JP4166049B2 - 正方形軌跡生成装置および長方形軌跡生成装置 - Google Patents

正方形軌跡生成装置および長方形軌跡生成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々のアクチュエータなどの被作動体に対して、ほぼ正方形およびほぼ長方形の移動軌跡でそれぞれ連続的に旋回させる運動力を付与する用途に好適に用いることができる正方形軌跡生成装置および長方形軌跡生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、モータのステータコアのティース部(内歯)に巻線を施してコイルを形成する場合には、ガイド筒を通じて導線が挿通されたノズルをティース部の外周面に沿って旋回させながら、ノズルの先端から導出される導線をティース部の外周面に巻き付けてコイルを形成するようにしている。このような用途に用いられる巻線装置としては、ステータコアのスロット内に配置した上記ノズルを、ティース部の外周面に沿った楕円形の移動軌跡を描くように旋回させることにより、ノズルの先端から繰り出される導線をティース部の外周面に巻き付ける構成となったものが一般的に採用されている。
【0003】
ところが、このような巻線装置では、ノズルがティース部の外周面に沿った楕円形の移動軌跡を描きながら旋回することから、ノズルがUターンして移動方向を変換するときにティース部から離れ過ぎてしまい、ノズルの先端から繰り出される導線にノズルの移動経路の一部で弛みが生じ易い。そのため、導線はティース部の長手方向に整列して巻き付かず、巻きむらが生じ易いという問題があった。また、ステータコアの積厚が大きくなった場合には、ノズルが隣接するティース部に干渉し易くなるために、コイルのスロット内における占有率(スペースファクタ)を高めることが困難となる。
【0004】
そこで、近年では、ノズルを、同一長さの平行線の両端部がそれぞれ半円形のような曲線で接続されたほぼ長方形に近い形状の軌跡で旋回移動させることができる巻線装置が提案されている(特開2001−8418号公報参照)。この巻線装置では、ノズルが、巻線を施すべきティース部の一側のスロット内をティース部に沿って直線的に上昇したのち、スロットの上端から出て半円形の曲線を描きながらティース部の他側のスロットまで移動し、該他側のスロット内をティース部に沿って直線的に下降したのち、スロットの下端から出て半円形の曲線を描きながらティース部の一側のスロットまで移動し、該スロット内をティース部に沿いながら直線的に上昇するという移動を繰り返すようになっている。
【0005】
上記巻線装置では、ノズルがティース部の外周面に対し可及的に一定の距離を保ちながら旋回移動するので、巻線の途中で導線が弛むといったことが生じることなくティース部に巻き付けられて、導線をティース部に整列させて平均的に巻き付け易くなる。また、ノズルは、スロット内を上昇および下降する際に、直線的に移動するので、隣接するティース部または該ティース部に既に巻き付けられたコイルが干渉することが防止されるから、スロット内のコイル占有率が一層高くなるように巻線することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記巻線装置では、クランク盤の回転運動をクランクアームを介してスライダの昇降動作に変換し、そのスライダに支持された駆動軸を軸方向つまり上下方向に往復運動させることにより、駆動軸の上端に取り付けられたノズル支持ブロックを上下方向に直線往復運動させるとともに、上記クランク盤に連動してカム軸を回転させ、カム曲線部とカム直線部とを有して上記カム軸と一体回転されるカムに当接するカムフォロアおよびカムスリーブを介して上記駆動軸をその往復移動の上下両端において所定角度で水平方向に揺動させることにより、この駆動軸の上端の上記ノズル支持ブロックをガイド軸に沿って水平移動させる構成になっているため、以下のような問題がある。
【0007】
すなわち、上記巻線装置は、一旦停止する行程を有する直線往復運動を行うことから必然的に加振力が発生する。しかも、カム軸、カムフォロアおよびカムスリーブなどからなるカム機構は、これに加わる比較的大きな負荷に対する強度を確保する必要から重量の大きなものとなるので、慣性力が大きくなって上記加振力が比較的大きなものとなる。そのため、上記巻線装置では、ノズルの旋回速度を上げるのに限界がある。
【0008】
また、上記巻線装置では、上下方向に直線往復移動する駆動軸に平行な一対のガイド軸に沿って上下動する一対の可動ブロックを設け、ノズル支持ブロックを、上記両可動ブロックに架け渡したガイド手段に沿って移動可能に取り付けるとともに、上下方向に直線往復移動、且つ水平方向に揺動される駆動軸によってノズル支持ブロックをほぼ長方形の移動軌跡を描くように旋回させるようになっている。つまり、駆動軸は、上下方向に直線往復運動するためのガイド構造と水平方向に揺動するためのガイド構造との双方によってそれぞれ保持されており、これらのガイド構造は、駆動軸の移動に対する抵抗負荷となるので、この点からもノズルの旋回速度を上げることが困難となる。その結果、上記巻線装置では、上下方向つまりほぼ長方形の移動軌跡の長手方向のストロークを80mm程度に設定した場合、ノズルの旋回速度が900rpm〜1200rpm程度が限界となる。
【0009】
そこで、本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたもので、例えば、ほぼ長方形の移動軌跡で旋回させるべき被作動体を格段に高い旋回速度で作動させることが可能な機構を構成することができる正方形軌跡生成装置および長方形軌跡生成装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る正方形軌跡生成装置は、内歯車に噛合した状態で回転駆動源により前記内歯車の軸心回りに回転されて、自転しながら前記内歯車に沿って公転される遊星歯車と、前記遊星歯車における軸心に対し偏心した部位に設けられた作動出力軸とを備え、前記遊星歯車を公転の回転速度に対し3倍の回転速度で自転させて、前記作動出力軸がほぼ正方形の軌跡で旋回移動するように構成されていることを特徴としている。
【0011】
この正方形軌跡生成装置では、遊星歯車を自転と公転との回転バランスをとりながら連続的な回転運動を行わせるだけの簡単な構成としながらも、作動出力軸をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができるから、カム機構などを用いる構成とは異なり、慣性力に伴う加振力が発生しないから、旋回速度を十分に上げることが可能となる。
【0012】
上記発明において、内歯車が、回転駆動源によって前記遊星歯車の公転方向に対し逆方向に回転されていることが好ましい。この構成によれば、遊星歯車に噛み合う内歯車を遊星歯車の公転方向と逆方向に回転させて、遊星歯車の自転の回転速度を加速させていることにより、遊星歯車として比較的大きな径を有するものを用いながらも、作動出力軸をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることが可能となる。
【0013】
同上の構成において、遊星歯車と内歯車の歯車比が1対2に設定され、前記内歯車が、前記遊星歯車の公転の回転速度と同一の回転速度で回転されていることが好ましい。この構成によれば、内歯車を遊星歯車の公転方向に対し逆方向に回転させるのに際して、遊星歯車を径を大きくしながらも内歯車の径が大きくなり過ぎるのを防いで、作動出力軸をほぼ長方形の軌跡で確実に旋回移動させることができる。
【0014】
上記発明において、内歯車の軸心と遊星歯車の軸心との間隔をR1 とし、作動出力軸の前記遊星歯車の軸心からの偏心距離をR2 としたとき、前記偏心距離R2 が、前記間隔R1 の1/8〜1/9に設定されているとともに、作動出力軸が、2(R1 −R2 )を一辺とするほぼ正方形の軌跡で旋回移動するように設定されていることが好ましい。この構成によれば、作動出力軸が1回旋回する間に加速度がゼロとなる複数の区間を確実に設けて、作動出力軸を、各辺が正確な直線性を有するほぼ正方形の軌跡で旋回移動させることができる。
【0015】
また、本発明の長方形軌跡生成装置は、上記何れかの発明の正方形軌跡生成装置とそれぞれ同一の構成を有して、所定長さを一辺とするほぼ正方形の移動軌跡で作動出力軸が旋回移動される第1の正方形軌跡生成装置と、この第1の正方形軌跡生成装置による移動軌跡よりも大きなほぼ正方形の移動軌跡で作動出力軸が旋回移動される第2の正方形軌跡生成装置とが、少なくとも1台ずつ設けられ、互いに直交するX方向およびY方向にそれぞれ延びる長孔状のY方向受動用ガイド孔およびX方向受動用ガイド孔が少なくとも1個ずつ形成されているとともに、前記第1および第2の両正方形軌跡生成装置のうちの一方の作動出力軸が前記Y方向受動用ガイド孔に、且つ他方の作動出力軸が前記X方向受動用ガイド孔にそれぞれ摺接自在に挿通された作動出力プレート体を有し、前記X方向受動用ガイド孔が、前記作動出力軸のY方向への移動を許容し、且つX方向の移動分のみを受けて前記作動出力プレート体をX方向に移動させる孔形状を有するとともに、前記Y方向受動用ガイド孔が、前記作動出力軸のX方向の移動を許容し、且つY方向の移動分のみを受けて前記作動出力プレート体をY方向に移動させる孔形状を有し、前記作動出力プレート体が、前記第1の正方形軌跡生成装置の作動出力軸の移動軌跡のほぼ正方形の一辺を短辺とし、且つ前記第2の正方形軌跡生成装置の作動出力軸の移動軌跡のほぼ正方形の一辺を長辺とする、ほぼ長方形の軌跡で旋回移動するように構成されていることを特徴としている。
【0016】
この長方形軌跡生成装置では、例えば、巻線装置に適用する場合、作動出力プレート体を、ステータコアのティース部の長方形の断面形状に対応するほぼ長方形の軌跡で旋回移動させることができるので、作動出力プレート体に設けるノズルを常にティース部に対し確実に一定の距離を保ちながら移動させることができるから、導線の整列性を正確に確保することができるとともに、隣接するティース部またはティース部に既に巻き付けられたコイルにノズルが干渉することが確実に防止されるから、スロット内のコイル占有率を可及的に高めて巻線することが可能となる。
【0017】
上記発明の長方形軌跡生成装置において、少なくとも1台ずつ設けられた第1および第2の各正方形軌跡生成装置の各々の内歯車が、単一の回転駆動源の回転力をベルト連結構造またはギャ連結構造により伝達されて、互いに同一の回転速度で回転されるようになった構成とすることができる。この構成によれば、正方形軌跡生成装置の各々の内歯車を互いに同一の回転速度で回転できるから、簡素化された構成によって各作動出力軸の互いの移動タイミングを容易、且つ確実に同期させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態に係る正方形軌跡生成装置を示す概略正面図、同図(b)は(a)のA−A線断面図である。この正方形軌跡生成装置は、外歯車2と内歯車3とを有する歯車体1が、外歯車2に噛み合った駆動歯車4によって(a)のB矢印方向に回転駆動され、内歯車3に噛み合った遊星歯車7が、(a)のC矢印方向に自転しながら内歯車3の回転方向とは逆のD矢印方向に公転されるようになっている。駆動歯車4は、駆動源(図示せず)の回転がベルト8、駆動プーリ9および歯車軸10を介し伝達されて、所定速度で連続的に回転される。遊星歯車7は、駆動源(図示せず)の回転がベルト11、駆動プーリ12および歯車軸13を介し伝達され、内歯車3に噛み合って自転しながら連続的に公転される。
【0019】
遊星歯車7の前面における軸心c2から所定距離だけ偏位した部位には、作動出力軸14が固設されており、この作動出力軸14の遊星歯車7の軸心c2に対する偏心距離R2 は、内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔(遊星歯車7が公転するときの回転半径)をR1 としたとき、この実施の形態において、R2 =(1/9)×R1 に設定されている。これについての詳細は後述する。
【0020】
この正方形軌跡生成装置では、遊星歯車7の自転の回転速度が公転の回転速度に対し3倍になるように設定することにより、作動出力軸14をほぼ正方形の軌跡で旋回移動させるように構成されている。また、遊星歯車7は、駆動プーリ12によって一定の回転速度で公転されるが、この公転時における自転の回転速度は、公転方向とは逆方向に回転される内歯車3によって加速されている。これにより、この実施の形態では、遊星歯車7と内歯車3の歯車比を1対2に設定し、且つ遊星歯車7の公転の回転速度と内歯車3の回転速度を同一に設定して、遊星歯車7の自転の回転速度が公転の回転速度に対し3倍になるように設定している。これについての詳細は後述する。なお、駆動歯車4と外歯車2との歯車比は1対1に設定されて、外歯車2は駆動歯車4と同一の回転速度で回転される。
【0021】
本件発明者は、鋭意研究を重ねた結果、遊星歯車7を自転の回転速度が公転の回転速度に対し3倍になるように設定して作動させれば、遊星歯車7の軸心c2に対し上記距離だけ偏心した位置に設けた作動出力軸14がほぼ正方形の軌跡で旋回移動することを突き止めた。これが本発明の基本的な技術思想であり、その場合、仮に、図1の内歯車3を固定し、この内歯車3に噛み合わされた遊星歯車7を自転させながら公転させる構成とする場合には、内歯車3と遊星歯車7との歯車比を4対1に設定すれば、遊星歯車7の自転の回転速度が公転の回転速度に対し3倍となり、作動出力軸14をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができる。
【0022】
ところが、上記の歯車比に設定する場合には、作動出力軸14を設けるための遊星歯車7の径が小さくなり過ぎて遊星歯車7の剛性が低くなり、作動出力軸14によって被作動体を安定に作動させることのできる強度を十分に確保できない。一方、遊星歯車7を所要の強度を確保できる大きな径に設定した場合には、内歯車3を、遊星歯車7の比較的大きな径の4倍の径に設定しなければならないので、内歯車3が大きくなり過ぎてしまう。
【0023】
そこで、上記実施の形態では、遊星歯車7を所要の強度が確保できる比較的大きな径に設定しながらも、内歯車3の径も大きくなり過ぎないで作動出力軸14をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させるために、内歯車3を遊星歯車7の公転方向とは逆方向に、且つ公転の回転速度と同一の回転速度で回転させることにより、遊星歯車7の自転の回転速度を公転速度の3倍になるように加速させている。このような設定とすることにより、上述した内歯車3を固定し、且つ内歯車3と遊星歯車7との歯車比を1対4に設定した場合と同等の作動状態を疑似的に作り出している。
【0024】
その場合、駆動歯車4の歯数をZ1 、外歯車2の歯数をZ2 、内歯車3の歯数をZ3 、遊星歯車7の歯数をZ4 とすると、遊星歯車7の自転の回転速度を公転の回転速度の3倍になるように設定するためには、Z2 /Z1 =〔4−(Z3 /Z4 )〕/(Z3 /Z4 )の式を満足させればよい。上記実施の形態では、Z2 /Z1 =1に設定しているので、(Z3 /Z4 )=2、つまり内歯車3と遊星歯車7の歯車比を1対2に設定しながらも、つまり、遊星歯車7の径を大きく、且つ内歯車3の径を大きくなり過ぎないように設定しながらも、作動出力軸14をほぼ正方形の軌跡で移動させることができる。
【0025】
つぎに、上記設定とした場合に作動出力軸14をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができる根拠について説明する。いま、正面図を示す図1(a)において、水平方向をX方向、上下方向をY方向と定めて説明する。図2(a)は、遊星歯車7における軸心c2の内歯車3の軸心c1に対するY方向の相対位置の変化と、自転する遊星歯車7の軸心c2に対する作動出力軸14のY方向の相対位置の変化とを示した波形図である。遊星歯車7の軸心c2のY方向の位置の変化はR1 sinωtで表され、作動出力軸14のY方向の位置の変化はR2 sin3ωtで表される。なお、遊星歯車7の軸心c2のX方向の位置の変化および作動出力軸14のX方向の位置の変化は、上記Y方向の波形に対し(1/2)πつまり90°だけ位相が異なるだけであるから、その図示を敢えて省略する。
【0026】
上記遊星歯車7の公転と自転との二つの回転運動の合成による作動出力軸14の内歯車3の軸心c1に対する相対位置の変化は、図2(b)に示すように、R1 sinωt+R2 sin3ωtで表される。このとき、作動出力軸14の移動速度は、図2(c)に示すように、R1 ωcosωt+3R2 ωcos3ωtで表され、作動出力軸14の加速度は、図2(d)に示すように、−R1 ω2 sinωt+9R2 ω2 sin3ωtで表される。
【0027】
したがって、作動出力軸14を遊星歯車7の軸心c2に対して(1/9)×R1 だけ偏心した部位に設けた場合には、遊星歯車7が公転運動を1回転する過程において、図2(c),(d)に示すように、作動出力軸14のY方向への移動速度および加速度が共にゼロとなって、図2(b)に示すように、作動出力軸14のY方向への移動がほぼゼロとなる二つの区間Y0 が生じる。
【0028】
図3(a)は、作動出力軸14のY方向の移動位置の変化を示す波形図であり、図2(b)の波形図と同一である。同図(b)は作動出力軸14のX方向の移動位置の変化を示す波形図である。この作動出力軸14のX方向の移動位置の変化の波形図は、上述したように、Y方向の波形に対し(1/2)πだけ位相が異なるものとなり、作動出力軸14のY方向への移動がゼロとなる二つの区間Y0 の各間に、作動出力軸14のX方向への移動がゼロとなる区間X0 がそれぞれ生じる。このとき、X方向およびY方向における+方向および−方向の最大変位値は、それぞれ(R1 −R2 )および−(R1 −R2 )となる。
【0029】
上記(a),(b)の各波形図を合成すると、同図(c)の波形図となる。この波形図は作動出力軸14のX方向およびY方向おける位置の変化を示すものとなる。(c)に示す時間t1〜t9はそれぞれ(a),(b)の時間t1〜t9に対応しており、(a),(b)と(c)との対比から、(c)の波形図となることがわかる。
【0030】
すなわち、作動出力軸14のY方向への移動がほぼゼロとなる二つの区間Y0 中においても遊星歯車7が公転を継続しているので、作動出力軸14は、Y方向における(R1 −R2 )の一定位置を保持しながらX方向に移動されることになり、同様に、作動出力軸14のX方向への移動がゼロとなる二つの区間X0 中においても遊星歯車7が公転運動を継続しているので、作動出力軸14は、X方向における(R1 −R2 )の一定位置を保持しながらY方向に移動されることになる。その結果、作動出力軸14は、(c)に示すように、2(R1 −R2 )を一辺とするほぼ正方形を描く軌跡で旋回移動される。
【0031】
なお、実際には、作動出力軸14の移動軌跡が図3(c)に示すような正確な正方形とならず、正方形に類似したほぼ正方形となるのであるが、上記実施の形態では、説明の便宜上、正確な正方形で図示してある。これに対し、図4(a),(b)はそれぞれ実測値を示したものである。(a)は、正方形の一辺を決めるための縦横ストロークを24mm、内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 を18mm、偏心距離R2 を2mmにそれぞれ設定した場合における各角度における作動出力軸14のX方向およびY方向の位置の計算値を示したものである。(b)は、縦横ストロークを24mm、内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 を18mm、偏心距離R2 を5mmにそれぞれ設定した場合における各角度における作動出力軸14のX方向およびY方向の位置の計算値を示したものである。
【0032】
図5(a),(b)はそれぞれ図4(a),(b)の実測値による作動出力軸14の移動軌跡を示したものである。図4(a),(b)の計算値は、図5の始点Sから右回りに10°毎の角度におけるX方向およびY方向の各位置を示したものである。図5(a)に示すように、偏心距離R2 を内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 に対し1/9(2/18)に設定した場合には、4辺のほぼ全体が直線となるほぼ正方形の移動軌跡となるが、図5(b)に示すように、偏心距離R2 を内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 に対し5/18に設定した場合には、4辺が内方に湾曲した移動軌跡となる。
【0033】
すなわち、上述の設定条件では、偏心距離R2 の値を2よりも大きくしていけば、それに伴って移動軌跡の4辺の内方への湾曲度合いが大きくなり、逆に、2よりも小さくしていけば、それに伴って移動軌跡の4辺の外方への湾曲度合いが大きくなる。これにより、作動出力軸14は、内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 に対し1/8〜1/9程度偏心した部位に設ければ、作動出力軸14はほぼ正確な正方形の軌跡で旋回移動することがわかる。
【0034】
上記正方形軌跡生成装置は、内歯車3を一定速度で連続的に回転させるとともに、遊星歯車7を自転と公転との回転バランスをとりながら連続的な回転運動を行わせるだけで、作動出力軸14をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができる。そのため、この正方形軌跡生成装置では、カム機構を用いる構成とは異なり、連続的な回転運動を組合せた構成であるから、慣性力に伴う加振力が発生しないので、旋回速度を十分に上げることが可能となる。
【0035】
また、上記正方形軌跡生成装置は、遊星歯車7に噛み合う内歯車3を遊星歯車7の公転の回転方向と逆方向に回転させて、遊星歯車7の自転の回転速度を公転速度の3倍になるように加速させていることにより、内歯車3と遊星歯車7の歯車比を2対1に設定しながらも、つまり遊星歯車7として比較的大きな径を有するものを用いながらも、作動出力軸14をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることを可能にしている。したがって、作動出力軸14は、比較的大きな径を有して十分な強度を備えた遊星歯車7に設けられるので、種々のアクチュエータなどに対してほぼ正方形の移動軌跡による旋回運動を確実に付与することができる。
【0036】
図6は、上記正方形軌跡生成装置を利用して構成した電動機用ステータコアの巻線装置を示す一部除外した概略正面図、図7は図6のE−E線断面図、図8は図6のF−F線断面図をそれぞれ示す。これらの図において、図1と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この巻線装置は、上記実施の形態の正方形軌跡生成装置と同等の構成が、互いに逆方向の配置で左右両側にそれぞれ配設されているとともに、二つの各駆動歯車4の前面における周端近傍位置には、後述のノズル支持プレート18をY方向に移動させるためのY方向作動軸17がそれぞれ設けられている。二つの遊星歯車7には、ノズル支持プレート18をX方向に移動させるためのX方向作動軸16がそれぞれ設けられており、このX方向作動軸16は、図1の作動出力軸14と同等のものである。両駆動歯車4の回転速度と両遊星歯車7の公転の回転速度とは同一に設定されている。但し、上記実施の形態と同様に、遊星歯車7の自転の回転速度は公転の回転速度の3倍に設定されている。
【0037】
各歯車体1および各駆動歯車4の前方側には、ほぼ長方形のノズル支持プレート18が、一対の保持体19,20によってX方向およびY方向の何れの方向にも任意に移動可能に保持された状態で配置されている。ノズル支持プレート18には、ほぼ長方形の対角線上で対向する各二つの角部にそれぞれ、X方向に延びる長孔状のY方向受動用ガイド孔21とY方向に延びる長孔状のX方向受動用ガイド孔22が穿設されている。二つのY方向受動用ガイド孔21には、各駆動歯車4に設けられたY方向作動軸17が摺接自在に挿通されており、二つのX方向受動用ガイド孔22には、各遊星歯車7に設けられたX方向作動軸16が摺接自在に挿通されている。
【0038】
ノズル支持プレート18の中央部には、複数本(この実施の形態では3本の場合を例示)のノズル23が所定の等間隔で取り付けられている。このノズル23は、図示を省略した導線リールから供給される導線を、図8のノズル支持プレート18の導入孔25から挿入されて、先端から繰り出す構成になっている。
【0039】
つぎに、上記巻線装置の作用について説明する。電動機用ステータコア24は、図8に示すように、各コア片27が直線的に配列された状態で、ノズル23に対し所定の位置に設置される。なお、このステータコア24は、スロット28の中心線からこれに隣接するスロット28の中心線までを単位として各コア片27に分割された構造を有しており、各コア片27の周方向端部は、薄肉のヒンジ部29を介して隣接するコア片27と折曲可能に連結されている。このステータコア24は、ティース部30に巻線を施してから円形に組み立てられる。
【0040】
ステータコア24が上記位置に配置されたならば、二つの駆動歯車4が駆動プーリ9によって回転され始め、且つ二つの遊星歯車7が駆動プーリ12によって公転運動され始める。それにより、駆動歯車4に設けられY方向作動軸17は、駆動歯車4と一体に回転されて、Y方向受動用ガイド孔21を介してノズル支持プレート18をY方向のみに移動させるとともに、遊星歯車7に設けられたX方向作動軸16は、遊星歯車7の公転と自転とにより上述したようにほぼ正方形の移動軌跡を描くように旋回されて、X方向受動用ガイド孔22を介してノズル支持プレート18をX方向のみに移動させる。
【0041】
すなわち、ノズル支持プレート18は、円形の移動軌跡で回転運動するY方向作動軸17のX方向への変位をX方向に延びるY方向受動用ガイド孔21に沿って逃がすように許容し、且つY方向への変位分のみをY方向受動用ガイド孔21で受けてY方向に変位されるとともに、ほぼ正方形の移動軌跡で旋回するX方向作動軸16のY方向への変位をY方向に延びるX方向受動用ガイド孔22に沿って逃がすように許容し、且つX方向への変位分のみをX方向受動用ガイド孔22で受けてX方向に変位される。換言すると、ノズル支持プレート18は、Y方向作動軸17のY方向の最大変位量をY方向のストロークとし、且つX方向作動軸16のX方向の最大変位量をX方向のストロークとして合成させるよう作用するといえる。この点について、図8および図9を参照しながら説明する。
【0042】
図10は、Y方向作動軸17の円形の移動軌跡Cy と、X方向作動軸16のほぼ正方形の移動軌跡Cx と、この両移動軌跡Cy ,Cx を合成したノズル支持プレート18の特定部位Hの移動軌跡Cxyとを示す説明図である。いま、両作動軸16,17が図10に図示する最下位位置にそれぞれ存在する状態を初期位置として、ノズル支持プレート18の特定部位Hの移動軌跡について説明する。ノズル支持プレート18の初期位置における特定部位Hは、説明の便宜上、初期位置におけるY方向作動軸17の中心に設定する。初期位置においては、ノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21とX方向作動軸16およびY方向作動軸17とが、図11(a)に示すような相対関係になっている。
【0043】
初期位置から駆動歯車4および遊星歯車7がそれぞれ90°だけ回転および公転すると、図10において、X方向作動軸16は、初期位置からX方向に沿って左方に向け(R1 −R2 )だけ移動したのちに、Y方向に沿って上方に向け(R1 −R2 )だけ移動して、Px1に移動する。一方、Y方向作動軸17は、初期位置から矢印方向に回転移動してPy1に移動する。ここで、Px1とPy1とはY方向における同一位置である。したがって、ノズル支持プレート18の特定位置Hは、X方向受動用ガイド孔22がX方向作動軸16に押されてX方向の左方に向け(R1 −R2 )だけ移動されるととともに、Y方向受動用ガイド孔21が回動するY方向作動軸17に押されてY方向上方のPy1に相当する位置まで押し上げられることにより、移動軌跡Cxyに沿ってPx1まで移動される。このときのノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21とX方向作動軸16およびY方向作動軸17とは、図11(b)に示すような相対関係となる。
【0044】
駆動歯車4および遊星歯車7がそれぞれさらに90°だけ回転および公転すると、図10において、X方向作動軸16は、位置Px1からY方向に沿って上方に向け(R1 −R2 )だけ移動したのちに、X方向に沿って右方に向け(R1 −R2 )だけ移動して、Px2に移動する。一方、Y方向作動軸17は、位置Py1から矢印方向に回転移動してPy2に移動する。ここで、Px2とPy2とはX方向における同一位置である。したがって、ノズル支持プレート18の特定位置Hは、回動するY方向作動軸17によりY方向受動用ガイド孔21が押されてY方向上方のPy2に相当する位置まで押し上げられるとともに、X方向受動用ガイド孔22がX方向作動軸16に押されてX方向の右方に向け(R1 −R2 )だけ移動されることにより、移動軌跡Cxyに沿ってPx2まで移動される。このときのノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21とX方向作動軸16およびY方向作動軸17とは、図11(c)に示すような相対関係となる。
【0045】
駆動歯車4および遊星歯車7がそれぞれさらに90°だけ回転および公転すると、図10において、X方向作動軸16は、位置Px2からX方向に沿って右方に向け(R1 −R2 )だけ移動したのちに、Y方向に沿って下方に向け(R1 −R2 )だけ移動して、Px3に移動する。一方、Y方向作動軸17は、位置Py2から矢印方向に回転移動してPy3に移動する。ここで、Px3とPy3とはY方向における同一位置である。したがって、ノズル支持プレート18の特定位置Hは、回動するY方向作動軸17によりY方向受動用ガイド孔21が押されてY方向下方のPy3に相当する位置まで押し下げられるとともに、X方向受動用ガイド孔22がX方向作動軸16に押されてX方向の右方に向け(R1 −R2 )だけ移動されることにより、移動軌跡Cxyに沿ってPx3まで移動される。このときのノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21とX方向作動軸16およびY方向作動軸17とは、図11(d)に示すような相対関係となる。
【0046】
駆動歯車4および遊星歯車7がそれぞれさらに90°だけ回転および公転すると、X方向作動軸16およびY方向作動軸17が共に初期位置に戻るので、ノズル支持プレート18の特定位置Hは、回動するY方向作動軸17によりY方向受動用ガイド孔21が押されてY方向下方の初期位置に相当する位置まで押し下げられるとともに、X方向受動用ガイド孔22がX方向作動軸16に押されてX方向の左方に向け(R1 −R2 )だけ移動されることにより、移動軌跡Cxyに沿って初期位置まで移動される。このときのノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21とX方向作動軸16およびY方向作動軸17とは、図11(a)に示すような相対関係となる。
【0047】
したがって、ノズル支持プレート18は、図10に示すように、所定間隔の平行線の両端部がほぼ半円形状の曲線で接続されたほぼ長方形状の移動軌跡Cxyで連続的に旋回するように作動制御される。上記移動軌跡CxyのX方向のストロークは、内歯車3の軸心c1と遊星歯車7の軸心c2との間隔R1 およびX方向作動軸16の遊星歯車7の軸心c2に対する偏心距離R2 とに基づき任意の値に設定でき、Y方向のストロークは、駆動歯車4の軸心とY方向作動軸17との間隔に基づいて任意の値に設定できる。上記巻線装置では、X方向のストロークおよびY方向のストロークは、図10に2点鎖線で示したステータコア24のティース部30の断面形状に対応する所定値にそれぞれ設定される。
【0048】
これにより、上記巻線装置では、図8のG−G線断面図を示す図9から明らかなように、ノズル支持プレート18に所定の等間隔で取り付けられた3個のノズル23からそれぞれ導線を繰り出して、3個のティース部30に対して同時に巻線を施すことができる。しかも、各ノズル23は、従来の楕円形の移動軌跡で旋回されるものとは異なり、ティース部30の断面形状に対応したほぼ長方形の移動軌跡で旋回されるので、常にティース部30に対し可及的に一定の距離を保ちながら移動されるから、巻線の途中で導線が弛むことなくティース部30に巻き付けられるので、導線をティース部30に整列させて平均的に巻き付け易いことから、導線の整列性を確保することができる。また、ノズル23は、Y方向(上下方向)に沿って直線的に昇降移動するので、隣接するティース部30またはティース部30に既に巻き付けられたコイルに干渉することが防止される。これにより、スロット28内のコイル占有率(スペースファクタ)を一層高めるように巻線することができる。
【0049】
また、上記巻線装置の最も大きな特徴は、遊星歯車7を自転と公転との回転バランスをとりながら連続的な回転運動を行わせるだけでX方向作動軸16をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができる正方形軌跡生成装置と、Y方向作動軸17が設けられて一定速度で連続的に回転する駆動歯車4とを組み合わせて、X方向作動16およびY方向作動軸17をそれぞれノズル支持プレート18のX方向受動用ガイド孔22およびY方向受動用ガイド孔21に挿通させてノズル支持プレート18をほぼ長方形の移動軌跡で旋回移動させる極めて簡素化された構成になっており、回転運動のみの組み合わせであることから、カム機構を用いる構成のような加振力が生じることがない。
【0050】
しかも、従来の巻線装置のようにY方向のガイド構造に関連付けてX方向のガイド構造を設けるものとは異なり、ノズル支持プレート18は、X方向作動軸16およびY方向作動軸17によって動力伝達を受けられるように任意の方向に移動可能な状態に単に保持すればよいだけであるから、重量の極めて軽いものとすることができる。
【0051】
さらに、図10および図11の説明から明らかなように、各二つずつのX方向作動軸16およびY方向作動軸17は、それぞれノズル支持プレート18における対角線上に配置されているとともに、ほぼ正方形の移動軌跡で旋回するX方向作動軸16は、Y方向作動軸17の上下方向の移動に追従して上下方向に移動したのちに、ノズル支持プレート18をX方向に押圧して移動させるようになっている。すなわち、X方向作動軸16のY方向に沿った上下動は、Y方向作動軸17によるノズル支持プレート18の重心位置のY方向への変位を恰も補正するように機能している。換言すると、X方向作動軸16からノズル支持プレート18へ負荷として加わる荷重点は、Y方向作動軸17で上下動されることによって変位するノズル支持プレート18の重心位置に近づくようになっている。これにより、ノズル支持プレート18は、強度面で有利となり、一層軽量化を図ることができる。
【0052】
上述したように、被作動体としてのノズル支持プレート18は極めて軽量化することができるとともに、回転運動の組み合わせのみであることから、加振力が生じないので、ノズル支持プレート18のほぼ長方形の移動軌跡による旋回運動の移動速度を格段に高めることができる。因みに、実測値を示すと、X方向およびY方向の各ストロークをそれぞれ25mmおよび80mmに設定した場合、従来の巻線装置では旋回速度が900rpm〜1200rpmであったのが、上記実施の形態の巻線装置では、旋回速度を3000rpmまで上げられることが確認できた。
【0053】
図12は本発明の一実施の形態に係る長方形軌跡生成装置を示す一部除外した正面図、図13は同長方形軌跡生成装置を示す概略正面図である。この長方形軌跡生成装置は、上記実施の形態の正方形軌跡生成装置における内歯車3および遊星歯車7と同等の構成を備えた2つの第1の正方形軌跡生成装置31と2つの第2の正方形軌跡生成装置32とを組み合わせた構成になっている。
【0054】
第1の正方形軌跡生成装置31は、回転体33の内方に同心状の内歯車34が設けられ、この内歯車34に、作動出力軸38が軸心から偏心した部位に設けられた遊星歯車37が噛合され、遊星歯車37が内歯車34に対し同一の回転速度で且つ逆方向に公転されて、作動出力軸38がほぼ正方形の軌跡で旋回移動される構成になっている。第2の正方形軌跡生成装置32は、第1の正方形軌跡生成装置31の回転体33と同一径の回転体の内方に、第1の正方形軌跡生成装置31の内歯車34よりも大きな径の内歯車40が同心状の配置で設けられ、この内歯車40に、作動出力軸41が軸心から偏心した部位に設けられた遊星歯車42が噛合され、遊星歯車42が内歯車40に対し同一の回転速度で且つ逆方向に公転されて、作動出力軸41が、第1の正方形軌跡生成装置31の作動出力軸38の移動軌跡よりも大きなほぼ正方形の軌跡で旋回移動される構成になっている。
【0055】
上記の計4つの正方形軌跡生成装置31,32の各間にはガイド回転体43,44がそれぞれ配置され、上記の計4つの正方形軌跡生成装置31,32の各々の回転体33,39および計4つのガイド回転体43,44は、回転駆動源(図示せず)によって回転駆動される駆動回転体48の回転力が、各々の掛けられた単一の無端ベルト47を介し伝達されて、同一の回転速度で回転駆動される。
【0056】
図13は、上記長方形軌跡生成装置の概略正面図を示する。図12に示した構成の手前側には作動出力プレート体49が配置されている。この作動出力プレート体49には、互いに直交するX方向およびY方向にそれぞれ延びる長孔状のY方向受動用ガイド孔50およびX方向受動用ガイド孔51がそれぞれ2個ずつ形成されている。上記第1の正方形軌跡生成装置31の各々の作動出力軸38はX方向受動用ガイド孔51に摺接自在に挿通され、上記第2の正方形軌跡生成装置32の各々の作動出力軸41はY方向受動用ガイド孔50に摺接自在に挿通されている。なお、図13に示す矢印は、両正方形軌跡生成装置31,32の各々の作動出力軸38,41の移動軌跡を示す。
【0057】
X方向受動用ガイド孔51は、作動出力軸38のY方向への移動を許容し、且つX方向の移動分のみを受けて作動出力プレート体49をX方向に移動させる孔形状を有するとともに、Y方向受動用ガイド孔50は、作動出力軸41のX方向の移動を許容し、且つY方向の移動分のみを受けて作動出力プレート体49をY方向に移動させる孔形状を有している。したがって、第1の正方形軌跡生成装置31の作動出力軸38はX方向作動軸となり、第2の正方形軌跡生成装置32の作動出力軸41はY方向作動軸となる。
【0058】
図14は、X方向作動軸となる作動出力軸38のほぼ正方形の移動軌跡Cx と、Y方向作動軸となる作動出力軸41のほぼ正方形の移動軌跡Cy と、この両移動軌跡Cy ,Cx を合成した作動出力プレート体49の特定部位の移動軌跡Cxyとを示す説明図である。同図から明らかなように、この長方形軌跡生成装置では、作動出力プレート体49が、第1の正方形軌跡生成装置31の作動出力軸38の移動軌跡Cx のほぼ正方形の一辺Pを短辺とし、且つ第2の正方形軌跡生成装置32の作動出力軸41の移動軌跡Cy のほぼ正方形の一辺Qを長辺とする、ほぼ長方形の軌跡Cxyで旋回移動される。
【0059】
したがって、この長方形軌跡生成装置は、巻線装置に適用する場合、作動出力プレート体49を、2点鎖線で示したステータコアのティース部30の断面形状に対応するほぼ長方形の軌跡で旋回移動させることができるので、図6に示した巻線装置で説明したと同様の効果を得られるのに加えて、作動出力プレート体49を常にティース部30に対し確実に一定の距離を保ちながら移動させることができるから、導線の整列性を正確に確保することができるとともに、隣接するティース部30またはティース部30に既に巻き付けられたコイルにノズルが干渉することが確実に防止されるから、スロット28内のコイル占有率(スペースファクタ)を可及的に高めて巻線することが可能となる。また、回転体33,39およびガイド回転体43,44は、ベルト47による連結構造によって互いに同一の回転速度で回転されるから、簡素化された構成によって各作動出力軸38,41の互いの移動タイミングを容易、且つ確実に同期させることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、第1の正方形軌跡生成装置31および第2の正方形軌跡生成装置32をそれぞれ2台ずつ設けた場合を例示して説明したが、両正方形軌跡生成装置31、32を少なくとも各々1台ずつ有していれば、上記実施の形態と同様に、作動出力プレート体49をほぼ長方形の軌跡で旋回移動させることができる。また、回転体33,39およびガイド回転体43,44は、ベルト47による回転伝達手段によって同一の回転速度で回転させる場合を例示したが、ギャ連結構造を用いてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明の正方形軌跡生成装置によれば、遊星歯車を自転と公転との回転バランスをとりながら連続的な回転運動を行わせるだけの簡単な構成で、作動出力軸をほぼ正方形の移動軌跡で旋回させることができるから、カム機構を用いる構成とは異なり、慣性力に伴う加振力が発生しないから、旋回速度を十分に上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態に係る正方形軌跡生成装置を示す概略正面図、同図(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】(a)は同上の正方形軌跡生成装置の内歯車の軸心回りに公転する遊星歯車における軸心の内歯車の軸心に対するY方向の相対位置の変化と、自転する遊星歯車の軸心に対する作動出力軸のY方向の相対位置の変化を示した波形図、(b)は作動出力軸のY方向の移動を示す波形図、(c)は作動出力軸のY方向への移動速度を示す波形図、(d)は作動出力軸のY方向への加速度を示す波形図。
【図3】(a)は作動出力軸のY方向の移動位置を示す波形図、(b)は作動出力軸のX方向の移動位置を示す波形図、(c)は作動出力軸のX方向およびY方向における移動位置を示す波形図。
【図4】(a),(b)はそれぞれ作動出力軸の移動軌跡の10°毎の角度におけるX方向およびY方向の各位置の実測値を示す図。
【図5】(a),(b)はそれぞれ図4(a),(b)の実測値による作動出力軸の移動軌跡を示す図。
【図6】同上の正方形軌跡生成装置を利用して構成した電動機用ステータコアの巻線装置を示す一部除外した概略正面図。
【図7】図6のE−E線断面図。
【図8】図6のF−F線断面図。
【図9】図8のG−G線断面図。
【図10】同上の巻線装置におけるY方向作動軸の移動軌跡とX方向作動軸の移動軌跡とこの両移動軌跡を合成したノズル支持プレートの移動軌跡とを示す説明図。
【図11】(a)〜(d)は同上の巻線装置におけるノズル支持プレートが1回の旋回を行う過程を順に示した概略正面図。
【図12】本発明の一実施の形態に係る長方形軌跡生成装置を示す一部除外した概略正面図。
【図13】同上の長方形軌跡生成装置の概略正面図。
【図14】同上の長方形軌跡生成装置における作動出力プレート体の移動軌跡を示す説明図。
【符号の説明】
3,34,40 内歯車
7,37,42 遊星歯車
14,38,41 作動出力軸
31 第1の正方形軌跡生成装置
32 第2の正方形軌跡生成装置
47 ベルト
50 Y方向受動用ガイド孔
51 X方向受動用ガイド孔
1 内歯車の軸心と遊星歯車の軸心との間隔
2 偏心距離
c1 内歯車の軸心
c2 遊星歯車の軸心

Claims (6)

  1. 内歯車に噛合した状態で回転駆動源により前記内歯車の軸心回りに回転されて、自転しながら前記内歯車に沿って公転される遊星歯車と、
    前記遊星歯車における軸心に対し偏心した部位に設けられた作動出力軸とを備え、
    前記遊星歯車を公転の回転速度に対し3倍の回転速度で自転させて、前記作動出力軸がほぼ正方形の軌跡で旋回移動するように構成されていることを特徴とする正方形軌跡生成装置。
  2. 内歯車が、回転駆動源によって前記遊星歯車の公転方向に対し逆方向に回転されている請求項1に記載の正方形軌跡生成装置。
  3. 遊星歯車と内歯車の歯車比が1対2に設定され、前記内歯車が、前記遊星歯車の公転の回転速度と同一の回転速度で回転されている請求項2に記載の正方形軌跡生成装置。
  4. 内歯車の軸心と遊星歯車の軸心との間隔をR1 とし、作動出力軸の前記遊星歯車の軸心からの偏心距離をR2 としたとき、前記偏心距離R2 が、前記間隔R1 の1/8〜1/9に設定されているとともに、作動出力軸が、2(R1 −R2 )を一辺とするほぼ正方形の軌跡で旋回移動するように設定されている請求項1ないし3の何れかに記載の正方形軌跡生成装置。
  5. 請求項1ないし4の何れかに記載の正方形軌跡生成装置とそれぞれ同一の構成を有して、所定長さを一辺とするほぼ正方形の移動軌跡で作動出力軸が旋回移動される第1の正方形軌跡生成装置と、この第1の正方形軌跡生成装置による移動軌跡よりも大きなほぼ正方形の移動軌跡で作動出力軸が旋回移動される第2の正方形軌跡生成装置とが、少なくとも1台ずつ設けられ、
    互いに直交するX方向およびY方向にそれぞれ延びる長孔状のY方向受動用ガイド孔およびX方向受動用ガイド孔が少なくとも1個ずつ形成されているとともに、前記第1および第2の両正方形軌跡生成装置のうちの一方の作動出力軸が前記Y方向受動用ガイド孔に、且つ他方の作動出力軸が前記X方向受動用ガイド孔にそれぞれ摺接自在に挿通された作動出力プレート体を有し、
    前記X方向受動用ガイド孔が、前記作動出力軸のY方向への移動を許容し、且つX方向の移動分のみを受けて前記作動出力プレート体をX方向に移動させる孔形状を有するとともに、前記Y方向受動用ガイド孔が、前記作動出力軸のX方向の移動を許容し、且つY方向の移動分のみを受けて前記作動出力プレート体をY方向に移動させる孔形状を有し、
    前記作動出力プレート体が、前記第1の正方形軌跡生成装置の作動出力軸の移動軌跡のほぼ正方形の一辺を短辺とし、且つ前記第2の正方形軌跡生成装置の作動出力軸の移動軌跡のほぼ正方形の一辺を長辺とする、ほぼ長方形の軌跡で旋回移動するように構成されていることを特徴とする長方形軌跡生成装置。
  6. 少なくとも1台ずつ設けられた第1および第2の各正方形軌跡生成装置の各々の内歯車が、単一の回転駆動源の回転力をベルト連結構造またはギャ連結構造により伝達されて、互いに同一の回転速度で回転されるようになっている請求項5に記載の長方形軌跡生成装置。
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