JP5569972B2 - X線異物検出装置 - Google Patents

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本発明は、筐体内に形成された搬送路に搬送されている被検査物にX線を照射し、被検査物を透過したX線の透過量に基づいてこの被検査物に混入している異物を検出するX線異物検出装置に係り、X線を筐体外へ漏洩させないために、搬送路にX線遮蔽カーテンを備えたX線異物検出装置に関する。
X線異物検出装置は、筐体内に形成された搬送路に搬送コンベアなどによって搬送されている被検査物(生肉、魚、加工食品、医薬品など)にX線を照射し、被検査物を透過したX線の透過量に基づいて、被検査物に金属や骨などの異物が混入している場合にこの異物を検出する装置である。
X線異物検出装置には、通常、X線を筐体外へ漏洩させないために筐体内の搬送路にX線遮蔽カーテンが設けられている。従来、X線遮蔽カーテンとして下記特許文献1に開示されているものがある。ところが、このX線遮蔽カーテンは、X線遮蔽材である鉛を含有する樹脂シートなどからなり、被検査物が包装されたものの場合には好適に用いられるが、被検査物が生肉などのような剥き出しの食品の場合には被検査物がX線遮蔽カーテンを通過するときに鉛成分が付着する可能性があることから用いられなかった。
そのため、被検査物が剥き出しの食品の場合には鉛を含有するX線遮蔽カーテンに代えて、SUSなどの金属板が搬送方向と直交する方向に分割されて短冊状となった金属板が揺動可能に吊り下げられたX線遮蔽カーテンが用いられている。しかし、図6に示すように、このX線遮蔽カーテン101は、被検査物Wが通過したときに搬送方向Yの上流側まで大きく振れるため、後続して搬送されてきた被検査物W’にX線遮蔽カーテン101(金属板102)が突き刺さることがあった。このように金属板102が被検査物W’に突き刺さると、X線遮蔽カーテン101が開いた状態で保持されてしまいX線が漏洩する危険性があった。
また、図7に示すように、金属板202に複数の屈曲部203が設けられたX線遮蔽カーテン201がある。このX線遮蔽カーテン201では、被検査物が通過した後のX線遮蔽カーテン201(金属板202)の搬送方向Yへの揺動を抑えることができる。これにより、金属板202が後続する被検査物に突き刺さることがなくなり、X線遮蔽カーテン201が開放されたまま保持されることによるX線の漏洩を防ぐことができる。なお、このように金属板が多段階に屈曲可能に構成されたX線遮蔽カーテンは、例えば下記特許文献2などに開示されている。
さらに、下記特許文献3に開示されているものがある。図8に示すように、この文献におけるX線遮蔽カーテン301は、各カーテン個片(金属板)302が、軸304に取り付けられた側である基端303a側から先端303b側に向けて5分の1ほどが平板状に延びており、平板状の部分から先端303bにかけて被検査物の高さに応じた半径の曲げ加工が施されて搬送方向Yの上流側に凸部305となる形状に形成されたものである。このX線遮蔽カーテン301は、搬送方向Yの下流側に振れたカーテン個片302は被検査物が通過した後に元の位置に戻ろうとするが、その位置を通り過ぎて搬送方向Yの上流側まで振れたときに後続して搬送されてきた被検査物と接触する角度が小さいため、カーテン個片302の先端303bが被検査物に突き刺さることなく、被検査物の移動に追従して揺動するようになる。
特開平11−160487号公報 特開2003−270174号公報 特開2008−281416号公報
しかしながら、上述したX線遮蔽カーテン201,301(図7、8参照)には以下の欠点があった。
まず、図7に示すように、X線遮蔽カーテン201は、金属板202に複数の屈曲部203が設けられている。ここで、屈曲部203は、例えば、上下に並んだ金属板片202a,202b(又は金属板片202b,202c)が互いに入れ子になって蝶番形状をなし、この部分に連結ピンが挿入されることで連結されているというように構造的に複雑であった。したがって、X線遮蔽カーテン201は、多数の屈曲部203を有しているため、当然ながら構造が複雑となり、高コストとなっていた。
次に、図8に示すように、X線遮蔽カーテン301は、被検査物が通過した後にX線遮蔽カーテン301が搬送方向Yの上流側まで振れることをできるだけ抑えたものであるが、それでも、搬送方向Yの上流側まで振れてしまうことから、被検査物が背の低いものなどの場合にはこの被検査物に先端303bが突き刺さる可能性があった。先端303bが被検査物に突き刺さると、上述したように、X線遮蔽カーテン301が開いた状態で保持されてしまいX線が漏洩する危険性が生じる。
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、被検査物に突き刺さることを確実に防いでX線が漏洩する危険性を更に低減し、部品点数を少なくして簡素な構成とすることで低コストとなるX線遮蔽カーテンを備えたX線異物検出装置を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載のX線異物検出装置は、遮蔽構造の筐体3と、
前記筐体3内に形成された搬送路7に被検査物Wを搬送する搬送手段8と、
前記搬送手段8により搬送される前記被検査物WにX線を照射するX線照射手段11と、
前記被検査物Wを透過した前記X線を検出するX線検出手段12と、
前記搬送路7に前記搬送手段8の搬送方向Yと直交して設けられた水平軸22と、
前記水平軸22にその基端24a側が取り付けられることで該水平軸22に揺動可能に吊り下げられたカーテン片23が、前記水平軸22の軸方向に複数の短冊状に設けられたX線遮蔽カーテン20と、を備えたX線異物検出装置1において、
前記X線遮蔽カーテン20は、前記カーテン片23が鉛直よりも前記搬送方向Yの下流側に揺動可能に設けられるとともに、前記カーテン片23の前記基端24a側における前記搬送方向Yの上流側には該基端24a側に当接することで該搬送方向Yの上流側に向けた揺動を規制する戻り防止部材26を備えており、
前記戻り防止部材26は、板状部材が折り曲げられ前記水平軸22の軸方向に延びて前記カーテン片23に当接する当接板部27からなることを特徴とする。
このような構成では、搬送されている被検査物WがX線遮蔽カーテン20を通過するときに、搬送方向Yの下流側に振れたカーテン片23の搬送方向Yの上流側への揺動が規制されているため、被検査物Wが通過した後に元の位置に戻ろうとするときにこの元の位置よりも搬送方向Yの上流側まで振れることはなくなる。これにより、カーテン片23が後続して搬送されてきた被検査物W’に突き刺さることを防ぐことができる。
また、部品点数を少なくして簡素な構成としてX線遮蔽カーテン20(カーテン片23)の搬送方向Yの上流側への揺動を規制することができる。
請求項2記載のX線異物検出装置は、前記X線遮蔽カーテン20は、前記カーテン片23の先端24b側が前記搬送方向Yの下流側に向けて湾曲されてなる曲面を有する構成である。
このような構成では、被検査物WがX線遮蔽カーテン20を通過するときのこの被検査物Wとの摩擦抵抗が少なくなり、被検査物Wはスムーズに通過するようになる。
本発明に係る請求項1,2記載のX線異物検出装置によれば、カーテン片の搬送方向の上流側への揺動が規制されているため、カーテン片が被検査物に突き刺さることを確実に防ぐことができる。これにより、X線遮蔽カーテンが開放された状態で保持されることによるX線の漏洩を防ぐことができる。すなわち、X線が漏洩する危険性を更に低減することができる。
また、被検査物がX線遮蔽カーテンを通過するときに、被検査物はスムーズに通過するようになり、被検査物の損傷などを防止することができる。
さらに、部品点数を少なくして簡素な構成としてX線遮蔽カーテン(カーテン片)の搬送方向の上流側への揺動規制を実現することで低コストとなる。
本発明によるX線異物検出装置の一実施の形態を示す正面図である。 同実施の形態を示す側面図である。 同実施の形態におけるX線遮蔽カーテンユニットを示す平面図である。 同実施の形態におけるX線遮蔽カーテンを示す正面図である。 (a),(b),(c)同実施の形態におけるX線遮蔽カーテンの動作を示す正面図である。 (a),(b)従来のX線遮蔽カーテンの動作を示す正面図である。 従来のX線遮蔽カーテンを示す正面図である。 従来のX線遮蔽カーテンを示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
この実施の形態(X線異物検出装置)は、筐体内に形成された搬送路に搬送されている被検査物(生肉、魚、加工食品、医薬品など)にX線を照射し、被検査物を透過したX線の透過量に基づいて、この被検査物に金属や骨などの異物が混入している場合にこの異物を検出する装置である。
図1、2に示すように、X線異物検出装置1は、床面に脚部2,2を介して設置される略箱型の遮蔽構造の筐体3を備えている。筐体3は、放射線防護材料から構成されている。筐体3の両側面には、筐体3内に被検査物Wが搬入される搬入口4aと、筐体3内から被検査物Wが搬出される搬出口4bとが設けられている。また、筐体3の両側面には、これらの開口4(搬入口4a及び搬出口4b)を覆うために、筐体3の両側面からそれぞれ左右に延出しているサイドカバー5,5が設けられている。さらに、筐体3の前面は開放可能に設けられており、筐体3の前面には開閉自在な扉6が設けられている。
筐体3内には被検査物Wが搬送されるための搬送路7が形成されている。搬送路7に被検査物Wを搬送する搬送手段としてのベルトコンベア8は、搬送方向Yの両端部にローラ9a,9b,9c,9dを備えており、これらのローラ9a,9b,9c,9d間に無端状の搬送ベルト10が掛け回されてなる。また、ローラ9a,9bのうち、いずれか一方のローラ9a,9bが図示しない駆動モータに接続されることで搬送ベルト10を回転駆動することができる。このとき、搬送路7において、ベルトコンベア8の搬送ベルト10のベルト面が被検査物Wの搬送面(水平面)となる。なお、ベルトコンベア8の搬送方向Yの上流側には前段の装置から被検査物Wを搬入する前段コンベアが接続され、搬送方向Yの下流側には後段の装置に被検査物Wを搬出する後段コンベアが接続されている。
ここで、X線異物検出装置1における光学系について説明する。
図1、2に示すように、筐体3内には、X線照射手段であるX線発生部11及びX線検出手段であるX線検出部12が対向して配設されている。X線発生部11は、X線を発生させ、このX線をX線検出部12に向けて照射するものである。X線検出部12は、多数の受光素子がベルトコンベア8(搬送ベルト10)の幅方向に一列に配設されたラインセンサからなる。X線検出部12は、外部コンピュータと接続されており、X線検出部12から出力された信号を所定のタイミングで取り込んで処理し、X線透過量に応じた明暗分布の画像を作成することにより、被検査物Wに異物混入の有無を検査する。
X線異物検出装置1では、X線発生部11は、筐体3内におけるベルトコンベア8から所定距離をあけた直上位置に設けられている。また、X線検出部12は、ベルトコンベア8の直下位置に設けられている。そして、搬送路7におけるX線発生部11の直下位置又はX線検出部12の直上位置がこのX線異物検出装置1における検査位置となる。
ここから、本発明の要旨であるX線遮蔽カーテンについて説明する。
図1に示すように、X線遮蔽カーテン20は、搬送路7に配設されている。また、X線遮蔽カーテン20は、検査位置を中心として搬送方向Yの上流側と搬送方向Yの下流側に設けられている。なお、この実施の形態では、搬送方向Yの上流側と下流側に三列ずつのX線遮蔽カーテン20が設けられている。さらに、図3に示すように、X線遮蔽カーテン20は、検査位置を中心として搬送方向Yの上流側と下流側にてユニット化されている(後述するカーテンユニット21,21)。
図4に示すように、X線遮蔽カーテン20は、水平軸22と、カーテン片23と、戻り防止部材26とを備えている。
水平軸22は、搬送路7の上部に搬送方向Yと直交して設けられている。水平軸22には金属板からなるカーテン片23が揺動可能に吊り下げられている。図2に示すように、カーテン片23は、搬送方向Yと直交する方向に並んで複数の短冊状となって設けられている。
カーテン片23は、その一端(基端)24aが水平軸22の径よりもやや大径となる略管状に形成されている。この管状部分(基端24a)は、その円周の3分の1程度が開放されており、水平軸22に対する取り付け、取り外しが容易且つ自在なものである。また、カーテン片23の他端(先端)24b側は、X線遮蔽カーテン20を搬送路7に取り付けた状態において、先端24bが搬送方向Yの下流側を向くように湾曲して形成されている。したがって、カーテン片23は、基端24a側から連続する平面を有し、先端24b側に差しかかったあたりから曲面を有する形状となる。
さらに、カーテン片23の両側端部には、搬送方向Yの下流側に向けて折り曲げられた補強リブ25が設けられている。したがって、図3に示すように、カーテン片23は、平断面視で略コ字状となる。
なお、カーテン片23は、X線遮蔽性を有しており、耐久性や衛生上の点からSUS(ステンレス鋼)製のものが好ましい。
図4に示すように、カーテン片23の基端24a側における搬送方向Yの上流側には戻り防止部材26が設けられている。戻り防止部材26は、板状部材が折り曲げられており、カーテン片23の基端24a側と当接する部分には水平軸22に沿って延びた当接板部27を備えている。戻り防止部材26は、カーテン片23の搬送方向Yの上流側への揺動を規制する機能と共に、カーテン片23を、その静止状態において、先端24b側が搬送方向Yの下流側に配置されるように傾斜させる機能を有する。したがって、カーテン片23は、水平面である搬送面(ベルトコンベア8の搬送ベルト10のベルト面)に対して鉛直よりも搬送方向Yの下流側にやや傾斜して配置されている。なお、カーテン片23の傾斜角度は5度程度が好ましい。
ここで、図5を参照してX線遮蔽カーテン(カーテン片)の揺動動作を説明する。
図5(a)に示すように、カーテン片23は、その先端24b側が搬送方向Yの下流側に配置されるようにやや傾斜した静止状態で被検査物Wを待っており、図5(b)に示すように、ベルトコンベア8によって搬送されている被検査物WがX線遮蔽カーテン20を通過するときにはカーテン片23を搬送方向Yの下流側に押しながら通過するため、カーテン片23は、基端24a側を軸として先端24b側が搬送方向Yの下流側に揺動する。そして、図5(c)に示すように、被検査物Wが通過すると、搬送方向Yの下流側に振れたカーテン片23は、元の位置(静止状態)に戻ろうとして搬送方向Yの上流側に向けて揺動する。このとき、戻り防止部材26の当接板部27に基端24a側が当接して元の位置よりも搬送方向Yの上流側への揺動が規制され、上述した静止状態で後続する被検査物W’を待つようになる。
また、図1に示すように、X線遮蔽カーテン20は、検査位置を中心として搬送方向Yの上流側と下流側に三列ずつ配設されており、搬送方向Yの上流側と下流側に前述したカーテンユニット21,21として設けられている。カーテンユニット21は、取付ベース28を備え、取付ベース28に上述した水平軸22が設けられている。取付ベース28は、搬送路7の上部に配置されように筐体3に着脱自在に取り付けられるものである。なお、カーテンユニット21において、検査位置に近い位置にあるX線遮蔽カーテン20aは、被検査物の通過時にX線の照射を妨げないように他のX線遮蔽カーテン20よりも短いカーテン片23aとなっている。
図3に示すように、筐体3における取付ベース28の取付位置には、取付ベース28の取付状態を検知するためのインターロックスイッチ29が設けられている。
上述した実施の形態によれば、搬送されている被検査物WがX線遮蔽カーテン20を通過するときに、搬送方向Yの下流側に振れたカーテン片23の搬送方向Yの上流側への揺動が規制されているため、被検査物Wが通過した後に元の位置に戻ろうとするときにこの元の位置よりも搬送方向Yの上流側まで振れることはなくなる。これにより、カーテン片23が後続して搬送されてきた被検査物W’に突き刺さることを防ぐことができる。
また、X線遮蔽カーテン20が、カーテン片23の先端側が湾曲されてなる曲面を有することで被検査物Wが通過するときのこの被検査物Wとの摩擦抵抗が少なくなり、被検査物Wはスムーズに通過するようになる。
さらに、シンプルな構成であるため、部品点数を少なくして簡素な構成としてX線遮蔽カーテン20(カーテン片23)の搬送方向Yの上流側への揺動を規制することができる。これにより、低コスト化を図ることができるとともに、清掃性の良いものとなる。
また、インターロックスイッチ29が設けられていることにより、カーテンユニット21(X線遮蔽カーテン20)が取り付けられていない状態で装置が作動するなどの誤作動をなくすことができる。これにより、安全性が向上する。
1…X線異物検出装置
3…筐体
7…搬送路
8…搬送手段としてのベルトコンベア
11…X線照射手段としてのX線発生部
12…X線検出手段としてのX線検出部
20…X線遮蔽カーテン
22…水平軸
23…カーテン片
24a…基端
24b…先端
26…戻り防止部材
W…被検査物
Y…搬送方向

Claims (2)

  1. 遮蔽構造の筐体(3)と、
    前記筐体内に形成された搬送路(7)に被検査物(W)を搬送する搬送手段(8)と、
    前記搬送手段により搬送される前記被検査物にX線を照射するX線照射手段(11)と、
    前記被検査物を透過した前記X線を検出するX線検出手段(12)と、
    前記搬送路に前記搬送手段の搬送方向(Y)と直交して設けられた水平軸(22)と、
    前記水平軸にその基端(24a)側が取り付けられることで該水平軸に揺動可能に吊り下げられたカーテン片(23)が、前記水平軸の軸方向に複数の短冊状に設けられたX線遮蔽カーテン(20)と、を備えたX線異物検出装置(1)において、
    前記X線遮蔽カーテンは、前記カーテン片が鉛直よりも前記搬送方向の下流側に揺動可能に設けられるとともに、前記カーテン片の前記基端側における前記搬送方向の上流側には該基端側に当接することで該搬送方向の上流側に向けた揺動を規制する戻り防止部材(26)を備えており、
    前記戻り防止部材は、板状部材が折り曲げられ前記水平軸の軸方向に延びて前記カーテン片に当接する当接板部(27)からなることを特徴とするX線異物検出装置。
  2. 前記X線遮蔽カーテン(20)は、前記カーテン片(23)の先端(24b)側が前記搬送方向(Y)の下流側に向けて湾曲されてなる曲面を有することを特徴とする請求項1記載のX線異物検出装置。
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