JP3946542B2 - X線検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品に含まれる金属異物に限らず非金属異物も検出できるX線検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線検査装置では、装置本体内に搬送コンベアとX線源を設け、このX線源からのX線を搬送コンベアで搬送される物品に照射して異物検査や物品の入り数検査等を行う。特に物品が食品の場合、衛生上の理由より物品が接触する部位の清掃が必須となる。このため、物品が接触する部位はX線検査装置から着脱可能になっており、検査作業が完了した後に各部位をX線検査装置から取り外し清掃を行っている。
【0003】
また、上記X線検査装置は物品の製造ラインに組み込まれて使用されることが一般的なため、検査等を連続的に高速処理することも要求される。
通常X線検査装置は検査原理としてX線を利用するため、装置の検査領域を金属製の筐体で覆いX線が外部に漏洩しないようになっている。また、上記のように検査を連続的に高速で行うため筐体に開口部を設け、その開口部を通る空間に物品を搬送する搬送コンベアを配置している。この搬送コンベアにて物品を筐体内部に搬送し、筐体内でX線を照射した上で物品を検査して、検査した物品を筐体内部から外部に排出させている。
【0004】
しかし、開口部を開放したままでは開口部からX線が漏洩するため、本装置の筐体内部の開口部や物品の搬送途上に遮蔽カーテンを配置して内部からのX線漏洩を防止している。
ところで上記の衛生上の理由により遮蔽カーテンも清掃の対象となり、遮蔽カーテンを筐体内から取り外して清掃を行う。また、この遮蔽カーテンは遮蔽効率を上げるため物品や搬送コンベアに常に密着しており、消耗が激しい。例えば先端が擦り切れたり、途中で切れる場合がある。このため、消耗した遮蔽カーテンを交換する。このような清掃や交換時に遮蔽カーテンの取り外しを容易にするため、筐体には上記開口部と共に前記搬送コンベアに沿って筐体側面に開閉扉を設けている。この開閉扉から遮蔽カーテンなどを筐体外部に取り出す。
【0005】
しかし、遮蔽カーテンが筐体から取り外されたままでX線検査装置を稼動させると照射されたX線が開口部から外部に漏れ出す恐れがあり問題がある。
上記問題点を解決するために本出願人は特願2000−266525号の装置を提案している。この装置では、清掃等で取り外された遮蔽カーテンや搬送コンベア等の部品の非存在を検知し、X線の外部に対する非遮蔽状態を検知する開放検知器を設け、部品が適切に装着されていない場合にはX線の照射を停止させる照射停止手段を備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記装置では下記のような問題がある。例えば、遮蔽カーテンの非存在を検知する開放検知器を別途設けなくてはならず、費用的にコストアップになると共にその開放検知器そのものの検知能力の維持をしなければならずメンテナンスが煩わしい。
【0007】
また、通常開閉扉は部品の取り外しを容易にするため搬送コンベアに沿った筐体の側方に配置される。他方前述の物品の搬入出口である開口部は物品の搬送路に沿って配置されている。つまり、開口部は開閉扉に対して左右側部に90度の向きに配置される。このため、作業員が開閉扉と対向して立つと、開口部の開口状態(遮蔽カーテンの非存在)を確認することは困難になる。また、X線検査装置の操作部も搬送コンベアに沿った筐体側面(開閉扉と同じ面)に配置されるため同様に装置を操作する場合、開口部の開口状態(遮蔽カーテンの非存在)を確認することは困難になる。
【0008】
加えて通常筐体はX線漏洩防止のため金属製で不透明であるため、開閉扉を閉めてしまうと開閉扉側からでは内部の状態(遮蔽カーテンの非存在)は確認できない。このため、上記装置で開閉扉が閉じられ、かつ、開放検知器が故障しているとX線検査装置を起動してX線の照射を始めてしまう恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、X線の外部漏洩を防止する遮蔽カーテンの存在を別途検知器等を用いることなく効果的に確認できると共に、遮蔽カーテンの適切な装着を確保できるX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、請求項1に記載の発明は、前記物品を搬送する搬送経路上に設けられた開口部と該搬送経路の側方に設けられた開閉扉とを有し前記搬送経路を囲む筐体と、該筐体内に配置されたX線源と、前記筐体内の前記搬送経路途上に配置され、前記X線源によって照射されるX線の前記開口部からの漏洩を遮蔽する遮蔽カーテンと、該遮蔽カーテンを前記筐体内へ着脱させる着脱機構とを備え、前記搬送中の物品を透過する前記X線源からのX線を画像処理して物品の検査を行うX線検査装置であって、前記遮蔽カーテンが正常な位置に装着されていない場合、前記開閉扉の閉鎖を阻止する閉鎖阻止機構を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、別途検知器等を用いなくても遮蔽カーテンの未装着を防止でき、遮蔽カーテン未装着によるX線の本装置外への漏洩を防止できるため、複雑な制御をしなくてすむ。また、余分なコストをかけることもない。また、遮蔽カーテンの未装着の状態を開閉扉の閉鎖状態にて確認できるため、本装置の外観の状態にて識別可能になる。そのため、開閉扉を開いて遮蔽カーテンの装着状態を確認をする煩わしさがない。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のX線検査装置であって、前記閉鎖阻止機構は前記開閉扉の開経路と開経路外との間を移動する閉鎖阻止部材と、該閉鎖阻止部材を前記着脱機構による前記遮蔽カーテンの取り外しに連動して前記開閉扉の開経路の位置に保持させる保持部材と、前記遮蔽カーテンの装着に連動して前記保持部材の保持を解除することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、遮蔽カーテンを取り外すと連動して開閉扉を閉鎖不能にし、遮蔽カーテンを装着すると連動して開閉扉を閉鎖可能にする。このため、遮蔽カーテンの着脱作業に連動させて効率的にミス無く遮蔽カーテンの未装着状態の確認が可能になる。また、閉鎖阻止部材は前記開閉扉の開経路に移動することで開閉扉の閉鎖を阻止するため、開閉扉の閉鎖を確実に抑制できる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のX線検査装置であって、前記閉鎖阻止部材は棒部材であり、前記移動は該円柱部材が前記搬送経路と直交する垂直面内で回動し、前記保持部材による保持は該円柱部材を水平状態で保持し、前記保持部材による保持が解除されると該棒部材は垂直状態になることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、棒状の閉鎖阻止部材が搬送経路と直交する垂直面内の回動であるため、閉鎖阻止部材の位置が搬送経路の側方に対してスムーズに突出もしくは後退し、その突出と後退との間の距離を大きくできる。このため搬送経路の側方に設けられた開閉扉の閉鎖を確実に抑制できると共に閉鎖阻止部の作動による耐久性が高い。さらに、遮蔽カーテンが装着され、本装置が稼動可能な時には棒部材が垂直状態になるため、水平部の面積が狭く、ゴミ等の堆積が少なくなるため衛生的である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載のX線検査装置であって、前記遮蔽カーテンを複数備え、前記閉鎖阻止部材は前記複数の遮蔽カーテンのおのおのに対応して設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、複数の閉鎖阻止部材が複数の遮蔽カーテンのおのおのに対応して設けられいるため、遮蔽カーテンが装着されていない場合に装着されていない遮蔽カーテンの場所に応じて開閉扉の閉鎖阻止状態が異なる。そのため、どの位置の遮蔽カーテンが装着されていないかが本装置の外観の状態にて識別可能になる。
また、開閉扉が開状態で本装置の内部が確認できる状態であっても、前記閉鎖阻止部材の閉鎖阻止の状態と閉鎖阻止しない状態では外観が異なるため、一目瞭然でどの位置遮蔽カーテンが装着されていないかが確認できる。また、別途検知器等を用いなくても未装着の遮蔽カーテンの位置が特定できるため、複雑な制御をしなくてすむ。また、余分なコストをかけることもない。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、
請求項2から4のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記閉鎖阻止機構は前記着脱機構の一部を構成していることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、閉鎖阻止機構は着脱機構の一部を構成しているため、閉鎖阻止機構を着脱機構と別に用意する必要がなく装置の構成がシンプルになる。また、遮蔽カーテンの着脱作業と一体化して開閉扉の閉鎖を阻止するため、閉鎖を阻止を確実にできる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、
請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記着脱機構は前記遮蔽カーテンを前記搬送方向に対して左右方向から着脱させることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、通常遮蔽カーテンは漏洩防止のために鉛を含有した繊維もしくは鉛を塗布したカーテンを用いる。そのため遮蔽カーテンの重量は重く、遮蔽カーテンの着脱は作業者が両手にて行うことが通常である。このような遮蔽カーテンを着脱させる場合に本発明のように左右から着脱する着脱機構を用いれば、重量物である遮蔽カーテンの重量を着脱機構が支えるため、着脱作業時に遮蔽カーテンの重量が負担にならずに着脱作業を行うことができ、作業が軽減する。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載のX線検査装置であって、前記保持部材の保持を解除する保持解除部材と、前記着脱機構は、前記筐体内に固定された円柱状の吊下バーと、前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下バーの外周面と係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる吊下リングとを有し、前記閉鎖阻止部材は前記吊下バーの前記開閉扉側に延設され前記吊下バーに対して回動する円柱状の回動バーであり、前記保持部材は前記回動バーを前記吊下バーの延長方向に保持する保持リングであり、前記保持解除部材は前記吊下リングの一部であることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、着脱機構がバーとリングとの係合で構成されているため遮蔽カーテンの着脱がスムーズになると共に、遮蔽カーテンの装着の位置固定が確実なものとなる。また、各部位の外周が曲面であるため水平部の面積が狭く、ゴミ等の堆積が少なくなるため衛生的である。
【0024】
また、請求項8に記載の発明は、
請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記着脱機構は前記遮蔽カーテンを上下方向から着脱させることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、着脱時の係合方向が上下方向になるため、係合部位にゴミ等が堆積しても着脱の際取り外されるため、清掃対象になり雑菌等の繁殖が押さえられる。
【0026】
また、請求項9に記載の発明は、
請求項8に記載のX線検査装置であって、前記保持部材の保持を解除する保持解除部材と、前記着脱機構は、
前記筐体内に固定された吊下部材と、前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下部材に下方から係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる被吊下部材とを有し、前記閉鎖阻止部材は前記吊下部材内に設けられた円柱状の回動バーであり、前記保持部材は前記回動バーの先端を上方に付勢する付勢部材と前記回動バーを水平位置に規制する規制部材とで構成され、前記保持解除部材は前記被吊下部材の一部であることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、閉鎖阻止時には円柱部材が水平に保持されるが、円柱部材のため、外観の水平部に平面がないため、ゴミ等の堆積が少なくなるため衛生的である。
【0028】
また、請求項10に記載の発明は、
請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記着脱機構は、前記筐体内に固定され水平面と該水平面に設けられたスリットとで構成される吊下部材と、前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下部材の前記水平面とスリットとに係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる断面T字形状の被吊下部材とを有し、前記閉鎖阻止部材は水平面と該水平面に設けられたスリットと円柱状の部材とを備える回動バーであり、前記保持部材は前記回動バーの先端を上方に付勢する付勢部材と前記回動バーを水平位置に規制する規制部材とで構成されることを特徴とするX線検査装置。
【0029】
この発明によれば、簡単な構造で遮蔽カーテンの位置固定と着脱が簡単になる。さらに、閉鎖阻止時には円柱部材が水平に保持されるが、円柱部材のため、外観の水平部に平面がないため、ゴミ等の堆積が少なくなるため衛生的である。
【0030】
また、請求項11に記載の発明は、
請求項1から10のいずれかに記載のX線検査装置であって、前記開閉扉の閉鎖状態を検知する閉鎖センサーと、該閉鎖センサーの信号に基づき前記開閉扉が閉鎖状態でない場合に前記X線源からのX線の照射を停止する制御手段を備える。
【0031】
この発明によれば、開閉扉の閉鎖状態に応じて自動的にX線の照射を停止するため、さらにX線の漏洩を確実に防止できる。
【0032】
なお、本明細書で円柱とは外観が曲面で覆われている棒状部材の意味で内部が部材で充填されているか否かは問わない。つまり円筒をも含む。
【0033】
【発明の実施の形態】
<第1実施例>
本発明に係るX線検査装置1の外観斜視図を図1に示す。このX線検査装置1は、搬送コンベアにより食品などの被検査物品を搬送し、被検査物品の検査を行う装置である。
【0034】
X線検査装置1は、図1、図2、図3及び図4に示すように、筐体1、コンベア2、X線源3、ラインセンサ4、遮蔽カーテンユニット5、操作部6、制御部7を備えている。筐体1の側面(図1において右側側面と対向する面)それぞれに開口部10が備えられており、筐体1を貫通する空間を形成している。コンベアは2はこの開口部10で形成された空間に端部を筐体1から突出させた状態で水平に配置されている。また、図1における筐体1の正面には開閉扉11を備える。操作部6にはLCDモニタ61、電源スイッチ62が配置されている。
【0035】
筐体1は、X線検査装置の機器をその内部に納めており、内部で発生するX線を外部に漏れないよう遮蔽するためにステンレスで構成されている。図2の内部正面図に示すように筐体1内部は、両側面に開口部10を有し、この開口部10を通して被検査物A品がX線検査装置に搬入出される。
X線検査装置の正面に配置される開閉扉11は図3の内部平面図に示すように観音開き構造になっており、扉両サイド端部を回転中心としている。また開閉扉11には図1に示すように取手兼ロック機構111が設けられている。この取手兼ロック機構111は開閉扉を開く場合には取手兼ロック機構111を手で図3の下方に引っ張ることで扉の閉鎖状態のロックを解除する。閉鎖状態とは図3にの下部で示す実線の開閉扉11の状態で筐体1に対して側面を密閉する状態のことである。取手兼ロック機構111さらに引っ張ることで開閉扉11が図3の点線の開閉扉11c、11b、11aのように開く。開閉扉11を閉鎖させる場合には上述とは逆の動作を行う。開閉扉が閉じると前述取手兼ロック機構111によって図3に示す実線の開閉扉11の状態になり固定される。またこの開閉扉11を開けて内部にアクセスすることにより、筐体1の内部の清掃や、後述する遮蔽カーテン51やコンベア2を着脱させることが可能となる。
【0036】
X線源3は、X線を発生して被検査物品Aに照射するための装置であり、図2に示すように筐体1内部上方に設けられている。X線源3からのX線は、図2に示すように下方に照射される。
【0037】
ラインセンサ4は、X線源3からのX線を検知するための装置であり、X線源3からのX線が照射される筐体1の内部下方でかつコンベア2の下方に設けられている。ラインセンサ4により被検査物品Aを透過してくるX線の強度を測定する。
【0038】
コンベア2は被検査物品Aを搬送する搬送機構である。コンベア2はX線源3の下方であってラインセンサ4の上方に着脱可能に配置されている。また、コンベア2は、開口部10を通って端部を外部に露出しており、図示しない上流の外部コンベアから被検査物品Aを筐体1の内部に搬入させ、X線検査された被検査物品Aを図示しない下流の外部コンベアに搬出させる。ラインセンサ4の近傍のコンベア2の下部には、図2に示されるように、ラインセンサ4の表面で散乱したX線の漏洩を防ぐためのコンベア遮蔽部材41が備えられている。コンベア5の駆動は図4に示すコンベアモータ23により回転駆動される。その際にコンベア2の速度はコンベアモータ23に備え付けられるエンコーダ24によりモニタされ後述する制御部7に伝えられる。
【0039】
遮蔽カーテンユニット5は、筐体1の内部上方にコンベア2の搬送方向に直交して垂下されている取付部材12にそれぞれネジ止めされている。また、遮蔽カーテンユニット5は取付部材12からコンベア2に接するように垂れ下げてコンベア2の上方に設置されている。本実施形態において、遮蔽カーテンユニット5は、開口部10付近を含めて、図2に示されるようにコンベア2の搬送方向に沿って6ヶ所に設けられている。また開口部10に最も近い図2に示す両サイドの遮蔽カーテンユニットは開口部10を内部から完全に覆い閉じる位置に配置されている。また、遮蔽カーテンユニットは図5に示すように、遮蔽カーテン51、着脱機構52と閉鎖阻止機構53とから構成される。この遮蔽カーテンユニットは図3に示すように閉鎖阻止機構53を開閉扉側になるように設置される。この遮蔽カーテンユニット5の詳細は後述する。
【0040】
LCDモニタ61は、筐体1の前面部上方に設けられており、X線検査装置の状態、被検査物品AのX線画像、判断結果などが示される表示部である。また、LCDモニタ61は、タッチパネル機能を有しており、設定などの入力を促す表示も行う。
【0041】
制御部7は、検査の不良判断の認識をしたりX線検査装置の制御を行ったりする。制御部7は、図4に示されるように、CPU71を搭載すると共に、ROM72、RAM73、HDD74などの記憶部を搭載しており、図示しないバスで各々が接続されている。また制御部7には前述のX線源3、ラインセンサ4、コンベア23、エンコーダ24、LCDモニタ61、閉鎖センサ12が接続されており、X線源3によるX線の照射の制御を行ったり、ラインセンサ4からのX線の透過信号を画像処理して被検査物品Aの検査を行う。また、閉鎖センサ12は図3に示すように筐体1内部で開閉扉11回転軸近傍に配置されている。閉鎖センサ12は開閉扉11の開閉状態を検知するもので、図3の実線で示す開閉扉11が完全に閉鎖されると、閉鎖信号を制御部に出力する。反対に点線で示すように開閉扉11が開放状態の場合には閉鎖信号を出力しない。制御部7は閉鎖センサ12からの閉鎖信号を受信しなければX線源からX線の照射をしない、もしくは照射中の場合には照射を停止する。つまり制御部7は閉鎖センサ12からの閉鎖信号に基づきX線源3からのX線の照射を制御する。
【0042】
<X線検査装置の動作>
X線検査装置は、コンベア2により被検査物品Aを搬送して、X線源3から照射されて被検査物品Aを透過したX線の強度をラインセンサ4において測定する。コンベア2は制御部7により制御されるコンベアモータ23により作動する。コンベア2で被検査物品Aを搬送しながら取得される一定時間毎のラインセンサ4の測定信号に基づき、制御部7が被検査物品AのX線画像を作成する。このX線画像により被検査物品Aの内部を検査して、所定基準値以上の測定信号レベルが検出されると異物が混入した物品として不良の判断する。また、物品の割れ欠けを検査する場合には、測定信号を画像処理して物品の輪郭を形成し、記憶している基準形状と比較して物品の形状不良を判断する。また、物品中の個別品の入り数検査を行う場合には同様に測定信号を画像処理して個別品の輪郭を形成し、記憶している基準形状との比較により物品の内部の個別物品の入り数を判断して、基準数であれば合格の判断を下し、基準数でなければ不合格の判断を下す。
【0043】
次に本発明の主要部である遮蔽カーテンユニット5の詳細な説明を行う。
この遮蔽カーテンユニット5は図5に示すように、遮蔽カーテン51、着脱機構52と閉鎖阻止機構53とから構成される。
【0044】
遮蔽カーテン51は鉛入りゴム製のカーテンで、後述する取付金具523に両サイドから挟まれ、ビス止めされている。遮蔽カーテン51はX線を吸収し、開口部10からのX線の漏洩を防止する。また、遮蔽カーテン51は垂直方向に平行の複数の切れ込みがある。この切れ込みによって被検査物品Aが搬送され遮蔽カーテンを押し上げる際に、カーテン全体ではなく部分的に押し上げることで遮蔽カーテン51の重量による被検査物品Aの搬送の阻害を防止する。また遮蔽カーテン51が部分的に押し上がるため、遮蔽カーテン51全体が持ち上がり被検査物品Aと遮蔽カーテン51との間に大きな隙間ができることを防止する。
【0045】
着脱機構52は遮蔽カーテン51をX線検査装置の筐体1内部から着脱させる機構で、吊下バー521、1個の第1吊下リング522a、4個の第2吊下リング522bと取付金具523とから構成され、ステンレス製である。
【0046】
吊下バー521は下部が円柱部材で、この円柱部材に沿って板状のブラケットが溶接されている。また、図5に示すように吊下バー521の左端部には小径のバーが延設されている。この小径のバーの先端部には水平方向に回転軸524が備えられている。また、ブラケットには筐体内の取付金具12に取り付けるビス穴が設けられ、このビス穴にビスを通して図2に示すように筐体内に垂れ下げて固定設置される。
第1吊下リング522aは取付金具523の上端部に溶接された環状のリングである。また、第2吊下リング522bも取付金具523の上部に溶接され環状のリングであるが上方の環部の一部を切り欠いている。この第1吊下リング522a、第2吊下リング522bが図5の一点鎖線で示すように吊下バー521の左側から差し込まれ、吊下バー521の円柱部材外周とリングの内周とが係合することで、遮蔽カーテン51が吊下バー521に対して装着される。また第2吊下リング522bを差し込む際にリングの切り欠き部がブラケットに対応しているため、差し込む際に邪魔にならないようになっている。
取付金具523は2枚のステンレス板でできており、その間に遮蔽カーテンを挟みビス止めする。
【0047】
閉鎖阻止機構53は前述の開閉扉11の閉鎖を阻止する機構で、第1回転バー531a、第2回転バー531b、保持リング532、保持バネ533と取付リング534とから構成され、ステンレス製である。
【0048】
第1回転バー531aは円柱部材で右端部の中心にネジ穴が形成されており、第2回転バー531bの左端部に設けられたネジ部との係合によって第1回転バー531aと第2回転バー531bとを一体的に結合する。またその外周は、前述の第1吊下リング522aと第2吊下リング522bとの内径よりも小さい。つまり、第1回転バー531aの外周を第1吊下リング522aと第2吊下リング522bとがスライド可能になっている。
【0049】
第2回転バー531bは右端部に前述した回転軸524に対応した水平の穴が貫通して設けられている。この穴と前述の回転軸524とを同軸にビス止めする。そのため吊下バー521に対して一体化された第1回転バー531aと第2回転バー531bとが回転軸534を中心として垂直方向に回転可能になっている。またその外径は吊下バー521の小径部と同一であり、第1回転バー531aの外径よりも小さい。
【0050】
保持リング532は内径を2種類有しており、左側に設けられた小径部位は吊下バー521の小径部及び第2回転バー531bの外周径より大きく、第1回転バー531aの外径よりも小さく形成されており、吊下バーの小径部及び第2回転バー531bの外周に挿入され、スライド可能である。他方右側の大径部位の径は後述する保持バネ533の外径より大きくなっている。このため内部に保持バネ533の一部を収納可能になっている。この保持リング532の左端部は第1回転バー531aの右端部によって左へのスライドが規制されるようになっている。またその外周は2種類の外径を有しており、図5に示す左側は第1吊下リング522aと第2吊下リング522bとの内径よりも小さい。他方右側は第1吊下リング522aの内径よりも大きいが、第2吊下リング522bの内径よりも小さく第1回転バー531aの外径とほぼ同一である。このため、第2吊下リング522bは保持リング532の外周をスライドできるが、第1吊下リング522aは小径の外周部までで右方へのスライドが規制される。規制以上に右側にスライドする場合には保持リング532は第1吊下リング522aと共に一体となって右側にスライドする。
【0051】
また、取付リング534は内径を2種類有しており、右側に設けられた小径部位は吊下バー521の小径部及び第2回転バー531bの外径より大きく形成されており、吊下バーの小径部及び第2回転バー531bの外周に挿入され、スライド可能である。他方左側の大径部位の径は後述する保持バネ533の外径より大きくなっている。このため内部に保持バネ533の一部を収納可能になっている。この取付リング534の右端部は吊下バー521の大径部の左端部にてそのスライドが規制されている。またその外周は、前述の第2吊下リング522bとの内径よりも小さく、吊下バー521の大径部と外径とほぼ同一である。このため、取付リング534の外周を第2吊下リング522bがスライド可能になっている。
【0052】
また、保持バネ533は圧縮バネで、内周径が吊下バーの小径部及び第2回転バー531bの外径より大きく形成されており、吊下バー521の小径部及び第2回転バー531bの外周にスライド可能に挿入されている。保持バネ533はその左端部で保持リング532を左側に付勢し、その右端部で取付リング534を右側に付勢する。つまり、図5に示すように吊下バー521の小径部へ左より保持リング532、保持バネ533と取付リング534の順に挿入され、その最左端部に第1回転バー531aが装着される。この構成によって図6(a)に示すように保持バネ533によって保持リング532を第1回転バー531a側に、取付リング534を吊下バー521の大径部側に付勢している。
この保持バネ533と保持リング532とが閉鎖阻止機構の保持部材に相当する。
【0053】
このように着脱機構52は水平方向から遮蔽カーテン51を装着し、重い遮蔽カーテン51でも第1吊下リング522aや第2吊下リング522bによって遮蔽カーテン51の自重を支えるため作業者の着脱作業の負担が軽減する。さらに装着方向が被検査物品Aの搬送装置と直交しているため、被検査物品Aの搬送方向側方からの着脱が可能になる。通常被検査物品Aの搬送方向には上流や下流の装置等があるため、作業スペースがない場合が多い。他方、搬送方向側方では作業スペースを確保しやすいため着脱作業が容易に行える。
【0054】
次に遮蔽カーテンユニット5の着脱動作を図6、図7を用いて説明する。
まず、装着する場合図6(a)に示すように第2吊下リング522bを左側より第1回転バー531a、保持リング532および取付リング534を経由して吊下バー521に挿入し、右側に向かってスライドさせる。この場合第1回転バー531a、第2回転バー531bは保持バネ533によって付勢された保持リング532の内径が回転軸524の位置にあるため回転不可能になっている。つまり、吊下バー521、第1回転バー531aと第2回転バー531bが一直線上に配置される。
【0055】
次に図6(b)に示すように第1吊下リング522aが保持リング532に当接する。さらに右側へのスライドさせると第1吊下リング522aと保持リング532は一体となって右側にスライドする。
【0056】
さらに第1吊下リング522aの右側へのスライドが進むと図7(c)に示すように回転軸524が外部に露出する。このため、第1回転バー531a、第2回転バー531bの回転の規制が解除され、第1回転バー531a、第2回転バー531bが上下方向に回転可能になる。つまり第1吊下リング522aが保持解除機構としての機能を有する。また、第1吊下リング522aは右側への移動は、取付リング534と保持リング532とが当接し、保持リング532の移動が規制されているため、その移動が規制される。
【0057】
次に図7(d)に示すように第1回転バー531aは自重によって前記回転軸524を中心として下方に回転する。その回転は第1回転バー531aの外周が取付金具523に当接することで停止する。そして、第1回転バー531aが吊下バー521に対して90度に折れ曲がることで第1吊下リング522aの左側への移動の規制される。他方第1吊下リング522aは保持リング532を介して保持バネ533によって常時左方に付勢されているため、この位置で遮蔽カーテン51の装着位置が固定される。このように第1回転バー531aの回動が遮蔽カーテン51の着脱の位置ロック機構になっている。
また上述のように、着脱機構52は閉鎖阻止機構53も兼ねているため、別途閉鎖阻止機構を設ける必要がない。
【0058】
次に遮蔽カーテンユニット5の取り外しを説明する。
最初に遮蔽カーテン51を取り外すには図7(d)の状態にある第1回転バー531aを手で水平方向に回転させ、吊下バー521、第1回転バー531aと第2回転バー531bとを一直線にすることで前記位置ロックを解除する。
次に遮蔽カーテン51を左側にスライドさせ、吊下バー521から遮蔽カーテン51を取り外す。この場合、保持バネ533の付勢力によって図6(a)に示すように保持リング532がスライドして回転軸524が覆われるため吊下バー521、第1回転バー531aと第2回転バー531bとが一直線に保持される。
【0059】
次に閉鎖阻止機構53による開閉扉11の閉鎖阻止の説明を図3を用いて行う。
図3はX線検査装置の内部平面図である。図中の右側点線は遮蔽カーテンユニット5が正常な位置に装着されていない状態と開閉扉11が開閉する様子を示す。また図中斜線部は開閉扉11が開く経路を示す。他方左側の実線は遮蔽カーテンユニット5が正常な位置に装着され、開閉扉が完全に閉鎖されている状態を示す。
【0060】
前述の遮蔽カーテンユニット5の着脱動作で説明したように遮蔽カーテン51が吊下バー521に装着されている場合には第1回転バー531aと吊下バー521とが一直線上に配置される。この様子を図3の点線で示している5a、5b、5cである。このように遮蔽カーテン51が装着されていない場合には第1回転バー531aが開閉扉11の開経路に存在するように配置されている。例えば、5aに示す遮蔽カーテンユニット5に遮蔽カーテン51が装着されていなければ11aに示すように第1回転バー531aによって開閉扉11は閉鎖方向に回転ができず完全な閉鎖ができない。また5bに示す遮蔽カーテンユニット5に遮蔽カーテン51が装着されていなければ11bに示すように開閉扉11は閉鎖できない。5cの場合も同様に11cに示すように開閉扉11は閉鎖できない。
【0061】
対して遮蔽カーテンユニット5に遮蔽カーテンが装着されていると図中の左側の実線で示されているように第1回転バー531aが下方に回転しているため、第1回転バー531aが開閉扉11の開経路に存在しない。このため、開閉扉11の完全な閉鎖を行うことができる。
つまり、開閉扉11の閉経路に第1回転バー531aを存在させるか否かの簡単な構造で閉鎖阻止を実現している。
【0062】
上述の説明のように遮蔽カーテン51が装着されていない状態では開閉扉11が完全に閉鎖できないため、X線検査装置の外観を見ただけで遮蔽カーテンの未装着の状態が確認できる。また、開閉扉11は操作部6と同一側面に設けられているため、X線検査装置の稼動を開始する前に確認しやすい。
また、着脱機構52を利用して閉鎖阻止機構53を構成しているため、別途閉鎖阻止機構を設ける必要がない。
また、装着されていない遮蔽カーテンユニット5の位置によって開閉扉11の閉鎖状態が異なるため、どの位置の遮蔽カーテンユニットが装着されているないかが開閉扉11の閉鎖状態にて確認ができる。また、開閉扉が開状態で本装置の内部が確認できる状態であっても、前記閉鎖阻止部材の閉鎖阻止の状態と閉鎖阻止しない状態では外観が異なるため、一目瞭然でどの位置遮蔽カーテンが装着されていないかが確認できる。また、別途検知器等を用いなくても未装着の遮蔽カーテンの位置が特定できるため、複雑な制御をしなくてすむ。また、余分なコストをかけることもない。
また、上述したように開閉扉11の閉鎖状態を検知する閉鎖検知センサー12を設置しているため、遮蔽カーテン51が装着されていないにもかかわらず、誤ってX線検査装置の稼動を開始させ、X線の照射操作した場合でもX線が照射されることがない。
さらに第1回転バー531aが円柱形のため、水平部に平面がなくゴミ溜りを防止でき、衛生的である。
【0063】
<第2実施例>
第2実施例に係るX線検査装置と第1実施例に係るX線検査装置とは遮蔽カーテンユニット5が異なるだけで閉鎖阻止機能は第1実施例と同一のため、遮蔽カーテンユニット5とその着脱動作のみについて説明する。
本実施例の遮蔽カーテンユニット5は図8、図9に示すように、遮蔽カーテン51、着脱機構54と閉鎖阻止機構55とから構成される。
【0064】
遮蔽カーテン51は第1実施例と同様である。
【0065】
着脱機構54は遮蔽カーテン51をX線検査装置の筐体1内部から着脱させる機構で、2個の吊下部材541、2個の被吊下部材542、取付金具543と位置ロック機構544とから構成され、ステンレス製である。
取付金具543は1枚が断面L字の板部材とその板部材の垂直面に対向した板部材とで構成されている。前記垂直部の板部材間に遮蔽カーテン51を挟みネジ止めする。
被吊下部材542は外観H状の板材であり、取付金具543の水平部上部に溶接されている。
吊下部材541は箱状で下部に被吊下部材542が挿入される穴が設けられ筐体1内部に固定されている。内部には被吊下部材542の水平部を保持してその位置を固定する位置ロック機構544が設けられている。
位置ロック機構544は図8の紙面に対して垂直な方向に進退する。この進退は被吊下部材542の下方からの挿入にて被吊下部材542の水平部が当接すると引っ込み、被吊下部材542の水平部が通過すると飛び出す。このことで被吊下部材542の水平部の下部を支え、被吊下部材542の水平位置を固定する。
また、所定力にて被吊下部材542を下方に引っ張ることでその再度進退して被吊下部材542の位置固定を解除する。この位置ロック機構544は両方の吊下部材541内に配置されている。
【0066】
閉鎖阻止機構55は回転バー551、巻きバネ552と長穴553で構成され、材料はステンレスである。
回転バー551は図8、9に示すように側面形状ブーメラン状であり、長辺と短辺とで構成され、その頂点部に回転軸554がある。また、回転バー551は図9(a)で示すように吊下部材541の左側内部に設けられ、外部に長辺部を突出させ、内部に短辺と回転軸554を配置してある。回転バー551は回転軸554を中心として垂直面内で回転可能に設置されている。この長辺部が第1実施例の第1回転バー531aに相当し円柱状部材である。つまりこの突出してある回転バー551の長辺部側に開閉扉11がある。この回転は後述する長穴553によって長辺部が水平になるまでと図示しない規制部材によって短辺部が水平になるまでの間で回転可能になっている。
巻きバネ552は回転軸554に配置され、回転バー551の長辺部を常に上方に向ける付勢力を発するように配置されている。
長穴553は図9(a)で示す吊下部材541の左側の左側側面に設けられ、長穴553内に回転バー551の長辺部が収められている。また図示するように長穴553の上部辺は回転バー551の長辺が水平になる位置で上方への回転移動を規制している。つまりこの長穴553と巻きバネ552とが閉鎖阻止機構の保持部材に相当する。
【0067】
次に遮蔽カーテンユニット5の着脱動作を図8、図9を用いて説明する。
まず、最初に装着する場合、図8(a)、図9(a)に示すように被吊下部材542を吊下部材541の下方より挿入する。この初期状態では、回転バー551の長辺部は図に示すように水平状態にある。つまり、第1実施例と同様に回転バー551の長辺部が開閉扉11の閉経路に存在するため、開閉扉11の閉鎖を阻止する。
【0068】
次に、被吊下部材542を上方に移動させると被吊下部材542の上部が回転バー551の短辺部に当接しながら上方に移動するため、回転軸554を中心に回転バー551が左回転を行う。そして、回転バー551の短辺が水平になると図示しない規制部材によって回転が停止する。またこの際、被吊下部材542の水平部が図8(b)に示すように位置ロック機構544によりその水平方向の下方への移動が規制される。このため、被吊下部材542の水平位置が固定される。その状態が図8(b)、図9(b)の点線で示された状態である。このように回転バー551の長辺部が下方に傾斜することで開閉扉11の閉鎖を可能にする。また、被吊下部材542が保持解除機構としての機能を有する。
【0069】
遮蔽カーテン51を取り外す場合には遮蔽カーテン51を下方一定力以上で引っ張ることで位置ロック機構544によるロックが解除され、被吊下部材542が吊下部材541より外れ、遮蔽カーテン51を取り外す。
すると、巻きバネ552の付勢力によって回転バー551の長辺部が再度上方に回転し、水平状態で停止し、開閉扉11の閉鎖を阻止する。
【0070】
また、本実施例でも第1実施例同様に着脱機構54を利用して閉鎖阻止機構55を構成しているため、別途閉鎖阻止機構を設ける必要がない。
また、本実施例でも第1実施例同様に開閉扉11の閉鎖状態を検知する閉鎖検知センサー12を設置しているため、遮蔽カーテン51が装着されていないにもかかわらず、誤ってX線の照射操作した場合でもX線が照射されることがない。
さらに回転バー551が円柱形のため、水平部に平面がなくゴミ溜りを防止でき、衛生的である。
【0071】
<第3実施例>
第3実施例に係るX線検査装置は第2実施例と同様に第1実施例に係るX線検査装置とは遮蔽カーテンユニット5が異なるだけで閉鎖阻止機能は第1実施例と同一のため、遮蔽カーテンユニット5とその着脱動作のみについて説明する。
本実施例の遮蔽カーテンユニット5は図10、図11に示すように、遮蔽カーテン51、着脱機構56と閉鎖阻止機構57とから構成される。
【0072】
遮蔽カーテン51は第1実施例と同様である。
【0073】
着脱機構56は遮蔽カーテン51をX線検査装置の筐体1内部から着脱させる機構で、吊下部材561と2個の被吊下部材562、取付金具563と位置ロック機構564とから構成され、ステンレス製である。
取付金具563は1枚が断面L字の板部材とその板部材の垂直面に対向した板部材とで構成されている。前記垂直部の板部材間に遮蔽カーテン51を挟みネジ止めする。
被吊下部材562は断面T字状の板部材であり、取付金具563の水平部上部に溶接されている。
吊下部材561は図11(a)に示すように側面視L字状で水平部中央にスリットを有しており、筐体1内部に固定されている。
位置ロック機構564は後述する回転バー571の長辺部を垂直状態で位置固定するもので、図10(a)に示すように取付金具563の左側から延設されている。位置ロック機構564は板状のバネ部材で、その位置の変位は図10の紙面で垂直方向に付勢力を生じる。外部から力が加わらない場合には取付金具563の延長方向に取付られている。また、左端部にはL字状に折れ曲がっており、その折り曲げ部で回転バー571の長辺部を垂直状態で位置固定する。
【0074】
閉鎖阻止機構57は回転バー571、巻きバネ572と規制部材574で構成され、材料はステンレスである。
回転バー571は側面視L字状の部材であり、図11(a)で示すように短辺部中央にスリットが設けられている。長辺部は円柱状の部材で構成され、図10に示す回転軸573を有している。また回転バー571は回転軸573を筐体1内部に固定されており、回転軸573を中心として垂直面内で回転可能になっている。また上方への回転は規制部材574にて長辺部が水平以上にならないように回転が規制されている。この長辺部が第1実施例の第1回転バー531aに相当する。つまりこの突出してある回転バー571の長辺部側に開閉扉11がある。
巻きバネ572は回転軸573に配置され、回転バー571の長辺部を常に上方に向ける付勢力を発するように配置されている。
規制部材574は図10(a)で示す回転バー571の上方に設けられ、筐体1内に固定されている。この規制部材574は図10(a)で示すように回転バー571の長辺が水平になる位置で上方への回転移動を規制している。つまりこの規制部材574と巻きバネ572とが閉鎖阻止機構の保持部材に相当する。
【0075】
次に遮蔽カーテンユニット5の着脱動作を図10、図11を用いて説明する。まず、最初に装着する場合、図11(a)に示すように右側の被吊下部材562を吊下部材561の左側より差し込む。その際、被吊下部材562のT字状の水平部が吊下部材561の水平部より上方になるようにしてT字状の垂直部を吊下部材561のスリット部に差し込む。この状態では、図10(a)、図11(a)に示すように回転バー571の長辺部はまだ水平状態のままである。つまり、第1実施例と同様に回転バー571の長辺部が開閉扉11の閉経路に存在するため、開閉扉11の閉鎖を阻止する。
【0076】
次に図10(b)、図11(b)に示すように左側の被吊下部材562を上方に上げて、かつ、回転バー571を左回転させ、被吊下部材562の垂直部を回転バー571のスリットに差し込む。すると回転バー571のスリット部に垂直部が挿入された被吊下部材562は水平部が回転バー571の短辺部に載せられる状態になる。この状態でさらに回転バー571を左回転させると、被吊下部材562がスリットに挟まれたまま、上方に移動する。
次に回転バー571の長辺部が垂直に近づくと位置ロック機構564を手で図面上後に押し、回転バー571の長辺部を垂直状態にさせる。その後、位置ロック機構564を押していた手を離すと付勢力によって位置ロック機構564は元の位置に戻る。この際、前述の左端部のL字状の折り曲げ部で回転バー571の長辺部を垂直状態で位置固定する。このようにして被吊下部材562の水平位置が固定される。その状態が図10(b)、図11(b)の点線で示された状態である。このように回転バー571の長辺部が垂直状態になることで開閉扉11の閉鎖を可能にする。
【0077】
遮蔽カーテン51を取り外す場合には位置ロック機構564を手で図面上後に押し、回転バー571の長辺部を右に回転させることで位置ロック機構564によるロックが解除され、回転バー571が上方向に回転する。そして、回転バー571のスリットから被吊下部材562が解除されるため、遮蔽カーテン51が取り外せるようになる。その後、図11(a)で示される右側の被吊下部材562を吊下部材561のスリットからスライドさせて取り外す。このようにして遮蔽カーテン51を本装置から取り外す。
この際には巻きバネ572の付勢力によって回転バー571の長辺部が再度上方に回転し、水平状態で停止するため、開閉扉11の閉鎖を阻止することになる。
【0078】
また、本実施例でも第1実施例同様に着脱機構56を利用して閉鎖阻止機構57を構成しているため、別途閉鎖阻止機構を設ける必要がない。
また、本実施例でも第1実施例同様に開閉扉11の閉鎖状態を検知する閉鎖検知センサー12を設置しているため、遮蔽カーテン51が装着されていないにもかかわらず、誤ってX線の照射操作した場合でもX線が照射されることがない。さらに回転バー571が円柱形のため、水平部に平面がなくゴミ溜りを防止でき、衛生的である。
【0079】
<他の実施例>
前記実施例ではコンベアにて物品を搬送していたが、シュート等を利用しても良い。この場合コンベアを設けなくて済むためコストが安くなるとともに、構造が簡単になるため清掃性が向上する。
前記実施例では回転バーを垂直方向に回動させていたが、水平方向に回動させても良い。
前記実施例では回転バーを回動させていたが、水平方向に進退させるスライド機構を用いても良い。
前記実施例では回転バーは円柱状の部材であったが、回転バーを水平にした場合に水平面が無ければよく、円柱部材を水平にした場合に上部の外観が下方への傾斜面で形成されていても良い。例えば、断面多角形で水平状態で上部に水平面を有していなければ良い。
前記実施例では開閉扉を垂直面内の観音式にしていたが、水平面内の開閉でも良い。また、スライド式の開閉でも良い。この場合には閉経路は搬送経路に沿って直線もしくは長方形になる。
前記実施例では遮蔽カーテンユニットは6個あったが、開口部に対応させて2個以上であれば良い。
前記実施例では遮蔽カーテンユニット毎に閉鎖阻止機構を設けていたが、複数の遮蔽カーテンユニットに対して、1個の閉鎖阻止機構を設けても良い。その場合には個々の遮蔽カーテンユニットからリンクを介して1個の閉鎖阻止機構を駆動出せても良い。
【0080】
【発明の効果】
本発明に係るX線検査装置では、遮蔽カーテンの未装着時に開口部からのX線の漏洩を防止するために、遮蔽カーテンの着脱機構に連動した開閉扉の閉鎖阻止機構が設けられている。このため遮蔽カーテンが装着されていないと装置の外観から未装着状態が確認できるため、間違ってX線を照射することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線検査装置の外観図。
【図2】X線検査装置の内部の正面模式図。
【図3】X線検査装置の内部の平面模式図。
【図4】X線検査装置の制御ブロック図。
【図5】第1実施例に係る着脱機構と閉鎖阻止機構の分解図。
【図6】第1実施例に係る遮蔽カーテンの装着説明図。
【図7】第1実施例に係る遮蔽カーテンの装着説明図。
【図8】第2実施例に係る着脱機構と閉鎖阻止機構の正面模式図。
【図9】第2実施例に係る遮蔽カーテンの装着説明図。
【図10】第3実施例に係る着脱機構と閉鎖阻止機構の正面模式図。
【図11】第3実施例に係る遮蔽カーテンの装着説明図。
【符号の説明】
1 筐体
2 コンベア
3 X線源
4 ラインセンサ
51 X線遮蔽カーテン
52、54、56 着脱機構
53、55、57 閉鎖阻止機構
6 操作部
7 制御部
A 被検査物品

Claims (11)

  1. 物品を搬送する搬送経路上に設けられた開口部と該搬送経路の側方に設けられた開閉扉とを有し前記搬送経路を囲む筐体と、
    該筐体内に配置されたX線源と、
    前記筐体内の前記搬送経路途上に配置され、前記X線源によって照射されるX線の前記開口部からの漏洩を遮蔽する遮蔽カーテンと、
    該遮蔽カーテンを前記筐体内へ着脱させる着脱機構とを備え、
    前記搬送中の物品を透過する前記X線源からのX線を画像処理して物品の検査を行うX線検査装置であって、
    前記遮蔽カーテンが正常な位置に装着されていない場合、前記開閉扉の閉鎖を阻止する閉鎖阻止機構を備えることを特徴とするX線検査装置。
  2. 請求項1に記載のX線検査装置であって、
    前記閉鎖阻止機構は
    前記開閉扉の開経路と開経路外との間を移動する閉鎖阻止部材と、
    該閉鎖阻止部材を前記着脱機構による前記遮蔽カーテンの取り外しに連動して前記開閉扉の開経路の位置に保持させる保持部材と、
    前記遮蔽カーテンの装着に連動して前記保持部材の保持を解除することを特徴とするX線検査装置。
  3. 請求項2に記載のX線検査装置であって、
    前記閉鎖阻止部材は棒部材であり、前記移動は該棒部材が前記搬送経路と直交する垂直面内で回動し、
    前記保持部材による保持は該棒部材を水平状態で保持し、
    前記保持部材による保持が解除されると該棒状部材は垂直状態になることを特徴とするX線検査装置。
  4. 請求項3に記載のX線検査装置であって、
    前記遮蔽カーテンを複数備え、
    前記閉鎖阻止部材は前記複数の遮蔽カーテンのおのおのに対応して複数設けられていることを特徴とするX線検査装置。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載のX線検査装置であって、
    前記閉鎖阻止機構は前記着脱機構の一部を構成しているX線検査装置。
  6. 請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、
    前記着脱機構は前記遮蔽カーテンを前記搬送方向に対して左右方向から着脱させるX線検査装置。
  7. 請求項6に記載のX線検査装置であって、
    前記保持部材の保持を解除する保持解除部材と、
    前記着脱機構は、
    前記筐体内に固定された円柱状の吊下バーと、
    前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下バーの外周面と係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる吊下リングとを有し、
    前記閉鎖阻止部材は前記吊下バーの前記開閉扉側に延設され前記吊下バーに対して回動する円柱状の回動バーであり、
    前記保持部材は前記回動バーを前記吊下バーの延長方向に保持する保持リングであり、
    前記保持解除部材は前記吊下リングの一部であることを特徴とするX線検査装置。
  8. 請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、
    前記着脱機構は前記遮蔽カーテンを上下方向から着脱させるX線検査装置。
  9. 請求項8に記載のX線検査装置であって、
    前記保持部材の保持を解除する保持解除部材と、
    前記着脱機構は、
    前記筐体内に固定された吊下部材と、
    前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下部材に下方から係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる被吊下部材とを有し、
    前記閉鎖阻止部材は前記吊下部材内に設けられた円柱状の回動バーであり、
    前記保持部材は前記回動バーの先端を上方に付勢する付勢部材と前記回動バーを水平位置に規制する規制部材とで構成され、
    前記保持解除部材は前記被吊下部材の一部であることを特徴とするX線検査装置。
  10. 請求項3から5のいずれかに記載のX線検査装置であって、
    前記着脱機構は、
    前記筐体内に固定され水平面と該水平面に設けられたスリットとで構成される吊下部材と、
    前記遮蔽カーテン上部に設けられ前記吊下部材の前記水平面とスリットとに係合し前記遮蔽カーテンを吊下げる断面T字形状の被吊下部材とを有し、
    前記閉鎖阻止部材は水平面と該水平面に設けられたスリットと円柱状の部材とを備える回動バーであり、
    前記保持部材は前記回動バーの先端を上方に付勢する付勢部材と前記回動バーを水平位置に規制する規制部材とで構成されることを特徴とするX線検査装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のX線検査装置であって、
    前記開閉扉の閉鎖状態を検知する閉鎖センサーと、
    該閉鎖センサーの信号に基づき前記開閉扉が閉鎖状態でない場合に前記X線源からのX線の照射を停止する制御手段を備えるX線検査装置。
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