JP5470540B2 - 巻線機 - Google Patents
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Description
ノズル支持体600は、図3に示すように、ノズル501〜503を支持している。ノズル501〜503は、線材を繰出す線材の供給部である。この実施形態では、ノズル支持体600は、略ひし形のプレート部材で構成されている。そして、ステータコア20の3つのティース部22(図2参照)に、同時に線材510を巻くことができるように、ノズル支持体600の略中央部に3つのノズル501〜503が所定の間隔で横に並べて取り付けられている。このノズル支持体600は、ケーシング700に収容されており、駆動機構100の作用部105に連結されて楕円軌道Aで旋回する。
次に、駆動機構100を説明する。駆動機構100は、ノズル支持体600を旋回させる機構である。この実施形態では、図3に示すように、ノズル支持体600の両側部620、630(この実施形態では、ひし形の頂点部分)が、それぞれ駆動機構100の作用部105に連結されている。
クランクケース101は、図4に示すように、駆動機構100の各部材を収容するケースである。この実施形態では、クランクケース101は、底を有する筒状の部材であり、図4では、底部111を右側に向け、開口112を左側に向けて横向きに配設されている。このクランクケース101は、開口112側の第1部材101aと、底部111側の第2部材101bとを、軸方向の中間部で組み合わせた構造を備えている。この実施形態では、クランクケース101は、開口112の端部が上述したケーシング700に取り付けられている。
内周太陽歯車102は、内周面に歯を有する内歯車であり、クランクケース101の内周面の中間位置に形成された段差121に固定されている。
遊星歯車部材103は、図4に示すように、内周太陽歯車102に遊星歯車131を噛み合わせつつ自転及び公転する部材である。この実施形態では、遊星歯車部材103は、図6A及び図6Bに示すように、遊星歯車131と遊星軸132によって構成されている。遊星歯車131は、外周面に歯を有する外歯車であり、内周太陽歯車102のピッチ円直径の2分の1のピッチ円直径を有している。すなわち、図7に示すように、遊星歯車131のピッチ円103cの半径r1と、内周太陽歯車102のピッチ円102cの半径r2との比は、r1:r2=1:2である。この実施形態では、図4及び図9に示すように、遊星歯車131の中心部にはボス部141が設けられており、当該ボス部141が、遊星軸132の端部に装着されている。遊星歯車部材103は、遊星歯車131の回転軸方向の無限遠点から見て、遊星歯車131のピッチ円103c上からずらした位置に遊星歯車131の自転及び公転に伴って楕円軌道Aで駆動する作用部105を有している。図7中、c3は、作用部105の中心を示している。
作用部105は、この実施形態では、図6Aに示すように、遊星軸132に遊星歯車131が装着されたのとは反対側の端部に設けられている。作用部105は、ピン形状の部位で、図6Bに示すように、遊星軸132の中心軸c2から半径方向にずれた位置に設けられている。この作用部105は、図7に示すように、遊星歯車131のピッチ円103cよりも内側に配設されている。
また、この実施形態では、遊星歯車部材103は、作用部105が設けられた側の端部に第1カウンターウェイト145が設けられ、反対側の端部に第1バランサー146が取り付けられている。当該第1カウンターウェイト145と、第1バランサー146については、後で詳述する。
次に、このクランク装置におけるクランク部材を説明する。
クランク部材104は、図4及び図7に示すように、内周太陽歯車102の中心線と同軸に回転するようにクランクケース101に配設されている。そして、クランク部材104は、遊星歯車部材103を自転及び公転可能に支持している。
この実施形態では、クランク部材104の当該中間部153から伸びる軸部154には、キー溝156が切られ、キー157を介してボス158が装着されている。当該ボス158のフランジには、図4及び図8に示すように、動力源としてのモータ200からタイミングベルト201が掛けまわされるプーリ159が取り付けられている。
また、この実施形態では、クランク部材104は、図8に示すように、前記片側の端部に第2カウンターウェイト161が設けられ、反対側の端部に第2バランサー162が取り付けられている。この実施形態では、第2バランサー162は、上述したプーリ159に取り付けられている。当該第2カウンターウェイト161と、第2バランサー162については、後で詳述する。
この実施形態では、図4及び図9に示すように、遊星歯車部材103は、軸受181、182を介在させてクランク部材104の装着穴152に回動自在に装着されている。遊星歯車部材103は、第1カウンターウェイト145及び作用部105が、クランク部材104の装着穴152から外に出た状態で、装着穴152に装着されている。また、遊星軸132は、図4及び図9に示すように、クランク部材104の装着穴152の底部に形成された開口152aに到達している。当該遊星軸132の端部に取り付けられた遊星歯車131の歯面は、クランク部材104の装着穴152の底部に形成された開口152aからクランク部材104の外に露出している。
遊星歯車部材103とクランク部材104のアッセンブリは、図4に示すように、クランクケース101に装着されている。クランク部材104は、軸受183、184を介在させて、クランクケース101に回動自在に装着されている。クランク部材104は、クランクケース101に固定された内周太陽歯車102のピッチ円102cの中心線c1と同軸で回転するように装着されている。遊星歯車131は、クランク部材104の装着穴152の底部に形成された開口152aから露出しており、内周太陽歯車102に噛み合う。また、クランク部材104の軸部154が挿通される挿通穴113には、軸受184と、プーリ159を取り付けるボス158との間にスペーサ185と、シール186が装着されている。
上述したように遊星歯車部材103は、内周太陽歯車102との噛み合い、クランク部材104の回転に応じて、自転及び公転する。クランク部材104の軸方向から平面的に観察すると、この駆動機構100は、図7に示すように、遊星歯車部材103のピッチ円103cの半径r1と、内周太陽歯車102のピッチ円102cの半径r2との比は、r1:r2=1:2の関係になっている。また、作用部105は、遊星歯車部材103の回転中心軸c2から径方向にピッチ円103cの半径r1よりも短い距離r3だけずれている。
この実施形態では、図5に示すように、ケーシング700の中央部にノズル501〜503が旋回するノズル旋回空間710が在り、当該ノズル旋回空間710の両側に形成された開口715,716にそれぞれ駆動機構100が取り付けられている。また、この巻線機1000では、2つの駆動機構100のプーリ159と、モータ200のプーリ210とにタイミングベルト201を掛けまわし、駆動機構100の作用部105が旋回するタイミングが調整されている。これにより2つの駆動機構100の作用部105は、図3に示すように、それぞれ同期して縦長の楕円軌道Aを描く。略ひし形のプレート部材で構成されたノズル支持体600は、図3に示すように、両側部620、630(この実施形態では、ひし形の両側の頂点部分)が、駆動機構100の作用部105にそれぞれ軸受640(図4参照)を介して連結されている。
ノズル支持体600は、上述した駆動機構100の作用部105に支持されて、上下方向に縦長の楕円軌道Aに沿って旋回する。この巻線機1000では、線材を繰出すノズル501〜503は、図3及び図10〜図12に示すように、ノズル支持体600に支持されており、ノズル支持体600の旋回に伴って、楕円軌道Aで回動する。
駆動機構100は、タイミングベルト201によって、タイミングが調整されており、駆動機構100の作用部105は、図3及び図10から図12に示すように、それぞれ同期して同じ縦長の楕円軌道Aを描く。この際、駆動機構100内の内周太陽歯車102と遊星歯車131とに生じるバックラッシュや、駆動機構100のプーリ159とタイミングベルト201とのバックラッシュや、各部材の加工精度や、各部材の組付精度などによって、異なる駆動機構100の作用部105の楕円軌道Aが微妙にずれることもある。
従来技術として挙げた特許文献1では、大きなアームの揺動を伴うものであり、特許文献2では、X方向、Y方向へのガイドを組み合わせた構造である。これらの構造上、慣性力が大きく作用するためノズル支持体を速く回転させることに向いておらず、このため、線材をステータコアに捲回する工程に係る時間を短縮することが難しい。
これに対して、上述した巻線機1000は、図4及び図7に示すように、ノズル支持体600は、駆動機構100の作用部105に連結されて楕円軌道Aで旋回する。この巻線機1000によれば、駆動機構100は、クランク部材104によって支持された遊星歯車131を、内周太陽歯車102に噛み合わせつつ遊星歯車部材103を自転及び公転させることによって、作用部105を楕円軌道Aでスムーズに駆動させることができる。クランク部材104の回転運動、及び、遊星歯車部材103の自転及び公転は、一連の連続運動であり、上述した特許文献1、特許文献2の構造に比べて、慣性力による損失が少なく、効率よく駆動させることができる。このため、従来技術として挙げた特許文献1、2に比べて、ノズル支持体600の旋回速度を格段に速くすることができる。
この実施形態では、第1バランサー146によって、遊星歯車部材103に作用する遠心力が釣り合い、かつ、遊星歯車部材103の回転軸c2上の任意の位置で遊星歯車部材103に作用する遠心力のモーメントが釣り合っている。また、第2バランサー162によって、クランク部材104に作用する遠心力が釣り合い、かつ、クランク部材104の回転軸c1上の任意の位置でクランク部材104に作用する遠心力のモーメントが釣り合っている。このため、この巻線機1000は、駆動機構100に生じる振動を低減することができ、ノズル支持体600の旋回速度を一段と速くすることができる。
以下、かかる第1バランサー146と第2バランサー162の作用を説明する。
すなわち、この実施形態では、遊星歯車部材103は、図6A及び図6Bに示すように、遊星歯車131と遊星軸132で構成されており、遊星軸132の一端に設けられる作用部105にはノズル支持体600が取り付けられる。この遊星歯車部材103は、図13に示すように、モデル化できる。図13中、c2は遊星歯車部材103の回転軸を、M1は作用部105に連結されるノズル支持体600に相当する質量体を、M2は第1カウンターウェイト145に相当する質量体を、M3は第1バランサー146に相当する質量体をそれぞれ示している。
このクランク部材104は、クランク部材104に作用する遠心力が釣り合い、かつ、クランク部材104の回転軸c1上の任意の位置に作用する遠心力のモーメントが釣り合う。この駆動機構100は、図14に示すように、モデル化できる。図14中、c1はクランク部材104の回転軸を、M11は遊星歯車部材103に相当する質量体を、M12は第2カウンターウェイト161に相当する質量体を、M13は第2バランサー162に相当する質量体をそれぞれ示している。
次にケーシング700を説明する。
ケーシング700は、図3及び図4に示すように、ノズル支持体600を収容する部材である。この巻線機1000は、上述したようにノズル支持体600が旋回するが、ノズル支持体600がケーシング700で覆われているので、安全性を確保することができる。また、ノズル支持体600を支持する駆動機構100に外から異物が進入するのを防止できる。
この実施形態では、ケーシング700は、図4に示すように、クランク部材104の軸線方向の前後に分離可能な2つのケース体701、702を嵌め合わせた構造を備えている。ケーシング700内には、ノズル支持体600が旋回する矩形の空間712が形成されている。図3は、ケース体701(蓋)を取り外した状態を示している。図4は、巻線機の縦断側面図であり、図3中のIV−IV断面矢視図である。
以下、この実施形態における、シール730の構造を説明する。
この実施形態では、シール730は、図15に示すように、スリット状の隙間720の端面に内外に2重のシールが構成されている。外側に配設された第1シール731は、スリット状の隙間720の端面に形成された装着溝722に装着され、ノズル支持体600の表面に接触する。内側に配設された第2シール732は、弾性体としてのばね742の作用によってノズル支持体600の表面に強制的に押し当てられる。また、この実施形態では、第2シール732は内側から外側に向かうにつれて徐々にノズル支持体600の表面に向けて突出したテーパ形状を有している。
この巻線機1000Aは、図16及び図17に示すように、主にケーシング700Aの構造が異なっている。また、潤滑オイルを供給する経路の一例についてもこの実施形態に基づいて説明する。
また、この実施形態では、シール材773及び滑り材782には、例えば、燐青銅系の合金材料を用いている。かかる合金は、かかるノズル支持体600の表面に対して滑りがよく、かつ、ノズル支持体600の表面に付着した油を削ぎ落とすのに適した所用の硬度を有している。なお、シール材773及び滑り材782に用いられる材料は、燐青銅系の合金材料に限らない。滑り材782には、ノズル支持体600の表面に対して滑りがよい材料を用いるとよい。また、シール材773には、ノズル支持体600の表面に対して滑りがよく、かつ、ノズル支持体600の表面に付着した油を削ぐのに適した所用の硬度を有している種々の材料を用いることができる。
なお、この実施形態では、図17に示すように、駆動機構100は、クランク部材104に遊星歯車部材103を装着する軸受181と軸受182の間にスペーサ190が装着されている。当該スペーサ190にも油路が形成されている。
また、図22に示すように楕円軌道Aを補正しても良い。すなわち、本発明に係る巻線機1000Aは、ノズル支持体600の旋回速度を遅くして運転するような用途などでは、例えば、ノズル支持体600を回動させる楕円軌道Aを補正するガイド750を備えてもよい。例えば、楕円の長軸を結ぶ弧の部分で、ノズル支持体600が直線状に動くようにガイド溝751が形成されており、ノズル支持体600に設けたピン752が当該ガイド溝751に係合し、ノズル支持体600が旋回する軌道Bが補正されている。この実施形態では、ノズル支持体600と駆動機構100の作用部105の連結構造についても、当該ノズル支持体600の旋回軌道の補正を許容できるように、スライダ753を設けてもよい。なお、図22に示す形態では、楕円Aの長軸を結ぶ弧の部分で、ノズル支持体600が直線状に動く補正された軌道Bが形成されている。駆動機構100によって、さらに縦長の楕円Aを形成し、楕円Aの長軸を結ぶ弧の部分を直線に近づけるとともに、両端部を補正し、ノズル支持体600が必要以上に縦方向に動かないように、ガイドを設けても良い。
ノズル支持体600と駆動機構100の作用部105との連結構造は、ノズル支持体600の離れた少なくとも2箇所の位置のうち1箇所は、ノズル支持体600に対する駆動機構100の作用部105の位置が変わらず、他はノズル支持体600に対する駆動機構100の作用部105の位置が変位可能であるとよい。駆動機構100の作用部105の位置を、ノズル支持体600に対して変位可能とする構成として、例えば、図24に示すように、駆動機構100の作用部105(図3及び図4参照)の位置をスライドさせるスライダ機構300を備えていてもよい。この場合、スライダ機構300は、例えば、駆動機構100の作用部105の位置をガイドする切り欠き310と、当該切り欠きに案内されたスライダ320とを備え、当該スライダ320に駆動機構100の作用部105を連結することができる。
101 クランクケース
102 内周太陽歯車
103 遊星歯車部材
104 クランク部材
105 作用部
131 遊星歯車
132 遊星軸
145 第1カウンターウェイト
146 第1バランサー
161 第2カウンターウェイト
162 第2バランサー
181〜184 軸受
186 シール
200 モータ
201 タイミングベルト
210 プーリ
300 スライダ機構
310 切り欠き
320 スライダ
501〜503 ノズル
510 線材
600 ノズル支持体
610 中央部
620、630 ノズル支持体の両側部
700、700A ケーシング
710 ノズル旋回空間
712 支持体旋回空間
720 スリット状の隙間
722 装着溝
730 シール
731 第1シール
732 第2シール
750 ガイド
751 ガイド溝
752 ピン
753 スライダ
772 シール材を装着する溝
773 シール材
775 Oリング
780 滑り支持部
810 ガスケット
820 オイル供給穴
830 排出穴
1000、1000A 巻線機
A 楕円軌道
Claims (2)
- 線材を繰出すノズルを支持するノズル支持体と、
前記ノズル支持体の離れた少なくとも2箇所の位置が、同じ楕円軌道で同期して旋回する駆動機構の作用部にそれぞれ連結された巻線機であって、
前記駆動機構は、
クランクケースと、
前記クランクケースに固定的に配設された内周太陽歯車と、
前記内周太陽歯車に遊星歯車を噛み合わせつつ自転及び公転する遊星歯車部材と、
前記内周太陽歯車の中心線と同軸に回転するように前記クランクケースに配設され、前記遊星歯車部材を自転及び公転可能に支持するクランク部材と
を備え、
前記遊星歯車は、内周太陽歯車のピッチ円直径の2分の1のピッチ円直径を有し、
前記遊星歯車部材は、前記遊星歯車のピッチ円上からずらした位置に前記遊星歯車の自転及び公転に伴って楕円軌道で駆動する作用部を有しており、
前記ノズル支持体と駆動機構の作用部とは、ノズル支持体の離れた少なくとも2箇所の位置で連結されており、うち1箇所では、前記ノズル支持体に対して前記駆動機構の作用部の位置が固定されており、他の箇所では前記ノズル支持体に対して前記駆動機構の作用部の位置をスライドさせるスライダ機構が設けられた巻線機。 - 前記ノズル支持体は、平板状の部材であり、
前記スライダ機構は、前記駆動機構の作用部の位置をガイドする切り欠きと、当該切り欠きに案内されたスライダとを備え、前記駆動機構の作用部は前記スライダに連結された、請求項1に記載された巻線機。
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