例えば、金融機関や流通機関には、一般に「ATM」と称される、入金や出金、振込等の取引処理を行う自動取引装置が多数設置されている。その自動取引装置の多くは、ハンドセットを搭載しており(例えば、特許文献1参照)、例えば、顧客が自動取引装置の操作に不慣れな場合や顧客が弱視者である場合等に、ハンドセットを介して音声で自動取引装置の操作方法等を顧客にアナウンスする構成になっている。
その自動取引装置は、内部に、外部の機器との通信を行うための通信部を有している。ハンドセットは、コードによって通信部(又は、通信部と電気的に接続された、信号を中継する中継部)に接続されている(図9A参照)。図9Aは、従来の自動取引装置のハンドセット周りの構成を示す図である。
図9Aは、ハンドセット130を含む、ハンドセット130周りの構成を示している。図9Aに示すように、従来の自動取引装置(以下、「ATM601」と称する)は、ハンドセット装着部120がフロントパネル2に設けられており、ハンドセット130が取り外し可能な状態でそのハンドセット装着部120に装着されている。なお、フロントパネル2は、ATM601の前面の上部側を保護する上部カバーである。
ハンドセット130は、把持部131、マイク132、スピーカ133、及び、コネクタ134を有している。把持部131は、顧客によって握られる部位である。マイク132は、音声が入力される構成要素である。スピーカ133は、音声が放音される構成要素である。コネクタ134は、コード141が接続されるコード接続部である。
ハンドセット130は、ハンドセット装着部120に装着される側の面(以下、「装着面」と称する)が顧客の顔に当接する面となる。マイク132は、ハンドセット130の装着面上の、把持部131の下側(図9Aに示す例では、把持部131の右側)の位置に、設けられている。スピーカ133は、把持部131の上側(図9Aに示す例では、把持部131の左側)の位置に、ハンドセット130の装着面から突出して設けられている。また、コネクタ134は、マイク132よりもさらに下側の位置に、ハンドセット130の装着面から突出して設けられている。ハンドセット130は、マイク132及びスピーカ133が標準的な顧客の口と耳の近傍に配置されるように、サイズ及び形状が定められている。
ハンドセット装着部120は、顧客がハンドセット130を使用した場合に、顧客(特に、弱視者の顧客)がハンドセット130を確実にハンドセット装着部120に戻せるように、また、ATM601の係員がATM601を保守する場合に、フロントパネル2が開閉されても、ハンドセット130がフロントパネル2から落下しないように、ハンドセット130のサイズ及び形状に合わせて形成されている。
例えば、ハンドセット装着部120は、凹部121がハンドセット130のスピーカ133に対向する部分に設けられており、さらに、凹部122がハンドセット130のコネクタ134に対向する部分に設けられている。なお、凹部121は、ハンドセット130のスピーカ133を内部に収納するスピーカ収納部として機能する部位である。また、凹部122は、ハンドセット130のコネクタ134を内部に収納するコネクタ収納部として機能する部位である。ハンドセット装着部120は、凹部121がスピーカ133を内部に収納し、凹部122がコネクタ134を内部に収納することにより、ハンドセット130をしっかりと保持する。
凹部122は、開口部123が底面に形成されている。開口部123は、ハンドセット130がハンドセット装着部120から取り外されたり、又は、ハンドセット130がハンドセット装着部120に戻されたり(装着されたり)する際に、コード141が出し入れされる(通過する)空間である。以下、開口部123を「コード口123」(図9B参照)と称する。なお、図9Bは、従来の自動取引装置のコード口及びコードの構成を示す図である。
図9B(a)は、コード口123の構成を示している。図9B(a)に示すように、コード口123は、円形の形状に形成されている。また、コード口123の直径Dは、コード141の後記する主平面の幅w(図9B(b)参照)よりも大きなサイズとなっている。すなわち、「D>w」の関係になっている。このようなコード口123のサイズ及び形状は、コード口123とコード141との間に隙間を設けるとともに、コード141の出し入れの障害となる角部分や辺をなくすことによって、コード口123とコード141との間の摩擦抵抗を低減して、コード口123がコード141を円滑に出し入れできるようにするためである。
一方、図9B(b)は、コード141の構成を示している。コード141は、長手方向に直交する断面形状が幅の広い部分と幅の狭い部分とを有する形状となっており、ハンドセット130に接続されている。図9B(b)に示す例では、コード141は、平型の形状に形成されている。以下、コード141を「平型コード141」と称する場合もある。このようなコード141の形状は、後記するコード巻取部140のリール144(図10(b)参照)の周回方向に、効率よく(具体的には、隙間なく密集して)巻回すことができるようにするためである。
図9B(b)に示す例では、コード141は、幅の値が「w」の2つの平面と、幅の値が「t」の2つの平面とで表面が形成されている。なお、幅w,tは、「w>t」の関係になっている。以下、幅が広い方の平面(すなわち、幅wの平面)を「主平面」(又は「幅広面」)と称し、幅が狭い方の平面(すなわち、幅tの平面)を「副平面」(又は「幅狭面」)と称する。
なお、ATM601は、コード口123とコード141との間に隙間が設けられている。ATM601は、異物がその隙間からATM601の内部に進入するのを防止するために、図9Aに示すように、隙間を閉鎖するための封止部材124が、凹部122の底面に取り付けられている。封止部材124は、例えば、スポンジ等の軟性の素材で構成されており、また、コード口123と重なる部分に、例えば、十字方向に切断された切断部124aが設けられている。封止部材124は、コード141がコード口123を出し入れされる際に、その切断部124aを介してコード141を通過させる。これにより、封止部材124は、コード141がコード口123を出し入れされるのを阻害することなく、異物が隙間からATM601の内部に進入するのを防止する。
また、図9Aに示すように、ATM601は、コード巻取部140が、ATM601の内部の、ハンドセット装着部120の下側の位置に設けられている。コード巻取部140は、コード141を巻き取る構成要素である。
コード巻取部140は、コード141が巻回されるリール144が、内部に設けられている。コード巻取部140は、開口部(巻取口)143aがリール144の周回方向の延長線上に設けられている。コード141は、コード巻取部140の内部でリール144に巻回されており、開口部143aからコード巻取部140の外側に引き出されている。また、コード巻取部140は、開口部143bが設けられている。コード141は、その開口部143bからも外部に引き出されている。
開口部143aから引き出されたコード141は、リール144に巻回されている残量があれば、その残量分だけ、さらに開口部143aから引き出すことができる。また、開口部143bから引き出されたコード141は、所定の長さ分だけ開口部143bから引き出されている。
以下、開口部143aから引き出されたコード141と開口部143bから引き出されたコード141とを区別する場合に、開口部143aから引き出されたコード141を「コード141a」と称し、開口部143bから引き出されたコード141を「コード141b」と称する。また、コード141aが引き出される開口部143aを「巻取口143a」と称する。
コード141aは、その先端部がハンドセット130のコネクタ134に接続される。また、コード141bは、その先端部にモジュラプラグ142bが設けられており、その先端部がモジュラプラグ142bを介して図示せぬ通信部(又は、通信部と電気的に接続された、信号を中継する中継部)に接続される。
コード141aは、顧客がハンドセット130を使用するために、ハンドセット130をハンドセット装着部120から取り外した場合に、コード巻取部140の内部から外部に引き出される。その結果、この場合に、コード141aは、矢印A2方向に進行する。また、コード141aは、顧客がハンドセット130を使用して、そのハンドセット130をハンドセット装着部120に戻す(装着する)場合に、コード巻取部140の外部から内部に引き込まれる。その結果、この場合に、コード141aは、矢印A1方向に進行する。
なお、コード巻取部140は、コード141aに対し、常に、収納方向(すなわち、コード141aをコード巻取部140の内部に引き込む方向(具体的には、図9Aに示すF方向))に引っ張り力(張力)をかけている。これにより、ATM601は、顧客がハンドセット130を使用して、そのハンドセット130をハンドセット装着部120に戻す場合に、コード141aがコネクタ134の凹部122の内部への収納の邪魔にならないように、その戻す動作に合わせて、コード141aをATM601の内部(すなわち、コード口123の内側)に確実に引き込むことができる。
また、コード巻取部140は、コネクタ134(厳密には、コネクタ134から引き出されているコード141aの根元部分の中央)とコード口123(厳密には、その中央)とを結ぶ直線L2から外れた位置に設けられている。したがって、ATM601は、コード口123から巻取口143aに向けてコード141aを誘導する必要がある。ATM601は、そのために、誘導用シャフト651を有している。
誘導用シャフト651は、コード141aと接触して、コード141aをコード口123から巻取口143aに向けて湾曲させて誘導する誘導部材である。誘導用シャフト651は、円筒形に形成されている。誘導用シャフト651は、コード口123(厳密には、その中央)と巻取口143a(厳密には、その中央)とを結ぶ直線L1から外れた位置に設けられている。
このようなATM601は、不特定多数の人物が顧客となってハンドセット130を取り扱うため、顧客がハンドセット130を使用する際に、強い力でコード141aを引き出しても、コード141aが損傷(例えば、延びたり、断線したり)しないように、構成する必要がある。そのために、ATM601は、コネクタ134によって、コード141aとハンドセット130との接続部分にかかる負荷からコード141aを保護している。また、ATM601は、コード141aがコード口123を円滑に出し入れされるように、コード口123とコード141aとの間に隙間が設けられている。
なお、コード巻取部に関連する技術として、例えば、特許文献2には、コード巻取部がハンドセット装着部の下に配置された電話機が記載されている。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施形態1]
本実施形態1に係る自動取引装置(ATM1(図2A参照))は、従来の自動取引装置(ATM601(図9A参照))と比較すると、コード口123と巻取口143aとの間に、捻れ防止機構150を有する点で相違している。
捻れ防止機構150は、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する機構である。
捻れ防止機構150は、図2Cに示すコード141aの第1主平面146a及び第2主平面146b並びに第1副平面147a及び第2副平面147bのいずれか1乃至複数と複数個所で接触する。例えば、本実施形態1では、捻れ防止機構150は、コード141aの第1主平面146a及び第2主平面146bと2箇所で接触する。これにより、捻れ防止機構150は、捻れ防止機構150と巻取口143aとの間のコード141aの撓みを制限して、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する。
<自動取引装置の構成>
以下、図1、図2A、図2B、及び、図2Cを参照して、本実施形態1に係る自動取引装置の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態1に係る自動取引装置の全体の構成を示す図である。図2Aは、実施形態1に係る自動取引装置の捻れ防止機構の構成を示す図である。図2Bは、実施形態1に係る自動取引装置のハンドセットの構成を示す図である。図2Cは、実施形態1に係る自動取引装置のコード巻取部の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態1に係る自動取引装置(以下、「ATM」と称する)1は、フロントパネル2、筐体3、前扉4A、後扉4B、顧客操作部5、カード挿入排出口6、通帳挿入排出口7、伝票挿入排出口8、生体認証部9、紙幣挿入排出口10、硬貨挿入排出口11、ハンドセット装着部120、及び、ハンドセット130を有している。
フロントパネル2は、ATM1の前面の上部側を保護する上部カバーである。フロントパネル2は、その上端部が蝶番(ちょつがい)によってATM1の筐体3に回動可能に取り付けられている。フロントパネル2は、ATM1の保守時に、係員によって、蝶番を軸にして、係員の腰に対向する部分が跳ね上がるように、回動される。これにより、ATM1は、保守時に、前面の上部側が開放される。
筐体3は、ATM1の本体であり、内部に、様々なユニット(例えば、紙幣や硬貨の鑑別部や金種別金庫等)を収納している。
前扉4Aは、ATM1の前面の下部側を保護する下部カバーである。前扉4Aは、その左端部(又は、右端部)が蝶番によってATM1の筐体3に回動可能に取り付けられている。前扉4Aは、ATM1の保守時に、係員によって、蝶番を軸にして、蝶番が設けられていない側の端部(以下、「自由端」と称する)が開くように、回動される。これにより、ATM1は、保守時に、前面の下部側が開放される。
後扉4Bは、ATM1の後面を保護するカバーである。後扉4Bは、その左端部(又は、右端部)が蝶番によってATM1の筐体3に回動可能に取り付けられている。後扉4Bは、ATM1の保守時に、係員によって、蝶番を軸にして、自由端が開くように、回動される。これにより、ATM1は、保守時に、後面が開放される。
顧客操作部5は、顧客が入金や出金、振込等の取引を行うために操作する構成要素である。顧客操作部5は、各種の画面を表示する表示部と、顧客によって各種の指示や情報が入力される入力部とによって構成されている。ここでは、顧客操作部5は、タッチパネルによって構成されている場合を想定して説明する。
カード挿入排出口6は、キャッシュカードや振込カード等のカード媒体が挿入及び排出される開口部である。ATM1は、カード挿入排出口6の奥に、カード媒体から情報を読み取るカードリーダライタユニットが配置されている。
通帳挿入排出口7は、通帳が挿入及び排出される開口部である。ATM1は、通帳挿入排出口7の奥に、通帳から情報を読み取ったり、取引情報を通帳に印字したりする通帳プリンタユニットが配置されている。
伝票挿入排出口8は、伝票が挿入及び排出される開口部である。ATM1は、伝票挿入排出口8の奥に、伝票から情報を読み取ったり、取引情報を伝票に印字したりする伝票プリンタユニットが配置されている。
生体認証部9は、顧客の生体情報を取得して、顧客を認証する構成要素である。ここでは、生体認証部9は、顧客の指の静脈パタンを取得して、顧客を認証する指静脈認証部として構成されているものとする。
紙幣挿入排出口10は、取引時に、紙幣が挿入されたり、排出されたりする開口部である。
硬貨挿入排出口11は、取引時に、硬貨が挿入されたり、排出されたりする開口部である。
ハンドセット装着部120は、ハンドセット130が装着される部位である。図2Aに示すように、本実施形態1に係るATM1のハンドセット装着部120は、従来のATM601のハンドセット装着部120(図9A参照)と同様の構成となっている。
すなわち、ハンドセット装着部120は、ハンドセット130のサイズ及び形状に合わせて形成されている。例えば、ハンドセット装着部120は、凹部121がハンドセット130のスピーカ133に対向する部分に設けられており、さらに、凹部122がハンドセット130のコネクタ135に対向する部分に設けられている。なお、凹部121は、ハンドセット130のスピーカ133を内部に収納するスピーカ収納部として機能する部位である。また、凹部122は、ハンドセット130のコネクタ135を内部に収納するコネクタ収納部として機能する部位である。ハンドセット装着部120は、凹部121がスピーカ133を内部に収納し、凹部122がコネクタ135を内部に収納することにより、ハンドセット130をしっかりと保持する。
凹部122は、コード口123としての開口部が底面に形成されている。コード口123は、ハンドセット130がハンドセット装着部120から取り外されたり、又は、ハンドセット130がハンドセット装着部120に戻されたり(装着されたり)する際に、コード141が出し入れされる(通過する)空間である。
コード141は、長手方向に直交する断面形状が幅の広い部分と幅の狭い部分とを有する形状となっており、ハンドセット130に接続されている。なお、各図に示す例では、コード141は、コード巻取部140のリール144(図2A参照)の周回方向に、効率よく(具体的には、隙間なく密集して)巻回されるように、平型の形状に形成されている。図2Cに示す例では、コード141は、幅の値が「w」の2つの主平面146と、幅の値が「t」の2つの副平面147とで表面が形成されている。なお、幅w,tは、「w>t」の関係になっている。「主平面」は、特許請求の範囲に記載された「幅広面」に対応する。また、「副平面」は、特許請求の範囲に記載された「幅狭面」に対応する。
ここで、2つの主平面146を区別する場合に、2つの主平面146のうち、直線L1(図2A参照)に近い方を「第1主平面146a」と称し、直線L1(図2A参照)から遠い方を「第2主平面146b」と称する。なお、「直線L1」は、コード口123(厳密には、その中央)と巻取口143a(厳密には、その中央)とを結ぶ線である。
また、2つの副平面147を区別する場合に、2つの副平面147のうち、筐体3(図1参照)の側面に近い方を「第1副平面147a」と称し、筐体3(図1参照)の側面から遠い方を「第2副平面147b」と称する。
このようなコード141に対し、コード口123は、直径D(図2A参照)がコード141の主平面146の幅wよりも相当に大きなサイズ(例えば、主平面146の幅wの2倍程度のサイズ)の円形の形状に形成されている。したがって、コード口123の直径D及びコード141の主平面146の幅wは、「D>w」の関係になっている。このようなコード口123のサイズ及び形状は、コード口123とコード141との間に隙間を設けるとともに、コード141の出し入れの障害となる角部分や辺をなくすことによって、コード口123とコード141との間の摩擦抵抗を低減して、コード口123がコード141を円滑に出し入れできるようにするためである。
なお、ATM1は、コード口123とコード141との間に隙間が設けられている。ATM1は、異物がその隙間からATM1の内部に進入するのを防止するために、図2Aに示すように、隙間を閉鎖するための封止部材124が、凹部122の底面に取り付けられている。封止部材124は、例えば、スポンジ等の軟性の素材で構成されており、また、コード口123と重なる部分に、例えば、十字方向に切断された切断部124a(図9B(a)参照)が設けられている。封止部材124は、コード141がコード口123を出し入れされる際に、その切断部124aを介してコード141を通過させる。これにより、封止部材124は、コード141がコード口123を出し入れされるのを阻害することなく、異物が隙間からATM1の内部に進入するのを防止する。
ハンドセット130は、音声でATM1の操作方法等を顧客にアナウンスするための構成要素である。図2Aに示すように、本実施形態1に係るATM1のハンドセット130は、従来のATM601のハンドセット130(図9A参照)と同様の構成となっている。
すなわち、ハンドセット130は、把持部131、マイク132、スピーカ133、及び、コネクタ135を有している。把持部131は、顧客によって握られる部位である。マイク132は、音声が入力される構成要素である。スピーカ133は、音声が放音される構成要素である。コネクタ135は、コード141が接続されるコード接続部である。
マイク132は、ハンドセット130の装着面(ハンドセット装着部120に装着される側の面)上の、把持部131の下側(図2Aに示す例では、把持部131の右側)の位置に、設けられている。スピーカ133は、把持部131の上側(図2Aに示す例では、把持部131の左側)の位置に、ハンドセット130の装着面から突出して設けられている。また、コネクタ135は、マイク132よりもさらに下側の位置に、ハンドセット130の装着面から突出して設けられている。ハンドセット130は、マイク132及びスピーカ133が標準的な顧客の口と耳の近傍に配置されるように、サイズ及び形状が定められている。
なお、コネクタ135は、図2Bに示すように、第1回転部135a及び第2回転部135bを有する構成となっている。第1回転部135aは、把持部131の軸とスピーカ133の放音方向とで形成される面内で回転するように、図2B(a)に示すように、コネクタ135を矢印R1方向(すなわち、ハンドセット130の装着面に対して近接方向又は離間方向)に自在に回転させるための機構である。第2回転部135bは、図2B(a)に示すように、コネクタ135を矢印R2方向(すなわち、コネクタ135の延伸方向を軸とし、その軸周りの方向)に自在に回転させるための機構である。なお、図2B(a)は、斜め上方向から見た、実施形態1に係るハンドセット130の全体の構成を示している。また、図2B(b)は、斜め下方向から見た、実施形態1に係るハンドセット130のコネクタ135周りの構成を示している。
また、図2Aに示すように、ATM1は、コード巻取部140が、ATM1の内部の、ハンドセット装着部120の下側の位置に設けられている。コード巻取部140は、コード141を巻き取る構成要素である。
コード巻取部140は、コード141が巻回されるリール144が、内部に設けられている。コード巻取部140は、巻取口143aがリール144の周回方向の延長線上に設けられている。コード141は、コード巻取部140の内部でリール144に巻回されており、巻取口143aからコード巻取部140の外側に引き出されている。また、コード巻取部140は、開口部143bが設けられている。コード141は、その開口部143bからも外部に引き出されている。
巻取口143aから引き出されたコード141(コード141a)は、リール144に巻回されている残量があれば、その残量分だけ、さらに巻取口143aから引き出すことができる。また、開口部143bから引き出されたコード141(コード141b)は、所定の長さ分だけ開口部143bから引き出されている。
図2Cに示すように、コード141aは、その先端部にモジュラプラグ142aが設けられており、その先端部がモジュラプラグ142aを介してハンドセット130のコネクタ135に接続される。また、コード141bは、その先端部にモジュラプラグ142bが設けられており、その先端部がモジュラプラグ142bを介して図示せぬ通信部(又は、通信部と電気的に接続された、信号を中継する中継部)に接続される。
なお、図2Cに示す例では、巻取口143aは、横方向の幅の値が「W」で、縦方向の幅の値が「T」の、矩形に形成されている。巻取口143aの幅W,Tは、コード141aの幅w,tと比較すると、「W>w>T>t」の関係になっている。なお、巻取口143aの幅W,T、並びに、コード141aの幅w,tの具体的な値は、例えば、幅Wが「5.5mm」程度、幅Tが「2mm」程度、幅wが「4mm」程度、幅tが「1mm」程度である。また、コード口123の直径D(図2A参照)の具体的な値は、例えば、「10mm」程度である。
コード141aは、顧客がハンドセット130を使用するために、ハンドセット130をハンドセット装着部120から取り外した場合に、コード巻取部140の内部から外部に引き出される。その結果、この場合に、コード141aは、矢印A2方向に進行する。また、コード141aは、顧客がハンドセット130を使用して、そのハンドセット130をハンドセット装着部120に戻す(装着する)場合に、コード巻取部140の外部から内部に引き込まれる。その結果、この場合に、コード141aは、矢印A1方向に進行する。
なお、コード巻取部140は、コード141aに対し、常に、収納方向(すなわち、コード141aをコード巻取部140の内部に引き込む方向(具体的には、図2Aに示すF方向))に引っ張り力(張力)をかけている。これにより、ATM1は、顧客がハンドセット130を使用して、そのハンドセット130をハンドセット装着部120に戻す場合に、コード141aがコネクタ135の凹部122の内部への収納の邪魔にならないように、その戻す動作に合わせて、コード141aをATM1の内部(すなわち、コード口123の内側)に確実に引き込むことができる。
なお、コード巻取部140の張力は、好ましくは、コード141aが長く引き出される程、大きな値になるようにするとよい。例えば、コード巻取部140は、コード141aがわずかに(例えば、数cm)引き出された場合(すなわち、顧客がハンドセット130を数cm持ち上げた場合)に、コード141aに対し、0.3±0.1N(ニュートン)の張力をF方向に向けてかけるようにするとよい。また、コード巻取部140は、コード141aが引き出しの限界値(例えば、数十cm)近辺まで引き出された場合(すなわち、顧客がハンドセット130を数十cm持ち上げた場合)に、コード141aに対し、1.7±0.2N(ニュートン)の張力をF方向に向けてかけるようにするとよい。そして、コード巻取部140は、コード141aを内部に引き込むにつれて、張力を減衰させる。このようにして、コード巻取部140は、コード141aをATM1の内部(すなわち、コード口123の内側)に確実に引き込むとともに、コード141aに過大な負荷をかけないようにして、コード141aが損傷(延びたり、破断したり)するのを防止する。
なお、コード巻取部140は、図2Aに示すように、コネクタ135(厳密には、コネクタ135から引き出されているコード141aの根元部分の中央)とコード口123(厳密には、その中央)とを結ぶ直線L2から外れた位置に設けられている。
そして、ATM1は、図2Aに示すように、捻れ防止機構150が、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1から外れた位置に設けられている。
捻れ防止機構150は、前記した通り、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する機構である。捻れ防止機構150は、コード141aの第1主平面146a及び第2主平面146b並びに第1副平面147a及び第2副平面147bのいずれか1乃至複数と複数箇所で接触する。これによって、捻れ防止機構150は、捻れ防止機構150と巻取口143aとの間のコード141aの撓みを制限する。
<捻れ防止機構の構成>
本実施形態1では、捻れ防止機構150は、図2Aに示すように、第1ガイド部材151aと第2ガイド部材151bとによって構成されている。第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、それぞれ、少なくともコード141aとの接触部分となる湾曲面が、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1から外れた位置に設けられている。第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bのうち、第1ガイド部材151aは、直線L1に近い方の部材であり、一方、第2ガイド部材151bは、直線L1から遠い方の部材である。
第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、それぞれ、円弧状に湾曲された湾曲面を備えている。第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、それぞれの湾曲面がコード141aを介して互いに対向するように配置されている。第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、コード141aが第1ガイド部材151aの湾曲面の円弧に沿って遊挿する程度に、それぞれの湾曲面の間が離間している。
第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、それぞれの湾曲面でコード141aを挟み込むことによって、コード141aをコード口123から巻取口143aに向けて誘導するとともに、コード141aに発生する撓みを制限する。
なお、第2ガイド部材151bの湾曲面は、第1ガイド部材151aの湾曲面よりも大きな曲率半径で形成されている。したがって、第1ガイド部材151aの湾曲面と第2ガイド部材151bの湾曲面との間の離間距離は、両端部が中央付近よりも大きくなっている。そのため、第1ガイド部材151a及び第2ガイド部材151bは、コード141aを円滑に挿通させることができる。
このようなATM1は、捻れ防止機構150が、コード141aの第1主平面146a及び第2主平面146b並びに第1副平面147a及び第2副平面147bのいずれか1乃至複数と複数個所(本実施形態1では、コード141aの第1主平面146aと第2主平面146bとの2箇所)で接触する。これにより、ATM1は、捻れ防止機構150と巻取口143aとの間のコード141aの撓みを制限して、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する。
そのため、ATM1は、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、ATM1は、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
なお、コード141aは、強い曲げ応力がかかると、寿命が短くなる。そのため、捻れ防止機構150は、強い曲げ応力がコード141aにかからないようにすることが好ましい。本実施形態1では、捻れ防止機構150は、コード口123から捻れ防止機構150に向けて張架されたコード141aの方向を第1方向とし、捻れ防止機構150から巻取口143aに向けて張架されたコード141aの方向を第2方向とする場合に、第1方向と第2方向との間の角度が鈍角になるように構成されている。これにより、捻れ防止機構150は、強い曲げ応力がコード141aにかかるのを回避している。そのため、ATM1は、コード141aの寿命が短くなるのを抑制することができる。
なお、ATM1は、ハンドセット130よりも重要度の高い構成要素(例えば、紙幣や硬貨の鑑別部や金種別金庫、顧客操作部等)がハンドセット130の周囲に存在する。そのため、捻れ防止機構150は、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならない構成である必要がある。
捻れ防止機構150は、部品点数の少ない、簡素な構成となっており、これにより、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならないという要望を満たす構成になっている。
以上の通り、本実施形態1に係るATM1によれば、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
[実施形態2]
以下、図3を参照して、本実施形態2に係る自動取引装置(以下、「ATM1A」と称する)の捻れ防止機構(以下、「捻れ防止機構150A」と称する)の構成につき説明する。図3は、実施形態2に係る自動取引装置の捻れ防止機構の構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態2に係るATM1Aは、実施形態1に係るATM1と比較すると、捻れ防止機構150の代わりに、従来のATM601(図9A参照)と同様の誘導用シャフト651と、捻れ防止機構150Aとを有する点で相違している。
誘導用シャフト651は、コード141aと接触して、コード141aをコード口123から巻取口143aに向けて湾曲させて誘導する誘導部材である。誘導用シャフト651は、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触するように、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1から外れた位置に配置されている。
捻れ防止機構150Aは、実施形態1の捻れ防止機構150と同様に、コード141aの捻れを防止する機構である。捻れ防止機構150Aは、コード141aの第1主平面146aと、誘導用シャフト651に対してコード口123側の位置と巻取口143a側の位置との2箇所で接触する構成になっている。
捻れ防止機構150Aは、誘導用シャフト651に対して巻取口143a側の位置及びコード口123側の位置のいずれか一方又は双方に配置された1乃至複数の捻れ防止用接触部材によって構成されている。ここでは、捻れ防止用接触部材が2つの捻れ防止用シャフト(以下、「捻れ防止用シャフト152a,152b」と称する)によって構成されている場合を想定して説明する。
捻れ防止用シャフト152a,152bは、誘導用シャフト651を含む複数個所で、コード141aの第1主平面146aと接触して、巻取口143aに進行するコード141aの撓みを制限することにより、コード141aの塑性変形を低減し、ひいては、コード141aの捻れを防止する接触部材である。
捻れ防止用シャフト152a,152bは、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触するように、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1(図2A参照)から外れた位置に配置されている。なお、図3に示す例では、捻れ防止用シャフト152aは、誘導用シャフト651に対して、コード口123側の位置に設けられており、一方、捻れ防止用シャフト152bは、誘導用シャフト651に対して、巻取口143a側の位置に設けられている。
このようなATM1Aの捻れ防止機構150Aは、捻れ防止用シャフト152a,152bの外周面が、誘導用シャフト651に対して巻取口143a側の位置及びコード口123側の位置で、コード141aの第1主平面146aと接触して、捻れ防止機構150Aと巻取口143aとの間のコード141aの撓みを制限する。これにより、ATM1Aは、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する。
そのため、ATM1Aは、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、ATM1Aは、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
また、本実施形態2に係る捻れ防止機構150Aは、実施形態1に係る捻れ防止機構150と異なり、コード141aを挟み込む構成になっていない。そのため、捻れ防止機構150Aは、強い曲げ応力がコード141aにかかるのを、実施形態1に係る捻れ防止機構150よりも、さらに回避することができる。その結果、捻れ防止機構150Aは、コード141aの寿命が短くなるのを、実施形態1に係る捻れ防止機構150よりも、さらに抑制することができる。
しかも、捻れ防止機構150Aは、部品点数の少ない、簡素な構成となっており、これにより、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならないという要望を満たす構成になっている。
以上の通り、本実施形態2に係るATM1Aによれば、捻れ防止機構150Aを有しているため、実施形態1に係るATM1と同様に、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
しかも、ATM1Aによれば、コード141aの寿命が短くなるのを、実施形態1に係るATM1よりも、さらに抑制することができる。
<変形例>
ATM1Aは、誘導部材や捻れ防止用接触部材として、シャフトの代わりに、ローラを用いることができる。以下、シャフトの代わりに、ローラを用いたATM1Aを「ATM1Aa」と称し、また、シャフトの代わりに、ローラを用いた捻れ防止機構150Aを「捻れ防止機構150Aa」と称する。
以下、図4を参照して、そのようなATM1Aaの捻れ防止機構150Aaの構成につき説明する。図4は、実施形態2に係る自動取引装置の捻れ防止機構の変形例の構成を示す図である。
図4に示すように、ATM1Aaは、誘導部材として誘導用ローラ652を有しており、さらに、捻れ防止機構150Aaの捻れ防止用接触部材として捻れ防止用ローラ154a,154bを有する構成となっている。なお、ATM1Aaは、シャフトとローラとを混在させて、誘導部材及び捻れ防止用接触部材を構成するようにしてもよい。
誘導用ローラ652は、誘導用シャフト651と同様に、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触して、コード141aをコード口123から巻取口143aに向けて湾曲させて誘導する誘導部材である。誘導用ローラ652は、円筒形に形成されており、その中央に設けられたシャフトを中心にして回転する。
捻れ防止用ローラ154a,154bは、それぞれ、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触して巻取口143aに進行するコード141aの撓みを制限することにより、コード141aの捻れを防止する接触部材である。捻れ防止用ローラ154a,154bは、それぞれ、円筒形に形成されており、それぞれの中央に設けられたシャフトを中心にして回転する。
このような変形例に係るATM1Aaは、誘導部材及び捻れ防止用接触部材がローラによって構成されている。そのため、ATM1Aaは、顧客がATM1Aaの内部から外部にコード141aを引き出す場合や、コード巻取部140がATM1Aaの外部から内部にコード141aを引き込む場合に、コード141aを円滑に移動させることができるとともに、コード141aにかかる摩擦力を低減させることができる。その結果、ATM1Aaは、実施形態2に係るATM1Aよりも、コード141aの寿命を延ばすことができる。
[実施形態3]
以下、図5を参照して、本実施形態2に係る自動取引装置(以下、「ATM1B」と称する)の捻れ防止機構(以下、「捻れ防止機構150B」と称する)の構成につき説明する。図5は、実施形態3に係る自動取引装置の捻れ防止機構の構成を示す図である。図5(a)は、側面方向から見た、本実施形態2に係るATM1Bの捻れ防止機構150Bの構成を示しており、図5(b)は、正面方向(図5(a)に示す例の右方向)から見た、捻れ防止機構150Bに用いるガイド付きシャフト155の構成を示している。
図5(a)に示すように、本実施形態3に係るATM1Bは、実施形態1に係るATM1と比較すると、捻れ防止機構150の代わりに、捻れ防止機構150Bを有する点で相違している。
捻れ防止機構150Bは、実施形態1の捻れ防止機構150と同様に、コード141aの捻れを防止する機構である。捻れ防止機構150Bは、コード141aの第1主平面146a並びに第1副平面147a(図2C参照)及び第2副平面147b(図2C参照)と、3箇所で接触する構成になっている。
捻れ防止機構150Bは、コード141aの捻れを防止する捻れ防止用接触部材としてのガイド付きシャフト155によって構成されている。ガイド付きシャフト155は、図5(b)に示すように、軸155aと、サイドガイド155bとを備えた構成になっている。
軸155aは、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触する部位である。軸155aは、円筒形に形成されている。
サイドガイド155bは、軸155aの両サイドに突出して設けられ、コード141aの第1副平面147a(図2C参照)及び第2副平面147b(図2C参照)と接触して、コード141aの主平面146(図2C参照)内の撓みを制限する段差である。
ガイド付きシャフト155は、軸155aの外周面がコード141aの第1主平面146aと接触するように、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1(図2A参照)から外れた位置に配置されている。なお、捻れ防止機構150Bは、ガイド付きシャフト155の代わりに、軸155aの外周部分が回転するガイド付きローラ(図示せず)として構成することもできる。
このようなATM1Bの捻れ防止機構150Bは、ガイド付きシャフト155のサイドガイド155bが、捻れ防止機構150Bと巻取口143aとの間で、コード141aの第1副平面147a及び第2副平面147bと接触して、コード141aの主平面146(図2C参照)内の撓みを制限する。これにより、ATM1Bは、巻取口143aに進入するコード141aの捻れを防止する。
そのため、ATM1Bは、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、ATM1Bは、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
また、本実施形態3に係る捻れ防止機構150Bは、実施形態1に係る捻れ防止機構150と異なり、コード141aを挟み込む構成になっていない。そのため、捻れ防止機構150Bは、強い曲げ応力がコード141aにかかるのを、実施形態1に係る捻れ防止機構150よりも、さらに回避することができる。その結果、捻れ防止機構150Bは、コード141aの寿命が短くなるのを、実施形態1に係る捻れ防止機構150よりも、さらに抑制することができる。
しかも、捻れ防止機構150Bは、部品点数の少ない、簡素な構成となっており、これにより、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならないという要望を満たす構成になっている。
以上の通り、本実施形態3に係るATM1Bによれば、捻れ防止機構150Bを有しているため、実施形態1に係るATM1と同様に、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
[実施形態4]
以下、図6を参照して、本実施形態4に係る自動取引装置(以下、「ATM1C」と称する)の捻れ防止機構(以下、「捻れ防止機構150C」と称する)の構成につき説明する。図6は、実施形態4に係る自動取引装置の捻れ防止機構の構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態4に係るATM1Cは、実施形態1に係るATM1と比較すると、捻れ防止機構150の代わりに、捻れ防止機構150Cを有する点で相違している。
捻れ防止機構150Cは、実施形態1の捻れ防止機構150と同様に、捻れ防止機構150Cと巻取口143aとの間のコード141aの撓みを制限することによって、コード141aの捻れを防止する機構である。
捻れ防止機構150Cは、コード141aを挟み込む複数の捻れ防止用接触部材によって構成されている。ここでは、捻れ防止用接触部材が2つの捻れ防止用シャフト(以下、「捻れ防止用シャフト156a,156b」と称する)によって構成されている場合を想定して説明する。
捻れ防止用シャフト156aは、外周面がコード141aの第1主平面146aと接触する接触部材である。一方、捻れ防止用シャフト156bは、外周面がコード141aの第2主平面146bと接触する接触部材である。捻れ防止用シャフト156aは、特許請求の範囲に記載された「第1幅広面側の接触部材」に対応し、一方、捻れ防止用シャフト156bは、特許請求の範囲に記載された「第2幅広面側の接触部材」に対応する。
捻れ防止用シャフト156a,156bは、それぞれ、円筒形に形成されている。捻れ防止用シャフト156a,156bは、それぞれ、コード口123と巻取口143aとの間の、直線L1(図2A参照)から外れた位置に、互いの軸の中心が距離L3だけずれて配置されている。なお、距離L3は、コード141aの塑性変形による捻れを解消できるように、実験によって求めるとよい。
このようなATM1Cの捻れ防止機構150Cは、捻れ防止用シャフト156a,156bが、捻れ防止機構150Cと巻取口143aとの間で、コード141aの第1主平面146a及び第2主平面146bと2箇所で接触して、コード141aの撓みを制限する。これにより、ATM1Cは、巻取口143aに進入するコード141aの塑性変形による捻れを防止する。
そのため、ATM1Cは、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、ATM1Cは、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
しかも、捻れ防止機構150Cは、部品点数の少ない、簡素な構成となっており、これにより、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならないという要望を満たす構成になっている。
以上の通り、本実施形態4に係るATM1Cによれば、捻れ防止機構150Cを有しているため、実施形態1に係るATM1と同様に、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
[実施形態5]
以下、図7を参照して、本実施形態5に係る自動取引装置(以下、「ATM1D」と称する)の捻れ防止機構(以下、「捻れ防止機構150D」と称する)の構成につき説明する。図7は、実施形態5に係る自動取引装置の捻れ防止機構の構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態5に係るATM1Dは、捻れ防止機構150Dが以下のような構成になっている。すなわち、捻れ防止機構150Dは、ハンドセット130のコネクタ135が、突出して形成されている。また、ハンドセット装着部120が、コード141aとともに、ハンドセット130のコネクタ135を内部に収納する凹部122を備えている。また、コード口123が、ハンドセット装着部120の凹部122の底面に形成されている。さらに、コード巻取部140は、巻取口143aがそのコード口123と対向するように配置されている。
なお、図7に示す例では、コード巻取部140は、巻取口143aがコード口123から距離L4だけ離間した位置になるように、配置されている。また、巻取口143aは、好ましくは、コネクタ135(厳密には、コネクタ135から引き出されているコード141の根元部分の中央)とコード口123(厳密には、その中央)とを結ぶ直線L2の上に配置されるとよい。
ATM1Dは、例えば、特許文献2に記載された電話機と比較すると、以下のような利点を有している。
例えば、特許文献2に記載された電話機は、ハンドセットが電話機に装着された状態において、コードが電話機の外部に引き出されている。そのため、特許文献2に記載された電話機は、コードに撓みが生じる。このような特許文献2に記載された電話機には、コードをコード巻取部の方向に向けて誘導するという思想、及び、コード口と巻取口との間で、コードを撓み難くし、これにより、巻取口に進入するコードの捻れを防止するという思想が存在しない。そのため、特許文献2に記載された電話機は、コードが損傷する可能性がある。
これに対して、本実施形態5に係るATM1Dは、ハンドセット装着部120の凹部122がコード141aとともに、ハンドセット130のコネクタ135を内部に収納することにより、コード141aをコード巻取部140の方向に向けて誘導するとともに、コード口123と巻取口143aとを対向させることにより、コード口123と巻取口143aとを近接させて、巻取口143aに対するコード141aの撓み角をα1,α2に制限している。これにより、このATM1Dは、巻取口143aに進入するコード141aの塑性変形による捻れを防止する。なお、「α1」は、巻取口143aに対する第1主平面146a方向のコード141aの撓み角(すなわち、巻取口143aの中心に対するコード口123の左端部とコード口123の中心とでなす角度)の限界値を表している。また、「α2」は、巻取口143aに対する第2主平面146b方向のコード141aの撓み角(すなわち、巻取口143aの中心に対するコード口123の右端部とコード口123の中心とでなす角度)の限界値を表している。
そのため、ATM1Dは、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、ATM1Dは、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
しかも、捻れ防止機構150Dは、部品点数の少ない、簡素な構成となっており、これにより、保守時に、重要度の高い構成要素の保守の障害にならないという要望を満たす構成になっている。
以上の通り、本実施形態5に係るATM1Dによれば、捻れた状態のコード141aが巻取口143aで詰まったり巻取口143aを越えてコード巻取部140の内部に進入したりするのを防止することができる。その結果、コード141aが捻れて巻取口143aに引っ掛かるのを防止することができ、これにより、コード141aが損傷(延びたり、断線したり)するのを防止することができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、第4実施形態に係るATM1Cは、以下に説明する第1変形例や第2変形例のように変形することができる。ここでは、第1変形例に係るATMを「ATM1Ca」と称し、また、第2変形例に係るATM1Cを「ATM1Cb」と称して説明する。
(第1変形例)
以下、図8Aを参照して、第1変形例に係るATM1Caの構成につき説明する。図8Aは、第1変形例に係る自動取引装置の構成を示す図である。
図8Aに示すように、第1変形例に係るATM1Caは、第4実施形態に係るATM1Cと同様に、捻れ防止機構150Cを有している。ATM1Caは、巻取口143aがコード口123と対向するように、コード巻取部140が配置されている。捻れ防止機構150Cは、その巻取口143aとコード口123との間に配置されている。
このようなATM1Caによれば、実施形態4に係るATM1Cと同様の効果を得ることができる。
しかも、ATM1Caによれば、捻れ防止機構150Cが巻取口143aとコード口123との間に配置されているため、コード巻取部140を、コード141aの第1副平面147a及び第2副平面147bと平行な図示せぬ平面に沿って傾斜して配置させることができる。そのため、ATM1Caによれば、コード巻取部140が周囲のユニットの邪魔にならないように、効率よくコード巻取部140を配置させることができる。
(第2変形例)
以下、図8Bを参照して、第2変形例に係るATM1Cbの構成につき説明する。図8Bは、第2変形例に係る自動取引装置の構成を示す図である。
図8Bに示すように、第2変形例に係るATM1Cbは、実施形態4に係るATM1Cと同様に、捻れ防止機構150Cを有している。さらに、ATM1Cbは、方向変換機構160を有している。
方向変換機構160は、コード141aを捻るように、コード141aの傾き方向を変換する機構である。方向変換機構160は、コード口123と捻れ防止機構150Cとの間に配置される。
なお、コード巻取部140は、方向変換機構160によって変換されたコード141aの傾き方向に一致するように、傾斜して配置される。図8Bに示す例では、コード巻取部140は、横置きに配置されている。
また、捻れ防止機構150Cは、傾斜して配置されたコード巻取部140の巻取口143aの傾き方向に一致するように、傾斜して配置される。図8Bに示す例では、捻れ防止機構150Cは、横置きされたコード巻取部140に合わせて、横置きに配置されている。
このようなATM1Cbによれば、実施形態4に係るATM1Cと同様の効果を得ることができる。
しかも、ATM1Cbによれば、方向変換機構160がコード口123と捻れ防止機構150Cとの間に配置されているため、コード巻取部140を、横方向に傾斜して配置させることができる。そのため、ATM1Cbによれば、コード巻取部140が周囲のユニットの邪魔にならないように、第1変形例に係るATM1Caよりもさらに効率よくコード巻取部140を配置させることができる。