JP5463833B2 - 固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法ならびに膜電極接合体の製造方法および膜電極接合体 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法ならびに膜電極接合体の製造方法および膜電極接合体 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法および固体高分子型燃料電池用電極触媒層とそれを用いた固体高分子型燃料電池に関するものである。
燃料電池は水素、酸素を燃料として、水の電気分解の逆反応を起こさせることにより電気を生み出す発電システムである。これは、従来の発電方式と比較して高効率、低環境負荷、低騒音といった特徴を持ち、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。中でも室温付近で使用可能な固体高分子型燃料電池は車載用電源や家庭用定置電源などへの使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。
燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度、ガス利用率、耐久性の向上、コスト削減などが挙げられる。出力密度、ガス利用率を向上させるためには、燃料ガス、プロトンの供給が十分であり、かつ触媒電極中での酸化還元反応サイトの表面積をより大きくする必要がある。コスト削減のために最も要求されているのは、電極に触媒として使用されている白金の使用量の低減である。
固体高分子型燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、酸化極と還元極の二つの電極で固体高分子電解質膜を挟んで接合した膜・電極接合体を、ガス流路を有するセパレータで挟んだ構造をしている。酸化極では水素ガスの酸化、還元極では水素イオンの還元がそれぞれ起こる。この酸化還元反応は、電極内部において、電子伝導体であるカーボン粒子と、プロトン伝導体の両方に接し、かつ導入ガスが吸着しうる触媒の表面でのみ起こる。酸化還元反応が起こるこの部分は、三相界面と呼ばれている。この三相界面の面積が大きく、かつ三相界面へのプロトン、燃料ガスの供給パスを満足させることが、単セルの出力密度、ガス利用率の向上へとつながる。
このためには触媒層中のガスの拡散性や発生した水の排水性、プロトン伝導性高分子の含水率およびプロトン伝導性などを向上させる必要がある。また、三相界面ではないところに存在する白金触媒粒子は、電極の酸化還元反応に寄与しないため、全く機能しないことになる。白金使用量を低減させるためには、この機能しない白金の量をできるだけ減らし、使用した白金の有効利用率を高める必要がある。
従来、触媒層は、触媒担持カーボンとプロトン伝導性高分子と溶媒を混同したインクを各種塗布法やスクリーン印刷法などで基材上に形成することが多かった。この場合、塗工された触媒インクを乾燥させる際に触媒担持カーボンの凝集が起こりやすく、その結果、触媒とプロトン伝導性高分子との界面が減ったり、触媒層における空隙率が低下して燃料ガスの経路が遮断されたりして、セルの出力密度が低下するなどの傾向が見られた。
そこで、触媒担持カーボンの凝集を防ぎ三相界面を増やすために凍結乾燥を用いる試みがなされている(たとえば、特許文献1、2参照)。凍結乾燥は、水を含んだ材料を凍結し真空下で氷を昇華させることにより乾燥を行うもので、凍結乾燥後の材料は凍結した際の形状を保つことができ、従来は食品工業における保存食品製造や医学・薬学分野において利用されている乾燥方法である。特許文献1は、触媒担持カーボンとプロトン伝導性高分子と溶媒を混合したインクを凍結乾燥した後に熱処理を行い粉砕して触媒層構成粉末を得、その粉末をシート化することで触媒層を得るものである。しかしながら、特許文献1による方法では、反応点は増大してもプロトン伝導性高分子によるプロトン伝導パスの形成が不十分であり、プロトン伝導性の低下により触媒層抵抗が大きくなるために発電性能がそれほど伸びない懸念がある。また、特許文献2は、触媒担持カーボンとプロトン伝導性高分子と溶媒を混合したインクを凍結乾燥したものに溶媒を添加して再インク化し塗布することで触媒層を得るものである。特許文献2による方法では、再インク化の際の分散混合によりプロトン伝導性高分子の吸着が剥がれて触媒担持カーボンの凝集が起こったり、ガスチャネルとなる空孔が潰れたりして発電特性はやはりそれほど向上しない。
特開平8−185865号公報 特開2003−86190号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、固体高分子型燃料電池を得るに際して、凍結乾燥法を用いて、ガスチャネル、プロトン伝導パス、三相界面の全てを増大させることができる固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法および固体高分子型燃料電池用電極触媒層を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、(1)プロトン伝導性高分子を含む分散液を基材表面に塗布し溶媒が乾燥する前に凍結させ真空下で乾燥する工程と、(2)前記工程(1)で得たプロトン伝導性高分子の多孔膜に、触媒担持カーボンの分散液を含浸させ乾燥させる工程と、(3)前記工程(2)で得たプロトン伝導性高分子の多孔膜の細孔に触媒担持カーボンを含浸させた中間体に、プロトン伝導性高分子の分散液を含浸させ乾燥させる工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法である。
また、請求項2に記載の発明は、高分子電解質膜と前記高分子電解質膜を狭持した一対の電極触媒層とからなる膜電極接合体の製造方法であって、請求項1に記載の製造方法により得られた電極触媒層を少なくとも前記高分子電解質膜のカソード側に配置して、前記高分子電解質膜のガラス転移点である温度下で加圧することにより密着させることを特徴とする膜電極接合体の製造方法である。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の製造方法により得られた膜電極接合体である。
請求項1に係る発明によれば、プロトン伝導性高分子から成る多孔体を得ることができ、これに触媒担持カーボンとプロトン伝導性高分子の分散液を含浸させることにより、プロトン伝導性高分子から成る多孔体の表面にプロトン伝導性高分子でコートされた触媒担持カーボンが吸着し、ガスチャネル、プロトン伝導パス、三相界面の全てが増大した固体高分子型燃料電池用電極触媒層を製造することができた。
請求項2に係る発明によれば、ガスチャネル、プロトン伝導パス、三相界面の全てが増大し、発電性能が向上した膜電極接合体を製造することができた。
請求項3に係る発明によれば、ガスチャネル、プロトン伝導パス、三相界面の全てが増大した電極触媒層を用いたことにより、燃料電池の発電性能を向上させることができた。
本発明の製造方法による電極触媒層の各工程での様態変化の模式断面図である。 本発明の電極触媒層の三相界面の模式図である。 本発明の電極触媒層を用いた膜電極接合体の模式断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。lang=EN-US> 本発明は、触媒担持カーボン、プロトン伝導性高分子を含む固体高分子型燃料電池用電極触媒層を得るに際して、プロトン伝導性高分子を含む分散液を基材表面に塗布し溶媒が乾燥する前に凍結させ真空下で乾燥することによりプロトン伝導性高分子多孔体を得、該プロトン伝導性高分子多孔体に触媒担持カーボンの分散液を含浸させ乾燥させることで、細孔の表面に触媒担持カーボンが付着した中間体を得、さらに前記中間体にプロトン伝導性高分子の分散液を含浸させ乾燥させることにより、ガスチャネル、プロトンパス、三相界面を効率的に形成するものである。
本発明で用いる触媒としては白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属またはこれらの合金、または酸化物、複酸化物、炭化物などが使用できる。
またこれらの触媒の粒径は、大きすぎる場合、触媒の質量あたりの比表面積が低下し、その結果、触媒の単位質量当たりの得られる電流値が小さくなる。逆に小さすぎる場合は、触媒の安定性が低下するため、0.5〜50nmが、好ましく、更に好ましくは1〜5nmである。
本発明で用いるこれらの触媒を担持するカーボンは、微粉末状で導電性を有し、触媒に侵されないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレンが好ましく使用できる。
カーボンの粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると触媒層のガス拡散性が低下したり触媒の利用率が低下したりするため、10〜1000nm程度が好ましく、更に好ましくは10〜100nmが良い。
プロトン伝導性高分子には様々なものが用いられるが、高分子電解質膜と電極の界面抵抗や、湿度変化時の電極と電解質膜における寸法変化率の点から考慮すると、使用する電解質膜と触媒層中のプロトン伝導性高分子は同じ成分であるのが良い。
本発明の膜電極接合体に用いられるプロトン電導性高分子としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等を用いることができる。中でも、高分子電解質膜としてデュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。
本発明で分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子やプロトン伝導性高分子を浸食することがなく、流動性の高い状態でプロトン伝導性高分子を溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はない。溶媒にはプロトン伝導性高分子となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、プロトン伝導性ポリマーが分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
工程(2)で触媒担持カーボンを分散する溶媒および工程(3)でプロトン伝導性高分子を分散する溶媒については、揮発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましいが、溶剤として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。
揮発性の液体有機溶媒は特に限定されるものではないが、具体的には、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2‐ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどの極性溶剤などを挙げることができる。
これらは単独で使用することもできるが、これらの溶剤のうち二種以上を混合させたものも使用できる。
分散処理は、様々な装置を用いて行うことができる。例えば、ボールミル、ロールミル、せん断ミル、湿式ミル、超音波分散処理などが挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザーなどを用いてもよい。
図1は、本発明の製造方法による電極触媒層の工程ごとの様態変化の模式断面図である。プロトン伝導性高分子多孔体10は、プロトン伝導性高分子を含む分散液を基材12の表面に塗布し溶媒が乾燥する前に凍結し真空乾燥することにより得られる。
図1(a)は、プロトン伝導性高分子を含む分散液を基材12の表面に塗布し溶媒が乾燥する前に凍結させた状態を示す。凍結した溶媒11は、実際にはプロトン伝導性高分子を分散していた状態のまま三次元的に連続して存在している。
図1(b)は、図1(a)に示される状態からさらに真空下で乾燥した状態を示し、凍結した溶媒11のあった部分から溶媒が昇華して空孔13となった。
図1(c)は、プロトン伝導性高分子多孔体10に、触媒担持カーボンの分散液を含浸させ乾燥させる工程およびプロトン伝導性高分子の分散液を含浸させ乾燥させる工程を経た状態を示す。これらの工程によってプロトン伝導性高分子多孔体10の表面に触媒担持カーボンとプロトン伝導性高分子が吸着し、三相界面を有する部分14が形成された電極触媒層1が得られる。実際にはプロトン伝導性高分子多孔体10および空孔13は三次元的に連続して存在しているため、三相界面を有する部分14も同様に三次元的に連続して存在している。
図2は、本発明の電極触媒層の三相界面の模式図であり、図1(c)に示す三相界面を有する部分14を詳細に示したものである。工程(2)で触媒担持カーボンを分散している溶媒がプロトン伝導性高分子多孔体の表面を適度に溶かすため、触媒粒子15を担持したカーボン粒子16はプロトン伝導性高分子多孔体10に一部埋まって固定される。さらにこれを工程(3)でプロトン伝導性高分子17により包埋することで、三相界面とプロトンパスが形成される。
図3は、本発明の電極触媒層を用いた膜電極接合体の模式断面図である。基材12の表面に形成された電極触媒層1を高分子電解質膜18に配置して、ホットプレスすることにより電極触媒層1を高分子電解質膜18に密着させる。密着後は、基材12を電極触媒層1から剥離して膜電極接合体19を得る。
なお、本発明の電極触媒層は高分子電解質膜のアノード側、カソード側両方に配置することができるが、カソード側に配置することがより好ましい。カソード側に配置することで、発電効率を高め、更に、生成水が詰まって細孔が塞がることによる電圧低下を抑制することができる。
本発明で使用される基材12は、例えばエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの転写性に優れたフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレートなどの高分子フィルムも用いることができる。
基材12がガス拡散電極の場合、ホットプレス後に基材であるガス拡散層を剥離する必要は無い。ガス拡散層としては、通常の燃料電池に用いられているものを用いることができる。具体的にはガス拡散層としてはカーボンクロス、カーボンペーパー、不織布などのポーラスカーボン材を用いることができる。ガス拡散層と電極触媒層の間に目止め層を形成させたものでもよい。目止め層は、触媒インクがガス拡散層の中に染み込むことを防止する層であり、その塗布量が少ない場合でも目止め層上に堆積して三相界面を形成する。このような目止め層は、例えばカーボン粒子とフッ素系樹脂を混練してフッ素系樹脂の融点以上の温度で焼結させることにより形成することができる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が利用できる。
ホットプレス工程で電極触媒層にかかる圧力は、膜電極接合体の電池性能に影響する。電池性能の良い膜電極接合体を得るには、基材12およびプロトン伝導性高分子多孔体10にかかる圧力Aは、0.5 MPa≦A≦20 MPaであることが望ましく、より望ましくは2 MPa≦A≦15 MPaである。これ以上の圧力では電極触媒層が圧縮されすぎ、またこれ以下の圧力では電極触媒層と高分子電解質膜の接合性が低下して、電池性能が低下する。
膜電極接合体へのしわ発生には、ホットプレス工程での高分子電解質膜の部分にかかる圧力Bが影響する。Bが小さくAとの差が大きくなると、高分子電解質膜の部分にしわが発生しやすくなる。Bは、Bに対するAの割合A/Bで規定でき、1<A/B≦3であることが望ましい。より望ましくは1<A/B≦2である。
上記の圧力条件は、適切な圧縮率を持つ緩衝材を用いることで再現できる。緩衝材はホットプレスにかける積層体のすべてを覆う大きさであるとよい。また厚み方向に加圧されると加圧方向と平行な向きに圧縮されるものがよい。
ホットプレスの温度は、高分子電解質膜および電極触媒層のプロトン電導性高分子のガラス転移点付近に設定するのが高分子電解質膜と電極触媒層の界面の接合性が向上し、界面抵抗を抑えられる点で効果的であり、100℃以上であることが望ましい。
(実施例)
〈転写シートの作製〉
市販のプロトン伝導性高分子(ナフィオン:Nafion, デュポン社の登録商標)溶液をETFEシートに塗布し、溶媒が乾燥する前に液体窒素に浸して凍結させた。これを融解しないうちに凍結乾燥機(東京理化器械株式会社製FD−81−TA)で乾燥して、プロトン伝導性高分子多孔体シートを得た。一方で、白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と水、エタノールの混合溶媒を混合し、遊星型ボールミルで分散処理を行い、触媒担時カーボンの分散液を調製した。前記のプロトン伝導性高分子多孔体シートを触媒担時カーボンの分散液に浸漬した後、減圧乾燥にて溶媒を除去し、中間体を得た。続いてこの中間体を市販のプロトン伝導性高分子(ナフィオン:Nafion, デュポン社の登録商標)溶液に浸漬し、80℃のオーブンで乾燥させ、電極触媒層の転写シートを得た。
〈ホットプレス〉
電極触媒層の転写シートを正方形に打ち抜き、高分子電解質膜(ナフィオン212:登録商標、Dupont社製)の両面に対面するように転写シートを配置し積層体とし、120℃、60kgf/cm 、30分の条件でホットプレスを行い、接合・積層して、図3に示す膜電極結合体を得た。
〈評価1〉
作製した膜電極接合体の発電性能測定を行った。
反応ガス流通用のガス流路を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路を備えた導電性でかつガス不透過性の材料よりなる一組のセパレータにより、作製した膜・電極接合体を挟持して、ボルトで両極を締め付けたものを測定セルとして用いた。
評価条件はセル温度80℃、反応ガスは酸化極が水素、還元極は空気とした。また反応ガスの相対湿度は30%および100%とした。電圧が0.7Vと0.3Vのときの電流密度により性能の評価を行った。
〈評価2〉
評価1で用いた測定セルを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行った。
評価条件はセル温度80℃、酸化極に水素ガス、還元極に窒素ガスを流し、反応ガスの相対湿度は30%および100%とした。性能の評価は、水素の酸化脱離のピーク電荷量Q値により行った。
(比較例)
〈転写シートの作製〉
白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液(ナフィオン:登録商標、Dupont社製)を、水、エタノールの混合溶媒で混合し、遊星型ボールミルで分散処理を行い、触媒インクを調製した。ETFEシートを基材として触媒インクを塗布し、80℃のオーブンで乾燥させ、転写シートを作製した。
〈ホットプレス〉
実施例と同様にして膜電極結合体を得た。
〈評価1〉
実施例と同様にして発電性能測定および性能の評価を行い、比較を行った。
〈評価2〉
実施例と同様にして発電性能測定および性能の評価を行い、比較を行った。
実施例においては凍結乾燥して得たプロトン伝導性高分子多孔体を用いていることによりプロトン伝導パスが良好に形成されているため、相対湿度が低い場合にも高い電流密度が得られ、発電性能が優れていた。また、凍結乾燥して得たプロトン伝導性高分子多孔体を用いていることによりガスチャネルおよび生成水の抜け道が良好に形成されているため、相対湿度が高い場合にも水詰まりによる発電性能低下を生じていない。さらに、実施例においてはQ値が高く、三相界面が良好に形成されていることが示唆されている。
本発明の電極触媒層はガスチャネル、プロトン伝導パス、三相界面の全てが高効率で形成されており、本発明の電極触媒層を用いた固体高分子燃料電池は発電性能が良好である。したがって、本発明は高分子電解質膜を用いた燃料電池、特に定置型コジェネレーションシステムや電気自動車などに好適に用いることができる。さらに、三相界面の面積が大きくなり、かつ三相界面へのプロトン、燃料ガスの拡散性や発生した水の排水性が向上し、ガス利用率の向上へとつながるため、単セルの出力密度が向上し、白金の有効利用率が高められる。つまり白金使用量を低減させることが可能となりコスト削減が可能であるため、産業上の利用価値が大きい。
1…電極触媒層
10…プロトン伝導性高分子多孔体
11…凍結した溶媒
12…基材
13…空孔
14…三相界面を有する部分
15…触媒粒子
16…カーボン粒子
17…プロトン伝導性高分子
18…高分子電解質膜
19…膜電極接合体

Claims (3)

  1. (1)プロトン伝導性高分子を含む分散液を基材表面に塗布し溶媒が乾燥する前に凍結させ真空下で乾燥する工程と、
    (2)前記工程(1)で得たプロトン伝導性高分子の多孔膜に、触媒担持カーボンの分散液を含浸させ乾燥させる工程と、
    (3)前記工程(2)で得たプロトン伝導性高分子の多孔膜の細孔に触媒担持カーボンを含浸させた中間体に、プロトン伝導性高分子の分散液を含浸させ乾燥させる工程と
    を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  2. 高分子電解質膜と前記高分子電解質膜を狭持した一対の電極触媒層とからなる膜電極接合体の製造方法であって、
    請求項1に記載の製造方法により得られた電極触媒層を少なくとも前記高分子電解質膜のカソード側に配置して、前記高分子電解質膜のガラス転移点である温度下で加圧することにより密着させることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法により得られた膜電極接合体。
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