JP5459465B2 - 低重合収縮性ビニルシクロプロパン化合物及びその重合方法 - Google Patents

低重合収縮性ビニルシクロプロパン化合物及びその重合方法 Download PDF

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Description

本発明は、重合前は低粘度の液状であることにより作業性が良く、着色が少なく、なおかつ重合による体積収縮が小さく寸法安定性に優れた新規なビニルシクロプロパン化合物及びそれらから得られる重合物及び共重合物、並びにビニルシクロプロパン化合物を用いた光重合方法に関する。
本発明のビニルシクロプロパン化合物及びその重合物は、光学材料、成形材料、複合材料、注型材料、封止材料、医用材料、歯科材料、記録材料、セメント、塗料及び接着剤等の原料として有用であり、特にホログラム光記録媒体の材料として好適である。
アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、スチレン、エチレンオキシド、エピクロロヒドリン等の重合性モノマーは、様々な分野における種々の材料として広く用いられている。しかしながらこれら重合性モノマーは重合時に大きな体積収縮を伴うことが知られており、例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂などの硬化性樹脂が硬化する際の体積収縮は、注型材料、封止材料、接着材料等の分野で大きな問題となっている。また、注型材料として従来の重合性モノマーからなる硬化性樹脂を使用した場合にはインサート物によりクラックが入り易く、また複合材料として使用した場合には補強剤とマトリックスの界面の剥離が生じ、さらに接着剤として使用した場合には内部ひずみによる接着力の低下やそり変形などが生じるなどの問題がある。そこで、多くの分野で重合時の体積収縮の小さいモノマーが切望されている。
重合時の体積収縮が比較的少ないモノマーとして、ビニルシクロプロパン化合物が注目されている。例えば、エチルエステル基で置換されたビニルシクロプロパン化合物(非特許文献1)や、多官能性ビニルシクロプロパン化合物(特許文献1)が提案されている。一方、重合時に体積が膨張するように変性されたモノマーとして、フェニルエステル基、アダマンチルエステル基で置換されたビニルシクロプロパン化合物も開示されている(非特許文献2及び非特許文献3)。なおこれらビニルシクロプロパン化合物の用途として、インク組成物への応用(特許文献2)や歯科材料への応用(特許文献1)が開示されている。
特許第3002152号公報 特開2007−262218号公報
マクロモレキュルズ(Macromolecules)、1993年、26巻、p.1818−1824 マクロモレキュルズ(Macromolecules),1994年,27巻,p.5543−5546 マクロモレキュルズ(Macromolecules),1996年,29巻,p.1943−1950
これまで提案されたビニルシクロプロパン化合物は、他の重合性モノマーと比しては低い体積収縮率を有しているが、更なる収縮率の低減が求められていた。
また体積収縮の抑制効果が見込める化合物であっても、室温で固体であるため(非特許文献2及び非特許文献3)実際の使用において作業性に劣るという問題が残されていた。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、すなわち、重合前は低粘度の液状であり、且つ、熱又は光ラジカル開始剤を用いて重合させた場合に体積収縮が小さい重合物となる化合物であり、さらに低屈折率であるなど光学特性にも優れた化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、分子内にシクロアルキル基を有する特定のビニルシクロプロパン化合物が、重合前には液状であり、重合収縮を抑制する効果を発現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、第1観点として、式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物に関する。
Figure 0005459465
(式(1)中、X及びYは互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれC(=O)R1、C(=O)OR1、OC(=O)R1、C(=O)SR1、SC(=O)R1、C(=O)NR12、SO21又はR1を表し、
1は非置換の、又は、炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基によって置換された炭素原子数3乃至18のシクロアルキル基を表し、
2は水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。)
第2観点として、X及びYがC(=O)OR1を表す、第1観点に記載のビニルシクロプロパン化合物に関する。
第3観点として、R1が非置換の、又は、炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基によって置換された炭素原子数5乃至8のシクロアルキル基を表す、第1観点又は第2観点に記載のビニルシクロプロパン化合物に関する。
第4観点として、R1がシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基を表す、第3観点に記載のビニルシクロプロパン化合物に関する。
第5観点として、第1観点乃至第4観点のうち何れか一項に記載のビニルシクロプロパン化合物の重合により又は該ビニルシクロプロパン化合物とその他のラジカル重合性化合物との共重合により得られる、重合物及び共重合物に関する。
第6観点として、ビニルシクロプロパン化合物の光重合方法であって、ビニルシクロプロパン化合物と、チタノセン化合物及び、チオール化合物とを含んで成る混合系に、可視光線を照射することを特徴とする光重合方法に関する。
第7観点として、前記ビニルシクロプロパン化合物が、下記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物である、第6観点記載の光重合方法に関する。
Figure 0005459465
(式(1)中、X及びYは互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれC(=O)R1、C(=O)OR1、OC(=O)R1、C(=O)SR1、SC(=O)R1、C(=O)NR12、SO21又はR1を表し、
1は非置換の、又は、炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基によって置換された炭素原子数3乃至18のシクロアルキル基を表し、
2は水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。)
第8観点として、前記混合系の体積に基づいて、前記ビニルシクロプロパン化合物が50体積%以上を占める、第6観点又は第7観点に記載の光重合方法に関する。
第9観点として、前記可視光線が波長400乃至550nmの光であることを特徴とする、第6観点乃至第8観点のうち何れか一項に記載の光重合方法に関する。
第10観点として、第6観点乃至第9観点のうち何れか一項に記載の方法によって得られる重合物に関する。
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、重合前には液状であり、かつその粘性が低いことから、実際の使用場面における取り扱いが容易である。そして、従来の重合性モノマーと比べて、重合に伴う体積収縮が小さいことから、低収縮性材料としての用途が期待できる。さらに、本発明のビニルシクロプロパン化合物は低屈折率を有するため、特に光学用途向けの材料としての用途が期待できる。
また本発明のビニルシクロプロパン化合物よりなる重合物及び共重合物は、モノマーからの体積収縮が小さい(共)重合物であり、また、低屈折率の(共)重合物でもある。
従って、本発明のビニルシクロプロパン化合物及びそれよりなる(共)重合物は、その体積収縮が少ない特性を利用して、例えば接着剤、セメント、歯科材料、単板材料、複合材料、又は成形体の構成成分として利用することができる。さらに、体積収縮が少ないことに加えてその低屈折率、高透明性、重合前の低い粘性などの特性を利用して、例えばカメラプリズム、コーティング材料、光学窓材料、非線形型光学素子、光記録材料、ギャップフィル材料、体積ホログラムなどの光学材料として利用することができる。
さらに本発明の重合方法により、体積収縮を抑制でき、しかも、低屈折率のポリマーを得ることができる。
従って、本発明の重合方法は、例えば接着剤、セメント、歯科材料、単板材料、複合材料、又は成形体等の製造時に、或いは、カメラプリズム、コーティング材料、光学窓材料、非線形型光学素子、光記録材料、ギャップフィル材料、体積ホログラムなどの光学材料製造時に好適に利用できる。
しかも本発明の重合方法は、ビニルシクロプロパン化合物に可視光線を照射することにより光重合させる方法を提供できる。したがって、紫外線を照射することが不可能あるいは不適切な系、例えば紫外線吸収剤を添加したり、紫外線を遮断した系でも潤沢に光重合又は光架橋硬化できる。このため、本方法は、インキ、塗料、コーティング、プリント基板、ホログラム材料、封止材料、レジスト材料など多くの産業分野にて応用が可能である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、前記式(1)で表される化合物である。
本発明は、ビニルシクロプロパン化合物の構造中にシクロアルキル基を有する点を特徴としている。シクロアルキル基はその構造がフレキシブルであることから、当該ビニルシクロプロパン化合物が低粘度の液体となることを実現している。また本発明のビニルシクロプロパン化合物は、その置換基の選択により、炭素原子、水素原子、若しくは酸素原子のみからなるため、化合物の低屈折率化も可能であることを特徴としている。
前記式(1)において、X及びYは互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれC(=O)R1、C(=O)OR1、OC(=O)R1、C(=O)SR1、SC(=O)R1、C(=O)NR12、SO21、又はR1を表す。上記X及びYは、好ましくはC(=O)OR1を表すことが望ましい。
1は置換されていてもよい炭素原子数3乃至18のシクロアルキル基を表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の何れかを表す。ここで、R1におけるシクロアルキル基の置換基としては炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される。
1の具体例としては、種々の基を挙げることができるが、中でも非置換の、前記置換基によって置換された炭素原子数5乃至8のシクロアルキル基であることが好ましく、特にシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基であることが好ましい。
2の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、モルホリノ基等が挙げられる。
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、通常、立体異性体混合物、特に、ラセミ化合物として存在する。
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、25℃において3,000mPa・s以下の粘度を有することが好ましい。粘度が高い場合には、例えば混合系や組成物を成す際に他の成分の分散・混合が容易でないこと、また例えばホログラム記録用の組成物と成した場合、添加する微粒子の移動が容易でないといった問題が生じることとなる。
また、本発明のビニルシクロプロパン化合物を光学材料に使用する場合、感光させる波長において屈折率が1.55以下であることが好ましく、さらに、着色を避けるため芳香環基を含有しない化合物であることがより好ましい。
また本発明は、前記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物の重合により又は該ビニルシクロプロパン化合物とその他のラジカル重合性化合物との共重合により得られる重合物又は共重合物に関する。
ここで、上記ビニルシクロプロパン化合物の重合時又は共重合時に用いる光重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔2−(1−ヒドロキシブチル)〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕等のアゾ系化合物;p−アジドベンズアルデヒド、p−アジドアセトフェノン、p−アジド安息香酸、p−アジドベンザルアセトフェノン、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、及び4,4’−ジアジドスチルベン等のアジド系化合物;1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノベンゼンクロリド、及び1−ジアゾ−4−N,N−ジエチルアミノベンゼンボロフルオリド等のジアゾ系化合物;1,2−ナフトキノン−ジアジド(2)−4−スルホン酸ナトリウム塩、1,2−ナフトキノン−ジアジド(2)−5−スルホン酸エステル、及び1,2−ナフトキノン−ジアジド(2)−4−スルホニルクロリド等のo−キノンジアジド系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、ベンジル等のベンゾフェノン類;3,3’−カルボニルビス(7−(ジエチルアミノ)−2H−クロメン−2−オン)(みどり化学株式会社でBC(CAS[63226−13−1])として市販されている)等のビスクマリン;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、及び2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール化合物;のほか、有機過酸化物、チタノセン化合物、チオール化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、トリクロロメチルトリアジン化合物、あるいはヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物等のオニウム塩化合物等が用いられる。これらのうちチタノセン化合物とチオール化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。これら光重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
また、上記ビニルシクロプロパン化合物と共重合させるその他のラジカル重合性化合物としては、屈折率1.3以上1.8以下の化合物であることが好ましく、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。なお、本発明におけるラジカル重合性化合物の意味するところは、所謂高分子物質に相対する概念であって、従って、狭義の単量体(モノマー)以外に二重体、三量体、オリゴマーをも包含するものである。好ましくは、ラジカル重合性化合物の屈折率は1.6以下である。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば不飽和カルボン酸;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物や芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル等が挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルスクシネート、又は2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。またこれらのアクリル酸エステル化合物のアクリレート部分をメタクリレートに変えたメタクリル酸エステル化合物、同様にイタコネートに変えたイタコン酸エステル化合物、クロトネートに変えたクロトン酸エステル化合物、マレエートに変えたマレイン酸エステル化合物等も挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルは限定されないが、具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマイレン酸エステル等がある。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物では無いが代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸及びフタル酸と、エチレングリコールとの縮合物、アクリル酸及びマレイン酸と、ジエチレングリコールとの縮合物、メタクリル酸及びテレフタル酸と、ペンタエリスリトールとの縮合物、アクリル酸及びアジピン酸と、ブタンジオール及びグリセリンとの縮合物等がある。
以上のエステル系(メタ)アクリレート以外に、いわゆるウレタン系(メタ)アクリレートやエポキシ系(メタ)アクリレート等がある。前者は多価イソシアネートとヒドロキシアクリルエステル類との付加反応により、後者は多価エポキシ化合物とヒドロキシアクリルエステル類との付加反応により調製することができる。
その他本発明に用いられるエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としてはエチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
本発明においては、エチレン性不飽和結合を有する化合物の中でもアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単量体が特に好ましい。
またそれぞれのラジカル重合性化合物は単独で用いても良いし、必要に応じ混合して用いても構わない。
また本発明は、ビニルシクロプロパン化合物の光重合法にも関する。詳細には、ビニルシクロプロパン化合物、チタノセン化合物及びチオール化合物とを含む混合系に、可視光線を照射することによる、光重合方法である。
上記ビニルシクロプロパン化合物は、前述の式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物のみならず、その他のビニルシクロ化合物を含む、謂わばビニルシクロプロパン化合物全般(ビニルシクロプロパン化合物群とも称する)が含まれる。
上記ビニルシクロプロパン化合物群としては、ビニルシクロプロパン構造をその構造内に有する化合物であれば特に制限されないが、例えば以下の化合物を挙げることができる:ビニルシクロプロパン、1,1−ジクロロ−2−ビニルシクロプロパン、1,1−ジシアノ−2−ビニルシクロプロパン、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジメタノール、1,1−ジメトキシメチル−2−ビニルシクロプロパン、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジエチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジイソプロピルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジフェニルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ビス(2,4−ジブロモフェニル)エステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ビス(3−メチルフェニル)エステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ビス(4−ノニルフェニル)エステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジベンジルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ビス(4−ブロモベンジルエステル)、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロペンチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロヘプチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロオクチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジアダマンチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ビス(2−(4−ブロモフェノキシ)エチル)エステル、1−ベンジルオキシカルボニル−1−メトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−エトキシカルボニル−1−ベンジルオキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−ベンジルオキシカルボニル−1−tert−−ブトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(2−クロロエトキシ)カルボニル−1−(2−フェノキシエトキシ)カルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−ナフトキシカルボニル−1−メトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)カルボニル−1−n−ブトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)カルボニル−1−(2−メトキシエトキシ)カルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−フェノキシカルボニル−1−(4−(4−メトキシフェノキシカルボニル)フェノキシ)カルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(4−(2−(4−n−ペンチルフェノキシ)エチニル)フェノキシ)カルボニル−1−n−プロポキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(4'−シアノ−4,4'−ビフェニルオキシ)カルボニル−1−フェノキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(2−ピリジニルメトキシ)カルボニル−1−メトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1−(2−ピリジニルオキシ)カルボニル−1−(2−チオフェニルオキシ)カルボニル−2−ビニルシクロプロパン、1,2−ビス(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸メチルエステル−1−カルボニルオキシ)エタン、ビス(2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸メチル)レゾルシニルエステル、1,1,1−トリス(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸メチルエステル−1−カルボニルオキシメチル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸エチルエステル−1−カルボニルオキシ)エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸エチルエステル−1−カルボニルオキシ)エトキシ)フェニル)プロパン、1,3,5−トリス(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシメチル)ベンゼン、トリス(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシメチル)メタン、テトラキス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸
(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシ)エトキシメチル)メタン、1−(2,2,2−トリス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシ)エトキシメチル))エトキシ−3−メトキシ−2,2−ビス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシ)エトキシメチル)プロパン、2,2,2−トリス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシ)エトキシメチル)エトキシ−2,2,2−トリス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸(4−ブロモベンジル)エステル−1−カルボニルオキシ)エトキシメチル)エタン、2,5−ビス(2−(2−ビニルシクロプロパン−1−カルボン酸エチルエステル−1−カルボニルオキシ)エトキシ)チオフェン、1−アセチル−2−ビニル−1−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル及び1−ベンゾイル−2−ビニル−1−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル等。
これらビニルシクロプロパン化合物群の中でも、光学材料への用途が期待できる点を考慮すると、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロペンチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロヘプチルエステル、2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジシクロオクチルエステル等の前記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物が好ましい。
上記混合系において、光重合開始剤として用いられる上記チタノセン化合物の具体例としては特に限定されず、従来知られている種々のチタノセン系光重合開始剤を用いることができるが、これらの中でも、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル〕チタニウムが好ましい。
上記混合系において、上記チタノセン化合物の添加量は、上記ビニルシクロプロパン化合物 100質量部に対して0.01質量部乃至10質量部が好ましく、0.1質量部乃至5質量部が更に好ましい。これは、チタノセン化合物が0.01質量部より少ないと重合性が著しく低下し、10質量部を超えると混合系や重合物の着色化、深さ方向への光の透過率の低下、得られる重合物の強度の低下といった問題が起こる虞があるためである。
また、上記チオール化合物の具体例としては特に限定されず、ラジカル重合反応の連鎖移動剤として一般に用いられる種々のチオール化合物を用いることができるが、中でも、1−ドデカンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2−ベンゾチアゾールチオールが好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)がより好ましい。
上記混合系において、上記チオール化合物の添加量は、上記ビニルシクロプロパン化合物100質量部に対して0.01質量部乃至10質量部が好ましく、0.1質量部乃至5質量部が更に好ましい。これは、チオール化合物が0.01質量部より少ないと重合性が著しく低下し、10質量部を超えると混合系や重合物の透明性の低下、混合系の粘度の上昇、得られる重合物の強度の低下といった問題が発生する虞があるためである。
本発明の重合法に用いる上記混合系には、上記成分の他、必要に応じて増感剤、連鎖移動剤、可塑剤等の添加剤を加えても良い。
増感剤の例としては、具体的には、N−フェニルグリシン、ビスクマリン、ビスイミダゾール化合物、ベンゾイン化合物、ヨードニウム塩、アシルホスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
上記ビニルシクロプロパン化合物、チタノセン化合物及びチオール化合物を含む混合系
の体積に基いて、ビニルシクロプロパン化合物の割合は、50体積%以上を占めることが好ましい。ビニルシクロプロパン化合物の占有割合が少ないと、重合時の収縮率抑制の効果が充分に得られない。また、ホログラム記録用の組成物として用いる場合、ホログラム記録の際に充分な回折効率が得られないといった問題が生じる可能性がある。
また、上記重合法において、照射する可視光線の波長は400乃至550nmの光であることが好ましい。
そして、上記重合法によって得られる重合物も本発明の範疇である。
なお上記重合法において、混合系は上記ビニルシクロプロパン化合物群に加え前述のエチレン性不飽和結合を有する化合物として挙げたラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
なお、上記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物を重合性モノマーとしてホログラム形成用の組成物に用いると、体積収縮が少なく、且つ記録容量の大きい体積ホログラム記録用組成物と成すことができる。
前記体積ホログラム記録用組成物には、式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物を含み、さらに光重合開始剤及び無機微粒子とを含む。上記光重合開始剤としては前述のものを挙げることができる。
体積ホログラム記録用組成物に用いる場合、上記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物の中でも、25℃の粘度が10〜3,000mPa・s、屈折率が1.45〜1.55である化合物が好ましい。
また、体積ホログラム記録用組成物の体積に基いて、上記式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物の割合が50体積%以上を占めることが好ましい。
また、上記無機微粒子は、光散乱損失を低減させる必要があるため、平均粒径が400nm以下である微粒子が好ましく、200nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが更に好ましい。粒径は小さいほど好ましいが、小さいほど製造が困難であるため実際上、1nm以上に限られる。
上記体積ホログラム記録用組成物中、無機微粒子の割合は、重合状態における無機微粒子と樹脂成分の合計体積に占める無機微粒子の割合が3体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましい。但し、組成物中に分散できる無機微粒子の量には限界があり、あまり多いと分散しにくくなるので、50体積%以下であることが好ましい。
上記無機微粒子は、具体的にはシリカ、ジルコニア、チタニア等の無機酸化物微粒子が好ましい。用いられる無機微粒子の形態としては粉末状のものでも水又は有機溶媒に分散したゾルでもよいが、上記体積ホログラム記録用組成物への分散性、安定性の面から有機溶媒に分散したゾルで用いるのが好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジメチルアセトアミド、又はトルエン等であり、重合性モノマー(式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物)に均一に分散可能なものであれば、特に限定はされない。
また、上記無機微粒子はカプセル化、表面処理、ハイブリッド化等の手法を用いて重合性モノマー(式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物)への分散性を高めることが好ましい。中でも表面処理剤を用いた修飾が工業的にも簡便なため好ましい。
表面処理剤としては無機微粒子表面と親和性があり、かつ重合性化合物中への分散性を高めるために表面官能基と疎水基を兼ね備えたものが好ましい。
表面反応性官能基としては、例えば、メチルシラン、エチルシランなどのアルキルシランや、メトキシシラン、エトキシシランなどのアルコキシシラン、クロロシランなどのハロゲン化シラン等の反応性シラン化合物、塩化チタンや、メトキシチタン、エトキシチタンなどのアルコキシチタン等の反応性チタン化合物、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、又はそのエステル等が挙げられる。
上記体積ホログラム記録用組成物には、上記成分の他、必要に応じて、増感剤、連鎖移動剤、可塑剤、着色剤等の添加剤を加えても良い。
上記体積ホログラム記録用組成物を用いて体積位相型ホログラム記録媒体を作るには、上記式(1)で表されるシクロプロパン化合物、光重合開始剤及び無機微粒子、そして必要に応じて増感剤等を混合し、このまま無溶剤で透明支持体上に塗布するか、これらの混合物に溶剤又は添加剤を加えて混合してもよく、これを支持体上に塗布、乾燥して記録層を形成する。続いて記録層上に透明支持体、或いは酸素遮断のための保護層を設けることもできる。
上記体積ホログラム記録組成物を用いた記録媒体のホログラム記録方法は以下の通りである。まず、媒体に2つの互いにコヒーレントなレーザー光を同時に照射すると媒体上に明部と暗部が縞状に並ぶ干渉縞が形成される。すると媒体の明部では重合性モノマーが重合を開始し、明部の重合性モノマー濃度が低下する。それに従い、暗部と明部に重合性モノマーの濃度勾配が生じ、暗部から明部に重合性モノマーが移動、供給され更に重合が進む。一方、無機微粒子は重合性モノマーの移動に伴い明部から暗部へと移動すると考えられる。
更にある程度の時間が経つと、最終的には、暗部でも重合性モノマーの重合が進み、媒体の記録層全体が重合体となる。このようにして、重合性モノマーの重合体の中に重合性モノマーと無機微粒子の相対密度差の縞状分布ができる。無機微粒子の屈折率は重合性モノマーの重合状態の屈折率と異なるので、記録層に屈折率分布ができ、ホログラムが記録される。再生時には、該ホログラムが形成された領域に再生光を照射すると、回折が起こり、ホログラム像が再生される。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[使用装置]
なお、実施例にて使用した分析装置及び条件は、下記のとおりである。
[1]融点
測定機器:メトラー・トレド株式会社製 自動融点測定装置、FP62
[2]質量分析
機種:日本ウォーターズ株式会社製 ZQ2000
検出法:ESI法
[3]1H NMR
機種:日本電子株式会社製 JNM−ECX300
測定溶媒:CDCl3
[4]13C NMR
機種:日本電子株式会社製 JNM−ECX300
測定溶媒:CDCl3
[5]粘度(E型粘度計)
機種:株式会社トキメック製 VISCONIC EMD
[6]ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)
機種:東ソー株式会社製 HLC−8220GPC,
カラム:SHODEX GPC−8051×2本+ガードカラム(SHODEX GPC KF−G)
リファレンスカラム:SHODEX GPC KF−800RH×2本
カラム温度:40℃
検出器:UV(254nm)及びRI
溶離液:THF
カラム流速:1.0ml/min
リファレンスカラム流速:0.2ml/min
[7]屈折率
機種:京都電子工業株式会社製 屈折計RA−520N
測定波長:633nm
[8]密度
機種:株式会社島津製作所製 アキュピック1330
機種:京都電子工業株式会社製 密度比重計DA−500
[体積収縮率]
重合前のモノマーの25℃における密度(dモノマー)と、重合して得られた重合硬化物の25℃における密度(d重合物)をそれぞれ測定し、下記式により体積収縮率(%)を求めた。
体積収縮率(%)={(d重合物−dモノマー)/d重合物}×100
[実施例1]ジシクロペンチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
テトラへドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)1974年,15巻,p1393記載の方法により得られる2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸 5.08g(32.5mmol)、シクロペンタノール 4.31g(50.0mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.61g(5.0mmol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下でジクロロメタン 22gを加えて攪拌し、溶解させた後、0℃に冷却した。その中に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)14.4g(70.0mmol)をジクロロメタン 4gに溶解した溶液を、発熱に留意しながら滴下した。滴下終了後、さらに室温で12時間撹拌した。反応混合物から析出した固体をろ過して除去した後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)し、無色透明の液体である目的物を収量5.9g(収率81%)で得た。目的物の質量分析、1H NMR、13C NMRの結果を以下に示す。
・m/z:315(M+Na+)(計算値315.16(M+Na+))
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.49(1H,q,J=4.5Hz),1.55〜1.90(17H,m),2.53(1H,q,J=8.1Hz),5.12(1H,dd,J=1.8Hz,9.9Hz),5.17〜5.22(2H,m),5.28(1H,dd,J=1.8Hz,17.1Hz),5.36〜5.48(1H,m)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl3):20.2(s),23.7(t),30.8(s),32.4(t),36.1(s),78.3(d),118.1(s),133.2(s),167.2(s),169.5(s)ppm
また、得られたジシクロペンチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの25℃における密度は1.069g/cm3、屈折率は1.489、25℃における粘度は35mPa・sであった。
[実施例2]ジシクロヘキシル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸 40.6g(260mmol)、シクロヘキサノール 40.1g(400mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)4.89g(40mmol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下でジクロロメタン 200gを加えて攪拌し、溶解させた後、0℃に冷却した。その中に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)115.5g(560mmol)をジクロロメタン 40gに溶解した溶液を、発熱に留意しながら滴下した。滴下終了後、さらに室温で12時間撹拌した。反応混合物から析出した固体をろ過して除去した後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)し、無色透明の液体である目的物を収量28g(収率44%)で得た。目的物の質量分析、1H NMR、13C NMRの結果を以下に示す。
・m/z:343(M+Na+) (計算値343.19(M+Na+))
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.23〜1.90(22H,m),2.55(1H,q,J=8.1Hz),4.78〜4.82(2H,m),5.11(1H,dd,J=1.8Hz,9.9Hz),5.28(1H,dd,J=1.8Hz,17.1Hz),5.37〜5.49(1H,m)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl3):20.2(s),23.6(t),25.3(d),30.7(s),31.4(t),36.2(s),73.9(d),118.1(s),133.3(s),167.0(s),169.2(s)ppm
また、得られたジシクロヘキシル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの25℃における密度は1.056g/cm3、屈折率は1.492、25℃における粘度は450mPa・sであった。
[実施例3]ジシクロヘプチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸 5.08g(32.5mmol)
、シクロヘプタノール 5.71g(50.0mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.61g(5.0mmol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下でジクロロメタン 29gを加えて攪拌し、溶解させた後、0℃に冷却した。その中に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)14.4g(70.0mmol)をジクロロメタン 6gに溶解した溶液を、発熱に留意しながら滴下した。滴下終了後、さらに室温で12時間撹拌した。反応混合物から析出した固体をろ過して除去した後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)し、無色透明の液体である目的物を収量5.5g(収率63%)で得た。目的物の質量分析、1H NMR、13C NMRの結果を以下に示す。
・m/z:371(M+Na+) (計算値371.22(M+Na+))
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.45〜1.77(22H,m),1.80〜1.98(4H,m),2.54(1H,q,J=8.1Hz),4.92〜5.01(2H,m),5.11(1H,dd,J=1.8Hz,9.9Hz),5.27(1H,dd,J=1.8Hz,17.1Hz),5.36〜5.46(1H,m)ppm・13C NMR(75MHz,CDCl3):20.2(s),22.8(t),28.3(t),30.7(s),33.6(t),36.3(s),76.4(s),118.1(s),133.4(s),166.9(s),169.2(s)ppm
また、得られたジシクロヘプチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの25℃における密度は1.052g/cm3、屈折率は1.498、25℃における粘度は166mPa・sであった。
[実施例4]ジシクロオクチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸 5.08g(32.5mmol)、シクロオクタノール 6.41g(50.0mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.61g(5.0mmol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下でジクロロメタン 32gを加えて攪拌し、溶解させた後、0℃に冷却した。その中に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)14.4g(70.0mmol)をジクロロメタン 6gに溶解した溶液を発熱に留意しながら滴下した。滴下終了後、さらに室温で12時間撹拌した。反応混合物から析出した固体をろ過して除去した後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)し、無色透明の液体である目的物を収量6.0g(収率64%)で得た。目的物の質量分析、1H NMR、13C NMRの結果を以下に示す。
・m/z:399(M+Na+) (計算値399.25(M+Na+))
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.42〜1.89(30H,m),2.53(1H,q,J=8.1Hz),4.92〜5.03(2H,m),5.11(1H,dd,J=1.8Hz,9.9Hz),5.27(1H,dd,J=1.8Hz,17.1Hz),5.36〜5.48(1H,m)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl3):20.2(s),22.9(q),25.3(d),27.0(s),27.1(t),30.7(s),31.3(q),36.2(s),76.4(s),118.1(s),133.4(s),166.9(s),169.2(s)ppm
また、ジシクロオクチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの25℃における密度は1.043g/cm3、屈折率は1.500、25℃における粘度は724mPa・sであった。
[実施例5]ジシクロペンチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの光ラジカル重合とその体積収縮率の測定
実施例1で調製したジシクロペンチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート 1.0gにベンゾインエチルエーテル 20mgを混合した。この混合系をガラス基板上に滴下して照射用サンプルを調製した。浜松ホトニクス株式会社製 LIGHTENINGSシリーズLC5を用い、光源として35W メタルハライドランプを用い、光源から20cmの位置に照射用サンプルを設置し、25℃において30分光照射を行うことにより重合硬化物を得た。硬化物の25℃における密度を測定した結果、1.134g/cm3であり、そこから計算される体積収縮率は5.7%であった。得られた重合硬化物のGPCによる重量平均分子量Mwと1H NMRの結果を示す。
・Mw(GPC):63,000
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.4〜1.9(16H,brs),2.47(4H,brs),5.15(2H,brs),5.33(2H,brs)ppm
[実施例6]ジシクロヘキシル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの光ラジカル重合とその体積収縮率の測定
実施例2で調製したジシクロヘキシル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート 1.0gにベンゾインエチルエーテル 20mgを混合した。この混合系に実施例5と同様の方法で光照射を行うことにより重合硬化物を得た。硬化物の25℃における密度を測定した結果、1.102g/cm3であり、そこから計算される体積収縮率は4.2%であった。得られた重合硬化物のGPCによる重量平均分子量Mwと1H NMRの結果を示す。
・Mw(GPC):85,000
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.2〜1.9(20H,brs),2.54(4H,brs),4.77(2H,brs),5.34(2H,brs)ppm
[実施例7]ジシクロヘプチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの光ラジカル重合とその体積収縮率の測定
実施例3で調製したジシクロヘプチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート 1.0gにベンゾインエチルエーテル 20mgを混合した。この混合系に実施例5と同様の方法で光照射を行うことにより重合硬化物を得た。硬化物の25℃における密度を測定した結果、1.148g/cm3であり、そこから計算される体積収縮率は8.4%であった。得られた重合硬化物のGPCによる重量平均分子量Mwと1H NMRの結果を示す。
・Mw(GPC):133,000
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.4〜1.9(24H,brs),2.48(4H,brs),4.93(2H,brs),5.33(2H,brs)ppm
[実施例8]ジシクロオクチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの光ラジカル重合とその体積収縮率の測定
実施例4で調製したジシクロオクチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート 1.0gにベンゾインエチルエーテル 20mgを混合した。この混合系に実施例5と同様の方法で光照射を行うことにより重合硬化物を得た。硬化物の25℃における密度を測定した結果、1.128g/cm3であり、そこから計算される体積収縮率は7.5%であった。得られた重合硬化物のGPCによる重量平均分子量Mwと1H N
MRの結果を示す。
・Mw(GPC):218,000
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.4〜1.9(28H,brs),2.47(4H,brs),4.93(2H,brs),5.33(2H,brs)ppm
[比較例1]ジイソプロピル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
窒素フロー下、55%水素化ナトリウム 9.89g(227mmol)、1,4−ジブロモ−2−ブテン 22.03g(103mmol)を無水テトラヒドロフラン 110mL中に室温で加えて攪拌した。その後、0℃まで冷却し、その中に、ジイソプロピル
マロネート 19.39g(103mmol)を無水テトラヒドロフラン 22mLに溶解した溶液を、発熱、発泡に留意しながら滴下した。滴下終了後、1時間攪拌し、さらに室温で88時間撹拌した。その後、反応系中に水 58gをゆっくり滴下して攪拌した。その後、ジイソプロピルエーテル 200mLで3回抽出し、得られた有機層を5%炭酸水素ナトリウム水 100mLで洗浄した。分液後の有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて静置後、ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去することで、21.78gの粗物を得た。そこから9.37gを取り出し、シリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=95:5〜90:10)し、無色透明オイルの目的物を収量6.16g(収率58%)で得た。得られた目的物の1H NMR及び13C NMRを以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.20〜1.29(12H,m),1.49(1H,q,J=4.5Hz),1.64(1H,q,J=4.5Hz),2.55(1H,q,J=8.1Hz),5.00〜5.14(3H,m),5.28(1H,d,J=17.1Hz),5.31〜5.49(1H,m)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl3):20.0(s),21.6(q),30.6(s),36.1(s),68.8(s),69.1(s),118.1(s),133.2(s),166.9(s),169.2(s)ppm
[比較例2]ジターシャリーブチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの合成
Figure 0005459465
窒素フロー下、55%水素化ナトリウム 8.64g(198mmol)、1、4−ジブロモ−2−ブテン 19.25g(90mmol)を無水テトラヒドロフラン 110mL中に室温で加えて攪拌した。その後、0℃まで冷却し、その中に、ジターシャリーブチル マロネート 19.47g(90mmol)を無水テトラヒドロフラン 22mLに溶解した溶液を、発熱、発泡に留意しながら滴下した。滴下終了後、1時間攪拌し、さらに室温で9時間撹拌した。その後、反応系中に 水58gをゆっくり滴下して攪拌した。その後、ジイソプロピルエーテル 200mLで3回抽出し、得られた有機層を5%炭酸水素ナトリウム水 100mLで洗浄した。分液後の有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて静置後、ろ過し、溶媒をエバポレーターで留去することで、29.12gの粗物を
得た。そこから5.68gを取り出し、シリカゲルカラムで精製(ヘキサン:酢酸エチル=95:5〜90:10)し、白色結晶2.50gで得た。これにヘプタン 7.50gを加えて室温で溶解させた後に−70℃に冷却して析出した結晶を洗浄し、乾燥させ、白色結晶の目的物を収量1.81g(収率38%)で得た。融点52.9℃(2回測定した平均値)。得られた目的物の1H NMR及び13C NMRを以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.23〜1.55(20H,m),2.42〜2.50(1H,m),5.09〜5.30(2H,m),5.37〜5.49(1H,m)ppm
13C NMR(300MHz,CDCl3):19.7(s),28.0(s),29.9(s),37.6(s),81.2(s),81.7(s),117.7(s),133.5(s),166.8(s),169.1(s)ppm
[参考例1]
マクロモレキュルズ(Macromolecules),1993年,26巻,p.1818−1824に記載のジエチル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの25℃における密度は1.020g/cm3、この化合物の重合物の密度は1.134g/cm3である。これらの値から計算される重合物の体積収縮率は10.1%である。
[比較例3]ジイソプロピル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレートの光ラジカル重合とその体積収縮率の測定
比較例1で調製したジイソプロピル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート(液状、25℃における密度1.104g/cm3)1.0gにベンゾインエチルエーテル 30mgを混合した。この混合系に実施例5と同様の方法で光照射を行うことにより重合硬化物を得た。硬化物の密度を測定した結果、1.213g/cm3であり、そこから計算される体積収縮率は9.0%であった。
このように、実施例1乃至実施例4及び実施例5乃至実施例8の結果より、本発明のビニルシクロプロパン化合物は低粘度の液体であり、かつ該化合物を光重合して得られた重合硬化物は低収縮率を達成できることが確認された。
また参考例1及び比較例3の結果より、化合物内の置換基がエチルエステル基、イソプロピルエステル基であるビニルシクロプロパン化合物では、重合物の体積収縮抑制の効果が不充分であり、比較例2で調製したターシャリーブチルエステル基を有するビニルシクロプロパン化合物では室温で固体となるとする結果となった。
[実施例9]感光性組成物の調製
1,1−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン 300mgに、ジルコニアゾル(住友大阪セメント株式会社製、製品名:ナノジルコニアトルエン分散液)1.914g、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)3mg、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)(東京化成工業株式会社製)3mgを混合し、均一に分散させ、感光性組成物を調製した。
[実施例10]回折効率の測定
国際公開第2008/23612号パンフレットに記載の実施例1の方法に従い、実施例9で調製した組成物を用いて体積位相型ホログラム記録媒体を作製し、その回折効率を測定したところ、露光時間500秒で最高約95%であった。
[比較例4]感光性組成物の調製
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名A−DCP)500mgに、ジルコニアゾル(住友大阪セメント株式会社製、製品名:ナノジルコニアトルエン分散液)3.05g、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)5mgを混合し、均一に分散させ、感光性組成物を調製した。
[比較例5]回折効率の測定
比較例4で調製した感光性組成物を用い、実施例10と同様の方法で体積ホログラムの記録を実施した。本サンプルの回折効率は露光時間500秒で最高約45%であった。
以上より、シクロアルキルエステル基を導入した本発明のビニルシクロプロパン化合物はその構造がフレキシブルであることから低粘度の液体を実現でき、且つ、低い重合収縮率を実現でき、また該化合物を用いることにより、優れた記録特性を有するホログラム記録媒体を提供することができる。
[実施例11〜実施例14、比較例6〜比較例9:ビニルシクロプロパン化合物の光重合]
以下の実施例12〜実施例14、比較例6〜比較例9で用いた1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパンは例えば特開昭63−150249記載の方法により得ることができる。
なお、実施例12〜実施例14、比較例6〜比較例9の硬化試験に用いたレオメーターは、ジャスコインタナショナル株式会社製 VAR−50を用いた。レオメーターの測定条件は、波長532nmのNd:YVO4レーザーを光源として強度60mW/cm2の光を照射し、厚さ50μm、周波数1Hz、応力104Paとして実施した。以下に示す硬化時間は、光照射を開始してから貯蔵弾性率が104Paを超えるまでの時間と定義した。
[実施例11]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(1)
実施例2で調製したジシクロヘキシル 2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート 100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(東京化成工業株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。この混合系をガラス基板上に滴下して照射用サンプルを作製した。光照射はコヒレント・ジャパン株式会社製 Verdi(波長532nm)を光源として用い、ビーム径を広げてサンプル全面に照射できるようにして実施した。この方法で、25℃において強度100mW/cm2の光を30分照射することにより、重合硬化物を得た。得られた重合硬化物のGPCによる重量平均分子量Mwと1H NMRの測定結果を示す。
・Mw(GPC):32,000
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.2〜1.9(20H,brs),2.54(4H,brs),4.77(2H,brs),5.34(2H,brs)ppm
[実施例12]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(2)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン 100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(東京化成工業株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、硬化したことを確認できた。硬化時間は52
0秒であった。
[実施例13]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(3)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン 100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、2−ベンゾチアゾールチオール(関東化学株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、硬化したことを確認できた。硬化時間は1370秒であった。
[実施例14]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(4)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン 100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、1−ドデカンチオール(東京化成工業株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、硬化したことを確認できた。硬化時間は650秒であった。
[比較例6]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(5)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン 100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、チオール化合物に代えてベンゾフェノン系光重合開始剤である4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、混合系が硬化したことを確認できなかった。
[比較例7]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(6)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部のみを混合し、チオール化合物を用いずに均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、混合系が硬化したことを確認できなかった。
[比較例8]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(7)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、チオール化合物に代えて増感剤としてN−フェニルグリシン(東京化成工業株式会社製)1質量部とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、混合系が硬化したことを確認できなかった。
[比較例9]ビニルシクロプロパン化合物の光重合(8)
1,1−ビス(メトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロパン100質量部と、ジシクロペンタジエニル−チタン−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)(チバ・ジャパン株式会社製、商品名:Irgacure 784)1質量部と、チオール化合物に代えてビスイミダゾール化合物系光安定剤として2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビスイミダゾール(黒金化成株式会社製、商品名ビイミダゾール)1質量部と、さらに増感剤
としてN−フェニルグリシン1質量部(東京化成工業株式会社製)とを混合し、均一の混合系とした。レオメーターを用いてこの混合系の硬化試験を実施したところ、混合系が硬化したことを確認できなかった。
以上より、シクロプロパン化合物とチタノセン化合物及びチオール化合物を含む実施例11乃至実施例14の混合系は、可視光線を照射することにより重合を達成した。特に実施例11の混合系は硬化時間が短く、好ましい結果を示した。
一方、チオール化合物を使用しない比較例6乃至比較例9は混合系は、たとえ増感剤等を併用しても硬化せず本発明の目的を達成できないことが判明した。

Claims (9)

  1. 式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物。
    Figure 0005459465
    (式(1)中、X及びYは互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれC(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)SR、SC(=O)R、C(=O)NR、SO又はRを表し、
    は非置換の、又は、炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基によって置換された炭素原子数3乃至18のシクロアルキル基を表し、
    は水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。)
  2. X及びYがC(=O)ORを表す、請求項1に記載のビニルシクロプロパン化合物。
  3. が非置換の、又は、炭素原子数1乃至12の直鎖アルキル基、炭素原子数3乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数1乃至12のアシル基、炭素原子数1乃至12のアシルオキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される置換基によって置換された炭素原子数5乃至8のシクロアルキル基を表す、請求項1又は請求項2に記載のビニルシクロプロパン化合物。
  4. がシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基を表す、請求項3に記載のビニルシクロプロパン化合物。
  5. 請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のビニルシクロプロパン化合物の重合により又は該ビニルシクロプロパン化合物とその他のラジカル重合性化合物との共重合により得られる、重合物及び共重合物。
  6. ビニルシクロプロパン化合物の光重合方法であって、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のビニルシクロプロパン化合物と、チタノセン化合物及び、チオール化合物とを含んで成る混合系に、可視光線を照射することを特徴とする光重合方法。
  7. 前記混合系の体積に基づいて、前記ビニルシクロプロパン化合物が50体積%以上を占める、請求項6に記載の光重合方法。
  8. 前記可視光線が波長400乃至550nmの光であることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の光重合方法。
  9. 請求項6乃至請求項のうち何れか一項に記載の方法によって得られる重合物。
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