JP5471278B2 - 光デバイス、光走査装置、画像形成装置、光伝送モジュール及び光伝送システム - Google Patents

光デバイス、光走査装置、画像形成装置、光伝送モジュール及び光伝送システム Download PDF

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Description

本発明は、光デバイス、光走査装置、画像形成装置、光伝送モジュール及び光伝送システムに係り、更に詳しくは、光を射出する光デバイス、該光デバイスを有する光走査装置、該光走査装置を備える画像形成装置、前記光デバイスを有する光伝送モジュール及び該光伝送モジュールを備える光伝送システムに関する。
面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、基板に垂直な方向にレーザ光を射出することができることから、複数の発光部を同一基板上に2次元的に配列して集積(2次元アレイ化)することが容易であり、並列光インターコネクション用光源、及び電子写真システムの書き込み用光源として注目されている。
特に、2次元アレイ化した面発光レーザアレイは、各発光部の高い位置精度と、円形の出射ビーム形状が得られることから、電子写真システムの書き込み用光源に好適である。
面発光レーザは、研究が開始された当初、反射鏡に用いられている半導体DBRの反射率の高さから、戻り光に対する耐性が高いと考えられていたが、戻り光側から見ると共振器構造体との組み合わせによって共振波長付近では反射率が低下するため、戻り光に対する耐性が端面発光型の半導体レーザに比べて特別高いわけではないことがわかってきた。
そこで、面発光レーザにおいても、戻り光が悪影響を及ぼすような用途では、端面発光型の半導体レーザと同様に、戻り光対策が必要となる。
特に、高画質が要求される電子写真システムの書き込み用光源のように、戻り光に敏感な用途では、面発光レーザチップをパッケージ内に密封するためのパッケージガラスからの戻り光も無視することができなくなり、パッケージガラスからの戻り光対策が必要となった。
例えば、特許文献1には、四分の一波長板を、半導体レーザ装置パッケージ内または出射窓部に設け、パッケージ内からの半導体レーザ出射ビームの偏光方向を直線偏光から円偏光に変換する半導体レーザ装置が開示されている。
また、特許文献2には、パッケージ・ベース、カバー、検出素子、及びVCSEL構成部品を備える光センサ構成部品が開示されている。そして、アパーチャを有するカバーの上の面は、カバーのベースに対して傾斜しており、アパーチャ内あるいはアパーチャ上には、偏光要素が配置されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている半導体レーザ装置では、波長板の表面からの戻り光については何ら考慮されていなかった。
また、特許文献2に開示されている光センサ構成部品では、一般的なメタルパッケージが使用されており、端子数が多い面発光レーザアレイには対応が困難であった。
ところで、積層セラミックパッケージはその製法上、傾斜したガラス板や波長板でパッケージを封止することは困難であった。
もちろん、ガラス板や波長板を傾斜させて保持するための特殊な部品を使用したり、ガラス板の封止性能を犠牲にすれば、傾斜したガラス板や波長板を設けることは可能であるが、高コスト化や気密性能の低下を伴うため、これらの方法は安易に採用できる方法ではない。
すなわち、ガラス板や波長板によって封止される積層セラミックパッケージにおいて、その構造や封止性能を大きく変えることなく、ガラス板や波長板からの戻り光を考慮した構成はこれまで開示されていなかった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、高コスト化を招くことなく、戻り光の影響を低減することができる光デバイスを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高コスト化を招くことなく、高精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の第4の目的は、高コスト化を招くことなく、高品質の光信号を生成することができる光伝送モジュールを提供することにある。
また、本発明の第5の目的は、高コスト化を招くことなく、高品質の光伝送を行うことができる光伝送システムを提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイと、周囲が壁で囲まれている領域の底面上に前記面発光レーザアレイを保持するセラミックパッケージ部材と、前記壁と底面とで囲まれている領域を密閉するガラス板とを備える光デバイスにおいて、前記ガラス板は、前記面発光レーザアレイにおけるレーザ光の射出面に平行であり、前記壁と底面とで囲まれている領域内に、前記射出面に対して傾斜して配置された1/4波長板を更に備え、前記1/4波長板は、長方形の板状部材であり、長手方向に平行な中心軸まわりに傾斜しており、前記周囲の壁の少なくとも一部は、段付き構造を有し、前記1/4波長板の長手方向の一側の端部近傍は、前記周囲の壁の段部の底面及び角部に支持されていることを特徴とする光デバイスである。
これによれば、高コスト化を招くことなく、戻り光の影響を低減することができる。
本発明は、第2の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の光デバイスを有する光源と;前記光源からの光を偏向する偏向器と;前記偏光器で偏向された光を被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
これによれば、光源が本発明の光デバイスを有しているため、高コスト化を招くことなく、高精度の光走査を行うことができる。
本発明は、第3の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、入力される電気信号に応じた光信号を生成する光伝送モジュールであって、本発明の光デバイスと;前記光デバイスを、前記入力される電気信号に応じて駆動する駆動装置と;を備える光伝送モジュールである。
これによれば、本発明の光デバイスを有しているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の光信号を生成することが可能となる。
本発明は、第5の観点からすると、本発明の光伝送モジュールと;前記光伝送モジュールで生成された光信号を伝達する光伝達媒体と;前記光伝達媒体を介した光信号を電気信号に変換する変換器と;を備える光伝送システムである。
これによれば、本発明の光伝送モジュールを備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の光伝送を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。 図1における光走査装置を示す概略図である。 光デバイスを説明するための図(その1)である。 光デバイスを説明するための図(その2)である。 光デバイスを説明するための図(その3)である。 図3のA−A断面図である。 図3のB−B断面図である。 図3のC−C断面図である。 パッケージ部材の平面図である。 図9のA−A断面図である。 パッケージ部材の底面におけるパッケージ電極を説明するための図である。 パッケージ部材におけるレーザチップの保持状態を説明するための図である。 レーザチップを説明するための図である。 レーザチップにおける複数の発光部の配列状態を説明するための図である。 1/4波長板の傾斜を説明するための図である。 1対のブロックを説明するための図である。 図16のA−A断面図である。 ブロックの大きさを説明するための図である。 1/4波長板が1対のブロックに保持されている状態を説明するための図である。 図19のA−A断面図である。 レーザチップと1/4波長板の位置関係を説明するための図である。 パッケージ部材の変形例を説明するための図である。 図22のA−A断面図である。 図22のパッケージ部材における1/4波長板の保持状態を説明するための図である。 カラープリンタの概略構成を示す図である。 光伝送モジュール及び光伝送システムの概略構成を説明するための図である。 図26における光ファイバケーブルを説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図21を用いて説明する。図1には、一実施形態に係るレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、光源14、カップリングレンズ15、開口板16、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング30の所定位置に組み付けられている。
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1030の長手方向に沿った方向をY軸方向、各走査レンズ(11a、11b)の光軸に沿った方向をX軸方向として説明する。
また、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源14は、一例として図3〜図8に示される光デバイス100を含んでいる。
この光デバイス100は、レーザチップ110、該レーザチップ110を保持するパッケージ部材120、カバーガラス140、1/4波長板150、及び該1/4波長板150を保持する1対のブロック155などを有している。
なお、図3は、光デバイス100の平面図であり、図4は、図3におけるカバーガラス140を除いたときの図である。また、図5は、図4における1/4波長板150を除いたときの図である。さらに、図6は、図3のA−A断面図であり、図7は、図3のB−B断面図であり、図8は、図3のC−C断面図である。
パッケージ部材120は、いわゆる積層セラミックパッケージであり、その+X側には、図9及び図10に示されるように、周囲が壁で囲まれている空間領域121を有している。ここでは、図9及び図10におけるL1は3.2mm、L2は4mm、L3は10mm、L4は14mmである。また、図10におけるt1は0.5mm、t2は0.5mm、t3は0.9mmである。
そして、図10に示されるように、空間領域121の底面には金属板128が設けられ、該金属板128は、パッケージ部材120の−X側の面に設けられているパッケージ電極127と電気的に接続されている。
また、空間領域121の壁は、一例として2段の段付構造となっており、その−X側の段部(1段目の段部)に複数(ここでは、32個)のパッケージ電極126が設けられている。各パッケージ電極126は、パッケージ部材120の側面を通って−X側の面に露出している。そして、一例として図11に示されるように、パッケージ部材120の−X側の面では、中央部にパッケージ電極127が位置し、周辺部に複数のパッケージ電極126が位置している。なお、図4及び図5では、複数のパッケージ電極126の図示を省略している。
レーザチップ110は、一例として図12に示されるように、空間領域121の底面のほぼ中央であって、金属板128上に保持されている。すなわち、レーザチップ110は、周囲が壁で囲まれている領域の底面上に保持されている。
このレーザチップ110は、一例として図13に示されるように、2次元的に配列されている32個の発光部、及び32個の発光部の周囲に設けられ、各発光部に対応した32個の電極パッドを有している。また、各電極パッドは、対応する発光部と配線部材によって電気的に接続されている。ここでは、図13におけるL11は1.2mm、L12は1.2mmである。また、レーザチップ110の厚さは0.3mmである。そして、各電極パッドが、それぞれボンディングワイヤ112によって対応するパッケージ電極126と電気的に接続されている。
32個の発光部は、図14に示されるように、全ての発光部をZ軸方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しく(図14では「c」)なるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。ここでは、一例として、c=2.65μmである。また、Y軸方向に関する発光部間隔(図14におけるX)は30μmであり、Z軸方向に関する発光部間隔(図14におけるd)は18.4μmである。
ここでは、各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、レーザチップ110は、いわゆる面発光レーザアレイである。そして、レーザチップ110は、レーザ光の射出面がYZ面に平行になるように、そのn側電極が、導電性を有する接着剤を用いて、パッケージ部材120の金属板128に接合されている。
1/4波長板150は、空間領域121内であって、レーザチップ110の+X側に配置されている。この1/4波長板150は、構造複屈折を利用した長方形状の1/4波長板である。ここでは、1/4波長板150は、厚さTが0.3mm、長辺の長さが4.5mm、短辺の長さLが1mmである。そして、長手方向がY軸方向と一致し、長手方向に平行な中心軸まわりに傾斜角θ(ここでは、約15°)で傾斜している(図15参照)。
ところで、レーザチップ110から射出され、1/4波長板150の−X側の面で反射された戻り光は、レーザチップ110の射出面に対して入射角が付与されると、共振波長のシフトにより、共振器構造体の内部への進入を阻止することができる。この共振波長のシフトにより戻り光の影響を無くすには、波長のシフト量が、例えば2nm(共振波長幅と温度変化による波長シフト分のマージンを持たせた下限値)〜10nm(半導体DBRの帯域幅から決まる上限値)程度となるように、1/4波長板150の傾斜角度θを15°〜30°程度とすれば良い。
1対のブロック155は、それぞれ樹脂成型品であり、一例として図16に示されるように、空間領域121の壁における1段目の段部上に、レーザチップ110を間に挟んで、Y軸方向に関して対向して配置されている。各ブロック155は、XZ面に平行な断面が、くさび形状の最鋭角部分をカットした形状である。各ブロック155の+X側の面は、一例として図17に示されるように、1/4波長板150の傾斜角θに対応して、Z軸方向に対して角度θ(ここでは、15±1°)で傾斜している。ここでは、図18におけるL21は1mm、L22は0.5mm、L23は0.2mmである。なお、各ブロック155の形状は、これに限定されるものではない。1/4波長板150が載置される面(保持面)が、Z軸方向に対して角度θで傾斜していれば良い。
図19及び図20に示されるように、各ブロック155の+X側の面上に1/4波長板150が載置され、接着剤で固定される。なお、図20は、図19のA−A断面図である。このときの、1/4波長板150とレーザチップ110とのX軸方向に関する位置関係が、図21に示されている。ここでは、図21におけるL31は0.3mmである。
ここでは、レーザチップ110の+X側の面とカバーガラス140の−X側の面との距離は、約0.6mmであり、その間に1/4波長板150が配置されている。すなわち、(T・cosθ+L・sinθ)の値を0.6mm未満とすることが可能である。
そして、空間領域121の壁の+X側の段部(2段目の段部)に、空間領域121を密閉するようにカバーガラス140がエポキシ樹脂系接着剤で接合されている。これによって、レーザチップ110を保護している。ここでは、カバーガラス140の表面は、YZ面に平行である。この場合、接着層の厚さや接着幅は従来と同等の値を維持できるので、光デバイス100の耐湿封止性能は、従来と同程度の性能を確保することができる。
この光デバイス100は、レーザチップ110に駆動電流を供給する光源制御装置(不図示)とともに、回路基板(不図示)に実装されている。
また、光源14は、X軸方向に平行な軸回りに回動できるように光学ハウジング30に取り付けられている。これにより、感光体ドラム1030の表面に集光される光束の副走査方向のピッチが所定のピッチとなるように調整することができる。
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源14から出力された光束を略平行光とする。
開口板16は、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ17は、開口板16の開口部を通過した光束を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が18mmの6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、Z軸方向に平行な軸回りに等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る光デバイス100によると、レーザチップ110と、周囲が壁で囲まれている空間領域121の底面上にレーザチップ110を保持するパッケージ部材120と、レーザチップ110の射出面に平行に配置され、空間領域121を密閉するカバーガラス140と、空間領域121内に、前記射出面に対して傾斜して配置された1/4波長板150とを有している。
この場合は、パッケージ部材の構造や封止性能を大きく変えることなく、レーザチップ110から射出され、1/4波長板150の表面で反射された光束がレーザチップ110に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。すなわち、高コスト化を招くことなく、戻り光の影響を低減することができる。そこで、高い出力で動作させても、安定した出力を得ることができる。
また、1/4波長板150は、長方形の板状部材であり、長手方向に平行な中心軸まわりに傾斜している。この場合は、レーザチップ110とカバーガラス140との間隔を変更(大きく)することなく、レーザチップ110とカバーガラス140との間に1/4波長板150を傾斜して配置することができる。
また、1/4波長板150は、その長手方向の両端近傍が、1対のブロック155で保持されており、各ブロック155の保持面は、1/4波長板150の傾斜角に対応して傾斜している。この場合は、容易に精度良く、1/4波長板150を傾斜して配置することができる。
また、1/4波長板150は、その長手方向の両端近傍で固定されているため、短辺の長さLが1mm程度であっても、十分な接着面積を確保することができる。そして、短辺の長さLを1mm程度まで小さくすることが可能なため、傾斜角を変更することなく、(T・cosθ+L・sinθ)の値を小さくすることができる。
また、1/4波長板150は、構造複屈折を利用している。この場合は、1/4波長板150の厚さTを薄くすることができる。そこで、傾斜角を変更することなく、(T・cosθ+L・sinθ)の値を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る光走査装置1010は、光源14が光デバイス100を有しているため、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことができる。
また、光源14が複数の発光部を有しているため、同時に複数の光走査が可能となり、画像形成の高速化を図ることができる。
そして、レーザチップ110では、全ての発光部をZ軸方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しくなるように配置されているため、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で光源が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
例えば、光学系の倍率を2倍とすれば、感光体ドラム1030上では副走査方向に5.3μm間隔で書き込みドットを形成することができる。これは、4800dpi(ドット/インチ)に対応している。すなわち、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査方向に対応する方向の面発光レーザ数を増加したり、前記ピッチdを狭くして間隔cを更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、光源の点灯のタイミングで容易に制御できる。
また、この場合には、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
そして、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能である。
また、光源14が複数の発光部を有しているため、画像の高密度化を図ることができる。
なお、上記実施形態において、前記パッケージ部材120に代えて、一例として図22及び図23に示されるパッケージ部材120Aを用いても良い。このパッケージ部材120Aでは、一例として図24に示されるように、1/4波長板150の長手方向の一側の端部近傍が、空間領域の壁の段部に支持されている。この場合は、前記1対のブロック155は不要である。
この場合は、1/4波長板150の傾斜角を厳密に規定することは困難であるが、1/4波長板150の傾斜角を15°〜30°の範囲内とするのは容易である。
また、上記実施形態では、レーザチップ110が32個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、レーザチップ110の各発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
また、上記実施形態では、光デバイス100が、複数の発光部が2次元配列されているレーザチップ110を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光デバイス100が、前記レーザチップ110に代えて、複数の発光部が1次元配列されているレーザチップを有していても良い。
また、上記実施形態では、1/4波長板150が、構造複屈折を利用した1/4波長板である場合について説明したが、これに限定されるものではない。レーザチップ110とカバーガラス140との間に、傾斜角θで配置できれば良い。
また、上記実施形態における各寸法は一例であり、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば良い。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、例えば、図25に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用のステーション(感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6)と、シアン用のステーション(感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6)と、マゼンタ用のステーション(感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6)と、イエロー用のステーション(感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6)と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図25中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光走査が行われ、各感光体ドラムに潜像が形成される。
そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が順次転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、前記光源14と同様な光源を色毎に有している。従って、前記光走査装置1010と同様な効果を得ることができる。
そして、カラープリンタ2000は、前記レーザプリンタ1000と同様な効果を得ることができる。
なお、タンデム方式の多色カラープリンタでは、機械精度等で各色の色ずれが発生する場合があるが、点灯させる発光部を選択することで各色の色ずれの補正精度を高めることができる。
また、このカラープリンタ2000において、光走査装置を1色毎に設けても良いし、2色毎に設けても良い。
また、上記実施形態では、光走査装置1010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
また、上記実施形態では、光デバイス100が光走査装置に用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。その場合には、レーザチップ110の各発光部の発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
図26には、光伝送システム3000の概略構成が示されている。この光伝送システム3000は、光送信モジュール3001と光受信モジュール3005が光ファイバケーブル3004で接続されており、光送信モジュール3001から光受信モジュール3005への一方向の光通信が可能となっている。
光送信モジュール3001は、光源3002と、外部から入力された電気信号に応じて、光源3002から出力されるレーザ光の光強度を変調する駆動回路3003とを有している。
光源3002は、前記光デバイス100と同様な光デバイス100Aを有している。
光源3002から出力された光信号は、光ファイバケーブル3004に結合し、該光ファイバケーブル3004を導波して光受信モジュール3005に入力される。なお、光ファイバケーブル3004は、一例として図24に示されるように、光デバイス100Aの複数の発光部にそれぞれ対応する複数の光ファイバを有している。
光受信モジュール3005は、光信号を電気信号に変換する受光素子3006と、受光素子3006から出力された電気信号に対して信号増幅、及び波形整形等を行う受信回路3007とを有している。
光送信モジュール3001によると、光源3002が光デバイス100Aを有しているため、高コスト化を招くことなく、高品質の光信号を生成することが可能となる。
また、光伝送システム3000によると、光送信モジュール3001を備えているため、高コスト化を招くことなく、高品質の光伝送を行うことが可能となる。
そこで、光伝送システム3000は、家庭用、オフィスの室内用、機器内用等の短距離のデータ通信にも有効である。また、機器間の他にも、ボード間、チップ間、チップ内インターコネクションに応用することもできる。
また、均一な特性を有する複数の発光部が同一基板上に集積されているため、容易に、同時に多数ビームによるデータ伝送が可能となり、高速通信ができる。
さらに、面発光レーザは低消費電力で動作するので、特に機器の中に組み込んで利用した場合、温度上昇を低減させることができる。
なお、ここでは、発光部と光ファイバとを1対1に対応させる場合について説明したが、発振波長の異なる複数の発光部を用いて波長多重送信することにより、伝送速度をさらに増大させることも可能である。
また、ここでは、一方向通信の構成例を示しているが、双方向通信の構成をとることもできる。
以上説明したように、本発明の光デバイスによれば、高コスト化を招くことなく、戻り光の影響を低減するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高コスト化を招くことなく、高精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成するのに適している。また、本発明の光伝送モジュールによれば、高コスト化を招くことなく、高品質の光信号を生成するのに適している。また、本発明の光伝送システムによれば、高コスト化を招くことなく、高品質の光伝送を行うのに適している。
11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源、100…光デバイス、100A…光デバイス、110…レーザチップ(面発光レーザアレイ)、120…パッケージ部材(セラミックパッケージ部材)、120A…パッケージ部材(セラミックパッケージ部材)、140…カバーガラス(ガラス板)、150…1/4波長板、155…ブロック(固定部材)、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、3000…光伝送システム、3001…光送信モジュール(光伝送モジュール)、3002…光源、3003…駆動回路(駆動装置)、3004…光ファイバケーブル(光伝達媒体)、3006…受光素子(変換器の一部)、3007…受信回路(変換器の一部)、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。
特開昭61−001077号公報 特表2003‐534669号公報

Claims (7)

  1. 同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイと、周囲が壁で囲まれている領域の底面上に前記面発光レーザアレイを保持するセラミックパッケージ部材と、前記壁と底面とで囲まれている領域を密閉するガラス板とを備える光デバイスにおいて、
    前記ガラス板は、前記面発光レーザアレイにおけるレーザ光の射出面に平行であり、
    前記壁と底面とで囲まれている領域内に、前記射出面に対して傾斜して配置された1/4波長板を更に備え、
    前記1/4波長板は、長方形の板状部材であり、長手方向に平行な中心軸まわりに傾斜しており、
    前記周囲の壁の少なくとも一部は、段付き構造を有し、
    前記1/4波長板の長手方向の一側の端部近傍は、前記周囲の壁の段部の底面及び角部に支持されていることを特徴とする光デバイス。
  2. 前記1/4波長板は、構造複屈折を利用した波長板であることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
  3. 光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
    請求項1又は2に記載の光デバイスを有する光源と;
    前記光源からの光を偏向する偏向器と;
    前記偏光器で偏向された光を被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
  4. 少なくとも1つの像担持体と;
    前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの請求項3に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
  5. 前記画像情報は、多色のカラー画像情報であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 入力される電気信号に応じた光信号を生成する光伝送モジュールであって、
    請求項1又は2に記載の光デバイスと;
    前記光デバイスを、前記入力される電気信号に応じて駆動する駆動装置と;を備える光伝送モジュール。
  7. 請求項6に記載の光伝送モジュールと;
    前記光伝送モジュールで生成された光信号を伝達する光伝達媒体と;
    前記光伝達媒体を介した光信号を電気信号に変換する変換器と;を備える光伝送システム。
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