JP6788848B2 - キャップ殺菌装置、内容物充填システム、キャップ殺菌方法および内容物充填方法 - Google Patents

キャップ殺菌装置、内容物充填システム、キャップ殺菌方法および内容物充填方法 Download PDF

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Description

本発明は、キャップ殺菌装置、内容物充填システム、キャップ殺菌方法および内容物充填方法に関する。
殺菌された容器(PETボトル)に殺菌された内容物を無菌環境下で充填し、その後容器をキャップによって閉栓する無菌充填システム(アセプティック充填システム)が知られている。具体的には、無菌充填システムにおいて、成形した容器を無菌充填システムに供給し、無菌充填システム内で、容器に殺菌剤としての過酸化水素水溶液をスプレーする。その後これを乾燥して容器を殺菌し、次いで、容器に内容物を無菌充填する。他の方法としては、容器成形時に容器の内面に少量の殺菌剤を滴下し、口部を密封して気化した殺菌剤(過酸化水素)の蒸気によって容器の内面を殺菌し、この殺菌された容器を無菌充填システムに供給して、無菌充填システム内で容器の外面を殺菌した後、口部を開封して内容物を無菌充填する方法も存在する。
このような無菌充填システムで容器に内容物を充填し、キャップで巻締めを行って製品を製造するにあたっては、容器のみならずキャップの殺菌を行うことも必要となる。このようなキャップの殺菌を行うキャップ殺菌装置としては、例えば特許文献1乃至3に記載されたものが知られている。
しかしながら、従来のキャップ殺菌装置においては、キャップの搬送速度を高速化することが難しいという問題がある。仮に従来のキャップ殺菌装置でキャップの搬送速度を高速化すると、キャップ外面の殺菌効果が低下するおそれがある。また、キャップの搬送速度を高速化しようとすると、装置が大型化し、設備投資コストが上昇したり、殺菌に要する薬剤、熱エネルギー又は洗浄水のコストが増大したりする問題がある。さらに、近年、軽量キャップや炭酸キャップ等、多様なキャップが無菌充填システムで用いられるようになっており、短時間で滅菌することのほか、キャップの巻締め角度やトルクを規定の範囲に抑えること等が求められている。
特開平6−293319号公報 特開2011−11811号公報 特開2012−500759号公報
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、キャップの搬送速度を高速化することが可能な、キャップ殺菌装置、内容物充填システム、キャップ殺菌方法および内容物充填方法を提供することを目的とする。
本発明は、キャップ殺菌装置であって、キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップに対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧ホイールと、前記殺菌剤噴霧ホイールで殺菌剤が噴霧された前記キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップをエアリンスするエアリンスホイールとを備えたことを特徴とするキャップ殺菌装置である。
本発明は、前記殺菌剤噴霧ホイールは、前記キャップを回転しながら搬送する回転機構と、前記回転機構によって回転搬送される前記キャップに対して殺菌剤を吹き付ける噴霧ノズルとを有することを特徴とするキャップ殺菌装置である。
本発明は、前記殺菌剤噴霧ホイールは、殺菌剤を供給する供給スプレーと、前記供給スプレーからの前記殺菌剤を加熱するヒーターとを更に有し、前記ヒーターで加熱された前記殺菌剤が、前記噴霧ノズルに供給されることを特徴とするキャップ殺菌装置である。
本発明は、内容物充填システムであって、ボトルを殺菌するボトル殺菌装置と、前記ボトルに内容物を充填する充填装置と、前記キャップ殺菌装置と、前記キャップ殺菌装置から受け渡された前記キャップを、前記充填装置で内容物が充填された前記ボトルの口部に装着するキャップ装着装置とを備えたことを特徴とする内容物充填システムである。
本発明は、前記キャップ殺菌装置及び前記キャップ装着装置は、ともに無菌チャンバ内に配置されていることを特徴とする内容物充填システムである。
本発明は、前記ボトル殺菌装置、前記充填装置、前記キャップ殺菌装置及びキャップ装着装置は、ホイールによって互いに連結され、かつ無菌チャンバ内に配置されていることを特徴とする内容物充填システムである。
本発明は、キャップ殺菌方法であって、殺菌剤噴霧ホイールによって、キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップに対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧工程と、エアリンスホイールによって、殺菌剤が噴霧された前記キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップをエアリンスするエアリンス工程とを備えたことを特徴とするキャップ殺菌方法である。
本発明は、内容物充填方法であって、ボトル殺菌装置によって、ボトルに対して殺菌処理を行うボトル殺菌工程と、充填装置によって、前記ボトルに内容物を充填する充填工程と、キャップ殺菌装置の殺菌剤噴霧ホイールによって、キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップに対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧工程と、前記キャップ殺菌装置のエアリンスホイールによって、殺菌剤が噴霧された前記キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップをエアリンスするエアリンス工程と、キャップ装着装置によって、殺菌された前記キャップを前記ボトルの口部に装着するキャップ装着工程とを備えたことを特徴とする内容物充填方法である。
本発明は、前記ボトル殺菌装置、前記充填装置、前記キャップ殺菌装置及びキャップ装着装置は、ホイールによって互いに連結され、かつ無菌チャンバ内に配置されていることを特徴とする内容物充填方法である。
本発明によれば、キャップの搬送速度を高速化することができる。また、キャップ殺菌装置が無菌チャンバ内にあるため、キャップ滅菌用の専用の無菌チャンバーを設ける必要が生じない。
図1は、本発明の一実施の形態による内容物充填システムを示す概略平面図。 図2は、本発明の一実施の形態によるキャップ殺菌装置の殺菌剤噴霧ホイールを示す概略断面図(図1のII−II線断面図)。 図3は、本発明の一実施の形態によるキャップ殺菌装置のエアリンスホイールを示す概略断面図(図1のIII−III線断面図)。 図4は、本実施の形態の変形例(変形例1)による内容物充填システムを示す概略平面図。 図5は、本実施の形態の変形例(変形例2)による内容物充填システムを示す概略平面図。
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。図1乃至図3は本発明の一実施の形態を示す図である。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
(内容物充填システム)
まず図1により本実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム、アセプティック充填システム)について説明する。
図1に示す内容物充填システム10は、ボトル(容器)30に対して飲料等の内容物を充填するシステムである。ボトル30は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。ボトル30の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、容器としては、ガラス、缶、紙、パウチ、またはこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、容器としてボトルを用いる場合を例にとって説明する。
図1に示すように、内容物充填システム10は、ボトル供給部21と、殺菌装置(ボトル殺菌装置)11と、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15と、充填装置(フィラー)20と、キャップ装着装置(キャッパー、巻締及び打栓機)16と、製品ボトル搬出部22とを備えている。これらボトル供給部21、殺菌装置11、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ装着装置16、および製品ボトル搬出部22は、ボトル30の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、殺菌装置11、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15、充填装置20、およびキャップ装着装置16の間には、これらの装置間でボトル30を搬送する複数の搬送ホイール12が設けられている。
ボトル供給部21は、外部から内容物充填システム10へ空のボトル30を順次受け入れ、受け入れたボトル30を殺菌装置11へ向けて搬送するものである。
なお、ボトル供給部21の上流側に、プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによりボトル30の成形を行うボトル成形部(図示せず)が設けられていても良い。このように、プリフォームの供給からボトル30の成形を経て、ボトル30への内容物の充填および閉栓に至る工程を連続して行っても良い。この場合、外部から内容物充填システム10まで、容積の大きいボトル30の形態ではなく容積の小さいプリフォームの形態で運搬することができるので、内容物充填システム10を構成する設備をコンパクトにすることができる。
殺菌装置11は、殺菌剤をボトル30に噴射することにより、ボトル30内を殺菌するものである。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液が用いられる。殺菌装置11においては、1重量%以上、好ましくは35重量%の濃度の過酸化水素水溶液を一旦気化させた後に凝縮したミスト又はガスが生成され、このミスト又はガスがボトル30の内外面に噴霧される。このようにボトル30内が過酸化水素水溶液のミスト又はガスで殺菌されるので、ボトル30の内面がムラなく殺菌される。
エアリンス装置14は、ボトル30に無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル30内から異物、過酸化水素等を除去するものである。
無菌水リンス装置15は、殺菌剤である過酸化水素により殺菌されたボトル30に対して、無菌の15℃以上85℃以下の水による洗浄を行うものである。これによりボトル30に付着した過酸化水素を洗い流し、且つ異物が除去される。
充填装置20は、ボトル30の口部からボトル30内へ、予め殺菌処理された内容物を充填するものである。この充填装置20において、空の状態のボトル30に対して内容物が充填される。この充填装置20において、複数のボトル30が回転(公転)されながら、ボトル30の内部へ内容物が充填される。この内容物は常温でボトル30内に充填されても良い。内容物は予め加熱等により殺菌処理され、3℃以上かつ40℃以下の常温まで冷まされた上でボトル30内に充填される。なお、充填装置20で充填される内容物としては、例えば茶系飲料、ミルク系飲料等の飲料が挙げられる。
キャップ装着装置16は、充填装置20で内容物が充填されたボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、ボトル30を閉栓するものである。キャップ装着装置16において、ボトル30の口部はキャップ33により閉じられ、ボトル30内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル30が回転(公転)しながらその口部にキャップ33が装着される。このようにして、ボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、製品ボトル35が得られる。
キャップ33は、予めキャップ殺菌装置50によって殺菌される。キャップ殺菌装置50は、例えば無菌チャンバ13(後述)の内側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置50において、無菌チャンバ13の外方から搬入されたキャップ33は、キャップ装着装置16に向かって順番に搬送される。キャップ33がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のミスト又はガスがキャップ33の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。なお、このようなキャップ殺菌装置50の構成については後述する。
製品ボトル搬出部22は、キャップ装着装置16でキャップ33を装着された製品ボトル35を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出するものである。
殺菌装置11、エアリンス装置14、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ装着装置16及びキャップ殺菌装置50は、それぞれホイールを有している。そしてこれらの殺菌装置11、エアリンス装置14、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ装着装置16及びキャップ殺菌装置50は、ホイール(搬送ホイール12と、殺菌装置11、エアリンス装置14、無菌水リンス装置15、充填装置20及びキャップ装着装置16の各ホイールと、キャップ殺菌装置50の殺菌剤噴霧ホイール41及びエアリンスホイール42と)によって互いに連結されている。
なお、内容物充填システム10は、無菌チャンバ13を有している。無菌チャンバ13の内部に、上述した殺菌装置11、エアリンス装置14、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ装着装置16、およびキャップ殺菌装置50が収容されている。このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、無菌チャンバ13の内部が無菌状態に保持されている。
さらに無菌チャンバ13は、ボトル殺菌チャンバー13aと、充填・巻締チャンバー13bとに区画されている。ボトル殺菌チャンバー13aと充填・巻締チャンバー13bとの間にはチャンバー壁13cが設けられ、チャンバー壁13cを介してボトル殺菌チャンバー13aと充填・巻締チャンバー13bとが互いに隣接している。ボトル殺菌チャンバー13aの内部には、殺菌装置11とエアリンス装置14と無菌水リンス装置15とが配置されている。充填・巻締チャンバー13bの内部には、充填装置20とキャップ装着装置16とキャップ殺菌装置50とが配置されている。ここでは、ボトル殺菌チャンバー13aと、充填・巻締チャンバー13bおよびキャップ滅菌用チャンバ47(後述)との間にチャンバー壁13cを設けたが、各ホイール毎にチャンバー壁を設けても良い。
あるいは、内容物充填システム10は、85℃以上かつ100℃未満の高温下で内容物を充填する高温充填システムであっても良い。また、55℃以上かつ85℃未満の中温下で内容物を充填する中温充填システムであっても良い。
(キャップ殺菌装置)
次に、図1乃至図3により、上述したキャップ殺菌装置50の構成、およびキャップ33をキャップ殺菌装置50に搬送するための機構について説明する。
図1に示すように、キャップ殺菌装置50は、殺菌剤噴霧ホイール41と、エアリンスホイール42とを備えている。これら、殺菌剤噴霧ホイール41及びエアリンスホイール42は、キャップ33の搬送方向に沿ってこの順番に配置されている。図1では、殺菌剤噴霧ホイール41とエアリンスホイール42をそれぞれ1つずつのホイールで構成したが、これに限らず、殺菌剤噴霧ホイール41及び/又はエアリンスホイール42のホイール数は複数であっても良い。
殺菌剤噴霧ホイール41の前工程側であって、無菌チャンバ13の外部には、ホッパー56、ソーター57、キャップ検査機58がそれぞれ設けられている。このうちホッパー56には、外部から多数のキャップ33が無作為に投入される。ソーター57は、ホッパー56に無作為に投入されたキャップ33を一列又は多列に並べ、鉛直方向下方から上方に向けて搬送する。キャップ検査機58は、各キャップ33の形状等を検査するとともに、検査で不合格となったキャップ33を排出する。検査に合格したキャップ33は、無菌チャンバ13の内部に配置されたキャップ殺菌装置50に向けて一列になって搬送される。
キャップ33は、公知のものであって、内面側に開口を有する平面略円形のものが用いられる。なお、キャップ33としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、生分解性プラスチック等の熱可塑性樹脂製のものを用いることができる。またキャップ33としては、通常のボトルキャップのほか、複合キャップやスポーツキャップを用いても良い。
キャップ検査機58とキャップ殺菌装置50との間には、複数のキャップ33を一列に搬送する搬送ガイド70が設けられている。搬送ガイド70は、例えば複数本のレールを含んでいても良い。この場合、複数本のレールで囲まれた領域に、キャップ33が脱落しない程度の空間が形成され、この空間にキャップ33が収容されて搬送する。なお、キャップ33は、自重でキャップ検査機58側からキャップ殺菌装置50に向けて移送される。このような搬送ガイド70を設けたことにより、キャップ検査機58からキャップ殺菌装置50へ向けて高速でキャップ33を搬送することができる。搬送ガイド70には、開閉自在のストッパ49が設けられている。このストッパ49を開放した場合、キャップ33が搬送ガイド70を介してキャップ装着装置16に送られる。一方、ストッパ49を閉鎖した場合、キャップ33がこの位置に滞留するようになっている。搬送ガイド70としてコンプレッサーエアやコンベアを用いて(あるいはこれらを併用し)、キャップ33を高速で搬送してもよい。
殺菌剤噴霧ホイール41は、キャップ33を回転(公転)しながら搬送するとともに、搬送されているキャップ33に対して殺菌剤を噴霧するものである。この殺菌剤噴霧ホイール41は、エアリンスホイール42に隣接して配置されている。なお、殺菌剤噴霧ホイール41とエアリンスホイール42の順番はそのままで、これらの中間に殺菌剤を付着させたまま滞留させるホイール(図示せず)を設けても良い。
図2に示すように、殺菌剤噴霧ホイール41は、キャップ33を回転しながら搬送する第1回転機構43と、第1回転機構43によって回転搬送されるキャップ33に対して殺菌剤を吹き付ける噴霧ノズル81A、81Bとを有している。第1回転機構43は、鉛直方向に平行な軸に沿って回転(自転)し、これにより複数のキャップ33を回転(公転)搬送する。第1回転機構43は、それぞれ中央に位置するとともにキャップ33を収容する切欠が設けられたスターホイール43aと、スターホイール43aの周囲に配置されキャップ33の脱落を防止する複数本のレール43bとを有している。キャップ33は、スターホイール43aが駆動することによって搬送され、レール43bによって案内されて回転(公転)する。このような第1回転機構43を用いることにより、殺菌剤噴霧ホイール41内でキャップ33を高速で搬送することができる。
殺菌剤噴霧ホイール41によって供給される殺菌剤は、例えば過酸化水素水である。搬送ガイド70(図1参照)から送られたキャップ33は、スターホイール43aに受け渡され、スターホイール43aによって回転(公転)搬送されながら、噴霧ノズル81A、81Bによって殺菌剤が噴霧される。第1回転機構43の上部には、殺菌剤を供給する供給スプレー95と、供給スプレー95からの殺菌剤を加熱するヒーター96が設けられている。ヒーター96には、殺菌剤を分岐して供給する第1の供給管97A及び第2の供給管97Bが連結されている。このうち第1の供給管97Aは、キャップ33の外面(天面部)側に殺菌剤を供給する外面用の噴霧ノズル81Aに連結されている。また、第2の供給管97Bは、キャップ33の内面(開口部)側に殺菌剤を供給する内面用の噴霧ノズル81Bに連結されている。レール43bの上部であって噴霧ノズル81A、81Bの周囲には、例えば平面視略円弧状のトンネル48が配置されている。トンネル48は、噴霧ノズル81A、81Bの周囲を覆い、噴霧ノズル81A、81Bからの殺菌剤が周囲に飛散することを防止し、キャップ33に対して効果的に殺菌剤を噴霧することを可能にする。キャップ33を殺菌するために必要な過酸化水素の付着量は、35%重量換算で0.6μL/cm以上4.7μL/cm以下(好ましくは1.2μL/cm以上2.4μL/cm以下)である。この範囲であれば、キャップ33を高速で殺菌でき、後述のエアリンスで薬剤を確実に除去できる。
なお、殺菌剤としては、過酸化水素のほか、過酢酸、硝酸、塩素系殺菌剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を任意の割合で組み合わせて用いても良い。
図1を参照すると、エアリンスホイール42は、殺菌剤噴霧ホイール41で殺菌剤が噴霧されたキャップ33を回転(公転)しながら搬送するとともに、搬送されているキャップ33をエアリンスするものである。このエアリンスホイール42は、キャップ装着装置16に隣接して配置されている。
図3に示すように、エアリンスホイール42は、キャップ33を回転しながら搬送する第2回転機構44と、第2回転機構44によって回転搬送されるキャップ33に対して無菌ホットエアを吹き付けるエアリンスノズル94A、94Bとを有している。第2回転機構44は、鉛直方向に平行な軸に沿って回転(自転)し、これにより複数のキャップ33を回転(公転)搬送する。第2回転機構44は、それぞれ中央に位置するとともにキャップ33を収容する切欠が設けられたスターホイール44aと、スターホイール44aの周囲に配置されキャップ33の脱落を防止する複数本のレール44bとを有している。キャップ33は、スターホイール44aが駆動することによって搬送され、レール44bによって案内されて回転(公転)する。このような第2回転機構44を用いることにより、エアリンスホイール42内でキャップ33を高速で搬送することができる。
キャップ33は、エアリンスホイール42内で第2回転機構44によって順次搬送され、この間、キャップ33の内面及び外面に無菌ホットエアが吹き付けられる。エアリンスホイール42には、無菌チャンバ13の外部に位置するホットエア供給機80からの無菌ホットエアが送り込まれる。ホットエア供給機80には、無菌ホットエアを供給する第1のエア供給路98A及び第2のエア供給路98Bが連結されている。このうち第1のエア供給路98Aは、キャップ33の外面(天面部)側に無菌ホットエアを供給する外面用のエアリンスノズル94Aに連結されている。また、第2のエア供給路98Bは、キャップ33の内面(開口部)側に無菌ホットエアを供給する内面用のエアリンスノズル94Bに連結されている。エアリンスノズル94A、94Bは、エア供給路98A、98Bを介してホットエア供給機80から供給された無菌ホットエアを吹き出すようになっている。さらにレール44bの上部であってエアリンスノズル94A、94Bの周囲には、例えば平面視略円弧状のカバー99が配置されている。カバー99は、エアリンスノズル94A、94Bの周囲を覆い、エアリンスノズル94A、94Bからの無菌ホットエアによって吹き飛ばされた殺菌剤が周囲に飛散することを防止する。エアリンスノズル94A、94Bは、固定配管のものであっても良く、ロータリージョイントを用いてキャップ33に追従しながらホットエアをブローするものであっても良い。また殺菌剤噴霧ホイール41上の下流側の位置に追加のホットエアノズルを予備的に設けても良い。さらに、キャップ33の殺菌時間を短縮するために、殺菌剤噴霧ホイール41の上流側に図示しないプレヒート用のホイールを設けても良い。
無菌ホットエアの温度は、例えば80℃以上140℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下である。無菌ホットエアの風量は、例えば5m/分以上20m/分以下である。また、無菌ホットエアのブロー時間は、0.5秒以上20秒以下、好ましくは1秒以上14秒以下である。無菌ホットエアが吹き付けられることにより、キャップ33の温度が40℃以上、好ましくは50℃以上に高められる。これにより、キャップ33に付着した殺菌剤が除去される。なお、無菌ホットエアには、過酸化水素等、殺菌剤の成分が微量に含まれていても良い。このように、エアリンスホイール42で、エアリンスノズル94A、94Bからキャップ33に無菌ホットエアが吹き付けられる。これにより、殺菌剤噴霧ホイール41でキャップ33に付着した殺菌剤を確実に取り除くことができる。
このようにしてエアリンスホイール42で無菌ホットエアによって殺菌剤が除去されたキャップ33は、キャップ装着装置16に受け渡される。その後、キャップ装着装置16において、キャップ殺菌装置50から受け渡されたキャップ33をボトル30の口部に装着する。
なお、キャップ殺菌装置50の全体を通じて、キャップ33の搬送速度は、100cpm以上1500cpm以下であり、好ましくは、500cpm以上1000cpm以下である。本実施の形態によるキャップ殺菌装置50によれば、このように高速でキャップ33を搬送した場合であっても、キャップ33を確実に殺菌することができる。なお、cpm(cap per minute)とは、所定の位置を1分間あたりに通過するキャップ33の個数をいう。なお、例えばボトル30が大型(内容量1L以上)のボトルである場合等、ボトル30の充填速度が遅い場合には、この充填速度に合わせてキャップ33の搬送速度を上記速度よりも遅くしても良い。この場合、キャップ33の温度が上昇しないように、エアリンスホイール42におけるホットエアの供給条件(温度、流量等)を調整しても良い。
また、殺菌剤噴霧ホイール41、エアリンスホイール42は未滅菌(滅菌途中)のキャップ33が無菌チャンバ13内に導入されるため、これらのホイール41、42(少なくとも殺菌剤噴霧ホイール41)は別のチャンバで覆い、充填・巻締めエリアに菌がコンタミしないよう配慮することが好ましい。例えば図1に示すように、殺菌剤噴霧ホイール41をキャップ滅菌用チャンバ47で覆っても良い。キャップ滅菌用チャンバ47には給気ライン47aと排気ライン47bとが接続されている。これら給気ライン47a及び排気ライン47bは、無菌チャンバ13の外方に連通されており、外部からキャップ滅菌用チャンバ47へ清浄空気が給排気されるようになっている。またキャップ滅菌用チャンバ47内部の圧力(陽圧)は、充填・巻締チャンバー13bの内部の圧力よりも低く制御されている。これにより、未滅菌(滅菌途中)のキャップ33に付着している菌が、充填・巻締チャンバー13bへ侵入することを防止することができる。ボトル殺菌チャンバー13aの圧力も同様に、充填・巻締チャンバー13bの圧力よりも低くすることが望ましい。
(内容物充填方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)を用いた内容物充填方法について説明する。なお、以下において、通常時における充填方法、すなわち飲料等の内容物をボトル30に充填して製品ボトル35を製造する内容物充填方法について説明する。
まず複数の空のボトル30が、内容物充填システム10の外部からボトル供給部21へ順次供給される。このボトル30は、搬送ホイール12によってボトル供給部21から殺菌装置11へ送られる(容器供給工程)。
次に、殺菌装置11において、ボトル30に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(ボトル殺菌工程)。このとき、過酸化水素水溶液は、1重量%以上、好ましくは35重量%の濃度の過酸化水素水溶液を一旦気化させた後に凝縮したガス又はミストであり、このガス又はミストがボトル30に向かって供給される。
続いて、ボトル30は、搬送ホイール12によってエアリンス装置14に送られ、エアリンス装置14において、無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル30から異物、過酸化水素等が除去される。次いで、ボトル30は、搬送ホイール12によって無菌水リンス装置15に搬送される。この無菌水リンス装置15において、無菌の15℃以上85℃以下の水による洗浄が施される(リンス工程)。具体的には、無菌の15℃以上85℃以下の水が、5L/min以上かつ15L/min以下の流量でボトル30内に供給される。その際、好ましくはボトル30は倒立状態とされ、下向きになった口部からボトル30内へ無菌水が供給され、この無菌水は口部からボトル30の外方に流出する。この無菌水によって、ボトル30に付着した過酸化水素を洗い流し、且つ異物が除去される。なお、ボトル30内へ無菌水が供給される工程は必ずしも設けられていなくても良い。
続いて、ボトル30は、搬送ホイール12によって充填装置20に搬送される。この充填装置20において、ボトル30は回転(公転)されながら、その口部からボトル30内へ内容物が充填される(充填工程)。充填装置20においては、殺菌されたボトル30に、予め内容物が調合され、加熱殺菌処理され常温まで冷やされた内容物が常温で充填される。
続いて、内容物が充填されたボトル30は、搬送ホイール12によってキャップ装着装置16に搬送される。
一方、キャップ33は、予め図1に示すキャップ殺菌装置50によって殺菌処理される(キャップ殺菌工程)。この間、まず多数のキャップ33が、キャップ殺菌装置50の外部に位置するホッパー56に無作為に投入される。次に、ホッパー56に無作為に投入されたキャップ33は、ソーター57によって整列され、その後キャップ検査機58に搬送される。次にキャップ検査機58において、各キャップ33の形状等が検査され、検査に合格したキャップ33は、搬送ガイド70によってキャップ殺菌装置50に向けて一列になって搬送される。
キャップ殺菌装置50に導入されたキャップ33は、殺菌剤噴霧ホイール41に受け渡される。次いで、殺菌剤噴霧ホイール41内で、キャップ33は、第1回転機構43によって回転搬送されながら、噴霧ノズル81A、81Bから過酸化水素水等の殺菌剤が噴霧され、その内面及び外面が殺菌される(殺菌剤噴霧工程)。
続いて、殺菌剤が噴霧されたキャップ33は、エアリンスホイール42に受け渡される。このエアリンスホイール42において、キャップ33は、第2回転機構44によって回転搬送され、この間キャップ33の内面及び外面に無菌ホットエアが吹き付けられる(エアリンス工程)。これにより、キャップ33に付着した殺菌剤がエアリンスされる。その後、キャップ33は、エアリンスホイール42からキャップ装着装置16に受け渡される。
このようにしてキャップ殺菌装置50で殺菌されたキャップ33は、キャップ装着装置16において、充填装置20から搬送されてきたボトル30の口部に装着される。これにより、ボトル30とキャップ33とを有する製品ボトル35が得られる(キャップ装着工程)。
その後、製品ボトル35は、キャップ装着装置16から製品ボトル搬出部22へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される。
なお、上記殺菌工程からキャップ装着工程に至る各工程は、無菌チャンバ13で囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。殺菌処理後は無菌エアが常時無菌チャンバ13外に向かって吹き出るように、無菌チャンバ13内に陽圧の無菌エアが供給される。
なお、内容物充填システム10におけるボトル30の生産(搬送)速度は、100bpm以上1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル30の搬送速度をいう。
以上のように本実施の形態によれば、キャップ殺菌装置50は、キャップ33を回転しながら搬送するとともに、搬送されているキャップ33に対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧ホイール41と、キャップ33を回転しながら搬送するとともに、搬送されているキャップ33をエアリンスするエアリンスホイール42とを備えている。これにより、キャップ33の搬送と、キャップ33の殺菌及びエアリンスとを連続的に行うことができるので、キャップ33の搬送速度を高速化することができるとともに、効率良くキャップ33を殺菌することができる。
また、本実施の形態によれば、エアリンスホイール42で、エアリンスノズル94A、94Bによってキャップ33の内面及び外面の両方に無菌ホットエアが吹き付けられる。これにより、殺菌剤噴霧ホイール41で噴霧ノズル81A、81Bによってキャップ33の内面及び外面に付着した殺菌剤を確実に取り除くことができる。したがって、殺菌剤噴霧ホイール41においてキャップ33に対して高濃度の殺菌剤を吹き付けることが可能となり、この結果、キャップ33の搬送速度を高速化することができる。
また、本実施の形態によれば、キャップ殺菌装置50及びキャップ装着装置16は、ともに無菌チャンバ13内に配置されているので、内容物充填システム10全体をコンパクトに構成することかできる。
なお、本実施の形態において、キャップ殺菌装置50は、充填装置20及びキャップ装着装置16を配置した平面と同一の平面上に設置されているが、これに限らず、キャップ殺菌装置50をキャップ装着装置16の上方に設置しても良い。
変形例
次に、図4および図5により、本実施の形態による内容物充填システムの変形例について説明する。図4および図5において、図1乃至図3に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
図4は、本実施の形態の変形例(変形例1)による内容物充填システム10を示す平面図(図1に対応する図)である。図4において、図1乃至図3に示す実施の形態と異なり、キャップ滅菌用チャンバ47は、無菌チャンバ13の外方に位置するとともに、キャップ滅菌用チャンバ47と無菌チャンバ13とが互いに隣接して配置されている。また、キャップ滅菌用チャンバ47から搬出されたキャップ33は、キャップ搬送ホイール46によってキャップ装着装置16へ搬送される。
図5は、本実施の形態の変形例(変形例2)による内容物充填システム10を示す平面図(図1に対応する図)である。図5において、図4に示す変形例1と異なり、エアリンスホイール42が複数設けられ、複数のエアリンスホイール42に跨がってカバー99aが設けられている。カバー99aは、キャップ33の進行方向に沿って平面視で蛇行して設けられている。キャップ33は、カバー99aの内部で移動しながら無菌ホットエアが吹き付けられる。
なお、エアリンスホイール42を複数設けずにホイール1個とし、このホイールに図示しない上部ロータリージョイントを設けて、エアリンスノズルをキャップ33に追従させながらキャップ33に対してホットエアーブローしても良い。
10 内容物充填システム
11 殺菌装置
12 搬送ホイール
13 無菌チャンバ
14 エアリンス装置
15 無菌水リンス装置
16 キャップ装着装置
20 充填装置
21 ボトル供給部
22 製品ボトル搬出部
30 ボトル
33 キャップ
41 殺菌剤噴霧ホイール
42 エアリンスホイール
43 第1回転機構
44 第2回転機構
50 キャップ殺菌装置
81A 噴霧ノズル
81B 噴霧ノズル
94A エアリンスノズル
94B エアリンスノズル

Claims (6)

  1. 内容物充填システムであって、
    ボトルを殺菌するボトル殺菌装置と、
    前記ボトルに内容物を充填する充填装置と、
    キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップに対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧ホイールと、前記殺菌剤噴霧ホイールで殺菌剤が噴霧された前記キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップをエアリンスするエアリンスホイールとを有する、キャップ殺菌装置と、
    前記キャップ殺菌装置から受け渡された前記キャップを、前記充填装置で内容物が充填された前記ボトルの口部に装着するキャップ装着装置とを備え、
    前記エアリンスホイールは、無菌チャンバの充填・巻締チャンバー内に配置され、前記殺菌剤噴霧ホイールは、キャップ滅菌用チャンバで覆われ、
    前記キャップ滅菌用チャンバの内部の圧力は、前記充填・巻締チャンバーの内部の圧力よりも低く制御されていることを特徴とする内容物充填システム。
  2. 前記キャップ滅菌用チャンバは、前記充填・巻締チャンバー内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の内容物充填システム。
  3. 前記キャップ滅菌用チャンバは、前記無菌チャンバの外方に位置するとともに、前記キャップ滅菌用チャンバと前記無菌チャンバとが互いに隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の内容物充填システム。
  4. 前記キャップ滅菌用チャンバには給気ラインと排気ラインとが接続され、前記給気ライン及び前記排気ラインは、前記無菌チャンバの外方に連通されており、外部から前記キャップ滅菌用チャンバへ清浄空気が給排気されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の内容物充填システム。
  5. 前記キャップ滅菌用チャンバの内部の圧力は、陽圧となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の内容物充填システム。
  6. 内容物充填方法であって、
    ボトル殺菌装置によって、ボトルに対して殺菌処理を行うボトル殺菌工程と、
    充填装置によって、前記ボトルに内容物を充填する充填工程と、
    キャップ殺菌装置の殺菌剤噴霧ホイールによって、キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップに対して殺菌剤を噴霧する殺菌剤噴霧工程と、
    前記キャップ殺菌装置のエアリンスホイールによって、殺菌剤が噴霧された前記キャップを回転しながら搬送するとともに、搬送されている前記キャップをエアリンスするエアリンス工程と、
    キャップ装着装置によって、殺菌された前記キャップを前記ボトルの口部に装着するキャップ装着工程とを備え、
    前記エアリンスホイールは、無菌チャンバの充填・巻締チャンバー内に配置され、前記殺菌剤噴霧ホイールは、キャップ滅菌用チャンバで覆われ、
    前記キャップ滅菌用チャンバの内部の圧力は、前記充填・巻締チャンバーの内部の圧力よりも低く制御されていることを特徴とする内容物充填方法。
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