JP5471119B2 - ループ型ヒートパイプ、電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発熱体の冷却に用いるループ型ヒートパイプに関するものである。
ループ型ヒートパイプは、吸熱部、放熱部、吸熱部と放熱部とを連結する蒸気管および液管を備え、それらの内部には作動流体が封入されている。ループ型ヒートパイプは、吸熱部において外部の発熱源から熱を吸収し、吸収した熱を放熱部へ輸送し熱を放出することにより、吸熱部に接する外部の発熱源を冷却する。
吸熱部は、液管から流入する作動流体の入口と、蒸気管へ流出する作動流体の出口と、入口と出口とを隔てるウィック(多孔質体)とを備える。液相の作動流体はウィックの入口側の表面からウィックの微細な孔に浸透し、保持される。ウィックにおいて保持された液相の作動流体は、外部の発熱源から吸熱部に供給される熱で気相へと変化し、ウィックの出口側の表面から蒸気管へと流出する。この吸熱部内における作動流体の相変化により、発熱体は冷却される。気相の作動流体は、熱を伴って蒸気管を通って放熱部に移動する。気相の作動流体は放熱部において放熱し、気相から液相へ変化する。液相の作動流体は液管を通って吸熱部に戻る。このような作動流体の循環が繰り返されることで、発熱体の冷却が連続して行われる。
液相の作動流体が吸熱部に存在しない状態(ドライアウト状態)で加熱を行うと、ループ型ヒートパイプは外部の発熱源を冷却できないという問題がある。吸熱部は再起動前にドライアウト状態になりやすい。また、この問題は、たとえば、吸熱部が放熱部よりも上方にある状態(トップヒート状態)や、吸熱部と放熱部とを水平に配置した状態で生じやすい。実装上の制約等から、トップヒート状態や水平に配置した状態で、ループ型ヒートパイプを外部の発熱源に搭載する場合がある。
米国特許第4765396号明細書
本発明は、起動時にドライアウト状態になるのを防止するループ型ヒートパイプを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、
液相と気相の作動媒体とを内部に含むループ型ヒートパイプにおいて、
前記液相又は気相の作動媒体へ外部の熱を与える吸熱部と、
前記液相又は気相の作動媒体から外部へ熱を放出する放熱部と、
作動時に前記吸熱部から前記放熱部へ前記気相の作動媒体を輸送する蒸気流路と、
作動時に前記放熱部から前記吸熱部へ前記液相の作動媒体を輸送する液流路と
を有する少なくとも一つの環状流路を備え、
少なくとも一つの前記蒸気流路が少なくとも一つの前記吸熱部に熱的に接続されたことを特徴とするループ型ヒートパイプが提供される。
本発明のループ型ヒートパイプによれば、蒸気流路が吸熱部に熱的に接続されることで、蒸気流路内の液相の作動流体の一部が気化し膨張することにより、液流路内の気相の作動流体の圧力が高くなり、一部は液化する。また、蒸気流路内の液相の作動流体の一部が気化し膨張することにより、液流路内で液化した作動流体は吸熱部内へ押し出される。このように、吸熱部がドライアウト状態になるのを防止できる。
第1実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。 第1実施形態のループ型ヒートパイプにおいて、第1吸熱部及びその周辺部を拡大した断面図である。 図1のQ1−Q2を通り、且つ図2のA1−A2を通る断面を示す模式図である。 第1実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。 第1実施形態のループ型ヒートパイプの部分模式図である。 フロンR−141bの蒸発潜熱の温度依存性を示すグラフである。 第1蒸気管と熱的に接触している発熱素子の起動後の温度−時間プロファイルである。 第1蒸気管と熱的に接触している発熱素子の起動後の電力−時間プロファイルである。 起動後の時間に対して第1蒸気管内で気化する作動流体の蒸気量をプロットしたグラフである。 第1実施形態のループ型ヒートパイプの部分模式図である。 第1実施形態の変形例を示す模式図である。 第1実施形態の別の変形例を示す模式図である。 第2実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。
図1は、第1実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。第1実施形態のループ型ヒートパイプは、第1吸熱部11、第1蒸気管14、第1凝縮管13、第1液管15で構成される第1環状流路L1と、第2吸熱部21、第2蒸気管24、第2凝縮管23、第2液管25で構成される第2環状流路L2を備える。第1環状流路L1及び第2環状流路L1の内部には、作動時に液相及び気相の作動流体(作動媒体)が封入されている。図1において、ループ型ヒートパイプの定常動作時における液相の作動流体64と気相の作動流体65の配置が示されている。定常動作時とは、吸熱部(本実施形態における第1吸熱部11及び第2吸熱部21)に供給される熱が、作動媒体を介して放熱部(本実施形態における放熱部52)へと輸送される動作の最中を意味する。
第1吸熱部11と第2蒸気管24とは近傍に配置され伝熱ブロック12を介して熱的に接続されている。第2吸熱部21と第1蒸気管14とは近傍に配置され伝熱ブロック22を介して熱的に接続されている。伝熱ブロック12及び22は、例えば、銅などの熱伝導性が高い金属を用いて形成される。伝熱ブロック12及び22は、更に、それぞれ電子装置の発熱素子など外部の発熱体(図示せず)と接触している。なお、図1において、伝熱ブロック12及び22は、それぞれ第1吸熱部11及び第2吸熱部21に重なるように描かれているが、伝熱ブロック12及び22と第1吸熱部11及び第2吸熱部21との詳細な位置関係は図2及び図3を用いて後述する。
第1吸熱部11は、外部の発熱体から熱を吸収する。ループ型ヒートパイプの定常動作時、液相の作動流体は第1液管15を通って入口17から第1吸熱部11へ流入する。流入した液相の作動流体は、外部の発熱源から第1吸熱部11に供給される熱で気相へと変化し、第1蒸気管14へと流出する。同様に、第2吸熱部21は、外部の発熱体から熱を吸収する。ループ型ヒートパイプの定常動作時、液相の作動流体は第2液管25を通って入口27から第2吸熱部21へ流入する。流入した液相の作動流体は、外部の発熱源から第2吸熱部21に供給される熱で気相へと変化し、第2蒸気管24へと流出する。この第1吸熱部11及び第2吸熱部21における作動流体の相変化により外部の発熱体(図示せず)は冷却される。第1吸熱部11及び第2吸熱部21の詳細な構造については、図2、図3を用いて後述する。
第1蒸気管14は、第1吸熱部11の出口18と第1凝縮管13とを連結する。第1蒸気管14は、定常動作時において出口18から流出する気相の作動流体を第1凝縮管13に輸送する働きを有する。第1凝縮管13は、第2吸熱部21の近傍に配置され、伝熱ブロック12を介して熱的に接続されている。このため、第1凝縮管13は第2吸熱部21が冷却する外部の発熱体から熱を吸収する。同様に、第2蒸気管24は、第2吸熱部21の出口28と凝縮管23とを連結する。出口28から流出した気相の作動流体は、熱を伴って第2蒸気管24を通って凝縮管23に移動する。第1凝縮管13は、第2吸熱部21の近傍に配置され、伝熱ブロック12を介して熱的に接続されている。このため、第1凝縮管13は第2吸熱部21が冷却する外部の発熱体から熱を吸収する。
第1凝縮管13と第2凝縮管23とは、放熱フィン51に接触している。第1凝縮管13と第2凝縮管23と放熱フィン51とが放熱部52を構成する。第1凝縮管13は、第1蒸気管14と第1液管15とを連通し、第2凝縮管23は、第2蒸気管24と第2液管25とを連通する。放熱部52は、第1吸熱部11の出口18から第1蒸気管14を経由して送られた気相の作動流体の熱、及び第2吸熱部21の出口28から第2蒸気管24を経由して送られた気相の作動流体の熱を受け取り外部に放出する。このとき、第1凝縮管13と第2凝縮管23の内部で、気相の作動流体は気相から液相へ変化する。第1凝縮管13液化した作動流体は、第1液管15を通って入口17から吸熱部11に戻り、第2凝縮管23の内部で液化した作動流体は、第2液管25を通って入口27から吸熱部21に戻る。
蒸気管(第1蒸気管、第2蒸気管)、及び液管(第1液管、第2液管)の材料、形状は特に限定されない。蒸気管及び液管を構成する材料として、銅などの金属材料を用いることができる。また、形状の例として、蒸気管の内径が5mm、外径が6mmのとき、液管の内径は3mm、外径は4mmである。別の形状の例として、蒸気管の内径が4mm、外径が5mmのとき、液管の内径は3mm、外径は4mmである。
放熱部52の形態、材質は特に限定されないが、例えば、第1凝縮管13及び第2凝縮管23として銅などの金属管を用い、放熱フィン51として金属管の周囲に設けた銅などのフィン板を用いて構成することができる。
定常動作時に、第1環状流路L1及び第2環状流路L2において、それぞれ作動流体の循環が繰り返されることで、外部の発熱体の冷却が行われる。
図2は、第1実施形態のループ型ヒートパイプにおいて、第1吸熱部11及びその周辺部を示す。図2は、図1におけるP1−P2間を通り第1吸熱部11から伝熱ブロック12に向かう方向の断面を示している。
第1吸熱部11は、ケース60に形成された液相作動流体65の入口17と、ケース60に形成された気相の作動流体64の出口18と、入口17と出口18とを隔てるウィック(多孔質体)61とを備える。入口17とウィック61との間に液供給通路62が設けられている。また、ウィック61と出口18との間に蒸気通路63が設けられている。ウィック61の入口17に近い部分に、断熱材からなるシール部材68が設けられていてもよい。第1吸熱部11は、発熱素子72から熱を効率よく吸収するため、伝熱ブロック12に覆われるように接している。伝熱ブロック12は、例えばプリント板73に実装されたCPUなどの発熱素子(発熱体)72と受熱部71を介して接している。受熱部71は,発熱素子72とプリント板73の凹凸や反りを吸収し,熱接触性を向上させる。受熱部71は、一般に、シート状やグリーズ状である。受熱部71は、いわゆるThermal Interface Material(TIM)と呼ばれる材料からなる。TIMのなかでも、熱伝導率が高く、実装場所によっては更に絶縁性を備えたものが好ましく用いられる。
ケース60は、例えば、銅、ステンレス鋼などの金属材料で製造される。
ウィック61は、微細な細孔を有する。作動流体は、微細な細孔の内部で働く毛細管力により微細な細孔の内部に浸透する。ウィック61の細孔径は、例えば1〜5μm程度である。ウィック61は、作動流体の流量と、流れる方向を安定させる。ループ型ヒートパイプの定常動作時、液相の作動流体65は、第1液管15を通って入口17から液供給通路62へ流入する。流入した液相の作動流体65はウィック61の入口17側の表面から、毛細管現象によりウィック61の微細な孔に浸透し、保持される。ウィック61において保持された液相の作動流体は、外部の発熱源から第1吸熱部11に供給される熱で気相へと変化し、ウィック61の出口18側の表面から、蒸気通路63を通って出口18へ向かう。さらに、気相の作動流体は出口18を通って第1蒸気管14へと流出する。外部の発熱体は、第1吸熱部11における作動流体の相変化により冷却される。ウィック61は、例えば、銅、ニッケルなどの金属を焼結して製造される。
図3は、図1のQ1−Q2と図2のA1−A2とを通る断面を示す模式図である。第2蒸気管24は、第1吸熱部11の近傍に配置される。第2蒸気管24は、伝熱ブロック12、受熱部71を介して発熱素子72に接している。第2蒸気管24は、発熱素子72から熱を効率よく吸収するため、伝熱ブロック12に覆われるように接している。
なお、第2吸熱部21、第1蒸気管14、及びその周辺部は、上記第1吸熱部11、第2蒸気管24、及びその周辺部と同様の構成であるため説明を省略する。
本実施形態のループ型ヒートパイプは、ある環状流路の蒸気通路が別の環状流路の吸熱部の近傍に配置され、熱的に接続されている。すなわち、第1蒸気管14が第2吸熱部21に熱的に接続され、第2蒸気管24が第1吸熱部14に熱的に接続されている。このような構造のループ型ヒートパイプは、液相の作動媒体を吸熱部1に存在させるため、すなわち、吸熱部1がドライアウト状態になるのを防止することができる。
図4は、図1と同様、第1実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。図4において、ループ型ヒートパイプの動作前における液相の作動流体65と気相の作動流体64の配置の一例が示されている。例えば、図4の下方向に重力場が働くときの作動媒体の配置は図4のようになる。なお、液相の作動流体65と気相の作動流体64の配置は、図4に示される配置に限定されるものではない。
第1蒸気管14は、気相の作動流体64だけでなく、液相の作動流体65を含む。第1蒸気管14内の液相の作動媒体65は、第2吸熱部21に熱を与える発熱体から熱を受け取り、気化する。上述のとおり、第1吸熱部11は、ウィック(図示せず)で入口17と出口18を隔てられている。気相の作動流体はウィックを通過することができる。ウィック内の気相の作動流体の通過速度は、第1蒸気管14及び第1液管15内の気相の通過速度よりも遅い。よって、第1蒸気管14内で気化した作動媒体は、ウィックの存在により、吸熱部11から放熱部52に向かって膨張する。膨張した気体は、液相の作動流体65及び第1液管15内の気相の作動流体64を入口17の方向へ押す。第1蒸気管14内における気相の作動流体の膨張により、第1液管15内の気相の作動流体は圧縮され、一部は液化しながら第1吸熱部へと流入する。第1吸熱部11に液相の作動媒体が存在しない状態(いわゆるドライアウト状態)であったとしても、このように液相の作動流体を第1吸熱部11へ流入させることにより、第1環状流路の定常動作時の作動流体の流動を回復することができる。
第2蒸気管24は、気相の作動流体64だけでなく液相の作動流体65を含む。第2蒸気管24内の液相の作動流体65も、第1蒸気管14内と同様、第1吸熱部11に熱を与える発熱体から熱を受け取り、気化する。すると、第1環状流路と同様の作用が生じ、液相の作動流体を第2吸熱部21へ流入させ、第2環状流路の定常動作時の作動流体の流動を回復することができる。
このように、本実施形態のループ型ヒートパイプは、ある環状流路の蒸気管が、別の環状流路の吸熱部に接する外部の発熱体から熱を吸収することにより、そのある環状流路の吸熱部に液相の作動流体を送ることができ、吸熱部がドライアウト状態になるのを防止できる。よって、本実施形態のループ型ヒートパイプは起動が容易である。
以下、第1実施形態のループ型ヒートパイプの第1シミュレーション結果を図5〜図9、及び第1表〜第2表を用いて説明する。
図5は、第1実施形態のループ型ヒートパイプの第1シミュレーション条件を説明する模式図である。図5において、第1吸熱部11、第1蒸気管14、第1凝縮管13、及び第1液管15からなる第1環状流路、並びに伝熱ブロック12、22のみが示されている。ループ型ヒートパイプの主要部の寸法は次のとおりである。
吸熱部11の長さ:50mm
ウィック(図5において図示せず)の内径(図3における液供給通路62の直径):5mm
第1蒸気管14の長さ:250mm
第1蒸気管14の外径:5mm
第1蒸気管14の内径:4mm
第1凝縮管13の長さ:250mm
第1凝縮管13の内径:4mm
第1液管15の長さ:250mm
第1液管15の内径:4mm
図5は、ループ型ヒートパイプの動作前における液相の作動流体65と気相の作動流体64の配置が示されている。第1液管15内において、液相の作動媒体と気相の作動媒体の境界をA部とし、第1蒸気管14内において、液相の作動媒体と気相の作動媒体の境界をC部とする。
第1環状流路の容積は10.4ccである。液相の作動流体は第1環状流路の容積の60%(6.24cc)封入されている。放熱部52よりも第1吸熱部11のほうが高い、いわゆるトップヒート状態である。第1吸熱部11に液相の作動流体がない状態を初期状態とする。このとき、図5において、流路長X1は126.7mm、X2は123.3mm、X3は250mm、X4は123.3mm、X5は126.7mm、X6は50mmである。第1蒸気管14において、伝熱ブロック22が接触している部分に液相の作動流体が存在する。伝熱ブロック22の端部は、作動流体の気液の境界Cと重なっている。
第1液管14のA部から第1吸熱部の入口17までの容積は、液管内径から1.6ccである。したがって、ウィックに液相の作動流体を供給するためには、最大で1.6cc分の液相の作動流体を放熱部52から吸熱部11へ向かって動かせばよい。
作動流体は、フロンR−141b(ハイドロクロロフルオロカーボン、HCFC−141b)とする。第1表に、フロンR−141bの物性値を示す。
蒸発潜熱は、温度によって変化するので、リデールの式(A)を用いてR−141bの標準沸点での蒸発潜熱の値Lを求め、ワッソンの式(B)から各温度において、R−141bが気化する際の蒸発潜熱Lを求めることができる。
ここで、Rは気体定数、Tは臨界温度、Pは臨界圧力、TbrおよびTr1は沸点の対臨界温度、Tr2はある温度の対臨界温度である。図6は、上記式(A)及び式(B)を用いて求めたフロンR−141bの蒸発潜熱の温度依存性を示すグラフである。
図7は、第1蒸気管11と熱的に接触している発熱素子の起動後の温度−時間プロファイルである。図8は、第1蒸気管11と熱的に接触している発熱素子の起動後の電力−時間プロファイルである。図7及び図8から、起動後t秒後の発熱素子の温度と電力を知ることができる。
第2表は、起動後の時間(sec)と、CPU温度(℃)、CPU電力(W)、蒸発潜熱(kJ/kg)、蒸気の流量(cc/mm)、及び蒸気量(cc)との関係を示す表である。CPU温度(℃)は図8から、CPU電力(W)は図7から求める。蒸発潜熱(kJ/kg)は、起動後の各時間におけるCPU温度と図6とを用いて求める。起動後、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒における蒸発潜熱とそのときの電力、及びフロンR−141bの密度、分子量を利用して、各時間における蒸気の流量を求める。蒸気の流量(cc/min.)は、下記式(C)より求める。
蒸気の流量=(1/A)/d×CPU電力 (C)
但し、Aは蒸発潜熱(kJ/kg)、dは密度(kg/m)、であり、1kJ=0.277Whなどの単位換算が適宜行なわれる。式(C)より得られる蒸気の流量に経過時間をかけることによって,蒸気量(cc)を求めることができる。
図9は、起動後の時間に対して第1蒸気管14内で気化する作動流体の積算の蒸気量をプロットしたグラフである。図9から蒸気量が1.6ccに達するには装置起動から10秒程度であることわかる(斜線部参照)。
上記シミュレーションは、第1蒸気管14において、伝熱ブロック22が接続されている部分に液相の作動流体が存在する。このとき、蒸気管14の内部で発生した蒸気は、ウィックが抵抗となるため、第1吸熱部11内のウィックを通って第1液管15側へは移動しない。したがって、蒸気管内部の液相で気化した作動流体は、凝縮管と液管にある液相の作動流体を押し出して、吸熱部に液相の作動流体を供給し、ウィックを湿潤させることができる。
ただし、実際には第1液管15内の気相の作動流体が圧縮されることにより一部液化するため、第1液管15内の液相と気相の境界が第1吸熱部11へ達する前に、第1吸熱部11内へ液相の作動流体を送ることができると予想される。
以下、第1実施形態のループ型ヒートパイプの第2シミュレーション結果を図10、及び第3表を用いて説明する。
図10は、第1実施形態のループ型ヒートパイプの第2シミュレーション条件を説明する模式図である。図10において、第1吸熱部11、第1蒸気管14、第1凝縮管13、及び第1液管15からなる第1環状流路、並びに伝熱ブロック12、22のみが示されている。
第1シミュレーションと同様、第1吸熱部11に液相の作動流体がない状態を初期状態とする。このとき、第1蒸気管14において、伝熱ブロック22が接触している部分に気相の作動流体が存在する。伝熱ブロック22の中心であるB部から第1吸熱部11までの流路長Y1が60mm、B部からC部までの流路長Y2が66.7mmであることを除き、第1シミュレーションと同様の条件とする。
第1蒸気管14において、伝熱ブロック22が接続されている部分に液相の作動流体は存在しない。しかし、このような場合でも、B部からC部への熱移動によりC部は加熱され、C部近傍の液相の作動流体を蒸発させることができる。第1蒸気管の材料は銅とする。
第3表は、起動後の時間(sec)と、CPU温度T(℃)、CPU電力Q(W)、C部における温度T(℃)、熱量Q(W)、蒸発潜熱(kJ/kg)、蒸気の流量(cc/mm)、及び蒸気量(cc)との関係を示す表である。CPU温度T(℃)は図8から、CPU電力Q(W)は図7から求める。C部における温度Tは、次式(D)によって求める。
ここで、kは銅の熱伝導率、Sは管断面積、Cは熱容量、Lは上記流路長Y2、tは起動後の時間である。
C部における熱量Qcは、B−C間の放熱を考慮することで、すなわち、下記式(E)、(F)を用いて求める。
ここで,Qは、B−C間の管壁からの放熱、hは自然対流における銅の熱伝達係数(=244.2(W/mK)、Aは管の表面積,Tair=25℃とする。
蒸発潜熱(kJ/kg)は、起動後の各時間における温度Tと図6とを用いて求める。
起動後、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒における蒸発潜熱と、そのときの熱量Qc、及びフロンR−141bの密度、分子量を利用して電力に対応する蒸気の流量を求める。蒸気の流量(cc/min.)は、下記式(C)より求める。
蒸気の流量=(1/A)/d×Qc (G)
但し、Aは蒸発潜熱(kJ/kg)、dは密度(kg/m)、であり、1kJ=0.277Whなどの単位換算が適宜行なわれる。式(G)より得られる蒸気の流量に経過時間をかけることによって,蒸気量(cc)を求めることができる。
発熱素子起動後、10数秒で1.6ccの蒸気が発生することがわかる。第2シミュレーションは、第1蒸気管14において、伝熱ブロック22が接続されている部分に気相の作動流体が存在する。よって、起動後、C部における温度上昇に要する時間は、第1シミュレーションよりもB部からC部への熱移動に要する時間のぶんだけ長くなるが、その差はごくわずかである。
上記第1及び第2シミュレーションより、蒸気管14において、伝熱ブロック22が接続される場所は、ループ型ヒートパイプの動作前において内部に液相の作動流体が存在する部分であってもよいし、放熱部よりも吸熱部に近く気相の作動流体が存在する部分であってもよい。蒸気流路が吸熱部に熱的に接続されることで、吸熱部がドライアウト状態になるのを防止できる。
図11は、第1実施形態の変形例を示す模式図である。尚、本変形例において、第1実施形態のループ型ヒートパイプと同様の構成は、説明を省略する。本変形例のループ型ヒートパイプは、2つの環状流路(L1,L2)の凝縮管(13,23)に、それぞれ放熱フィン(51,53)を接触させている。
図12は、第1実施形態の別の変形例を示す模式図である。尚、本変形例において、第1実施形態のループ型ヒートパイプと同様の構成は、説明を省略する。本変形例のループ型ヒートパイプは、第1環状流路L1の第1吸熱部11が第2管状流路L2の第2蒸気管24の近傍に配置され熱的に接続し、第2環状流路L2の第2吸熱部21が第3管状流路L3の第3蒸気管34の近傍に配置され熱的に接続し、第3環状流路L3の第3吸熱部31が第1管状流路L1の第1蒸気管14の近傍に配置され熱的に接続している。第1環状流路L1の第1凝縮管13と第2環状流路L2の第2凝縮管23には共通の放熱フィン51が接している。第3環状流路L3の凝縮管33には放熱フィン53が接している。
図11及び図12に示される変形例は、第1実施形態と同様に、ある環状流路の蒸気流路が別の環状流路の吸熱部に熱的に接続されることで、各環状流路の吸熱部がドライアウト状態になるのを防止できる。
図13は、第2実施形態のループ型ヒートパイプを示す模式図である。尚、本実施形態において、第1実施形態のループ型ヒートパイプと同様の構成は、説明を省略する。第2実施形態のループ型ヒートパイプは、第1環状流路L1を備え、第1蒸気管14が吸熱部11に近接するように配置され、第1蒸気管14と第1吸熱部11とが近接する部分において熱的に接続されている。第1蒸気管14が第1吸熱部11に熱的に接続されることで、第1蒸気管14内の液相の作動流体の一部が気化し膨張することにより、第1液管15内の気相の作動流体の圧力が高くなり、その一部は液化する。また、第1蒸気管14内の液相の作動流体の一部が気化し膨張することにより、第1液管15内で液化した作動流体は第1吸熱部11内へ押し出される。このようにして、第1吸熱部11がドライアウト状態になるのを防止できる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
11 第1吸熱部
12 伝熱ブロック
13 第1凝縮管
14 第1蒸気管
15 第1液管
17 入口
18 出口
21 第2吸熱部
22 伝熱ブロック
23 第2凝縮管
24 第2蒸気管
25 第2液管
27 入口
28 出口
31 第3吸熱部
32 伝熱ブロック
33 第3凝縮管
34 第3蒸気管
35 第3液管
51、53 放熱フィン
52、54 放熱部
60 ケース
61 ウィック
62 液供給通路
63 蒸気通路
64 液相の作動流体
65 気相の作動流体
68 シール部材
71 受熱部
72 発熱素子(発熱体)
73 プリント板

Claims (4)

  1. 複数の環状流路を有し、液相と気相の作動媒体とを内部に含むループ型ヒートパイプにおいて、
    前記複数の環状流路の各々は、
    前記液相又は気相の作動媒体へ外部の熱を与える吸熱部と、
    前記液相又は気相の作動媒体から外部へ熱を放出する放熱部と、
    作動時に前記吸熱部から前記放熱部へ前記気相の作動媒体を輸送する蒸気流路と、
    作動時に前記放熱部から前記吸熱部へ前記液相の作動媒体を輸送する液流路を備え、
    前記環状流路の各々は一方向のみに循環するとともに他の環状流路から分離され前記吸熱部は前記他の環状流路の吸熱部から分離されて配置され、前記蒸気流路が前記他の環状流路の前記吸熱部に熱的に接続されたことを特徴とするループ型ヒートパイプ。
  2. 記環状流路の各々と前記他の環状流路とは前記放熱部を共有していることを特徴とする請求項に記載のループ型ヒートパイプ。
  3. 前記蒸気流路において、前記吸熱部に接続する部分と前記放熱部との間の流路長より、前記吸熱部に接続する部分と前記吸熱部との間の流路長が短いことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のループ型ヒートパイプ。
  4. 前記蒸気流路が前記吸熱部に近接するように配置され、前記蒸気流路と前記吸熱部とが当該近接する部分において熱的に接続されたことを特徴とする請求項1に記載のループ型ヒートパイプ。
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