JP5454903B2 - 傾斜材料製品ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、高分子材料または樹脂材料に対し、材料の厚さ方向に沿って線量の分布を持たせるように放射線を照射することにより、所望の分子構造を連続的にかつ所望の位置(樹脂表面あるいは樹脂内部)に形成した、傾斜材料ならびに当該傾斜材料製品の製造方法に係る。本発明に係る材料は、高分子鎖の三次元構造形成によりもたらされる材料の特性と、二次元構造形成によりもたらされる特性とを、所望の位置(樹脂表面あるいは樹脂内部)に有した、一の材料中に複数の特性を併せ持つものである。本発明の材料は、主に各種工業製品、家庭用電化製品、調理器具、ならびに工具等に利用可能な、高機能かつ高性能なフィルムまたはシート状製品に係る。
放射線を照射することにより高分子材料または樹脂材料の化学構造に変化をあたえて、工業製品として利用する例は数多く報告されている(特許文献1ならびに特許文献2)。これは、放射線の照射により高分子鎖を架橋させるかあるいは切断して、所望の特性を発現させることよりなる。従来技術では、材料の厚み方向に対して均一に放射線照射を行うか、ある一定以上の線量の放射線を照射するか、あるいは材料の表層部に対してのみ放射線を照射することに主眼がおかれてきていた。
例えば、特許文献1では、電子線照射による架橋ポリエチレンの製造においては、片側照射によって、材料の内部にまで電子線が透過し、均一に改質されることが必要であるとしている。
一方、特許文献2では、照射厚みに従って厚み方向に均一に透過可能に電子線のエネルギーを調整すると、厚み方向で架橋度を均一にした成形品とすることができるとし、50keVより小さいと表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなって、シートを透過する電子線が少なくなり、表層部に比して内部の架橋が遅れて、架橋度に差が生じるので、好ましくないとしている。
このように、従来技術においては、均質な材料を形成することを意図としており、材料内部の位置毎に異なる性質を有する材料を形成することを目的とはしていなかった。すなわち、材料の厚み方向に沿って、照射される放射線の線量を積極的に制御することにより、放射線を照射した側と照射しなかった側とに異なる分子構造に形成させ、もってこれらの側に異なる機能を付与する技術は存在していなかった。
本発明の課題は、高分子材料または樹脂材料内部において、連続的に異なる特性を有する傾斜材料を提供することである。特に本発明は、フィルムまたはシート状形状を有する材料であって、その一の面が、高強度、高弾性、高耐摩耗性などに代表される高い機械的特性と、高耐薬品性、低ガス透過性などに代表される高い化学的特性を有し、一方他の面が、基材に対して高い接着性、密着性、高い延性ならびに展性などの特性を有する傾斜材料を提供することを目的とする。すなわち本発明は、フィルムまたはシート状の高分子材料または樹脂材料の一の面に、所定の放射線を照射するだけで、放射線を照射した側の材料の表面ならびにその近傍層と、放射線を照射しなかった側、すなわち他の面ならびにその近傍層と、ならびに当該表面と他の面との間の層とが、それぞれ異なる特性を有する傾斜材料を提供する。本発明は、材料全体の厚み方向に沿って、一様な線量の放射線を照射するのではなく、線量に傾斜を持たせることにより、それぞれの部位に所望された厳密に制御された線量の放射線で処理された傾斜材料を提供するものである。
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーにより構成されるフィルムまたはシート状傾斜材料と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材とが積層されているフィルムまたはシート状製品であって、該材料の、基材と接していない一の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが三次元構造を有し;該材料の、基材と接している他の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが二次元構造を有し;該一の面と該他の面との間に存在するポリマーの三次元構造の含率が連続的に変化しており;該材料の厚さが5〜500μmである、前記製品に係る。本発明について、以下詳細に説明する。
本発明の「傾斜材料」とは、材料内部における特性が連続的な傾斜をもって変化している材料のことを指す。すなわち、組成や組織が異なる複数の素材がある勾配をもって一体的に組み合わされた材料のことを本発明の「傾斜材料」と云う。本発明においては、特にフィルムまたはシート状材料の厚み方向に沿って、一の面から他の面に向かって、特性が連続的に変化しており、材料の一の面と他の面とでは全く異なる特性を一の材料中に併せ持った状態となっている。
本発明において「フィルムまたはシート状」なる語は、薄い膜状の、平面状の形態のものを指す。フィルムまたはシート状の材料は二つの面(表面/裏面)を有するが、本発明を説明する際には、これを特に「一の面」「他の面」と云う。
本発明において、「近傍層」なる語は、一方の面からの所定の厚さまでの層を指す。すなわち一の面の近傍層という場合、一の面から所定の厚さまでに存在する層のことであり、他の面の近傍層という場合、他の面から所定の厚さまでに存在する層のことである。本発明の材料の厚さは好適には5〜500μm、特に好適には7〜500μm、さらに好適には13〜500μmであるから、「近傍層」の厚さとして好適な厚さは1〜200μm、特に好適には1〜100μmである。
本発明において、ポリマーが「三次元構造」を有している、とは、ポリマー鎖が枝分かれ構造(分岐点)を有しており、かつ三次元の網目構造を形成していることを指す。同じく、ポリマーが「二次元構造」を有している、とは、ポリマーが枝分かれ構造(分岐点)を有しているが、三次元構造にはいたらない、二次元的な構造を有していることを指す。二次元構造の代表例として長鎖分岐構造が挙げられる。三次元構造を有するポリマーは、耐摩耗性ならびに剛性が高く、クリープ性、ガス透過性、ならびに膨潤性が低く、また耐薬品性が高いという性質を有する。一方、二次元構造を有するポリマーは、基材に対する密着性、融着性が高く、延伸性、展性が高いという性質を有する。
本発明において、ポリマーが「三次元構造」を有している、とは、100%のポリマーが「三次元構造」を有している、という意味ではなく、一方、ポリマーが「二次元構造」を有している、とは、100%のポリマーが「二次元構造」を有している、という意味ではないが、本発明の製品中の傾斜材料は、基材に接していない一の面においてポリマーの三次元構造の含率がほぼ100%であり、材料の厚さ方向に沿って基材に接している他の面に向かって三次元構造の含率が漸次減少していることが好ましい。すなわち材料の他の面は、材料の一の面に比べて三次元構造のポリマーの含率が低くなっていることが好適である。このように三次元構造のポリマーはの含率は一の面から他の面に向かって漸次減少していればよいが、他の面における三次元構造の含率はほぼ0%(二次元構造の含率がほぼ100%)となっていることが好ましい。すなわち本発明において「該一の面と該他の面との間に存在するポリマーの三次元構造の含率が連続的に変化しており」とは、該一の面から該他の面に向かって、ポリマー鎖の三次元構造の含率がほぼ100%から漸次減少していることを意味する。他の面における三次元構造の含率は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜20%である。尚、本発明に使用する傾斜材料は、三次元構造のポリマーの含率が異なるシートを複数貼り合わせた、「不連続な」積層体とは根本的に構造が異なる。
本発明の製品は、上記の傾斜材料がアルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材に積層されている。傾斜材料と基材とが積層されていることにより、傾斜材料自体の強度を高めることができ、逆に、基材に、傾斜材料に基づく新たな特性を付与することも可能となるので、傾斜材料の用途が大幅に広がる。
本発明はさらに、上述の製品を製造する方法に係る。本発明の製造方法は、フィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーを、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材上に厚さ5〜500μmに塗布してポリマー層を設け、該ポリマー層の、該基材と接していない一の面に、酸素不存在下および不活性ガス存在下、室温から該ポリマーの融点より50℃を超えない温度条件下で、放射線を照射することによりフィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、該放射線の加速電圧が50〜450kVであり;照射される放射線の線量が、該ポリマー層の、該基材と接していない一の面において20〜500kGy、該ポリマー層の、該基材と接している他の面において1〜50kGyとなるものであり;該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍である、前記方法である。
本発明の方法は、まず、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーを、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材上に厚さ5〜500μmに塗布する。ポリマーの基材上への塗布は、ドクターブレード法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スプレー塗装法、粉体塗装法などの従来のコーティング、または薄膜製造法を利用すればよい。本発明の製造方法においては、後記の放射線照射処理により、ポリマー材料と基材との密着力ならびに接着力が高くなるので、基材上にアンカー材を設けたり、プライマーを塗布したり、基材のブラスト処理や酸化膜の除去などの特別な下地処理を行ったりする必要はない。ポリマーを基材上に塗布し、必要に応じて高温(例えば100℃以上)で乾燥し、ポリマー層が設けられた基材を得る。次いで酸素不存在下および不活性ガス存在下にて、ポリマー層の、基材に接していない一の面に、放射線を照射する。これは、酸素が存在すると放射線照射により生成する反応活性種が酸素と反応してしまい、ポリマー鎖が枝分かれ構造を形成するための反応に寄与できなくなるからである。本発明の方法は室温(例えば約20〜約25℃)から、該フィルムまたはシート材料を構成するポリマーの融点より50℃を超えない温度範囲で行うのが好ましい。本発明に使用するポリマーはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、またはポリエチレンであるから、これらの融点は約90℃〜約330℃の範囲にある。したがって本発明の方法は室温から約350℃までの温度条件下で行うのが好適である。
本発明の方法は、上記の条件下、ポリマー層の、基材に接していない一の面に、放射線を照射する。ここで放射線を「照射する」とは、文言通り放射線を対象物に対して照射する操作を行うことを意味し、照射の回数や照射時間は問わない。照射する放射線は、加速電圧が50〜450kVであり、照射される放射線の線量が、該一の面において20〜500kGy、ポリマー層の、外基材に接している他の面において1〜50kGyとなるように、かつ、該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍となるように選択される。ここで先記の「照射する」の説明に戻ると、本発明の方法は、該ポリマー層の一の面に20〜500kGyの放射線をまず照射し、次いで他の面に1〜50kGyの放射線を照射するという2段階の方法ではなく、一の面からのみの照射で、該材料の一の面において20〜500kGy、該材料の他の面において1〜50kGyとなるように放射線の線量(すなわち照射時間)を選択することが特に望ましい。放射線をポリマー材料に照射すると、ポリマー内部で放射線の強度が減衰するため、放射線を照射した一の面には放射線が充分届くが、他の面には充分な放射線が届かないことを利用したものであると云える。
上記のように、ポリマー層の一の面に20〜500kGy、他の面に1〜50kGyの線量であって、好ましくは一の面に照射される放射線の線量が他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍となるように放射線を照射すると、材料の一の面は三次元構造の含率の高いポリマーに変化し、一方他の面は三次元構造の含率の低いポリマーに変化する。そして一の面と他の面との間に存在するポリマーの三次元構造の含率は一の面から他の面方向に向かって連続的に減少していく状態となる。これは、ポリマーに放射線を照射すると、初期の段階では緩やかな枝分かれ構造が形成されて、まず二次元構造が形成され、そして照射される線量が増えるに従い架橋が増え、三次元構造が出現するためである。ポリマーに二次元構造が形成されるとポリマーの延性および展性が発現する。このような性質を有するポリマー面は、金属材料などの基材に好適に接着させることが可能となる。そしてさらに照射される放射線の線量が増えると二次元構造から三次元構造へと変化し、これに伴い硬度ならびに弾性率が増加し、耐摩耗性ならびに耐薬品性が向上する。本発明の方法にて、高い線量の放射線が照射された一の面と、低い線量の放射線が照射された他の面とに異なる特性をもつ、傾斜材料を有した製品を製造することが可能となる。
本発明に係る製品に使用する傾斜材料は、一の面において優れた機械的特性を有し、一方他の面においては基材に対する密着性や接着性に優れているという特徴を有する。特に二次元構造を主として含有する他の面と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックス等の基材に対して積層させた製品を得る場合に、特にアンカー剤や接着剤などを使用しなくても、傾斜材料が基材に密着あるいは接着した製品を得ることができる。このような本発明の傾斜材料の有利性を、種々の用途に利用することができる。例えば、接着剤などの化学薬品をできるだけ使用することなく、機械的強度を高めた材料を使用したい場合に、本発明の製品を使用することができる。例えば、家庭用調理器具等の電化製品(炊飯器、ホットプレート、料理コンロ天板、電子レンジ内容器、アイロン、ケーキ型、餅つき器等)食品加工用器具(製パン・製菓子の練り器、パン焼き型、食品自動包装機・加工機、農水産物加工機等)、ならびに自動車用部品に利用すると効果的である。その他、一の面の機械的特性ならびに滑り特性を利用して、繊維や製紙工業向け製品、各種刃物類への利用が期待できる。さらに一の面の耐食性ならびに耐薬品性を利用して、パイプ類、センサ類、各種容器に利用することが可能である。
本発明で使用する傾斜材料について、図を用いてさらに詳細に説明する。本発明の傾斜材料の模式図を図1に示す。図は、本発明のフィルムまたはシート状製品を表す。図中、左側が「傾斜材料」、右側が「基材」であり、傾斜材料中の左側の面が「一の面」、右側の基材と接している面が「他の面」である。該一の面から他の面までの長さは傾斜材料の厚さに相当する。放射線は図中左側、すなわち一の面側から照射したことになる。図中、「高」「低」と記載されているのは、傾斜材料を作成する際に照射された放射線の線量を表しており、左側の面には高い線量、右側の面には低い線量の放射線が照射されたことを示す。このような放射線の照射により、フィルムまたはシート材料を構成するポリマー鎖に切断ならびに架橋が生じ、高い線量の放射線が照射された一の面側のポリマーは三次元構造の含率が増える。これに対し放射線が充分に届かず、ポリマー鎖の切断ならびに架橋があまり起こらない他の面側のポリマーは、三次元構造の含率が低く二次元構造の含率が高い。一の面と他の面との間に存在するポリマーは、それぞれ届いた放射線の線量に応じて三次元構造と二次元構造との比率が決まる。一の面に近い方がより三次元構造の含率が高く、他の面側に行くに従い三次元構造の含率は漸次減少していく。
本発明で使用する傾斜材料は、このような構造を有しているため、一の面側は高耐摩耗性、低クリープ特性、高剛性、低ガス透過性、低膨潤性、高耐薬品性など、主に機械的特性に優れており、一方他の面側は基材に対する高密着性、易融着性、ならびに高延伸性、高展性等の特性を有することになる。
本発明の傾斜材料を製造する方法について、さらに詳細に説明する。本発明の方法は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーを、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材上に厚さ5〜500μmに塗布してポリマー層を設け、該ポリマー層の、該基材と接していない一の面に、酸素不存在下および不活性ガス存在下、室温から該ポリマーの融点より50℃を超えない温度条件下で、放射線を一回照射することによりフィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、該放射線の加速電圧が50〜450kVであり;照射される放射線の線量が、該ポリマー層の、該基材と接している一の面において20〜500kGy、該ポリマー層の、該基材と接している他の面において1〜50kGyとなるものであり;該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍である、前記方法である。本発明の方法において放射線の加速電圧と線量は、以下のように定める。
図2には、比重1の物質への電子線の透過能力と相対線量の関係を示す。この図によると、例えば加速電圧300kVの電子線を比重1の物質に照射した場合、表面での線量を100%とすると、照射線量が最大になる箇所は照射面から深さ約170μmの部分で、照射面から深さ400μmの部分の線量はおよそ80%、深さ700μmの部分の線量は10%以下になる。同じく加速電圧200kVの電子線を比重1の物質に照射した場合、表面での線量を100%とすると、照射線量が最大になる箇所は照射面から深さ約50μmの部分で、照射面から深さ170μmの部分の線量はおよそ80%、深さ350μmの部分の線量は10%以下になる。
放射線を照射する材料の比重(密度)が1を超えると、放射線は深い部分まで届きにくくなるため、図2のグラフは左側に縮む形となり、逆に比重(密度)が1より小さいと、放射線はより深い部分まで届きやすくなるため、図2のグラフは右側に伸びる形となる。すなわち、放射線を照射する材料の密度と厚さとを考慮し、放射線を照射する一の面と、放射線を照射しない他の面とに、どの程度の架橋反応をさせるかを予め決め、必要な加速電圧を割り出す。例えば、材料としてポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、三次元構造の含率100%とするためにはおよそ20〜500kGyの線量の照射が必要となる。同じくテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を用いた場合、三次元構造の含率100%とするためには、およそ50〜1000kGyの線量の照射が必要となり、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いた場合はおよそ50〜1000kGyの照射が必要となる。
本発明の製造方法では、フィルムまたはシート状のポリマー層に所定の加速電圧を有する放射線を照射するので、用いるポリマーは、この照射に耐えうる分子量を有していることが好ましい。例えば、数平均分子量10,0000〜10,000,000であると、放射線の照射によってポリマー層の耐久性が劣るという不都合がなくなる。
以下の表1に、本発明の傾斜材料として用いられるポリマーの密度ならびにこれら材料から本発明の傾斜材料を製造するために必要な放射線の線量ならびに加速電圧をまとめる。
表中、厚み(μm)で表されている数値は、左欄の樹脂を工業的に利用する際に好適な厚みである。
本発明の製品の製造に使用される基材は、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択されることが好ましい。基材自体の厚さは、特に制限はなく、本発明の製品の用途に応じて適宜選択すればよい。
本発明の製品の製造に使用される基材は、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択されることが好ましい。基材自体の厚さは、特に制限はなく、本発明の製品の用途に応じて適宜選択すればよい。
本発明の製品を製造する方法として、別法を採ることができる。すなわち、まずポリマーの傾斜材料を製造し、次いで得られた傾斜材料を基材に接着させるという順で行うことが可能である。したがって本発明のもう一つの製造方法は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーにより構成される、厚さ5〜500μmを有するフィルムまたはシート材料の一の面に、酸素不存在下および不活性ガス存在下、室温から該ポリマーの融点より50℃を超えない温度条件下で、以下の特徴を有する放射線(該放射線の加速電圧が50〜450kVであり;照射される放射線の線量が、該材料の一の面において20〜500kGy、該材料の他の面において1〜50kGyとなるものであり;該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍である)を照射して、フィルムまたはシート状傾斜材料を得、次いで得られたフィルムまたはシート状傾斜材料の該他の面と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材とを接着することからなる、前記方法である。本別法により本発明の製品を製造する場合には、まずポリマーフィルムまたはシート材料の一の面に放射線を照射する。照射する放射線の加速電圧ならびに照射線量は、上で説明したのと同様に選択することができる。このようにしてフィルムまたはシート材料で傾斜材料を得、次いでこの傾斜材料を基材に接着させる。上述したとおり、特にアルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材と接着させると、傾斜材料の適用範囲が拡大する。傾斜材料と基材との接着は、従来法である加熱融着法により行うことができる。接着させる際には、本発明の傾斜材料における「他の面」側、すなわち、より低い線量の放射線を照射した側の方を基材と接着させれば、例えば接着剤などの他の薬剤を用いる必要はないが、必要に応じて接着剤などを使用しても良い。上記の通り傾斜材料の「他の面」側は、二次元構造のポリマーの含率が高いため、基材との密着性や接着性に優れている。本発明の製品を、各種コーティング製品、ラミネート用製品、シーリング材料、造形用ならびに装飾用シートなどに応用することができる。
次に本発明に用いる傾斜材料における三次元構造および二次元構造のポリマーの含率を求める方法を説明する。一般にフッ素系樹脂は化学的に非常に安定で、有機溶媒などに対してもきわめて安定であるため、分子構造あるいは分子量などを同定することは困難である。さらに本発明の傾斜材料は二次元構造ならびに三次元構造を形成しているため、さらに溶媒には溶解し難くなり、構造分析はいっそう困難となる。しかしながら19F固体NMR法(High speed magic angle nuclear magnetic resonance)による測定ならびに解析と機械的特性(レオロジー特性)の測定ならびに解析とを組み合わせることにより、本発明の傾斜材料中の二次元構造または三次元構造のポリマーの含率を同定することが可能となる。
例えば、国際出願(PCT/JP2009/067074)には、19F固体NMR法と摩耗試験法とを組み合わせてポリマーの二次元構造ならびに三次元構造の割合を測定する方法が記載されている。例えば本国際出願には、以下のような解析方法が記載されている:
測定は、適切なNMR装置を用いて、好適な共鳴周波数(282MHz)、MAS(Magic Angle Spinning)周波数(30kHz)、待ち時間(recycle delay time)(10秒)、90度パルス幅(2.5μs)ならびに測定温度(25℃)で行う。照射を行っていない試料(対照試料)を上記の条件で測定すると、−122ppm付近に-CF2-CF2--CF2- に帰属されるシグナルのみが観測される。50〜100kGyの線量の放射線を照射したPTFEを測定すると、−122ppm付近のシグナルに加えて−109ppm付近にCF2-CF(CF2-)-CF2- に帰属されるシグナルが観測される。また100kGyを超える線量の放射線を照射したPTFE樹脂については、−109ppm付近の-CF2-CF(CF2-)-CF2- に帰属されるシグナルが観測される。観測されるシグナルの強度は50kGy照射試料よりも100kGy照射試料の方が強く、しかも10000kGyまでの照射線量である限りは、線量の増加に伴ってシグナルが強くなることがわかっている(Katoh E., et al., Evidence for radiation induced crosslinking in polytetrafluoroethylene by means of high-resolution solid-state 19F high-speed MAS NMR. Radiation Physics and Chemistry, 54, 165-171. 1999年)。つまり放射線の照射によって-CF2-CF(CF2-)-CF2-の構造部分が徐々に形成され、線量が50kGy位になると19F 固体 NMR法による分析で観測される様になる。10kGy以下の放射線を照射した試料の場合、19F 固体 NMR法による分析で観測では検出限界未満となることもあるが、枝分かれの構造が形成されていることは科学的には明白である。19F 固体 NMR法による分析に加えて、枝分かれ構造のできたPTFE樹脂の摩耗試験を行う。線量10kGyの放射線を照射した試料の摩耗試験結果は、対照試料とほとんど違いは見られない。線量20kGy程度の放射線を照射したものは、対照試料に比べて摩耗量が減少し、逆に耐摩耗性が向上する。さらに照射線量50kGy、100kGyの試料になるとその傾向が顕著に現れる。PTFEにおいて三次元的な枝分かれ構造(架橋構造)が形成されると、非晶部の変形が生じ難くなり、結果として繊維化やフィルム化を伴った樹脂の脱離(摩耗)が抑制され、耐摩耗性が向上することが知られている(池田重利、放射線による新規なフッ素系樹脂の創出とその応用 東京大学博士論文. 2007年)。摩耗試験測定結果において摩耗量の減少は、三次元的な枝分かれ構造の形成を示しているので、摩耗試験の結果により摩耗量の現象が観測される線量こそが三次元的な枝分かれ構造を形成し始める線量であると云える。
測定は、適切なNMR装置を用いて、好適な共鳴周波数(282MHz)、MAS(Magic Angle Spinning)周波数(30kHz)、待ち時間(recycle delay time)(10秒)、90度パルス幅(2.5μs)ならびに測定温度(25℃)で行う。照射を行っていない試料(対照試料)を上記の条件で測定すると、−122ppm付近に-CF2-CF2--CF2- に帰属されるシグナルのみが観測される。50〜100kGyの線量の放射線を照射したPTFEを測定すると、−122ppm付近のシグナルに加えて−109ppm付近にCF2-CF(CF2-)-CF2- に帰属されるシグナルが観測される。また100kGyを超える線量の放射線を照射したPTFE樹脂については、−109ppm付近の-CF2-CF(CF2-)-CF2- に帰属されるシグナルが観測される。観測されるシグナルの強度は50kGy照射試料よりも100kGy照射試料の方が強く、しかも10000kGyまでの照射線量である限りは、線量の増加に伴ってシグナルが強くなることがわかっている(Katoh E., et al., Evidence for radiation induced crosslinking in polytetrafluoroethylene by means of high-resolution solid-state 19F high-speed MAS NMR. Radiation Physics and Chemistry, 54, 165-171. 1999年)。つまり放射線の照射によって-CF2-CF(CF2-)-CF2-の構造部分が徐々に形成され、線量が50kGy位になると19F 固体 NMR法による分析で観測される様になる。10kGy以下の放射線を照射した試料の場合、19F 固体 NMR法による分析で観測では検出限界未満となることもあるが、枝分かれの構造が形成されていることは科学的には明白である。19F 固体 NMR法による分析に加えて、枝分かれ構造のできたPTFE樹脂の摩耗試験を行う。線量10kGyの放射線を照射した試料の摩耗試験結果は、対照試料とほとんど違いは見られない。線量20kGy程度の放射線を照射したものは、対照試料に比べて摩耗量が減少し、逆に耐摩耗性が向上する。さらに照射線量50kGy、100kGyの試料になるとその傾向が顕著に現れる。PTFEにおいて三次元的な枝分かれ構造(架橋構造)が形成されると、非晶部の変形が生じ難くなり、結果として繊維化やフィルム化を伴った樹脂の脱離(摩耗)が抑制され、耐摩耗性が向上することが知られている(池田重利、放射線による新規なフッ素系樹脂の創出とその応用 東京大学博士論文. 2007年)。摩耗試験測定結果において摩耗量の減少は、三次元的な枝分かれ構造の形成を示しているので、摩耗試験の結果により摩耗量の現象が観測される線量こそが三次元的な枝分かれ構造を形成し始める線量であると云える。
このように、本発明の傾斜材料中の構造分析ならびに解析は、19F固体NMR法と摩耗試験法とを組み合わせることにより好適に行うことが可能である。
本発明に用いる傾斜材料は、材料内部に不連続な領域を有していない。例えば、材料の一の面にある線量の放射線を照射し、次いで他の面に別の線量の放射線を照射する、材料の両面から放射線を照射する方法にて傾斜材料を形成しようとすると、材料内部に不連続な領域が発生しうる。さらに三次元構造のポリマーを好ましい含率で含むシートと、二次元構造のポリマーを好ましい含率で含むシートとを貼り合わせて本発明の傾斜材料を形成しようとしても、貼り合わせた面が不連続な領域となる。しかしながら本発明の方法による照射法では、材料の内部に到達する放射線の線量が漸次減衰していくことを利用しているため、材料内部に不連続な領域が発生することがない。これにより材料の層間剥離や破断を防ぐことも可能である。結果として、きわめて簡便な方法で、材料の表面部には硬度や耐摩耗性を付与しつつ、材料と基材との接着部分においてはその接着力を高めることができる。一の面ならびに他の面に照射される放射線の線量を調節することにより、樹脂本来の加工性を維持することも、加工性に乏しい樹脂に加工性を付与(展性あるいは延性の向上)することも自在に行うことができる。
本発明に用いる傾斜材料は、材料内部に不連続な領域を有していない。例えば、材料の一の面にある線量の放射線を照射し、次いで他の面に別の線量の放射線を照射する、材料の両面から放射線を照射する方法にて傾斜材料を形成しようとすると、材料内部に不連続な領域が発生しうる。さらに三次元構造のポリマーを好ましい含率で含むシートと、二次元構造のポリマーを好ましい含率で含むシートとを貼り合わせて本発明の傾斜材料を形成しようとしても、貼り合わせた面が不連続な領域となる。しかしながら本発明の方法による照射法では、材料の内部に到達する放射線の線量が漸次減衰していくことを利用しているため、材料内部に不連続な領域が発生することがない。これにより材料の層間剥離や破断を防ぐことも可能である。結果として、きわめて簡便な方法で、材料の表面部には硬度や耐摩耗性を付与しつつ、材料と基材との接着部分においてはその接着力を高めることができる。一の面ならびに他の面に照射される放射線の線量を調節することにより、樹脂本来の加工性を維持することも、加工性に乏しい樹脂に加工性を付与(展性あるいは延性の向上)することも自在に行うことができる。
放射線の照射によりポリマーの分子構造に変化を与えることで、照射しなかった側の面と基材との接着強度を高めることが可能であるため、従来、接着強度を高めるために必要であった基材のコロナ処理や樹脂材料のオゾン処理の工程を無くすことが可能となる。あるいは樹脂材料と基材との接着力を高めるためのプライマー、バインダーあるいはアンカーコート剤の使用を不要にすることも可能となる。一定条件下で放射線照射するだけで複数の目的(フィルムまたはシート状樹脂材料の一の面および他の面の部分をそれぞれ所望する線量で照射すること;樹脂材料の一の面から他の面まで、材料の特性を連続的に傾斜をもって変化させること。)を同時に達成することができ、従来に無い製品を得る事ができる。
本発明の製品を、以下の通り製造し、試験した。
[基材]
基材としてアルミ板(型式;A-1100;会社名:泰豊トレーディング(株)製;サイズ:60×90mm、厚さ2mm)を使用した。アルミ板はトリクロロエチレンで洗浄し脱脂処理をしたものを使用した。
[基材]
基材としてアルミ板(型式;A-1100;会社名:泰豊トレーディング(株)製;サイズ:60×90mm、厚さ2mm)を使用した。アルミ板はトリクロロエチレンで洗浄し脱脂処理をしたものを使用した。
[コーティング方法]
スプレーコーティング法により、上記基材に各ポリマー溶液を所定の厚さに塗布した。水系塗料タイプのもの(ポリビニリデンフルオライド、ポリフッ化ビニル)は100℃、溶剤系塗料タイプのもの(ポリテトラフルオロエチレン)は200℃で、それぞれ20分間乾燥し、その後、各ポリマーの融点から60℃高い温度において約20分間融着(焼成)を行った。粉体塗料タイプのもの(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン)についてはそのまま融着(焼成)を行った。コーティングは、基材上にアンカー材を設けたり、プライマーを塗布するなどの特別な下地処理を行わずに、直接、樹脂塗料の塗布を行った。ポリマーの融着(焼成)後、試料を乾燥・焼成炉から取り出し、室温で放冷した。
スプレーコーティング法により、上記基材に各ポリマー溶液を所定の厚さに塗布した。水系塗料タイプのもの(ポリビニリデンフルオライド、ポリフッ化ビニル)は100℃、溶剤系塗料タイプのもの(ポリテトラフルオロエチレン)は200℃で、それぞれ20分間乾燥し、その後、各ポリマーの融点から60℃高い温度において約20分間融着(焼成)を行った。粉体塗料タイプのもの(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン)についてはそのまま融着(焼成)を行った。コーティングは、基材上にアンカー材を設けたり、プライマーを塗布するなどの特別な下地処理を行わずに、直接、樹脂塗料の塗布を行った。ポリマーの融着(焼成)後、試料を乾燥・焼成炉から取り出し、室温で放冷した。
[電子線照射によるポリマー層の照射]
全てのポリマー層の電子線による照射を窒素ガス流通下の照射容器内にて行った。照射時の温度は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を用いた場合、約340℃、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いた場合、約315℃、ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP)を用いた場合、約270℃とした。この温度は、それぞれのポリマーの融点近傍の温度である。テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンを用いた場合は室温下で電子線照射を行った。電子線照射は低エネルギー電子線加速器を使用して行った。照射後、試料を照射容器から取り出し室温で放冷した。
全てのポリマー層の電子線による照射を窒素ガス流通下の照射容器内にて行った。照射時の温度は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を用いた場合、約340℃、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いた場合、約315℃、ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP)を用いた場合、約270℃とした。この温度は、それぞれのポリマーの融点近傍の温度である。テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンを用いた場合は室温下で電子線照射を行った。電子線照射は低エネルギー電子線加速器を使用して行った。照射後、試料を照射容器から取り出し室温で放冷した。
上記で得られた製品を以下の通り評価した。
[接着強度測定試験]
ポリマー層にカッターで下地基板まで10mm幅の切り込みを入れ、端を幅5mm剥がし、端面をつかみ具に取り付け、90°剥離法により室温で荷重測定を行った。この荷重値を接着強度の評価値とした。この値は、電子線を照射しなかった側のポリマー表面、すなわち基材に接している側のポリマー表面の接着強度の指標となる。
[接着強度測定試験]
ポリマー層にカッターで下地基板まで10mm幅の切り込みを入れ、端を幅5mm剥がし、端面をつかみ具に取り付け、90°剥離法により室温で荷重測定を行った。この荷重値を接着強度の評価値とした。この値は、電子線を照射しなかった側のポリマー表面、すなわち基材に接している側のポリマー表面の接着強度の指標となる。
[摩耗試験]
スラスト型摩擦摩耗試験により評価を行った。試験は面圧:0.43MPa、回転速度:59.9m/分、相手材粗さ:0.10〜0.19μmRa、相手材形状:SUS304製リング(外径20mm、内径16mm)の条件において、比摩耗量を測定し、これを評価値とした。この値は、電子線を照射した側のポリマー表面、すなわち基材に接していない側のポリマー表面の摩耗強さの指標となる。
スラスト型摩擦摩耗試験により評価を行った。試験は面圧:0.43MPa、回転速度:59.9m/分、相手材粗さ:0.10〜0.19μmRa、相手材形状:SUS304製リング(外径20mm、内径16mm)の条件において、比摩耗量を測定し、これを評価値とした。この値は、電子線を照射した側のポリマー表面、すなわち基材に接していない側のポリマー表面の摩耗強さの指標となる。
[引張強度試験]
測定器:IMADA製デジタルフォースゲージZPSを用いて、引張速度:100mm/分、試験片:ダンベル(ASTM D 1822L)、 測定温度:20℃の条件において引張試験を行い、引張降伏応力および引張弾性率を評価した。
測定器:IMADA製デジタルフォースゲージZPSを用いて、引張速度:100mm/分、試験片:ダンベル(ASTM D 1822L)、 測定温度:20℃の条件において引張試験を行い、引張降伏応力および引張弾性率を評価した。
[ガス(酸素)透過性試験]
真空差圧型のガス透過装置を用いて試料のガス透過試験を行い、膜を透過した酸素の量を圧力の時間変化として記録し、その直線の傾きから透過速度を求めて酸素透過係数を算出した。
真空差圧型のガス透過装置を用いて試料のガス透過試験を行い、膜を透過した酸素の量を圧力の時間変化として記録し、その直線の傾きから透過速度を求めて酸素透過係数を算出した。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にPTFE(会社名:ダイキン工業株式会社社製)をコーティングした試料を窒素ガス中で約340℃に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1-1から1-6および1-9から1-12は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例1-7から1-8は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。さらに比較例として全く電子線照射をしない例(実施例1-13)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例1-14)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例1−15)の試料を作製した。
電子線を照射した試料の接着強度測定、およびスラスト式摩擦摩耗試験を行い、基材に接しているポリマー表面の接着強度ならびに電子線を照射したポリマー表面の比摩耗量を測定した。実施例1〜8と、実施例1-9および実施例1-12〜1-15とを比較すると、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有する製品をもたらすように電子線の加速電圧を制御することにより、製品の、電子線を照射した表面層の耐摩耗性が高まり、かつポリマー層と基材との接着性も高まることが確認できる。また種々の膜厚のポリマーを用いて、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件(実施例1-10)にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にPFA(会社名:泰豊トレーディング(株)製)をコーティングした試料を窒素ガス中で約320℃に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例2-1から2-3および2-6から2-9は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例2-4から2-5は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。実施例1と同様に、比較例として全く電子線照射をしない例(実施例2-10)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例2-11)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例2-12)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。結果は実施例1と同様であり、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にFEP(会社名:ダイキン工業株式会社社製)をコーティングした試料を窒素ガス中で約320℃に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例3-1から3-3および3-6から3-9は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例3-4から3-5は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。実施例1と同様に、比較例として全く電子線照射をしない例(実施例3-10)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例3-11)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例3-12)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。結果は実施例1と同様であり、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にETFE(会社名:ダイキン工業株式会社社製)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例4-1から4-3および4-6から4-9は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例4-4から4-5は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。実施例1と同様に、比較例として全く電子線照射をしない例(実施例3-10)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例3-11)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例4-12)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。結果は実施例1と同様であり、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にPVdF(会社名:クレハ株式会社製)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例5-1から5−8は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例5-9)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例5-10)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例5-11)の試料を作製した。
実施例5-1から5−8は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例5-9)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例5-10)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例5-11)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。結果は実施例1と同様であり、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)にPVF(会社名:デュポン株式会社製)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例6-1から6−8は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例6-9)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例6-10)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例6-11)の試料を作製した。
実施例6-1から6−8は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例6-9)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例6-10)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例6-11)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)に高密度ポリエチレン(会社名:三井住友ポリオレフィン社製;密度:0.944g/cm3)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例7-1から7-5および7-8から7-11は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例7-6から7-7は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例7-12)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例7−13)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例7−14)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。実施例7−11および実施例7−12の結果を比較するとわかるとおり、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。また、ポリマー層の、基材に接していない他の面と基材との接着強度を増大させると同時に、比摩耗量を減少させることができることを確認した。この際、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する条件にて電子線を照射して得た製品(実施例7−13)よりも、加速電圧を調整して、ポリマー層の、基材と接している面に二次元構造を有する本発明の製品の方が、より高い接着力でポリマー層と基材とが接着していることが確認できた。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)に低密度ポリエチレン(会社名:三井住友ポリオレフィン社製;密度:0.916g/cm3)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例8-1から8-5および8-8から8-11は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例8-6から8-7は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例8-12)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例8−13)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例8−14)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。長鎖分岐構造を有するポリエチレンの中でも特に加工性に優れる低密度ポリエチレンも、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。
上記の通りアルミニウム板(2mm厚)に直鎖状低密度ポリエチレン(会社名:三井住友ポリオレフィン社製;密度:0.921g/cm3)をコーティングした試料を窒素ガス中で室温下に保持し、上記の通り電子線照射を行った。
実施例1と同様に実施例9-1から9-5および9-8から9-11は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例9-6から9-7は基材と接している面のポリマー層に照射される電子線の線量が、基材と接していない面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例9-12)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例9−13)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例9−14)の試料を作製した。
作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。直鎖状低密度ポリエチレンについても、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の、基材に接していない一の面に三次元構造、基材に接している他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御できることがわかった。
高密度ポリエチレンフィルム(会社名:三井住友ポリオレフィン社製;密度:0.944g/cm3)に、窒素ガス中、室温下において電子線照射を行った。実施例10-1から10-4および10-7から10-11は、電子線を照射する一の面のポリマー層に照射される電子線の線量が、他の面に照射される電子線の線量の約1/10になるように加速電圧を調整し、実施例10-5から10-6は電子線を照射する一の面のポリマー層に照射される電子線の線量が、他の面に照射される電子線の線量の約1/20になる様に加速電圧を調整した。比較例として全く電子線照射をしない例(実施例10-11)、ポリマー全体(一の面と他の面)を均一に照射する例(実施例10−12)、基材と接している面にまで電子線が到達しないように照射した例(実施例10−13)の試料を作製した。
その後、他の面の側をアルミニウム板(2mm厚)と重ね、熱プレス機を用いて圧力30MPa、温度310℃において5分間保持し熱融着をさせて接着させた。作製した試料の接着強度試験および摩耗試験を行った。直鎖型の分子構造を有し、ポリエチレンの中でも加工性に劣るとされている高密度ポリエチレンについても、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の一の面に三次元構造、他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御することができることがわかった。
低エネルギー電子線照射装置付帯の溶融ラミネーション装置により、高密度ポリエチレンフィルム(会社名:三井住友ポリオレフィン社製;密度:0.944g/cm3)とアルミ箔(会社名:住軽アルミ箔株式会社;厚さ:30μm)および前記高密度ポリエチレンフィルムとポリイミドフィルム(会社名:東レ・デュポン株式会社;厚さ200μm)との接着をそれぞれ行った。処理速度5m/分で、約320℃の温風により前記高密度ポリエチレンフィルムとアルミ箔、および前記高密度ポリエチレンフィルムとポリイミドフィルムとを融着させた後に電子線照射を行った場合(実施例11-1および11-3)と、電子線照射を行わなかった場合(実施例11-2および11-4)の2種の試料を作製した。照射後、試料の外観を観察すると共に、接着強度試験および摩耗試験を行い、接着強度と比摩耗量を測定した。
ポリエチレンの中でも加工性に劣るとされている高密度ポリエチレンについても、照射する電子線の加速電圧を調整し、ポリマー層の一の面に三次元構造、他の面では二次元構造のポリマーを有するように制御することができることがわかった。
Claims (7)
- ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーにより構成されるフィルムまたはシート状傾斜材料と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材とが積層されているフィルムまたはシート状製品であって、
該材料の、基材と接していない一の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが三次元構造を有し;
該材料の、基材と接している他の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが二次元構造を有し;
該一の面と該他の面との間に存在するポリマーの三次元構造の含率が連続的に変化しており;
該材料の厚さが5〜500μmである、前記製品。 - 該材料の厚さが7〜500μmである、請求項1に記載の製品。
- 該材料厚さが13〜500μmである、請求項1に記載の製品。
- フィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーを、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材上に厚さ5〜500μmに塗布してポリマー層を設け、該ポリマー層の、該基材と接していない一の面に、酸素不存在下および不活性ガス存在下、室温から該ポリマーの融点より50℃を超えない温度条件下で、放射線を照射することによりフィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、
該放射線の加速電圧が50〜450kVであり;
照射される放射線の線量が、該ポリマー層の、該基材と接していない一の面において20〜500kGy、該ポリマー層の、該基材と接している他の面において1〜50kGyとなるものであり;
該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍である、前記方法。 - 該放射線の加速電圧が50〜380kVである、請求項4に記載の方法。
- フィルムまたはシート状製品を製造する方法であって、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリエチレンからなる群より選択されるポリマーにより構成される、厚さ5〜500μmを有するフィルムまたはシート材料の一の面に、酸素不存在下および不活性ガス存在下、室温から該ポリマーの融点より50℃を超えない温度条件下で、以下の特徴を有する放射線:
該放射線の加速電圧が50〜450kVであり;
照射される放射線の線量が、該材料の一の面において20〜500kGy、該材料の他の面において1〜50kGyとなるものであり;
該一の面に照射される放射線の線量が該他の面に照射される放射線の線量の10倍〜20倍である
を一回照射して、フィルムまたはシート状傾斜材料を得、次いで得られたフィルムまたはシート状傾斜材料の該他の面と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材とを接着することからなる、前記方法。 - 該放射線の加速電圧が50〜380kVである、請求項6に記載の方法。
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