JP5467600B2 - アンカー体造成工法 - Google Patents

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本発明は、グラウンドアンカーの施工技術に関し、より詳細には、拡孔アンカー体の効果的な造成技術に関する。
グラウンドアンカーの施工において、アンカー孔を削孔する際に、小径の掘削孔に連続して大径部(拡孔された掘削孔)を掘削することにより段差部を作成し、大径部を定着長部とすることで外周面積の増大に伴う摩擦力を増大させ、且つ、段差部の支圧面の剪断耐力によって強力な引張抵抗を得られることが知られている。
上記の技術として、例えば、掘削ロッドの先端に左右一対の掘削ビットをそれぞれ枢軸により回転自在に取付け、掘削ロッドの内部にビット作動用ロッドを連結した連結ロッドを進退自在に挿入し、当該連結ロッドを進行側に押し込むことによって掘削用ビットを開き、開いた状態の掘削用ビットによって大径部HLを掘削する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来技術では、インナーロッド内側に押込用ロッドを配置して、当該押込用ロッドを地中側に押し込むことにより、閉じた状態の掘削用ビットを開いている。
前記特許文献1では、大径部HLを掘削した後、テンドンを挿入するために、掘削用ビットを閉じて掘削ロッドを引き上げなければならない。しかし、地盤中で左右に開いた掘削用ビットを閉じるには、土や礫の抵抗があるため、簡単には閉じた状態には戻らなかった。そのため、例えば、左右に開いた掘削用ビットを掘削ロッドから切り離し、掘削ロッドのみを引き上げる技術が提案されているが、このような残置式ビットでは、掘削孔毎に掘削用ビットが必要となるため費用がかさむという問題があった。
ところで、グラウンドアンカーは、地盤に掘削した孔にテンドンを挿入し、テンドンと孔の隙間をセメントミルクのグラウトで充填し、グラウトが設計強度を発現した後にテンドンに設計緊張力を付与して、健全なアンカーとしての機能を有する。
このとき、グラウト自体の強度以外に、グラウトとテンドンとの付着及びグラウトと地盤との付着が緊張力に大きな影響を与える。そのため、グラウトが完全に充填されることや、テンドンを掘削孔の中央部に位置させて、グラウトの所要被り厚さを確保することが重要となる。
前述した拡孔アンカーにおいて、セメントミルクを確実にグラウトする方法として、テンドンの定着長部に袋体を装着し、この袋体内にグラウトする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献2)では、袋体内にグラウトすることにより、セメントミルクはアンカー定着長部に充填されるが、テンドンを掘削孔の中央部に位置させることは開示されていない。
テンドンを掘削孔の中央部に位置させる保持具として、一般的なアンカーではセンタライザやスペーサを利用している。そして、前述したような拡径アンカーで用いられる保持具としては、例えば、支持片を先端サイドに一体的に有する主軸部と、主軸部の回りで支持片に枢着され、この枢着点を中心とした主軸部に対する回動のもとで、縮径された折り畳み位置から拡開可能な複数の可動アームと、主軸部に対する拡開位置に可動アームを偏奇する偏奇手段とを具備し、偏奇手段の偏奇力による可動アームの拡開によってその外径を拡径可能に構成されたセンタライザがテンドンのアンカー定着長部の少なくとも1箇所に設けられたものが提案されている(特許文献3)。
係る従来技術(特許文献3)によれば、アンカー定着長部に設けられたセンタライザの拡径のもとで、テンドンがアンカー径のほぼセンター位置へ容易に配置、保持出来る。
ここで、拡径アンカーでは、小径の掘削孔に連続して大径部を掘削し、係るアンカー孔にテンドンを挿入するため、センタライザは小径部を通過して、大径部に設置される。そのため、上述した従来技術(特許文献3)のセンタライザは、小径部を通過するときは縮径できて、大径部では可動アームの拡開によりテンドンを孔の中央部に配置する。
しかし、地盤中で縮径及び拡開を確実に行うために、係る従来技術(特許文献3)では構成が複雑となり、高価なものになってしまうという問題が存在する。
さらに、大径部は地盤の奥にあり、削孔条件等により常に計画した径と一致するとは限らないので、上述した従来技術(特許文献3)では、可動アームの拡開によりテンドンが常に掘削孔の中央部に位置するとは訳ではない、という問題も存在する。
特許第3799170号公報 特開平6−212630号公報 特開平10−168877号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、確実且つ安価に拡径アンカーを造成し、さらに、その定着長部においてテンドンを掘削孔のセンターに位置せしめることが可能なアンカー体を造成する工法の提供を目的としている。
本発明のアンカー体造成工法は、アンカー体を造成するべき地盤(G)をアウターロッド(2)を用いて削孔する工程と、先端に閉じた状態の掘削用ビット(4)を取り付けたインナーロッド(1)をアウターロッド(2)の内部空間(2i)に挿入する工程と、インナーロッド(1)の内部空間(1i)に流体圧を作用して(例えば高圧水を供給して)掘削用ビット(4)を開く工程と、開いた掘削用ビット(4)を用いて大径部(HL)を掘削する工程と、インナーロッド(1)の内部空間(1i)の流体圧を減圧し(例えば、高圧水をインナーロッド内部空間1iから排出し)開いた状態の掘削用ビット(4)を閉じた状態にしてアウターロッド(2)の内部空間(2i)に収容する工程と、アウターロッドの内部空間(2i)から掘削用ビット(4)及びインナーロッド(1)を地上側に引き上げる工程と、定着長部に袋体(5)を被せたテンドン(6)をアウターロッド(2)の内部空間(2i)に挿入して大径部(HL)に配置する工程と、袋体(5)に固化材(例えばセメントミルクCM)を注入して袋体(5)を膨張させる工程とを有し、
前記掘削用ビット(4)は、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して相対的に移動する手段と、ピストン(3)の移動により掘削ビット(4)を開閉する手段とを有し、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して相対的に移動する手段はインナーロッド(1)に流体(例えば高圧水)を供給し排出する手段(例えば、ポンプ)を有しており、
掘削用ビット(4)を開く前記工程では、インナーロッド(1)内に流体圧を作用させて、当該流体圧によりピストン(3)をインナーロッド(1)に対して地中側へ相対移動せしめ、ピストン(3)の地中側への移動により掘削用ビット(4)がピストン(3)により押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビット(4)が開き、
掘削用ビット(4)を閉じる前記工程では、インナーロッド(1)をアウターロッド(2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)と共に、インナーロッド内(1i)に作用している流体圧を解除或いは減圧し、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して地上側に相対移動し(掘削用ビット4がピストン3により押し開かれた状態を解除し)、さらに、インナーロッド(1)を地上側に移動する(インナーロッド1をアウターロッド3に対して相対移動して、地上側に引き込む)ことにより、開いた状態の掘削ビット(4)がアウターロッド(2)の管端部(22e)に当接して、閉じる方向に付勢することを特徴としている(請求項1)。
本発明において、大径部(HL)を掘削する前記工程が完了した際に、大径部(HL)の地中側(図27では右側)に小径のテンドン先端部支持孔(ht)を削孔し、テンドン(6)をアウターロッド(2)の内部空間(2i)に挿入して大径部(HL)に配置する前記工程ではテンドン(6)の先端部(6e)をテンドン先端部支持孔(ht)に挿入するのが好ましい(請求項2)。
或いは本発明において、テンドン(6)の先端部(6e)近傍(6d)と袋体(5)の膨張時に地上側となる部分(図25〜図27では上側)の地中側端部近傍(5ud)とが保持具(7:例えば、紐やチェーン)で予め結合されており、袋体(5)を膨張させる前記工程では、袋体(5)が膨張して袋体(5)の地上側部分(5ud)が上側に移動するに連れて、可撓性がある長尺部材(7)で袋体(5)の地上側部分(5ud)に結合されたテンドンの先端部(6e)近傍(6d)も大径部(HL)の中心軸(Hc)側に引き上げられるのが好ましい(請求項3)。
上述する構成を具備する本発明によれば、インナーロッド(1)の内側(1i)に押し込み用のロッドを配置せず、三重管構造を採用せず、継ぎ足しや回転伝達の為に複雑な構成を必要としないので、閉じた状態の掘削用ビット(4)を容易且つ確実に開いた状態とせしめて、地中に大径部(HL)を掘削することが出来る。
そして、開いた状態の掘削用ビット(4)を確実に閉じて、インナーロッド(1)を地上側に移動する(引き抜く)ことにより、アウターロッド(2)内に収容することが出来るので、掘削用ビット(4)を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となる。そして、地中で必要な掘削を行なった掘削用ビット(4)を再利用することが可能になる。
また本発明において、大径部(HL)の地中側端壁(Hw)に小径のテンドン先端部支持孔(ht)を削孔し、テンドン先端部(6e)をテンドン先端部支持孔(ht)に挿入すれば(請求項2)、テンドン(6)を大径部(HL)の中心軸に沿って配置することが出来る。そして、袋体(5)内に固化材(セメントミルク)を注入して膨張する際に、袋体(5)が大径部(HL)全体に亘って均一に膨張するので、デッドスペース(DS)を形成してしまうことがない。
本発明において、テンドンの先端部(6e)近傍と袋体(5)の膨張時に地上側となる部分(図36〜図38では上側)の地中側端部(5u)近傍とを、可撓性がある長尺部材(7:例えば、紐やチェーン)で予め結合した場合(請求項3)も、同様に、テンドンを大径部(HL)の中心軸に沿って配置することが出来て、袋体(5)が大径部(HL)全体に亘って均一に膨張するので、デッドスペース(DS)の形成が防止される。
本発明の実施形態において、掘削孔を削孔する工程を示す工程図である。 掘削用ビットを設けたインナービットをアウタービット内に挿入する工程を示す工程図である。 掘削用ビットをアウタービット先端から突出させる工程を示す工程図である。 閉じた状態の掘削用ビットを開く工程を示す工程図である。 大径部の削孔を完了した状態を示す工程図である。 インナーロッドを引き抜く工程を示す工程図である。 テンドン先端部支持孔を送水削孔する工程を示す工程図である。 テンドン先端部支持孔の送水削孔が完了した状態を示す工程図である。 掘削用ビット及びインナーロッドの回収工程を示す工程図である。 テンドンを挿入する工程を示す工程図である。 アウターロッドを一部引き抜く工程を示す工程図である。 袋体を膨張する工程を示す工程図である。 アウターロッドを回収する工程を示す工程図である。 実施形態で用いられる掘削用ビットが閉じた状態でアウターロッドから地中側に突出した状態を示す一部断面平面図である。 図14の掘削用ビットが開いた状態を示す一部断面平面図である。 図14、図1522の掘削用ビットが開いた状態から閉じる際における各種力の方向を示す説明図である。 図14〜図16の掘削用ビットの一例を示す正面図である。 図14〜図16の掘削用ビットにおける図24とは異なる例を示す正面図である。 図14〜図16の掘削用ビットの要部を示す部分拡大図である。 図14〜図16の掘削用ビットに形成された長孔を示す部分拡大図である。 大径部において袋体を不適当に配置した状態を示す工程図である。 図21の袋体にセメントミルクを充填する工程を示す工程図である。 図22の状態から袋体にセメントミルクをさらに充填した状態を示す工程図である。 図21で示すように配置されたアンカー体へのセメントミルク充填が完了した状態を示す工程図である。 実施形態で用いられる袋体の一例を示す説明図である。 実施形態で用いられる袋体の図25とは別の例を示す説明図である。 実施形態で用いられる袋体の図25、図26とは異なる例を示す説明図である。 実施形態で用いられる袋体の斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図14〜図20を参照して、本発明で用いられる掘削用ビット4と、全体を符号100で示す掘削装置について説明する。
図14において、図示の実施形態で使用される掘削装置100は、インナーロッド1、アウターロッド2、ピストン3、1対の掘削用ビット4、4´を有している。
1対の掘削用ビット4、4´は左右対称の翼型ビットであり、図14において上下に重なった状態で示されている。ここで、掘削用ビット4´が掘削用ビット4の下方に位置しており、掘削用ビット4´の内、図14では直接目視出来ない部分の輪郭が点線で示されている。掘削用ビット4、4´は、掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しており、掘削ビット揺動用ピン3Pの動き、すなわちピストン3の移動(図14では左右方向の移動)により、一対の掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作を行なうように構成されている。
インナーロッド1は、図示を省略したロッド本体と、ロッド本体の先端に取付けたシリンダ部11と、先端部12とを有している。
シリンダ部11は、第1の内径部111、第2の内径部112、第3の内径部113を有している。第1の内径部111は地上側に配置されており、第3の内径部113は地中側に配置されている。
第1の内径部111の内径よりも第2の内径部112の内径が大きく、第2の内径部112の内径よりも第3の内径部113の内径が大きくなる様に、設定されている。
アウターロッド2は、ロッド本体21と、その先端の掘削ビット2Bとを有している。掘削ビット2Bは、アウターロッド2で単管掘削する際に掘削用ビットとして作用する。そして、ビット2Bの一部がロッド本体21に嵌入されて、取替可能な構成となっている。
インナーロッド1の内側にはピストン3が設けられている。ピストン3は、インナーロッド1の第2の内径部112を摺動するように構成されている。そして第2の内径部112は、ピストン3に対してシリンダの機能を果たしている。
インナーロッド1における先端部12は、外径部121、122を有している。先端側、すなわち地中側(図14の右方)の外径部122の外径寸法は、シリンダ部11の外径寸法と概略等しい。
地上側の外径部121の外径寸法は、地中側の外径部122の外径寸法よりも小さい。先端部12の地上側の外径部121は、シリンダ部11の第3の内径部113と一体に嵌合されている。
先端部12にはヒンジピン13が設けられ、掘削用ビット4、4´はヒンジピン13を中心として回動する。
掘削用ビット4、4´の開閉動作については後述する。
掘削用ビット4と接続されるピストン3或いは3Aについては、図17で示す態様(第1の態様)と、図18で示す態様(第2の態様)とが存在する。
図17で示す第1の態様に係るピストン3の先端部分は、1枚の板状部材301で構成されている。
一方、図18で示す第2の態様に係るピストン3Aの先端部分は、二股に分かれた部材302、302で構成されている。
図17で示す第1の態様と、図18で示す第2の態様において、先端部分301、302には、掘削ビット揺動用ピン3Pが貫通している。この掘削ビット揺動用ピン3Pは、後述する掘削ビット揺動用ピン係合孔45を介して、1対の掘削用ビット4、4´を貫通している(図17、図18において、掘削用ビット4、4´は図示せず)。
図17で示す第1の態様に係るピストン3、或いは、図18で示す第2の態様に係るピストン3Aが、インナーロッド1の第2の内径部112内を移動することによって、1対の掘削用ビット4は開閉する。
図14〜図16において、掘削用ビット4は、全体が1枚の板状に形成されており、図16で示すように、掘削用の歯43が形成されている掘削側の辺と、その反対側の背部42とを有している。
図19では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45と、掘削ビット揺動用ピン3Pと、ヒンジピン係合孔47との位置関係を、掘削用ビット4の開閉動作と関連付けて示している。また図20では、掘削用ビット4における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の形状の詳細が示されている。
図19において、閉じた状態の掘削用ビット4が実線で示されている。そして、開いた状態の掘削用ビット4Lが点線で示されている。
図14で説明したように、掘削用ビット4、4´は左右対称に一対設けられており、掘削ビット揺動用ピン係合孔45、掘削ビット揺動用ピン3P、ヒンジピン係合孔47の位置関係は、左右の掘削用ビット4、4´(図14)について同様である。図示の簡略化のため、図19では、片方の掘削用ビット4の開閉動作についてのみ示している。
なお、図19は、図2〜図9、図14〜図16と、左右が逆の状態で表示されている。
図20において、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部は、領域F1、F2、F3、F4、F5から構成されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における円弧状の領域F1、F2は、ヒンジピン係合孔47(図19参照)に近い方が領域F1であり、離隔している方が領域F2である。そして、円弧状の領域F1、F2は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の両端部を構成している。
円弧状の領域F2では、後述するように掘削ビット揺動用ピン3Pが外接しながら移動する。そのため、円弧状の領域F2における曲率半径R1は、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径より少し長めの寸法に設定されている。図示の実施形態では、例えば、曲率半径R1が7mm、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径が6mmに設定されている。
図20において、領域F1の曲率中心FC1と領域F2の曲率中心FC2との直線距離が符号L1で示されており、図示の実施形態では18mmに設定されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における周縁部の領域F3は、直線Jcと平行な直線で構成されている。そして、直線Jcは、円弧状の領域F1の曲率中心FC1と、円弧状の領域F2の曲率中心FC2とを通過している。
領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、領域F4、F5は相互に向かい合うように延在している。そして、領域F4と領域F5とが突き当たる個所と、直線Jcとの距離は、符号L2で示されている。
図19において、ピストン本体31(図示は省略)に嵌入した掘削ビット揺動用ピン3Pは、ピストン本体31の動作により、矢印ATcで示すように直線Tc上を移動する。ここで直線Tcは、掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の軌跡を描いた直線である。
掘削ビット揺動用ピン3Pは掘削ビット揺動用ピン係合孔45に係合されており、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を動くことにより、掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている掘削用ビット4が開閉する。
掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削用ビット4が閉じた状態では、図19において最も右方に位置している。
図19において、ピストン本体31が左に動作して、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を左に動くと、掘削ビット揺動用ピン3Pも図19において左方へ移動する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図19において最も左方の位置のときに、掘削用ビット4の開度は最大となる。ここで、掘削ビット揺動用ピン3Pの「図19において最も左方の位置」は、シリンダ部11(図14)の第2の内径部112(図14)と、ピストン本体31との相対的な位置関係によって決定される。
ところで、掘削用ビット4を開閉するために掘削ビット揺動用ピン係合孔45が通過する軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心を曲率中心とする円弧となるので、掘削ビット揺動用ピン係合孔45とヒンジピン係合孔47との距離は常に一定である。
図19を参照して具体的に示すと、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F1の曲率中心FC1との距離が符号LF1で示されており、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離が符号LF2で示されている。そして、掘削用ビット4の開閉により、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2が移動する軌跡が、符号Trで示されている。
円弧状の軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心点が曲率中心であり、曲率半径が距離LF2であるため、掘削用ビット4を開閉するに際して、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離は、常に距離LF2となる。
ここで、前述したように、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きは直線運動であるため、直線Tc上を移動する掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47との距離は、掘削用ビット4の開閉に際して変動する。
掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点が、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点を結んだ直線がTcと直交する位置(長さL4の線分の位置)を通過するときに、「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は最小であり、図19において当該位置の左右では「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は大きくなる。
また前述のように、掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動くことにより掘削用ビット4は開き、掘削ビット揺動用ピン3Pが図19において最も左方の位置のときに掘削用ビット4の開度は最大となる。掘削用ビット4の開度が最大となったときに、「ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の距離」も最大となり、係る最大の距離が符号L3で示されている。
ところで、掘削用ビット4を開いた状態で地盤を掘削するときに、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間が大きいと、掘削用ビット4に「がた」を生じるため地盤の掘削に支障を来す。
そのため、地盤を掘削する際におけるヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離L3は、掘削用ビット4が閉じた状態における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離LF2と同程度であることが好ましい。地盤を掘削する際における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間を、掘削用ビット4が閉じた状態における当該隙間と同程度にして、係る「がた」を抑制するためである。
また、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点との距離が最小距離L4である場合においても、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は掘削ビット揺動用ピン3Pを係合或いは挿入していなければならない。
そのため、ヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F1の曲率中心FC1との距離LF1は、当該最小距離L4以下でなければならない。
図19を参照して、掘削用ビット4の開閉動作による掘削ビット揺動用ピン3Pと掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作を説明する。
図19において、掘削用ビット4が閉じた状態から掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動き出すと、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F5、F4(図20参照)を通過し、領域F1に近接する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pは、距離L4で示される位置(図19参照)を通過した後は、さらに掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F4、F5(図20参照)を通過する。
図19において、掘削用ビット4が開いた状態では、掘削ビット揺動用ピン3Pは領域F2(図20参照)の周縁部に到達する。
図14を参照して説明したように、掘削用ビット4、4´は、左右対称の翼型ビットが上下に重なった状態で同じ掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しているので、掘削ビット揺動用ピン3Pの動きにより掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作をする構成になっている。
つまり、図19に図示はしていないが、掘削用ビット4の対称となる掘削用ビット4´が掘削用ビット4に一部重なる位置に存在し(例えば図14参照)、掘削ビット揺動用ピン係合孔45と対称な掘削ビット揺動用ピン係合孔45´が、同一の掘削ビット揺動用ピン3Pに係合している。
そして、掘削用ビット4´は、ヒンジピン係合孔47´を中心軸として回動して開閉するため、掘削用ビット4´の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45´の動作は、直線Tc(図19)を対称軸として、掘削用ビット4の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作と線対称になる。
掘削用ビット4を開くために、掘削ビット揺動用ピン3Pが図19において最も右方の位置(掘削用ビット4が閉じた状態)から左方向に移動すると、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は軌跡Trに沿って動くため、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図19において最も右方の位置から距離L4で示される位置まで移動する間は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45は直線Tcに対して図19では下方に移動する。
そのときに、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット4´の揺動用ピン係合孔45´(図14参照:図19では図示せず)にも同様に作用をするので、図19で図示されない揺動用ピン係合孔45´も図19の左方向に押されて、直線Tcを対称軸として、軌跡Trと線対称な曲線に沿って移動する。すなわち、図19では図示しない揺動用ピン係合孔45´は、揺動用ピン係合孔45とは反対に、図19では直線Tcに対して上方に移動する。
ここで、図19、図20で詳細を示す揺動用ピン係合孔45、45´では、その周縁部に「窪み」を形成している。
図20を参照して、揺動用ピン係合孔45(揺動用ピン係合孔45´も同様)において、揺動用ピン係合孔45の周縁部における領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、相互に向かい合うように延在しているので、領域F4と領域F5とが突き当たる箇所は、直線Jcに対して窪んだ領域(窪み)となっている。
ここで、発明者の実験によれば、係る「窪み」、すなわち、図19において領域F4と領域F5とが突き当たる箇所と直線Jcとの距離L2から曲率半径R1の値を減算した数値(L2−R1)は、2mm以上が好ましく、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径以下であることが好ましい。
図示の実施形態では、窪みの頂点(F4、F5が突き当たる個所)と直線Jcとの距離であるL2が11mmであり、「窪み」すなわち距離L2から曲率半径R1を減算した数値(L2−R1)は4mmである。
次に、掘削装置100における掘削用ビット4、4´の開閉動作を、図14〜図16に基づいて説明する。
図14において、掘削用ビット4は、インナーロッド1の先端部12のヒンジピン13と係合して、ピストン3がインナーロッド1に対して後退した状態では、2つの掘削用ビット4が閉じた状態を維持する。
アンカー工法における掘削に際しては、先ず、図14で示すように、アウターロッド2から、インナーロッド1先端の掘削用ビット4を閉じた状態で突出させる。
つぎに、図15に示すように、インナーロッドの内部1iに加圧流体(液体、気体を含む)を供給すれば、インナーロッド1の内部空間1iが加圧され(図15における矢印Y0)、ピストン3が地中側(図15の右側)に移動して、掘削用ビット4を押し開く様に作用する。
そして、図15で示すように掘削用ビット4が開いたならば、当該開いた状態で、大径部HLを掘削する。
なお、インナーロッド内部1iに加圧流体を供給し、排出する機構としては、例えば、地上側に設置されたポンプ(図示せず)が用いられる。
掘削用ビット4を開いて大径の地中孔を掘削したならば、図16で示す状態から、インナーロッド内1iを減圧(矢印Yf)し、当該減圧により生じた負圧が、ピストン3を地上側(図16の左側)に引っ張る力として作用する(矢印Y3の動作)。それと共に、インナーロッド1及び掘削用ビット4を、アウターロッド2に対して、地上側(図16では左側)に引っ張る(図16における矢印Y1の動作)。
インナーロッド1を地上側(図16では左側)に引っ張ることにより、アウターロッド2のビット2Bの端部2Beは、掘削用ビット4の背部42におけるヒンジピン係合孔47よりも掘削歯43側に当接する。そして、アウターロッド2のビット2Bの端部2Beは、相対的に、掘削用ビット4の背部42を押圧する(矢印Y2)。
これにより、掘削用ビット4は、ピストン3を地上側(図16の左側)に引っ張る力(矢印Y3)と、アウターロッド2の端部2Beが掘削用ビット4の背部42を押圧する力(矢印Y2)とは、ヒンジピン13回りの偶力として作用して、掘削用ビット4を閉じる。
図1〜図7は、本発明に係るアンカー工法における各工程を、施工手順に沿って示している。
図1の工程では、先端に掘削ビット2Bを装着したアウターロッド2をスイベル20に接続して、施工領域の地盤Gを削孔する。削孔に際しては、スイベル20からアウターロッド2の内部2iに高圧水を供給(送水:矢印F2)している。そして、小径部を所定深度まで削孔したならば、次の工程に映る。なお、図1の例では、アウターロッド2のみで削孔しているが、多重管(図示せず)を用いて削孔することも可能である。
図2の工程では、先端部に掘削用ビット4を装着したインナーロッド1を、スイベル20に接続して、アウターロッド2の先端まで掘削用ビット4を挿入している。
図2〜図9において、符号3は、インナーロッドの先端に内蔵されたピストンを示している。
図2では、掘削用ビット4が大径部を掘削できるように、アウターロッド2の先端から突出するように、アウターロッド2を引き抜く(矢印Y1の動作)。そして、図3に示すように、再びスイベル20にアウターロッド2及びインナーロッド1を接続する。
図4では、インナーロッド1及びアウターロッド2を回転させ、スイベル20から、インナーロッド1の内部に送水し、インナーロッド1内の空間を加圧する(矢印Y0)。
インナーロッド1内の空間を加圧(矢印Y0)した結果、ピストン3が地中側(図4の右方)に移動して、掘削用ビット4の基部を地中側に押圧して、掘削用ビット4を開く(矢印R1の動作)。
図5で示す工程では、アウターロッド2とインナーロッド1との間の環状空間2iに送水しながら(矢印P2)、アウターロッド2及びインナーロッド1を共に回転して、前工程で開いた掘削用ビット4で大径部HLを削孔する。
所定深度まで大径部HLを削孔したならば、図5の工程が完了する。
図6の工程では、インナーロッド1内の流体圧を減圧し、且つ、インナーロッド1を地上側に引き込むことにより、掘削用ビット4を閉じて、インナーロッド1の半径方向内側の空間に収容している。そして、アウターロッド2及びインナーロッド1を全て地上側に引き抜けば、第1実施形態における削孔工程が完了する。
掘削された大径部HLは、掘削用ビット4、4´が開いた状態で回転することにより削孔されるため、概略円筒形状となっている。図25において、大径部HLの半径は符号HLr、長さは符号HL1で示されている。
次に、図21〜図28を参照して、テンドン6及び袋体5の配置とセメントミルク供給による袋体5の膨張について説明する。
図示の実施形態では、テンドン6の定着長部に袋体5を被せ、袋体5内部にセメントミルクを充填することにより、確実に定着長部をグラウトで充填する。
図28で示すように、袋体5は概略円筒形状であり、その長手方向の一端における中央部FBは開放されて、テンドン6の挿入を可能としている。
袋体5の寸法は、袋体5内をセメントミルクで完全に充填した際における長手方向断面半径FTrは大径部HLの半径HLr(図25参照)と等しく、袋体5の長手方向長さFT1は大径部HLの長さHL1(図25参照)と等しくなる様に設計されている。
袋体5の材質としては、地盤内で小径部を通過できる程度に収縮可能であり、大径部HLと同一寸法程度に膨張可能である程度の可撓性を有し、且つ、袋体5内部に充填されたセメントミルクが漏出しない不透過性を有する材料が選定される。その様な可撓性及び不透過性を有する材料であれば、例えば、織布、不織布、ゴム等の既成材質を選定することができる。
袋体5には開放端部FB(図28参照:図25〜図27では左端)からテンドン6が挿入され、テンドン6の先端部6eが袋体5の開放されていない端部(図25〜図27では右端)の中央部FTc(図28参照)に包まれた状態で、当該テンドン先端部6eは袋体5の外側から結束される。
テンドン先端部6eを袋体5の外側から結束するための結束手段は、図28では符号5efで示されており、例えば、インシュロックタイ等の結束バンドや、紐、番線等の既存の手段を用いている。ただし、結束手段5efとしては、袋体5を装着したテンドン6を地盤へ挿入する際や、袋体5内部へのセメントミルクを注入する際に、テンドン先端部6eが袋体5から外れてしまうことがない程度の拘束力を有する結束手段を選択するべきである。
さらに、袋体5の開放端部FBでは、セメントミルク注入に使用される注入ホース9(図28参照)が挿入された状態で、テンドン先端部6eの結束手段5efと同様な結束手段5ebにより、テンドン6の定着長の後端部6a(図25〜図27参照)が袋体5によって結束されている。これにより、テンドン6の定着長部は、袋体5により完全に覆われる。
ここで、図21〜図24を参照して、定着長部を袋体5で覆ったアンカーの失敗例について説明する。
大径部HLに挿入された袋体5に覆われたデンドン6の定着長部は、図21で示すように、自重により大径部HLの底部方向に偏奇する。図21では、テンドン6の先端部6eと結束された袋体5の端部5eが、大径部HLの底部に接するほど、テンドン6が偏奇している。
図21の状態で袋体5内部にセメントミルクを充填すると、図22、図23で示すように袋体5は徐々に膨張するが、テンドン6が偏奇しているため、袋体5は均一には膨張しない。図24で示す状態では、袋体5内へのセメントミルクの充填は完了しているが、袋体5は大径部HL全体に亘って膨張はしておらず、アンカーの定着長部の一部に、セメントミルクの充填が不十分な領域が形成されてしまう。
さらに、セメントミルクで充填された袋体5内部において、テンドン6は偏奇したままであり、大径部HLの中央部に位置することはない。
これに対して、本発明の第1実施形態では、図25で示すように、テンドン先端部6eの近傍であるテンドン前方部6dと袋体5の天井部の端部近傍の位置5udとを、紐やチェーンのような可撓性がある長尺の保持具7で結合している。
ここで、保持具7は、テンドン6が挿入された袋体5にセメントミルクが充填されて膨張した際に、テンドン6が袋体5の中央部に位置するように、テンドン6と袋体5との相対的な位置関係を保持するための部材である。保持具7の長さは、袋体5の長手方向断面における半径FTr(図28参照)と、概略等しい。そして、天井部5udは、テンドン6が袋体5内部の中央に位置した際において、テンドン前方部6dに対応する位置である。
係る保持具7により、袋体5とテンドン6との距離は一定に、より具体的には、膨張した袋体5の断面における半径FTr(図28)と概略等しい寸法に保たれる。
さらに、袋体5の内周面において、天井部5uの端部近傍における位置5udと同様な他の位置(例えば、図25における袋体5の底面側の位置5nd)と、テンドン前方部6dとを保持具7で結合することが出来る。
天井部5uの位置5udとテンドン前方部6dとを保持具7で結合することに加えて、袋体5の底面側の位置5ndとテンドン前方部6dとを保持具7で結合すれば、袋体5とテンドン6との距離が複数箇所(2箇所)において同時に規定されることになるので、膨張した袋体5内部において、テンドン6の位置決めがより容易に且つより確実に行われる。
なお、図示では説明のためテンドン前方部6dと結合する袋体5の位置を便宜的に「天井部」「底面側」としているが、大径部HLにおける位置の高さ関係を規定するものではなく、2箇所において同時に規定できる位置であれば足りる。さらに、複数箇所であれば、例えば3箇所を同時に規定することにより、より効果的に位置決めが行われることは周知のことである。
また、図26で示すように、テンドン前方部6dよりも後側(図26では左側)の位置6cにおいても、テンドン前方部6dと同様に、保持具7で袋体5の内周面と結合することにより、テンドン6の定着長部全域に亘って、袋体5が膨張した際に、袋体5内部でテンドン6の位置決めが容易に且つ確実に行われる。
次に、図7〜図11及び図27を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。なお、図1〜図6及び図14〜図19を参照して説明した工程、すなわち掘削用ビット4、4´による大径部HLを掘削するまでの工程については、上述と同様であるため、以下の第2実施形態の説明では省略する。
図7、図8では、スイベル20から矢印P2で示す様に送水しつつ、アウターロッド2によって、図1〜図6で示す前工程で削孔した大径部HLのさらに奥側(図7、図8では右側)を削孔することにより、テンドン先端部支持孔htを削孔する。ここで、テンドン先端部支持孔htは、図7では図示しないテンドン(図10〜図13参照)の先端部を収容して、テンドンを支持するために掘削される。
図8は、テンドン先端部支持孔htの削孔が完了した状態が示されている。
図9で示す工程では、アウターロッド2及びインナーロッド1から、スイベル20を切り離す。そして、先端に掘削用ビット4を装着した状態で、インナーロッド1を地上側(図15の左方)に回収する。
図10の工程では、先端近傍に袋体5を装着したテンドン6を、先端のテンドンがテンドン先端部支持孔ht内に侵入するまで挿入する。
ここで、袋体5は、第1実施形態で説明したのと同様な寸法及び材質を有しており、テンドン6の配置とテンドン6と結束するための結束手段についても、保持具7を除き、第1実施形態と同様である。
第2実施形態においても、袋体5の開放端部FB(図28参照)を介して、袋体5内にセメント注入ホース9が挿入されており、セメント注入ホース9は、袋体5と地上側のセメントミルク供給機構(図示せず)とを連通している。
図11では、アウターロッド2を引き抜いて、アウターロッド2の先端部が大径部HLを通過して、さらに小径部に位置する様に、図11の左方向に移動せしめている。以って、袋体5をアウターロッド2の先端より露出させる。
図12の工程では、地上からセメント注入ホース9を経由して、袋体5内部にセメントミルクCMを注入している。セメントミルクCMの注入に際しては、図示しない流量計及び/又は図示しない圧力計によって、袋体5内部へのセメントミルクCMの注入量及び/又は注入圧力が測定されている。
図13の状態では、袋体5内部にセメントミルクCMが充填され、袋体5は大径部HLと同様な形状に膨張している。そして、セメントミルクCMが所定量だけ充填或いは注入されたため、アウターロッド2を地上側に回収している。
図25、図26の第1実施形態では、紐やチェーンのような保持具7により、テンドン6が袋体5の中央部に保持されている。
これに対して、図7〜図11、図27で示す第2実施形態では、大径部HLの先端側に小径のテンドン先端部支持孔htを掘削し、テンドン6の先端部6eをテンドン先端部支持孔htに挿入している。
テンドン6は、先端部近傍ではテンドン先端部支持孔htにより支持され、定着長部の子右端部近傍では、小径部及び/又はアウターロッド2により支持されるので、テンドン6は大径部HLの中心軸Hcに沿って配置される。
図21で示す様にテンドン先端部が大径部HLの底部方向に偏奇してしまうことはない。
そして、テンドン6が大径部HLの中央部に配置された後に、図12で示すように、袋体5内部にセメントミルクを注入すれば、袋体5は均一に膨張して、大径部HLと概略同一の容積のセメントミルクが充填されるので、強固なアンカー定着部を形成することが出来る。
また、テンドン6が大径部HLの中央部に配置された後に、袋体5内部にセメントミルクを注入することにより、図24で示すような領域DSの形成が防止出来る。
さらに、袋体5内部へのセメントミルク注入が完了した後も、テンドン6の先端部近傍は、袋体5端部中央部FTc及びテンドン先端部支持孔htにより支持されており、テンドン6の定着長部後端部近傍は、袋体5端部中央部FB及び掘削孔の小径部により支持されている。
そのため、袋体5内にセメントミルクを注入した後も、テンドン6が大径部HLの中心軸Hcに沿って配置された状態が保持される。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
1・・・インナーロッド
2・・・アウターロッド
3・・・ピストン
4・・・掘削用ビット
5・・・袋体
6・・・テンドン
7・・・保持具
20・・・スイベル
HL・・・大径部
ht・・・テンドン先端部支持孔

Claims (3)

  1. アンカー体を造成するべき地盤をアウターロッドを用いて削孔する工程と、先端に閉じた状態の掘削用ビットを取り付けたインナーロッドをアウターロッドの内部空間に挿入する工程と、インナーロッドの内部空間に流体圧を作用して掘削用ビットを開く工程と、開いた掘削用ビットを用いて大径部を掘削する工程と、インナーロッドの内部空間の流体圧を減圧し開いた状態の掘削用ビットを閉じた状態にしてアウターロッドの内部空間に収容する工程と、アウターロッドの内部空間から掘削用ビット及びインナーロッドを地上側に引き上げる工程と、定着長部に袋体を被せたテンドンをアウターロッドの内部空間に挿入して大径部に配置する工程と、袋体に固化材を充填して袋体を膨張させる工程とを有し、
    前記掘削用ビットは、ピストンと、掘削用ビットと、ピストンをインナーロッドに対して相対的に移動する手段と、ピストンの移動により掘削ビットを開閉する手段とを有し、ピストンを中空管に対して相対的に移動する手段はインナーロッドに流体を供給し排出する手段を有しており、
    掘削用ビットを開く前記工程では、インナーロッド内に流体圧を作用させて、当該流体圧によりピストンをインナーロッドに対して地中側へ相対移動せしめ、ピストンの地中側への移動により掘削用ビットがピストンにより押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビットが開き、
    掘削用ピストンを閉じる前記工程では、インナーロッドをアウターロッドに対して地上側に相対移動すると共に、インナーロッド内に作用している流体圧を解除或いは減圧し、ピストンをインナーロッドに対して地上側に相対移動し、さらに、インナーロッドを地上側に移動することにより、開いた状態の掘削ビットがアウターロッドの管端部に当接して、閉じる方向に付勢することを特徴とするアンカー体造成工法。
  2. 大径部を掘削する前記工程が完了した際に、大径部の地中側端壁に小径のテンドン先端部支持孔を削孔し、テンドンをアウターロッドの内部空間に挿入して大径部に配置する前記工程ではテンドンの先端部をテンドン先端部支持孔に挿入する請求項1のアンカー体造成工法。
  3. テンドンの先端部近傍と袋体の膨張時に地上側となる部分の地中側端部近傍とが可撓性がある長尺部材で予め結合されており、袋体を膨張させる前記工程では、袋体が膨張して袋体の地上側部分が上側に移動するに連れて、可撓性がある長尺部材で袋体の地上側部分に結合されたテンドンの先端部近傍も大径部の中心軸側に引き上げられる請求項1のアンカー体造成工法。
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