JP3535880B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP3535880B2
JP3535880B2 JP00992893A JP992893A JP3535880B2 JP 3535880 B2 JP3535880 B2 JP 3535880B2 JP 00992893 A JP00992893 A JP 00992893A JP 992893 A JP992893 A JP 992893A JP 3535880 B2 JP3535880 B2 JP 3535880B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ベルトのショルダー部
の張力をコントロールすることによって車内音即ちロー
ドロイズを低減する空気入りタイヤに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より存在するロードノイズ(車内
音)を低減する方法としては、(1)タイヤのトレッド
ゴムとして低モジュラスのゴムを用いる方法、(2)タ
イヤのショルダー部にレイヤー等を追加してショルダー
部剛性を高める方法、(3)タイヤのカーカス形状を変
えることによってサイド張力を低下させる方法等があ
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
のタイヤのトレッドゴムとして低モジュラスのゴムを用
いるトレッドゴムを軟化させる方法においては摩耗等に
悪影響を及ぼし、また操縦安定性も低下し、悪影響を及
ぼすものであり、また(2)のタイヤのショルダー部に
レイヤー等を追加してショルダー部剛性を高める方法に
おいては、レイヤー等の追加は、タイヤ重量を増加させ
るだけでなく、燃費等にも悪影響を及ぼし、コスト的な
負担も大きくなる。さらに(3)のタイヤのカーカス形
状を変えることによってサイド張力を低下させる方法に
おいては操縦安定性に悪影響を与える等の問題点があっ
た。本発明は、上記のような従来技術では解決できない
問題点を解決するために創案されたものであり、ベルト
の形状、配置構造を変え、ベルトのショルダーの剛性を
高めることによってロードノイズの低減を図ることを目
的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の空気入りタイヤにおいては、一対のビード
間に掛け渡され、かつ、前記ビードの軸方向外側へ巻き
上げて係止されたトロイド状カーカスのクラウン部に、
コードをゴム引きしたベルト層を備え、前記カーカス部
における一方のサイドウォール部から他方のサイドウォ
ール部に至る部分が、同方向の曲率を有するように連続
した円弧状に形成されている空気入りタイヤにおいて、
ベルト層をタイヤ幅方向に連続したベルトで構成すると
共に、タイヤ幅方向端における前記ベルト層とカーカス
との間の距離が、タイヤ幅方向中心部の前記ベルト層と
カーカスとの距離より狭くなるように前記ベルト層を形
成したことを特徴とするものが提供される。 【0005】 【作用】通常、空気入りタイヤは、トレッド部において
タイヤ赤道面付近よりもショルダー部で剛性が低い。そ
こで、トレッド部全体の曲げ剛性を高めるためにショル
ダー部を補強することは前述のとおりであり、それによ
って耐久性を向上させ、操縦安定性をよくすることは周
知のことである。しかし、それをロードノイズの低減と
いう観点からみて、改良を加えたものはあまりみられな
かった。ロードノイズを低減するためにベルトの周方向
の剛性を高める手法として張力を増す方法があるが、通
常はベルト角度を周方向に平行に配置していくことが望
ましい。しかしベルト角度を周方向に近づけると、ベル
トエッジセパレーション等に悪影響を与え易い。 【0006】そこで、本発明の発明者はトレッド部の応
力分布においてタイヤの路面接地側は圧縮領域であり、
カーカスに近い側は引張領域であることからして、ベル
ト端部を圧縮領域から遠ざけ、引張領域に配置すること
によって張力を増加させることに着目し、図1における
ベルトの曲率半径Rを変化させ、張力をコントロールす
る手法を考えた。つまりベルトの曲率半径Rの小さい方
が接地時にショルダー部の周長を短くなり、周方向のベ
ルト張力を増やすことができることを確認した。そのた
めの方法としてカーカスと第1ベルト1Bの間に第1ベ
ルト1Bよりも幅の狭いゴム層7を挿入することによ
り、局部的に曲率半径Rを変化させ、赤道面とショルダ
ー部の第1ベルトとカーカスの高さの比(AH/BH)
を0.5〜2.0まで、0.1きざみで変化させた構造
を作製し、張力の計算を行った所、図2のようになっ
た。そしてAH/BHが1.0以上でショルダー部周方
向張力は急激に増大していることが判明した。 【0007】そこで、AH/BHを1.0〜2.0まで
0.1ステップで変化させ、車内音を測定した所、AH
/BHが1.3のところで車内音が従来例のコントロー
ルタイヤとの対比で0.5dB以上低減できることが確
認でき、その結果、乗員がフィーリングとして感じられ
る差の臨界値は0.5dBであるものと認められたの
で、AH/BH>1.3であれば特にロードノイズが著
しく低減されることが判明したのである。 【0007】 【実施例】以下実施例について図面を参照して説明す
る。図3は従来例を示すコントロールタイヤの断面図
で、図4は本発明の実施例1を示す断面図で、図5は実
施例2を示す断面図で、図6は実施例3を示す断面図で
ある。図3の従来例の空気入りタイヤにおいて左右一対
のビード2,2間にトロイド状カーカス3が掛け渡さ
れ、カーカス3はビート2,2の軸方向外側へ巻き上げ
られて係止されている。ビードの上部にはフィラー4,
4が配設されていて、前記巻き上げられたカーカス3が
その上端辺りで止まっている。クラウン部5のカーカス
3の上面側には第1ベルト1B及び第2ベルト2Bがそ
れぞれ配設されてトレッド部6が形成されている。 【0008】図4に示す本発明の実施例1の空気入りタ
イヤは、ビード2,2及びフィラー4,4が設けられて
おり、左右一対のビード2,2間にトロイド状カーカス
3が掛け渡されそのカーカス3はビードの軸方向外側へ
巻き上げられ、フィラー4,4辺りで係止されている点
では全く同じ構造である。クラウン部6のカーカス3の
上方には、第1ベルト1B、第2ベルト2Bが配設され
ており、カーカス3と第1ベルト1Bの間の中央部に所
定幅のベルトクッションゴム層7が介在している。そし
てそのベルト下クッションゴム層7端において第1ベル
ト1B及び第2ベルト2Bがショルダー部8でカーカス
3に接近するべく屈曲して配置されている。 【0009】第1ベルト1B及び第2ベルト2Bを屈曲
させるために第2ベルト2Bの上面側に硬質ゴム9をさ
らに挿入してベルト1B、2Bを屈曲させるようにして
もよい。このようにしてベルトの剛性、特にショルダー
部における剛性を高めている。その際に、赤道面Cにお
けるカーカス3と第1ベルト1B間の距離をAH、第1
ベルト1B端におけるカーカス3と第1ベルト1B間の
距離をBHとしたとき、前述のようにAH/BH>1.
3のように選択されていることはいうまでもない。次に
図5に示された実施例2では、実施例1とは異なり、カ
ーカス3とベルト1B間に介在するベルト下クッション
ゴム層7は上面が赤道面Cで最大厚でその後外方へ向か
うにしたがってなだらかに弯曲している線と下面が水平
な線からなる翼型断面形状をなしていて、そのようなベ
ルト下クッションゴム層7はカーカス3と第1ベルト1
B間の距離AH、第1ベルト1B端におけるカーカス3
と第1ベルト1B間の距離BHとの比AH/BHがAH
/BH>1.3になるように選定されている。 【0010】図6に示す実施例3においては、上記ベル
ト下クッションゴム層7が断面半円形等の環体のゴム層
より構成され、赤道面C上に1個、その左右に間隔をお
いて1個ずつカーカス3の上側に配設され、その上方に
第1ベルト1B、及び第2ベルト2Bがベルト下クッシ
ョクゴム層7との間で波形状をなして設けられており、
前記同様にカーカス3と第1ベルト1B間の距離AHと
第1ベルト1B端におけるカーカス3と第1ベルト1B
間の距離BHとの比、AH/BHが1.3より大になる
ように設計されている。上記におけるベルト下クッショ
ンゴム層について、その断面形状は板状、半円状等同様
な硬質ゴムのものであればどのようなものであっても構
わない。 【0011】次に、上記従来例(図3)及び実施例1
(図4)のタイヤの構成をタイヤサイズ195/65R
14のタイヤに適用した具体的構造、材料を示すととも
に、その従来例及び実施例の供試タイヤを実車に装着し
てロードノイズ路を走行した試験結果を示すと次のとお
りである。 (I)タイヤの材料構造 (1)実施例1 カーカス:ナイロンコード一層 ベルト:スチールコードをタイヤ赤道面Cに対して20
°傾斜させ、2層の交差積層とする。 (2)従来例 カーカス:ナイロンコード一層 ベルト:スチールコードをタイヤ赤道面Cに対して20
°傾斜させ、2層の交差積層とする。 (II)試験条件 供試タイヤを装着した実車を速度60Km/hで、高さ
平均5mmの突起が多数散在しているロードノイズ路を
走行した。 (III)試験結果 【0012】 車内音:従来例の車内音を0dBにコントロールし、そ
れを基準にして実施例1のAH/BH=1.3, 1.5, 2.0
の構造のタイヤを装着した実車の車内音を計器により前
部右側車内で測定したものである。 (但し、AH:赤道面におけるカーカスと第1ベルト間
の距離、 BH:第1ベルト端におけるカーカスと第1ベルト間の
距離) 上記結果より実施例1において3種のベルト構造の異な
る設計例についての試験から、タイヤのショルダー部の
張力を高めることによって車内音が著しく低減すること
ができることが判明した。 【0014】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明は構成され
ているので、ベルト層とカーカスとの距離をタイヤ幅方
向中心部においてよりも幅方向端において狭く構成する
ことによってタイヤショルダー部の張力を高めることが
でき、その結果、操縦安定性を損うことなく、ロードノ
イズを低減できる等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】タイヤのベルトの曲率半径Rを変化させる説明
図である。 【図2】タイヤの赤道面におけるカーカスと第1ベルト
間の距離AHと第1ベルト端におけるカーカスと第1ベ
ルト間の距離BHの比とショルダー部周方向張力の関係
を示した図である。 【図3】従来例の空気入りタイヤの断面図である。 【図4】本発明の実施例1を示した空気入りタイヤの断
面図である。 【図5】本発明の実施例2を示した空気入りタイヤの断
面図である。 【図6】本発明の実施例3を示した空気入りタイヤの断
面図である。 【符号の説明】 1 空気入りタイヤ 2 ビード 3 カーカス 4 フィラー 5 クラウン部 6 トレッド部 7 ベルト下クッションゴム層 8 ショルダー部 1B 第1ベルト 2B 第2ベルト

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一対のビード間に掛け渡され、かつ、前
    記ビードの軸方向外側へ巻き上げて係止されたトロイド
    状カーカスのクラウン部に、コードをゴム引きしたベル
    ト層を備え、前記カーカス部における一方のサイドウォール部から他
    方のサイドウォール部に至る部分が、同方向の曲率を有
    するように連続した円弧状に形成されている 空気入りタ
    イヤにおいて、 ベルト層をタイヤ幅方向に連続したベルトで構成すると
    共に、 タイヤ幅方向端における前記ベルト層とカーカスとの間
    の距離が、タイヤ幅方向中心部の前記ベルト層とカーカ
    スとの距離より狭くなるように前記ベルト層を形成した
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
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