JP5461875B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
トレッド部を強化して、トレッド部の突起入力に対する破壊耐久性を向上するための従来技術として、カーカス、ベルト、キャップなどのトリート部材の強力を向上させることが挙げられる。具体的に、トリート部材の強力を向上させるためには、トリート部材のコード強力の増加、コードの打ち込み数(密度)の増加、トリートの枚数の増加といった手法がとられてきた。
そこで、本発明の目的は、タイヤの重量を大幅に増加させることなく、トレッド部の突起入力に対する破壊耐久性を改良した空気入りタイヤを提供することにある。
(1)1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に、少なくとも2層のベルトおよびトレッドを具えるタイヤにおいて、
タイヤ赤道部における前記ベルトと前記カーカスとの間のゲージ(厚さ)が、前記ベルト端部における前記ベルトとカーカスとの間のゲージ(厚さ)対比150〜200%に設定され、前記ベルトと前記カーカスとの間のゴムのゴム弾性率は、前記カーカスのコード被覆ゴムのゴム弾性率と同等であって、前記ベルトのコード被覆ゴムの弾性率よりも低い
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
図1に本発明の空気入りタイヤの幅方向断面図を示す。本発明のタイヤ1は、1対のビードコア2間でトロイド状に延びる1層のカーカス3を骨格とし、このカーカス3の径方向外側に、複数本のコードをゴムで被覆したベルト層の少なくとも2層、図示例で第1ベルト層4a、第2ベルト層4bの2層からなるベルト4を具え、このベルト4の径方向外側にトレッド5を配置してなる。
なお、図示例では、ベルト4の径方向外側に、タイヤ赤道面CLに沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆してなる、ベルト4の幅方向全体を覆う第1ベルト補強層6aと、ベルト端を補強するベルト補強層6bとをさらに具えているが、これらのベルト補強層6a、6bは省略することも可能である。
プランジャーエネルギー試験は、JIS D4230に準拠したものであり、図2に示すように、タイヤ赤道面に沿ってプランジャーを押し付けていったときのプランジャーを押し付ける荷重と変位とを掛け合わせた値である、プランジャーエネルギー(PE)を測定する試験である。通常、プランジャーを押し付けていくと、まず、強力が劣るカーカスコードが破断し、その後、ベルトのコードが破断する結果、プランジャーがトレッド面を突き破り、空気入りタイヤの破壊に至る。
本発明者らは、上記1)の場合を防ぐために、強力が劣るカーカスコードへの引張りの対策に注目した。カーカスを2層から構成(2プライ化)すると、タイヤ重量が大幅に増加するため好ましくないことから、カーカスを強化するために突起入力が大きいトレッドセンター部のゴムゲージ(ベルト4とカーカス3との間のゲージ)を厚くして、カーカス3を補強するのが有効であることに想到した。すなわち、プランジャーを押し込んだとき、トレッドセンター部のゴムがせん断変形するため、この部分のゴムが厚いほど、カーカスコードの伸びは小さくなり、それゆえ、切れにくくなる。すなわち、トリート部材を強化するのではなく、カーカスコードに対する引張りを効果的に分散させることでカーカスコードの破断を防止することができることを知見した。
具体的には、ベルト4とカーカス3との間にスキージゴムを配置することによって、上記ゴムゲージの厚さの調整を達成する。
エンベロープ構造のカーカスは、2プライ構造のカーカスと比較して軽量であり、1プライ・ローターンアップ構造(カーカスの折返し端がビード部に位置する)および1プライ・ハイターンアップ構造(カーカスの折返し端がサイドウォール部に位置する)と比較してカーカス強力が高いという有利な効果がある。また、カーカスの折返し端がタイヤのサイドウォール部に存在しないので、端末のゴム剥離(セパレーション)も回避できる。
なぜなら、層間ゴムをカーカス3のコード被覆ゴムと同等にした場合、ベルト4のコード被覆ゴムと同等にした場合と比較して、プランジャーエネルギーが大きいことが後述する実施例より判明したためである。これは、層間ゴムのゴム弾性率がベルト4のコード被覆ゴムのゴム弾性率より小さいことにより、層間ゴムがエネルギーを吸収しカーカス3に伝えにくくしたためと考えられる。
発明例タイヤ1は、スキージゴムの材質が、カーカスのコード被覆ゴムの材質と同一であり、発明例タイヤ2は、スキージゴムの材質が、ベルトのコード被覆ゴムの材質と同一である。
比較例タイヤは、タイヤ赤道面CLにおけるベルト4とカーカス3との間のゲージG1と、ベルト端部におけるベルト4とカーカス3との間のゲージG2とが同一になるように設定した。
なお、「正規内圧」とは、社団法人日本自動車タイヤ協会が2007年度に発行したJATMA YEAR BOOKにおいて定められた、適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力に対応する空気圧を指す。
本発明によれば、タイヤの重量を大幅に増加させることなく、トレッド部の突起入力に対する破壊耐久性を改良した空気入りタイヤを提供することが可能となった。
2 ビードコア
3 カーカス
4 ベルト
4a 第1ベルト層
4b 第2ベルト層
5 トレッド
6a 第1ベルト補強層
6b 第2ベルト補強層
8 周方向溝
Claims (2)
- 1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に、少なくとも2層のベルトおよびトレッドを具えるタイヤにおいて、
タイヤ赤道部における前記ベルトと前記カーカスとの間のゲージが、前記ベルト端部における前記ベルトとカーカスとの間のゲージ対比150〜200%に設定され、
前記ベルトと前記カーカスとの間のゴムのゴム弾性率は、前記カーカスのコード被覆ゴムのゴム弾性率と同等であって、前記ベルトのコード被覆ゴムの弾性率よりも低い
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記カーカスは、前記1対のビードコア間でトロイド状に延びるカーカス本体部から、前記ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されて、前記ベルトと前記カーカス本体部との間まで延びるカーカス折返し部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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