JP5460291B2 - 有機発光装置の製造方法および有機発光装置 - Google Patents

有機発光装置の製造方法および有機発光装置 Download PDF

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Description

本発明は、面光源として有機層を備えた有機発光装置、すなわち、主として照明を対象とした有機エレクトロルミネッセント(以下、「EL」と略することがある。)装置の製造方法に関する。
有機EL装置を構成する有機EL素子は電気エネルギーを光エネルギーに変換する半導体素子であり、近年、有機EL素子を用いた研究が加速的に行われるようになっている。すでに一部の照明分野では実用化が始まっており、その課題が明確になりつつある。有機EL素子を構成する有機材料等の改良により、素子の駆動電圧が格段に下げられると共に、発光効率が高められている。画像市場でも有機EL素子を表示画面に用いたテレビが発売されている。
さらに、高い輝度を得るために高い電界を加えて電流密度を高めることも行われている。通常電流密度を高めることは熱を発生させることになるため、その影響により、有機薄膜そのものの劣化を促進することが知られている。
有機EL素子は、電圧を印加するために2つ以上の電極を備えているが、少なくとも一方の電極は、素子内で発生する光を外部に取り出す必要があるため、透光性の導電材料が用いられる。透光性の導電材料には、例えば、AgやAu等の金属の極薄膜や、インジウム等をドープした酸化錫やアルミニウム等をドープした酸化亜鉛等の金属酸化物が用いられるが、これらは一般的に透光性を求められない金属電極層と比較して高抵抗である。このため通電時には、熱発生の原因となり、前述したような劣化の原因となるばかりか、発光効率の低下や、輝度分布の拡大等、多くの問題を発生させうる。
特に、大面積の照明に面発光のEL装置を適用する場合には、これらの問題は深刻になり、満足な性能を得るためには何らかの工夫が必要となる。この問題を解決するための有効な手段として、EL素子における透光性の導電性電極層の電気抵抗を下げることが考えられる。
EL素子は、透光性の導電性電極層と導電性電極層との間に接合層があり、順方向に電圧を印加することで電子と正孔を注入し、素子内で再結合させることにより発光するものである。このようなEL素子において、透光性の導電性電極層の電気抵抗が低ければ低いほど、通電時、この膜面方向の電圧降下が小さくなるため、熱発生および輝度分布の低減が可能となる。そこで、電気抵抗が透光性の導電性電極層より小さい導電性電極層を別途、EL素子内に設け、この層と透光性の導電性電極層とを電気的に並列回路を構成するように接続すれば、これらの層の合成抵抗は透光性の導電性電極層単層より低下する。
下記の特許文献1には、第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層が形成され、第2の電極と、発光物質を含む層とに形成された開口部を介して、第1の電極と接続する第3の電極が備えられた照明装置が記載されている。特許文献2では、2回ある開口部の形成工程のうち、1回目の形成工程のみ基板側からレーザー光を照射することにより開口部を設ける、特許文献1に記載の照明装置の作製方法が記載されている。しかしながら、上記文献においては、第2の開口部の形成は、マスクを用いた蒸着あるいはスパッタにより形成されている。第1、第2の開口部の面積は径10μmから500μmであり、第1の開口部は第2の開口部を含有する位置関係にあるため、このようなプロセスでは、薄膜上に一定間隔で連続形成されたドット状の第1の開口部と、第2の開口部用の成膜マスクとを精度よく位置合わせして、絶縁物が第1の開口部の側壁を被覆するように成膜をして、第2の開口部を形成する必要がある。このように薄膜上のドットと成膜マスクの位置合わせは、実際のプロセスでは非常に困難である。また、上記文献において、最終形態の発光状態は、ドット状の開口部が非発光点になるため、発光面全体に一定間隔で非発光点が存在し、意匠性の観点から好ましくない。
以上より、上記方法は所期目的をある程度達成しているといえるが、マスクプロセスが前提となっているため、大面積化にも限界があり、工程が複雑で有効面積のロスも大きいという課題がある。
特開2005−332773号公報 特開2007−287701号公報
有機EL装置の面積を拡大すると透光性の導電性電極層の電気抵抗が問題となって、発熱による発光効率低下や、素子劣化、輝度分布拡大等の問題が顕在化する。そこで、本発明は、上記の透光性の導電性電極層の電気抵抗が主要因となって発生する発熱による劣化や発光効率の低下、輝度分布の拡大等の問題を低減することを目的とする。また本発明は、高性能の照明を対象とした大面積の有機発光装置の製造方法、並びに有機発光装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(a)透光性基板上に、透光性の第1の導電性電極層、有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層を順次形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記積層体層および前記第2の導電性電極層の一部を同時に除去して、前記第1の導電性電極層の一部を露出させる、第1の開口部を設ける工程、(b)前記第2の導電性電極層および前記第1の開口部の上に、絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層を形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記第1の開口部の上にある前記絶縁体含有層の一部を除去して、前記第1の開口部と内接しない位置に、前記透光性の第1の導電性電極層の一部を露出させる、第2の開口部を設ける工程、(c)前記絶縁体含有層および前記第2の開口部の上に、第3の導電性電極層を形成する工程、を含むことを特徴とする有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記透光性の第1の導電性電極層は、電極取り出しのため、少なくとも2以上に分割されることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記分割された透光性の第1の導電性電極層を形成する工程は、前記透光性基板上に第1の導電性電極層を形成し、レーザービームをこの層の側から照射し、その一部を除去することを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記第2の導電性電極層および前記第3の導電性電極層は、分割された異なる前記透光性の第1の導電性電極層と、それぞれ電気的に接続されることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記第1の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に、第1の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成される、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記第2の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に、第2の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成される、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記絶縁体層は、有機化合物であることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記絶縁体層は、[トリス(8−ハイドロキシキノリナート)]アルミニウム(III)、Perylene、4,4'−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)カルシウムを少なくとも1つ含有する、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記絶縁体含有層は、最下位層が前記絶縁体層、最上位層が導電性層であることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記第1の開口部および前記第2の開口部の形状は、直径10μm〜500μmの穴の集合からなる溝状であることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記レーザー光源は、ネオジウムを添加した、YAGまたはYVO4の固体結晶をレーザー媒質とした、パルスレーザーの高調波であることを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記レーザービームの照射はクリーン度の高い、乾燥窒素雰囲気中または大気雰囲気中にて行なうことを特徴とする、前記の有機発光装置の製造方法に関する。
本発明は、前記の製造方法によって製造された有機発光装置に関する。
本発明により、一般的に高抵抗である透光性の導電材料を電極とした高輝度有機EL素子の通電時に発生する熱発生と輝度分布を大幅に抑制し、大面積で信頼性の高い高性能の有機発光装置を提供することが可能となる。
実施例1の製造プロセスを示す有機発光装置の平面模式図である。 実施例1の製造プロセスを示す有機発光装置の断面模式図である。 比較例1の製造プロセスを示す有機発光装置の平面模式図である。 比較例1の製造プロセスを示す有機発光装置の断面模式図である。
本発明が主として対象としているのは、例えばガラスや高分子フィルム等に代表される透光性基板上に一方の電極となる透光性の導電性電極層が形成され、その上に発光層を含む複数の各種有機化合物層と裏面電極層が形成された、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置である。ただし、目的によっては、両面光取出し等へ適用する観点から、裏面電極層として透光性のものが用いられてもよい。
本発明は、前記有機発光装置の製造方法であって、a)透光性基板上に、透光性の第1の導電性電極層、有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層を順次形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記積層体層および前記第2の導電性電極層の一部を同時に除去して、前記第1の導電性電極層の一部を露出させる、第1の開口部を設ける工程、b)前記第2の導電性電極層および前記第1の開口部の上に、絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層を形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記第1の開口部の上にある前記絶縁体含有層の一部を除去して、前記第1の開口部と内接しない位置に、前記第1の導電性電極層の一部を露出させる、第2の開口部を設ける工程、c)前記絶縁体含有層および前記第2の開口部の上に、第3の導電性電極層を形成する工程、を含むことを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。
本発明の主対象となるボトムエミッション型有機EL装置が透光性基板を用いる理由は、発生した光を外部に取り出すためであり、その上に形成される電極層も透光性であることが求められている。ただし、これらは全面にわたって透光性である必要はなく、目的によっては局部的に透光性であればよい。たとえば、特定の形状の領域を発光させてそれを見る人に、信号を認識させるサイネージは、所望の形状の部分だけが透光性であればよい。本発明は、大面積の照明に適用することを主な目的としてなされたものであるが、このような大面積の表示素子に適用することも可能である。また、導電性を補うために透光性導電層の下または上に金属グリッド層を配することもあるが、このような部分透光性の第1の導電性電極層を用いる場合でも本発明を適用することができる。
なお、本発明において「透光性」とは光を透過する性質を有することを意味し、具体的には、発光領域の可視光域(350nm〜780nm)における透過率がおおむね50%を超えていればよい。透光性の第1の導電性電極層(以下、透光性導電層ともいう)としては、例えば、インジウムドープの酸化錫層、インジウムドープの酸化亜鉛層、酸化錫層、酸化亜鉛層が例示されるが、表面抵抗の低さの観点から、インジウムドープの酸化錫層がより好ましい。
透光性の第1の導電性電極層は、大面積基板上に低抵抗な膜を比較的低温で作製できるスパッタ法で形成してもよいし、金属を蒸発源にし、酸素を導入した雰囲気中で反応させる、蒸着法で形成してもよいし、レーザー光でターゲット表面を叩き出して対向する基板上に膜を形成するパルスレーザー堆積法で形成してもよいし、それぞれに適切な形成法を選択すればよい。
前記透光性の第1の導電性電極層上には、有機発光層を含む「積層体層」が形成されうる。ここで、「有機発光層」とは、電界によってホールと電子が注入され、再結合により励起子を生成する層を意味し、公知のものが使用できる。有機発光層の形成は、例えば、低分子有機化合物等の場合は蒸着法で形成してもよいし、高分子有機化合物の場合は印刷等で形成することも可能であり、目的等に応じて適宜選択すればよい。また、前記有機発光層を含む積層体層において、有機発光層以外の層としては、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層等の化合物層が適宜含まれても良い。また、これらの層は多くは接合を成すが、これら化合物層には複数の接合が含まれていてもよいし、これら多接合で良好な性能を得るために電荷発生層等を含んでいてもよい。前記有機発光層を含む積層体層において、有機化合物層の中に一部薄膜のアルカリ金属層を含むこともできるし、無機層を含むこともできる。例えば、小面積で発光が可能な層の組み合わせで構成される積層体層であれば、その大面積化のために本発明が適用できる。また、本発明においては、前記積層体層の形成において、低分子有機化合物等を蒸着法で形成してもよいし、高分子有機化合物の場合は印刷等で形成することも可能であるし、金属層や金属酸化物層はスパッタ等の方法で形成することも可能であり、それぞれに適切な形成法を選択すればよい。
前記有機発光層を含む積層体層上に第2の導電性電極層が形成される。第2の導電性電極層は、透光性基板上に形成された透光性の第1の導電性電極層と合わせて、有機発光層を含む積層体層を挟む一対の電極となる。第2の導電性電極層の具体例としては、例えば、Al、Agなどが例示され、例えば、蒸着、スパッタ等の方法により形成することができる。なお、この第2の導電性電極層は、一般的には透光性基板から光を取り出すボトムエミッション型の有機EL装置を対象とする場合は透光性である必要はないが、目的によっては両面光取出し等へ適用することもできる。その場合は透光性の第2の導電性電極層が用いられることもあり、透光性の第1の導電性電極層にて例示したものが使用できる。
本発明のa)工程では、透光性基板上に、透光性の第1の導電性電極層、有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層を順次形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記積層体層および前記第2の導電性電極層の一部を同時に除去して、前記第1の導電性電極層の一部を露出させ、第1の開口部を設けることを特徴としている。
上記薄膜の除去方法としては、例えば、リフトオフ、RIE(リアクティブイオンエッチング)、フォトリソグラフィー、ウォータージェット、レーザービーム照射、そしてこれらの組み合わせが考えられる。しかし、これらの多くは、加工精度、大面積化、生産性そしてコストに課題を抱えている場合がある。また、前記積層体層および第2の導電性電極層の除去では、露出させる第1の導電性電極層に対する損傷を極小化することが求められる。これらの課題を解決する最適な加工方法が、レーザービーム照射である。
本発明では、前述したような両面光取り出しの場合を除いて、素子全体の低抵抗化のためには、第2の導電性電極層は透光性の導電性電極でないほうが望ましい。特に透光性基板側からの光取り出し強度を高めるためには、反射率の高い第2の導電性電極層を用いることが有効である。一般には、例えば、蒸着法によって形成されるAg等により例示される、可視光が透過しない程度の厚みを持つ反射率の高い金属薄膜、またはそれを含む多層膜が好適に用いられる。このため、レーザービームを第2の導電性電極層側から照射した場合、エネルギー密度が小さい場合は大部分のレーザービームが反射されてしまい、導電性電極層の加熱に有効に働かないため、第2の導電性電極層を除去することができない。さらにレーザービームのエネルギー密度を大きくしていくと、第2の導電性電極層である金属層が溶解することによって反射率が小さくなり、大きなエネルギーを急激に吸収することになる。この場合は、レーザービームのエネルギーによって第1の導電性電極層まで損傷を受け、所望のパターニングができなくなる。すなわち、入射するレーザービームのエネルギー密度を適切に制御することが難しく、事実上適切な加工条件が見出せなくなる。
これに対して、透光性基板側からレーザービームを照射した場合は、透光性基板や第1の導電性電極層での吸収がほとんどないため、エネルギー密度が低い場合でも前記有機発光層を含む積層体層でエネルギー吸収ができ、レーザービーム照射周辺の温度を上昇させ、前記積層体層や第2の導電性電極層を除去することができる。この場合、第2の導電性電極層は必ずしも昇華させる必要はなく、積層体層を除去することでその上に存在するこの層も基板から除去することができる。また、低エネルギー密度でこの除去ができるため、第1の導電性電極層の損傷を回避することができる。すなわち、入射するレーザービームのエネルギー密度を適切に制御することが可能で、適切な加工条件を容易に見出すことができる。
前記第2の導電性電極層および前記第1の開口部の上に、絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層が形成される。前記絶縁体層としては特に制限は無く、例えば、後述する化合物を含有する層が使用できる。絶縁体含有層は、絶縁体層以外に、例えば、導電性層などの層を含んでも良く、必要に応じて適宜使用されうる。
前記絶縁体含有層の形成方法は特に制限されず、例えば、低分子有機化合物等の場合は蒸着法で形成してもよいし、高分子有機化合物の場合は印刷等で形成することも可能である。また金属や金属酸化物はスパッタ等の方法で形成することも可能であり、それぞれに適切な形成法を選択すべきである。
なお、絶縁体含有層の最下位層(第2の導電性電極層側の層)は、第2の導電性電極層と第3の導電性電極層とを電気的に絶縁する観点から、低分子有機化合物あるいは高分子有機化合物の絶縁体層であることが好ましい。一方、絶縁体含有層の最上位層(後述する第3の導電性電極側の層)は金属の導電性電極層でもよい。本発明に係る装置を作製する工程中に有機材料である絶縁体層が吸湿して劣化する場合があるが、絶縁体含有層の最上位層として金属の導電性層を用いれば、これを防ぐことができる。絶縁体含有層としては、絶縁体層と導電性層の2層で構成しても良いし、さらに他の層を含んでもよい。
本発明のb)工程では、絶縁体含有層を形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記第1の開口部の上にある前記絶縁体含有層の一部を除去して、前記第1の開口部と内接しない位置に、前記透光性の第1の導電性電極層の一部を露出させ、第2の開口部を設けることを特徴としている。上記薄膜の除去方法としては、例えば、リフトオフ、RIE(リアクティブイオンエッチング)、フォトリソグラフィー、ウォータージェット、レーザービーム照射、そしてこれらの組み合わせが考えられる。しかし、これらの多くは、加工精度、大面積化、生産性そしてコストに課題を抱えている場合がある。また、絶縁体含有層の除去では、露出させる透光性の第1の導電性電極層に対する損傷を極小化することが求められる。これらの課題を解決する最適な加工方法が、レーザービーム照射である。
本発明においては、第1の開口部と第2の開口部の形成は、ともにマスクを用いたレーザー加工を行うことが好適である。この場合、第1、第2の開口部の面積は各レーザーマスクの透光部の面積で決まり、第1の開口部は第2の開口部を含有する位置関係に設定することができる。また開口部の形状や寸法を目的に合わせて任意に設定することもできる。上記のプロセスでは、第2の開口部を形成する際、特許文献2のように、薄膜上に一定間隔で連続形成されたドット状の第1の開口部と、第2の開口部用の成膜マスクとを精度よく位置合わせして、絶縁物が第1の開口部の側壁を被覆するように成膜をして、第2の開口部を形成する必要がなく、第1の開口部用のレーザーマスクと第2の開口部用のレーザーマスクを位置合わせすればよい。これにより簡単に精度よく、第2の開口部が第1の開口部に含有されるように形成できる。このように、マスク同士の位置合わせは、特に工業的プロセスにおいては非常に容易であり、特許文献2のプロセスと比較してタクトタイムを短くできる利点がある。
ここで、レーザービームは透光性基板側から照射する。この場合、第1の導電性電極層近傍の、絶縁体含有層中の絶縁体層が加熱昇華するため、比較的、第1の導電性電極層に損傷を与えることが少ない低パワーで、透光性の第1の導電性電極層と絶縁体含有層の剥離が起こりうる。多くの場合、それだけでガス化した昇華成分によって、絶縁体含有層の絶縁体層より上にある層は、当該層と一緒に剥離されうる。このため、例えば絶縁体含有層の最上位層が、たとえ金属の導電性電極層であったとしても、レーザービームを透光性基板側から照射することで、除去対象位置にある絶縁体含有層をすべて除去し、第1の導電性電極層を露出することが可能となる。さらに、この加工条件は、a)第1の開口部を設ける工程とほぼ同じであり、加工条件の設定しやすさも、レーザービームの照射が最適な加工方法とされる所以である。
本発明のc)工程において、前記絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層および前記第2の開口部の上に第3の導電性電極層が形成される。第3の導電性電極層としては、例えば、Al、Agなどが例示され、例えば、蒸着法、スパッタ等の方法で形成が可能である。なお、前記絶縁体層が有機化合物である場合、第3の導電性電極層の形成時に、この層の損傷が極小になる方法を選択することが好ましい。
第3の導電性電極層は、前記第2の開口部の底面に露出した透光性の第1の導電性電極層と電気的に接続される。また、第2の導電性電極層と第3の導電性電極層との間には、前記絶縁体含有層が存在するため、第3の導電性電極層は、第2の導電性電極層と電気的に接続されない。
本発明の好ましい態様は、前記透光性の第1の導電性電極層は、電極取り出しのため、少なくとも2以上に分割されることを特徴とする有機発光装置の製造方法である。分割の方法は、例えば、スクリーン印刷、マスクを使った蒸着等のように透光性導電層をパターン化された状態で形成する方法と、透光性導電層を形成後リフトオフ、RIE(リアクティブイオンエッチング)、フォトリソグラフィー、ウォータージェット、レーザービーム照射等によって、選択的に透光性導電層を除去する方法、およびこれらの組み合わせがあげられる。例えば、透光性基板への損傷が極小である、ある程度の加工精度がある、プロセスが簡易である等、いくつかの条件を勘案して上で、一般的に知られている方法でパターンを形成すればよい。ここで重要なのは、透光性の第1の導電性電極層が絶縁体含有層の形成前に、電気的にそれぞれ分離分割されていることである。分割終了時点では、各導電部分内は電気抵抗が低く、互いの導電部分間は電気抵抗が高いことが望ましい。
ただし、上記方法の多くは、加工精度、大面積化、生産性、そしてコストに課題を抱えている場合がある。これらの中で、レーザービーム照射で第1の導電性電極層を分割する方法が、最も合理的といえる。本発明では、前述したようにa)、b)工程において、除去対象層をレーザービーム照射でパターン化することを特徴としているため、それと同等の加工精度を有している手法を用いて第1の導電性電極層を分割することが合理的である。加工精度は、製品の歩留まりや、有効面積等に大きく影響する。それより高い精度は性能を低下させることにはならないが、極端に高精度である必要はなく、コストを高めることは好ましくない。また、同じ手法を用いることにより、工程上のアライメントが大幅に容易になるという利点がある。
本発明の好ましい態様は、前記第2の導電性電極層および前記第3の導電性電極層は、分割された異なる前記透光性の第1の導電性電極層と、それぞれ電気的に接続されることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。各導電性電極層どうしを電気的に接続する方法は、たとえば、前述したように透光性導電層の上に絶縁体層を形成し、レーザービーム照射で絶縁体層に開口部を設け、別の導電性電極層を積層することで開口部に導電性材料を充填し、導通部を形成する方法がある。また、その開口部を介してワイヤボンディングする方法、配線の半田付けなどがある。なお、本発明の製造方法で製造される有機発光装置において、たとえば前記第2の導電性電極層と電気的に接続された透光性導電層を陰極、前記第3の導電性電極層と電気的に接続された透光性導電層を陽極とすれば、両方の電極が透光性導電層上から取り出せ、電極の取り出しが容易になるという利点がある。
本発明の好ましい態様は、前記第1の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に第1の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成されることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。レーザービームの照射によって、除去対象層を選択的に除去する場合、レーザービームは連続発振されるため、遮光マスクを用いて除去対象層の所望領域のみにレーザービームを照射させる必要がある。遮光マスクはフィルムマスク、メタルマスクなどがある。また、a)前記第1の開口部を設ける工程では、レーザービームは前記透光性基板側から照射されるため、遮光性のあるテープなどを透光性基板の表面に貼り付け、透光部を形成する方法もある。遮光マスクは、透光部の加工精度に応じて種類を選択し、レーザービームが入射する側の透光性基板上に配置されうる。レーザービームは、遮光マスクを介して除去対象層を走査し、照射される。
本発明の好ましい態様は、前記第2の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に、第2の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成されることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。前記第2の遮光マスクは、前記第1の遮光マスクで前述したとおりである。なお、前記第1の遮光マスクにある各透光部の中心位置と、前記第2の遮光マスクにある各透光部の中心位置はそれぞれ一致し、各透光部の面積は、前記第1の遮光マスクのほうが前記第2の遮光マスクより大きいことが好ましい。
本発明の好ましい態様は、前記絶縁体層は、有機化合物であることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。なかでも、レーザー加工の観点から、用いるレーザーの波長(好適には532nm、355nm)に合わせて、可視光波長域に吸収を有する有機化合物であることが好ましい。前記絶縁体層は、低分子有機化合物、高分子有機化合物などがあり、低分子有機化合物の場合は蒸着法、高分子有機化合物の場合は印刷等で形成できる。前記絶縁体層の具体例としては、例えば、[トリス(8−ハイドロキシキノリナート)]アルミニウム(III)(以下、Alq3と略す)、Perylene、4,4'−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(以下、α−NPDと略す)、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(以下、CBPと略す)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)カルシウム(以下、Ca(DPM)2と略す)、などが例示される。中でも絶縁抵抗の高さの観点から、Alq3、Perylene、α−NPD、CBP、Ca(DPM)2を少なくとも1つ含有することが好ましい。
本発明の好ましい態様は、前記絶縁体含有層は、最下位層が前記絶縁体層、最上位層が導電性層であることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。本発明において、前記絶縁体含有層を形成する目的は、前記第2の導電性電極層と前記第3の導電性電極層とを電気的に絶縁することである。したがって、少なくとも前記第2の導電性電極層全体を被覆する、前記絶縁体含有層の最下位層は、有機化合物の絶縁体層であることが好ましい。この目的において、前記絶縁体含有層の最上位層は、有機化合物の絶縁体層であっても、導電性層であってもよい。しかしながら、前記絶縁体含有層の最上位層が有機化合物の絶縁体層の場合、安定性の高い金属薄膜層や金属酸化物薄膜層の場合と比べて、湿度や酸素、電子やプラズマによる損傷とそれに伴う温度上昇によって、絶縁体層は劣化しやすい。したがって、前記絶縁体含有層の最上位層は、有機化合物の絶縁体層より導電性層のほうが望ましく、これは本発明において製造される有機発光装置の特性や信頼性を確保するのに有効である。特に、これらの加工雰囲気を十分な低湿度・低酸素濃度条件に維持できない場合はその効果は顕著となる。なお、導電性層は、前記第3の導電性電極層と同種の導電性材料でもよいし、異種の導電性材料でもよい。
本発明の好ましい態様は、前記第1の開口部および前記第2の開口部の形状は、直径10μm〜500μmの穴の集合からなる溝状であることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。除去対象層に形成されるレーザー痕は、シングルモードの場合、レーザーのパワー強度がガウシアン分布をもつため、除去対象層の膜厚方向へ円錐状の穴となる。除去対象層の表面に形成される、その穴の直径は約10μm〜500μmであることが好ましい。レーザービームは、任意設定の加工速度でレーザー光源と前記透光性基板の位置を相対的にずらしながら、加工点に連続照射されうる。よって、除去対象層に形成されるレーザー痕は、加工速度が速い場合、円錐状の穴の間隔が狭くなり、それらの集合からなる溝状となりうる。また、除去対象層の開口部は、前記第1の遮光マスク、前記第2の遮光マスクを用いて、任意の形状に加工することができる。
開口部を形成する目的は、前記第1の導電性電極層と前記第3の導電性電極層とを電気的に接続するためである。前記第2の開口部は、最終的に前記第3の導電性電極層が充填され、導通部となる。導通部の電気抵抗を低くするためには、幾何学的に導通部の長さを短くし、断面積を大きくすればよい。導通部の長さは、薄膜層間に形成されるため、十分に短く、この断面積は開口部を大きく形成すればよい。したがって、前記第1の開口部および前記第2の開口部は、円錐状の穴単体よりも、これらの穴の集合からなる溝状で任意形状に形成するのが望ましい。なお、前記第1の開口部は、前記第2の開口部より面積が大きい。また、特許文献2において、最終形態の発光状態は、ドット状の開口部が非発光点になるため、非発光点が発光面全体に一定間隔で存在することになるが、開口部の形状を溝状にすることで、非発光部が発光面の特定領域に集約され、意匠性が向上する利点がある。
本発明の好ましい態様は、前記レーザー光源は、ネオジウムを添加した、YAGまたはYVO4の固体結晶をレーザー媒質とした、パルスレーザーの高調波であることを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。レーザー光源は、レーザーの波長と除去対象層の吸収波長が一致するように選択すればよい。さらに、本発明のa)、b)工程では、なるべく透光性導電層に損傷を与えないことが望ましい。このため、照射するレーザー光は、前記有機発光層を含む積層体層および前記絶縁体含有層に大きな吸収をもち、透光性導電層での吸収は小さいことが好ましい。
ネオジウムを添加した、YAGまたはYVO4の固体結晶をレーザー媒質とした、パルスレーザーは、広く産業界に普及しており入手が容易であるばかりか、パルス状発振によって短時間ではあるが非常に大きなパワー密度を得ることができ、加工性の高いレーザーである。基本波の波長は1064nmであり、第2高調波の波長は532nm、第3高調波の波長は355nmである。高調波は、前記有機発光層を含む積層体層および前記絶縁体含有層の有機化合物層に大きな吸収があり、ITO(酸化インジウム錫)等の透光性導電材料にほとんど吸収がない。このため、透光性導電層に損傷を与えることなく、前記積層体層や絶縁体含有層を除去することに適している。特に第2高調波は、比較的レーザー光源として広く普及しており製造装置に用いることは好適といえる。
なお、透光性基板上の透光性導電層をレーザービームの照射によって分割する場合は、前記パルスレーザーの基本波を用いればよい。また、前記パルスレーザーの第2高調波でも、透光性導電層に若干の吸収があれば、レーザー光学系の焦点位置をずらし、加工点のエネルギー密度を調整すれば、透光性導電層の分割は可能である。
本発明の好ましい態様は、前記レーザービームの照射はクリーン度の高い、乾燥窒素雰囲気中または大気雰囲気中にて行なうことを特徴とする、有機発光装置の製造方法である。有機化合物層を含む、前記積層体層および絶縁体含有層は、湿度や酸素、電子やプラズマによる損傷とそれに伴う温度上昇によって、劣化しやすい傾向がある。したがって、前記レーザービームの照射はクリーン度の高い、乾燥窒素雰囲気中で行なうことが望ましい。また、前記絶縁体含有層の最上位層が導電性層で被覆された場合は、前述したように、本発明において製造される有機発光装置の特性や信頼性を確保するのに有効であるため、クリーン度の高い、大気雰囲気中で行なってもよい。
本発明は、前記の製造方法によって製造された有機発光装置である。これらの方法で製造した有機発光装置は、大面積であるにもかかわらず発光特性が小面積の装置と比較して大きく低下することはない。
次に、本発明の具体的な実施例およびこれらの実施例に対する比較例の有機発光装置の詳細な製造方法を説明する。
(実施例)
透光性の第1の導電性電極層として、平均膜厚150nmのインジウムドープされた酸化錫(ITO)膜を片面全体にコーティングした、厚さ0.7mmの無アルカリガラスを透光性基板として用いた。
この基板(外形寸法□200mm×200mm)をITO膜が上になるようにXYステージ上に設置し、YAGレーザーの基本波を用いて上面からレーザービームを照射することにより、極力ガラスに損傷がないようにして、ITO膜の一部を図1(A)の模式図に示す形態で除去した。ここでレーザーの発振周波数は15kHz、出力14W、ビーム径は約25μm、加工速度は50mm/秒であった。
この基板を中性洗剤で洗浄した後、150℃で20分加熱乾燥させ、分離したITO部分間の電気抵抗が概ね20MΩ以上であることを確認した。その後、真空蒸着装置を用いて、分離したITO上に低分子有機化合物を主成分とする有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層を順次形成した。
前記積層体層は、ITO上の一層目に発光ユニットを形成するホール注入層として、酸化モリブデンとα−NPDを各蒸着速度0.015nm/秒と0.135nm/秒で真空共蒸着法により、10nmの膜厚で形成した。
ホール輸送層として、α−NPDを真空蒸着法により50nm(蒸着速度0.08nm〜0.12nm/秒)の膜厚で形成した。
発光層は、電子輸送層を兼ねたAlq3を真空蒸着法により70nm(蒸着速度0.25nm〜0.30nm/秒)の膜厚で形成した。
電子注入層として、LiFを真空蒸着法により1nm(蒸着速度0.01nm〜0.05nm/秒)の膜厚で形成した。これら第1の積層体層の形態は図1(B)の模式図に示した。
第2の導電性電極層として、Alを真空蒸着法により150nm(蒸着速度0.30nm〜0.35nm/秒)の膜厚で形成した。この第2の導電性電極層の形態は図1(C)の模式図に示した。
有機化合物層を含む積層体層、第2の導電性電極層が積層されたガラス基板を、第2の導電性電極層が下面になるようにXYステージに設置した。その際、端部4個所でガラス基板を固定し、ガラス基板がXYステージから平行に7mm隔離され、第2の導電性電極層が直接XYステージに接触することのないように配置した。さらに、第1の遮光マスクとして、外形寸法□200mm×200mmの中心に、縦50mm×横165mmの透光部があり、これが上下方向に10cm間隔で3つ並列した、メタルマスクをガラス基板面の上に配置した。
この状態で、YAGレーザーの第2高調波を用いて上面からレーザービームを照射することにより、極力ガラス基板およびITO層に損傷がないようにして、ITO層を除去した溝に平行に、有機発光層を含む積層体層および第2の導電性電極層の一部を同時に連続除去した。ここで、レーザーの発振周波数は5kHz、出力0.4W、ビーム径は約25μm、加工速度は50mm/秒であった。第1の開口部は3×4行列で形成され、開口部は縦50mm×横2mmで、これが1行に50mm間隔で並列し、行間隔は10mmであった。レーザー加工後の形態は図1(D)の模式図に示した。
再度、ガラス基板を真空蒸着機に設置して、絶縁体含有層を形成した。有機化合物の絶縁体層として、Ca(DPM)2を真空蒸着法により1μm(蒸着速度 1nm〜5nm/秒)の膜厚で形成した。さらに、有機化合物層の保護として、Alを真空蒸着法により150nm(蒸着速度0.30nm〜0.35nm/秒)の膜厚で形成した。絶縁体含有層を製膜した形態は図1(E)の模式図に示した。
絶縁体含有層が積層されたガラス基板を、Al層が下面になるようにXYステージに設置した。前記第1の開口部を設ける工程と同様に、端部4個所でガラス基板を固定し、ガラス基板がXYステージから平行に7mm隔離され、絶縁体含有層が直接XYステージに接触することのないように配置した。さらに、第2の遮光マスクとして、外形寸法□200mm×200mmの中心に、縦40mm×横165mmの透光部があり、これが上下方向に20cm間隔で3つ並列した、メタルマスクをガラス基板面の上に配置した。
この状態で、YAGレーザーの第2高調波を用いて上面からレーザービームを照射することにより、極力ガラス基板およびITO層に損傷がないようにして、ITO層を除去した溝と平行に、第1の開口部の内側かつ内接しない位置にある絶縁体含有層の一部を連続除去した。ここで、レーザーの発振周波数は5kHz、出力0.4W、ビーム径は約25μm、加工速度は200mm/秒であった。第2の開口部は3×4行列で形成され、開口部は縦40mm×横1mmで、これが1行に50mm間隔で並列し、行間隔は20mmであった。レーザー加工後の形態は図1(F)の模式図に示した。
再度、ガラス基板を真空蒸着機に設置して、第3の導電性電極層を形成した。第3の導電性電極層として、Alを真空蒸着法により150nm(蒸着速度0.30nm〜0.35nm/秒)の膜厚で形成した。第3の導電性電極層を製膜した形態は図1(G)の模式図に示し、これら一連の製造プロセスを示す有機発光装置の断面模式図は、図2に示した。
第3の導電性電極層が積層されたガラス基板を、第3の導電性電極層が下面になるようにXYステージに設置した。端部4個所でガラス基板を固定し、ガラス基板がXYステージから平行に7mm隔離され、第3の導電性電極層が直接XYステージに接触することのないように配置した。
この状態で、YAGレーザーの第2高調波を用いて上面からレーザービームを照射することにより、極力ガラス基板に損傷がないようにして、ITO層を除去した溝に垂直に、ITO層、有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層、絶縁体含有層、第3の導電性電極層を同時に除去して、有機発光装置を完成させた。ここで、レーザーの発振周波数は5kHz、出力0.4W、ビーム径は約25μm、加工速度は50mm/秒であった。
本発明の製造方法で製造された有機発光装置は、第2の導電性電極層と電気的に接続された透光性導電層を陰極(図1(A)の模式図において分離された透光性導電層の右側部分)、第3の導電性電極層と電気的に接続された透光性導電層を陽極(図1(A)の模式図において分離された透光性導電層の左側部分)として、それぞれ透光性導電層上から両方の電極を取り出し、片側からの給電で、ほぼ均一に発光させることができた。
このように、外形寸法□200mm×200mmの大面積照明用の有機発光装置においても、透光性導電層の電気抵抗による影響を極小化することにより、ほぼ均一に発光できる有機発光装置が、本発明により簡易な工程で提供できる。
(比較例)
実施例1と同様に、平均膜厚150nmのITO膜を片面全体にコーティングした、厚さ0.7mmの無アルカリガラスを透光性基板として用いた。この基板(外形寸法□200mm×200mm)のITO層を化学エッチングにより、図3(A)に示した形状になるように一部を除去した後、中性洗剤で洗浄し150℃で20分加熱乾燥させた。
その後、真空蒸着装置を用いて、パターニングされたITO膜上に実施例1と同じ第1の積層体層を、真空蒸着法にて形成した。有機発光層を含む積層体層の形態は図3(B)の模式図に示した。
さらに、第2の導電性電極層として、Alを真空蒸着法により150nm(蒸着速度0.30nm〜0.35nm/秒)の膜厚で形成した。第2の導電性電極層を製膜した形態は図3(C)の模式図に示し、これら一連の製造プロセスを示す有機発光装置の断面模式図は、図4に示した。
得られた比較例1の有機発光装置は、発光面積が□170mm×170mmで、パターニングされたITOを陽極、Alを陰極として、各電極とも両側からの給電で発光させた。発光状態は、ITOの電気抵抗損の小さい端部では輝度が高く、電気抵抗損の大きな中央部では輝度が急激に低くなっており、実施例の有機発光装置と比較して、大きな輝度分布があった。
1 透光性基板
2 透光性の第1の導電性電極層
3 有機発光層を含む積層体層
4 第2の導電性電極層
5 第1の開口部
6 絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層
7 第2の開口部
8 第3の導電性電極層

Claims (11)

  1. (a)透光性基板上に、透光性の第1の導電性電極層、有機発光層を含む積層体層、第2の導電性電極層を順次形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記積層体層および前記第2の導電性電極層の一部を同時に除去して、前記第1の導電性電極層の一部を露出させる、第1の開口部を設ける工程、
    (b)前記第2の導電性電極層および前記第1の開口部の上に、絶縁体層を少なくとも1層含む絶縁体含有層を形成した後、レーザービームを前記透光性基板側から照射し、前記第1の開口部の上にある前記絶縁体含有層の一部を除去して、前記第1の開口部と内接しない位置に、前記透光性の第1の導電性電極層の一部を露出させる、第2の開口部を設ける工程、
    (c)前記絶縁体含有層および前記第2の開口部の上に、第3の導電性電極層を形成する工程、
    を含むことを特徴とする有機発光装置の製造方法であって、さらに、
    前記透光性の第1の導電性電極層は、電極取り出しのため、少なくとも2以上に分割されることを特徴とする、有機発光装置の製造方法
  2. 前記分割された透光性の第1の導電性電極層を形成する工程は、前記透光性基板上に第1の導電性電極層を形成し、レーザービームをこの層の側から照射し、その一部を除去することを特徴とする、請求項に記載の有機発光装置の製造方法。
  3. 前記第2の導電性電極層および前記第3の導電性電極層は、分割された異なる前記透光性の第1の導電性電極層と、それぞれ電気的に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機発光装置の製造方法。
  4. 前記第1の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に、第1の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成される、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
  5. 前記第2の開口部は、レーザー光源と前記透光性基板の間に、第2の遮光マスクを配置し、パルス状のレーザービームを連続照射して形成される、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
  6. 前記絶縁体層は、有機化合物であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
  7. 前記絶縁体層は、[トリス(8−ハイドロキシキノリナート)]アルミニウム(III)、Perylene、4,4'−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'-ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)カルシウムを少なくとも1つ含有する、請求項に記載の有機発光装置の製造方法。
  8. 前記絶縁体含有層は、最下位層が前記絶縁体層、最上位層が導電性層であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
  9. 前記第1の開口部および前記第2の開口部の形状は、直径10μm〜500μmの穴の集合からなる溝状であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法
  10. 前記レーザー光源は、ネオジウムを添加した、YAGまたはYVO4の固体結晶をレーザー媒質とした、パルスレーザーの高調波であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
  11. 前記レーザービームの照射はクリーン度の高い、乾燥窒素雰囲気中または大気雰囲気中にて行なうことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の有機発光装置の製造方法。
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