以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1に例示するように、本発明に係る方法によって製造される包装体1は、容器であるボトル2と蓋であるキャップ3とを備える。ボトル2の口部2aには雄ネジ2bが形成され、キャップ3には雌ネジ3aが形成され、雌雄ネジ3a,2bの螺合によりボトル2の口部2aが密封される。ボトル2内には、内容物である飲料aが充填されている。また、ボトル2内の飲料aの液面よりも上方のヘッドスペースb内には、不活性ガスである窒素ガスが吹き込まれている。この実施の形態1では飲料aとして非炭酸飲料である煎茶がボトル2に充填されている。ヘッドスペースb内には液体に対し難溶性の窒素ガスが吹き込まれているので、煎茶である内容物は風味等が損なわれない。
ボトル2は、略試験管状のPET製プリフォーム(図示せず)をブロー成形することにより形成される。ボトル2は、PETに限らずポリプロピレン、ポリエチレン等他の樹脂を用いて製造することも可能である。プリフォームは、射出成形等により成形され、略試験管状の本体とボトル2におけると同様な口部2aとを備える。この口部2aにはプリフォームの成形と同時に雄ネジ2bが形成される。キャップ3は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を材料にして射出成形等により形成され、キャップ3の成形と同時に雌ネジ3aも形成される。
ボトル2内は、内容物である飲料aの充填前に、例えば殺菌剤と温水とで殺菌される。殺菌剤としては例えば過酸化水素や過酢酸が用いられる。この過酸化水素のミスト又はガスがボトル2内に口部2aから導入されることによって、ボトル2の内面がムラなく殺菌される。また、過酸化水素による殺菌の後に温水がボトル2内に導入されることによって、ボトル2内が洗浄され、殺菌に使用された過酸化水素が洗い流される。
飲料aは、この殺菌処理されたボトル2内に常温(例えば、2℃〜40℃)で充填される。飲料aは予め加熱等により殺菌処理され、常温まで冷却された上でボトル2内に充填される。
不活性ガスである窒素ガスは、図2に示す方法によって、ボトル2のヘッドスペースb内に吹き込まれる。
ボトル2内には、あらかじめノズルから飲料aがボトル2の口部2aを通して充填される。
具体的には、ボトル2は後述するグリッパ32(図8参照)により把持され、或いはコンベア上に乗せられて水平方向に高速で走行し、ボトル2と同期的に走行するノズル7(図3参照)がボトル2の口部2aからボトル2内に飲料aを定量充填する。ボトル2の走行速度は、生産効率等の面から、例えば0.2m/秒〜2m/秒とされる。
ボトル2内は望ましくは上述したように予め殺菌処理されている。また、ボトル2の外面も同様にして殺菌処理されている。
図2(A)に示すように、ボトル2のヘッドスペースb内には飲料aの充填に伴い飲料aの泡cが発生する。泡cの量、大きさは内容物の種類により相違する。各泡c内には空気が閉じ込められる。
図2(A)に示すように、ボトル2のヘッドスペースb内に向かってノズル49からホットエアdを吹き付ける。このホットエアdによって、ヘッドスペースb内の泡cが壊され、泡c内の空気が放出される。このノズル49は定位置に固定しておいてもよいし、ボトル2と並走させてもよい。
なお、ホットエアdに代えて水蒸気を用い、この水蒸気で泡cを加熱し、消泡することも可能である。
発明者は、このヘッドスペースb内の消泡によるヘッドスペースb内の酸素量の低減効果について調べたところ、表1及び図9の結果を得ることができた。
表1及び図9のデータは、PET製ボトルに液体を充填して15mlのヘッドスペースを形成し、ピペットにより液体内に各種容量の空気を注入することによって求めた。上記のようにホットエアdによって泡cを消去した場合は、ヘッドスペースb内の酸素量は0.04mlであるが、泡が1mlでも存在すると酸素量が顕著に増大し、泡の容積が増加するに連れて酸素量も増加する傾向にある。
続いて、図2(B)に示すように、飲料aが充填されたボトル2の口部2aにキャップ3が対峙する。キャップ3はキャッピングホルダ4により保持されつつボトル2と同期的に走行する。
また、ボトル2とキャップ3が並走する状態で、図2(B)に示すように、キャップ3とボトル2の口部2aの双方がフード30で覆われる。フード30はキャップ3を保持するキャッピングホルダ4と一体で走行しつつ、ボトル2側に降下し、ボトル2の口部2aおよびキャップ3に被さる。
図2(B)(C)に示すように、キャップ3をボトル2の口部2aに対峙させた時から被せ終わるまで予め除菌された不活性ガスである窒素ガスNがフード30内に吹き込まれる。フード30には、窒素ガスNの注入口47,48が複数箇所にわたって設けられる。注入口は図示例では二個であるが、一個であってもよいし、三箇所以上であってもよい。窒素ガスNは、同図中矢印で示すようにフード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内へと流れて、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素をフード30外へと排除することにより酸素と置換される。一つの注入口48は、フード30がボトル2の口部2aに被さった状態でボトル2の口部2aの開口を横断する方向を向いており、そのため、そこからフード30内に流入した窒素ガスNはボトル2の口部2aの開口を掠めるように高速で流れる。その結果、ヘッドスペースb内から空気が吸い出されやすくなり、ヘッドスペースb内の酸素が窒素ガスNで置換されやすくなる。
このように、フード30を被せてフード30内に窒素ガスNを供給するようにしていることから、ボトル2を高速走行させつつ、飲料aを充填しヘッドスペースb内に窒素ガスNを供給する場合であっても、ヘッドスペースb内の酸素が確実に排除され、ヘッドスペースb内への外気の巻き込みが防止され、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスNによる置換率が向上する。
また、窒素ガスNをヘッドスペースb内に吹き込む際は、上述したようにヘッドスペースb内の飲料aの泡cがすでに壊されているので、泡cに含まれていた空気中の酸素が窒素ガスNの吹き込み後、あるいはキャッピング後にヘッドスペースb内に残留することもない。
なお、上記フード30はボトル2等を低速で走行させつつ窒素ガスNを供給する場合や、静止状態で供給する場合は省略してもよい。その場合でもある程度の置換率で酸素をヘッドスペースbから排除することが可能である。
この窒素ガスNは、上記ホットエアdと同様に予め加熱しておいてもよい。上記ホットエアd又は水蒸気の吹き付けによる消泡に加え、加熱した窒素ガスNによっても消泡効果を得ることができ、従ってヘッドスペースb内から更に効果的に酸素を排除することができる。
また、図2(B)(C)に示すように、必要に応じてフード30の下端の開口が板状のシャッター31で覆われる。シャッター31によってフード30の底を僅少開状態で閉じることにより、シャッター31から窒素ガスNを少しずつ排出しつつフード30内を窒素ガスNで充満させることができ、また、フード30内への外気の侵入を防止することができる。これにより、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスによる置換率が更に向上する。
図2(C)に示すように、キャッピングホルダ4が回されキャップ3でボトル2の口部2aが閉じられる。窒素ガスNは望ましくはキャップ3を閉じ切られるまで供給される。
この後、シャッター31が開き、キャッピングホルダ4がキャップ3を解放し、フード30と共に上昇し、ボトル2が飲料aの包装体1としてキャッピング工程から取り出される。
このように、フード30内に窒素ガスNを注入し、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素をフード30外へと排除しつつヘッドスペースb内の酸素を追い出すので、ボトル2を高速走行させる場合であっても、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスNによる置換率はヘッドスペースbの容積を20ccとして従来50%程度であったものが最大で略100%にまで達することとなる。
発明者は、フード内に吹き込む窒素ガスの各種流量と、ボトルのヘッドスペース内の酸素を窒素ガスで置換する時間と、ヘッドスペース内の酸素の窒素ガスによる置換率との関係を求めたところ、表1の結果を得た。ただし、ヘッドスペース内の酸素を窒素ガスで置換する時間は、フードでボトルの口部及びキャップを覆ってフード内に窒素ガスを吹き込みキャッピングするまでの時間(「保持時間」と呼ぶ。)とした。保持時間は、フードでボトルの口部及びキャップを覆い、フード内に窒素ガスを吹き込みつつ、これらを水平方向に走行させる時間に対応する。ボトルは図1に示すようなものとし、ヘッドスペースbの容積は20ccとした。
なお、従来法に近似した方法として、ノズルからボトルのヘッドスペース内に向かって窒素ガスを吹き付けるようにした場合は、保持時間0.0秒とし、窒素ガス流量を300L/minとすることにより置換率50%に到達することができた。
この表2のデータをグラフ化すると図10の通りである。
このように、フード30でボトル2の口部2a及びキャップ3を覆ってフード30内に窒素ガスNを吹き込みヘッドスペースb内の酸素を窒素ガスNで置換する時間を保持時間とし、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスによる置換率との関係を予め求めておき、要求される置換率を基に窒素ガスNの流量及び保持時間を割り出すようにすれば、ヘッドスペースb内の酸素を窒素ガスによって適正な置換率で効率よく置換することができる。例えば、図10中、置換率を90%にしようとする場合は、窒素ガスNを100L/minの流量でフード内に吹き込み、保持時間を0.2秒とするか、又は窒素ガスNを50L/minの流量でフード30内に吹き込み、保持時間を0.4秒とすればよい。
また、このようにヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスNによる置換率が高まることから、図11に示すように、中味の飲料aの酸化が低減し長期保存が可能となる。
図11は、飲料aにアスコルビン酸を添加して図1に示すような二個のボトル2にそれぞれ充填し、それぞれキャップ3で密封した場合におけるアスコルビン酸の劣化速度を表したグラフである。同図中、破線は、従来法によってボトル2のヘッドスペースb内に窒素ガスNを吹き付けた後にキャッピングした場合のアスコルビン酸の劣化速度を示す。実線はボトル2のヘッドスペースb内に本発明の上記実施の形態に基づいて窒素ガスNを供給し、キャッピングを行った場合のアスコルビン酸の劣化速度を示す。図11において、破線と実線の勾配の大きい部分は、ヘッドスペースb内に閉じ込められた酸素によるアスコルビン酸の消費を示す。図11から明らかなように、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスNによる置換率が高いほど、飲料aの劣化が遅れ長期保存が可能となる。例えば、従来法によれば賞味期限が8ヶ月であったものを更に期間E=6ヶ月引き伸ばすことができる。
上記図2(A)(B)(C)の工程は無菌雰囲気下で行われる。無菌雰囲気はボトル2の走行路をチャンバー(図3参照)で覆い、チャンバー内部を陽圧の無菌エアで満たすことにより形成することができる。このような無菌雰囲気下で、無菌のボトル2に無菌の飲料aを充填し、無菌の窒素ガスNを供給し、無菌のキャップ3を被せることによって、飲料aを無菌状態で長期保存することができる。
上記図2(A)(B)(C)の工程は、望ましくは無菌雰囲気下で行われる。無菌雰囲気はボトル2の走行路をチャンバー(図4参照)で覆い、チャンバー内部を陽圧の無菌エアで満たすことにより形成することができる。このような無菌雰囲気下で、無菌のボトル2に無菌の飲料aを充填し、無菌の窒素ガスNを供給し、無菌のキャップ3を被せることによって、飲料aを無菌状態で長期保存することができる。
<実施の形態2>
この実施の形態2では、不活性ガスである窒素ガスは、図3に示す方法によって、ボトル2のヘッドスペースb内に充填される。
ボトル2は高速で連続走行し、このボトル2の口部2aから飲料aがボトル2内に充填される。もちろん、この飲料aの充填から後のキャッピングまで、ボトル2は間欠走行させてもよいし、静止させておいてもよい。
ボトル2は後述するグリッパ32(図8参照)により把持され、或いはコンベア上に乗せられて水平方向に高速で走行し、ボトル2と同期的に走行するノズル7(図4参照)がボトル2の口部2aに正対し、このノズル7から飲料aが口部2aを通してボトル2内に定量充填される。ボトル2の走行速度は、生産効率等の面から、望ましくは0.2m/秒〜2m/秒である。
ボトル2内は望ましくは上述したように予め殺菌処理されている。また、ボトル2の外面も同様にして殺菌処理されている。
図3(A)に示すように、ボトル2のヘッドスペースb内には飲料aの充填に伴い飲料aの泡cが発生する。泡cの量、大きさは内容物の種類により相違する。各泡c内には空気が閉じ込められる。
この飲料aが充填されたボトル2の口部2aにキャップ3が対峙する。キャップ3はキャッピングホルダ4により保持されつつボトル2と同期的に走行する。
また、ボトル2とキャップ3が並走する状態で、キャップ3とボトル2の口部2aの双方がフード30で覆われる。フード30はキャップ3を保持するキャッピングホルダ4と一体で走行しつつ、ボトル2側に降下し、ボトル2の口部2aおよびキャップ3に被さる。
図3(A)(B)(C)に示すように、キャップ3がボトル2の口部2aに対峙した時から巻き締められボトル2を密封するまで、予め除菌されかつ加熱された不活性ガスである窒素ガスMがフード30内に吹き込まれる。窒素ガスMの加熱は、図示しないがヒータ等の加熱手段によって行われる。
窒素ガスMは、同図中矢印で示すようにフード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内へと流れて、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素をフード30外へと排除する。
このように、フード30を被せてフード30内に窒素ガスMを供給するようにしていることから、ボトル2を高速走行させつつ、飲料aを充填しヘッドスペースb内に窒素ガスMを供給する場合であっても、ヘッドスペースb内の酸素が確実に排除され、ヘッドスペースb内への外気の巻き込みが防止され、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスMよる置換率が向上する。
また、この窒素ガスMは加熱されていることから、図3(A)に示すように、ヘッドスペースb内の泡cに吹き付けられることによって、同図(B)に示すように、ヘッドスペースb内の泡cが消失し、泡c内の空気が放出される。したがって、泡cに含まれていた空気中の酸素が窒素ガスMの吹き込み後、あるいはキャッピング後にヘッドスペースb内に残留することもない。
上記フード30はボトル2等を低速で走行させつつ窒素ガスMを供給する場合や、静止状態で供給する場合は省略してもよい。その場合でもある程度の置換率で酸素をヘッドスペースbから排除することが可能である。
図3(A)(B)(C)に示すように、必要に応じてフード30の下端の開口を板状のシャッター31で覆うようにしてもよい。シャッター31によってフード30の底を僅少開状態で閉じることにより、シャッター31から窒素ガスMを少しずつ排出しつつフード30内を窒素ガスMで充満させることができ、また、フード30内への外気の侵入を防止することができる。これにより、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスMによる置換率が更に向上する。
図3(C)に示すように、キャッピングホルダ4が回され、キャップ3でボトル2の口部2aが閉じられる。窒素ガスMは望ましくはキャップ3を閉じ切るまで供給される。
この後、シャッター31が開き、キャッピングホルダ4がキャップ3を解放し、フード30と共に上昇し、ボトル2が飲料aの包装体1としてキャッピング工程から取り出される。
このように、ボトル2を高速走行させながらフード30内に窒素ガスMを注入し、飲料aの泡cを消失させ、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素をフード30外へと排除しつつヘッドスペースb内の酸素を追い出すので、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスMによる置換率は、実施の形態1の場合と同様に、ヘッドスペースbの容積を20ccとして従来50%程度であったものが略100%にまで達することとなる。
従って、実施の形態1の場合と同様に、ボトル2を薄肉軽量化することによるボトル2内への外気中の酸素の透過率が高くなったとしても、中味の飲料の酸化が低減し長期保存が可能となる。
上記図3(A)(B)(C)の工程は、実施の形態1と同様に、望ましくは無菌雰囲気下で行われる。無菌雰囲気はボトル2の走行路をチャンバー(図4参照)で覆い、チャンバー内部を陽圧の無菌エアで満たすことにより形成することができる。このような無菌雰囲気下で、無菌のボトル2に無菌の飲料aを充填し、無菌の窒素ガスMを供給し、無菌のキャップ3を被せることによって、飲料aを無菌状態で長期保存することができる。
<実施の形態3>
実施の形態2に係る充填方法を実施するための無菌充填装置の一例について、図4乃至図8に基づいて説明する。
図4に示すように、この無菌充填装置は、上記ボトル2を所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段を有する。
搬送手段は、複数の各種ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20を次々と隣接するごとく水平に配置し、各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の周りに後述する鋏状のグリッパを所定のピッチで多数配置することにより、構成される。これらのホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20は適宜追加削除が可能である。
隣り合うホイールは互いに反対方向に同じ周速度で回転し、各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の外周でグリッパが各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20と同じ周速度で旋回する。
搬送手段の搬送路は、各種ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20を接続することにより円弧の連続となって延び、この円弧の連続線上を多数のボトル2が所定の間隔で走行する。
これにより、ボトル2は上流側のホイールのグリッパにより把持されてホイールと共に旋回し、下流側のホイールに到達するとそのホイールのグリッパに掴み替えられ、以後下流側のホイールへと所定速度で順次送られる。
図8(A)(B)に示すように、グリッパ32は、ボトル2の胴体から突出する口部2aをその外側から挟む一対の挟み片33a,33bを有する。一対の挟み片33a,33bは基部34にそれぞれ垂直ピン35で回動可能に支持され、引張スプリング36により常時閉じ方向に引っ張られる。これにより、図8(B)に示すように一対の挟み片33a,33bはボトル2の口部2aを常時把持しようとし、グリッパ32で掴まれたボトル1は図5に示すように宙吊り状態となる。基部34には、垂直軸37が双方の挟み片33a,33bの根元と嵌り合った状態で各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の半径方向でスライドしうるように取り付けられ、この垂直軸37に連結されたカムフォロア38が同じく各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の半径方向にスライド可能に取り付けられる。各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の内方にはカムフォロア38の溝に係合し、所定の位置でカムフォロア38及び垂直軸37を各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20の半径方向にスライドさせ、グリッパ32の挟み片33a,33bを開状態又は閉状態に切り換えるための図示しないカムが配置される。各ホイール11,12,13,14,15,16,17,18,19,20が回転してグリッパ32が隣り合うホイールのグリッパ32と対向すると、一旦双方のグリッパ32がボトル2の口部2aを把持し、その後上流側のグリッパ32の挟み片33a,33bが開いてボトル2を解放し、下流側のグリッパ32の挟み片33a,33bが閉じたままでボトル2を搬送する。以後同様な操作が行われることにより、ボトル2が下流側のホイールへと一列で搬送される。
なお、図8(A)(B)中、符号31はシャッターを示す。このシャッターは後述する第八のホイール18の回りを旋回するグリッパ32にのみ設けられる。
図4に示すように、上記搬送路に沿って、ボトル2内を殺菌剤である過酸化水素により殺菌する第一の殺菌処理手段のノズル5と、ボトル2内に温水を注入して殺菌する第二の殺菌処理手段のノズル6と、内容物である飲料aを殺菌処理済みのボトル2内に常温で充填する充填手段のノズル7と、ボトル2を蓋であるキャップ3で密封する密封手段としてのキャッパー8とが順に配置される。
また、ボトル2の外面を過酸化水素のミストで殺菌する外面殺菌処理手段も上記搬送路に沿って設けられるが、この実施の形態では上記第一の殺菌処理手段のノズル5がこの外面殺菌処理手段を兼ねている。
第一の殺菌処理手段のノズル5等が設けられる第一のホイール11の上流側には導入コンベア11aが接続され、この導入コンベア11a上にはブロー成形機9が配置される。ブロー成形機9にはプリフォーム10が供給され、ブロー成形機9でプリフォーム10から成形されたボトル2が導入コンベア11aにより一定ピッチで第一のホイール11へと送られる。
第一の殺菌処理手段であるノズル5の設置数は一本でも複数本でもよい。このノズル5の先端における開口がボトル2の口部2aの開口に所定の間隔を置いて正対する。ノズル5の開口から吐出する過酸化水素のミストがボトル2の口部2aからボトル2内へと流れ込む。
また、第一のホイール11においてノズル5下をボトル2が通る箇所には、ボトル2を取り囲むようにトンネル29が設けられる。ノズル5の開口から吐出する過酸化水素のミストの一部はトンネル29内に充満し、ボトル2の外面に付着してボトル2の外面を効率よく殺菌する。
過酸化水素のミストは、ミスト生成装置により生成される。ミスト生成装置は、図示しないが、無菌空気によって過酸化水素を噴出する二流体スプレーと、この二流体スプレーから供給された過酸化水素の噴霧を加熱して気化させる気化部とを備えるもので、公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。このミスト生成装置から吐出された過酸化水素の微細なミストがノズル5から上記ボトル2の内部に吹き込まれ、ボトル2の内面の全面にムラなく均一に付着する。ボトル2の内面に付着したミストは結露し、高濃度の過酸化水素となって、ボトル2の内面を速やかに殺菌する。
なお、この実施の形態3では、このミストは従来のアセプティック法におけるよりも供給量が少ない。このミストにより、ボトル2内の細菌の栄養細胞、カビ及び酵母は殺菌されるが、細菌の芽胞は生きたまま残留する。
上記第一の殺菌処理手段のノズル5を含むように、第一のホイール11の回りは第一の無菌チャンバー23に囲まれる。第一の無菌チャンバー23内はノズル5から吐出されるミストbで充満し、同じく第一の無菌チャンバー23内に供給される無菌エアと共に第一の無菌チャンバー23におけるボトル2の出入口から吹き出し、微生物を含んだ外気の侵入を阻止する。上記ノズル5はこの第一の無菌チャンバー23内の定位置に固定される。
上記ノズル5から吐出されるミストは、第一の無菌チャンバー23内のトンネル29内において、ボトル2内に高濃度の過酸化水素ミストとなって滞留し、また、ボトル2外へも流れてボトル2の外面上に付着し或いは第一の無菌チャンバー23内を漂う細菌の栄養細胞、カビ及び酵母を殺菌する。
第二のホイール12の外周に配置されるグリッパは、図示しないが水平枢軸を介して第二のホイール12側に支持され、第二のホイール12の旋回軸を中心にして円弧状に湾曲するカムに接触することにより、第一のホイール11との接点からボトル2を受け取って進行すると、カムの案内により上下反転する。これにより、ボトル2も上下反転し、その口部2aが下向きとなる。
第二の殺菌処理手段のノズル6は、下向きになったボトル2内に温水を供給するため上向きに一本又は複数本配置される。ノズル6は各グリッパの真下にグリッパと共に旋回運動するように設けられる。図示しないが、各ノズル2は各グリッパの真下においてカム機構によって上下動しボトル2内に出入り可能である。また、第二の殺菌処理手段は、無菌の温水をマニホルド、中空管等からノズル6に供給するようになっている。ノズル6から吹き出た温水はボトル2内を巡った後、口部2aから流れ出る。各ボトル2の温水による殺菌は図4中ホイール12の回りの二点鎖線で示す領域内において行われる。
なお、この温水は、芽胞の生残は許容するがカビ、酵母を滅菌することができる殺菌条件で加熱殺菌した後に65℃〜75℃の温度まで冷却されており、5〜10L/minの流量でノズル6から各ボトル2内に供給される。
この温水によって、過酸化水素によって損傷を受けた子嚢菌類等の一部のカビが殺菌される。また、この温水によって、ボトル2内に残留した余剰の過酸化水素が洗い流され、ボトル2外に排出される。また、この温水の熱によってボトル2の外面に付着した過酸化水素によるボトル2の外面の殺菌効果が高められる。
図4に示すように、第二の殺菌処理手段のノズル6を含むように第二〜第四のホイール12,13,14の回りが第二の無菌チャンバー24により覆われる。この第二の無菌チャンバー24内にも陽圧の無菌エアが供給される。
温水で殺菌処理されたボトル2は、第二のホイール12から第三〜第五のホイール13,14,15を経て第六のホイール16へと受け渡される。この第六のホイール16の所定位置に内容物充填手段である充填機25が設置される。ボトル2はこの第六のホイール16のグリッパに把持されて搬送されつつ充填機25で内容物である飲料aが充填される。充填機25はノズル7を有し、このノズル7から飲料aを所定量だけボトル2内に充填するようになっている。ノズル7は一本又は複数本設けることができる。
充填時の飲料aの温度は3℃〜40℃程度の常温である。また、飲料aの酸性度は、望ましくはpH4.6未満、より望ましくはpH4未満であり、トマトジュース、野菜ジュース、レモンティー、オレンジジュース、乳性炭酸飲料、機能性飲料、炭酸入りレモンジュース、ぶどうジュース、果汁ジュース等が充填される。
充填機25のノズル7を含むように第五のホイール15から第七のホイール17にわたる箇所が第三の無菌チャンバー26により囲まれる。この第三の無菌チャンバー26内にも陽圧の無菌エアが供給される。
図4に示すように、第八のホイール18の所定位置に密封手段であるキャッパー8が設置される。
このキャッパー8に到達したボトル2内には飲料aの液面上にヘッドスペースbが生じており、このヘッドスペースb内に加熱された不活性ガスである窒素ガスMが吹き込まれ、ヘッドスペースb内の空気が窒素ガスMで置換される。
図5に示すように、キャッパー8は、飲料aが充填されたボトル2の口部2aにキャップ3を対峙させて被せるためのキャッピングホルダ4を有する。キャッピングホルダ4は、第八のホイール18と一体で旋回可能な旋回盤39の回りに配置される。各キャッピングホルダ4は、第八のホイール18の回転に伴い、ボトル2を把持したグリッパ32と同期的に移動し、キャップ3をボトル2の口部2aに対向させる。
なお、キャップ3は上記ボトル2の殺菌装置と同様な殺菌装置により予め殺菌処理されている。
キャッピングホルダ4は、キャップ3を嵌合保持する嵌合部4aと、垂直方向に伸びて下端で嵌合部4aを支持するロッド4bとを具備する。ロッド4bは上記旋回盤39の上方に配置された図示しない駆動部からの動力により上下往復運動と回転運動とを行うようになっている。ロッド4bが上下往復運動を行うことによって、所定の場所で嵌合部4aによってキャップ3を把持し、他の所定の場所でキャップ3をボトル2の口部2aにあてがうことができる。また、ロッド4bが回転運動を行うことによって、図7に示すように、キャップ3をボトル2の口部2aに巻締めることができる。
図5に示すように、上記旋回盤39の下面にはロッド4bが挿入されるスリーブ40が垂直に固定され、スリーブ40よりも下方においてロッド4bにはロッド4bを回転可能に支持するためのベアリング41とベアリングホルダ42とが取り付けられる。スリーブ40とベアリングホルダ42には、ロッド4bの上下往復運動を案内するためのガイドレール43とガイドレール43に嵌り込むローラ44とが取り付けられる。また、スリーブ40とベアリングホルダ42との間には、両者間の隙間を遮断するためのベローズ45が取り付けられる。
また、キャッパー8には、ボトル2の口部2aとこれに対向するキャップ3の双方を覆うフード30と、キャップ3をボトル2の口部2aに被せる前から被せ終わるまで不活性ガスである加熱された窒素ガスMをフード30内に吹き込む窒素ガス供給手段とが設けられる。窒素ガス供給手段は図示しないがヒータ等の窒素ガスMを加熱する手段を備えている。
フード30は、上記旋回盤39から上記スリーブ40及びベローズ45を囲むように垂下する上筒30aと下筒30bとの二重筒構造とされることにより上下に伸縮可能に形成される。上筒30aと下筒30bは入れ子状に嵌り合っており、上筒30aは旋回盤39に固定され、下筒30bは上筒30aに対して上下方向にスライド可能である。また、下筒30bには、旋回盤39に固定されたピストン・シリンダ装置46のピストンロッド46aが連結され、ピストンロッド46aの伸縮動作により上筒30aに対して上下にスライド運動を行う。
下筒30bには、図6に示すように、下筒30bと口部2aの外周との間を狭めて窒素ガスMをフード30の底側へ流れやすくするため、必要に応じて内筒30cが設けられる。
窒素ガス供給手段は、窒素ガス注入口47,48をフード30の上下筒30a,30bにそれぞれ備える。下側の窒素ガス注入口48は、上述したと同様に、フード30がボトル2の口部2aに被さった状態でボトル2の口部2aの開口を横断する方向を向いており、そこからフード30内に流入した窒素ガスMはボトル2の口部2aの開口を掠めるように高速で流れる。そのため、ヘッドスペースb内から空気が吸い出されやすくなり、ヘッドスペースb内の酸素が窒素ガスMで置換されやすくなる。窒素ガス注入口48は下筒30bから内筒30cへと貫通し、内筒30c内に開口している。下筒30bと内筒30cとの間には窒素ガス注入口48を形成するための導管30dが設けられる。図4に示すように、上筒30aと下筒30bとが重なり合った時に導管30dに上筒30aが干渉しないように、上筒30aには縦溝30eが形成される。
フード30は旋回盤39と共に高速で旋回運動するが、窒素ガス注入口47,48と旋回盤39との間に設けられる図示しないロータリジョイントを介して窒素ガスMは窒素ガス注入口47,48へと円滑に供給される。
窒素ガスMは窒素ガス注入口47,48に至る前に予めヒータ等の加熱手段により加熱されている。窒素ガス注入口47,48は一箇所に設けても三箇所以上にわたってもうけてもよい。
上記第八のホイール18の回りを走行するグリッパ32の挟み片には、図5及び図8(A)(B)に示すように、フード30の底の開口を開閉するシャッター31が必要に応じて取り付けられる。シャッター31は、図8(A)(B)に示すように、グリッパ32の挟み片33a,33bがボトル2の口部2aを挟み込むと同時にフード30の底の開口を閉じ、図6に示すように窒素ガスMをフード30内に供給する際に外気がフード30内へ侵入しないようにする。
キャッピングホルダ4が図4中、位置Vへと来た時は、図5に示すように、ピストンロッド46aの縮動作によって、下筒30bは上昇して上筒30aと重なり合い、キャッピングホルダ4の嵌合部4aとこれに嵌り込んだキャップ3がフード30下に露出した状態でボトル2の口部2aに対峙する。この段階で窒素ガスMが窒素ガス注入口47からフード30内に供給され、フード30内が窒素ガスMで満たされる。
また、位置Vでは、図5に示すように、充填機25のノズル7からボトル2内に充填された飲料aの液面上には飲料aの膜による多数の泡cが発生している。
次に、キャッピングホルダ4が図4中、位置VIへと来ると、図6に示すように、ピストンロッド46aの伸動作によって、下筒30bは上筒30aの回りから下降してボトル2の口部2aとこれに対向するキャップ3の双方を覆う。窒素ガスMはフード30内に注入され続け、フード30内、ボトル2のヘッドスペースb内及びキャップ3内に流入し、それらの中から酸素を排除し、フード30外に押し出す。また、その際ボトル2は高速で走行しているが、フード30によりボトル2の口部2aの回りは覆われているので、窒素ガスMがヘッドスペースbから吸い出されることはない。
窒素ガスMは加熱された熱風としてヘッドスペースb内に吹き込まれるので、図5に示した泡cは加熱されて弾け、図6に示すように消失する。これにより、泡c中の空気はヘッドスペースb内に放出される。
また、図6に示すように、ボトル2が走行する間、グリッパ32がボトル2の口部2aを把持し、これに伴ってシャッター31が僅少開状態で閉じ、フード30の下端の開口が外界から遮断される。これにより、窒素ガスMはシャッター31の隙間から外部に少しずつ排出されながらフード30内に充満し、フード30内から酸素をフード30外へと押し出す。従って、フード30内への外気の巻き込みが防止され、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素が更に効率良く排除されることとなる。
キャッピングホルダ4が図4中、位置VIから位置VIIへ移動する際、図6中、キャッピングホルダ4が矢印v方向に下降しつつ矢印w方向に回転し、図7に示すように、キャップ3をボトル2の口部2aに巻き締める。この最中も窒素ガスMがフード30内を流れ、フード30内への外気の侵入を阻止する。かくて、ヘッドスペースb内の飲料aの泡cは消失し、キャッピング後に泡cが弾けて空気を放出することもないので、ボトル2のヘッドスペースb内の酸素は例えば99%程度まで窒素ガスMで置換される。
このキャッパー8を含むように第八〜第十のホイール18,19,20の回りが第四の無菌チャンバー27により覆われる。この第四の無菌チャンバー27内にも陽圧の無菌エアが供給される。
キャッパー8によりキャップ3で閉じられたボトル2は、リジェクト用の第十のホイール20を経由して搬出用のコンベア20aから第四の無菌チャンバー27外に包装体1として搬出され出荷される。一方、充填、キャッピング等に支障のあるボトル2はリジェクト用のコンベア20bから別経路で第四の無菌チャンバー27外に搬出され回収される。
その他、第一〜第四の無菌チャンバー23,24,26,27には、チャンバー内殺菌装置が付設される。すべての無菌チャンバー23,24,26,27内は、包装体1の製造開始に先立ちこのチャンバー内殺菌装置により殺菌される。この殺菌は過酸化水素等の殺菌剤のスプレー、熱水の噴射、放水等により行われ、細菌の芽胞は残留するが細菌の栄養細胞、カビ及び酵母は殺菌される程度に行われる。
以上のように、実施の形態3の装置によれば、細菌の芽胞を殺菌する必要がなく、無菌チャンバー23,24,26,27内やボトル2内を簡易かつ迅速に殺菌することができる。また、ボトル2内の細菌の芽胞を除く微生物の大半を第一の殺菌手段5で殺菌剤により殺菌し、子嚢菌類等殺菌剤によっても殺菌されにくい他の微生物を第一と第二の殺菌手段6の相乗効果により殺菌するので、ボトル2内には飲料aの酸性によって発芽が抑止され静菌状態に保持される細菌の芽胞のみが残留し、これにより飲料aの腐敗を防止し、飲料aを長期間にわたり正常に保存することができる。また、ボトル2のヘッドスペースb(図1参照)内の酸素は、高置換率で窒素ガスMにより置換されているので、飲料aの酸化が解消又は低減し飲料aの長期保存が可能となる。
<実施の形態4>
この実施の形態4では、実施の形態3の無菌充填装置とは異なる構成の無菌充填装置によって上述の充填方法を実施するようになっている。
図12に示すように、この無菌充填装置は、上記ボトル2を所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段を有する。
搬送手段は、複数の各種ホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66を次々と隣接するごとく水平に配置し、各ホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66の周りに図8(A)(B)に例示するグリッパ32を所定のピッチで多数配置することにより構成される。
もちろん、これらのホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66は適宜追加削除が可能である。
隣り合うホイールは互いに反対方向に所定の周速度で回転し、各ホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66の外周でグリッパ32が各ホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66と同じ周速度で旋回する。
搬送手段の搬送路は、各種ホイール49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66を接続することにより円弧の連続となって延び、この円弧の連続線上を多数のボトル2が所定の間隔で走行する。すなわち、ボトル2は上流側のホイールのグリッパ32により把持されてホイールと共に旋回し、下流側のホイールに到達するとそのホイールのグリッパ32に掴み替えられ、以後下流側のホイールへと順次送られる。
上記搬送路に沿って、ボトル2を予備加熱する手段67と、予備加熱したボトル2内に過酸化水素のミストを導入し、ボトル2の内面を殺菌する手段68と、内面が殺菌されたボトル2内に熱風を吹き込んで、ボトル2を加熱するとともに、ボトル2外にミストを排出する手段69と、ミストが排出されたボトル2内に無菌水の蒸気を導入する過酸化水素抽出手段70と、蒸気を導入したボトル2内を洗浄液で洗浄し過酸化水素をボトル2外に排出する過酸化水素排出手段71と、洗浄後に無菌の熱風をボトル2内に吹き込みボトル2内から水滴を除去するエアブロー手段72とが順に配置される。また、ボトル2の外面を過酸化水素のミストで殺菌する外面殺菌手段74も上記搬送路に沿って設けられる。この実施の形態では外面殺菌手段74は上記予備加熱手段67と同じ箇所に設けられる。
予備加熱手段67と外面殺菌手段74は第一のホイール52の外周に沿うように配置され、この第一のホイール52に接する第二のホイール53の外周に沿うようにボトル内面殺菌手段68が配置される。両ホイール52,53の回りは内部が陽圧の無菌空気で満たされた無菌チャンバー73で囲まれる。
予備加熱手段67等が設けられる第一のホイール52の上流側には複数個の導入ホイール49,50,51の列が接続され、最上流の導入ホイール49にはスクリュー75が接続される。これら導入ホイール49,50,51及びスクリュー75も無菌チャンバー76で囲まれる。図示しないブロー成形機等で成形されたボトル2がスクリュー75により一定ピッチで無菌チャンバー76内に導入されると、ボトル2は最上流の導入ホイール49のグリッパ32(図7(A)(B)参照)により口部2aを把持され、順次下流側の導入ホイール50,51のグリッパ32を経て第一のホイール52のグリッパ32に受け渡される。
予備加熱手段67は、第一のホイール52の外周に沿って湾曲する熱風供給箱77を有する。この熱風供給箱77には図示しないがブロア、HEPAフィルタ及び電熱器が接続される。ブロアから引き込まれた空気がHEPAフィルタで浄化され、電熱器で所定温度まで加熱され、熱風となって熱風供給箱77内に送られる。図示しないが、第一のホイール52の旋回軸にはボトル2の口部2aを掴むグリッパ32のほか熱風を分配するための図示しないマニホルドが旋回可能に取り付けられ、第一のホイール52と一体で旋回するようになっている。また、各グリッパ32の上方に図示しないノズルが上下方向にスライド可能に、かつ第一のホイール52と共に旋回可能に配置される。ノズルのスライド動作は、図示しないエアシリンダ装置又は第一のホイール52の旋回軸を取り巻くように配置される円筒カムにより行うことができる。各ノズルにはマニホルドから伸びるフレキシブルホース製の分岐管が接続される。
熱風供給箱77内の熱風は第一のホイール52の旋回軸の中空部を通ってマニホルド、分岐管を経てノズルに至る。第一のホイール52へとボトル2が導入されると、ボトル2と共に走行するノズルが降下しボトル2内に侵入して熱風を吹き込む。熱風はボトル2全体を予備加熱する。熱風の吹き込みは第一のホイール52が第二のホイール53に接する箇所までの間において行われる。この箇所にボトル2が接近すると、ノズルがボトル2外へと上昇し熱風の吹き込みを止める。
予備加熱手段67は、ボトル2の口部2aをボトル2の胴体とは別に加熱する口部加熱手段を必要に応じて備える。この口部加熱手段は、図示しないがノズルの外周に取り付けられる傘状の案内体であり、ノズルがボトル2内に挿入されると同時にこの案内体がボトル2の口部2aの口縁を覆う。ノズルの先端からボトル2内に吹き込まれた熱風はボトル2内を巡った後口部2aから吹き出し、案内体に案内されつつ口部2aの外周に接触し口部2aを外側から加熱する。
外面殺菌手段74は、ミスト生成装置78と、ボトル2の搬送路を所定長さで覆うトンネル状の囲い79とを有する。ミスト生成装置78は公知のものであるからその詳細な説明は省略する。
トンネル状の囲い79は、第一のホイール52が上記最下流の導入ホイール51に接する箇所から第二のホイール53に接する箇所へと円弧状に延びている。囲い79内をグリッパ32により把持されたボトル2とノズルとが通過する。ノズルから吹き出た過酸化水素のミストは囲い79内に充満し、囲い79内を通過するボトル2の外面の全面に皮膜となってムラなく付着する。ミストはボトル2の外面に付着して凝結し高濃度の過酸化水素となってボトル2の外面を適正に殺菌する。
ボトル内面殺菌手段68は第二のホイール53が上記第一のホイール52と接する箇所から第三のホイール54に接する箇所に至るまでの搬送路上に設けられる。第二のホイール53の外周におけるグリッパ32の真上に位置するようにボトル内面殺菌手段68の図示しない基台が設置される。基台には上記ミスト生成装置78と同様なミスト生成装置がグリッパ32のピッチと同じピッチの間隔で複数台取り付けられ、各ミスト生成装置のノズルがグリッパ32に保持されたボトル2の口部2aに対向する。各ミスト生成装置で生成された過酸化水素のミストは、各ノズルの下方を走行するボトル2内に口部2aから吹き込まれ、ボトル2の内面の全面にムラなく付着する。ミストはボトル2の内面に付着して凝結し、高濃度の過酸化水素となってボトル2の内面を速やかに殺菌する。
ミスト排出手段69は、第三のホイール54が上記第二のホイール53と接する箇所から第四のホイール55に接する箇所に至るまでの搬送路上に設けられる。第三のホイール54の回りと第四のホイール55の回りは、それぞれ内部が陽圧の無菌空気で満たされた無菌チャンバー80,81で囲まれる。
ミスト排出手段69は、第三のホイール54の各グリッパ32の真上でグリッパ32と共に旋回する図示しないノズルを備える。ノズルは上記ボトル内面殺菌手段68と同様な機構によって上下動可能であり、また、上記ボトル内面殺菌手段68と同様にして加熱した無菌空気である熱風を供給される。ノズルは上記ボトル内面殺菌手段68によりミストが吹き込まれたボトルがグリッパ32に掴まれた状態で到来すると、ボトル2内に侵入して熱風を吹き込む。熱風はボトル2の全体を加熱するとともに、ボトル2外にミストを排出する。熱風の吹き込みは第三のホイール54が第四のホイール55に接する箇所までの間において行われる。第四のホイール55に接する箇所にボトル2が接近すると、ノズルがボトル2外へと上昇し熱風の吹き込みを止める。
上記ボトル内面殺菌手段68によりミストを吹き込まれたボトル2は、このミスト排出手段69に至るまでの搬送路上において内部がミストで充満した状態に一定時間保持されるが、この一定時間内にボトル2の内面に付着し凝結した高濃度の過酸化水素がボトル2の内面をより効果的に殺菌する。
このように高濃度の過酸化水素が、ボトル2の内面と、上述したようにボトル2の外面とに付着することから、ボトルの内外面が滅菌処理され、実施の形態2において残留した細菌の芽胞菌までも殺菌されることになる。
第四のホイール55は、例えば殺菌装置の始動当初に生じる殺菌不良のボトル2を回収するために設けられる。殺菌不良のボトル2の到来を知らせる信号が図示しない制御部から発せられると、第三のホイール54のグリッパ32から第四のホイール55のグリッパ32がボトル2を受け取って搬送路外に排出する。正常に殺菌されたボトル2は第三のホイール54の搬送路から第四のホイール55を素通りして次の第五のホイール56における搬送路へと向う。
過酸化水素抽出手段70は、第五のホイール56が上記第三のホイール54と接する箇所から第六のホイール57に接する箇所に至るまでの搬送路上に設けられる。第五のホイール56及び第六のホイール57の回りは、第六のホイール57に接する第七のホイール58の周りと共に、内部が陽圧の無菌空気で満たされた無菌チャンバー82で囲まれる。
過酸化水素抽出手段70は、この第五のホイール56の各グリッパ32の真上にグリッパ32と共に旋回する図示しないノズルを備える。各ノズルは各グリッパ32の真上に固定される。もちろん、ノズルは上記ボトル内面殺菌手段68と同様な機構によって上下動させボトル2内に出入り可能としてもよい。
過酸化水素抽出手段70は無菌水の蒸気を発生させるための図示しない蒸気発生装置を備える。蒸気発生装置は、例えば上記ミスト生成装置と略同様な構造であり、二流体スプレーと、この二流体スプレーから供給された水の噴霧を加熱して気化させる気化部とを備える。気化部で気化した水のガスは無菌の熱風によって高温の水蒸気となってノズルへと流れ、ノズルからボトル2内に吹き込まれる。
ボトル2内に吹き込まれた蒸気はボトル2全体を加熱するとともに、ボトル2内面に接触して凝結し、ボトル2の内面に無菌水の皮膜となって付着する。この皮膜がボトル2の内面に残留した過酸化水素を吸着する。この無菌水の皮膜により、過酸化水素のボトル2の壁への浸透が抑止され、また、すでにボトル2の壁に浸透した過酸化水素の粒子が無菌水の皮膜内に抽出される。
蒸気の吹き込みは第五のホイール56が第六のホイール57に接する箇所までの間において行われる。第六のホイール57に接する箇所にボトル2が接近すると、蒸気の吹き込みが停止される。蒸気発生装置は、必要に応じて設けられる。
過酸化水素排出手段71は、第六のホイール57が上記第五のホイール56に接する箇所から第七のホイール58に接する箇所に至るまでの搬送路上に設けられる。
この第六のホイール57の外周にも上記グリッパ32と同様なグリッパ32が所定のピッチで配置されるが、これらのグリッパ32は図示しない水平枢軸を介して第六のホイール57側に支持される。また、図示しないが第六のホイール57の旋回軸を中心にして円弧状に湾曲するカムに各グリッパ32が接触するようになっている。第六のホイール57の旋回によりグリッパ32が第五のホイール56との接点からボトル2を受け取って進行すると、カムの案内により上下反転し、従って、ボトル2も上下反転してその口部2aが下向きとなる。
過酸化水素排出手段71は、各グリッパ32の真下にグリッパ32と共に旋回運動する図示しないノズルを備える。各ノズルは各グリッパ32の真上において上記予備加熱手段67と同様な機構によって上下動しボトル2内に出入り可能である。また、過酸化水素排出手段71は上記予備加熱手段67と同様な機構によって無菌水である洗浄液をマニホルド、中空管等からノズルに供給するようになっている。無菌水は常温でもよいが洗浄効果を高めるため望ましくは所定の温度まで予め加熱される。ノズルから吹き出た洗浄液はボトル2内に流入した後、口部2aから流れ出る。
グリッパ32により逆さまに保持されたボトル2が到来すると、ノズルがボトル2内に侵入し洗浄液を噴出する。ボトル2内に噴出した洗浄液はボトル2の内面から殺菌に使用された過酸化水素を無菌水の皮膜ごと洗い流し、ボトル2の下方に流れ落ちる。洗浄液の注入は第六のホイール57が第七のホイール58に接する箇所の手前までの間において行われる。この第七のホイール58の手前の箇所にボトル2が接近すると、洗浄液の注入が停止される。ボトル2内には過酸化水素抽出手段70によって形成された蒸気の皮膜により過酸化水素が抽出されているので、この過酸化水素抽出手段70による洗浄は簡潔に行われ、従って短時間で過酸化水素の容器外排出が行われ、また、洗浄のための無菌水の使用量は低減する。
エアブロー手段72は、第六のホイール57における搬送路上において、上記過酸化水素のボトル外排出が終了した箇所から第六のホイール57が第七のホイール58に接する箇所までの間に配置される。エアブロー手段72は、第六のホイール57のグリッパ32により下向きに保持されたボトル2内に無菌空気からなる熱風を吹き込むための図示しないノズルを備える。これらのノズルは上記過酸化水素抽出手段70のノズルと同様にグリッパ32に固定される。
各ノズルには上記予備加熱手段67と同様にマニホルド等を介して無菌空気の熱風が供給される。無菌空気は必要に応じて常温で使用される。ノズルは上記過酸化水素排出が終了したボトル2がグリッパ32に掴まれた状態で到来すると、ボトル2の口部2aからボトル2内に熱風を吹き込む。熱風はボトル2全体を加熱するとともに、ボトル2内面に付着した無菌水を吹き飛ばし、さらに必要であれば乾燥させる。これにより、過酸化水素の除去が促進される。熱風の吹き込みは第六のホイール57が第七のホイール58に接する手前の箇所までの間において行われる。第七のホイール58に接する箇所にボトル2が接近すると、グリッパ32がカムに接することにより元の正立状態に復帰し、第七のホイール58のグリッパ32に把持される。
上記過酸化水素の容器外排出等が行われる無菌チャンバー82に接して、無菌処理されたボトル2内への内容物の充填が行われる無菌チャンバー83が設けられる。この無菌チャンバー83内には上記第七のホイール58に連結される各種ホイール59,60,61の列が配置され、所定のホイール61に接するように充填機84が設置される。ボトル2は各種ホイール59,60,61のグリッパ32に把持されて搬送されつつ充填機84で内容物を充填された後、次の無菌チャンバー85内に移動する。
次の無菌チャンバー85内には、各種ホイール62,63,64,65,66の列が配置され、所定のホイール63に対して打栓機であるキャッパー86が設置される。内容物が充填されたボトル2がこの無菌チャンバー85内に搬入されると、ホイール63においてグリッパ32に把持されたボトル2の口部2aにキャッパー86によりキャップ3(図1参照)が施される。
このキャッパー86は実施の形態2におけるキャッパー8と同様な構造を有するもので、図12中V、VI、VIIの各位置において、図5、図6、図7に示したように動作する。
すなわち、キャッピングホルダ4が図12中、位置Vへと来た時は、図5に示すように、キャッピングホルダ4の嵌合部4aとこれに嵌り込んだキャップ3がフード30下に露出した状態でボトル2の口部2aに対峙する。この段階で窒素ガスMが窒素ガス注入口47からフード30内に供給され、フード30内が窒素ガスMで満たされる。
次に、キャッピングホルダ4が図12中、位置Vから位置VIへと移動する際、図5中、ピストンロッド46aの矢印u方向への伸動作によって下筒30bは上筒30aの回りから下降し、図6に示すように、ボトル2の口部2aとこれに対向するキャップ3の双方を覆う。窒素ガスMはフード30内に注入され続け、フード30内、ボトル2のヘッドスペースb内及びキャップ3内に流入し、それらの中から酸素を排除し、フード30外に押し出す。また、その際ボトル2は高速で走行しているが、フード30によりボトル2の口部2aの回りは覆われているので、窒素ガスMがヘッドスペースbから吸い出されることはない。
また、図6に示すように、ボトル2が走行する間、グリッパ32がボトル2の口部2aを把持し、これに伴ってシャッター31が閉じ、フード30の下端の開口が外界から遮断される。従って、フード30内への外気の巻き込みが防止され、フード30内、ヘッドスペースb内及びキャップ3内から酸素が更に効率良く排除されることとなる。
キャッピングホルダ4が、図12中、位置VIから位置VIIへと移動する際は、図6中、キャッピングホルダ4が矢印v方向に下降しつつ矢印w方向に回転し、図7に示すように、キャップ3をボトル2の口部2aに巻締める。この最中も窒素ガスMがフード30内を流れ、フード30内への外気の侵入を阻止する。かくて、ボトル2のヘッドスペースb内の酸素は最大で略100%程度まで窒素ガスMで置換される。
キャップ3で閉じられたボトル2はリジェクト用のホイール65を経由して搬出用のホイール66から無菌チャンバー85外に搬出され出荷される。一方、充填、キャッピング等に支障のあるボトル2はリジェクト用のホイール65から別経路で無菌チャンバー85外に搬出され回収される。
以上のように、実施の形態4の装置によれば、ボトル2内の細菌の芽胞を含めた微生物を滅菌することができるので、ボトル2内の飲料aの腐敗を防止し、飲料aを長期間にわたり正常に保存することができる。また、ボトル2のヘッドスペースb(図1参照)内の酸素は、高置換率で窒素ガスMにより置換されているので、飲料aの酸化が解消又は低減し飲料aの長期保存が可能となる。
<実施の形態5>
図13乃至図15に示すように、この実施の形態5では、実施の形態3、4のキャッパーとは異なる構造のキャッパーが使用される。
このキャッパーは、図13に示すように、飲料aが充填されたボトル2の口部2aにキャップ3を対峙させて被せるためのキャッピングホルダ4を有する。キャッピングホルダ4は、実施の形態2、3で用いられるものと同様な構造を有するもので、図4中、第八のホイール18または図12中ホイール63の回りに多数配置される。各キャッピングホルダ4は、第八のホイール18又はホイール63の回転に伴い、ボトル2を把持したグリッパ32(図8(A)(B)参照)と同期的に移動し、キャップ3をボトル2の口部2aに対向させる。
キャッピングホルダ4は、キャップ3を嵌合保持する嵌合部4aと、嵌合部4aを支持し垂直方向に伸びるロッド4bとを具備する。ロッド4bは上記第八のホイール18またはホイール63の上方に配置された図示しない端面カム等による案内によって上下往復運動を行い、また図示しないモータにより回転運動を行うようになっている。ロッド4bが上下往復運動を行うことによって、所定の場所で嵌合部4aによってキャップ3を把持し、他の所定の場所でキャップ3をボトル2の口部2aにあてがい、また、ロッド4bが回転運動を行うことによって、図15に示すように、キャップ3をボトル2の口部2aに巻締める。
また、このキャッパーには、ボトル2の口部2aとこれに対向するキャップ3の双方を覆うフード87と、キャップ3をボトル2の口部2aに被せる前から被せ終わるまで不活性ガスである窒素ガスMをフード87内に吹き込む窒素ガス供給手段とが設けられる。
図13乃至図15に示すように、フード87は上記ロッド4bに上下方向にスライド自在に取り付けられる。すなわち、フード87には上下方向に伸びるロッド88が連結され、このロッド88が上記第八のホイール18(図4参照)またはホイール63(図12参照)の上方に配置された図示しない端面カム等による案内によって上下往復運動を行うようになっている。
このフード87は、円筒形の筒体87aと、筒体87aの上端に固定される上端板87bと、筒体87aの下端に固定される穴明き板87cとを具備する。
上端板87bの中心をロッド4bが上下に貫通し、上端板87bがロッド4bに接する箇所には、軸受であるブッシュ87dが設けられる。これにより、フード87とロッド4bとは上下方向での相対的なスライドが可能である。
穴明き板87cは、その中心に円形の穴89を有し、図13乃至図15に示すように、この穴89をキャッピングホルダ4やボトル2の口部2aが通るようになっている。図14に示すように、この穴明き板87cの穴89にボトル2の口部2aが通されることにより、フード87の底が僅少開状態で閉じられる。すなわち、穴明き板87cの穴89の縁とボトル2の口部2aの外面との間の隙間が小さくなった状態でフード87の底が閉じられる。このように、この穴明き板87cによれば、フード87の底を簡易に僅少開状態で閉じることができ、穴明き板87cの穴89の縁とボトル2の口部2aの外面との間の隙間を一層低減することができる。その結果、次に述べる窒素ガス供給手段によって供給される窒素ガスMがフード87内に充満しやすくなり、また、外気がフード87内に侵入し難くなり、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスMによる置換効率が更に向上する。
窒素ガス供給手段は、窒素ガス注入口47,48をフード87の筒体87aに備える。フード87はボトル2と共に高速で旋回運動するが、窒素ガス注入口47,48と図示しない窒素ガス供給源との間に設けられる図示しないロータリジョイントを介して窒素ガスMは窒素ガス注入口47,48へと円滑に供給される。ことに、下側の窒素ガス注入口48は、図14に示すように、フード87がボトル2の口部2aに被さった状態でボトル2の口部2aの開口を横断する方向を向いており、そこからフード30内に流入した窒素ガスNはボトル2の口部2aの開口を掠めるように高速で流れる。そのため、ヘッドスペースb内から空気が吸い出されやすくなり、ヘッドスペースb内の酸素が窒素ガスMで置換されやすくなる。
次に、このキャッパーの作用について述べる。
キャッピングホルダ4が図4又は図12中、位置Vへと来た時は、図13に示すように、フード87は上昇しており、キャッピングホルダ4の嵌合部4aとこれに嵌り込んだキャップ3がフード87下に露出した状態でボトル2の口部2aに対峙する。この段階で予め加熱された窒素ガスMが窒素ガス注入口47,48からフード87内に供給され、フード87内が窒素ガスMで満たされる。
次に、キャッピングホルダ4が図4又は図12中、位置Vから位置VIへと移動する際に図13中矢印u方向にロッド88がフード87を伴って下降し、図14に示すように、フード87はロッド4bに沿って下方にスライドし、ボトル2の口部2aとこれに対向するキャップ3の双方を覆う。フード87はその下端の穴明き板87cがグリッパ32に接する程度まで降下する。
ボトル2の口部2aは、穴明き板87cの穴89をフード87内に貫通し、フード87の底は僅少開状態で閉じられる。すなわち、穴明き板87cの穴89の縁とボトル2の口部2aの外面との間に小さい隙間が形成された状態でフード87の底が閉じられる。これにより、窒素ガス注入口47,48から供給される窒素ガスMがフード87内に充満しやすくなり、また、外気がフード87内に侵入し難くなり、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスによる置換効率が更に向上する。
図14に示すように、窒素ガスMはフード87内に注入され続け、フード87内、ボトル2のヘッドスペースb内及びキャップ3内に流入し、それらの中から酸素を排除し、フード87外に押し出す。フード87内では、下側の窒素ガス注入口48から流入した窒素ガスMがボトル2の口部2aの開口を掠めるように高速で流れ、そのため、ヘッドスペースb内から空気が吸い出されやすくなり、ヘッドスペースb内の酸素の窒素ガスMによる置換効率が向上する。
また、図14の工程において、ボトル2は高速で走行しているが、フード87によりボトル2の口部2aの回りは覆われているので、窒素ガスMがヘッドスペースbから吸い出されることはない。
キャッピングホルダ4が図4又は図12中、位置VIから位置VIIへと移動する際に図14中矢印v方向にロッド4bがキャップ3を伴って下降し、また、ロッド4bが矢印w方向にキャップ3を回転させる。その結果、図15に示すように、フード87内でボトル2の口部2aがキャップ3で閉じられる。この最中も窒素ガスMがフード87内を流れ、フード87内への外気の侵入を阻止する。かくて、ボトル2のヘッドスペースb内の酸素は最大で略100%程度まで窒素ガスMで置換される。
かくてキャッパーにより口部2aをキャップ3で閉じられたボトル2は、充填装置外に包装体1として搬出され出荷される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、容器としてボトルを使用したが、本発明はボトル以外の形態、例えばカップ状の容器、パウチ、スパウト付きパウチ等の容器についても適用可能である。プラスチック製の容器以外の例えばガラス製、金属製の容器についても適用可能である。不活性ガスは窒素ガス以外のガスを用いることも可能である。また、充填する内容物を飲料である煎茶としたが、それ以外の抹茶、紅茶、ウーロン茶等の茶飲料、ジュース、機能性飲料、酸化劣化の著しい飲料、飲料以外の内容物の充填にも適用可能である。さらに、本発明においては上記殺菌方法以外の他の殺菌方法を利用して容器を殺菌することも可能である。