクルフレームを有するペリクルにおいて、通気孔
からの異物の侵入防止用に設けたフィルターの通気性を
確保しつつ、フィルター製造時からフィルター内の微細
孔に潜在していた異物が、エアーブロー等の激しい空気
流によって発塵し、微細な異物となってペリクル内に侵
入してくるのを捕捉して固定するには、通気孔を覆うフ
ィルターの微細孔の内表面に樹脂コーティングを施せば
よいことを見出し、フィルターの処理条件を精査して本
発明を完成させた。
【0019】先ず、本発明のフィルターを図面に基づい
て説明する。ここで図3は、本発明の一例としてフィル
ターの構成概要を説明するための概略説明図である。
【0020】図3に示すように、本発明のフィルター4
aは、フィルター本体41、フィルター貼り付け用粘着
層44、フィルター保護材45から構成されている。そ
して、フィルター本体41は、フィルター内側表面4
2、すなわちフィルターを通気孔を覆うようにペリクル
フレームに貼り付けた時にフレーム側になる面の全面な
らびにフィルター本体41の体積の50%以上に樹脂を
含浸して樹脂含浸層43を形成し、その後乾燥してフィ
ルター内の微細孔の内表面に樹脂コーティングを施した
ものである。
【0021】次に、この樹脂コーティングの有効性を説
明する。先ず、樹脂の種類と樹脂の含浸量の影響をテス
トし調査した。 (テスト1−1)表面をアルマイト処理した、枠外寸1
20mm角×6.3mm高さ、枠内寸110mm角、一
辺の中央部に0.5mmφの通気孔を有するアルミニウ
ム合金製ペリクルフレームを用意した。この下端面にシ
リコーン粘着剤KR−120(信越化学工業(株)社製
商品名)を厚みが0.6mmのテープ状となるように塗
布して120℃、30分間キュアして粘着層を形成し
た。さらに、フレームの上端面には、フッ素変性シリコ
ーン接着剤によって透明な非晶質フッ素樹脂製の厚さ
1.62μmのペリクル膜を接着した。
【0022】次いで、孔径3μm、大きさ10mm×3
mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のフ
ィルターをPTFEの水性分散液(固形分濃度:3%)
中に浸漬し、樹脂がフィルター全体に行き渡ったのを確
認してから(樹脂溶液含浸体積:100%)2時間の風
乾を行い、上記ペリクルフレームの0.5mmφの通気
孔を覆うようにフィルターを貼り付けた。
【0023】以上のようにして仕上げたペリクルを、3
0kgの荷重で石英基板に貼り付け、減圧チャンバー内
にセットし、常圧760mmHgから500mmHgま
で30秒間で減圧し、気圧を保持したままペリクル膜の
膨らみを観察したところ、減圧完了直後には通常時に比
べ、6mmの膨らみがあったが、35分後に膜の膨らみ
は解消されて0mmとなり、フィルターの通気性は実用
上問題のないことを確認した。
【0024】次に、再びこのペリクルを減圧容器中に設
置した後、常圧760mmHgから500mmHgまで
30秒間で減圧し、5分後に再び常圧まで30秒間で加
圧、5分間保持という減圧−加圧サイクルを5回繰り返
した。この実験前後におけるペリクル膜に付着した異物
について、30万ルクスの集光ランプを用いて目視で計
測したところ、異物の増加は見られなかった。
【0025】また、このペリクルのフィルターに対し
て、垂直方向に10mmの距離から、内径0.72mm
のエアガンによって、レギュレータ圧1.0および2.
5kgf/cm2 、10秒間のクリーンエアによるエア
ブローを行い、エアブロー前後におけるペリクル膜に付
着した異物について、30万ルクスの集光ランプを用い
て目視で計測したところ、異物の増加は見られなかっ
た。以上のテスト結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】(テスト1−2,1−3)孔径3μm、大
きさ10mm×3mmのPTFE製フィルターにPTF
Eの水性分散液(固形分濃度:3%)をフィルター内側
表面側から全面に均等に行きわたるように滴下し、2時
間の風乾後ペリクルフレームに装着したこと以外はテス
ト1−1と同様の条件でペリクルを作製した。この樹脂
溶液塗布量の異なる2種類の試料(1−2,1−3)を
調製した。フィルターの樹脂溶液処理体積割合とエアブ
ローにおけるペリクル膜上の異物増加数、常圧760m
mHgから500mmHgまで30秒間で減圧した際の
ペリクル膜膨らみ解消時間の測定結果をまとめて表1に
併記した。
【0028】表1のテスト1−1〜1−3の結果から、
フィルターの樹脂溶液含浸体積の増加、特に50%以上
とすれば、エアブローによるフィルターからの異物発生
が少なくなり、良好な異物捕捉性能を発揮することが確
認された。
【0029】(テスト2−1)孔径3μm、大きさ10
mm×3mmのPTFE製フィルターをシリコーン粘着
剤KR−120(前出)の3%トルエン溶液中に浸漬
し、粘着剤がフィルター全体に行き渡ったのを確認して
から20分間風乾後ペリクルフレームに装着したこと以
外はテスト1−1と同様の条件でペリクルを作製した。
フィルターの樹脂溶液処理体積割合とエアブローにおけ
るペリクル膜上の異物増加数、常圧760mmHgから
500mmHgまで30秒間で減圧した際のペリクル膜
膨らみ解消時間の測定結果をまとめて表1に併記した。
【0030】以上のテスト後に、フィルターをペリクル
から除去し、フィルターの内側表面およびフィルター切
断後の断面をEPMA(Electron Probe X-ray Micro A
nalyzer )によりシリコン元素のマップ分析を行った。
その結果、フィルター体積の全てにシリコンの分布が見
られ、シリコーン粘着剤がフィルター全面に分布してい
ることが確認された。
【0031】(テスト2−2〜2−5、3−1)孔径3
μm、大きさ10mm×3mmのPTFE製フィルター
にシリコーン粘着剤KR−120(前出)の3%トルエ
ン溶液をフィルター内側表面側から全面に均等に行きわ
たるように滴下し、20分間風乾後ペリクルフレームに
装着したこと以外はテスト1−1と同様の条件でペリク
ルを作製した。この樹脂溶液塗布量の異なる4種類の試
料(2−2〜2−5)を調製した。フィルターの樹脂溶
液処理体積割合とエアブローにおけるペリクル膜上の異
物増加数、常圧760mmHgから500mmHgまで
30秒間で減圧した際のペリクル膜膨らみ解消時間の測
定結果をまとめて表1に併記した。別にテスト3−1と
して、樹脂の含浸処理を行わなかったフィルターを用意
し、上記2種類の評価測定を行いその結果も表1に併記
した。
【0032】表1のテスト2−1〜2−5の結果から、
フィルターの樹脂溶液含浸体積の増加、特に50%以上
とすれば、エアブローによるフィルターからの異物発生
が少なくなり、良好な異物捕捉性能を発揮することが確
認された。また、樹脂として粘着剤を使用したことによ
り、テスト1の樹脂(PTFE)と比較して異物捕捉性
能がより一層向上したことが判る。さらに、ペリクル膜
の減圧下膨らみ緩和時間については、フィルターの樹脂
溶液含浸体積の増加と共に長くなる傾向が見られるが実
用上問題のないことを確認した。また、テスト1−3、
2−5、3−1のフィルターのように、樹脂や粘着剤の
含浸量が少なく、あるいは全く処理しなかった場合に
は、エアブローで異物数が増加し、異物捕捉性能が劣っ
ていることが判る。
【0033】以上の結果から、本発明では、少なくとも
一つの気圧調整用の通気孔を持つペリクルフレームを有
するペリクルにおいて、前記通気孔を覆うように貼り付
けられているフィルターの内側表面の全面、かつフィル
ターの体積の50%以上に樹脂が含浸されているフィル
ター付きペリクルとすることにした。
【0034】フィルターの構成をこのようにすれば、ペ
リクルフレームに設けた気圧調整用の通気孔に対して、
フィルターの内側表面の全面、かつフィルターの体積の
50%以上に樹脂を含浸したフィルターを貼り付けてい
るので、フィルターの製造時にその微細な孔内に潜在し
ていた異物は樹脂によって確実に固定され、強力なエア
ーブローを受けても異物を発生することは殆どない。ま
た、フィルター内で発生したり外部から侵入してきた異
物は、空気流と樹脂との摩擦で発生する静電気や微細孔
によって捕捉されペリクル内に侵入することは殆どな
い。さらにこの量の樹脂の含浸によってもフィルターの
実用上の通気性は充分確保されたものとなっている。
【0035】本発明が適用される樹脂については、特に
限定を設けるものではないが、ペリクルの使用目的か
ら、紫外線に対する耐光性が高く、フィルター本体に含
浸し易く、フィルター材質との密着性の高いものが望ま
しい。このような性能を有する樹脂として、シリコーン
系粘着剤、PTFE水性分散液等が挙げられるが、特に
シリコーン系粘着剤のように粘着性を有するものは通常
の樹脂よりも異物捕捉性能に優れているので好適に使用
される。
【0036】そして、このフィルターの製造方法として
は、樹脂を加熱溶融し、あるいは溶媒に溶解し、さらに
水に乳化分散させる等の方法で液化した液化樹脂液中に
フィルターを浸漬したり、あるいはスプレーで表面全面
を塗装し、微細孔に侵入させて孔内面をコーティングす
る等の方法がある。
【0037】このようにフィルターに樹脂を含浸する方
法を、液化樹脂をフィルター表面に塗布する方法および
/または液化樹脂中にフィルターを浸漬する方法で行え
ば、フィルター内の微細孔の表面を均一にしかも隅々ま
でコーティングすることができるので、フィルターの製
造時から微細孔に潜在していた異物は抑え込まれて固定
され、激しいエアーブローを受けてもフィルターからの
発塵は防止される。また、フィルターが外圧により損傷
を受けたような場合に発生する異物も確実に固定化する
ことができると共に、外部から侵入してくる異物を確実
に捕捉することが出来る。
【0038】ここで用いられるフィルターの材質として
は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やナイロ
ン66等の樹脂、316Lステンレス等の金属、アルミ
ナ、チッ化アルミ等のセラミックス等を挙げることがで
きるが、いずれにしろ多孔質であり、通気性を有するも
のであれば特に限定されるものではない。
【0039】さらにこのフィルターには、通気孔を覆う
ように貼り付けるための粘着層が設けられている。この
粘着層は、フィルターの内側表面、すなわち、フィルタ
ーを通気孔を覆うようにペリクルフレームに貼り付けた
時にフレーム側になる面の周辺に、通気面積をつぶさな
いように粘着剤を塗布して形成される。この粘着層を形
成する材料としては、両面粘着テープ、シリコーン樹脂
粘着剤、アクリル系粘着剤等を挙げることができる。
【0040】本発明のフィルターには、フィルターを機
械的衝撃や物理的外圧から守るために、フィルター本体
の外側表面にフィルター保護材を装着している。このフ
ィルター保護材としては、適度な強度とクッション性、
通気性を有する多孔質プラスチックシートが使用され、
材質には、例えばシリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。
【0041】次に、本発明のペリクルを構成する材料に
ついて説明する。本発明に用いられるペリクル膜を形成
する材料としては、光をよく通過させる材料であれば特
に限定されるものではないが、例えばニトロセルロー
ス、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、変性ポ
リビニルアルコール、フッ素系ポリマーなどが好まし
く、特に好ましくはフッ素系ポリマー、中でもテトラフ
ルオロエチレンとフッ化ビニリデンとの共重合体、テト
ラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ
化ビニリデンとの三元共重合体、テトラフルオロエチレ
ンと環状パーフルオロエーテル基を有する含フッ素モノ
マーとの共重合体等の非晶質フッ素系ポリマーが好まし
い。
【0042】このような非晶質フッ素系ポリマーは、高
い光線透過率を有しており、短波長から長波長領域まで
広く使用することができ、耐光性も優れているからであ
る。市販されている非晶質フッ素系ポリマーとしては、
サイトップ(旭硝子(株)製、商品名)、テフロンAF
(デュポン(株)製、商品名)等を挙げることができ
る。これらのポリマーは、ペリクル膜作製時に必要に応
じて溶媒に溶解して使用してもよく、例えばフッ素系の
溶媒などで適宜溶解した後、膜が形成される。
【0043】本発明においては、上記ペリクル膜をペリ
クルフレームに接着するために、通常ペリクルフレーム
の上端面に接着剤層が設けられる。この接着剤層に用い
られる接着剤の種類については、特に制限はなく、接着
を加熱して行う場合は熱可塑性の樹脂や熱硬化性の樹脂
が接着剤として用いられ、光硬化を利用して接着を行う
場合は、光硬化型樹脂が接着剤として用いられる。この
ような接着剤の例としては、アクリル樹脂接着剤、エポ
キシ樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、含フッ素シリ
コーン接着剤等のフッ素系ポリマー等を挙げることがで
き、中でもフッ素系ポリマーが好ましい。具体的には、
フッ素系ポリマーCT69(旭硝子(株)製、商品名)
等を挙げることができる。
【0044】さらに、本発明においては、上記ペリクル
フレームの下端面側に、露光原版に装着するための粘着
層とこれを保護するためのライナーを設けてもよい。粘
着層を形成する材料としては、両面粘着テープ、シリコ
ーン樹脂粘着剤、アクリル系粘着剤等を挙げることがで
きる。また、ライナーに用いられる材料としては、例え
ばポリエチレンテレフタレート(PET)、PTFE、
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PFA)、ポリエ
チレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニ
ル、ポリプロピレン(PP)等を挙げることができる。
【0045】次に、このようなペリクルの製造方法につ
いて説明する。まず、4辺の内、少なくとも一辺の側面
中央に気圧調整用の通気孔を有する四角形ペリクルフレ
ームを準備する。ここで用いらるペリクルフレームとし
ては、円形のものでも方形のものでもよく、またその材
質は特に限定されるものではなく、例えばアルミ材に陽
極酸化処理を行ったもの、ステンレスなどの金属、ポリ
アセタール、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)、アクリル樹脂、ポリエチレンなどの樹
脂、青板ガラス等の材料を挙げることができる。
【0046】ついで、このようなペリクルフレームに本
発明の樹脂を含浸させたフィルターを取り付ける。本発
明においては、フレームの側面中央に設けた通気孔を覆
うようにフィルターの内側表面をフレーム表面に貼り付
ける。この貼り付けは、フィルターの内側表面の周辺に
接着剤もしくは粘着剤を塗布して接着層を設けた後、通
気孔を覆うように配置して接着・固定する。
【0047】このようにしてフィルターを取り付けたペ
リクルフレームにペリクル膜を張設する。ペリクル膜の
ペリクルフレームへの接着は、従来より行われている方
法により行うことができ、例えば熱融着法、光硬化法等
接着剤の特性によって使い分けられる。また、ペリクル
フレームの下端面には、フォトマスクに接着するための
粘着層を形成し、この粘着層の表面には粘着層を保護す
るためのライナーが貼り付けられることにより、本発明
のフィルター付きペリクルは製造される。
【0048】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
少なくとも一つの気圧調整用の通気孔を持つペリクルフ
レームを有するペリクルにおいて、通気孔からの異物の
侵入防止用に設けたフィルターの通気性を確保しつつ、
フィルター製造時からフィルター内の微細孔に潜在して
いた異物が、エアーブロー等の激しい空気流によって発
塵しようとするのを固定化して防止し、例え微細な異物
となってペリクル内に侵入しようとしても確実に捕捉し
て固定化することができると共に、気圧変動によるペリ
クル膜の膨らみやその復元速度も実用上支障のないフィ
ルターを形成することができる。従って、本発明のフィ
ルター付きペリクルを使用してフォトリソグラフィーを
行えば、正常な転写パターンが得られることになり、そ
の結果、半導体用デバイスや液晶表示用デバイスの性能
や製造歩留りの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペリクルの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明のフィルターの構成を示す概略説明図で
ある。
【符号の説明】
1…ペリクル、 2…ペリクルフレーム、 3…ペリク
ル膜、4、4a …フィルター、 5 …通気孔、 6
…粘着層、10…フォトマスク(露光原版)。41…フ
ィルター本体、 42…フィルター内側表面、43…樹
脂含浸層、44…フィルター貼り付け用粘着層、45…
フィルター保護材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樫田 周 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 2H095 BB30 BC31 BC38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの気圧調整用の通気孔を
    持つペリクルフレームを有するペリクルにおいて、前記
    通気孔を覆うように貼り付けられているフィルターの内
    側表面の全面、かつフィルターの体積の50%以上に樹
    脂が含浸されていることを特徴とするフィルター付きペ
    リクル。
  2. 【請求項2】 前記フィルターに含浸される樹脂が粘着
    性を有することを特徴とする請求項1に記載したフィル
    ター付きペリクル。
  3. 【請求項3】 前記樹脂を含浸したフィルターが、液化
    樹脂をフィルター表面に塗布する方法および/または液
    化樹脂中にフィルターを浸漬する方法で作製されたもの
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    したフィルター付きペリクル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101788761A (zh) * 2009-01-27 2010-07-28 信越化学工业株式会社 光刻用防护薄膜组
JP2011008082A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Shin-Etsu Chemical Co Ltd ペリクル
WO2021230262A1 (ja) * 2020-05-14 2021-11-18 信越化学工業株式会社 ペリクルフレーム、ペリクル、ペリクル付露光原版、半導体の製造方法、液晶表示板の製造方法及び露光方法

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