JP5457248B2 - X線検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検査品に搬送しながらX線を照射し、被検査品を透過したX線をセンサで検出して検査を行なうX線検査装置に係り、特に稼働中にX線を連続的に照射し続けてもセンサが損傷しにくいX線検査装置に関するものである。
下記特許文献1には、最小限のX線照射によってX線センサ部の長寿命化を目指したX線自動検査装置が開示されている。この装置は、対象物品4を搬送する搬送機構5と、対象物品4にX線を照射するX線発生機構1と、対象物品4のX線透過画像を検出するX線センサ部6からのTV映像信号を画像処理する画像処理部7と、画像処理部7からの信号と搬送機構5からの信号を入力とする制御部9と、その出力で作動する駆動手段3により開閉動作をするシャッタ2を有している。
特開平10−132761号公報
前記特許文献1に記載のX線自動検査装置によれば、対象物品を検出するために何らかの検出手段を用い、その出力を利用して駆動手段によりシャッタを開閉してX線の遮蔽制御を行なっている。従って、検出手段や駆動手段が不可欠であり、構造が複雑で部品点数が多く、製造コストが高いという問題があった。また、これらシャッタを駆動制御するための部品自体に故障の可能性があるため、信頼性が十分でないという問題もあった。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの安価な簡単な構造でありながら確実な動作で効果的にX線センサを保護して寿命を改善することができるX線検査装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載されたX線検査装置1a,1b,1cは、
被検査品Wを所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段4と、前記搬送手段4の上方に配置され前記搬送手段4上の照射位置7に向けてX線を照射するX線源6と、前記X線源から照射されたX線を検出するセンサ9とを具備し、前記搬送手段4で搬送されている被検査品Wに前記X線源6からX線を照射し、被検査品Wを透過したX線を前記センサ9で検出することにより被検査品Wの検査を行なうX線検査装置1a,1b,1cにおいて、
前記搬送手段4の上方かつ前記搬送方向について前記照射位置7の上流に配置され、前記搬送手段4によって搬送される被検査品Wに接触して操作される操作部材11,21,31と、
前記操作部材11,21,31と一体に構成され、少なくとも被検査品Wが前記操作部材11,21,31に接触しない状態では前記センサ9をX線から遮蔽し、被検査品Wが前記操作部材11,21,31を操作した場合に移動して被検査品Wを透過したX線が前記センサ9に到達するように前記センサ9の遮蔽を解除する遮蔽部材12,22,32と、
からなるシャッタ装置10,20,30を有することを特徴としている。
請求項2に記載されたX線検査装置1aは、請求項1記載のX線検査装置において、
前記シャッタ装置10の前記操作部材11はX線透過性の材料からなり、上部において前記搬送手段4の上方の支持部13に揺動可能に支持され、被検査品Wが前記操作部材11に接触しない状態において下部は被検査品Wの頂部よりも低く前記搬送手段4に接触しない位置にあり、
前記シャッタ装置10の前記遮蔽部材12はX線遮蔽性の材料からなり、前記下部において前記操作部材11と一体に構成されており、
被検査品Wが前記照射位置7にある場合、X線は前記操作部材11を透過して被検査品Wに照射されることを特徴としている。
請求項3に記載されたX線検査装置1b,1cは、請求項1記載のX線検査装置において、
前記シャッタ装置20,30の前記操作部材21,31はX線透過性の材料からなり、上部において前記搬送手段4の上方の支持部13に揺動可能に支持され、被検査品Wが前記操作部材21,31に接触しない状態において下部は被検査品Wの頂部よりも低く前記搬送手段4に接触しない位置にあり、
前記シャッタ装置20,30の前記遮蔽部材22,32はX線遮蔽性の材料からなり、前記上部において前記操作部材21,31と一体に構成されており、
被検査品Wが前記照射位置7にある場合、X線は前記操作部材21,31を透過して被検査品Wに照射されることを特徴としている。
請求項4に記載されたX線検査装置1b,1cは、請求項3記載のX線検査装置において、
前記シャッタ装置20,30は、前記操作部材21,31と前記遮蔽部材22,32,が所定の角度をもって一体とされ、前記支持部13において回動可能に支持された板状部材であって、被検査品Wが接触していない状態では前記操作部材21,31が鉛直方向に平行な状態にあり、
前記遮蔽部材22,32の前記支持部13を中心とした回動半径についての長さがDS であり、前記所定の角度が直角+θ0 であり、被検査物Wが前記操作部材21,31を操作して前記シャッタ装置20,30を回動させることにより前記X線源6からのX線が前記センサ9に到達し始めた時に、前記シャッタ装置20,30の回動角度がθc であり、前記操作部材21,31の下端が水平方向に移動した距離がDである場合において、次式(1)が成立するとともに、前記被検査品Wの最小高さをh、前記操作部材21,31の前記支持部13を中心とした回動半径についての長さをHS 、前記支持部13の高さをHとすると、次式(2)が成立することを特徴としている。
S cos(θ0 +θc )<D<DS cosθ0 ≦DS …(1)
h=H−HS cosθc …(2)
請求項1に記載されたX線検査装置によれば、搬送手段で被検査品を搬送しながらX線源からX線を照射した場合、被検査品が操作部材に接触していない状態ではセンサはX線から遮蔽されているが、被検査品がシャッタ装置の操作部材を操作した場合には遮蔽部材が移動してセンサの遮蔽を解除するので、X線源からのX線は照射位置を通過する被検査品を透過してセンサに到達し、検査を行なうことができる。また、被検査品がシャッタ装置を通りすぎればシャッタ装置は元位置に復帰して再びセンサをX線から遮蔽する。従って、仮に検査中にX線源からX線を常時照射していたとしても、X線は被検査品の検査に必要な最小限の範囲でセンサに到達するだけであり、センサがX線によって過剰に損傷し、寿命の劣化が早まる恐れは少ない。
請求項2に記載されたX線検査装置によれば、請求項1記載のX線検査装置において、シャッタ装置を、搬送手段の上方の支持部から揺動可能に吊るされたX線透過性の操作部材と、操作部材の下部に一体に取り付けられてセンサを遮蔽する遮蔽部材とによって構成したので、搬送されてきた被検査品が操作部材を押すと遮蔽部材が移動してセンサから外れ、X線源からのX線が操作部材を透過して被検査品に照射されることで上記効果を得ることができる。
請求項3に記載されたX線検査装置によれば、請求項1記載のX線検査装置において、シャッタ装置を、搬送手段の上方の支持部で揺動可能に支持されたX線透過性の操作部材と、操作部材の上部に一体に取り付けられてX線源の照射口を覆ってセンサを遮蔽する遮蔽部材とによって構成したので、搬送されてきた被検査品が操作部材を押すと遮蔽部材が移動してX線源の照射口から外れ、X線源からのX線が操作部材を透過して被検査品に照射されることで上記効果を得ることができる。
請求項4に記載されたX線検査装置は、請求項3記載のX線検査装置において、シャッタ装置を、操作部材と遮蔽部材が所定角度で一体化されて支持部で回動可能とされた板状部材で構成し、その条件を前記式(1)のように設定し、さらに被検査品についての条件も前記式(2)のように設定したので、被検査品はシャッタ装置を通過する時に操作部材に接触して操作し、遮蔽部材を移動させることができ、さらに操作部材の下端が照射位置にきた時には遮蔽部材がX線の遮蔽を解除して被検査品に対してX線が照射状態となるので確実に上記効果を得ることができる。
(a)は第1実施形態に係るX線検査装置の正面図、(b)は同右側面図である。 第1実施形態において、ワークの進入に伴って角度が変化するシャッタ装置とX線との関係を説明する模式図である。 第1実施形態において、シャッタ装置の角度とX線強度との関係を表すグラフを示す図である。 第1実施形態において、シャッタ装置が開放状態から戻った時の角度とX線との関係を説明する模式図である。 (a)は第2実施形態に係るX線検査装置の正面図、(b)は同右側面図である。 (a)は第2実施形態におけるシャッタ装置の定常状態を示す模式図であり、(b)は同シャッタ装置が開放状態から戻った時の状態を説明する模式図である。 第2実施形態において、ワークの進入に伴って角度が変化するシャッタ装置とX線との関係を説明する模式図である。 第2実施形態において、ワークサイズ(高さ)に応じたシャッタ装置の設定について説明するための模式図である。 (a)は第3実施形態に係るX線検査装置の正面図、(b)は同右側面図である。
1.第1実施形態(図1〜図4)
(1)構造
図1に本実施形態に係るX線検査装置1aを示す。このX線検査装置1aは、装置の本体としてX線遮蔽構造の筐体2を備えている。筐体2には、前面と左右両面が解放された開口部3が設けられており、前面の開口には遮蔽性能を有する図示しない扉が開閉自在に設けられ、左右の開口にはのれん状の遮蔽部材15,15が設けられている。筺体の開口部3の底部には、被検査品(以下、ワークWと呼ぶ)を所定の搬送方向(図1(a)では左右方向)に沿って搬送する搬送手段4が、筐体2の開口部3の左右の各開口から各端部を突出させて設置されている。本実施形態の搬送手段4は、複数のローラに無端ベルトを巻装してなるベルトコンベアであり、そのベルトの上側が水平な搬送面5とされ、ワークWを載置して搬送することにより、筐体2の一方の側面の開口から遮蔽部材15を経て筐体2内に送り込み、筐体2内で検査を受けた後、筐体2の他方の側面の開口から遮蔽部材15を経て筐体2外に退出させることができる。
図1に示すように、筐体2の内部において、搬送手段4の上方にはX線源6が設けられている。X線源6は、搬送手段4上の直下位置である照射位置7(検査位置)に向けて照射口8からX線を照射する。図1(a)、(b)に示したX線源6はX線の発生位置を模式的に示すものであり、同図(b)に示すように、X線はこの点から下方の照射位置7に向けて、鉛直面内で下方に向けて三角形状に拡がった状態で照射される。
図1に示すように、X線の照射位置7の反対側となる前記搬送手段4の下側には、X線を検出するセンサ9が設けられている。詳細は図示しないが、センサ9は搬送手段4の搬送方向に直交する方向に所定間隔で並んだ多数の検出素子と、その上方に配置されたシンチレータとを備えており、X線を受けてシンチレータからでた光を検出素子が検出するように構成されている。
また、搬送手段4とX線源6とセンサ9を含む本装置1aの全体は、図示しない制御手段によって制御されるようになっている。検査中は、X線源6からX線が連続的に放射されている。搬送手段4で搬送されたワークWは、照射位置7でX線源6からX線を照射される。そして、ワークWを透過したX線はセンサ9で検出され、その結果からワークWに含まれる異物の検出を行なう等の検査が行なわれる。
図1に示すように、本実施形態に係るX線検査装置1aは、検査時にはX線源6から常時照射されているX線からセンサ9を保護するために、シャッタ装置10を備えている。このシャッタ装置10は、搬送手段4で搬送されるワークWに接触して揺動する操作部材11と、この操作部材11と一体でセンサ9をX線から遮蔽する遮蔽部材12から構成される。
操作部材11は、X線透過性の硬質材料からなる板状の部材であり、図1(b)に示すように、その全体としての外形はX線の略三角形状の照射面に沿った台形状であり、幅方向について略等寸法となるように概ねX線の照射方向に沿って3分割されている。これら各操作部材11は、図1(a)に示すように、搬送手段4の上方かつ搬送方向について照射位置7のやや上流の上方所定位置に設けられた支持部13に、その上端部を回動可能に支持されて設けられている。操作部材11の寸法は、ワークWが操作部材11に接触しない状態では、その下端部がワークWの頂部よりも低く、かつ搬送手段4の搬送面5に接触しない位置にくるように設定されている。本例では、操作部材11の下端部は、搬送手段4の搬送面5には接しないが搬送面5と微小な隙間を隔てた直上位置に設定されている。ワークWが搬送手段4で搬送されて操作部材11に接触すると、操作部材11は支持部13を中心に回動して搬送方向の下流に向けて持ち上がり、ワークWに乗り上げていき、やがてワークWを乗り越えて元の位置に戻る。なお、操作部材11を構成する硬質材料は、搬送されるワークWの接触により撓んだり曲がったりしない程度の強度を有する材料であればよい。
遮蔽部材12は、X線遮蔽性の材料からなり、操作部材11に対して垂直な姿勢で搬送方向の下流に向けられて操作部材11の下端部に一体に取り付けられている。従って、ワークWが操作部材11に接触しておらず、操作部材11が鉛直下方に垂れ下がっている状態では、遮蔽部材12はセンサ9の検出素子が並んでいる部分の近傍直上の位置にあり、X線源6の照射口8から下方の照射位置7に照射されるX線からセンサ9を遮蔽することができる。ワークWが搬送手段4で搬送されて操作部材11に接触し、操作部材11が支持部13を中心に回動すると、遮蔽部材12は操作部材11と共に移動してセンサ9から外れた位置に移動し、照射位置7に来たワークWにX線が照射されるようになる。
(2)シャッタ装置10の作用
次に、以上説明したシャッタ装置10の作用について説明する。
図2は、シャッタ装置10の角度(シャッタ角度)とセンサ9に到達するX線透過強度(X線強度)との関係を説明する図であり、同図(a)から同図(e)にかけて搬送手段4でワークWが搬送され、ワークWに接触したシャッタ装置10の操作部材11が回動する角度と、各状態においてX線がセンサ9に到達する(又はしない)状態を模式的に表したものである。また、図3は、ワークWの位置すなわち操作部材11の回動角度θと、センサ9に到達するX線透過強度Is との関係を示した図である。
図2(a)に示すように、搬送手段4で搬送されているワークWがシャッタ装置10に到達する前は、シャッタ装置10の操作部材11は鉛直下方に垂下しており、遮蔽部材12がセンサ9を覆っている。従って、図3に示すように、X線源6から照射されるX線の強度がI0 であっても、センサ9に到達するX線透過強度Is は0となり、センサ9はX線から防護される。
図2(b)に示すように、搬送手段4で搬送されているワークWがシャッタ装置10の操作部材11に接触して揺動させ、その角度がθc を過ぎると、遮蔽部材12がセンサ9を覆う位置から移動し始め、X線源6からのX線がセンサ9に到達し始める。この時、ワークWは照射位置7にまでは到達していないが、操作部材11は照射位置7にかかっているので、図3に示すように、センサ9に到達するX線の強度Is は、操作部材11を透過した強度Ie となる。この強度Ie は、操作部材11を透過した分だけ、X線源6から照射されるX線の強度I0 よりは小さい。
図2(c)に示すように、搬送手段4で搬送されながらシャッタ装置10の操作部材11を押し開けているワークWがX線の照射位置7に入り始めると、操作部際の角度がθm を過ぎる。X線源6からのX線は、操作部材11を透過した後に、さらにワークWを透過してセンサ9に到達するようになる。従って図3に示すように、センサ9に到達するX線の強度Is は、操作部材11及びワークWを透過した強度となる。図3においては、ワークWによるX線の吸収分をハッチング領域で示している。このX線の吸収分の形状がどのようになるかは、ワークWの形状等にもよるが、図2に示したような直方体状であれば、図3中に示すように吸収領域の形状も略直方体状となり、図2(c)〜(d)に示すようにワークWが照射位置7を通過している間に、センサ9に到達するX線の強度Is は、図3のグラフにおいて、横軸に平行なハッチング領域の底辺に相当する線分で表されることとなる。なおこの強度は、操作部材11及びワークWを透過したX線の強度なので、前記X線源6から照射されるX線の強度I0 より小さいことはもちろん、前記強度Ie よりも小さい。
ワークWがX線の照射位置7を抜けたが、操作部材11はまだワークWに引っ掛かって角度θが増大している状態では、X線源6からのX線は操作部材11を透過し、ワークWにかかることなくセンサ9に到達するので、図3において、ハッチング領域よりも後の角度θで示すように、センサ9に到達するX線の強度Is は操作部材11を透過した強度Ie となる。
図2(e)に示すように、ワークWはやがて操作部材11を通過する。この時の操作部材11の角度θn が操作部材11の最大角度θmax である。ワークWが操作部材11を通過すると、操作部材11は自重で元の位置に戻り、再び遮蔽部材12がセンサ9をX線から遮蔽するので、X線源6から照射されるX線の強度はI0 であるが、センサ9に到達するX線透過強度Is は0となり、センサ9はX線から防護される。
なお、ワークWが操作部材11を通過し、ワークWから離れた操作部材11が自重で元の位置に戻るには若干の時間を要するので、必ずしも操作部材11の角度が角度θn を越えたところで直ちにセンサ9に到達するX線透過強度Is が0となるものではない。また、図4に示すように、ワークWから離れた操作部材11が自重で元の位置に戻る際には、自重による復帰の勢いによって、操作部材11は図2(a)に示す元位置を行き過ぎることも考えられる。図4は、このように操作部材11が元の位置に戻る際に行き過ぎた状態を示したものであり、操作部材11は搬送方向の上流に向けて角度θr だけ持ち上がっている。この場合、遮蔽部材12の搬送方向についての長さを適切に設定しておけば、遮蔽部材12がセンサ9の範囲を覆った状態を保持することは可能である。また、図示しないが、操作部材11の隣、搬送方向の上流側にストッパ部材を設けておき、ワークWに当っていない状態の操作部材11がストッパ部材に突き当たって鉛直に沿った姿勢となるようにすれば、ワークWから離れた操作部材11が自重で元の位置に戻る際に鉛直位置を行き過ぎることを防止できる。
以上説明したように、操作部材11の角度θが0≦θ<θc のとき、X線は遮蔽部材12に遮られてセンサ9には照射されない。そして、θ≧θc のとき、照射位置7(検査位置)に強度Ie のX線が照射され、ワークWの検査を行なうことができる。そして、ワークWが照射位置7(検査位置)を通過する間は、θ>θc となり、ワークWを透過したX線をセンサ9で検出することができる。
以上説明したように、本実施形態のX線検査装置1aによれば、搬送手段4でワークWを搬送しながらX線源6からX線を照射した場合、ワークWが操作部材11に接触していない状態ではセンサ9はX線から遮蔽されているが、ワークWがシャッタ装置10の操作部材11を操作した場合には遮蔽部材12が移動してセンサ9の遮蔽を解除するので、X線源6からのX線は照射位置7を通過するワークWを透過してセンサ9に到達し、検査を行なうことができる。また、ワークWがシャッタ装置10を通りすぎればシャッタ装置10は元位置に復帰して再びセンサ9をX線から遮蔽する。従って、仮に検査中にX線源6からX線を常時照射していたとしても、X線は被検査品の検査に必要な最小限の範囲でセンサ9に到達するだけであり、センサ9がX線によって過剰に損傷することはなく、寿命の劣化が早まる恐れは少ない。
2.第2実施形態(図5〜図8)
(1)構造
図5に示す実施形態に係るX線検査装置1bは、シャッタ装置の構造以外は第1実施形態と同一であるので、以下の説明はシャッタ装置20を中心として行なう。
操作部材21は、第1実施形態と同様、X線透過性の硬質材料からなる板状の部材であり、図5(b)に示すように、その全体としての外形はX線の略三角形状の照射面に沿った台形状であり、幅方向について略等寸法となるように概ねX線の照射方向に沿って3分割されている。これら各操作部材21は、図5(a)に示すように、搬送手段4の上方かつ搬送方向について照射位置7のやや上流の上方所定位置に設けられた支持部13に、その上端部を回動可能に支持されて設けられている。操作部材21の寸法は、ワークWが操作部材21に接触しない状態では、その下端部がワークWの頂部よりも低く、かつ搬送手段4の搬送面5に接触しない位置にくるように設定されている。本例では、操作部材21の下端部は、搬送手段4の搬送面5には接しないが搬送面5に対して微小な隙間を隔てた直上位置に設定されている。ワークWが搬送手段4で搬送されて操作部材21に接触すると、操作部材21は支持部13を中心に回動して搬送方向の下流に向けて持ち上がり、ワークWに乗り上げていき、やがてワークWを乗り越えて元の位置に戻る。
遮蔽部材22は、X線遮蔽性の材料からなり、操作部材21について搬送方向の下流側に配置されるように、操作部材21の上端部に一体に取り付けられている。操作部材21に対する遮蔽部材22の角度は90度よりも大きい所定角度(本例では90度+θ0 )とされている。従って、ワークWが操作部材21に接触しておらず、操作部材21が鉛直下方に垂れ下がっている状態では、遮蔽部材22はX線源6の照射口8の近傍直下の位置にあり、X線源6の照射口8を覆ってX線からセンサ9を遮蔽することができる。ワークWが搬送手段4で搬送されて操作部材21に接触し、操作部材21が支持部13を中心に回動すると、遮蔽部材22は操作部材21と共に回動して照射口8から外れた位置に移動し、照射位置7に来たワークWにX線が照射されるようになる。
(2)ワークWの高さに応じたシャッタ装置20の設定について
本実施形態におけるシャッタ装置20は、ワークWが接触していない状態ではセンサ9をX線から遮蔽し、搬送されてきたワークWに押されると回動し、X線の照射位置7(検査位置)をワークWが通過している間はX線をワークWへ照射させて検査可能な状態とし、ワークWが照射位置7(検査位置)を通過した後には再びセンサ9をX線から遮蔽する動作を行なう。前述したシャッタ装置20の基本構造において、このような動作・作用を確実に行なわせるには、ワークWのサイズに応じてシャッタ装置20の各部の寸法・角度等を適切な条件で設定する必要がある。そこで、本実施形態におけるシャッタ装置20の条件と、ワークWの高さについての条件について、図6〜図8を参照して説明する。
図6(a)はシャッタ装置20の初期状態、すなわちワークWが接触していない状態を示す。操作部材21と遮蔽部材22の角度は90度+θ0 であり、操作部材21は鉛直方向に平行な状態にある。図6(b)は、ワークWがシャッタ装置20を通り抜けた後に、シャッタ装置20が自重で初期状態に戻る際に上流側に角度θr だけ持ち上がった状態を示す。すなわち、シャッタ装置20は支持部13を中心として回動自在となっているため、移動するワークWに押されて図6(a)に示す初期状態から持ち上げられていき、図示しない最大角度まで持ち上げられてから、ワークWが抜けた後は上流側に自重で戻り、初期状態を通り越して図6(b)に示す位置まで回動することができる。
図7は、ワークWの進入に伴って角度が変化するシャッタ装置20とX線との関係を説明する模式図である。図中の符号は、操作部材21が鉛直線となす角度θを示すものであり、初期状態であるθ=0、ワークWが操作部材21を押してX線がセンサ9に照射され始めた角度θ=θc 、ワークWが照射位置7(検査位置)に入った角度θ=θm 、ワークWが照射位置7(検査位置)を通過した後の最大角度θmax =θn を示している。すなわち、θ≧θc のとき、照射位置7(検査位置)にX線が照射されるようになり、その後、ワークWが照射位置7(検査位置)を通過するまでの間、ワークWをX線で検査することができ、ワークWが接触する前と、ワークWが通過した後には、センサ9は遮蔽部材22で覆われてX線から遮蔽される。シャッタ装置20をこのように作動させるためには、以下に説明するような条件を満たす必要がある。
図8は、シャッタ装置20がワークWに押されて回動し、操作部材21の鉛直線に対する角度θがθc となり、遮蔽部材22がX線源6の照射口8を開放してX線が照射位置7(検査位置)に照射され始めた状態を示している。
同図中に示すように、遮蔽部材22の支持部13を中心とした回動半径についての長さをDS 、操作部材21の支持部13を中心とした回動半径についての長さをHS 、支持部13の搬送面5からの高さをH、前記操作部材21の下端が水平方向に移動した距離がDである場合において、次式(1)が成立することが必要である。
S cos(θ0 +θc )<D<DS cosθ0 ≦DS …(1)
特に、θ0 =0の場合、満たすべき条件は下記式(1’)のようになる。
S cosθc <D<DS …(1’)
また、ワークWのサイズ(高さHw )も必要な条件を満たす必要がある。すなわち、ワークWが低すぎると、操作部材21に触ることができずシャッタ装置20が作動しないのでX線が照射されず、また仮にシャッタ装置20が作動してもX線が照射されるまで十分に遮蔽部材22が移動しない場合がありうるので、θ=θc を臨界的な角度としてX線が照射され始める角度とするためには、ワークWの最小高さをhとすると、次式(2)が成立することが必要である。
h=H−HS cosθc …(2)
但し、cosθc =(HS 2 −D2 1/2 /HS
∵sinθc =D/HS
この時、照射位置7(検査位置)をワークWが通過すれば、θm ≧θc となり、シャッタ装置20の操作部材21を透過した強度のX線(第1実施形態の強度Ie )によりワークWが検査される。
このようにワークWの高さHwの範囲の下限を上記式(2)のhとする必要があるが、ワークWの高さHw <h、もしくはばらつきによりHwmin<hとなる場合には、シャッタ装置20の取り付け高さ、すなわち支持部13の高さHを下げる必要がある。但し、最も低い取り付け位置Hmin =HS である。
また、ワークWの高さHw ≫hである場合には、ワークWが照射位置7に達するよりもずっと前にX線の遮蔽が解除されてしまう。このような条件下でワークWの高さが安定している場合には、Hを大きくしてもよい。但し、H<Hw とする。また、このような条件下でワークWの高さが不安定な場合には、Dを小さくしてもよい。但し、D>DS とする。
前述したように、このシャッタ装置20は、ワークWを乗り越えた後に、初期状態を通り越して図6(b)に示す逆方向の位置まで回動できるようになっているが、操作部材21がストッパ部材に突き当たって鉛直に沿った姿勢となるようにすれば、ワークWから離れた操作部材21が自重で元の位置に戻る際に鉛直位置を行き過ぎることを防止できる。
3.第3実施形態(図9)
図9に示す実施形態に係るX線検査装置1cは、シャッタ装置30の構造以外は第2実施形態と基本的に同一であり、第2実施形態と対応する各部には図5と同様の符号を付してその説明を援用する。本実施形態は、第2実施形態と比べた場合、操作部材31はやや短く、遮蔽部材32はやや長く、操作部材31と遮蔽部材32の角度が直角であるという特徴を有しているが、第2実施形態と同様、シャッタ装置20及びワークWに関する式(1)及び(2)で示した設定条件は本実施形態においても必要である。本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果が得られる他、このように操作部材31が短いシャッタ装置30について適当な高さの定型のワークWを適用すれば、操作部材21が相対的に長い第2実施形態の場合に比べ、ワークWが通過すると早期に遮蔽部材32でX線が遮蔽されるので、センサ9にX線が照射される時間が一層短くなり、センサ9の劣化が進みにくいという効果がある。
また本実施形態によれば、ワークWが通過しきるときのシャッタ装置30の回動角度を小さくでき、シャッタ装置30が初期状態に戻るときの勢いを弱くして続いて搬送されてきたワークWに与える衝撃を和らげることができる。さらに、ワークWが検査位置を通過する間、操作部材31がX線照射経路に位置することがなく、操作部材31によるX線の吸収がないので、図3におけるIe をIo に等しくでき、操作部材31による減衰をなくして効率よくX線をワークWに照射することができる。さらにまた、操作部材31をX線透過性の材料で構成する必要がないので、遮蔽部材32と同じ材質とし、1枚の金属板を曲げ加工して容易に製作できる他、耐久性も向上させることができる。
1a,1b,1c…X線検査装置
4…搬送手段
5…搬送面
6…X線源
7…照射位置(検査位置)
9…センサ
10,20,30…シャッタ装置
11,21,31…操作部材
12,22,32…遮蔽部材
13…支持部
W…被検査品(ワーク)

Claims (4)

  1. 被検査品(W)を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段(4)と、前記搬送手段の上方に配置され前記搬送手段上の照射位置(7)に向けてX線を照射するX線源(6)と、前記X線源から照射されたX線を検出するセンサ(9)とを具備し、前記搬送手段で搬送されている被検査品に前記X線源からX線を照射し、被検査品を透過したX線を前記センサで検出することにより被検査品の検査を行なうX線検査装置(1a,1b,1c)において、
    前記搬送手段の上方かつ前記搬送方向について前記照射位置の上流に配置され、前記搬送手段によって搬送される被検査品に接触して操作される操作部材(11,21,31)と、
    前記操作部材と一体に構成され、少なくとも被検査品が前記操作部材に接触しない状態では前記センサをX線から遮蔽し、被検査品が前記操作部材を操作した場合に移動して被検査品を透過したX線が前記センサに到達するように前記センサの遮蔽を解除する遮蔽部材(12,22,32)と、
    からなるシャッタ装置を有することを特徴とするX線検査装置(1a,1b,1c)。
  2. 前記シャッタ装置(10)の前記操作部材(11)はX線透過性の材料からなり、上部において前記搬送手段(4)の上方の支持部(13)に揺動可能に支持され、被検査品(W)が前記操作部材に接触しない状態において下部は被検査品の頂部よりも低く前記搬送手段に接触しない位置にあり、
    前記シャッタ装置の前記遮蔽部材(12)はX線遮蔽性の材料からなり、前記下部において前記操作部材と一体に構成されており、
    被検査品が前記照射位置にある場合、X線は前記操作部材を透過して被検査品に照射されることを特徴とする請求項1記載のX線検査装置(1a)。
  3. 前記シャッタ装置(20,30)の前記操作部材(21,31)はX線透過性の材料からなり、上部において前記搬送手段(4)の上方の支持部(13)に揺動可能に支持され、被検査品(W)が前記操作部材に接触しない状態において下部は被検査品の頂部よりも低く前記搬送手段に接触しない位置にあり、
    前記シャッタ装置の前記遮蔽部材(22,32)はX線遮蔽性の材料からなり、前記上部において前記操作部材と一体に構成されており、
    被検査品が前記照射位置にある場合、X線は前記操作部材を透過して被検査品に照射されることを特徴とする請求項1記載のX線検査装置(1b,1c)。
  4. 前記シャッタ装置(20,30)は、前記操作部材(21,31)と前記遮蔽部材(22,32)が所定の角度をもって一体とされ、前記支持部(13)において回動可能に支持された板状部材であって、被検査品(W)が接触していない状態では前記操作部材が鉛直方向に平行な状態にあり、
    前記遮蔽部材の前記支持部を中心とした回動半径についての長さがDS であり、前記所定の角度が直角+θ0 であり、被検査物が前記操作部材を操作して前記シャッタ装置を回動させることにより前記X線源からのX線が前記センサ(9)に到達し始めた時に、前記シャッタ装置の回動角度がθc であり、前記操作部材の下端が水平方向に移動した距離がDである場合において、次式(1)が成立するとともに、
    前記被検査品の最小高さをh、前記操作部材の前記支持部を中心とした回動半径についての長さをHS 、前記支持部の高さをHとすると、次式(2)が成立することを特徴とする請求項3記載のX線検査装置。 DS cos(θ0 +θc )<D<DS cosθ0 ≦DS …(1)
    h=H−HS cosθc …(2)
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