以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の第一実施形態であるシャワー装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1を示す図であって、図1の(A)は平面図を示し、図1の(B)は側面図を示し、図1の(C)は下面図を示している。図1の(A)に示されるように、シャワー装置F1は主に略直方体を成す本体2によって構成されており、シャワー装置F1(本体2)の上面2aには開口231が形成されている。図1の(B)に示されるように、シャワー装置F1の上面2aと対向する下面2bには複数の散水突起242が設けられている。各散水突起242には散水孔243が形成されている。図1の(C)に示されるように、本体2の下面2bには複数の散水突起242が設けられている。本実施形態の場合、散水突起242は7行×5列に35個形成されている。
続いて、図1の(B)のA−A断面図である図2を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図2に示されるように、シャワー装置F1は、給水部21と、絞り部22と、空気混入部23と、散水部24とを備えている。
給水部21は、水を供給するための部分であって、給水口21dから導入した水を絞り部22へと供給する部分である。給水口21dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部21から絞り部22へと供給される。給水部21は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁21e及び側壁21fを有しており、側壁21eと側壁21fとは互いに平行になるように配置されている。
絞り部22は、給水部21の下流側に設けられており、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部22は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁22e及び側壁22fを有しており、側壁22eと側壁22fとは互いに平行になるように配置されている。絞り部22には、複数の絞り流路221が設けられている。絞り流路221は、側壁22eから側壁22fに向う方向に沿って一つの段において一列を形成するように並設されている。
空気混入部23は、絞り部22の下流側に設けられており、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口231が形成されている部分である。空気混入部23は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁23e及び側壁23fを有しており、側壁23eと側壁23fとは互いに平行になるように配置されている。
散水部24は、空気混入部23の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔243が形成されている部分である。散水孔243は、本体2に取り付けられる散水部材241に形成されている。散水部材241には、散水突起242が設けられており、本体2に形成されている孔(図に明示せず)を散水突起242が貫通して外部に露出している。
図2に示すように、給水部21を構成する側壁21eと、絞り部22を構成する側壁22eと、空気混入部23を構成する側壁23eと、散水部24を構成する側壁24eとは同一面上に位置するように配置されている。同様に、給水部21を構成する側壁21fと、絞り部22を構成する側壁22fと、空気混入部23を構成する側壁23fと、散水部24を構成する側壁24fとは同一面上に位置するように配置されている。
続いて、図1の(A)のB−B断面側から見た断面斜視図である図3を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図3に示されるように、給水部21は、側壁21eと側壁21fとを繋ぐ側壁21b及び側壁21cを有している。側壁21b及び側壁21cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁21e及び側壁21fよりも長くなるように形成されている。従って、給水部21は流路断面が扁平形状となるように形成されている。給水部21と絞り部22との境界部分には、前壁面21aが設けられていて、側壁21e,21f,21b,21cは前壁面21aに繋がっている。前壁面21aは、側壁21bから側壁21cに延びる部分と、側壁21cから側壁21bに延びる部分とで構成されている。
前壁面21aを下流側に越えた領域には絞り部22が設けられている。絞り部22は、側壁22eと側壁22fとを繋ぐ側壁22b及び側壁22cを有している。側壁22b及び側壁22cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁22e及び側壁22fよりも長くなるように形成されている。従って、絞り部22の側壁22b,22c,22e,22fで囲まれた流路断面は扁平形状となるように形成されている。絞り部22と空気混入部23との境界部分には仕切壁22aが設けられていて、側壁22e,22f,22b,22cは仕切壁22aに繋がっている。仕切壁22aには、複数の貫通孔が穿たれており、それによって複数の絞り流路221が形成されている。このとき、絞り流路221は、仕切壁22aを挟む流路断面において均一に配置されている。
仕切壁22aを下流側に越えた領域には空気混入部23が設けられている。空気混入部23は、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁23b、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bから遠い位置に配置されている側壁23c、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bに近い位置に配置されている側壁23dを有している。側壁23cは散水部24側に、側壁23dは絞り部22側に、それぞれ配置されており側壁23cと側壁23dとを繋ぐ段差部23gが形成されている。側壁23b,23c,23dは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁23e及び側壁23fよりも長くなるように形成されている。従って、空気混入部23は流路断面が扁平形状となるように形成されている。
側壁23cよりも下流側の領域には散水部24が設けられている。散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23bと同一面を形成する側壁24bを有している。更に散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23cよりも一段後退した面を形成する側壁24cを有している。側壁24b,24c,24e,24dは、給水口21dと対向するように位置し流路の末端として機能する奥側の側壁24aに繋がっている。更に散水部24は、側壁24bと対向する本体2の部分に、側壁24cと当接するように配置される散水部材241を有している。散水部材241は、本体2に設けられた凹部に嵌め込まれており、側壁24bに対向する面は空気混入部23の側壁23cと同一面を形成するように構成されている。散水部材241は上述したように散水突起242を有しており、散水突起242の先端部分が本体2から突出するように本体2に対して取り付けられている。
続いて、シャワー装置F1内部の水の流れについて図4を参照しながら説明する。図4は、図1の(A)のB−B断面を簡略化して示す図であって、シャワー装置F1に水を供給した際の内部の水の状態を示す図である。
図4に示すように、給水部21に給水手段(図示しない)から水が所定圧力以上で供給されると、絞り部22に形成された絞り流路221を通って下流側に噴射される。絞り流路221から下流側の空気混入部23及び散水部24に噴射された水は、空気混入部23の側壁23b,23c,23d,23e,23f及び散水部24の側壁24b,24c,24d,24eと干渉しないように、最も遠くに位置する散水孔243までその噴射水仮想直線BW1が延びている。噴射水仮想直線BW1は、絞り部22から噴射される水の噴射方向を延伸させた仮想的な直線である。
このように絞り部22から水が噴射されると、散水部24及び空気混入部23の少なくとも一部に一時的に水が溜まり、その溜まった水と空気との界面である気液界面BW3が形成される。従って、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された水が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んで気泡混入水BWが生成される。気泡混入水BWは各水流BW2に分かれて各散水孔243から外部に吐出される。空気混入部23には開口231が形成されているので、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された水が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んでも、空気が常に供給される状態を維持することができる。
このように本発明の第一実施形態は、水を供給するための給水部21と、給水部21の下流側に設けられ、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部22と、絞り部22の下流側に設けられ、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水BWと成すための開口231が形成されている空気混入部23と、空気混入部23の下流側に設けられ、気泡混入水BWを吐出するための複数の散水孔243が形成されている散水部24と、を備え、絞り部22から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線BW1が、空気混入部23及び散水部24を構成する内壁(側壁23b,23c,23d,23e,23f、側壁24b,24c,24e,24f、散水部材241)と干渉することなく散水孔243が形成された位置まで到達し、絞り部22から噴射される水が空気混入部23及び散水部24を構成する内壁(側壁23b,23c,23d,23e,23f、側壁24b,24c,24e,24f、散水部材241)によってはその進行方向が変えられずに散水孔243の入口に到達することで、空気を混入させた気泡混入水BWを吐出するシャワー装置F1を提供するものである。
本実施形態においては、給水部21から供給される水が絞り部22を通って空気混入部23及び散水部24に向けて噴射され、空気混入部23及び散水部24に一時的に貯留された水が散水部23の複数の散水孔243から外部へと吐出される。絞り部22を通って噴射される水は、空気混入部23に形成されている開口231から取り込まれた空気を伴って、空気混入部23及び散水部24に一時的に貯留された水と空気との気液界面BW3に突入することで気泡混入水BWとなり、散水部24の複数の散水孔243から散水される。
本実施形態の場合、絞り部22から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線BW1が、空気混入部23及び散水部24を構成する内壁と干渉することなく散水孔243が形成された位置まで到達するように構成されているので、絞り部22から噴射される水は空気混入部23及び散水部24を構成する内壁によってはその流れが乱されることなく散水孔243が形成された位置まで到達する。すなわち、絞り部22から噴射される水は散水孔が形成された散水面に沿って噴射されており、気泡混入水はその流れが撹拌されることなく散水孔から順次吐出されていく。
絞り部22を通って噴射された水が気液界面BW3に突入して気泡混入水BWとなる段階では、気泡混入水BW中の気泡は略均一な径となるように構成できるので、気泡混入水BWはその略均一な気泡径のまま散水孔243が形成された位置まで到達することができる。図5に、略均一な気泡径のままの気泡混入水BWが生成されている様子を示す。
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水BWが散水孔243に供給されると、散水孔243内及び散水孔243から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水BWが散水孔243から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。図6及び図7に、略均一な気泡径のままの気泡混入水BWが散水孔243から吐出された状態の一例を示す。図6に示す例は、比較的小さな気泡の気泡混入水BWを散水孔243から吐出した例を示す図であって、散水孔243内及び散水孔243から吐出された直後において気泡流が形成されている例である。図7に示す例は、散水孔243の孔径と略同等の比較的大きな気泡の気泡混入水BWを散水孔243から吐出した例を示す図であって、散水孔243内及び散水孔243から吐出された直後においてスラグ流が形成されている例である。
図6及び図7に示すように、本実施形態に係るシャワー装置F1によれば、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、絞り部22は、複数の絞り流路221が並設されることで構成されている。このように複数の絞り流路221を並設することで絞り部22を構成しているので、複数の絞り流路221から噴射される水が並行して気液界面BW3に突入し、空気混入部23及び散水部24に一時的に貯留された水を気泡混入水BWと成している。従って、隣接する絞り流路221から噴射された水によって気泡が生成される場合、その突入する水によって形成される水流同士が影響を及ぼし、互いが生成する気泡を引きちぎり、生成される気泡の気泡径を小さくする効果を発揮する。このように略均一であって比較的小径の気泡を含む気泡混入水を散水孔に送り込むことで、上述したような作用効果を発揮させることができ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある、より良い浴び心地のシャワーを享受することができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、空気混入部23及び散水部24それぞれの、複数の絞り流路221それぞれから噴射される水の噴射方向に直交する断面の形状が、複数の絞り流路221が並設されている方向が長手方向となるような扁平形状に形成されている。このように、空気混入部23及び散水部24それぞれの断面形状が、複数の絞り流路221が並設されている方向(横方向)が長手方向となるような扁平形状に形成されているので、複数の絞り流路221が並設されている方向(横方向)に直交する方向(縦方向)は狭くなるように形成され、複数の絞り流路221が並設されている方向(横方向)は広くなるように形成されている。
従って、複数の絞り流路221が並設されている方向(横方向)に直交する方向(縦方向)において気泡混入水BWが拡散し難くなっており、結果として気泡混入水BW内の気泡もその方向には拡散し難いように構成されている。そのため、空気混入部23及び散水部24それぞれの断面形状を複数の絞り流路221が並設されている方向(横方向)において広げることで、複数の水流同士が影響を及ぼしあって気泡の引きちぎり効果を奏させるように構成する一方で、その並設方向と直交する方向(縦方向)においては生成した気泡同士の衝突を低減させることができ、より均一な気泡径を維持した気泡混入水BWを散水孔243に到達させることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、空気混入部23及び散水部24それぞれの、絞り部22から噴射される水の噴射方向を挟んで対向する側壁(側壁23eと側壁23f、側壁24eと側壁24f)が、互いに平行になるように配置されている。このように、絞り流路221から噴射される水が通る流路である空気混入部23及び散水部24それぞれの側壁(側壁23eと側壁23f、側壁24eと側壁24f)が互いに平行になるように配置することで、絞り流路221から噴射される水が通る流路を真っ直ぐに構成することができる。従って、絞り流路221から噴射される水が気液界面BW3に突入することによって生じる水流の乱れを抑制し、均一な気泡径を含む気泡混入水BWを散水孔243に供給することができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、空気混入部23を、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁23b、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bから遠い位置に配置されている側壁23c、側壁23eと側壁23fとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bに近い位置に配置されている側壁23dを有するように構成している。また、側壁23cは散水部24側に、側壁23dは絞り部22側に、それぞれ配置されており側壁23cと側壁23dとを繋ぐ段差部23gが形成されている。
従って、空気混入部23において、絞り部22から噴射される水の噴射方向に直交する断面積を水の進行方向において急激に拡大する急拡大部を、側壁23b,23c,23d及び段差部23gによって構成している。このように急拡大部を構成することで、気液界面BW3の位置を段差部23gよりも散水孔243側であって、最も絞り部22側の最前列散水孔である散水孔243よりも絞り部22側に位置するように制御することができ、位置制御手段として機能させることができる。
このように段差部23gを形成することで、絞り部22から噴射された水が散水部24に一時的に貯留される水によって形成される気液界面BW3は、散水部24側から絞り部22側に向かってくるものの急拡大部における段差部23gによってその進行が堰き止められることになり、気液界面BW3の位置を散水部24と絞り部22との間に確実に位置させるように制御することが可能となる。
更に本実施形態では、急拡大部として機能する側壁23b,23c,23d及び段差部23gは、散水部24において散水孔243が形成されている側に断面積を拡大するように構成されている。このように、散水孔243が形成されている側に断面積を拡大することで急拡大部を形成しているので、絞り部22から噴射された水が気液界面BW3に突入した後に急拡大部の拡大側である側壁23cに沿って散水孔243方向に向かうように流れが発生する。従って、散水部23において散水孔243が形成されている側に確実に水を向かわせることができ、各散水孔243から確実に吐水することができる。
このように位置制御手段としての急拡大部として、側壁23b,23c,23d及び段差部23gを構成することで、気液界面BW3の位置を最前列散水孔(最も絞り部22側の散水孔243)よりも絞り部22側に位置させているので、気液界面BW3から最前列散水孔に至るまでの間の水の抵抗によって絞り部22を通って噴射される水を十分に減速させることができる。従って、気液界面BW3から最前列散水孔に至るまでの間の水の抵抗を利用するという簡易な構成でありながら、気液界面BW3に突入した水が最前列散水孔に到達するまでに当該最前列散水孔から吐出可能なように減速させることができ、全ての散水孔243から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
このように気液界面BW3の位置を制御するという観点から本実施形態に係るシャワー装置F1では、絞り部22において複数の絞り流路221が平行に配置されるように構成している。このように構成することで、複数の絞り流路221から噴射される水は互いに平行な状態で気液界面BW3に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面BW3全体にムラ無く伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面BW3を最前列散水孔よりも絞り部22側に位置させることができるので、全ての散水孔243からより安定的に満遍なく水を吐出することができる。
続いて、本発明の第二実施形態であるシャワー装置について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F2を示す図であって、図8の(A)は平面図を示し、図8の(B)は側面図を示し、図8の(C)は下面図を示している。図8の(A)に示されるように、シャワー装置F2は主に略直方体を成す本体3によって構成されており、シャワー装置F2(本体3)の上面3aには開口331が形成されている。図8の(B)に示されるように、シャワー装置F2の上面3aと対向する下面3bには複数の散水突起342が設けられている。各散水突起342には散水孔343が形成されている。図8の(C)に示されるように、本体3の下面3bには複数の散水突起342が設けられている。本実施形態の場合、散水突起342は7行×5列に35個形成されている。
続いて、図1の(B)のC−C断面図である図9を参照しながらシャワー装置F2について説明を加える。図9に示されるように、シャワー装置F2は、給水部31と、絞り部32と、空気混入部33と、散水部34とを備えている。
給水部31は、水を供給するための部分であって、給水口31dから導入した水を絞り部32へと供給する部分である。給水口31dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部31から絞り部32へと供給される。給水部31は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁31e及び側壁31fを有しており、側壁31eと側壁31fとは互いに平行になるように配置されている。
絞り部32は、給水部31の下流側に設けられており、給水部31よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部32は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁32e及び側壁32fを有しており、側壁32eと側壁32fとは互いに平行になるように配置されている。絞り部32には、複数の絞り流路321が設けられている。絞り流路321は、側壁32eから側壁32fに向う方向に沿って二段に渡って並設されている。絞り流路321の配置の様子を図11に示す。図11は、図8の(B)のE矢視図である。図11に示すように、絞り流路321は、上段に10個が一列を成すように形成され、下段に9個が一列を成すように形成されている。下段の絞り流路321は上段の各絞り流路321の間に位置するように配置され、上段の絞り流路321と下段の各絞り流路321とは互いに最も近接する絞り流路321への距離が略同一なものとなるように交互に配置されている。換言すれば、上下段の複数段に渡って並設されている複数の絞り流路321それぞれは、隣接する段に設けられている一対の絞り流路321に対して等距離に位置するように交互に配置されている。
図9に戻ってその他の部分の説明を続ける。空気混入部33は、絞り部32の下流側に設けられており、絞り部32を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口331が形成されている部分である。空気混入部33は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁33ea,33eb及び側壁33fa,33fbを有している。側壁33eaと側壁33faとは互いに平行になるように配置されている。側壁33ebは側壁33eaの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁33eaに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。同様に、側壁33fbは側壁33faの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁33faに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。
散水部34は、空気混入部33の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔343が形成されている部分である。散水孔343は、本体3に取り付けられる散水部材341に形成されている。散水部材341には、散水突起342が設けられており、本体3に形成されている孔(図に明示せず)を散水突起342が貫通して外部に露出している。散水部34には更に、散水部内に発生する渦流を抑制するための渦流抑制手段として機能する棒状突起344が設けられている。棒状突起344は、近接する散水孔343と等距離に位置するように、散水孔343の間に分散配置されている。散水孔343と棒状突起344との関係については後述する。
図9に示すように、給水部31を構成する側壁31eと、絞り部32を構成する側壁32eと、空気混入部33の一部を構成する側壁33eaとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部33の残部を構成する側壁33ebは本体3の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部34を構成する側壁34eに繋がっている。同様に、給水部31を構成する側壁31fと、絞り部32を構成する側壁32fと、空気混入部33の一部を構成する側壁33faとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部33の残部を構成する側壁33fbは本体3の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部34を構成する側壁34fに繋がっている。
続いて、図8の(A)のD−D断面側から見た断面斜視図である図10を参照しながらシャワー装置F2について説明を加える。図10に示されるように、給水部31は、側壁31eと側壁31fとを繋ぐ側壁31b及び側壁31cを有している。側壁31b及び側壁31cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁31e及び側壁31fよりも長くなるように形成されている。従って、給水部31は流路断面が扁平形状となるように形成されている。給水部31と絞り部32との境界部分には、前壁面31aが設けられていて、側壁31e,31f,31b,31cは前壁面31aに繋がっている。前壁面31aは、側壁31bから側壁31cに延びる部分と、側壁31cから側壁31bに延びる部分とで構成されている。
前壁面31aを下流側に越えた領域には絞り部32が設けられている。絞り部32は、側壁32eと側壁32fとを繋ぐ側壁32b及び側壁32cを有している。側壁32b及び側壁32cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁32e及び側壁32fよりも長くなるように形成されている。従って、絞り部32の側壁32b,32c,32e,32fで囲まれた流路断面は扁平形状となるように形成されている。絞り部32と空気混入部33との境界部分には仕切壁32aが設けられていて、側壁32e,32f,32b,32cは仕切壁32aに繋がっている。仕切壁32aには、複数の貫通孔が穿たれており、それによって複数の絞り流路321が形成されている。
仕切壁32aを下流側に越えた領域には空気混入部33が設けられている。空気混入部33は、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbとを繋ぐ側壁33b、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbとを繋ぐ側壁であって側壁33bと対向し相対的に側壁33bから遠い位置に配置されている側壁33c、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbを繋ぐ側壁であって側壁33bと対向し相対的に側壁33bに近い位置に配置されている側壁33dを有している。側壁33cは散水部34側に、側壁33dは絞り部32側に、それぞれ配置されており側壁33cと側壁33dとを繋ぐ段差部33gが形成されている。側壁33b,33c,33dは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁33ea,33eb及び側壁33fa,33fbよりも長くなるように形成されている。従って、空気混入部33は流路断面が扁平形状となるように形成されている。
側壁33cよりも下流側の領域には散水部34が設けられている。散水部34は、側壁34eと側壁34fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部33の側壁33bと同一面を形成する側壁34bを有している。更に散水部34は、側壁34eと側壁34fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部33の側壁33cよりも一段後退した面を形成する側壁34cを有している。側壁34b,34c,34e,34fは、給水口31dと対向するように位置し流路の末端として機能する奥側の側壁34aに繋がっている。更に散水部34は、側壁34bと対向する本体3の部分に、側壁34cと当接するように配置される散水部材341を有している。散水部材341は、本体3に設けられた凹部に嵌め込まれており、側壁34bに対向する面は空気混入部33の側壁33cと同一面を形成するように構成されている。散水部材341は上述したように散水突起342を有しており、散水突起342の先端部分が本体3から突出するように本体3に対して取り付けられている。
散水部34には更に、散水部34内に発生する渦流を抑制するための渦流抑制手段として機能する棒状突起344が設けられている。棒状突起344は、近接する散水孔343と等距離に位置するように、散水孔343の間に分散配置されている。散水孔343と棒状突起344との位置関係を、散水部34の拡大断面図である図12を参照しながら説明する。
図12に示されるように、散水部34内を流れる水流WFの進行方向からみて、散水孔343が列状に配置されている各列の中間に、円形断面の棒状突起344が列状に配置されている。また、水流WFの進行方向に直交する方向からみても、散水孔343が列状に配置されている各列の中間に、円形断面の棒状突起344が列状に配置されている。従って、一の棒状突起344に対して隣接する四つの散水孔343は、それぞれが等距離を保つように配置されている。
散水部34内を流れる水流WFが棒状突起344によって小分けされる状態を、散水部34の位置の棒状突起344近傍を更に拡大した図である図13を参照しながら説明する。図13に示されるように、水流WFが棒状突起344に当たると、一対の分水流WF1,WF1と、一対の分水流WF2,WF2に小分けされる。分水流WF1,WF1は、それぞれ棒状突起344よりも下流側であっても最も近接する散水孔343に向かい、その散水孔343から外部に吐出される。一方、分水流WF2,WF2は棒状突起344の後方に回り込み、再合流して更に後方の棒状突起344に向かって流れる。
このように本発明の第二実施形態は、水を供給するための給水部31と、給水部31の下流側に設けられ、給水部31よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部32と、絞り部32の下流側に設けられ、絞り部32を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口331が形成されている空気混入部33と、空気混入部33の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔343が形成されている散水部34と、を備え、絞り部32から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線が、空気混入部33及び散水部34を構成する内壁(側壁33b,33c,33d,33ea,33eb,33fa,33fb、側壁34b,34c,34e,34f、散水部材341)と干渉することなく散水孔343が形成された位置まで到達するように構成され、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置F2を提供するものである。すなわち、絞り部32から噴射される水は散水孔が形成された散水面に沿って噴射されており、気泡混入水はその流れが乱されることなく散水孔から順次吐出されていく。
従って、本実施形態に係るシャワー装置F2は、上述した本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1が奏する特徴的な作用効果を奏するように構成されており、更にそれらの特徴的な作用効果に加えて次のような特徴的な作用効果を奏するように構成されている。
本実施形態に係るシャワー装置F2では、絞り部32は、複数の絞り流路321が複数段(二段)に渡ってそれぞれ並設されることで構成されている。このように、複数の絞り流路321が複数段(二段)に渡ってそれぞれの段において並設されているので、一の絞り流路321は同じ段に形成されている絞り流路321に加えて隣接する段に形成されている絞り流路321にも隣接するように形成される。従って単一の段に複数の絞り流路が並設されている場合に比較してより多くの絞り流路321が隣接形成されることになり、絞り流路321から噴射されて気液界面に突入する水によって形成される水流同士が影響し合う効果を高めることができ、互いが生成する気泡の引きちぎり効果も向上し、生成される気泡の気泡径をより確実に小さくする効果を発揮する。更に、複数の絞り流路321が複数段に渡ってそれぞれの段において並設されているので、複数の絞り流路321が形成されている部分の断面の横幅、すなわち複数の絞り流路321が並設されている方向の長さを短くすることができる。このように複数の絞り流路321が形成されている部分の断面形状の横幅を短くすることで、同じ流路断面積であっても当該部分の断面の外周長さを短くすることができるので、絞り部32と空気混入部33及び散水部34とをそれぞれ別部品で構成した場合の面シールの信頼性を向上させることができる。
更に本実施形態に係るシャワー装置F2では、複数段に渡って並設されている複数の絞り流路321それぞれは、隣接する段に設けられている一対の絞り流路321に対して等距離に位置するように交互に配置されている。このように、一の絞り流路321は隣接する段に形成されている一対の絞り流路321に対して等距離に位置するように規則的に配置されているので(図11参照)、一の絞り流路321に最も近接する絞り流路321の数を極大化することが可能となる。従って、より多くの絞り流路321が最も隣接するように形成されることになり、絞り流路321から噴射されて気液界面に突入する水によって形成される水流同士が影響し合う効果をより高めることができ、互いが生成する気泡の引きちぎり効果も更に向上し、生成される気泡の気泡径をより確実により小さくする効果を発揮する。また、図11に示すように、複数の絞り流路が奇数個の場合、空気を導入する開口が開いている壁面側に配置される絞り流路の数を多くすることが望ましい。これにより、空気を導入する開口から水が逆流するのを、より防ぐことができる。
更に、絞り部32を、複数の絞り流路321が複数段(二段)に渡ってそれぞれ並設され且つ平行に配置されるように構成することで、上述した水流同士の相互作用に加えて、気液界面の位置を制御する位置制御手段としての機能も発揮させ、複数の散水孔343の中で最も空気混入部33側に形成されてなる最前列散水孔343に到達するまでの間に減速させる減速手段としての機能も発揮させることができる。具体的には、絞り部32を複数の絞り流路321を互いに平行となるように配置することで構成しているので、複数の絞り流路から噴射される水は互いに平行な状態で気液界面に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面全体にムラ無く伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面を最前列散水孔よりも絞り部32側に位置させることができるので、全ての散水孔343からより安定的に満遍なく水を吐出することができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33の構成を工夫することで、気液界面に突入した水を、複数の散水孔343の中で最も空気混入部33側に形成されている最前列散水孔343に到達するまでの間に減速させる減速手段として機能させている。具体的には、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、絞り部32側で狭くなるように形成することで断面積変化手段を構成し、この断面積変化手段によって減速手段の機能を実現している。このように、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を絞り部32側で狭くなるように形成することで断面積変化手段を構成しているので、その狭くなる部分において、絞り部32から噴射された水が散水部34に一時的に貯留されることによって形成される気液界面を更に絞り部32側に向かわないように押しとどめることができる。従って、気液界面を絞り部32と散水部34に形成された最前列散水孔343(複数の散水孔343の中で最も絞り部32側に形成されている散水孔343の総称)との間に確実に位置させると共に、気液界面に突入した水を最前列散水孔343に到達するまでに確実に減速させることが可能となり、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、散水部34において散水孔343が形成されている面(側壁34cに沿った面)に沿った方向において変化させている。このように構成することで、気液界面に突入した水が減速される際の流れ方向が、散水孔343が形成されている面に沿った方向となり、散水孔343が形成されている面に交わる方向ではなくなるため、散水孔343が形成されている面に交わる方向に水の流れが発生し難くなる。従って、散水部34に形成されている散水孔343に満遍なく水が行き渡りやすくなって、最前列散水孔343が形成されている領域で吐水方向に向かわない水の流れができてしまい最前列散水孔343を飛び越えてしまうような水の流れができ難くなるため、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、徐々に変化させることで断面積変化手段を構成している。このように構成することで、空気混入部33において気液界面に突入した後の水の流れは徐々に変化する側面に沿ったものとなる。従って、空気混入部33において気液界面に突入した後の水の流れが澱んだり渦巻いたりといったように乱れ難くなり、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、散水部34内に棒状突起344を配置することで、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する渦流を抑制するための渦流抑制手段を構成している。この渦流抑制手段としての棒状突起344について詳述する。
棒状突起344は、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFを小分けして分水流WF1,WF2,WF3,WF4にするものである(図12及び図13参照)。このように棒状突起344を構成することで散水部34内の渦流の発生を抑制している。より具体的には、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流を小分けにすることで、散水部34奥側の内壁面である側壁34aに水流が到達するまでに減速させることができる。従って、側壁34aに到達した水流が折り返すのを抑制することができ、折返しの水流によって大きな渦流が散水部34内に発生することを抑制することができるので、散水部34内における気泡同士の衝突を確実に抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344と散水孔343とは、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFが向かう方向において重ならないように配置されており、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFが棒状突起344によって小分けにされ、当該小分けにされ横方向に広がろうとする分水流WF1,WF3を散水孔343が捉えることで広がり過ぎる前に吐出させるように構成されている。
本実施形態のように散水部34内に突出する棒状突起344によって渦流抑制手段を構成し、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFを小分けにして分水流WF1,WF2,WF3,WF4とすることで散水部34内の渦流の発生を抑制するように構成すると、場合によっては、棒状突起344によって小分けされた分水流は小分け前の水流の進行方向に対して横方向に向かい、隣接する棒状突起344によって小分けされた分水流同士が衝突してしまい、気泡同士が衝突するおそれがある。
そこで本実施形態では、棒状突起344と散水孔343とを、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFが向かう方向において重ならないように配置することで、棒状突起344によって小分けにされ横方向に広がろうとする分水流WF1,WF3を散水孔343が捉えやすくすることが可能となり、分水流WF1,WF3が広がり過ぎる前に吐出させるように構成している。従って、折返しの水流による渦流のみならず、分水流同士の衝突による散水部34内における気泡同士の衝突を確実に抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344は、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFを複数回に渡って小分けして分水流WF1,WF2,WF3,WF4にすることが可能なように、散水部34の水流WFが向かう奥行方向に分散して複数設けられている。このように構成することで、散水部34内に発生する水流WFを複数回に分けて段階的に減速することが可能となり、散水部34内に発生する水流WFを急激に減速することで懸念される気泡の衝突を回避することができる。従って、段階的な減速をすることによって折返しの水流による大きな渦流の発生を抑制しつつ、急激な減速を回避することによって散水部34内における気泡同士の衝突を確実に抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344は、小分けした分水流WF2,WF2が再合流可能なように設けられている。すなわち、棒状突起344は、φ1〜φ2mmの円柱形状であり連続した側面を有しているとともに、お互いに5mm程度以上の間を隔てて形成されている。このように棒状突起344を設けることで、分水流WF2,WF2は元の水流の進行方向へ進む方向を維持したまま減速され再合流するように構成されている。従って、分水流の進行方向が不規則になって、他の分水流と衝突することで気泡同士が衝突してしまうことを確実に抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344は、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFが向かう方向に沿って直線的に並ぶように複数設けられている。このように構成することで、水流WFの進行方向への方向性を確実に維持したまま減速することができる。従って、水流WF及び分水流WF1,WF2,WF3,WF4の進行方向が不規則になって、他の水流WF及び分水流WF1,WF2,WF3,WF4と衝突することで気泡同士が衝突してしまうことを確実に抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344は、絞り部32に対向する側面が絞り部32に向かう凸状を成すように、具体的には円柱状に形成されている。このように構成することで、棒状突起344に散水部34内を進行する水流WFが当たって小分けされ分水流WF1,WF1,WF2,WF2となる際の抵抗を抑制することができ、気泡同士の衝突を抑制し、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
このように本実施形態に係るシャワー装置F2では、気液界面に突入した水によって散水部内に発生する渦流を抑制するための渦流抑制手段としての棒状突起344を備えることで、散水孔343を通り過ぎて散水部34奥側の内壁面である側壁34aに到達した水流が折り返してくることで発生する渦流を抑制することができる。上述したように本実施形態に係るシャワー装置F2では、気液界面に突入した水が一次的に散水孔343に到達するまでは空気混入部33及び散水部34を構成する内壁によってその流れが乱されることがないように構成されており、更に側壁34aに到達した水流が折り返してくることで二次的に散水孔343に到達する水が渦巻くのを防止することができる。従って、散水部34内で渦流が形成されることで気泡の衝突が発生し、気泡径の成長が発生してしまい不均一な気泡径の気泡が生成されることを抑制することができ、散水孔343に供給される気泡混入水の気泡径を均一なものとすることができる。このように本実施形態に係るシャワー装置F2では散水部34内における気泡成長の抑制により一層配慮しているので、散水孔343に供給される気泡混入水の気泡径の均一化をより確実なものとすることができ、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者に大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることをより確実なものとすることができる。
上述した第一実施形態に係るシャワー装置F1及び第二実施形態に係るシャワー装置F2は、本体2及び本体3を略直方体状に形成し、絞り部22及び絞り部32によって噴射される水の方向を同一方向に揃えたものである。本発明の趣旨に鑑みれば実施の形態はこれらに限られるものではなく、本体を略円盤状に形成し、絞り部によって噴射される水の方向を放射状にすることも可能である。このような実施の形態を第三実施形態として説明する。
本発明の第三実施形態であるシャワー装置について図14を参照しながら説明する。図14は、本発明の第三実施形態に係るシャワー装置F3を示す図であって、図14の(A)は平面図を示し、図14の(B)は側面図を示し、図14の(C)は下面図を示している。図14の(A)に示されるように、シャワー装置F3は主に略円盤状を成す本体4によって構成されており、シャワー装置F3(本体4)の上面4aには給水口41dが形成されている。図14の(B)に示されるように、シャワー装置F3の本体4は、給水口41dが形成されているキャビティ4Aと、散水孔443が形成されているシャワープレート4Bとによってその外形が構成されている。図14の(C)に示されるように、本体4の下面4bには複数の散水孔443が形成されていると共に、開口431も形成されている。本実施形態の場合、散水孔443は開口431を中心とした放射状に66個形成されている。
続いて、図14の(A)のF−F断面図である図15を参照しながらシャワー装置F3について説明を加える。図15に示されるように、シャワー装置F3は、キャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、コマ押えプレート4Cと、水噴射コマ4Dと、空気導入コマ4Eとによって構成されている。
キャビティ4Aは、シャワープレート4Bと共に本体4の外形を形成する部材であって、本体4の上面4aとは反対側の当接面4Aaから上面4aに向けて円形の凹部4Abが形成されている。凹部4Abには、円盤状のコマ押えプレート4Cが収められている。コマ押えプレート4Cには、水噴射コマ4Dを挿通するための貫通穴4Caが形成されている。貫通穴4Caは段付穴であって、その段部とキャビティ4Aの凹部4Abの底面との間で水噴射コマ4Dのフランジ4Daを保持している。
続いて、水噴射コマ4Dについて図16〜図18を参照しながら説明する。図16は水噴射コマ4Dの三面図であって、図16の(A)は平面図を示し、図16の(B)は側面図を示し、図16の(C)は下面図を示している。図17は、図16の(B)のG−G断面図である。図18は、図16の(B)のH−H断面図である。図16及び図18に示されるように、水噴射コマ4Dは、フランジ4Daをツバとする帽子形状を成しており、その帽子形状の頂部に相当するフランジ4Daとは反対側の端部に噴射突起部4Dbが形成されている。図16及び図17に示されるように、噴射突起部4Dbには、その外周の全周に渡って、フランジ4Daが沿う面に平行に放射状に形成される貫通孔が設けられており、この貫通孔が絞り流路421となるように構成されている。水噴射コマ4Dには、フランジ4Daから絞り流路421に至るように空洞4Dcが形成されている。このように水噴射コマ4Dを構成することで、空洞4Dcから絞り流路421に至る経路を含む絞り部42が形成されている。
図15に戻って説明を続ける。キャビティ4Aの中心近傍には、上面4aから凹部4Abに至る貫通穴4Acが形成されている。貫通穴4Acは、水噴射コマ4Dの空洞4Dcに連通するように設けられている。このように貫通穴4Acを設けることで、給水口41dから絞り部42に至る給水部41が形成されている。
シャワープレート4Bは、キャビティ4Aと共に本体4の外形を形成する部材であって、散水孔443が放射状に複数個形成されている。この散水孔443が形成されている領域の下面4bとは反対側の当接面4Baは散水部44の側壁44cとなるように構成されている。シャワープレート4Bの当接面4Baとキャビティ4Aの当接面4Aaとを当接させると、キャビティ4Aの凹部4Abに収められているコマ押えプレート4Cとの間には空隙が形成され、この空隙が空気混入部43及び散水部44となるように構成されている。コマ押えプレート4Cのシャワープレート4Bに対向する面は、空気混入部43の側壁43b及び散水部44の側壁44bとなるように構成されている。キャビティ4Aの凹部4Abに収められているコマ押えプレート4Cとの間の空隙を構成する凹部4Abの一部分は散水部44の側壁44aとなるように構成されている。
シャワープレート4Bにおいて、本体4の下面4bとは反対側の当接面4Baから下面4bに向けて円形の凹部4Bcが形成されている。凹部4Bcは、放射状に設けられた散水孔443の内側に位置するように、シャワープレート4Bの中央に設けられている。凹部4Bcの底面から下面4bに至るように貫通穴4Bbが形成されている。凹部4Bcには、空気導入コマ4Eが収められている。
空気導入コマ4Eは略円盤状の部材であって、その中央部分には段付の貫通穴4Eaが形成されている。空気導入コマ4Eの一方の面は平坦な円形面であって凹部4Bcの底面に当接している。空気導入コマ4Eの他方の面には平坦な円形面とその円形面の周囲を角取りするように設けられている傾斜面が形成されている。この平坦な円形面が空気混入部43の側壁43dを構成し、傾斜面が空気混入部43の段差部43gを構成している。貫通穴4Eaの開口面積が広くなっている方の開口端からは水噴射コマ4Dの噴射突起部4Dbの先端のみが挿入されており、噴射突起部4Dbに設けられている絞り流路421から噴射される水は空気導入コマ4Eの側壁43dと干渉しないように配置されている。空気導入コマ4Eの貫通穴4Eaと水噴射コマ4Dとの間には隙間が形成されており、この隙間から貫通穴4Bbに至る部分が空気を導入するための開口431を構成している。
上述したようにキャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、コマ押えプレート4Cと、水噴射コマ4Dと、空気導入コマ4Eとを組み上げることで、シャワー装置F3は、給水部41と、絞り部42と、空気混入部43と、散水部44とを備えるように構成される。
給水部41は、水を供給するための部分であって、給水口41dから導入した水を絞り部42へと供給する部分である。給水口41dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部41から絞り部42へと供給される。
絞り部42は、給水部41の下流側に設けられており、給水部41よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部42には、複数の絞り流路421が設けられている。
空気混入部43は、絞り部42の下流側に設けられており、絞り部42を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口431が形成されている部分である。
散水部44は、空気混入部43の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔443が形成されている部分である。
このように本発明の第三実施形態は、水を供給するための給水部41と、給水部41の下流側に設けられ、給水部41よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部42と、絞り部42の下流側に設けられ、絞り部42を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口431が形成されている空気混入部43と、空気混入部43の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔443が形成されている散水部44と、を備え、絞り部42から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線BW4が、空気混入部43及び散水部44を構成する内壁(側壁43b,43d、段差部43g、側壁44b,44c)と干渉することなく散水孔443が形成された位置まで到達するように構成され、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置F3を提供するものである。すなわち、絞り部42から噴射される水は散水孔が形成された散水面に沿って噴射されており、気泡混入水はその流れが乱されることなく散水孔から順次吐出されていく。
従って、本実施形態に係るシャワー装置F3は、上述した本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1が奏する特徴的な作用効果を奏するように構成されており、更にそれらの特徴的な作用効果に加えて次のような特徴的な作用効果を奏するように構成されている。
本実施形態に係るシャワー装置F3では、絞り部42が、複数の絞り流路421が放射状に配置されることで構成されており、複数の絞り流路421それぞれから噴射される水の噴射方向を延伸させた複数の噴射水仮想直線BW4のいずれもが、空気混入部43及び散水部44を構成する内壁(側壁43b,43d、段差部43g、側壁44b,44c)と干渉することなく散水孔443が形成された位置まで到達するように構成されている。
このように構成することで、絞り部42から噴射される水は空気混入部43及び散水部44を構成する内壁によってはその流れが乱されることなく散水孔443が形成された位置まで到達する。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるように構成している。更に、絞り部42を構成する複数の絞り流路421を放射状に配置しているので、複数の絞り流路421から噴射される水の流路の断面積が拡張していくように構成することができる。従って、複数の絞り流路421から噴射される水が気液界面に突入することによって生じる水流同士の干渉が起こり難く、均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水を散水孔に供給することができる。また、流路断面積が拡張することにより、気液界面に突入した水を適度に減速することができ、全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
続いて、上述した第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態に係る変形例について例示する。図19は、変形例に係るシャワー装置1を例示する模式図である。図19の(A)はその模式斜視断面図、図19の(B)は図19の(A)の模式斜視断面図の底面側から見たときの模式斜視図、図19の(C)は図19の(A)に表した断面構造を概念的に表した模式図である。
シャワー装置1は、水を通す給水路Sと、給水路S(図19では、給水路Sの下流側の端部)に設けられ、水の流路断面積を減らして水を吐出する絞り部12と、絞り部12の下流側に設けられ、絞り部12から吐出された水に空気を混入する空気混入部13と、空気混入部13の下流側に設けられ、空気を含んだ水である空気含有水(気泡水)200を吐出する複数の散水孔14pを有する散水部14と、を備える。絞り部12は、開口(噴射口12a)を有し、水を噴射口12aから吐出する。空気混入部13は、開口13aを有し、絞り部12から吐出した水(矢印A1)に開口13aから導入した空気を混入させる(矢印B1)。散水部14は、複数の散水孔14pを有する散水板14bを有する。散水部14の内部空間の厚さWは、噴射口12aの径または幅に対して、上下(厚さWの方向)に1mm弱程度から数mm程度の差を有するように設定することができる。
そして、絞り部12は、複数の散水孔14pが配された面(散水面14a)に沿って水を吐出する。ここで、「散水面14aに沿って吐出する」とは、散水面14aの直上において散水面14aに沿って吐出することの他、散水面14aと離隔した領域において散水面14aと略平行に吐出することも含む。また、吐水の方向は散水面14aに対して厳密に平行である必要はない。
給水路Sに水を供給し散水部14からシャワー流を吐水させている状態において、空気混入部13と散水部14との境界付近には、気液が混ざる界面14sが形成される。界面14sを境に、空気混入部13側は絞り部12からの水が大気中に開放された状態となっており、散水部14側は絞り部12からの水とそれによって引き込まれる空気とが混ざり、気泡水200が存在する状態となっている。すなわち、絞り部12からの水と、その水の運動エネルギーによって引き込まれる空気と、が界面14sに衝突することで、気液が混ざり気泡水200が形成されることになる。
次に、シャワー装置1における気泡水の生成作用について、図20を参照しつつ説明する。図20は、散水孔14pからの吐水態様を表した写真である。すなわち、これらの写真は、散水部14の散水孔14pから矢印の方向にシャワー流が吐出される状態を表す。図20の(A)は、気泡を含んだ水(気泡水200)が吐出されたときの吐水態様を表している。散水孔14pから吐出された水200は、粒状であり、それぞれの粒に気泡が混入していることが分かる。このように、気泡を混入させると、吐水後において気泡水200は粒状になりやすく、気泡を含まない吐水よりも大粒化される。このような粒は、空気のせん断力の他、気泡による作用によって生成し得ると考えられる。大粒化すると、シャワーが体表面に当たったときに良好な刺激や質感が得られる。さらに、空気を混入することにより、水の流量に空気の流量が加わるため、吐水後の粒の流速が高くなる。すなわち、空気を混入することで、少ない水量でも粒径が大きくなり、また流速も高くなることから粒の運動エネルギーが増加し、これらにより十分な「当たり感」が得られる。
一方、図20の(B)は、気泡を含まない水が吐出されたときの吐水態様を表している。気泡を含まない場合、吐水後において水は粒状になりにくく、連続した水流が空気のせん断力により粒化すると考えられる。この粒径は、散水孔14pの孔径に比例しており、孔径により粒径の大きさがほぼ予測できる。この粒径は、気泡を含んだ吐水に比べて小さくなることが分かっている。この様に、気泡を含んだシャワー吐水に比べて粒径が小さくなるため、シャワーが体表面に当たったときの刺激感や質感に乏しく、十分な「当たり感」を得るためには、水量を大きくし、流速を高めて、運動エネルギーを増加しなくてはならない。
本変形例によれば、図19に関して前述したように、絞り部12は、散水面14aに沿って水を吐出する。すなわち、絞り部12から吐出された水は、壁などに衝突することがなく、散水面14aに対して略平行に散水部14の内部空間を流れる。その結果として、気泡を混入したまま散水孔14pから吐出される。つまり、本変形例によれば、散水部14の上流側でも下流側でも、気泡を含有した水を吐出させるため、図20の(A)に表したように大粒化した粒状の吐水を形成することができる。その結果として、少ない水量でも、十分な刺激や「当たり感」を得ることができる。
続いて、図21及び図22を参照しながら、変形例としてのラジアル型のシャワー装置51について説明する。図21は、変形例に係るシャワー装置51を例示する模式図である。図21の(A)はその模式斜視断面図、図21の(B)は図21の(A)の模式斜視断面図の底面側から見たときの模式斜視図、図21の(C)は図21の(A)に表した断面構造を概念的に表した模式図である。図22は、シャワー装置51の他の構成を例示する模式図である。図22の(A)は模式断面図であり、図22の(B)は図22(A)のC5−C5線断面図である。
シャワー装置51は、水を通す給水路S5と、給水路S5(図21及び図22では、給水路S5の下流側の端部)に設けられ、給水路S5を流れる水をシャワーの吐水方向に対して略平行な方向で受ける給水受け部T5と、を備える。給水受け部T5は、水の流路断面積を減らして水を吐出する絞り部52を有する。絞り部52は、開口(噴射口52a)を有し、水を噴射口52aから吐出する。
また、シャワー装置51は、空気混入部53を備える。空気混入部53は、絞り部52の下流側に設けられ、絞り部52から吐出された水に空気を混入する。空気混入部53は、開口53aを有し、絞り部52から吐出した水(矢印A5)に開口53aから導入した空気を混入させる(矢印B5)。
また、シャワー装置51は、散水部54を備える。散水部54は、空気混入部53の下流側に設けられ、空気を含んだ水である空気含有水(気泡水)200を吐出する複数の散水孔54pを有する。散水部54は、複数の散水孔54pを有する散水板54bを有する。散水部54の内部空間の厚さWは、噴射口52aの径または幅に対して、上下(厚さWの方向)に1mm弱程度から数mm程度の差を有するように設定することができる。
そして、絞り部52は、複数の散水孔54pが配された面(散水面54a)に沿って水を吐出する。ここで、「散水面54aに沿って吐出する」とは、散水面54aの直上において散水面54aに沿って吐出することの他、散水面54aと離隔した領域において散水面54aと略平行に吐出することも含む。また、吐水の方向は散水面54aに対して厳密に平行である必要はない。
給水路S5に水を供給し散水部54からシャワー流を吐水させている状態において、空気混入部53と散水部54との境界付近には、気液が混ざる界面54sが形成される。界面54sを境に、空気混入部53側は絞り部52からの水が大気中に開放された状態となっており、散水部54側は絞り部2からの水とそれによって引き込まれる空気とが混ざり、気泡水200が存在する状態となっている。すなわち、絞り部52からの水と、その水の運動エネルギーによって引き込まれる空気と、が界面54sに衝突することで、気液が混ざり気泡水200が形成されることになる。
なお、給水路S5は、給水受け部T5の近傍以外の場所において任意の方向に延在することができ、例えば図22の(A)に表したようにシャワー吐水方向に対して略垂直な方向に延在することができる。
また、給水受け部T5は、散水部54の略中心に設けることができる。給水受け部T5の絞り部52は、複数の噴射口52aを介して水を放射状に吐出する構成にすることができる。このような構成にすることにより、散水部54からの吐水をより均一にすることができる。
図23は、実験で用いたシャワー装置51Bを表した模式断面図である。図23に示したように、このシャワー装置51Bは、後述する堰部54tを有する。堰部54tにより、気泡水の空気混入部53方向への逆流が抑制される。
図24は、図23に表したシャワー装置51Bを用いた場合の、散水部54内の状況及び散水孔54pからの吐水態様を表した写真である。図24の(A)は、上方から散水部54の内部を観察したときの平面写真である。図24の(B)は、外周側から見たときの散水孔54pからの吐水態様を表した側面写真である。
図24の(A)から、シャワー装置51Bでは、散水部54の中心部(上流側)から外周部(下流側)に至るまで、気泡が適切な量で均一に混入していることがわかる。気泡の停滞は見られず、小さい径のままで気泡が外周方向に流れている。このため、気泡水200は適切に散水孔54pから流出することができる。これは、気泡同士が結合して停滞することが抑制されていることを示している。このため、渦や逆流が発生しにくく、これによる運動エネルギーの損失が小さい。整流リブなどが存在する場合にも、従来に比べて気泡結合や、渦、逆流等が生じにくいと考えられる。
そして、図24の(B)からわかるように、外周側も含め満遍なく、散水孔54pから吐水された気泡水200の気泡混入率は高く、また気泡水200の粒径は大きい。これは、図24の(A)に示すように、散水部54の中心部から外周部に至るまで小さい気泡が均一に混入されているからである。
シャワー全体での気泡混入率は、従来は流量11リットル/分程度で約25%であったのに対し、シャワー装置51Bでは流量6.5リットル/分程度で25%以上であった。
このように、シャワー装置51Bでは、散水部54の中心部から外周部に至るまで、シャワーの粒径と流速とが適切に確保されている。このため、良好な質感のシャワーを得ることができる。ここで、非ラジアル型のシャワー装置51についても、シャワー装置51Bと同様に論じることができる。
なお、複数の散水孔54pは、絞り部52から離間した位置に設けることができる。この意義について、以下説明する。絞り部52から大気中に開放された水の運動エネルギーによって、この水の側に空気が引き込まれる。このとき、空気の吸引量は絞り部52から吐出された後の水の速度と表面積に比例する。この吐出された水と引き込まれた空気は、空気混入部53と散水部54との境界付近に形成される気液の界面54sに衝突することで、これら気液が混ざることになる。
ここで、絞り部52から離間した位置に複数の散水孔54pを設けることで、絞り部52と気液の界面54sとが離間し、絞り部52から吐出した水の空気に触れる表面積が増加する。これにより、絞り部52での流速を高く(圧力損失を大きく)しなくても効率的に空気を引き込むことができる。これにより、空気の混入率が上昇する。
絞り部52から散水孔54pまでの距離は、例えば15mm以上とすることができる。短すぎると、絞り部52から吐出した水の周囲に形成される速度境界層(高い速度を有する水と、その周囲に存在する低い速度の空気と、の境界に形成される層)が発達しないまま、水と空気は気液の界面54sに衝突することになる。このため、絞り部52から吐出した水の表面積が十分確保できず、空気の混入率が低下する可能性がある。それに対して、絞り部52と散水孔54pとが例えば15mm以上離間している場合、絞り部52から吐出した水の周囲に形成される速度境界層が十分に発達し、この水の表面積が十分確保できるため、空気の混入率が上昇する。
このように、複数の散水孔54pを絞り部52から離間した位置に設けることにより、空気の混入率を上昇させ、気泡水200を良好に形成することができる。
なお、本変形例では、絞り部52からの吐出水流は散水孔54pに流出するまでに直接衝突する箇所が無いため、より効果的に散水部54内の気泡水を整流することができる。このため、運動エネルギーの損失が少ない。
このように、本変形例によれば、シャワーの粒径と流速とを適切に確保することができる。これにより、良好な質感を有するシャワーを得ることができ、心地よい刺激が得られる。本変形例は、水圧の低い地域で特に有効に適用できる。また、粒が大きいと、放熱が少ないという副次的効果が得られる。本変形例は、浴室やキッチン等で用いられるハンディ型または固定型のシャワーなどに好適に適用することができる。
次に、本変形例の各種構成について、図25〜図27を参照しつつ説明する。本変形例において、絞り部12は、水を吐出する単数または複数のオリフィス等の開口(噴射口12a)を有する。噴射口12aが複数存在する場合には、複数の噴射口12aから吐出される水の少なくとも2つは、複数の噴射口12aのそれぞれに応じて複数の異なる方向に吐出される構成にしてもよい。また、複数の噴射口12aから吐出される水の吐出流路の少なくとも2つは、同一平面上にない構成にしてもよい。
図25は、噴射口12aを例示する模式側面図である。図25の(A)に表したように、噴射口12aは、円形等の形状を有する噴射口12aが点在する構成にしてもよい。また、図25の(B)に表したように、複数の噴射口12aを千鳥(ジグザグ)配置してもよい。すなわち、複数の噴射口12aの少なくとも2つは、散水面14aからの距離が互いに異なる。かかる構成にすることにより、吐出される水の吐出流路は同一平面上になく、吐出水流の流路は密になる。このため、図19の(C)において、気泡水200が空気混入部13側に逆流することを抑制できる。すなわち、界面14sを適切に形成することができる。以下、かかる効果を、「シールド効果」と呼ぶこととする。また、複数の噴射口12aを千鳥(ジグザグ)配置することで、吐出される水は空気との接触面積が増加し、空気混入率が向上する。
次に、散水部14の他の構成について、図26及び図27を参照しつつ説明する。図26及び図27は、散水部14を例示する模式断面図である。図26に表したように、散水部14の内部空間の厚さWは、絞り部12から遠ざかるにつれて小さくなる構成にしてもよい。これにより、水の流速を適切に確保することができる。
例えば、図26の(A)に表したように、下流側に向かうにつれて散水面14aが対向面14c側に傾斜する構成にしてもよい。また、図26の(B)に表したように、下流側に向かうにつれて対向面14cが散水面14a側に傾斜する構成にしてもよい。
なお、散水孔14pは、図26の(A)に表したように、散水部14の内部側と外部側とで流路断面積を変えてよく、例えば外部側が相対的に小さい流路断面積を有する構成にしてもよい。これにより、散水孔14pから吐出される気泡水の流速を適切に確保することができる。
また、図27に表したように、散水部14は、空気混入部13との境界部に堰部14tを有する構成にしてもよい。これにより、堰部14tと絞り部2から吐出した水との隙間に空気の境界層が形成され、界面14sへのシールド効果が向上する。この場合、図27の(B)に表したように、堰部14tは散水部14の上下(対向面14cと、散水面14aと)に設けてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。