JP5467600B2 - アンカー体造成工法 - Google Patents
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Description
このような従来技術では、インナーロッド内側に押込用ロッドを配置して、当該押込用ロッドを地中側に押し込むことにより、閉じた状態の掘削用ビットを開いている。
このとき、グラウト自体の強度以外に、グラウトとテンドンとの付着及びグラウトと地盤との付着が緊張力に大きな影響を与える。そのため、グラウトが完全に充填されることや、テンドンを掘削孔の中央部に位置させて、グラウトの所要被り厚さを確保することが重要となる。
前述した拡孔アンカーにおいて、セメントミルクを確実にグラウトする方法として、テンドンの定着長部に袋体を装着し、この袋体内にグラウトする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献2)では、袋体内にグラウトすることにより、セメントミルクはアンカー定着長部に充填されるが、テンドンを掘削孔の中央部に位置させることは開示されていない。
係る従来技術(特許文献3)によれば、アンカー定着長部に設けられたセンタライザの拡径のもとで、テンドンがアンカー径のほぼセンター位置へ容易に配置、保持出来る。
しかし、地盤中で縮径及び拡開を確実に行うために、係る従来技術(特許文献3)では構成が複雑となり、高価なものになってしまうという問題が存在する。
さらに、大径部は地盤の奥にあり、削孔条件等により常に計画した径と一致するとは限らないので、上述した従来技術(特許文献3)では、可動アームの拡開によりテンドンが常に掘削孔の中央部に位置するとは訳ではない、という問題も存在する。
前記掘削用ビット(4)は、ピストン(3)と、掘削用ビット(4)と、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して相対的に移動する手段と、ピストン(3)の移動により掘削ビット(4)を開閉する手段とを有し、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して相対的に移動する手段はインナーロッド(1)に流体(例えば高圧水)を供給し排出する手段(例えば、ポンプ)を有しており、
掘削用ビット(4)を開く前記工程では、インナーロッド(1)内に流体圧を作用させて、当該流体圧によりピストン(3)をインナーロッド(1)に対して地中側へ相対移動せしめ、ピストン(3)の地中側への移動により掘削用ビット(4)がピストン(3)により押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビット(4)が開き、
掘削用ビット(4)を閉じる前記工程では、インナーロッド(1)をアウターロッド(2)に対して地上側に相対移動する(インナーロッド1を地上側に引き込む)と共に、インナーロッド内(1i)に作用している流体圧を解除或いは減圧し、ピストン(3)をインナーロッド(1)に対して地上側に相対移動し(掘削用ビット4がピストン3により押し開かれた状態を解除し)、さらに、インナーロッド(1)を地上側に移動する(インナーロッド1をアウターロッド3に対して相対移動して、地上側に引き込む)ことにより、開いた状態の掘削ビット(4)がアウターロッド(2)の管端部(22e)に当接して、閉じる方向に付勢することを特徴としている(請求項1)。
そして、開いた状態の掘削用ビット(4)を確実に閉じて、インナーロッド(1)を地上側に移動する(引き抜く)ことにより、アウターロッド(2)内に収容することが出来るので、掘削用ビット(4)を埋め殺すこと無く地上側に回収することが可能となる。そして、地中で必要な掘削を行なった掘削用ビット(4)を再利用することが可能になる。
本発明において、テンドンの先端部(6e)近傍と袋体(5)の膨張時に地上側となる部分(図36〜図38では上側)の地中側端部(5u)近傍とを、可撓性がある長尺部材(7:例えば、紐やチェーン)で予め結合した場合(請求項3)も、同様に、テンドンを大径部(HL)の中心軸に沿って配置することが出来て、袋体(5)が大径部(HL)全体に亘って均一に膨張するので、デッドスペース(DS)の形成が防止される。
先ず、図14〜図20を参照して、本発明で用いられる掘削用ビット4と、全体を符号100で示す掘削装置について説明する。
図14において、図示の実施形態で使用される掘削装置100は、インナーロッド1、アウターロッド2、ピストン3、1対の掘削用ビット4、4´を有している。
1対の掘削用ビット4、4´は左右対称の翼型ビットであり、図14において上下に重なった状態で示されている。ここで、掘削用ビット4´が掘削用ビット4の下方に位置しており、掘削用ビット4´の内、図14では直接目視出来ない部分の輪郭が点線で示されている。掘削用ビット4、4´は、掘削ビット揺動用ピン3Pに係合しており、掘削ビット揺動用ピン3Pの動き、すなわちピストン3の移動(図14では左右方向の移動)により、一対の掘削用ビット4、4´が同時に開閉動作を行なうように構成されている。
インナーロッド1は、図示を省略したロッド本体と、ロッド本体の先端に取付けたシリンダ部11と、先端部12とを有している。
第1の内径部111の内径よりも第2の内径部112の内径が大きく、第2の内径部112の内径よりも第3の内径部113の内径が大きくなる様に、設定されている。
インナーロッド1における先端部12は、外径部121、122を有している。先端側、すなわち地中側(図14の右方)の外径部122の外径寸法は、シリンダ部11の外径寸法と概略等しい。
地上側の外径部121の外径寸法は、地中側の外径部122の外径寸法よりも小さい。先端部12の地上側の外径部121は、シリンダ部11の第3の内径部113と一体に嵌合されている。
掘削用ビット4、4´の開閉動作については後述する。
図17で示す第1の態様に係るピストン3の先端部分は、1枚の板状部材301で構成されている。
一方、図18で示す第2の態様に係るピストン3Aの先端部分は、二股に分かれた部材302、302で構成されている。
図17で示す第1の態様と、図18で示す第2の態様において、先端部分301、302には、掘削ビット揺動用ピン3Pが貫通している。この掘削ビット揺動用ピン3Pは、後述する掘削ビット揺動用ピン係合孔45を介して、1対の掘削用ビット4、4´を貫通している(図17、図18において、掘削用ビット4、4´は図示せず)。
図17で示す第1の態様に係るピストン3、或いは、図18で示す第2の態様に係るピストン3Aが、インナーロッド1の第2の内径部112内を移動することによって、1対の掘削用ビット4は開閉する。
図19において、閉じた状態の掘削用ビット4が実線で示されている。そして、開いた状態の掘削用ビット4Lが点線で示されている。
図14で説明したように、掘削用ビット4、4´は左右対称に一対設けられており、掘削ビット揺動用ピン係合孔45、掘削ビット揺動用ピン3P、ヒンジピン係合孔47の位置関係は、左右の掘削用ビット4、4´(図14)について同様である。図示の簡略化のため、図19では、片方の掘削用ビット4の開閉動作についてのみ示している。
なお、図19は、図2〜図9、図14〜図16と、左右が逆の状態で表示されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における円弧状の領域F1、F2は、ヒンジピン係合孔47(図19参照)に近い方が領域F1であり、離隔している方が領域F2である。そして、円弧状の領域F1、F2は、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の両端部を構成している。
円弧状の領域F2では、後述するように掘削ビット揺動用ピン3Pが外接しながら移動する。そのため、円弧状の領域F2における曲率半径R1は、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径より少し長めの寸法に設定されている。図示の実施形態では、例えば、曲率半径R1が7mm、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径が6mmに設定されている。
掘削ビット揺動用ピン係合孔45における周縁部の領域F3は、直線Jcと平行な直線で構成されている。そして、直線Jcは、円弧状の領域F1の曲率中心FC1と、円弧状の領域F2の曲率中心FC2とを通過している。
領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、領域F4、F5は相互に向かい合うように延在している。そして、領域F4と領域F5とが突き当たる個所と、直線Jcとの距離は、符号L2で示されている。
掘削ビット揺動用ピン3Pは掘削ビット揺動用ピン係合孔45に係合されており、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を動くことにより、掘削ビット揺動用ピン係合孔45が形成されている掘削用ビット4が開閉する。
図19において、ピストン本体31が左に動作して、掘削ビット揺動用ピン3Pが直線Tc上を左に動くと、掘削ビット揺動用ピン3Pも図19において左方へ移動する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pが、図19において最も左方の位置のときに、掘削用ビット4の開度は最大となる。ここで、掘削ビット揺動用ピン3Pの「図19において最も左方の位置」は、シリンダ部11(図14)の第2の内径部112(図14)と、ピストン本体31との相対的な位置関係によって決定される。
図19を参照して具体的に示すと、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F1の曲率中心FC1との距離が符号LF1で示されており、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離が符号LF2で示されている。そして、掘削用ビット4の開閉により、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2が移動する軌跡が、符号Trで示されている。
円弧状の軌跡Trは、ヒンジピン係合孔47の中心点が曲率中心であり、曲率半径が距離LF2であるため、掘削用ビット4を開閉するに際して、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧領域F2の曲率中心FC2との距離は、常に距離LF2となる。
掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点が、ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点を結んだ直線がTcと直交する位置(長さL4の線分の位置)を通過するときに、「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は最小であり、図19において当該位置の左右では「掘削ビット揺動用ピン3Pの中心位置と、ヒンジピン係合孔47の中心点との距離」は大きくなる。
また前述のように、掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動くことにより掘削用ビット4は開き、掘削ビット揺動用ピン3Pが図19において最も左方の位置のときに掘削用ビット4の開度は最大となる。掘削用ビット4の開度が最大となったときに、「ヒンジピン係合孔47の中心点と掘削ビット揺動用ピン3Pの中心点の距離」も最大となり、係る最大の距離が符号L3で示されている。
そのため、地盤を掘削する際におけるヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離L3は、掘削用ビット4が閉じた状態における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F2の曲率中心FC2との距離LF2と同程度であることが好ましい。地盤を掘削する際における掘削ビット揺動用ピン係合孔45の端部F2の周縁部と、掘削ビット揺動用ピン3Pの外接面との隙間を、掘削用ビット4が閉じた状態における当該隙間と同程度にして、係る「がた」を抑制するためである。
そのため、ヒンジピン係合孔47の中心点と、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の円弧部分F1の曲率中心FC1との距離LF1は、当該最小距離L4以下でなければならない。
図19において、掘削用ビット4が閉じた状態から掘削ビット揺動用ピン3Pが左方向に動き出すと、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F5、F4(図20参照)を通過し、領域F1に近接する。
そして、掘削ビット揺動用ピン3Pは、距離L4で示される位置(図19参照)を通過した後は、さらに掘削ビット揺動用ピン係合孔45の周縁部を左方向に押しながら、領域F4、F5(図20参照)を通過する。
図19において、掘削用ビット4が開いた状態では、掘削ビット揺動用ピン3Pは領域F2(図20参照)の周縁部に到達する。
つまり、図19に図示はしていないが、掘削用ビット4の対称となる掘削用ビット4´が掘削用ビット4に一部重なる位置に存在し(例えば図14参照)、掘削ビット揺動用ピン係合孔45と対称な掘削ビット揺動用ピン係合孔45´が、同一の掘削ビット揺動用ピン3Pに係合している。
そして、掘削用ビット4´は、ヒンジピン係合孔47´を中心軸として回動して開閉するため、掘削用ビット4´の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45´の動作は、直線Tc(図19)を対称軸として、掘削用ビット4の開閉による掘削ビット揺動用ピン係合孔45の動作と線対称になる。
そのときに、掘削ビット揺動用ピン3Pは、掘削ビット4´の揺動用ピン係合孔45´(図14参照:図19では図示せず)にも同様に作用をするので、図19で図示されない揺動用ピン係合孔45´も図19の左方向に押されて、直線Tcを対称軸として、軌跡Trと線対称な曲線に沿って移動する。すなわち、図19では図示しない揺動用ピン係合孔45´は、揺動用ピン係合孔45とは反対に、図19では直線Tcに対して上方に移動する。
図20を参照して、揺動用ピン係合孔45(揺動用ピン係合孔45´も同様)において、揺動用ピン係合孔45の周縁部における領域F4、F5は領域F3に対して傾斜しており、相互に向かい合うように延在しているので、領域F4と領域F5とが突き当たる箇所は、直線Jcに対して窪んだ領域(窪み)となっている。
ここで、発明者の実験によれば、係る「窪み」、すなわち、図19において領域F4と領域F5とが突き当たる箇所と直線Jcとの距離L2から曲率半径R1の値を減算した数値(L2−R1)は、2mm以上が好ましく、掘削ビット揺動用ピン3Pの半径以下であることが好ましい。
図示の実施形態では、窪みの頂点(F4、F5が突き当たる個所)と直線Jcとの距離であるL2が11mmであり、「窪み」すなわち距離L2から曲率半径R1を減算した数値(L2−R1)は4mmである。
図14において、掘削用ビット4は、インナーロッド1の先端部12のヒンジピン13と係合して、ピストン3がインナーロッド1に対して後退した状態では、2つの掘削用ビット4が閉じた状態を維持する。
アンカー工法における掘削に際しては、先ず、図14で示すように、アウターロッド2から、インナーロッド1先端の掘削用ビット4を閉じた状態で突出させる。
そして、図15で示すように掘削用ビット4が開いたならば、当該開いた状態で、大径部HLを掘削する。
なお、インナーロッド内部1iに加圧流体を供給し、排出する機構としては、例えば、地上側に設置されたポンプ(図示せず)が用いられる。
インナーロッド1を地上側(図16では左側)に引っ張ることにより、アウターロッド2のビット2Bの端部2Beは、掘削用ビット4の背部42におけるヒンジピン係合孔47よりも掘削歯43側に当接する。そして、アウターロッド2のビット2Bの端部2Beは、相対的に、掘削用ビット4の背部42を押圧する(矢印Y2)。
これにより、掘削用ビット4は、ピストン3を地上側(図16の左側)に引っ張る力(矢印Y3)と、アウターロッド2の端部2Beが掘削用ビット4の背部42を押圧する力(矢印Y2)とは、ヒンジピン13回りの偶力として作用して、掘削用ビット4を閉じる。
図1の工程では、先端に掘削ビット2Bを装着したアウターロッド2をスイベル20に接続して、施工領域の地盤Gを削孔する。削孔に際しては、スイベル20からアウターロッド2の内部2iに高圧水を供給(送水:矢印F2)している。そして、小径部を所定深度まで削孔したならば、次の工程に映る。なお、図1の例では、アウターロッド2のみで削孔しているが、多重管(図示せず)を用いて削孔することも可能である。
図2〜図9において、符号3は、インナーロッドの先端に内蔵されたピストンを示している。
インナーロッド1内の空間を加圧(矢印Y0)した結果、ピストン3が地中側(図4の右方)に移動して、掘削用ビット4の基部を地中側に押圧して、掘削用ビット4を開く(矢印R1の動作)。
所定深度まで大径部HLを削孔したならば、図5の工程が完了する。
掘削された大径部HLは、掘削用ビット4、4´が開いた状態で回転することにより削孔されるため、概略円筒形状となっている。図25において、大径部HLの半径は符号HLr、長さは符号HL1で示されている。
図示の実施形態では、テンドン6の定着長部に袋体5を被せ、袋体5内部にセメントミルクを充填することにより、確実に定着長部をグラウトで充填する。
図28で示すように、袋体5は概略円筒形状であり、その長手方向の一端における中央部FBは開放されて、テンドン6の挿入を可能としている。
袋体5の寸法は、袋体5内をセメントミルクで完全に充填した際における長手方向断面半径FTrは大径部HLの半径HLr(図25参照)と等しく、袋体5の長手方向長さFT1は大径部HLの長さHL1(図25参照)と等しくなる様に設計されている。
袋体5の材質としては、地盤内で小径部を通過できる程度に収縮可能であり、大径部HLと同一寸法程度に膨張可能である程度の可撓性を有し、且つ、袋体5内部に充填されたセメントミルクが漏出しない不透過性を有する材料が選定される。その様な可撓性及び不透過性を有する材料であれば、例えば、織布、不織布、ゴム等の既成材質を選定することができる。
テンドン先端部6eを袋体5の外側から結束するための結束手段は、図28では符号5efで示されており、例えば、インシュロックタイ等の結束バンドや、紐、番線等の既存の手段を用いている。ただし、結束手段5efとしては、袋体5を装着したテンドン6を地盤へ挿入する際や、袋体5内部へのセメントミルクを注入する際に、テンドン先端部6eが袋体5から外れてしまうことがない程度の拘束力を有する結束手段を選択するべきである。
さらに、袋体5の開放端部FBでは、セメントミルク注入に使用される注入ホース9(図28参照)が挿入された状態で、テンドン先端部6eの結束手段5efと同様な結束手段5ebにより、テンドン6の定着長の後端部6a(図25〜図27参照)が袋体5によって結束されている。これにより、テンドン6の定着長部は、袋体5により完全に覆われる。
大径部HLに挿入された袋体5に覆われたデンドン6の定着長部は、図21で示すように、自重により大径部HLの底部方向に偏奇する。図21では、テンドン6の先端部6eと結束された袋体5の端部5eが、大径部HLの底部に接するほど、テンドン6が偏奇している。
さらに、セメントミルクで充填された袋体5内部において、テンドン6は偏奇したままであり、大径部HLの中央部に位置することはない。
ここで、保持具7は、テンドン6が挿入された袋体5にセメントミルクが充填されて膨張した際に、テンドン6が袋体5の中央部に位置するように、テンドン6と袋体5との相対的な位置関係を保持するための部材である。保持具7の長さは、袋体5の長手方向断面における半径FTr(図28参照)と、概略等しい。そして、天井部5udは、テンドン6が袋体5内部の中央に位置した際において、テンドン前方部6dに対応する位置である。
係る保持具7により、袋体5とテンドン6との距離は一定に、より具体的には、膨張した袋体5の断面における半径FTr(図28)と概略等しい寸法に保たれる。
天井部5uの位置5udとテンドン前方部6dとを保持具7で結合することに加えて、袋体5の底面側の位置5ndとテンドン前方部6dとを保持具7で結合すれば、袋体5とテンドン6との距離が複数箇所(2箇所)において同時に規定されることになるので、膨張した袋体5内部において、テンドン6の位置決めがより容易に且つより確実に行われる。
なお、図示では説明のためテンドン前方部6dと結合する袋体5の位置を便宜的に「天井部」「底面側」としているが、大径部HLにおける位置の高さ関係を規定するものではなく、2箇所において同時に規定できる位置であれば足りる。さらに、複数箇所であれば、例えば3箇所を同時に規定することにより、より効果的に位置決めが行われることは周知のことである。
図8は、テンドン先端部支持孔htの削孔が完了した状態が示されている。
ここで、袋体5は、第1実施形態で説明したのと同様な寸法及び材質を有しており、テンドン6の配置とテンドン6と結束するための結束手段についても、保持具7を除き、第1実施形態と同様である。
第2実施形態においても、袋体5の開放端部FB(図28参照)を介して、袋体5内にセメント注入ホース9が挿入されており、セメント注入ホース9は、袋体5と地上側のセメントミルク供給機構(図示せず)とを連通している。
図11では、アウターロッド2を引き抜いて、アウターロッド2の先端部が大径部HLを通過して、さらに小径部に位置する様に、図11の左方向に移動せしめている。以って、袋体5をアウターロッド2の先端より露出させる。
図13の状態では、袋体5内部にセメントミルクCMが充填され、袋体5は大径部HLと同様な形状に膨張している。そして、セメントミルクCMが所定量だけ充填或いは注入されたため、アウターロッド2を地上側に回収している。
これに対して、図7〜図11、図27で示す第2実施形態では、大径部HLの先端側に小径のテンドン先端部支持孔htを掘削し、テンドン6の先端部6eをテンドン先端部支持孔htに挿入している。
テンドン6は、先端部近傍ではテンドン先端部支持孔htにより支持され、定着長部の子右端部近傍では、小径部及び/又はアウターロッド2により支持されるので、テンドン6は大径部HLの中心軸Hcに沿って配置される。
図21で示す様にテンドン先端部が大径部HLの底部方向に偏奇してしまうことはない。
また、テンドン6が大径部HLの中央部に配置された後に、袋体5内部にセメントミルクを注入することにより、図24で示すような領域DSの形成が防止出来る。
そのため、袋体5内にセメントミルクを注入した後も、テンドン6が大径部HLの中心軸Hcに沿って配置された状態が保持される。
2・・・アウターロッド
3・・・ピストン
4・・・掘削用ビット
5・・・袋体
6・・・テンドン
7・・・保持具
20・・・スイベル
HL・・・大径部
ht・・・テンドン先端部支持孔
Claims (3)
- アンカー体を造成するべき地盤をアウターロッドを用いて削孔する工程と、先端に閉じた状態の掘削用ビットを取り付けたインナーロッドをアウターロッドの内部空間に挿入する工程と、インナーロッドの内部空間に流体圧を作用して掘削用ビットを開く工程と、開いた掘削用ビットを用いて大径部を掘削する工程と、インナーロッドの内部空間の流体圧を減圧し開いた状態の掘削用ビットを閉じた状態にしてアウターロッドの内部空間に収容する工程と、アウターロッドの内部空間から掘削用ビット及びインナーロッドを地上側に引き上げる工程と、定着長部に袋体を被せたテンドンをアウターロッドの内部空間に挿入して大径部に配置する工程と、袋体に固化材を充填して袋体を膨張させる工程とを有し、
前記掘削用ビットは、ピストンと、掘削用ビットと、ピストンをインナーロッドに対して相対的に移動する手段と、ピストンの移動により掘削ビットを開閉する手段とを有し、ピストンを中空管に対して相対的に移動する手段はインナーロッドに流体を供給し排出する手段を有しており、
掘削用ビットを開く前記工程では、インナーロッド内に流体圧を作用させて、当該流体圧によりピストンをインナーロッドに対して地中側へ相対移動せしめ、ピストンの地中側への移動により掘削用ビットがピストンにより押し開かれて、閉じた状態の掘削用ビットが開き、
掘削用ピストンを閉じる前記工程では、インナーロッドをアウターロッドに対して地上側に相対移動すると共に、インナーロッド内に作用している流体圧を解除或いは減圧し、ピストンをインナーロッドに対して地上側に相対移動し、さらに、インナーロッドを地上側に移動することにより、開いた状態の掘削ビットがアウターロッドの管端部に当接して、閉じる方向に付勢することを特徴とするアンカー体造成工法。 - 大径部を掘削する前記工程が完了した際に、大径部の地中側端壁に小径のテンドン先端部支持孔を削孔し、テンドンをアウターロッドの内部空間に挿入して大径部に配置する前記工程ではテンドンの先端部をテンドン先端部支持孔に挿入する請求項1のアンカー体造成工法。
- テンドンの先端部近傍と袋体の膨張時に地上側となる部分の地中側端部近傍とが可撓性がある長尺部材で予め結合されており、袋体を膨張させる前記工程では、袋体が膨張して袋体の地上側部分が上側に移動するに連れて、可撓性がある長尺部材で袋体の地上側部分に結合されたテンドンの先端部近傍も大径部の中心軸側に引き上げられる請求項1のアンカー体造成工法。
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