JP5466375B2 - 樹脂パターンの製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、上記のように高さの異なるパターンを形成することが困難であるため、性質が異なり高さの異なるパターンを形成することは困難であった。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)は、従来公知のポジ型感光性樹脂材料であればいかなるものでもよく、例えば、フェノール類(フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、プロピオンアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド等)及び/又はケトン類(メチルエチルケトン、アセトン等)とを、酸性触媒存在下に縮合させて得られるノボラック樹脂、ヒドロキシスチレンの単独重合体、ヒドロキシスチレンと他のスチレン系モノマーとの共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体等のヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、あるいはその誘導体、又はこれらの共重合体等のアクリル系樹脂等が挙げられる。このような(A)成分は、解像度が高いほか、露光箇所が溶解するため、例えば上述のような複数層からなるレジストパターンを形成する際には、所望のパターンに応じて異なる露光量で露光、例えば、ハーフトーンマスクを使用するなどして露光量を調整することにより、一度の露光により高さの異なる複数の層を形成することが可能となる。これにより、所要工数の低減を図ることができる。
また、R1は単結合又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。中でも、単結合、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。特に、単結合である場合には、アルカリ可溶性を向上させることができ、さらに樹脂パターンの耐熱性を向上させることができ、好ましい。
ベンゼン環における水酸基の結合位置は、R1と結合している炭素原子を基準(1位)としたとき、4位に結合していることが好ましい。
bは0〜2であることが好ましい。
このような構成単位(a2)を誘導するためのモノマーとしては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの構成単位(a2)は、単独でも組み合わせてもよい。
特に好ましい構成単位(a2)としては、下記一般式(a−2)で表される構成単位が挙げられる。
また、R4は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。中でも、メチレン基であることが好ましい。
構成単位(a1)の比率を、上記の範囲内にすることにより、充分なアルカリ可溶性をポジ型感光性樹脂組成物に付与することができ、現像性を向上させることができる。
また、上記アルカリ可溶性樹脂(A)中における構成単位(a2)は、10モル%〜90モル%であることが好ましく、20モル%〜80モル%であることがより好ましい。
構成単位(a2)の比率を上記の範囲内にすることにより、充分な熱硬化性をポジ型感光性樹脂組成物に付与することができ、樹脂パターンが耐薬品性を得ることができる。
また、アルカリ可溶性樹脂(A)中における構成単位(a1)と構成単位(a2)との含有比率は、モル比で2:8〜8:2が好ましい。このような含有比率で構成単位(a1)と構成単位(a2)とをアルカリ可溶性樹脂(A)中に含めることにより、現像性を向上させると同時に形成した樹脂パターンの耐薬品性を得ることができる。
感光剤(以下、「(B)成分」ともいう。)としては、例えば、キノンジアジド基含有化合物等のポジ型感光性樹脂組成物において従来から用いられてきたものが挙げられるが、具体的には、フェノール化合物(フェノール性水酸基含有化合物ともいう)と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物と、の完全エステル化物や部分エステル化物が挙げられる。
トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4′−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2′,3′,4′−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2′,4′−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3′−フルオロ−4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、等の多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の縮合型フェノール化合物等が挙げられる。
これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
さらには、オルトキノンジアジドスルホニルクロリドと、水酸基又はアミノ基をもつ化合物(例えばフェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエテール、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残してエステル化又はエ−テル化された没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン等)と、の反応生成物等も用いることができる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
キノンジアジド基含有化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物が好ましい。
このような(B)成分としては、特に、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物を好適に用いることができる。さらに、この感光剤は、異物経時を良好にすることができる。
また、スペーサー材料などのプロファイル形状を重視するような用途においては、ベンゾフェノンを含むフェノール類を使用するのが好ましい。
フッ素系撥液材料(以下、「(C)成分」ともいう。)としては、上記特許文献1に記載されるフルオロアルキル基を有する化合物等の従来公知の化合物を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。このような従来公知の化合物のなかでも、エチレン性不飽和基含有フッ素系モノマー(以下、「(c1)成分」ともいう。)を単独又は他のモノマーと重合させて用いることが好ましい。(c1)成分と重合させて用いることができるモノマーとして、エポキシ基を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(以下、「(c2)成分」ともいう。)が挙げられる。このような(c1)成分と(c2)成分とを重合させた共重合体をフッ素系撥液材料として用いることにより、撥液性が非常に優れたポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
(c1)成分としては、下記一般式(c−1)で表される化合物等が挙げられる。これらの(c1)成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(c2)成分としては、グリシジル(メタ)アクリレート、下記式(c−21)〜(c−23)で表される脂環式エポキシ化合物、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と二官能以上のエポキシ化合物のエポキシ基とを反応させて得られるモノマー、側鎖に水酸基やカルボキシル基を有するアクリル系モノマーの水酸基又はカルボキシル基と二官能以上のエポキシ化合物のエポキシ基とを反応させて得られるモノマー等が挙げられる。中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(c2)成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
フッ素系撥液材料(C)は、さらに、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(以下、「(c3)成分」ともいう。)を共重合させた共重合体であることが好ましい。(c3)成分を共重合させることにより、フッ素系撥液材料(C)の酸価を調整することができ、現像液に対する十分な溶解性を得ることができる。
フッ素系撥液材料(C)には、必要に応じて、他のモノマーを共重合させてもよい。このような他のモノマーとしては、上述のエチレン性不飽和基を有するモノマーが挙げられる。中でも、アクリル系モノマーが好ましい。この他のモノマーから誘導される構成単位の含有量は、フッ素系撥液材料(C)に対して0〜20質量%であることが好ましい。
本発明において用いられるポジ型感光性樹脂組成物は、希釈のための溶剤を含むことが好ましい。この溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明において用いられるポジ型感光性組成物では、必要に応じて添加剤を配合することができる。具体的には、増感剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
本発明において用いられるポジ型感光性樹脂組成物は、上記各成分を全て撹拌機で混合することにより得られる。なお、得られた混合物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
次に、本発明に係る樹脂パターンの製造方法について記載する。本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、ポジ型感光性樹脂層を形成する塗布工程と、前記ポジ型感光性樹脂層を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥したポジ型感光性樹脂層を所望のパターンに応じて露光する露光工程と、前記露光したポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とする。以下に、各工程について記載する。
先ず、上記により調製したポジ型感光性樹脂組成物をロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて基板上に塗布する。
次いで、塗布されたポジ型感光性樹脂組成物を乾燥させて塗膜を形成する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分〜数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれの方法を用いてもよい。この乾燥工程では、フッ素系撥液材料(C)がパターン上部に集まる性質を有するため、パターン上部表面にフッ素系撥液材料が移動する。すなわち、乾燥工程は、フッ素系撥液材料が偏在する偏在化工程を含む。この偏在化工程によりポジ型感光性樹脂層の表面のみが撥液性となり、パターン壁面はパターン上部よりも撥液性の劣る(すなわち親液性である)パターンを形成することができる。
次いで、この塗膜に、ポジ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、ポジ型感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm2程度が好ましい。
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、更に、現像後のパターンを熱処理により硬化工程を含むことができる。この熱処理は、200℃以上の温度で行うことが好ましい。以上により、所定のパターン形状を有する樹脂パターンを形成することができる。
上述の撥液性および親液性パターンを用いて、カラーフィルターを製造することができる。具体的には、カラーフィルターを形成する場合には、上述のパターンを格子状の隔壁を形成する。そして、樹脂パターンによって形成された隔壁によって区画された各領域にR、G、B各色の着色感光性樹脂組成物をインクジェットノズルから吐出し、溜められた着色感光性樹脂組成物を熱又は光で硬化させる。これにより、カラーフィルターを製造することができる。
また、パシベーション膜を形成する場合には、樹脂パターンによって形成された隔壁によって区画された各領域にシリカを含む無機系液体(商品名OCDtype7、東京応化工業製)をインクジェットノズルから吐出し、溜められた無機系液体を熱で硬化させる。これにより、パシベーション膜を製造することができる。このように製造したパシベーション膜では、隔壁に注入した無機シリカ化合物が近傍の隔壁内に流れ込むことがなく、どの隔壁においても均一の厚さの無機シリカ化合物を有する膜を形成することができる。
本発明に係る樹脂パターンの製造方法では、更に所望のパターンに応じて異なる露光量で露光することを特徴とする方法を提供する。この方法では、露光の際に、所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する、具体的には、ハーフトーンマスク等を使用するなどして露光量を調整することにより、高さの異なる、例えば階段状の段差を有するパターンを形成することができる。上述のように未露光部分は、パターンの一番高さの高い面となり、現像時に膜が減らないことからフッ素系撥液材料(C)が残存し、撥液性を有する。また、段差の低い部分では、現像によりフッ素系撥液材料(C)がほぼ除去されることから前記未露光部分よりも撥液性が劣る(すなわち親液性である)部分となる。
このように本発明に係る樹脂パターンの製造方法では、特に撥液性および親液性を有し、段差を有するパターンを1回の露光・現像により形成することができる。これに対して、ネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には1回の露光では段差を有するパターンを形成することが困難である。このような、異なる露光量での露光することを特徴とする、樹脂パターンの製造方法を用いることにより、以下に示すように、色の濃淡を有するカラーフィルターを簡便な方法で製造することができる。
上述の方法と同様にして、基板上に本発明において用いられるポジ型感光性樹脂組成物の塗膜を調製し、ハーフトーンマスクを用いるなど露光量を調整して露光、現像することにより、隔壁中に深さの浅い部分と深い部分との階段状の段差を有する格子状のパターンを形成する。次いで当該隔壁によって区画された各領域にR、G、B各色の着色感光性樹脂組成物をインクジェットノズルから吐出し、溜められた着色感光性樹脂組成物を熱又は光で硬化させる。これにより、カラーフィルターを製造することができる。このとき、未露光部分であるパターン上部にはフッ素系撥液材料(C)が存在するため撥液性であり、露光部分である段差の低い部分はフッ素系撥液材料(C)が除去されるために親液性となるため、隔壁内に注入した着色感光性樹脂組成物の表面が均一になるほか、隣り合った隔壁中の異なる色の着色感光性樹脂組成物の混合を防止できる。さらに、隔壁下部及び段差を有する底面のパターンは親液性であるため、着色感光性樹脂組成物の塗布性が損なわれることもない。これにより、隔壁の段差に応じて着色感光性樹脂組成物の厚さを変化させることができ。隔壁の深さの浅い部分の色調は淡く、深さの深い部分の色調は濃いカラーフィルターを形成することができる。このような、段差を有する格子状のパターンを有するカラーフィルターを製造する際は、構成単位(a1)を有するアルカリ可溶性樹脂(A)を用いることにより、格子状の隔壁内部の段差を有する底部の透明性が高くなり、製造したカラーフィルターにおいて色調が変化しないため好ましい。
つまり、本発明に係る樹脂パターンの製造方法を用いることにより、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて製造する場合には複雑な工程が必要であった階段状の段差を有するカラーフィルターを容易に製造することができる。このようなカラーフィルターでは、形成した格子状の隔壁中に深さの浅い部分と深い部分とを有しており、当該隔壁中に着色感光性樹脂組成物を注入することにより、色の濃淡を与えることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)として、ヒドロキシフェニルメタクリレート(a1)とグリシジルメタクリレート(a2)との共重合体((a1):(a2)=5:5、質量平均分子量10000)を用いた。
<アルカリ可溶性樹脂(A)の合成>
還流冷却器、攪拌機を備えたフラスコに、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート56質量部、グリシジルメタクリレート44質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6質量部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら液温を80℃に上昇させ、80℃で6時間反応した。ゲルパーミッションクロマトグラフィーによりモノマーの消失を確認し、100℃に昇温して30分間エージングを行った。100℃減圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを蒸留により取り除き、固形分濃度を30%に調整し、ヒドロキシフェニルメタクリレート(a1)とグリシジルメタクリレート(a2)との共重合体を含む溶液を得た。
<フッ素系撥液材料(C)>
フッ素系撥液材料(C)の合成方法は、以下の通りである。
グリシジルメタクリレート16g、フッ素系モノマー(CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)6F)100g、イソボルニルメタアクリレート50g、連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン7g、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを、3−メトキシブチルアセテート384gに溶解し、窒素雰囲気下、60℃で攪拌しながら重合させ、共重合体を得た。得られた化合物は、GPCで測定した質量平均分子量が9800であった。なお、この化合物は、3−メトキシブチルアセテートにて固形分濃度30質量%に調整した。
上記ポジ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコートにより塗布した後、100℃で90秒間プレベークし、ポジ型感光層を得た。次いでこのポジ型感光層にマスクを介して露光量100mJ/cm2で紫外線を選択的に照射し、現像液としてNMD−3(東京応化工業製)2.38質量%の溶液を用いて23℃で60秒間パドル現像することによりパターンを形成した。さらに、200℃で30分間ポストベークし、格子状の隔壁を有するパターンを形成した。
はじめに、以下により着色感光性樹脂組成物を調製した。
溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート60質量部:3−メトキシブチルアセテート40質量部混合物)80質量部、顔料(御国色素社製:PR254)10質量部、分散剤(ビックケミー製:BYK165)2質量部及び樹脂(アクリル樹脂、メタクリル酸:ベンゾイル=25:75、質量平均分子量20000)8質量部をビーズミルを用いて12時間混練し、2.0μmメンブレンフィルターで濾過して、着色感光性樹脂組成物を調製した。
実施例1と同様に格子状の隔壁を有するパターンを形成し、この格子内に、絶縁性を有する材料として、無機シリカ化合物(東京応化工業製:商品名)をインクジェットプリンタにより注入し、250℃で60分加熱硬化することにより、パシベーション膜を形成した。
アルカリ可溶性樹脂及び感光剤(B)を以下に代えたほかは実施例1及び2と同様に、カラーフィルター(実施例3)及びパシベーション膜(実施例4)を形成した。
フッ素系撥液材料(C)を添加しないほかは実施例1及び2と同様に、カラーフィルター(比較例1)及びパシベーション膜(比較例2)をそれぞれ形成した。
フッ素系撥液材料(C)に代わり、CF4プラズマを用いて撥液性を付与したほかは実施例3及び4と同様に、カラーフィルター(比較例3)及びパシベーション膜(比較例4)をそれぞれ形成した。
実施例1,2及び比較例1,2によって形成したカラーフィルター及びパシベーション膜について、格子内の状態を目視により観察したほか、各格子内の着色感光性樹脂組成物及び無機シリカ化合物の平坦性を測定した。格子内の状態は、格子内に注入した着色感光性樹脂組成物又は無機シリカ化合物が溢れていなければ「良好」、溢れた場合には「不良」とした。また、平坦性は、格子内に注入した着色感光性樹脂組成物又は無機シリカ化合物の「中央部の厚さ」−「周辺部の厚さ」をDEKTAK3030(ULVAC社製)により測定することで求めた。結果を表1に示す。
[色の濃淡を有するカラーフィルターの形成]
ハーフトーンマスクを用いたこと以外は実施例1と同様の材料及び方法により、樹脂パターンを形成した。こうして形成した格子状の隔壁を有するパターンの格子内に、上記の着色感光性樹脂組成物をインクジェットプリンタ(FLJ−300、ローランドDG製)により注入し、160℃で60分加熱硬化することにより、カラーフィルターを形成した。
実施例1及び2にて形成された格子状の隔壁を有するパターンは、一つの隔壁中に階段状の深さの相違する領域を有していた。また、形成したカラーフィルターは、格子内に注入した着色感光性樹脂組成物が格子から溢れることはなく、深さの浅い部分の色調は淡く、深さの深い部分の色調は濃いものであり、半透過型液晶用カラーフィルターの同色で濃度の異なる画素を色度を阻害することなく、一つの工程で形成することができた。
実施例3及び4にて形成されたパターンにおいては透過率の面で若干劣っているものの隔壁部分の形状に優れ、スペーサー材料として優れたものであることが確認できた。
またすべての実施例において、注入した着色感光性樹脂組成物が格子から溢れることなく、更に深さの浅い部分の底部にも載ったことから、本実施例において使用したポジ型感光性樹脂組成物に添加されたフッ素系撥液材料は、ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布した後上部に移動したものと思料される。
Claims (6)
- アルカリ可溶性樹脂(A)、感光剤(B)及びフッ素系撥液材料(C)を含有するポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、ポジ型感光性樹脂層を形成する塗布工程と、
前記ポジ型感光性樹脂層を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥したポジ型感光性樹脂層を所望のパターンに応じて異なる露光量で露光する露光工程と、
前記露光したポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、を含み、
前記フッ素系撥液材料(C)が、エチレン性不飽和基含有フッ素系モノマーとエポキシ基を有するエチレン性不飽和基含有モノマーとを少なくとも共重合させた共重合体であり、且つ、質量平均分子量が2000〜50000であることを特徴とする、樹脂パターンの製造方法。 - 前記露光工程において、ハーフトーンマスクを介することにより異なる露光量で露光することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ポジ型感光性樹脂組成物は、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、前記フッ素系撥液材料(C)を0.1〜30質量部含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記アルカリ可溶性樹脂(A)は熱硬化性基を有し、現像後に硬化温度以上の温度で加熱することによりポジ型感光性樹脂層を硬化させる硬化工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記乾燥工程において、前記フッ素系撥液材料をポジ型感光性樹脂層の表面に偏在させる偏在化工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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