本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
始めに、本発明に係る用紙排出装置を有する画像形成装置について図面に基づいて説明する。
(画像形成システムA)
図1は画像形成装置本体B及び後処理装置Cからなる、本発明に係る画像形成システムAの実施形態を示す全体図である。本発明においては、画像形成装置本体Bのみ、又は画像形成装置本体Bに後処理装置Cを連結した画像形成システムA全体のいずれかを画像形成装置と呼称している。本発明に係る用紙排出装置は、画像形成装置本体B及び後処理装置Cのいずれにも適用することができる。
(画像形成装置本体B)
図1に示す画像形成装置本体Bは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙カセット5、給紙手段6、定着装置7、排紙機構部8、自動両面コピー給紙部(ADU)9を備えている。
画像形成装置本体Bの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。画像形成装置本体Bの図示の左側面の排紙機構部8側には、後処理装置Cが連結されている。
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿は矢印方向に搬送され画像読み取り部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読みとられ、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込部3に送られる。
画像形成時には、画像書込部3の半導体レーザから出力光が発せられ、画像形成部4の感光体ドラム4Aが照射されて潜像を形成する。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。給紙カセット5から給紙手段6により給送された用紙S1は、現像処理により潜像をトナー像とされた感光体ドラム4Aに当接し、転写手段4Bによりトナー像を転写される。トナー像を担持した用紙S1は、定着装置7により定着され、排出手段としての排紙ローラ8aを経て後処理装置Cに送り込まれる。両面コピーの場合には、片面画像処理済みの用紙S1は搬送路切り替え板8dにより自動両面コピー給紙部9に送り込まれ、再び画像形成部4において裏面に画像処理され、定着された後、排紙ローラ8aにより排出される。
次いで、本発明に係る用紙排出装置を有する後処理装置Cの実施形態について、図1を用いて説明する。
(後処理装置C)
後処理装置Cは、紙曲がり矯正機構部20と、挿入紙給紙部30a、30bと、複数の後処理機構部である、穴あけ処理機構部40、中折り処理機構部50、重ね合わせ処理機構部60、綴じ処理機構部70、排紙機構部80、及び用紙排出装置90と、を有する。
挿入紙給紙部30aには挿入紙S2が装填され、挿入紙給紙部30bには他の挿入紙S3が装填される。挿入紙S2、S3は、画像形成装置本体Bから排出される用紙S1に挿入される、表紙用紙やインサート用紙等の挿入紙であり、用紙S1と同様に、穴あけ処理や折り処理を行うことができる。挿入紙給紙部30a、30bから送り出された挿入紙S2、S3は下方に向かう搬送路(参照符号なし)を経て紙曲がり矯正手段としての紙曲がり矯正機構部20に搬送される。
紙曲がり矯正機構部20は画像形成装置本体Bの排紙機構部8に対向する位置に配設されている。画像形成装置本体Bの排紙機構部8から排出される用紙S1、及び挿入紙給紙部30a、30bから送り出される挿入紙S2、S3は、始めに、紙曲がり矯正機構部20内に搬送される。
穴あけ処理機構部40は、紙曲がり矯正機構部20の用紙排出方向下流側に配設されており、穴あけ処理機構部40の下流側には搬送ローラ22が配設されている。
中折り処理機構部50は、搬送ローラ22から下方に分岐した搬送路H1上に配設されている。
重ね合わせ処理機構部60は、搬送ローラ22から上方に分岐した搬送路H2の下流側に配設され、搬送路H3、H4、H5を備えている。重ね合わせ処理機構部60は、下流側に位置する綴じ処理機構部70において、先行する用紙に綴じ処理するための時間を確保するために、後続の用紙を搬送路H3及び搬送路H4、H5に待機させるための機構部である。
搬送ローラ23の下流側に位置する搬送路は、搬送ローラ23から二重に湾曲する搬送路に分岐し、内側の搬送路H4と外側の搬送路H3、H5とに分かれる。搬送ローラ23から分岐して湾曲する内側の搬送路を形成する搬送路H4は、一時停止ローラ25に繋がり、綴じ処理を行う用紙の1枚目を、用紙先端が回転を停止した一時停止ローラ25に当接した状態で待機させる。
搬送路H5と共に湾曲する外側の搬送路を形成する搬送路H3は、搬送ローラ23の下流位置で搬送ローラ24に達し、そこで、一方の搬送路H5ともう一方の搬送路H6とに分かれる。一方の搬送路H5は搬送路H3と共に湾曲する外側の搬送路H3、H5を形成し、一時停止ローラ25へ向かう。もう一方の搬送路H6は外側の搬送路H3から分岐して固定排紙皿81へと向かう。綴じ処理を行う用紙の1枚目が内側の搬送路H4で待機している間に、綴じ処理機構部70において先行する用紙の綴じ処理が行われるとともに、2枚目の用紙は外側の搬送路H3、H5に搬送される。その後、1枚目と2枚目の用紙は、重ね合わせられた状態で綴じ処理機構部70に搬送される。
固定排紙皿81は、搬送路H3上の搬送ローラ24において重ね合わせ処理機構部60から分岐する搬送路H6の下流側で、後処理装置Cの機外に突出する位置に配設されている。固定排紙皿81は後処理を行わない用紙S1又は挿入紙S2、S3(これらの紙を総称して、以下、単に用紙S1という。)が排出されるものである。代表的な例としては、少数枚の複写を行う複写モード、お試し複写モード、ジャム発生時の機内残留紙排出等において、固定排紙皿81に排出される。
搬送ローラ24から搬送路H5に向かう搬送路は一時停止ローラ25に繋がる。
一時停止ローラ25の下流側、下方には綴じ処理機構部70が配設されており、一時停止ローラ25及び綴じ処理機構部70の下流側で後処理装置Cの機外に突出した位置には排紙機構部80及び用紙排出装置90が配設されている。
綴じ処理機構部70は、一時停止ローラ25から搬送される用紙S1に対して綴じ処理を行う。綴じ処理を終えた用紙S1は、排紙機構部80に搬送される。
排紙機構部80は、排出手段としての排紙ローラ80aと、用紙積載手段としての昇降式排紙皿80b及び用紙後端突き当て部80cと、を備えている。用紙後端突き当て部80cは、用紙排出方向Wにおける用紙積載位置の基準となる部位である。昇降式排紙皿80bはメイン皿と称される排紙機構部であり、3000枚程度の積載容量を有する大容量皿である。昇降式排紙皿80bには、大量複写モード、外部機器からのプリント指令に基づくプリントモード、綴じ処理モード、シフト処理モード等の場合に排紙される。排紙ローラ80aは、図示しない排紙駆動モータM1により駆動され、後処理装置Cから排出される用紙S1を昇降式排紙皿80bに向けて排出する。
本発明に係る用紙排出装置90は、排紙機構部80に近接した位置に配設され、排紙ローラ80aから排出される用紙S1を昇降式排紙皿80b上に揃えて積載させる。
次に、用紙S1の動作を搬送経路に基づいて説明する。
画像形成装置本体Bから排出された用紙S1、及び、挿入紙給紙部30a、30bから送り出された挿入紙S2、S3は、紙曲がり矯正機構部20において、後処理として複数の後処理機構部のいずれの機構部が選択されるかにより紙曲がり矯正の要否が決定される。この紙曲がり矯正の要否により、レジストローラ21及び搬送ローラ18、19の動作が決定され、必要に応じて紙曲がりが矯正される。
紙曲がり矯正機構部20を経て搬送される用紙S1(以下、代表してS1とも称する)は、穴あけ処理機構部40が配設される搬送路に搬送され、必要に応じて穴あけ処理がなされた後、搬送ローラ22に到達する。
搬送ローラ22に到達した用紙S1は、後処理として折り処理を行うかどうかによって搬送路が分けられ、折り処理を行う場合には下方への搬送路H1に、行わない場合には上方への搬送路H2に向かう。搬送路の切り換えは、切換レバー等の公知の機構により行われる。
折り処理を行う場合、用紙S1は下方への搬送路H1を経て中折り処理機構部50に到達する。中折り処理機構部50により折り処理された用紙S1は、図示しない搬送路を経て図示しない排出皿に排出される。
折り処理を行わない場合、用紙S1は上方への搬送路H2を経て搬送ローラ23に搬送される。
搬送ローラ23に到達した用紙S1の1枚目の用紙は、それ以降に後処理が無い場合には、搬送路H3から搬送ローラ24を経て搬送路H6に搬送され、固定排紙皿81上に排出される。
綴じ処理が行われず、1枚目以降の全ての用紙が排紙機構部80の昇降式排紙皿80bに排出される場合には、用紙S1は搬送ローラ23から搬送路H4を経て排紙機構部80へと搬送される。排紙機構部80の昇降式排紙皿80bに排出される用紙S1は、用紙排出装置90によって用紙後端が揃えられた状態で昇降式排紙皿80b上に積載される。
重ね合わせ処理及び綴じ処理が行われる場合、1枚目の用紙は、搬送路H4を経て、用紙先端が一時停止ローラ25に当接して停止し、用紙の2枚目が到達するまで待機する。
2枚目の用紙は、搬送ローラ23から搬送路H3、搬送ローラ24を経て搬送路H5を通り、用紙先端が一時停止ローラ25に当接した位置で停止し、1枚目の用紙と先端位置を合致させられる。その後、1枚目と2枚目との2枚の用紙は重なった状態で綴じ処理機構部70へと送られる。3枚目の用紙は、1枚目と同様に、搬送路H4を通り、一時停止ローラ25で停止され、4枚目の用紙は、2枚目と同様に、搬送路H3、H5を通り、一時停止ローラ25で停止させられた後、2枚1組で綴じ処理機構部70へと送られる。以下、5枚目以降の用紙についても同様に処理され、所定の枚数に達した時点で綴じ処理が行われる。綴じ処理を終えた用紙束は、用紙排出装置90を経て昇降式排紙皿80bに積載される。
(単体としての画像形成装置本体B)
図2は、本発明に係る単体としての画像形成装置本体Bの実施形態を示す全体図である。単体としての画像形成装置本体Bは、画像形成システムAを構成する画像形成装置本体Bと類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図2に示す画像形成装置本体Bが図1に示す画像形成装置本体Bと異なる点は、排紙ローラ8aより用紙排出方向下流側に到る部分における構成の違いである。即ち、図1に示す画像形成装置本体Bでは排紙ローラ8aより下流側に後処理装置Cが配設されているが、図2に示す画像形成装置本体Bでは排紙機構部8及び用紙排出装置90が配設されている。
排紙機構部8は、排紙ローラ8aと、用紙積載手段としての排紙皿8b及び用紙後端突き当て部8cと、を備えており、排紙ローラ8aから排出される用紙S1は後端を用紙後端突き当て部8cに突き当てた状態で排紙皿8b上に排出され、積載される。排紙ローラ8aは図示しない排紙駆動モータM1により駆動される。排紙ローラ8aの用紙排出方向上流側には図示しない用紙位置検知センサPSが配設されている。実施の形態においては、用紙位置検知センサPSにより用紙S1の到達を検知した後、タイミングを合わせて排紙ローラ8aの回転速度を減速している。排紙ローラ8aの回転速度を減速することにより、用紙排出装置90の用紙排出動作をより確実なものとしている。本発明に係る用紙排出装置90の構成及び動作については後述する。
なお、本実施の形態においては排紙皿8bを固定式としたが、図1の排紙機構部80の昇降式排紙皿80bと同様に、昇降式としても良いことは言うまでもない。
また、画像形成システムA中の画像形成装置本体Bと同様に、排紙機構部8に用紙排出方向と直角な方向(以下、用紙幅方向ともいう)での整合を行う用紙整合手段としての用紙整合装置を設けた構成においても本発明の適用が可能である。
(用紙排出装置90)
次に、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態について、図3〜5を用いて説明する。
図3は、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態についての構成を説明するための断面構成図である。また、図3〜図5は、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態についての動作について説明するための断面構成図である。図3は、用紙S1、S2、S3(以下、代表してS1で表す)が排紙ローラ8a(又は80a)に挟持されている状態にあるときの図であり、図4は、用紙S1が排紙ローラ8a(又は80a)を通過し、一対の用紙挟持部材に挟持されて移動する状態を示す図である。また、図5は、用紙S1が一対の用紙挟持部材による挟持から離れ、排紙皿8b(又は昇降式排紙皿80b)上に積載された以降の状態を示す図である。
排紙機構部8(又は80)は、用紙S1を排出する排紙ローラ8a(又は80a)と、排出した用紙S1を積載する排紙皿8b(又は昇降式排紙皿80b)と、用紙S1の後端を突き当てる用紙後端突き当て部80cと、により構成される。用紙後端突き当て部80cは、用紙S1を排紙皿8b(又は昇降式排紙皿80b)に積載する際の用紙積載位置の基準となる。排紙皿8b(又は昇降式排紙皿80b)には用紙S1を積載する用紙積載部としての積載面SSが形成されている。排紙ローラ8a(又は80a)の用紙搬送方向上流側には図示しない用紙位置検知センサPSが配設されている。実施の形態においては、用紙位置検知センサPSにより用紙S1の到達を検知した後、タイミングを合わせて排紙ローラ8a(又は80a)の回転速度を減速している。排紙ローラ8a(又は80a)の回転速度を減速することにより、用紙排出装置90の用紙排出動作をより確実なものとしている。用紙S1は、排紙ローラ8a(又は80a)から排出されるが、排紙ローラ8a(又は80a)は変速可能な排紙駆動モータM1に連結されている。
図3〜図5に示すように、本発明に係る一対の用紙挟持部材は、上方に配設される用紙押圧部材91と、もう一方の用紙挟持部材として、下方に配設される用紙受け部材93とからなる。
用紙押圧部材91は、一端に用紙押圧部材91を揺動可能に保持する保持軸91aに嵌合する嵌合穴(参照符号なし)を有し、他端に用紙を介して一方の用紙挟持部材としての用紙受け部材93を押圧する押圧部91bを有している。また、もう一方の用紙挟持部材としての用紙押圧部材91には用紙受け部材93を押圧する押圧手段としてのばね部材SPが係止され、用紙押圧部材91を反時計方向に揺動するように付勢している。ばね部材SPに押圧される用紙押圧部材91は、用紙S1を挟持しながら用紙受け部材93を押圧し、移動する用紙受け部材93に追随して揺動し、移動する。用紙押圧部材91は、用紙S1が用紙挟持位置(後述)に達するまでの間は、図3(a)に示す上方の退避位置に待機している。
押圧規制手段は、用紙押圧部材91の位置を規制する押圧規制部材92と押圧規制部材92を駆動する正逆回転可能な押圧規制部材駆動モータM2とからなる。押圧規制部材92は用紙押圧部材91に隣接する位置に配設されている。押圧規制部材92は、押圧規制部材駆動モータM2に連結されて押圧規制部材92を正逆両方向に回転可能に保持する軸部92aと、用紙押圧部材91に係合する係合部92bとを備えている。用紙押圧部材91は、回転する押圧規制部材92の一端に取り付けられた係合部92bにより反時計方向の回転を規制されている。即ち、ばね部材SPにより付勢されている用紙押圧部材91は、正逆両方向に回転する押圧規制部材92の係合部92bに当接しながら、揺動する構成となっている。押圧規制部材駆動モータM2は、図示しない用紙位置検知センサPSにより検知される用紙S1の搬送のタイミングに合わせて動作される。
一方、用紙受け部材93には、用紙を介して用紙押圧部材91の押圧部91bが当接する用紙挟持面93aが形成され、かつ、一対の受け部材回動板94の一端に固設される一対の軸94bを回転自在に嵌合させる一対の穴(参照符号なし)が形成されている。寸法、形状が同一の一対の受け部材回動板94の他端には一対の回転軸94aが固設され、一対の回転軸94aは保持板95に回転自在に保持されている。また、一対の回転軸94aにはそれぞれを反時計方向に回転させる受け部材駆動手段としての用紙受け部材駆動モータM3が連結されており、その回転動作は同速で同方向に同時に行われるように構成されている。
本発明に係る用紙挟持部材移動手段は、一対の受け部材回動板94と、一対の受け部材回動板に固設される一対の回転軸94aと、保持板95と、用紙受け部材駆動モータM3と、により構成される。用紙挟持部材移動手段の構成により、一対の受け部材回動板94は同速で同方向に同時に回転し、用紙受け部材93を回動させ、用紙受け部材93の用紙挟持面93aは一対の受け部材回動板94の回転角度に拘わらず常に水平を保っている。用紙受け部材駆動モータM3は、一対の用紙挟持部材の用紙S1への1回の挟持動作に対し、一対の受け部材回動板94を1回転させる。
なお、本実施の形態では、用紙挟持面93aが常に水平面となる構成としたが、水平に対して一定の角度を保つ面となる構成としても良い。
本発明に係る用紙受け部材93の用紙挟持面93aが常に水平面、又は水平に対して一定の角度を保つ面とすることにより、一対の用紙挟持部材による用紙S1の挟持動作が安定した円滑な状態で行われる。
また、本発明に係る用紙排出装置90は、排紙皿80b(又は昇降式排紙皿80b)に排出される用紙S1の用紙排出方向と直角な方向における用紙の端部位置を整合するための用紙整合手段としての一対の整合部材101、102を備えている。一対の整合部材101、102は一対の用紙挟持部材の用紙排出方向下流側に配設される。一対の整合部材101、102の構成及び動作については後述する。
なお、以下の構成及び動作についての説明は、図1で説明した後処理装置Cに配設される用紙排出装置90に基づいて行うが、本発明の構成及び動作は、図2で説明した画像形成装置本体Bにも適用可能なことは言うまでもない。
図3(a)は、用紙S1が用紙挟持位置に達する前の時点で、用紙S1が排紙ローラ80aに達したときの状態を示す図であり、図3(b)は、用紙S1が用紙挟持位置に達した状態を示す図である。ここでいう用紙挟持位置とは、用紙S1が一対の用紙挟持部材によって挟持される瞬間における、用紙S1及び一対の用紙挟持部材の位置をいう。
図3(a)において、排出される用紙S1が用紙挟持位置(図3(b)参照)に達する前における、先端が排紙ローラ80aに挟み込まれた時点では、用紙受け部材93は予め用紙S1を挟持する用紙挟持位置に移動されて待機している。一方、用紙押圧部材91は、押圧規制部材92の動作によりばね部材SPの付勢に抗して時計方向に回転移動され、用紙受け部材93から離間した退避位置に待機している。用紙押圧部材91による用紙受け部材93への押圧動作を規制する押圧規制手段は、用紙押圧部材91の位置を規制する押圧規制部材92と押圧規制部材92を正逆両方向に回転駆動する押圧規制部材駆動モータM2とからなる。用紙押圧部材91に隣接する位置に押圧規制部材92が配設されている。押圧規制部材92は、押圧規制部材92に固設され、押圧規制部材92を回転自在に保持する軸部92aと、用紙押圧部材91に係合する係合部92bとを備え、軸部92aは正逆回転可能な押圧規制部材駆動モータM2に連結されている。即ち、押圧規制部材92は、押圧規制部材駆動モータM2の正回転により時計方向に、逆回転により反時計方向に回転する。
図3(b)においては、用紙S1が用紙挟持位置に達するとき、図示しない用紙位置検知センサPSにより検知される用紙S1のタイミングに合わせて押圧規制部材92が反時計方向に回転され、係合する用紙押圧部材91の回転動作の規制が解除される。回転動作の規制が解除された用紙押圧部材91はばね部材SPの付勢により反時計方向に回転し、用紙挟持位置に達した用紙S1の後端部の位置を挟持する状態で用紙受け部材93に当接し、押圧する。用紙S1が用紙挟持位置に達するとき、用紙S1は排紙ローラ80aに挟持されて排出される動作の進行中にあり、排紙ローラ80aに連結されている排紙駆動モータM1の回転が減速される。
一方、用紙挟持位置に待機する用紙受け部材93は、用紙位置検知センサPSによる用紙S1の検知から所定時間の経過後に用紙受け部材駆動モータM3が回転され、それに連結する一対の受け部材回動板94の回動により移動を開始する。用紙受け部材93を押圧する用紙押圧部材91は、間に用紙S1を挟持した状態で、移動する用紙受け部材93に追随して移動する。用紙S1が用紙挟持位置で用紙押圧部材91と用紙受け部材93との間に挟持されてから、用紙S1の後端が排紙ローラ80aから排出されるまでの間は、用紙S1は排紙ローラ80aの搬送力により搬送される。即ち、この間を搬送される用紙S1は用紙押圧部材91と用紙受け部材93との間ではスリップすることになる。
本発明に係る用紙挟持部材移動手段は、図13で説明した、一対の受け部材回動板94と、一対の受け部材回動板に固設される一対の回転軸94aと、保持板95と、用紙受け部材駆動モータM3と、により構成される。
本発明によれば、用紙S1は用紙挟持位置において後端を排紙ローラ80aに挟持され、搬送されている状態で一対の用紙挟持部材に挟持されるため、用紙が確実に受け渡しされ、かつ用紙搬送においては用紙S1を停止させる必要がなく、効率が良い。
一方、図3(b)において、後端近傍を用紙押圧部材91と用紙受け部材93に挟持された用紙S1は、昇降式排紙皿80bに当接する位置に移動された一対の整合部材101、102(後述)が待機する位置に向けて搬送される。用紙S1が用紙挟持位置で用紙押圧部材91と用紙受け部材93との間に挟持されてから、用紙S1の後端が排紙ローラ80aから排出されるまでの間は、図13(a)と同様に、用紙S1は排紙ローラ80aの搬送力により搬送される。即ち、この間において排紙ローラ80aにより搬送される用紙S1は用紙押圧部材91と用紙受け部材93との間でスリップすることになる。
また、本発明に係る用紙排出装置90には、図3に示すように、一対の整合部材101、102が配設されており、昇降式排紙皿80bにおける整合部材101(102)の配設位置に対応する表面には窪みCVが形成されている。
次に、本発明に係る用紙排出装置90による、用紙S1が用紙挟持位置に達してから昇降式排紙皿80bに達するまでの流れについて図4を用いて説明する。
図4は、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態についての動作について説明するための断面構成図である。より具体的には、用紙S1が排紙ローラ80aを通過し、一対の用紙挟持部材に挟持されてから昇降式排紙皿80bに達するまでの移動する状態を示す図である。
図4(a)は、用紙S1の後端が排紙ローラ80aのニップ部から離れる時点の状態を示す図であり、図4(b)は、用紙S1が用紙積載位置に達し、用紙S1の後端が用紙後端突き当て部80cに当接された状態を示す図である。
図4(a)において、用紙S1の後端が排紙ローラ80aのニップ部から離れるとき、用紙S1の排紙ローラ80aによる用紙搬送力は消失する。即ち、用紙S1は、用紙押圧部材91と用紙受け部材93とによって挟持され、用紙受け部材93の移動動作に従って移動することになる。用紙受け部材93は、図示しない用紙受け部材駆動モータM3の回転により、連結する一対の回転軸94aを介して一対の受け部材回動板94が回転され、反時計方向に回動される。
図4(b)において、用紙S1が用紙積載位置に達すると、用紙受け部材93は用紙受け部材駆動モータM3の回転により用紙押圧部材91から離間する用紙排出方向と逆方向へ移動され、用紙S1の後端が用紙後端突き当て部80cに突き当てられて停止される。ここでいう用紙積載位置とは、用紙S1の下面が昇降式排紙皿80bに形成される積載面SSに当接し、用紙S1の後端が積載位置の基準となる用紙後端突き当て部80cに当接する状態になった時点における、用紙S1及び一対の用紙挟持部材の位置をいう。
本発明の構成により、用紙は自重落下ではなく、一対の用紙挟持部材により挟持されて積載面SSまで案内するため、用紙を積載面SSに積載するまでの時間の短縮と、安定した確実な積載が可能となる。更に、用紙S1の挟持が排紙ローラ80aの排出搬送中に行われることにより、より積載面SSへの積載までの時間を短縮できるとともに、安定化させることができる。更にまた、一対の用紙挟持部材による挟持が用紙S1の中腹に対して行われ、かつ用紙押圧部材91が十分に離間した位置から移動して用紙S1を挟持するため、用紙S1にカール、動作の波打ち、又は位置ズレ等があっても挟持動作が安定して行われる。
更にまた、本発明に係る用紙受け部材93が用紙積載位置において用紙搬送方向と逆方向に移動することにより、用紙S1の後端が用紙後端突き当て部80cに当接され、用紙の用紙積載位置における紙揃え状態を向上させることができる。更にまた、本発明に係る用紙押圧部材91が用紙積載位置において用紙S1を昇降式排紙皿80bの積載面SSに押しつけることにより、用紙の積載状態を向上させることができる。
次に、本発明に係る用紙排出装置90による、用紙S1の先端が昇降式排紙皿80bに達してから積載を完了するまでの流れについて図5を用いて説明する。
図5は、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態についての動作について説明するための断面構成図であり、用紙S1が一対の用紙挟持部材による挟持から離れ、昇降式排紙皿80b上に積載された以降の状態を示す図である。
図5(a)において、受け部材回動板94の回動により用紙受け部材93から離間した用紙押圧部材91は、ばね部材SPに付勢され、用紙S1を後端が用紙後端突き当て部80cに当接させた状態で、用紙S1を昇降式排紙皿80bの積載面SSに押しつける。この状態で用紙S1の昇降式排紙皿80bへの積載が完了する。
図5(b)において、図示しないタイマによるカウントの後、押圧規制部材駆動モータM2の正回転により押圧規制部材92がばね部材SPの付勢に抗して時計方向に回転され、用紙押圧部材91の押圧部91bが用紙S1から離間される。この後、用紙押圧部材91は図3(a)に示す退避位置に戻される。用紙受け部材93は、用紙受け部材駆動モータM3の回転により、一対の受け部材回動板94が反時計方向へ回転して用紙挟持位置に戻され、図3(a)に示す状態に戻る。
然るに、本発明者は、図5(b)に示す用紙押圧部材91の押圧部91bが用紙S1から離間する際に、用紙S1が押圧部91bの上昇につられて連れあがりが生じることがあることに気づいた。この連れあがりの原因は主として、用紙押圧部材91と用紙S1との間に生じる静電気によるものである。この静電気は、湿度等の環境条件、用紙材料、連続プリント枚数等により発生頻度が変化する。
本発明者は、この連れあがりを防止するために種々の実験を行った結果、一対の用紙挟持部材の用紙排出方向下流側に配設される一対の整合部材101、102を用いることが有効であることを発見した。即ち、一対の整合部材101、102が用紙S1の用紙排出方向と直角な方向における用紙の端部を整合する際に、用紙の端部を押さえる動作を利用して用紙S1の連れあがりを防止するのである。連れあがりを防止するための具体的な構成及びその動作については後述する。
後述するように、本発明に係る一対の整合部材101、102の整合動作を駆動する整合駆動モータM4は、押圧規制部材駆動モータM2が正回転を開始するのと同時又は直前に整合動作を行う。整合駆動モータM4が押圧規制部材駆動モータM2の正回転開始と同時又は直前に整合動作を行うため、用紙押圧部材91の用紙S1からの離間と同時又は直前に一対の整合部材101、102が用紙S1に当接し、用紙の連れあがりが防止される。
また、用紙押圧部材91が用紙積載位置において用紙S1を昇降式排紙皿80bの積載面SSに押しつけることにより、用紙の積載状態を向上させることができる。
本発明に係る用紙受け部材93が用紙積載位置において用紙排出方向と逆方向に移動することにより、用紙S1の後端が用紙後端突き当て部80cに当接され、用紙の用紙積載位置における紙揃え状態を向上させることができる。
また、本発明によれば、用紙を自重落下ではなく一対の用紙挟持部材により挟持して積載面SSまで案内するため、用紙を積載面SSに積載するまでの時間の短縮と安定した確実な積載が可能となる。更に、用紙S1の挟持が排紙ローラ80aの排出搬送中に行われることにより、より積載面SSへの積載までの時間を短縮できるとともに、搬送動作をより安定化させることができる。更にまた、本発明に係る用紙押圧部材91が用紙積載位置において用紙S1を昇降式排紙皿80bの積載面SSに押しつけることにより、用紙の積載状態を向上させることができる。更にまた、一対の用紙挟持部材による挟持が用紙S1の中腹に対して行われ、かつ用紙押圧部材91が十分に離間した位置から移動して用紙S1を挟持するため、用紙S1にカール、動作の波打ち、又は位置ズレ等があっても挟持動作が安定して行われる。
更にまた、本発明によれば、用紙排出装置90の実施形態には用紙整合装置100が配設されているため、昇降式排紙皿80bに積載される用紙S1は、縦横の端部が均一に揃った状態で積載され、用紙押圧部材91による連れあがりも防止できる。
次に、本発明に係る用紙整合手段としての用紙整合装置100の実施形態における構成及び動作について、図6〜図8を用いて説明する。
図6は、本発明に係る用紙整合装置100の動作を説明するための概略構成図であり、図7は整合部材101、102の高さ方向の位置を検知する検知手段の機構を示す概略図である。図8は、図6において実線の位置にある、本発明に係る整合部材101(102)の拡大図である。
図3に示したように、本発明に係る用紙排出装置90の実施形態には、用紙整合装置100に含まれる一対の整合部材101、102(102は不図示)が配設されている。昇降式排紙皿80bの表面に形成される窪みCVは、整合部材101(102)の真下に配設されるものであり、その機能については後述する。
本発明に係る用紙整合手段としての用紙整合装置100は、図6に示すように、一対の整合部材101、102と、整合駆動手段としての整合駆動モータM4と、整合部材退避駆動モータM5と、を有する。
前述したように、排紙ローラ80aにより排出された用紙S1は昇降式排紙皿80bに排出されるが、図6においては、複数枚の用紙S1が積載されて用紙束Sとなっている状態を示す。用紙束Sの上面の位置は光電センサからなる高さ検知センサHSにより検知され、用紙束Sの上面が常に一定高さになるように昇降式排紙皿80bが上下に移動する。このような昇降式排紙皿80bの上下移動は制御手段110(後述)により制御されたモータ(図示せず)の駆動により行われる。
用紙束Sが昇降式排紙皿80b上に積載されるとき、図示のように窪みCVにより用紙束Sと昇降式排紙皿80bとの間に間隙が形成される。オペレータが昇降式排紙皿80bから用紙束Sを取り出すときは、窪みCVにより形成された間隙に手を挿入することにより、用紙束Sを容易に取り出すことができる。
昇降式排紙皿80bの上方には、用紙束Sの用紙幅方向の端部位置を整合する板状の一対の整合部材101、102が、用紙幅方向にそれぞれ離間して対向して配置される。整合部材101、102は回転軸AXを中心に昇降式排紙皿80bに対して接離する方向に回転可能であり、実線で示す整合位置、破線で示す第1退避位置(101A、102A)及び破線で示す第2退避位置(101B、102B)に設定される。整合部材101、102の回転の駆動は、整合部材退避駆動モータM5によって行われ、前記整合位置、第1退避位置及び第2退避位置のいずれかの位置に設定される。
図6において、実線で示す整合位置は、昇降式排紙皿80b上に多数枚の用紙S1を排出し、積載して形成した用紙束Sに対し、用紙幅方向に整合部材101、102をシフト移動した後の整合位置を示している。このとき整合部材101、102のいずれか一方は自重で用紙束Sの上に載っている。他方の整合部材は、昇降式排紙皿80b上に積載されている用紙束Sの厚みに応じて、昇降式排紙皿80b上に接触しているか、または宙に浮いた状態で停止している(図10参照)。
整合部材101、102は、後述するように、用紙束Sの用紙幅方向に移動されるが、この移動は、整合駆動モータM4の駆動力が、ベルト及びプーリ等を用いた公知の伝達機構を用いて、整合部材101、102に伝達されることにより行われる。整合駆動モータM4にはステッピングモータ等の回転角度を任意に設定できるモータが用いられ、整合部材101、102を任意の位置に停止することを可能にしている。また、整合部材101と整合部材102とは、それぞれ異なる整合駆動モータM4に連結されており、互いに独立した動作が可能となっている。
用紙S1が昇降式排紙皿80b上に積載され、用紙押圧部材91が用紙S1から離れるタイミングと同時又は直前に、整合部材101、102は用紙S1を用紙排出方向と直角な方向における用紙の両端に所定時間当接し、その後、整合動作を行う。この用紙S1への当接は、用紙押圧部材91が用紙S1から離れるときに用紙S1が用紙押圧部材91に連れあがりすることを防止するために行われる。当接している所定時間としては、本実施の形態においては0.5〜3秒で良い結果を得ているが、望ましくは1〜2秒であれば連れあがりの防止がより確実に行われ、停止する時間のロスも少なくて済む。
本実施の形態では、整合を行う前に整合部材101、102を用紙の両端に所定時間当接させているが、本発明者は、他の実施形態として、この当接を行わずに通常の整合のみを行っても用紙S1の連れあがりを防止する効果があることを実験により確認している。
また、本発明者は、もう1つの他の実施形態として、整合部材101又は102による整合時の用紙S1への当接及び離間の時間配分を変化させることで、用紙S1の連れあがりを防止する効果があることを実験により確認している。即ち、通常は当接及び離間の時間配分を各1秒に設定しているが、この配分を、当接する時間を離間する時間より長くするのである。実験においては、当接する時間を0.6〜0.9秒とし、離間する時間を0.1〜0.4秒としたとき、良い結果を得ている。
整合部材101、102の回転位置、特に、整合位置、第1、第2退避位置は光電センサからなる回転角度検知センサKS(図7参照)が出力する信号に基づいて設定される。
図7において、整合部材101、102の回転軸AXにはエンコーダ107が固定されており、回転角度検知センサKSによりエンコーダ107の回転位置が検知される。その検知信号を受けた制御手段110(後述)が整合部材退避駆動モータM5を動作させて整合部材101、102の整合位置、又は第1、第2退避位置を設定する。
図8において、整合部材101は、回転軸AXで回転自在に支持された第1整合部材1011と、第1整合部材1011により支持された第2整合部材1012とを備える。第2整合部材1012は第1整合部材1011に設けられた凹部内に収納され、1012Aで示す位置と1012Bで示す位置との間を、第1整合部材1011に対してスライド可能に配設されている。第1整合部材1011には長溝1013が設けられ、長溝1013には、第2整合部材1012に設けられたピン1014が嵌入している。長溝1013とピン1014とによるガイドで、第2整合部材1012は第1整合部材1011に対して相対的に上下移動可能となっている。図示しない整合部材102も整合部材101と同様に第1整合部材1021と、それに支持される第2整合部材1022とを有する。
図8(a)は、整合部材101が昇降式排紙皿80bにも、該昇降式排紙皿80b上に積載されている用紙束Sの上面にも接触しない状態を示しており、この場合、第2整合部材1012がその自重で最も下の位置まで下がっている。図8(b)は、整合部材101が昇降式排紙皿80b上に積載された用紙束Sの上に載った状態を示す。
図8(b)に示すように整合部材101が用紙束Sの上面に載ったときに、第1整合部材1011及び第2整合部材1012は、用紙がカールしているかいないかに関わらず、昇降式排紙皿80b上に積載された用紙束Sに対して常に2点で接触する。即ち、用紙束Sの上に新たに排出され積載される用紙Supに対し、整合部材101は、第1整合部材1011の下端側部が点Q1で用紙Supの端縁を規制するとともに、第2整合部材1012の下端側部が点Q2で用紙Supの端縁を規制する(図9参照)。
第1整合部材1011及び第2整合部材1012は図8に示すように、用紙束Sに当接する先端部(下端部)が、緩い円弧状に形成されている。従って、昇降式排紙皿80b上に積載された用紙束Sの上に用紙S1を積載し整合する場合、用紙S1に対する規制位置の幅は先頭用紙において最も狭く、後の用紙ほど規制位置の幅が広くなる。従って、先頭用紙に対する整合精度が前記に説明したように高いことは勿論、後続用紙に対する整合精度は更に高くなる。
図9は、本発明に係る整合部材101(102)の実施形態における整合作用を説明する図である。
図9において、整合部材102が用紙Supの端縁P1に接離して整合を行う際に、整合部材101は用紙排出方向Wにおける異なる2点で位置規制を行う。即ち、第1整合部材1011の下端側部が図9における点Q1において用紙Supの端縁の位置を規制し、第2整合部材1012の下端側部が図9における点Q2において、用紙Supの端縁の位置を規制している。
本実施の形態では、整合部材101が用紙Supの2箇所の端縁に当接する構成としているが、整合部材101、102の構成を用紙Supの左右それぞれ1箇所のみの端縁に当接する構成とすると、用紙のカールが大きいときに問題が発生する。即ち、用紙がカールすると、整合部材101と整合部材102との用紙端縁に当接する高さに差異が生じ、その結果、整合部材101(又は102)の用紙Supへの用紙排出方向Wにおける当接位置に差異を生じさせることになる。この原因は、整合部材101、102が回転軸AXを回転中心として揺動する構成であるため、用紙Supに当接する高さが変わると水平方向の位置が変化するためである。整合部材101、102が用紙Supの端縁に当接する箇所が左右それぞれ1箇所のみであれば、左右の当接位置が変化した場合には、整合動作により用紙Supが用紙排出方向Wに対して左右いずれかに傾いてしまうおそれがある。
然るに本実施の形態によれば、整合部材101が載っている用紙束Sにカールがあって整合部材101の用紙Supへの規制位置がQ1a、Q2aの位置にずれるような場合でも、規制位置が図9に示すような2点であるため、このような問題は発生しない。
本実施の形態によれば、用紙がカールしている場合でも、用紙は高い精度で位置規制され、用紙幅方向の側端の位置を用紙排出方向Wに対して平行に揃えることができる。
次に、本実施の形態におけるシフト制御について図10を用いて説明する。
図10は、本発明に係る用紙整合装置100によるシフト工程及び用紙整合工程を説明するための概略図である。
図10において、矢印V1、V3、V5で示す方向は用紙S1の用紙幅方向である。昇降式排紙皿80b上には、ステップSP1で示す用紙束SS1、ステップSP4で示す用紙束SS2、及びステップSP7で示す用紙束SS3のように、それぞれ設定されたシフトの1単位を構成する枚数の用紙束SS1、SS2、SS3が順次積載される。
SP1において、整合部材101、102は図6の実線で示した下方位置である整合高さに設定されている。この下方位置は、整合部材101、102の下端の位置が昇降式排紙皿80bの用紙の積載面SSよりも若干低くなる位置である。従って、整合部材101、102は、下方位置に設定されているときには、自重で昇降式排紙皿80b上に載っていることになる。昇降式排紙皿80b上に載った整合部材102が矢印V1で示すように用紙幅方向に往復移動して用紙S1を整合する。用紙整合は、用紙S1が1枚排出される毎に整合部材102が移動して行われる。
用紙センサ111からの信号により、用紙束SS1が設定枚数に達した段階で、ステップSP2において整合部材101、102がともに、矢印V2の方向に上昇する。なお、矢印V2で示す上昇工程では、図示しないが、整合部材101、102がともに、用紙幅方向の中心線から外方に向かう方向に僅かに移動して用紙との間に間隙を形成した後にV2のように上昇する。ステップSP2における矢印V2で示す方向への移動距離は、整合部材101、102の下端が用紙束SS1の上面から離れる程度の距離であり、整合部材101、102の退避位置は、図6の101B、102Bで示す第2退避位置に相当する。第2退避位置は、用紙排出装置90が停止状態にあるときに整合部材101、102が位置する第1退避位置(101A、102Aで示す)よりも下方にある。整合部材101、102は上昇後に、矢印V3で示すように図10の右方(用紙幅方向)にシフト移動する。矢印V3で示す移動の距離は、用紙のシフト量に対応する距離である。
次に、ステップSP3で示すように、整合部材101、102が矢印V4で示すように下降する。矢印V4で示す方向の移動距離は、整合部材102の下端が用紙束SS1の上面に当接し、整合部材101の下端が用紙束SS1の上面よりも若干低くなる距離である。
ステップSP4において、整合部材101が矢印V1で示す用紙幅方向に往復移動して用紙を整合する。
ステップSP5はステップSP2と同様な段階であり、整合部材101、102が矢印V2の方向に上昇後、矢印V5のように左方向に水平移動する。
ステップSP6では、整合部材101、102が矢印V4の方向に下降し、シフトした整合位置に設定される。
続くステップSP7において、整合部材102は矢印V1方向に往復移動して用紙Sを整合する。
ステップSP1〜7の整合工程により、シフト処理された用紙束SS1、SS2、SS3が形成される。
図11は、本発明に係る用紙排出装置90の動作を制御する制御手段110の制御の流れを説明するためのブロック図であり、図12は、本発明に係る用紙排出装置90の動作のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
図11において、制御手段110は、排紙ローラ80aの用紙排出方向上流側に配設された用紙位置検知センサPSからの信号を受けて、排紙駆動モータM1を動作させて排紙ローラ80aを回転させる。以下、図示しないタイマによりタイミングを合わせて押圧規制部材駆動モータM2及び用紙受け部材駆動モータM3を駆動させ、押圧規制部材92及び一対の受け部材回動板94を動作させて用紙押圧部材91及び用紙受け部材93を移動させる。
用紙S1が昇降式排紙皿80b上に積載されたとき、制御手段110は、整合駆動モータM4を駆動させ、整合部材101、102を動作させて用紙S1の整合を行わせる。用紙S1への一連の整合が終了したとき、制御手段110は、回転角度検知センサKSが出力する信号に基づいて整合部材退避駆動モータM5を動作させ、整合部材101、102を整合位置から第1退避位置又は第2退避位置に移動させる。
図12において、排紙駆動モータM1は、画像形成装置本体Bの図示しないプリントスタートボタンのオン動作により回転駆動され、用紙位置検知センサPSにより用紙S1の1枚目が検知された後、図示しないタイマによりタイミングを合わせて減速される。押圧規制部材駆動モータM2は、用紙位置検知センサPSによる用紙S1の検知後、タイミングを合わせて逆回転し、押圧規制部材92を反時計方向に回転させ、用紙押圧部材91の用紙受け部材93への押圧の規制を解除する。規制を解除された用紙押圧部材91は、用紙挟持位置で排紙ローラ80aから排出される用紙S1を挟持して用紙受け部材93を押圧する。その後、タイミングを合わせて用紙受け部材駆動モータM3が駆動され、受け部材回動板94を介して用紙受け部材93が動作される。用紙S1が昇降式排紙皿80bに積載された後、押圧規制部材駆動モータM2が正回転され、押圧規制部材92が時計方向に回転されて用紙押圧部材91が昇降式排紙皿80bに積載された用紙S1から離間される。
本発明に係る整合駆動モータM4は、押圧規制部材駆動モータM2が正回転を開始するタイミングと同時又は直前に動作して整合部材101、102を用紙S1の側端に対して当接又は整合させ、離間する用紙押圧部材91への用紙S1の連れあがりを防止する。
本実施の形態においては、本発明に係る用紙排出装置を画像形成装置本体Bの装置外、又は後処理装置Cの装置外に配設したが、画像形成装置本体B又は後処理装置Cの装置内に配設する用紙の一時貯留部(中間スタッカ)に用いても良いことは言うまでもない。
本発明に係る用紙排出装置90は、シート状の1枚の用紙だけでなく、複数枚の綴じ処理又は折り処理された用紙にも適用可能である。
また、排紙機構部80に用紙幅方向での整合を行う整合装置を設けた構成においても本発明の適用が有効である。即ち、本発明に係る用紙排出装置90を用いれば、用紙S1が排紙ローラ80aを離れてから昇降式排紙皿80bに積載されるまでの時間が短縮され、かつ安定化されるため、用紙を整合するための時間が十分に得られるという利点がある。