JP5479863B2 - 岸壁クレーン - Google Patents

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Description

本発明は、港湾の岸壁において、コンテナ、或いは、ばらもの貨物等を荷役する岸壁クレーンに関するものである。
これまでの岸壁クレーン、例えば、特許文献1〜5に記載されている岸壁クレーンは、脚構造物と走行装置の間に積層ゴム等の免震装置を設置しているが、走行装置と脚構造物の軸心が大きくずれることに言及したものは見当たらない。
特開2007−284230号公報 特開2005−75608号公報 特開2004−210546号公報 特開2002−211881号公報 特開2001−335282号公報
特許文献1〜5で示されるような免震装置では、従来想定されてきた地震波(例えば、大船渡波やポートアイランド波)を入力すると、+/−300mm程度の変位を発生する。このため、走行装置と脚構造物の軸心が+/−300mm程度までずれても転倒モーメントを支えられるよう設計されてきた。
しかしながら、平成19年(2007年)の港湾法改正に伴い、国が指定する耐震強化岸壁に設置するクレーンでは、「レベル2地震動」を受けても速やかに復旧することが求められている。
現行の免震装置をベースに岸壁クレーンを設計すると、「レベル2地震動」を入力した場合、+/−1000mm程度の振幅が必要となると見込まれ、現在考案されている走行装置と構造物の間に免震装置を設置する構造にした場合、走行装置に作用する転倒モーメントが非常に大きくなるという問題があった。
そこで、本発明は、「レベル2地震動」に対応する大変位免震装置を備えた岸壁クレーンを提供することにある。
本願の請求項1に係る発明は、岸壁と平行な方向に敷設したレール上を移動する走行装置上にクレーンの脚構造物を設けた岸壁クレーンにおいて、前記走行装置上に、当該走行装置の海陸両側に張り出した平面状の担持部を設け、該担持部の海陸両張出部に地震発生時に前記岸壁に着床する固定式のアウトリガを設け、かつ、前記担持部上に、海陸方向に向けて配置された大変位対免震装置を介して前記脚構造物を設置することを特徴とするものである。
本願の請求項2に係る発明は、前記大変位対応の免震装置として、積層ゴム、水平スライダ、回転機構、油圧ダンパ、コイルスプリングのうち、一つ以上の要素を適用することを特徴とするものである。
本願の請求項3に係る発明は、前記アウトリガは、その接地面と岸壁面との間に若干の隙間を有し、通常は、走行装置の車輪が全荷重を受け、地震発生時には、前記アウトリガが岸壁に着床して荷重を受けることを特徴とするものである。
本願の請求項4に係る発明は、地震発生時に、免震装置の変形が大きくなり、走行装置が転倒モーメントに耐え切れなくなると、アウトリガが岸壁に着床して荷重を受けることを特徴とするものである。
本発明は、岸壁と平行な方向に移動可能な走行装置上にクレーンの脚構造物を設けた岸壁クレーンにおいて、前記走行装置上に、前記走行装置の海陸両側に張り出した平面状の担持部を設け、該担持部の海陸両張出部にそれぞれアウトリガを設け、かつ、前記担持部上に大変位量に対応した免震装置を介して前記脚構造物を設置したため、レベル2地震動に対しても十分に対応することが可能になった。
本発明に係る岸壁クレーンの正面図である。 本発明に係る岸壁クレーンの要部拡大斜視図である。 「レベル2地震動」に対応する大変位免震装置の一部断面を含む正面図である。 通常時、走行装置の車輪が全荷重を受けている状態を示す説明図である。 地震発生時、海側のアウトリガが岸壁面に接地した状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る岸壁クレーン1は、岸壁Gと平行な方向(紙面を貫通する方向)に移動可能な陸及び海側走行装置2,3上にクレーンの脚構造物4を設置している。陸及び海側走行装置2,3は、それぞれ、岸壁Gと平行な方向に敷設したレール(図示せず)上に乗っている。また、脚構造物4は、陸及び海側の方向に向けて設けたガーダ5とブーム6を備え、その上をトロリー7が横行するようになっている。トロリー7は、コンテナCを把持したスプレッダ8を昇降するようになっている。
図2に示すように、上記走行装置2,3は、その上部に海陸両側に張り出した平面状の担持部10を設けている。担持部10は、その海陸両張出部10a,10bに、それぞれ、アウトリガ11を設けている。アウトリガ11は、担持部10の海陸両張出部10a,10bの下面に垂直に設けた前後2本のビーム12,12と、この前後2本のビーム12,12の下端部に設けた前後方向に長い短冊形のフロート13によって形成されている。
アウトリガ11は、図4に示すように、フロート13の接地面13aと岸壁上面gとの間に若干の隙間h(例えば、2〜3cm)を有し、通常時は、走行装置2,3の車輪9が全荷重を受ける構造になっている。
上記担持部10は、走行装置2,3の移動方向に比べて海陸方向の長さが長い長方形に形成され、その横幅Wは、例えば、3〜5m、走行装置2,3の移動方向の長さLは、例えば、2〜3mになっている。また、岸壁Gから担持部10の上面10u迄の高さHが、例えば、4〜5m、走行装置2,3の車輪9からフロート13の外側部13bまでの横幅W1,W2が、例えば、3〜4mに設定されている。
また、図3に示すように、担持部10は、その上に+/−1m程度の変位量を持つ大変位対応の免震装置20を介して脚構造物4を設置している。具体的に説明すると、担持部10は、その上面10uに海陸方向に向けて敷設した一対のレール21,21を備え、このレール21,21上に脚構造物4の下面に設けた複数の車輪22を乗せている。
また、担持部10は、一対のレール21,21の間にガイドレール23を設け、このガイドレール23に摺動子24を嵌合させている。摺動子24は、アーム25を介して脚構造物4の下面に取り付けられ、脚構造物4の浮き上がりを防ぐにようになっている。
更に、担持部10の上面10uに設けた第1支持部27と、脚構造物4の下面に設けた第2支持部28との間に大変位対応の免震装置20を構成するコイルスプリング29と油圧ダンパ30とを並列に架橋させている。この場合、アーム25の手前側にコイルスプリング29を設け、アーム25の奥側に油圧ダンパ30を設けている。
尚、大変位に対応する免震装置20としては、積層ゴム、水平スライダ、回転機構、油圧ダンパ、コイルスプリングのうち、一つ以上の要素を用いた免震装置が望ましい。
図4に示すように、通常は、走行装置2,3の車輪9が全荷重を受けるが、地震発生時は、大変位対応の免震装置20の変形が大きくなり、走行装置2,3が転倒モーメントに耐えきれなくなると、図5に示すように、アウトリガ11のフロート13が岸壁Gの面上に着床して荷重を受ける。
G 岸壁
2,3 走行装置
4 クレーンの脚構造物
10 担持部
10a,10b 担持部の海陸両張出部
11 アウトリガ
20 免震装置

Claims (4)

  1. 岸壁と平行な方向に敷設したレール上を移動する走行装置上にクレーンの脚構造物を設けた岸壁クレーンにおいて、前記走行装置上に、当該走行装置の海陸両側に張り出した平面状の担持部を設け、該担持部の海陸両張出部に地震発生時に前記岸壁に着床する固定式のアウトリガを設け、かつ、前記担持部上に、海陸方向に向けて配置された大変位対免震装置を介して前記脚構造物を設置することを特徴とする岸壁クレーン。
  2. 前記大変位対応の免震装置として、積層ゴム、水平スライダ、回転機構、油圧ダンパ、コイルスプリングのうち、一つ以上の要素を適用することを特徴とする請求項1記載の岸壁クレーン。
  3. 前記アウトリガは、その接地面と岸壁面との間に若干の隙間を有し、通常は、走行装置の車輪が全荷重を受け、地震発生時には、前記アウトリガが岸壁に着床して荷重を受けることを特徴とする請求項1記載の岸壁クレーン。
  4. 地震発生時に、免震装置の変形が大きくなり、走行装置が転倒モーメントに耐え切れなくなると、アウトリガが岸壁に着床して荷重を受けることを特徴とする請求項1記載の岸壁クレーン。
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