JP5469364B2 - エンボス転写用熱可塑性樹脂シート、熱可塑性樹脂製エンボスシート、および、熱可塑性樹脂製エンボスシートの製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、画像表示装置では、高解像度の画質が要求されている。このような画像表示装置で用いられる光拡散シートでは、光拡散状態が画質に影響を及ぼすことから、従来の微粒子を用いる構成に比して、微細な構造のプリズム効果を呈するパターンを有した光拡散シートが望まれている。
このようなパターンを有するシートとして、各種の構成が知られている(特許文献1,2参照)。
一方、特許文献2に記載のものは、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用い光学シートなどとして用いられるエンボスシートを製造する構成が採られている。
本発明は、このような点に鑑み、高転写率が得られるエンボス転写用熱可塑性樹脂シート、熱可塑性樹脂製エンボスシート、および、熱可塑性樹脂製エンボスシートの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明では、前記転写面層は、ガラス転移点降下剤を含有した構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記ガラス転移点降下剤は流動パラフィンである構成とすることが好ましい。この場合、転写面層が質量比でポリスチレン系樹脂100に対してガラス転移点降下剤を0.3以上5以下、好ましくは0.35以上4.95以下で含有したものを用いることもできる。すなわち、ガラス転移点降下剤が質量比でポリスチレン樹脂100に対して0.3より少なくなると、転写時のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートにおける転写面層の流動性が損なわれ、転写効率の向上が望めなくなり、5より多くなると、均一な混合が困難となり製造性の向上が図れなくなるおそれがあるためである。
特に、ガラス転移点降下剤とともに、質量比で熱可塑性樹脂100に対して易滑性添加剤を0.05以上0.5以下で併用する場合には、易滑性添加剤として、脂肪酸アミドが好適に用いられる。
以下、本発明の前提となる技術および実施形態では、エンボス転写用熱可塑性樹脂シートとして、基材層と転写面層を積層した2層のシート構成を例示するが、2層に限られるものではなく、少なくとも2層以上の多層構成も対象とすることができる。
<エンボス転写用熱可塑性樹脂シート>
図1に示すように、エンボス転写用熱可塑性樹脂シート(以下、熱可塑性樹脂シートと称す)11は、熱可塑性樹脂製の基材層11Aと、この基材層11Aに積層形成され表面にエンボスパターンが転写により設けられる転写面を有した転写面層11Bとを備えている。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン(COC(Cyclo-Olefin Copolymer),COP(Cycro-Olefin Polymer))など非晶性熱可塑性樹脂、ポリプロピンなどの結晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、非晶性熱可塑性樹脂が好適である。
なお、基材層11Aと、転写面層11Bとは、同一の熱可塑性樹脂を用いる場合に限らず、異なる材料を用いてもよい。
すなわち、転写面層11BのTgが基材層11Aの(Tg−1)℃より高い場合、高転写率が得られないという不都合を生じるためである。
ここで、基材層11Aより転写面層11Bのガラス転移点を下げる方法としては、後述するガラス転移点降下剤を添加する他、基材層11Aと異なる熱可塑性樹脂を転写面層11Bに用いてもよい。具体的には、基材層11Aにポリカーボネートを用いる場合には転写面層11Bにポリスチレンを用い、基材層11Aに環状ポリオレフィン(COC)を用いた場合には転写面層11Bに環状ポリオレフィン(COP)を用いることが挙げられる。
なお、ガラス転移点降下剤は、基材層11Aや転写面層11Bを構成する熱可塑性樹脂に応じて選択する。例えば、熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂の場合、ガラス転移点降下剤は流動パラフィンとすることが好ましく、熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂の場合、ガラス転移点降下剤はカプロラクトン、リン酸エステル系難燃剤、ポリカーボネートオリゴマーあるいはその誘導体、ポリブチレンテレフタレート、または、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)とすることが好ましい。
すなわち、基材層11AのTgが50℃より低いと耐熱性が劣るという不都合を生じるおそれがあり、200℃より高いと押出製膜自体困難になるという不都合を生じるおそれがあるためである。
そして、このような基材層11Aおよび転写面層11Bを備えた熱可塑性樹脂シート11としては、熱可塑性樹脂としてポリスチレン系樹脂が好適に用いられる。
上述した多層構造の熱可塑性樹脂シート11の転写面層11Bに、後述する図2に示すような製造装置100によりエンボスパターンが転写され、図3および図4に示す熱可塑性樹脂製エンボスシート21が製造される。
図2において、製造装置100は、熱可塑性樹脂シート11を用いて、熱可塑性樹脂製エンボスシート21を、ダイレクト製膜するシングルベルト方式の装置である。
そして、製造装置100は、押出機のTダイ12と、第1ロール13、第2ロール14および補助ロール18とに巻装された金属製エンドレスベルト15と、この金属製エンドレスベルト15を介して第1ロール13と接触するエンボスパターン形成用の第3ロール16と、第3ロール16の近傍に設けられた反り矯正ロール17と、第3ロール16の周面に熱可塑性樹脂シート11および金属製エンドレスベルト15を介して接触し、第3ロール16との間に線圧を加える第4ロール19と、複数の搬送ロール20と、図示しない線圧制御手段と、温度制御手段30と、を備えて構成されている。
なお、弾性材25を用いる場合、その硬度(JIS K6301 A 型に準拠)が50〜100度、厚さが1mm〜50mmのものが好ましい。また、弾性材25の材質としては、例えば、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、EPT、EPDM等を用いることができる。そして、弾性材25の厚さが1mmより薄くなると、弾性効果が弱まるうえ、熱可塑性樹脂シート11に対する面状圧接区間が減少する。また、クッション性が低くなり、金属製エンドレスベルト15と第3ロール16との間の熱可塑性樹脂シート11の導入部分において樹脂バンクが発生しやすくなる。一方、50mmより厚くなると、耐久性や熱伝導性に問題が生じるおそれがある。このため、厚さが1mm〜50mmに設定されることが好ましい。
金属製エンドレスベルト15は、厚さは任意であるが、例えば0.1mm〜1.5mmが好ましい。すなわち、0.1mmより薄いと、強度が弱くなり、耐久性が悪化する。1.5mmより厚いと、金属製エンドレスベルト15が巻装されている、第1ロール13、第2ロール14および補助ロール18の径を大きくする必要があり、装置が大型化する。また、加熱、冷却の効率が悪くなって、製造コストが上昇する。これらのことから、厚さ寸法を0.1mm〜1.5mmに設定することが好ましい。
そして、第1ロール13、第2ロール14および補助ロール18の少なくともいずれか1つは、その回転軸が回転駆動手段(図示せず)と連結され、金属製エンドレスベルト15を回行移動させる。
そして、この第3ロール16は、その外周面の一部に金属製エンドレスベルト15を抱き込むように、第1ロール13と第2ロール14との間の金属製エンドレスベルト15が内側に窪む位置に配置されている。すなわち、熱可塑性樹脂製エンボスシート21の製造時において、第1ロール13と第2ロール14との間の金属製エンドレスベルト15を、第3ロール16の外周面の一部に巻き付くように蛇行させている。
第3ロール16は、表面温度は、(Tg−20)℃以上(Tg+30)℃以下に制御されていることが好ましい。
すなわち、(Tg−20)℃より低くなると転写する転写面層11Bの樹脂の流動性が低くなって高転写率が得られなくなるおそれがあり、(Tg+30)℃より高くなると第3ロール16からの剥離に支障が出るおそれがあるためである。
なお、温度制御する具体的な構成としては、内部に流体などが流通可能に構成し、流体の流通により表面温度を制御する構成などを適用するとよい。
この第4ロール19には、図示しない線圧制御手段が設けられている。この線圧制御手段は、第4ロール19を押圧する圧力を制御するものである。
線圧制御手段は、例えば油圧式や空圧式などの第4ロール19を軸支するシリンダーを有し、シリンダーの制御により第4ロール19を押圧する。
第4ロール19の押圧条件は、線圧で50kg/cm以上250kg/cm以下であることが好ましい。
すなわち、線圧が50kg/cmより低くなると十分に転写されずに高転写率が得られなくなるおそれがあり、線圧が250kg/cmより高くなると第4ロール19の撓みなどを考慮する必要があり設備が大型化するおそれがあるためである。
第一の温度制御手段30Aは、第1ロール13および第3ロール16間の接触面から、第3ロール16および第4ロール19間の接触面までの間(つまり、第3ロール16および第4ロール19間に線圧を加える前)の金属製エンドレスベルト15の表面温度を、(Tg−20)℃以下に制御する。
すなわち、この位置での金属製エンドレスベルト15の表面温度が(Tg−20)℃より高くなると、比較的に肉厚の熱可塑性樹脂シート11にエンボスパターンを転写形成する場合、バンクマークなどの外観不良が発生して歩留まりの向上が図れなくなるとともに、熱可塑性樹脂シート11の冷却固化が十分に行なわれず、押圧力の伝播が悪くなって転写率が低くなるおそれがあるためである。
また、第二の温度制御手段30Bは、第3ロール16および第4ロール19間の接触面の位置よりも熱可塑性樹脂シート11の搬送方向の下流側(つまり、第3ロール16および第4ロール19間で線圧を加えた後)における金属製エンドレスベルト15の表面温度を、(Tg−30)℃以下に制御する。
すなわち、この位置での金属製エンドレスベルト15の表面温度が(Tg−30)℃より高くなると、熱可塑性樹脂シート11の冷却固化が十分に行なわれず、転写したエンボスパターン、特にプリズム形状が歪んだり、一旦転写した後のエンボスパターンが弾性回復して転写率が低下したりするおそれがあるとともに、第3ロールから剥離する際に剥離マークなどの外観不良が発生するおそれがあるためである。
この反り矯正ロール17は、例えば内部を流体が流通可能に構成され、流通する流体により外周面が所定の温度に調整可能に構成されている。
この反り矯正ロール17の表面温度は、(Tg−30)℃以上(Tg+10)℃以下、好ましくは(Tg−25)℃以上(Tg+5)℃以下に設定することが好ましい。
すなわち、反り矯正ロール17の表面温度が(Tg−30)℃より低くなると反り矯正が不十分となるおそれがあり、(Tg+10)℃より高くなると反り矯正が過多となったり、反り矯正ロール17の表面への付着が発生したりするおそれがあるためである。
次に、上述した製造装置100を用いて上記熱可塑性樹脂製エンボスシート21を製造する動作を説明する。
まず、温度制御手段30により金属製エンドレスベルト15を所定の温度に制御する。具体的には、第1ロール13および第3ロール16間の接触面から、第3ロール16および第4ロール19間の接触面までの間(第3ロール16と第4ロール19との間に線圧を加える前)の表面温度を、第一の温度制御手段30Aにより(Tg−20)℃以下に制御する。さらに、第3ロール16と金属製エンドレスベルト15における熱可塑性樹脂シート11を介した接触面とのうち、第3ロール16および第4ロール19間の接触面の位置よりも熱可塑性樹脂シート11の搬送方向の下流側(第3ロール16と第4ロール19との間に線圧を加えた後)の金属製エンドレスベルト15の表面温度を、第二の温度制御手段30Bにより(Tg−30)℃以下に制御する。
そして、押出機のTダイ12より溶融状態の基材層11Aと転写面層11Bとを押出して積層させた熱可塑性樹脂シート11を、回転する第3ロール16と第1ロール13の位置での回行する金属製エンドレスベルト15との間に導入する。
さらに、回転する第3ロール16および回行する金属製エンドレスベルト15間で、第二の温度制御手段30Bにより(Tg−30)℃以下となっている金属製エンドレスベルト15にて基材層11A側からさらに冷却され、第3ロール16に巻き取られつつ、金属製エンドレスベルト15から剥離される。
この後、反り矯正ロール17にて巻き取らせるようにして熱可塑性樹脂シート11を第3ロール16から剥離させ、反り矯正ロール17にて第3ロール16で巻き取る側と反対側、すなわち基材層11A側が内側となる状態に巻き取らせ、熱可塑性樹脂シート11が完全に固化する前に反りを除去し、搬送ロール20にて搬送し、エンボスパターンが転写された熱可塑性樹脂製エンボスシート21を製造する。
上述したように、上記本発明の前提となる技術によれば、基材層11Aの表面にエンボスパターンが転写される転写面層11Bを有した熱可塑性樹脂シート11を用いている。
この熱可塑性樹脂シート11において、基材層11AのTgよりも1℃以上低い転写面層11Bを基材層11Aに積層形成しているため、転写に必要な応力が伝播しやすくなり、基材層11A側の温度を下げた場合でも転写面層11B側の流動性が相対的に確保され、従来の金属製エンドレスベルト15を用いる製法では得られなかった高い転写率が得られるとともに、高転写率が高いので、製造装置100の構成の簡略化が容易に図れ、歩留まりの向上も得られる。
さらに、転写面層11Bとして、ガラス転移温度降下剤を質量比で熱可塑性樹脂100に対して0.3以上5以下で含有することにより、転写面層11BのTgが基材層のTgよりも1℃以上低い積層構造が容易に得られ、従来の金属製エンドレスベルト15を用いる製法では得られなかった高い転写率が得られる。
このため、比較的に肉厚の熱可塑性樹脂シート11を用いて熱可塑性樹脂製エンボスシート21を製造する場合でも、バンクマークなどの外観不良を生じることなく、エンボスパターンを高転写率で転写形成できる。
そして、本実施形態では、エンボスパターンを転写する第3ロール16と反対側の基材層11A側から金属製エンドレスベルト15を所定の温度、すなわち第4ロール19より上流側では(Tg−20)℃以下、下流側では(Tg−30)℃以下の温度に制御して冷却している。
このため、熱可塑性樹脂シート11にエンボスパターンを高転写率で転写形成できるとともに、熱可塑性樹脂シート11が金属製エンドレスベルト15から容易に剥離でき、高転写率の熱可塑性樹脂製エンボスシート21を良好に製造できる。
さらに、上記前提技術では、反り矯正ロール17を配設し、エンボスパターンの転写時の反りと反対側の反りを加えて、転写時の反りを除去している。
このため、反りがなく、例えば液晶表示装置などで利用する光拡散シートなどでも十分に適用できる良好な熱可塑性樹脂製エンボスシート21を製造できる。
以下、本発明における実施形態について説明する。
この実施形態は、上記前提技術における熱可塑性樹脂シート11の組成として、転写面層11Bのガラス転移点(Tg)を基材層のTgよりも1℃以上低い材料としたが、第二実施形態では易滑性添加剤を用いたものである。
すなわち、第二実施形態の熱可塑性樹脂シート11は、転写面層11Bとして、Tgは基材層11Aと同様とし、質量比で熱可塑性樹脂100に対して易滑性添加剤を0.05以上0.5以下で含有したものを用いた構成としている。これにより、転写面層11Bの樹脂が移動しやすく、従来の製法では得られなかった高い転写率が得られる。
易滑性添加剤としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミドなどを用いることができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状等は、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
具体的に、シート厚みが薄い(例えば、50〜1000μm)場合には、第1ロール13と第4ロール19との間の線圧ではなく、第3ロール16と第1ロール13間の面圧でエンボスパターンを転写形成してもよい。この構成の場合、第4ロール19や冷却装置は必須ではない。
一方、基材層11Aの組成としても、Tgが50℃以上200℃以下の熱可塑性樹脂を用いる構成に限られない。さらには、単独の樹脂原料に限らず、複数の熱可塑性樹脂原料を混合したものを用いたり、添加物を適宜添加したりするなどしてもよい。
なお、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
(原料)
エンボス転写用熱可塑性樹脂シートを構成する基材層の原料として、熱可塑性樹脂原料にPSジャパン株式会社製の商品名GPPS G9504(Tg=100℃、MFR=1.5g/10min(200℃))を用い、これを熱風乾燥機にて95℃、2時間乾燥処理したものを用いた。
エンボス転写用熱可塑性樹脂シートを構成する転写面層の原料として、質量比で、基材層と同一の熱可塑性樹脂原料100に対して流動パラフィン2を含むマスターペレット(Tg=92.1℃)を熱風乾燥機にて95℃、2時間乾燥処理したものを用いた。
(製造装置)
以下に示す条件の上述した図1に示す製造装置により、上述の基材層の原料および転写面層の原料をそれぞれ押出機のホッパーに供給し、押出機にて溶融可塑化した後、フィードブロックにて2層に積層させて単層のコートハンガーダイに導入し、ダイリップから溶融状態の積層する2層構造の樹脂膜である転写用樹脂シートを押出した。この転写樹脂シートに以下に示す条件でエンボスパターンを転写し、総肉厚2.0mmの熱可塑性樹脂製エンボスシートを製造した。
(A)基材層用単軸押出機:径寸法75mm(L/D=28)
(B)転写面層用単軸押出機:径寸法50mm(L/D=28)
(C)コートハンガーダイ:900mm幅、リップ開度3.5mm
(D)押出加工条件:
(a)押出機シリンダー部の温度;210〜230℃
(b)アダプター部;230℃
(c)ダイ;230℃
(d)75mm押出量;120kg/h
(e)50mm押出量;7kg/h
(f)シートの引取り速度;1.3m/分
(g)樹脂温度;243℃
(E)ベルト機:
(a)ステンレススチールベルト;厚さ寸法0.8mm、幅寸法900mm
(b)ベルト表面粗さRa;0.015μm
(c)第1ロール;厚さ寸法10mm、JIS K6301 A 型60°のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)で被覆されたロール(径寸法600mm)
(d)第2ロール;二重管スパイラル金属ロール(径寸法600mm)
(e)第3ロール;表面に頂角90°ピッチ150μm、深さ75μmのプリズムを6666本加工した二重管スパイラルロール(径寸法600mm)
(f)第4ロール;JIS K6301 A 型60°のNBRで被覆されたロール(径寸法300mm)。
(A)転写率:
製造した熱可塑性樹脂製エンボスシートの転写されたプリズムの高さ寸法Hを測定し、以下の式(1)を用いて転写率[%]を算出した。この式(1)中のDはプリズム版の深さである。
転写率=H/D×100 …(1)
(B)反り率:
500mm角のプリズムシートの1辺の中央を垂直に吊り、シート下端部付近の両辺に定規を当てる。定規とシートの面との間の最大の隔たり距離Yをノギスまたはデプスゲージで0.1mmまで測定する。以下の式(2)を用いて反り率[%]を算出した。
反り率=Y/500×100 …(2)
これらの結果を以下の表1,2に示す。
参考例1における転写面層の原料のマスターペレットとして、ガラス転移点降下剤としての流動パラフィンの添加量や、各種易滑性添加剤を適宜添加したものを用い、参考例1と同様の製造条件でエンボスパターンを転写して実施例1〜4、参考例2〜4、比較例1,2の熱可塑性製エンボスシートを製造した。
これらの結果を、表1,2に示す。
上記表1,2に示す結果から、基材層と転写面層とが同一組成、すなわち単層の比較例1では、高い転写率が得られなかった。
一方、参考例1,2,4では、ガラス転移点降下剤を転写面層に添加しているので、転写面層のTgが基材層のTgより実質的に下がり、転写率が向上できた。
また、転写面層に易滑性添加剤を添加した実施例3についても、転写率を向上できた。
そして、実施例1,2に示すように、ガラス転移点降下剤と易滑性添加剤とを転写面層に併用することで、単独で用いる参考例1,2,4,実施例3に比して、より転写率を向上できることがわかる。
また、参考例3では、参考例1に比して線圧を上げることで転写率が向上することがわかる。
13…第1ロール
14…第2ロール
15…金属製エンドレスベルト(ベルト)
16…第3ロール
19…第4ロール
21…熱可塑性樹脂製エンボスシート
30…温度制御手段
100…製造装置
Claims (7)
- 基材層と、
この基材層に積層形成され表面にエンボスパターンが転写により設けられる転写面を有した転写面層と、を具備し、
前記転写面層は、質量比で熱可塑性樹脂100に対して易滑性添加剤を0.05以上0.5以下で含有し、
前記熱可塑性樹脂はポリスチレン系樹脂であり、
前記易滑性添加剤は脂肪酸アミドである
ことを特徴としたエンボス転写用熱可塑性樹脂シート。 - 請求項1に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートであって、
前記転写面層は、ガラス転移点(Tg)が前記基材層のTgよりも1℃以上低い
ことを特徴としたエンボス転写用熱可塑性樹脂シート。 - 請求項1または請求項2に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートであって、
前記転写面層は、ガラス転移点降下剤を含有した
ことを特徴としたエンボス転写用熱可塑性樹脂シート。 - 請求項3に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートであって、
前記ガラス転移点降下剤は流動パラフィンである
ことを特徴としたエンボス転写用熱可塑性樹脂シート。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートであって、
前記基材層は、Tgが50℃以上200℃以下の熱可塑性樹脂を主成分として形成された
ことを特徴としたエンボス転写用熱可塑性樹脂シート。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートの前記転写面層に、エンボスパターンが転写形成された
ことを特徴とした熱可塑性樹脂製エンボスシート。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエンボス転写用熱可塑性樹脂シートを用いて製造する
ことを特徴とする熱可塑性樹脂製エンボスシートの製造方法。
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