JP5460015B2 - 電気自動車制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動モータの動力を駆動輪に伝達して走行することが可能な電気自動車の制御装置に関する。
近年、エネルギ利用効率の改善や環境保護の観点から、電動モータを動力源とした電気自動車の開発が進められている。この電気自動車には、動力源として電動機のみが搭載され、この電動機にバッテリから電気エネルギを供給するようにした車両のほかに、内燃エンジンと電動モータを組み合わせ、内燃エンジンと電動モータの両方を動力源として使用可能にしたパラレル式ハイブリッド電気自動車や、バッテリを充電するための発電機の駆動源として内燃エンジンを用いると共に、電動モータを車両の動力源として用いるシリーズ式ハイブリッド電気自動車も含まれる。これらの電気自動車は、乗用車だけではなく、バスやトラックなど様々な車両に採用されつつある。
これらの電気自動車においては、既に広く普及している内燃エンジンのみを動力源とした車両で自動変速機を搭載した場合と同様に、シフトレバーが走行位置にあれば、アクセルペダルを踏んでいないときにも電動モータにクリープトルクを発生させるクリープ機能を設け、車両を微動させることができるようにする場合がある。
ところで、大量の乗客を搬送可能なバスにおいては、例えばインターロック機構を用いてアクセルペダルを踏み込むことができないようにして、乗客がバスの乗り降りを行っている際に、誤ってアクセルペダルが踏み込まれてもバスが発進することのないようにするのが一般的である。このようなインターロック機構は、例えば特許文献1によって提案されている。この特許文献1のインターロック機構では、バスの乗降用ドアが開いているときに、アクチュエータによりストッパを移動させ、アクセルペダルを固定するようにしている。
上述した電気自動車をバスに採用した場合においても、このようなインターロック機構を設ければ、乗降用ドアが開いているときにアクセルペダルが誤って踏み込まれないようにして、バスの誤発進を防止することができる。
特開平10−264677号公報
しかしながら、上述したようなクリープ機能を有した電気自動車の場合、シフトレバーが走行位置にあるときにはアクセルペダルが踏み込まれていなくても、クリープトルクによって車両が動いてしまう。このため、上述したようなアクセルペダルの誤った踏み込みを防止するインターロック機構を設けていても、乗客がバスの乗り降りを行っているときに、バスの運転者がフットブレーキを解除してしまうとバスが移動してしまうという問題がある。
また、アクセルペダルの誤った踏み込みの防止についても、インターロック機構のような複雑な機構を新たに設けなければならず、車両の構造が複雑化すると共に製造コストも増大するという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複雑な機構を新たに設けることなく、停車中に安全に乗員の乗り降りを可能とする電気自動車の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の電気自動車制御装置は、車両の駆動輪に伝達される動力を発生する電動モータと、上記車両の乗員により操作されて少なくとも走行位置とニュートラル位置とを選択可能なシフトレバーの選択位置を検出するシフトレバー検出手段と、上記車両の乗員により操作されるアクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの選択位置が上記走行位置にあるときには、上記アクセル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量に応じて上記電動モータに動力を発生させる一方、上記選択位置が上記ニュートラル位置にあるときには、上記電動モータが動力を発生しないように、第1制御モードで上記電動モータを制御する制御手段と、上記車両に設けられた乗降用ドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、上記車両に設けられたブレーキ装置の操作状態を検出するブレーキ操作検出手段とを備え、上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって上記乗降用ドアの開状態が検出されているときには、上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの位置にかかわらず、上記電動モータが動力を発生しないように、上記第1制御モードと異なる第2制御モードで上記電動モータを制御し、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化したときに、上記ブレーキ装置が操作されていないことを上記ブレーキ操作検出手段が検出している場合には、引き続き上記第2制御モードで上記電動モータを制御することを特徴とする(請求項1)。
このように構成された電気自動車制御装置によれば、制御手段が第1制御モードで電動モータを制御するときにシフトレバーが走行位置にある場合には、アクセルペダルの操作量に応じて電動モータに動力を発生させる。これにより、電動モータの動力が駆動輪に伝達され、車両が走行する。一方、制御手段が第1制御モードで電動モータを制御するときにシフトレバーがニュートラル位置にある場合には、電動モータが動力を発生しない。但し、車両の乗降用ドアが開いている場合には、第1制御モードと異なる第2制御モードで制御手段が電動モータを制御することにより、シフトレバーが走行位置にあっても電動モータは動力を発生しない。
従って、車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開いているときには、シフトレバーの位置及びアクセルペダルの踏み込みの有無に関わらず、電動モータから動力は発生せず、電動モータの動力によって車両が動き出すことはない
また、乗降用ドアが開状態にあって第2制御モードで電動モータの制御を行っているときに乗降用ドアが閉じられても、ブレーキ装置が操作されていなければ、制御手段は引き続き第2制御モードで電動モータを制御する。
従って、シフトレバーを走行位置としたまま車両を停止させて、車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開き、ブレーキ装置を操作せずに、何らかの理由によりアクセルペダルが踏み込まれた状態で乗降用ドアが閉じられても、制御手段が引き続き第2制御モードで電動モータを制御することにより、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータの動力によって車両が動き出すことはない。
また、クリープ機能を有する電気自動車の場合には、第1制御モードで電動モータを制御しているときにシフトレバーが走行位置にあれば、アクセルペダルを踏んでいなくても電動モータのクリープトルクによって、停止中の車両が動き出す。このようなクリープ機能を有した電気自動車の場合に、シフトレバーを走行位置としたまま車両を停止させ、乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開いた後に、ブレーキ装置を操作せずに乗降用ドアを閉じても、制御手段は引き続き第2制御モードで電動モータを制御するので、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータのクリープトルクによって車両が動き出すことはない。
更に、このような電気自動車制御装置において、上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化した後も上記第2制御モードによる上記電動モータの制御を継続しているときに、上記ブレーキ装置が操作されたことを上記ブレーキ操作検出手段が検出した場合には、上記第2制御モードから上記第1制御モードに切り換えて上記電動モータを制御することを特徴とする(請求項)。
このように構成された電気自動車制御装置によれば、上述したようにして乗降用ドアが閉じられたときにブレーキ装置が操作されておらず、引き続き第2制御モードで電動モータを制御しているときにブレーキ装置が操作されると、制御手段は第2制御モードから第1制御モードに切り換えて電動モータを制御するので、シフトレバーが走行位置にあれば、電動モータはアクセルペダルの操作量に応じた動力を発生する。
従って、乗降用ドアを閉じても制御手段が第2制御モードで電動モータを制御している場合には、一旦ブレーキ装置を操作した後にブレーキ装置の操作をやめ、シフトレバーが走行位置にある状態でアクセルペダルを踏み込めば、電動モータの動力によって車両を走行させることができる。
或いは、上記電気自動車制御装置において、上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化したときに、上記ブレーキ装置が操作されていることを上記ブレーキ操作検出手段が検出した場合には、上記第2制御モードから上記第1制御モードに切り換えて上記電動モータを制御することを特徴とする(請求項)。
このように構成された電気自動車制御装置によれば、上述したように乗降用ドアが開状態となって制御手段が第2制御モードで電動モータを制御しているときに、ブレーキ装置を操作した状態で乗降用ドアが閉じられると、制御手段は第2制御モードから第1制御モードに切り換えて電動モータを制御する。
この場合には、ブレーキ装置が操作されているので、乗降用ドアが閉じられたときにシフトレバーが走行位置にあって、例えば電気自動車がクリープ機能を有する場合や、何らかの理由によりアクセルペダルが踏み込まれている場合のように、電動モータが動力を発生するようなことがあっても、車両が直ちに動き出すことはない。そこで、制御手段は乗降用ドアが開状態から閉状態になったことをもって第2制御モードから第1制御モードに切り換えて電動モータを制御する。従って、シフトレバーが走行位置にある場合に、乗降用ドアを閉じた後、ブレーキ装置の操作をやめてアクセルペダルを踏み込めば、電動モータの動力により車両を走行させることができる。
また、上記電気自動車制御装置において、上記制御手段は、上記第1制御モードで上記電動モータを制御する際、上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの選択位置が上記走行位置にあって上記アクセルペダルが操作されていない場合は、上記電動モータがクリープトルクを発生するように上記電動モータを制御することを特徴とする(請求項)。
このように構成された電気自動車制御装置では、乗降用ドアが閉状態にあるときにシフトレバーが走行位置にあると、アクセルペダルが操作されていない状態で電動モータはクリープトルクを発生する。しかし、車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開いているときには、シフトレバーが走行位置にあっても、電動モータが動力を発生しないので、電動モータのクリープトルクによって車両が動き出すことはない。
本発明の電気自動車制御装置によれば、車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開いているときには、シフトレバーの位置及びアクセルペダルの踏み込みの有無に関わらず、電動モータから動力は発生せず、電動モータの動力によって車両が動き出すことはない。従って、例えばクリープ機能を有した電気自動車の場合や、アクセルペダルが何らかの理由によって踏み込まれた場合においても、乗員の乗降中に電動モータの動力によって車両が動き出すのを確実に防止して、高い安全性を確保することができる。
しかも、このような効果は制御手段による電動モータの制御によって得られるものであり、新たな機構を設ける必要がない。従って、車両の構造が複雑化するといった問題や、製造コストが増大するという問題を解消することができる。
また、本発明の電気自動車制御装置によれば、シフトレバーを走行位置としたまま車両を停止させて、車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開き、何らかの理由によりアクセルペダルが踏み込まれた状態で乗降用ドアが閉じられても、制御手段が引き続き第2制御モードで電動モータを制御する。従って、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータの動力によって車両が動き出すような事態を防止することができ、より高い安全性を確保することができる。
また、クリープ機能を有する電気自動車の場合、シフトレバーを走行位置としたまま車両を停止させたときに、車両の乗員の乗り降りなどのために開いた乗降用ドアを再び閉じても、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータのクリープトルクによって車両が動き出すことがないので、安全性の確保の点で特に有効である。
また、請求項の電気自動車制御装置によれば、乗降用ドアを閉じても制御手段が第2制御モードで電動モータを制御している場合には、一旦ブレーキ装置を操作することによって、制御手段による電動モータの制御を容易に第1制御モードに切り換えることができる。従って、安全に電気自動車を走行可能な状態に移行させることができる。そして、その後にブレーキ装置の操作をやめ、シフトレバーが走行位置にある状態でアクセルペダルを踏み込めば、電動モータの動力によって車両を走行させることができる。
また、請求項の電気自動車制御装置によれば、開状態にある乗降用ドアを閉じたときにブレーキ装置が操作されている場合、制御手段は第2制御モードから第1制御モードに切り換えて電動モータを制御するので、シフトレバーが走行位置にあれば、ブレーキ装置の操作をやめてアクセルペダルを踏み込むことにより、直ちに電動モータの動力で車両を走行させることができる。
また、請求項の電気自動車制御装置によれば、クリープ機能を有した電気自動車の停止中に車両の乗員の乗り降りなどのために乗降用ドアを開いているときには、シフトレバーが走行位置にあっても、電動モータが動力を発生しないので、乗員の乗降中に電動モータのクリープトルクによって車両が動き出すような事態を確実に防止して、高い安全性を確保することができる。
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気自動車制御装置の全体構成図である。本実施形態において電気自動車1はバスであって、電気自動車1には動力源として電動モータ2が搭載されている。この電動モータ2に対し、インバータ4を介してバッテリ6の電力が調整され供給されることにより、電動モータ2が動力を発生する。電動モータ2が発生した動力は、デファレンシャル装置8を介して左右の駆動輪10に伝達され、電気自動車1が走行する。
また、電気自動車1の減速走行時には、電動モータ2が発電機として作動することにより、電気自動車1の運動エネルギが回収され、インバータ4を介し電気エネルギとしてバッテリ6に充電されるようになっている。
バッテリ6から電動モータ2へ供給される電力や、発電機として作動する電動モータ2からバッテリ6へ供給される電力の調整、即ち電動モータ2の制御は、ECU(制御手段)12がインバータ4を制御することによって行われる。インバータ4の制御を行う上で必要となる情報を収集するため、ECU12には様々なセンサやスイッチなどが接続されている。図1には、本実施形態の電気自動車制御装置で用いるセンサおよびスイッチとして、シフトレンジセンサ(シフトレバー検出手段)14、ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)16、アクセルセンサ(アクセル操作量検出手段)18及びドアスイッチ(開閉状態検出手段)20のみが示されており、他のセンサあるいはスイッチ類は省略されている。
シフトレンジセンサ14は、車室内に設けられて乗員によって操作されるシフトレバー(図示せず)の選択位置を検出するセンサである。シフトレバーは、電動モータ2の動力により電気自動車1を前進走行させる際に選択されるDレンジ(走行位置)、電動モータ2の動力により電気自動車1を後退走行させる際に選択されるRレンジ(走行位置)、電動モータ2から動力が発生しないようにする際に選択されるNレンジ(ニュートラル位置)、及び電気自動車1を駐車する場合などのように、電動モータ2から動力を発生せずに電気自動車1を停止状態に保持する際に選択されるPレンジの4つの位置が選択可能となっている。
ブレーキスイッチ16は、乗員によって操作されるブレーキ装置であるフットブレーキ(図示せず)の操作の有無を検出するものであり、フットブレーキが操作されている場合にオンし、フットブレーキの操作が解除されている場合にオフするようになっている。
アクセルセンサ18は、車室内に設けられて乗員によって操作されるアクセルペダル(図示せず)の操作量を検出する。
ドアスイッチ20は、バスである電気自動車1の乗客が乗降するための乗降用ドア(図示せず)の開閉状態を検出するものであり、乗降用ドアが開状態にある場合にオンし、閉状態にある場合にオフする。
ECU12は、これらのセンサ及びスイッチからの情報に基づき、インバータ4を制御して、バッテリ6と電動モータ2との間の電力のやりとりを調整することにより、電動モータ2を制御する。電動モータ2の制御には、第1制御モードと第2制御モードの2つの制御モードがあり、ECU12は上述した各センサ及びスイッチからの情報に基づいて、第1制御モード及び第2制御モードのいずれかを選択する。
第1制御モードは、シフトレバーの選択位置及びアクセルペダルの操作量に基づき、電動モータ2を制御するモードである。即ち、シフトレンジセンサ14の検出信号に基づいて、シフトレバーがNレンジまたはPレンジにあると判定した場合、ECU12は電動モータ2が動力を発生することのないように、インバータ4を介して電動モータ2を制御する。また、シフトレンジセンサ14の検出信号に基づいて、シフトレバーがDレンジまたはRレンジにあると判定した場合、ECU12はアクセルセンサ18が検出したアクセルペダルの操作量に応じた動力を電動モータ2が発生するように、インバータ4を介して電動モータ2を制御する。
なお、Rレンジは電気自動車1を後退させるレンジであるので、DレンジとRレンジとでは電動モータ2の回転方向が逆になると共に、アクセルペダルの操作量に応じて電動モータ2が発生する動力は、同じ操作量に対してRレンジよりDレンジの方が大きくなる。また、シフトレバーがDレンジまたはRレンジにある場合、アクセルペダルが操作されていないときでも、電動モータ2はクリープトルクを発生し、電気自動車1を微動させることができるようになっている。
一方、第2制御モードでは、シフトレバーの選択位置及びアクセルペダルの操作量にかかわらず、ECU12は電動モータ2が動力を発生することのないように、インバータ4を介して電動モータ2を制御する。
以下では、このような第1制御モード及び第2制御モードを選択するためにECU12が実行するモード選択制御について、図2に基づき詳細に説明する。図2は、ECU12が実行するモード選択制御のフローチャートである。ECU12は、車室内に設けられた始動スイッチ(図示せず)がオンされて、電動モータ2が作動可能な状態になると、所定の制御周期で図2のフローチャートに従い、モード選択制御を開始する。そしてECU12は、このモード選択制御で選択された制御モードにより、インバータ4を介して電動モータ2を制御する。
なお、本実施形態では安全確保のため、シフトレバーの選択位置がPレンジにある場合に限り、始動スイッチがオンされたときに電動モータ2が作動可能な状態になるようになっている。従って、モード選択制御もシフトレバーの選択位置がPレンジにあるときに始動スイッチがオンされて、電動モータ2が作動可能な状態になると開始される。
モード選択制御が開始されると、ECU12はステップS1において、ドアスイッチ20からの信号に基づき、乗降用ドアが開状態にあるか否かを判定する。そして、ドアスイッチ20がオフしており、乗降用ドアが閉状態にあると判定した場合、ECU12は処理をステップS2に進める一方、ドアスイッチ20がオンしており、乗降用ドアが開状態にあると判定した場合、ECU12は処理をステップS6に進める。
ここでは、運転者が電気自動車1に乗り込み、乗降用ドアを閉じて始動スイッチをオンにすることによりモード選択制御が開始された場合を想定すると、ECU12はステップS1において乗降用ドアが閉状態にあると判定し、処理をステップS2に進める。
ステップS2においてECU12は、フラグFの値が0であるか否かを判定する。フラグFは、後述する第2制御モードから第1制御モードへの移行時において、第1制御モードでの制御を開始する直前にフットブレーキが操作されているか否かを示す。即ち、第2制御モードから移行する際、第1制御モードでの制御を開始する直前にフットブレーキが操作されていれば、フラグFの値が0となる。フラグFの初期値は0となっているので、ステップS2でECU12はフラグFの値が0であると判定し、処理をステップS5に進める。そしてステップS5でECU12は、上述した第1制御モードを選択し、その制御周期を終了する。
次の制御周期においても引き続き乗降用ドアが閉状態にあれば、ECU12は処理をステップS1からステップS2に進め、フラグFの値が0であるか否かを判定する。フラグFの値は依然として0であるので、ECU12は処理をステップS2からステップS5に進め、引き続き第1制御モードを選択する。
従って、運転者が電気自動車1に乗り込み、乗降用ドアを閉じてシフトレバーの選択位置をPレンジとした状態で始動スイッチをオンにすれば、第1制御モードが選択されることになる。この場合、運転者はフットブレーキまたは図示しないパーキングブレーキを操作した状態で、シフトレバーをDレンジまたはRレンジとした後、フットブレーキ及びパーキングブレーキを解除状態としてからアクセルペダルを踏み込めば、電動モータ2が発生する動力が左右の駆動輪10に伝達され、電気自動車1が走行する。また、運転者がシフトレバーをDレンジまたはRレンジとした状態でアクセルペダルを開放状態にしているときには、電動モータ2がクリープトルクを発生するので、電気自動車1を微動させることができる。
次に、運転者が電気自動車1を停止させ、乗客の乗り降りなどのために乗降用ドアを開くと、ドアスイッチ20がオンすることにより、ECU12はモード選択制御のステップS1において乗降用ドアが開状態にあると判定し、処理をステップS6に進める。ステップS6においてECU12は、後述する乗降用ドアが再び閉じられたときの処理に備えてフラグFの値を1とする。更にECU12は処理をステップS7に進め、第2制御モードを選択してその制御周期を終了する。
次の制御周期においても乗降用ドアが開状態にあるとすると、ECU12は処理をステップS1からステップS6に進め、上述のようにしてフラグFの値を1とした後、ステップS7で再び第2制御モードを選択する。
従って、乗降用ドアが開いている場合、ECU12は第2制御モードを選択し、シフトレバーの選択位置及びアクセルペダルの操作量にかかわらず、ECU12は電動モータ2が動力を発生することのないように、インバータ4を介して電動モータ2を制御する。
このため、乗降用ドアが開いているときには、シフトレバーがDレンジやRレンジにあっても、電動モータ2のクリープトルクによって電気自動車1が動き出すといった事態を確実に防止することができる。また、シフトレバーがDレンジやRレンジとしたまま停車し、乗降用ドアが開状態にある場合に、何らかの理由によって誤ってアクセルペダルが踏み込まれても、電気自動車1が動き出すという事態を確実に防止することができる。この結果、電気自動車1における乗客の乗り降りの際には、高い安全性を確保することができる。
次に、乗客の乗り降りが完了するなどして乗降用ドアが閉じられると、ドアスイッチ20がオフすることにより、ECU12はモード選択制御のステップS1において乗降用ドアが閉状態になったと判定し、処理をステップS2に進める。
ステップS2においてECU12は、フラグFの値が0であるか否かを判定するが、フラグFの値は、上述したように乗降用ドアが開状態にあるときにステップS6において1とされている。従って、ここではECU12が処理をステップS2からステップS3に進める。
ステップS3においてECU12は、ブレーキスイッチ16からの信号に基づき、フットブレーキが操作されているか否かを判定する。即ち、ブレーキスイッチ16がオンしていてフットブレーキが操作されていると判定した場合、ECU12は処理をステップS4に進める一方、ブレーキスイッチ16がオフしていてフットブレーキが操作されていないと判定した場合、ECU12は処理をステップS7に進める。
ここではフットブレーキが操作されていなかったとすると、ECU12は処理をステップS7に進め、第2制御モードを選択してその制御周期を終了する。次の制御周期においても、引き続き乗降用ドアが閉じられているとすると、ECU12は処理をステップS1からステップS2に進め、フラグFの値が0であるか否かを判定する。
フラグFの値は依然として1のままであるので、ECU12は処理をステップS2からステップS3に進め、フットブレーキが操作されているか否かを再び判定する。そして、フットブレーキが操作されていなければ、ECU12は処理をステップS7に進め、引き続き第2制御モードを選択する。
従って、開状態にあった乗降用ドアが閉じられたときに、フットブレーキが操作されていなければ、引き続き第2制御モードが選択されることになる。このため、乗降用ドアを閉じたときにシフトレバーがDレンジやRレンジにあっても、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータ2のクリープトルクによって電気自動車1が動き出すといった事態を確実に防止することができる。
また、シフトレバーがDレンジやRレンジとされたまま停車し、一旦開いた乗降用ドアを閉じた場合に、フットブレーキが操作されないままで何らかの理由により誤ってアクセルペダルが踏み込まれていても、乗降用ドアを閉じた途端に電気自動車1が動き出すという事態を確実に防止することができる。この結果、電気自動車1における乗降用ドア開閉の際にも、高い安全性を確保することができる。
一方、乗降用ドアが閉じられたときにフットブレーキが操作されている場合、或いは乗降用ドアが閉じられた後にフットブレーキが操作された場合、ブレーキスイッチ16がオンしていることにより、ECU12はステップS3でフットブレーキが操作されていると判定し、処理をステップS4に進める。ECU12は、ステップS4でフラグFの値を0とした後、処理をステップS5に進め、第1制御モードを選択してその制御周期を終了する。
次の制御周期においても引き続き乗降用ドアが閉状態にあれば、ECU12は処理をステップS1からステップS2に進め、フラグFの値が0であるか否かを判定する。この場合にはフラグFの値が既に0となっているので、ECU12は処理をステップS2からステップS5に進め、引き続き第1制御モードを選択する。
従って、乗降用ドアが閉じられたときにフットブレーキが操作されていれば、制御モードは第2制御モードから第1制御モードに移行することになる。この場合には、フットブレーキが操作されているので、乗降用ドアを閉じたときにシフトレバーがDレンジ或いはRレンジになっていて電動モータ2がクリープトルクを発生しても、電気自動車1が突然動き出すようなことはない。そして、シフトレバーをDレンジ或いはRレンジとして、フットブレーキの操作を解除すれば、アクセルペダルの操作量に応じて電気自動車1を直ちに走行させることができる。
また、乗降用ドアが閉じられたときにフットブレーキが操作されておらず、上述のようにして第2制御モードが選択されているときには、一旦フットブレーキを操作することにより、第1制御モードが選択されるようになるので、安全に電気自動車1を走行可能な状態に移行させることができる。
以上のようにしてECU12がモード選択制御を行うことにより、乗降用ドアが開状態にある場合には、第2制御モードが選択されるので、乗客の乗り降りなどのために乗降用ドアが開いているときにシフトレバーがDレンジやRレンジにあっても、電動モータ2のクリープトルクによって電気自動車1が動き出すといった事態を確実に防止することができる。また、シフトレバーがDレンジやRレンジとしたまま停車し、乗降用ドアが開状態にある場合に、何らかの理由によって誤ってアクセルペダルが踏み込まれても、電気自動車1が動き出すという事態を確実に防止することができる。この結果、電気自動車1における乗客の乗り降りの際に、高い安全性を確保することができる。
また、開状態にある乗降用ドアを閉じたときに、フットブレーキが操作されていなければ、引き続き第2制御モードが選択されるので、シフトレバーがDレンジやRレンジにあっても、乗降用ドアを閉じた途端に電動モータ2のクリープトルクによって電気自動車1が動き出すといった事態を確実に防止することができる。また、シフトレバーがDレンジやRレンジとされたまま停車し、一旦開いた乗降用ドアを閉じた場合に、何らかの理由によって誤ってアクセルペダルが踏み込まれていても、乗降用ドアを閉じた途端に電気自動車1が動き出すという事態を確実に防止することができる。この結果、電気自動車1における乗降用ドア開閉の際にも、高い安全性を確保することができる。
これらの効果は、もともと電気自動車1に設けられている各種センサやスイッチ類を利用し、インバータ4を介した電動モータ2の制御のみによって達成しうるものであり、新たに複雑な機構を設ける必要がない。従って、車両の構造が複雑化や製造コストの増大といった問題を解消しながら、上述したような高い安全性を確保することができる。
以上で本発明の一実施形態に係る電気自動車制御装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、電動モータ2のみを動力源とする電気自動車1に本発明を適用したが、電動モータ2に加えて内燃エンジンを動力源としたパラレル式ハイブリッド電気自動車にも、本発明を適用することができる。この場合、車両停止時において内燃エンジンの動力は、クラッチなどにより駆動輪への伝達が遮断されるが、このときの電動モータの制御に本発明を適用することができる。なお、発電専用に内燃エンジンを用いるシリーズ式ハイブリッド電気自動車にも本発明を適用することができることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、モード選択制御のステップS3において、ブレーキスイッチ16からの信号に基づき、フットブレーキが操作されているか否かを判定するようにしたが、これに加えてもう1つのブレーキ装置としてパーキングブレーキの操作状態を判定するようにしてもよい。即ち、フットブレーキ及びパーキングブレーキのいずれも操作されていない場合に、ブレーキ操作がなされていないと判定する一方、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくともいずれか一方が操作されている場合に、ブレーキ操作がなされていると判定するようにしてもよい。
この場合には、乗降用ドアを一旦開いてから閉じたときに、フットブレーキ及びパーキングブレーキのいずれも操作されていなければ、引き続き第2制御モードが選択されることになる。一方、乗降用ドアを一旦開いてから閉じたときに、フットブレーキ及びパーキングブレーキペダルの少なくとも一方が操作されていれば、第2制御モードから第1制御モードに移行する。また、乗降用ドアを一旦開いてから閉じたときに、フットブレーキ及びパーキングブレーキのいずれも操作されておらず、引き続き第2制御モードが選択されているときに、フットブレーキ及びパーキングブレーキペダルの少なくとも一方が操作されれば、第2制御モードから第1制御モードに移行することになる。
また、上記実施形態では、シフトレバーがDレンジ或いはRレンジにあるときに、電動モータ2にクリープトルクを発生させるようにしたが、このようなクリープ機能を有さない場合においても、本発明は有効である。即ち、この場合には、乗降用ドアが開状態にあるときに、電動モータ2のクリープトルクによって電気自動車1が動き出すという問題は生じなくなるものの、何らかの理由によりアクセルペダルが踏み込まれる可能性がある。
しかしながら、このような場合にも、乗降用ドアが開状態にあれば第2制御モードが選択されて電動モータ2が動力を発生しないので、乗客が乗り降りしているときに電気自動車1が突然動き出すといった事態を確実に防止することができる。また、シフトレバーがDレンジやRレンジとしたまま停車し、一旦開いた乗降用ドアを閉じた場合に、何らかの理由によって誤ってアクセルペダルが踏み込まれていても、乗降用ドアを閉じた途端に電気自動車1が動き出すという事態を確実に防止することができる。
また、シフトレバーがDレンジにあるときにのみ、電動モータ2にクリープトルクを発生させるようにして、シフトレバーがRレンジにあるときには電動モータ2がクリープトルクを発生しないようにした場合においても、同様に効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、シフトレバーをDレンジ及びRレンジのほか、Pレンジ及びNレンジに切り換え可能としたが、シフトレバーで選択可能なレンジはこれに限定されるものではない。少なくとも本実施形態におけるDレンジやRレンジのような走行位置のレンジと、ニュートラル位置となるNレンジとを選択可能であればよい。
また、上記実施形態では、電動モータ2が発生した動力を、デファレンシャル装置8を介して直接左右の駆動輪10に伝達するようにしたが、電動モータ2とデファレンシャル装置8との間に変速機を介装し、変速機で変速を行った後の動力を左右の駆動輪10に伝達するようにしてもよい。この場合においても、変速機を介して電動モータ2の動力を左右の駆動輪10に伝達可能な状態にあるときに、上記実施形態と同様な制御を行うことにより、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、本発明をバスに適用したが、乗用車やトラックなど、バス以外の電気自動車についても、本発明を適用して同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電気自動車制御装置の全体構成図である。 図1の電気自動車制御装置でECUが実行するモード選択制御のフローチャートである。
符号の説明
1 電気自動車
2 電動モータ
10 駆動輪
12 ECU(制御手段)
14 シフトレンジセンサ(シフトレバー検出手段)
16 ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)
18 アクセルセンサ(アクセル操作量検出手段)
20 ドアスイッチ(開閉状態検出手段)

Claims (4)

  1. 車両の駆動輪に伝達される動力を発生する電動モータと、
    上記車両の乗員により操作されて少なくとも走行位置とニュートラル位置とを選択可能なシフトレバーの選択位置を検出するシフトレバー検出手段と、
    上記車両の乗員により操作されるアクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
    上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの選択位置が上記走行位置にあるときには、上記アクセル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量に応じて上記電動モータに動力を発生させる一方、上記選択位置が上記ニュートラル位置にあるときには、上記電動モータが動力を発生しないように、第1制御モードで上記電動モータを制御する制御手段と、
    上記車両に設けられた乗降用ドアの開閉状態を検出する開閉状態検出手段と
    上記車両に設けられたブレーキ装置の操作状態を検出するブレーキ操作検出手段とを備え、
    上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって上記乗降用ドアの開状態が検出されているときには、上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの位置にかかわらず、上記電動モータが動力を発生しないように、上記第1制御モードと異なる第2制御モードで上記電動モータを制御し、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化したときに、上記ブレーキ装置が操作されていないことを上記ブレーキ操作検出手段が検出している場合には、引き続き上記第2制御モードで上記電動モータを制御することを特徴とする電気自動車制御装置。
  2. 上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化した後も上記第2制御モードによる上記電動モータの制御を継続しているときに、上記ブレーキ装置が操作されたことを上記ブレーキ操作検出手段が検出した場合には、上記第2制御モードから上記第1制御モードに切り換えて上記電動モータを制御することを特徴とする請求項に記載の電気自動車制御装置。
  3. 上記制御手段は、上記開閉状態検出手段によって検出された上記乗降用ドアの状態が開状態から閉状態に変化したときに、上記ブレーキ装置が操作されていることを上記ブレーキ操作検出手段が検出した場合には、上記第2制御モードから上記第1制御モードに切り換えて上記電動モータを制御することを特徴とする請求項に記載の電気自動車制御装置。
  4. 上記制御手段は、上記第1制御モードで上記電動モータを制御する際、上記シフトレバー検出手段が検出した上記シフトレバーの選択位置が上記走行位置にあって上記アクセルペダルが操作されていない場合は、上記電動モータがクリープトルクを発生するように上記電動モータを制御することを特徴とする請求項1に記載の電気自動車制御装置。
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