JP5466349B2 - 超原子価ヨウ素化合物の製造方法 - Google Patents

超原子価ヨウ素化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5466349B2
JP5466349B2 JP2006288048A JP2006288048A JP5466349B2 JP 5466349 B2 JP5466349 B2 JP 5466349B2 JP 2006288048 A JP2006288048 A JP 2006288048A JP 2006288048 A JP2006288048 A JP 2006288048A JP 5466349 B2 JP5466349 B2 JP 5466349B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
iodine
compound
carbon atoms
iodide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006288048A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008105962A (ja
Inventor
二雄 北村
晃二 緑川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippoh Chemicals Co Ltd
Saga University
Original Assignee
Nippoh Chemicals Co Ltd
Saga University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippoh Chemicals Co Ltd, Saga University filed Critical Nippoh Chemicals Co Ltd
Priority to JP2006288048A priority Critical patent/JP5466349B2/ja
Publication of JP2008105962A publication Critical patent/JP2008105962A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5466349B2 publication Critical patent/JP5466349B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、超原子価ヨウ素化合物の製造方法に関するものである。
酸化物は、医薬品やファインケミカルの合成に有用な反応中間体として知られている。このような酸化物としては、一般的には鉛、タリウム、水銀などの重金属の酸化物が挙げられる。これら重金属の酸化物は、毒性が高く、取り扱いが難しく、また環境への負荷が高いという問題を有する。このような問題を回避するために、近年、重金属化合物に変わる酸化剤として、超原子価ヨウ素化合物の研究がなされている。
超原子価ヨウ素化合物は、強い酸化性を有し、酸化後は通常のヨウ素化合物に還元される。このような超原子価ヨウ素化合物は、重金属の酸化物と比して毒性が低いが、重金属の酸化物と同等の強い酸化性を示す。そのため、超原子価ヨウ素化合物は、重金属の酸化物に代わって環境への負荷が軽減されたクリーンな酸化物として近年注目されている。
特許文献1ないし3には、上記のような超原子価ヨウ素化合物の製造方法の一例が開示されている。特許文献1には、過酢酸、過酸化水素、酢酸、硫酸および水を含有する過酢酸溶液を、ヨードベンゼンに作用させて、ヨウ化芳香族炭化水素のアセチル化合物を形成することが開示されている。特許文献2には、過酢酸と、過酸化水素のモル比が所望の範囲になるように調製された過酢酸溶液を、ヨードベンゼンと反応させて、ジアセテート化合物を形成する方法が開示されている。特許文献3には、ヨウ素が芳香族化合物に予め結合された化合物を用いて、ジアセトキシヨード基(−I(OAc)基)等の超原子価ヨウ素化合物誘導体をポリマーに導入した新規の超原子価ヨウ素化合物が開示されている。
特開2001−354617号公報(2001年12月25日公開) 特開2003−238496号公報(2003年8月27日公開) 特開2005−220122号公報(2005年8月18日公開) Organic Syntheses,Vol.43,p.62(1963)(Coll.Vol.5,p.660(1973))
特許文献1ないし特許文献3に記載の製造方法では、ヨウ化芳香族化合物を出発物質としている。しかしながら、ヨウ化芳香族化合物の合成を予め行う必要があり、目的のヨウ化芳香族化合物を得るまでに複数の工程を経る必要がある。その結果、製造に要する時間および製造に係るコストが高くなってしまうことがある。また、いずれも過酸化物(過酢酸など)を用いた製造方法であるため、薬品の取り扱いが難しい。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、超原子価ヨウ素化合物を簡便な方法で製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明の超原子価ヨウ素化合物の製造方法は、にヨウ素が結合されていない芳香族化合物と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩と、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物とを、酸化剤の存在下にて反応させることを特徴とする。
上記構成によれば、超原子価ヨウ素化合物を一工程で形成することができる。従来、超原子価のヨウ素化合物は、まず、芳香族化合物のベンゼン核にヨウ素を結合させてヨウ化芳香族化合物を製造し、その後、ヨウ化芳香族化合物に酸の過酸化物を反応させることで製造される。しかしながら、本発明に係る製造方法によれば、ベンゼン核がヨウ素化されていない芳香族化合物を出発物質とした場合であっても、一工程で製造することができる。
また、特許文献1、2や非特許文献1には、高濃度の過酢酸を用いることが開示されている。高濃度の過酢酸は、市販されていないため予め調製をしなくてはならず、さらに、危険性が高いため取り扱いが難しいという問題点がある。しかし、上述のように本発明では過酢酸を用いることなく、超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。その結果、簡便で製造コストの低下が実現された製造方法を提供することができる。
本発明に係る製造方法において、前記芳香族化合物は、ベンゼン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から3個有するベンゼン;ナフタレン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から5個有するナフタレン;アントラセン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から7個有するアントラセン;インデン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から3個有するインデン;ならびにポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、前記金属塩は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウムおよびヨウ化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、前記超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物は、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、プロピオン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、パーフルオロプロピオン酸、パーフルオロ酪酸およびメタンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、前記酸化剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、前記酸化剤が過硫酸カリウムであることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、前記酸化剤は、ヨウ素原子1モルを3当量または5当量酸化することが好ましい。
本発明に係る超原子価ヨウ素化合物を製造するためのシステムは、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を貯蔵した貯蔵容器と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩を貯蔵した貯蔵容器とを有することを特徴とする。
本発明に係るシステムにおいて、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物を貯蔵した貯蔵容器をさらに有することが好ましい。
本発明に係るシステムにおいて、酸化剤を貯蔵した貯蔵容器をさらに有することが好ましい。
本発明に係る超原子価ヨウ素化合物を製造するためのシステムによれば、核にヨウ素が結合していない芳香族化合物を出発物質として一工程による超原子価ヨウ素化合物の製造を実現することができる。
また、本発明に係る超原子価ヨウ素化合物を製造するためのキットは、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩とを備えていることを特徴とする。
本発明に係るキットにおいて、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物をさらに備えていることが好ましい。
本発明に係るキットにおいて、酸化剤をさらに備えていることが好ましい。
本発明に係る超原子価ヨウ素化合物を製造するためのキットによれば、核にヨウ素が結合していない芳香族化合物を出発物質として一工程による超原子価ヨウ素化合物の製造を実現することができる。
本発明に係る超原子価ヨウ素化合物の製造方法によれば、核中の炭素にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を出発物質として用いることができ、簡便な方法で超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。
以下、本発明に係る超原子価ヨウ素化合物の製造方法の詳細について説明する。
本実施形態に係る製造方法では、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩と、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物とを、酸化剤の存在下にて反応させることより超原子価ヨウ素化合物が製造される。具体的には、例えば、下記の反応式(1)に従った反応により超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。なお、以下の反応式では、3価の超原子価状態になったヨウ素の化合物の製造例を示す。
Figure 0005466349
反応式(1)において、Arは、C、Xn15−n1(Xは、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される置換基であり、n1は1〜3である)、C10、Xn2107−n2(Xは、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される置換基であり、n2は1〜5である)、C14、Xn3149−n3(Xは、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される置換基であり、n3は1〜7である)、C7、n47−n4(Xは、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される置換基であり、n4は1〜3である)および平均分子量が4000〜400000の(CHCH(C))(nは1以上の整数である)からなる群より選択される少なくとも一種であり、Rは、CHCO−、CFCO−、CCO−、CFCHCO−、CCO−、CCO−、CFSO、CHSO−からなる群より選択される少なくとも一種である。
(芳香族化合物)
本実施形態に係る製造方法では、超原子価ヨウ素化合物を製造する出発物質のひとつとして、芳香族化合物を用いる。これは、芳香族化合物が、非局在化したパイ電子を有することによりその反応性が高いことと、ヨウ素と芳香環の結合が強いこととにより、安定な化合物を形成し得るためである。
なお、本実施形態の製造方法では、製造に要する時間およびコストの低下を実現するために、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を用いる。このような芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ハロゲン化ベンゼン(ヨウ化物を除く。)、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ビナフチル、アニソール、o−ジメトキシベンゼン、m−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、フェノール、トリメトキシベンゼン、インデンおよびポリスチレンを例示することができるが、本実施形態に適用可能な芳香族化合物としてはこれらに限定されない。
(ヨウ素またはヨウ素の金属塩)
ヨウ素またはヨウ素の金属塩としては、ヨウ素分子(I)、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウムおよびヨウ化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を選択することができる。特に、ヨウ素分子(I)、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化アンモニウムを用いることが好ましい。ヨウ素またはヨウ素の金属塩は、芳香族化合物に対して0.5〜2.0当量、より好ましくは、0.6〜1.4当量となるように添加する。上記範囲のヨウ素またはヨウ素の金属塩を添加することにより、良好に超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。
(超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物)
超原子価のヨウ素に結合し得る基を含む化合物は、芳香族化合物の核に結合されたヨウ素の過剰の電子と電子対を形成することができる基を含む化合物である。このような基が取り込まれることで、超原子価ヨウ素化合物が安定に存在することができる。このような化合物としては、酸、酸素、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素)、アミド、イミド、アジドなどを例示することができるが、これらに限定されない。
酸としては、具体的には、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、プロピオン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、パーフルオロプロピオン酸、パーフルオロ酸、メタンスルホン酸を例示することができる。なお、本製造方法では、ヨウ素原子1モルに対して、少なくとも2当量の酸を添加する。酸の使用量の上限は、特に制限されないが、実用的にはヨウ素原子1モルに対して100当量であることが好ましい。
(酸化剤)
本実施形態の製造方法は、酸化剤の存在下で反応が行われるが、酸化剤としては、ヨウ素を3価の超原子価状態に酸化できるものであればよい。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることができる。中でも、過硫酸カリウムを用いることが好ましい。過硫酸カリウムを用いることで、目的の超原子価ヨウ素化合物を収率良く製造することができる。これらの酸化剤は組み合わせて用いることができる。また、酸化剤は、反応系中に含まれるヨウ素を超原子価状態にするのに足る量を用いる。具体的には、ヨウ素原子1モルに対して少なくとも3当量または5当量酸化することができる量が必要である。例えば、ヨウ素分子に対して酸化剤として過硫酸カリウムを用いる場合には、ヨウ素分子の3〜6倍モルの過硫酸カリウムを使用することが好ましい。また、酸化剤の酸化力をより効率よく発揮させるために、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの強酸が反応系に含まれることが好ましい。
(反応条件)
本発明に係る製造方法では、まず、上記の芳香族化合物、ヨウ素またはヨウ素の金属塩および酸および溶媒を混合し攪拌する。攪拌は、温度が0〜60℃の条件下で、混合物が均一に混ざりあうまで行うことが好ましい。ついで、酸化剤を滴下しつつ引き続き攪拌を行う。攪拌は反応が完結するまで続けて行う。反応の完結は、たとえば、TLCによる追跡を持って確認する。このとき、目的の化合物は反応液中に溶解している。反応の完結を確認した後、目的の化合物を沈殿させる。この沈殿は、水などの目的の化合物が不溶である溶媒を反応液に加えることにより行われる。これにより、目的の化合物が沈殿する。その後、沈殿物を濾別し、得られた沈殿物を再結晶することで生成物を得る。以上により、超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。
溶媒は、有機溶媒が好ましく、中でも、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどを用いることができる。
次に、本実施形態にかかる製造方法を実現し得るシステムについて説明する。すなわち、本発明は、超原子価ヨウ素化合物の製造するための製造システムを提供することができる。本発明に係るシステムは、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を貯蔵した貯蔵容器と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩を貯蔵した貯蔵容器と、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物を貯蔵した貯蔵容器とを有していればよい。なお、本発明に係るシステムは、酸化剤を貯蔵した貯蔵容器をさらに備えていることが好ましい。
また、本発明に係るシステムにおいて、目的の物質は固体であっても溶液であってもよく、異なる複数の物質を同一の貯蔵容器に混合して備えても別々の貯蔵容器に備えていてもよい。本発明に係るシステムはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した貯蔵容器を備え得る。さらに、本発明に係るシステムは、各種の製造設備を備えていてもよい。これらの製造設備としては、液状物(原料、溶媒、希釈剤など)を計量する貯槽または計量容器、計量後の液状物を反応機に送液するためのホッパーまたはポンプ類、固体物(原料など)を計量する貯槽または計量容器、計量後の固体物を反応機に仕込むためのポンプ類、反応機、固液分離機および溶媒の蒸留回収装置を例示することができ、当業者であれば当然に理解し得る。
本実施形態によれば、超原子価ヨウ素化合物を一工程で形成することができる。従来、超原子価ヨウ素化合物は、まず、芳香族化合物の核にヨウ素を結合させヨウ化芳香族化合物を製造し、その後、ヨウ化芳香族化合物に酸の過酸化物を反応させることで製造される。しかしながら、本実施形態に係る製造方法によれば、核がヨウ素化されていない芳香族化合物を出発物質とすることができ、一工程で製造される。その結果、より簡便な方法で超原子価化合物を製造することができる。また、本実施形態にかかる製造方法によれば、工程数を減らすことができ、製造コストの低下を実現することができる。
製造スケールにて用いられる態様がシステムであるとみなされる場合は、実験スケールにて用いられる態様をキットと称することができる。すなわち、本発明は、超原子価ヨウ素化合物を製造するためにシステムだけでなく、超原子価ヨウ素化合物の製造するための製造キットもまた提供し得る。
本発明に係るキットは、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩と、超原子価のヨウ素と結合し得る基を含む化合物とを備えている。本キットは、さらに、酸化剤を備えていることが好ましい。本キットを用いることにより、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を出発物質として、一工程で超原子価ヨウ素化合物が製造される。
本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、目的の物質を内包する容器(例えば、ボトル、チューブなど)を備えた包装が意図される。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図される。さらに、本発明に係るキットは、反応に必要な器具をあわせて備えてもよい。
以下に、本実施形態に係る製造方法の実施例について説明する。
[実施例1]
ヨウ素(I)0.5mmolをベンゼン1.18mmol、酢酸5ml、1,2―ジクロロエタン2ml、硫酸4mlの混合溶液に溶解し、40℃で15分攪拌した。ついで、過硫酸カリウム5mmolを10分間にわたって添加した。TLCで反応を追跡し、反応が完結するまで、40℃で攪拌した。反応終了後、水10mlを反応液に加え、生成物を濾別し、塩化メチレン10mlで結晶を洗浄し、粗生成物を得た。粗生成物を塩化メチレンで抽出し、水洗後、ボウショウで乾燥し、溶剤を留去した。その後、酢酸により再結晶を行い、ジアセトキシヨードベンゼンを得た。その収率を表2に示す。生成物は、無色結晶であり、その融点は162−163℃であった。この温度は、Letter, J.E.;Story, L. J. J. Am. Chem. Soc, 1967,89, 2333-2338に記載されている融点(161.1−162.2℃)とほぼ同一である。また、H−NMRおよび13C−NMRにより、この化合物を同定した。結果は以下のとおりである。H−NMR(300MHz、CDCl、ppm)1.91(s,6H,MeCO)、7.37−7.43(m,2H,ArH)、7.48−7.54(m,1H,ArH)、7.97−8.02(m,2H,ArH)13C−NMR(75MHz,CDCl、ppm)176.4、134.9、131.7、131.0、121.5、20.4。
[実施例2〜4]
実施例2〜4は、反応に使用した化合物の量および反応時間を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてジアセトキシヨードベンゼンを得た。実施例2〜4に係る生成物の収率は表2に示す。なお、表1には、実施例1の反応条件を併せて示す。
Figure 0005466349
[実施例5]
芳香族化合物として、トルエンを用い、反応時間を12hとした以外は実施例1と同様にして目的の生成物を得た。表2に生成物の化学式および収率を示す。
[実施例6〜8]
実施例6〜8では、芳香族化合物として、ベンゼンの代わりに表2に示す各化合物を用いた。芳香族化合物を変更した以外は、実施例1と同様にして目的の生成物を得た。表2に生成物の化学式および収率を示す。
Figure 0005466349
以上の実施例より、核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物を出発とした場合であっても、超原子価ヨウ素化合物が製造されていることが確認された。また、実施例1〜実施例4の比較からわかるように、スケールが大きい反応系であっても、良好な収率で目的化合物を製造することができることが確認された。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、工業化に対応できる超原子価ヨウ素化合物の製造方法を提供することができる。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、特許請求の範囲に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施形態に係る製造方法により製造される超原子価ヨウ素化合物は、医薬品、ファインケミカル等の反応中間体として有用である。

Claims (4)

  1. 核にヨウ素が結合されていない芳香族化合物と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属塩と、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、パーフルオロプロピオン酸およびパーフルオロ酪酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の酸化剤の存在下にて溶媒中で反応させ
    前記酸化剤は、ヨウ素原子1モルを3当量または5当量酸化し、
    前記溶媒は、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタンおよび1,1,2−トリクロロエタンからなる群より選択される少なくともいずれか1つの有機溶媒であることを特徴とする超原子価ヨウ素化合物の製造方法。
  2. 前記芳香族化合物は、ベンゼン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から3個有するベンゼン;ナフタレン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から5個有するナフタレン;アントラセン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から7個有するアントラセン;インデン;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、水酸基、フッ素、塩素および臭素からなる群より選択される基を1から3個有するインデン;ならびにポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属塩は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウムおよびヨウ化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記酸化剤が過硫酸カリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2006288048A 2006-10-23 2006-10-23 超原子価ヨウ素化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP5466349B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006288048A JP5466349B2 (ja) 2006-10-23 2006-10-23 超原子価ヨウ素化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006288048A JP5466349B2 (ja) 2006-10-23 2006-10-23 超原子価ヨウ素化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008105962A JP2008105962A (ja) 2008-05-08
JP5466349B2 true JP5466349B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=39439617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006288048A Expired - Fee Related JP5466349B2 (ja) 2006-10-23 2006-10-23 超原子価ヨウ素化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5466349B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8207341B2 (en) * 2008-09-04 2012-06-26 Bristol-Myers Squibb Company Process or synthesizing substituted isoquinolines
US9512250B2 (en) * 2012-02-23 2016-12-06 University Of Connecticut Manganese catalyzed photopolymerization of fluorinated monomers

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5510633B2 (ja) * 1972-05-19 1980-03-18
JPS5877830A (ja) * 1981-11-04 1983-05-11 Nissan Chem Ind Ltd ヨ−ドベンゼルの製造法
JP4367996B2 (ja) * 1999-05-10 2009-11-18 富士フイルムファインケミカルズ株式会社 ヨウ素化芳香族化合物の製造方法
JP2002020322A (ja) * 2000-07-05 2002-01-23 Mitsui Chemicals Inc 3価ヨウ素化合物を用いたアルコール化合物の酸化方法
JP3927835B2 (ja) * 2002-02-15 2007-06-13 日本パーオキサイド株式会社 ヨウ化芳香族化合物ジアセテートの製造方法
JP4552611B2 (ja) * 2003-11-18 2010-09-29 和光純薬工業株式会社 低分子リサイクル型超原子価ヨウ素試薬

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008105962A (ja) 2008-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2334661B1 (en) Processes for preparing poly(pentafluorosulfanyl)aromatic compounds
JP6765482B2 (ja) 5,5−ジブロモ−5−フェニル吉草酸メチルエステル
JP5466349B2 (ja) 超原子価ヨウ素化合物の製造方法
JPS59172451A (ja) ポリイソシアナ−ト類の製造方法
Barton et al. trans-9, 10-Dihydro-9, 10-ethanoanthracene-11, 12-dicarboxylic acid: complete host selectivity for guest compound para-dichlorobenzene during crystal growth from mixed isomeric dichlorobenzenes
EP3580207B1 (en) Diazomethylation reagent and process for using it
CN100569746C (zh) 芳基双(全氟烷基磺酰基)甲烷及其金属盐、及其制备方法
WO2015170688A1 (ja) 金属担持多孔性配位高分子触媒
JP2013056852A (ja) カップリング化合物の製造方法およびカップリング触媒
US6608233B2 (en) Process for producting bis(4-hydroxy-3-nitrophenyl) compound
JP2012126688A (ja) ビス(トリフルオロメタンスルホニル)エチル基を有する化合物及び酸触媒、並びにその製造方法
JP2008162967A (ja) 非対称型ビス(ターピリジン)化合物の合成方法
WO2003093212A1 (fr) Derive de (fluoroalkyl)benzene de haute purete et procede de production de celui-ci
JP2014208604A (ja) 芳香族アシル化合物の製造方法
JP5550072B2 (ja) 9−フルオレノン類の製造方法
KR101516471B1 (ko) 오르쏘-치환 5-할로페놀 및 이의 합성 중간체의 제조 방법
JP4090232B2 (ja) 芳香族化合物の製造方法
JP2011201831A (ja) 〔2,3,6,7,10,11−ヘキサ(置換)オキシ〕−トリフェニレン化合物の製造方法
JP4551722B2 (ja) ペンタブロモチオフェノールの製造方法
Houck Synthesis, Isolation, and Reactivity of Kinetically Stabilized Aromatic Nitrosamides and New Low Dimensional Organic Inorganic Hybrid Materials
JPS63502182A (ja) 枝分れ鎖アルキルピリジニウム塩を用いるフルオロ芳香族化合物の接触製造方法
JP4402186B2 (ja) シアノ安息香酸化合物の製造方法
JP4147302B2 (ja) 1−インダノン類の製造方法
TW202204316A (zh) 單亞碸衍生物的製造方法
JP4020663B2 (ja) 芳香族化合物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090406

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120424

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20121220

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130118

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20130315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5466349

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees