JP2017032143A - 摺動部材、転がり軸受および保持器 - Google Patents

摺動部材、転がり軸受および保持器 Download PDF

Info

Publication number
JP2017032143A
JP2017032143A JP2016153083A JP2016153083A JP2017032143A JP 2017032143 A JP2017032143 A JP 2017032143A JP 2016153083 A JP2016153083 A JP 2016153083A JP 2016153083 A JP2016153083 A JP 2016153083A JP 2017032143 A JP2017032143 A JP 2017032143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluororesin
sliding
layer
resin
sliding layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016153083A
Other languages
English (en)
Inventor
晶美 多田
Masami Tada
晶美 多田
佐藤 洋司
Yoji Sato
洋司 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Publication of JP2017032143A publication Critical patent/JP2017032143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】潤滑油中、高滑り速度、高面圧の条件下においても、摺動性に優れた摺動面を有する摺動部材、転がり軸受および保持器を提供する。【解決手段】基材上に形成されたフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物からなる摺動層を有する摺動部材であり、耐熱性樹脂の含有割合は摺動層の表面側よりも基材側に多く、フッ素樹脂の含有割合は基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれ、かつフッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有する。【選択図】図1

Description

本発明は摺動部材、転がり軸受および保持器に関し、特に摺動部材表面の耐摩耗性に優れ、その優れた耐摩耗性を長期間維持できる摺動部材、例えば、転がり軸受用保持器、この保持器を用いた転がり軸受に関する。
転がり軸受や保持器などの摺動面は、潤滑油や潤滑グリースなどが供給されて転がり摩擦またはすべり摩擦を低減している。また、更に摺動性を向上させるための表面処理が摺動面になされている。表面処理の1つにフッ素系樹脂被膜を形成する方法がある。例えば、摺動部材の摺動部に形成したポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)被膜に50〜250kGyの線量の放射線を照射することにより、耐摩耗性および基材との密着性を高める方法が知られている(特許文献1)。
ポリイミド樹脂、銅、アルミニウムおよびそれらの合金等の金属材料、セラミックス、およびガラスから選択された、耐熱性に優れた基材の表面にフッ素樹脂の被膜を形成し、フッ素樹脂の融点以上の温度で電離性放射線を照射する改質フッ素樹脂被覆材の製造方法が知られている(特許文献2)。
無潤滑軸受やダイナミックシール等に使用されるフッ素樹脂からなる摺動部材として、フッ素樹脂をその結晶融点以上に加熱し、酸素不在のもとで照射線量1kGy〜10MGyの範囲内において電離性放射線を照射したフッ素樹脂が知られている(特許文献3)。
PTFEにより構成されるフィルムまたはシート状傾斜材料と、アルミニウム、鉄、ステンレス、ポリイミドおよびセラミックスからなる群より選択される基材とが積層されているフィルムまたはシート状製品であって、該材料の、基材と接していない一の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが三次元構造を有し、該材料の基材と接している他の面ならびにその近傍層に存在するポリマーが二次元構造を有し該一の面と該他の面との間に存在するポリマーの三次元構造の含率が連続的に変化しており、該材料の厚さが5〜500μmであるフィルムまたはシート状製品が知られている(特許文献4)。
表面の潤滑性と塗膜密着性とが長期の使用に耐える耐久性のある滑り板用塗装金属板として、限定されたベース樹脂に適当量のフッ素樹脂粉末を分散させるが、焼付け条件により、塗膜中のフッ素樹脂粉末の分布を、表層側半分のフッ素樹脂濃度RSと金属板3側半分のフッ素樹脂濃度RBとの比がRS/RB=3.0以下とする滑り板用塗装金属板が知られている(特許文献5)。
一方、自動車、バイク等のエンジンに用いられる転がり軸受、特に保持器付き針状ころ軸受があり、この保持器表面の焼付きを防止するために保持器表面に銀めっきがなされている。この保持器付き針状ころ軸受は、針状ころを等間隔に保持するプレス製金属保持器から構成され、この保持器の表面全体に銀めっきが施されている(特許文献6)。
特開2010−155443号公報 特開2002−225204号公報 特開平9−278907号公報 特許第5454903号公報 特開平8−183137号公報 特許第5189427号公報
しかしながら、特許文献1に示す製造方法は、無潤滑下、低面圧の条件下で使用するため、基材との密着性を高める方法であり、各種機械の摺動面に要求される潤滑油中、高滑り速度、高面圧の条件の場合は適用が困難である。
特許文献2に記載のフッ素樹脂被膜は、フッ素樹脂の架橋反応およびフッ素樹脂と基材表面との化学反応を同時に生じさせ、それによって両者の強固な接着を達成することを目的としており、転がり軸受や保持器などの鉄基材の場合、基材表面との化学反応を生成することが困難であり、強固な接着は達成できないという問題がある。
特許文献3に記載の摺動部材は、無潤滑軸受やダイナミックシール等に使用され、被膜の形状ではなくフッ素樹脂からなる摺動部材に関する。そのため、被覆材としての特性は不明であり、更に潤滑油中、高滑り速度、高面圧を要求される転がり軸受用途に適用が困難である。
特許文献4に記載の被膜も特許文献1に記載の方法で製造される被膜と同様、平板試験片、低面圧、低滑り速度、無潤滑での評価であり、保持器試験片、高面圧、高滑り速度、油潤滑下で使用できるか否かは知られていない。
特許文献5に記載の塗装金属板も高面圧、高滑り速度、油潤滑下等の環境下で使用される保持器、軸受等について使用できるか否かは知られていない。
特許文献6に記載の銀めっきが施されている保持器においては、摺動面の摩耗量の経時変化がより少ない保持器が求められており、銀めっきに代わる摺動材が要求されている。また、銀めっきは、エンジンオイル中に含まれる硫黄成分によって硫化するという問題を有している。保持器表面に施された銀めっきが硫化すると、保持器から剥離や脱落が発生し、保持器の素地が露出する。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、基材との密着性に優れ、かつ耐久性に優れた摺動部材、特に潤滑油中、高滑り速度、高面圧の条件下においても、摺動性に優れた摺動面を有する摺動部材、転がり軸受および保持器の提供を目的とする。
本発明の摺動部材は基材表面に摺動層を有する摺動部材である。上記摺動層は樹脂組成物からなる摺動層であり、この樹脂組成物はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物である。上記耐熱性樹脂の含有割合は、混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、摺動層の表面側よりも基材側に多く、フッ素樹脂の含有割合は同じく基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれている。また、上記フッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有することを特徴とする。特に、摺動層の表面およびその近傍領域に三次元構造を有するか、または三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有することを特徴とする。
なお、摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を有するとは、摺動層におけるこの部分全体が三次元構造のフッ素樹脂のみからなることに限定されず、この部分に二次元構造のフッ素樹脂が一部含まれていてもよい。同様に、基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造を有するとは、摺動層におけるこの部分全体が二次元構造のフッ素樹脂のみからなることに限定されず、この部分に三次元構造のフッ素樹脂が一部含まれていてもよい。また、本発明における近傍とは対象面から2.5μm未満の層をいう。
本発明の摺動部材を構成する基材が鉄系金属材であることを特徴とする。また、同フッ素樹脂がPTFE樹脂であることを特徴とする。さらに同耐熱性樹脂が非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂であることを特徴とする。
本発明の鉄系金属材製保持器は、転がり軸受の転動体を保持する保持器であって、この鉄系金属材製保持器が上記本発明の摺動部材により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の転がり軸受は上記本発明の鉄系金属材製保持器を使用した転がり軸受であることを特徴とする。
本発明の摺動部材はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物からなり、耐熱性樹脂の含有割合が摺動層の表面側よりも基材側に多く、フッ素樹脂の含有割合が基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれており、フッ素樹脂は摺動層の表面側が架橋された三次元構造を、基材側が未架橋の二次元構造をそれぞれ有するフッ素樹脂構造であるので、基材との密着性に優れ、かつ耐久性に優れた摺動部材となる。特に潤滑油中、高滑り速度、高面圧の条件下においても摩耗を抑制でき摺動部品および軸受の寿命を長期間にわたり維持できる。この摺動部材により形成されている鉄系金属材製保持器は、銀めっき層を有する保持器に比較して、同等以上の摺動性を示す。また、この鉄系金属材製保持器を用いた転がり軸受は、潤滑油中で使用されるコンロッド用転がり軸受として、潤滑油中での摺動性に優れる。
摺動部材の断面図である。 他の摺動部材の断面図である。 針状ころを転動体とする転がり軸受用保持器の斜視図である。 針状ころ軸受を示す斜視図である。 4サイクルエンジンの縦断面図である。 摩耗量試験装置を示す図である。
本発明の摺動部材は、基材上に形成された摺動層を有している。この摺動層は表面層近傍が架橋された架橋フッ素樹脂層からなる。
基材としては、アルミニウム材、鉄系金属材、ポリイミド材、またはセラミックス材等が挙げられる。これらの中で転がり軸受用保持器としては、鉄系金属材が好ましい。
鉄系金属材は、転がり軸受などに使用される軸受鋼、浸炭鋼、機械構造用炭素鋼、冷間圧延鋼、または熱間圧延鋼等が挙げられる。鉄系金属材は摺動部材の形状に加工後、焼入焼戻し処理することで所定の表面硬度に調整する。例えばクロムモリブデン鋼(SCM415)を用いた鉄系金属材製保持器の場合、Hv値を484〜595に調整した鉄系金属材を使用することが好ましい。
本発明の摺動部材の断面図を図1および図2に示す。図1は摺動層の表面およびその近傍領域のフッ素樹脂が三次元構造を有する例である。
図1に示すように、摺動部材1を構成する摺動層2は、鉄系金属材3の表面に形成されている。摺動層2は、フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、基材層側領域4に耐熱性樹脂が、摺動層の表面側領域5にフッ素樹脂が、混合樹脂組成物の全体の配合割合よりもそれぞれ多量に含まれている。また、フッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍領域t2に三次元構造を有し、基材層側は未架橋の二次元構造を有している。
図2はフッ素樹脂が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有する例である。摺動層2は、フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、基材層側領域4に耐熱性樹脂が、摺動層の表面側領域5にフッ素樹脂が、混合樹脂組成物の全体の配合割合よりもそれぞれ多量に含まれている。また、摺動層2の層厚さt1の表面5a側から基材側4aの面に向かってフッ素樹脂の高分子構造が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有している。
すなわち、架橋フッ素樹脂層である摺動層2は、三次元構造を有する架橋層である表面側領域5および二次元構造を有する未架橋層である基材層側領域4から構成されている。この摺動層2は、金属基材3と接していない表面5aおよびその近傍に存在するフッ素樹脂が三次元構造からなる架橋構造を有し、該フッ素樹脂層の、金属基材3と接している面4aおよびその近傍に存在するフッ素樹脂が二次元構造からなる未架橋構造を有し、表面5aと基材側の面4aとの間に存在するフッ素樹脂の三次元構造の含率が連続的に少なくなっている。
フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物の被膜を形成したとき、耐熱性樹脂の含有割合が摺動層の表面側よりも基材側に多く含まれ、フッ素樹脂の含有割合が基材側よりも摺動層の表面側に多く含まれるのは、以下の理由による。
水系または溶媒系塗布液から塗膜を形成するとき、耐熱性に優れると共に、塗膜形成時に耐熱性樹脂は液状となるがフッ素樹脂は分散しているままである。このため、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂が摺動層表面側に分布し、フッ素樹脂よりも表面エネルギーの大きな耐熱性樹脂が基材側に分布することになる。フッ素樹脂が表面に多く分布する状態で被膜が形成されるので、表面の潤滑性に優れる。また、耐熱性樹脂が基材側に多く分布するので、基材との密着性に優れた摺動層が形成される。表面側のフッ素樹脂層は架橋されることで、更に摺動特性が向上する。また、樹脂被膜内の耐熱性樹脂は、基材側に含有量が多く分布しているため、放射線が届きにくく耐熱性樹脂の劣化が起こりにくいため、密着性が低下しない。
図1および図2において、摺動層2の層厚さt1は、5μm以上40μm未満、好ましくは15μm以上30μm未満である。層厚さが5μm未満であると、被膜の密着不良による剥離や初期摩耗の摩耗により、金属基材が露出するおそれがある。40μm以上であると、被膜形成時のクラック発生や運転中に剥離して潤滑状態が悪化するおそれがある。層厚さを5μm以上40μm未満の範囲とすることで、初期摩耗による金属基材の露出を防止でき、運転中における剥離を長期間にわたって防止できる。
フッ素樹脂は、基材の表面に塗膜を形成できる分散液、または溶液であれば使用できる。分散液としては水系塗布液に粒子状に分散できるフッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、PTFE樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は単独でも混合物としても使用できる。また、これらの中で、耐熱性および摺動性に優れるPTFEが好ましい。
摺動層を構成する耐熱性樹脂は、基材表面に分散液および/または溶液を塗布・乾燥後、焼成して摺動層を形成する時に熱分解しない樹脂である。ここで熱分解しないとは、焼成する温度および時間内において、熱分解を開始しない樹脂である。熱分解の開始は、例えばTGなどの熱分解装置により測定できる。
耐熱性樹脂は、非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂であることが好ましい。耐熱性に優れると共に、塗膜形成時に耐熱性樹脂が液状となり、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂が摺動層表面側に分布し、フッ素樹脂よりも表面エネルギーの大きな耐熱性樹脂が基材側に分布することで、表面の潤滑性に優れ、基材との密着性に優れた摺動層が形成される。表面側のフッ素樹脂層は架橋されることで、更に摺動特性が向上する。また、樹脂被膜内の耐熱性樹脂は、基材側に含有量が多く分布しているため、放射線が届きにくく耐熱性樹脂の劣化が起こりにくいため、密着性が低下しない。
非プロトン極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中で沸点が202℃であり、水と任意の割合で混合するN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂としては、芳香族ポリアミドイミド樹脂、溶媒可溶性芳香族ポリイミド樹脂、溶媒可溶性芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリベンゾイミダゾール樹脂、芳香族ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合しても使用できる。これらの中で、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましく、特に溶媒可溶性および被膜の耐熱性に優れている芳香族ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
芳香族ポリアミドイミド樹脂は、分子内に芳香環とイミド結合とアミド結合とを有する樹脂である。このような芳香族系ポリアミドイミド樹脂は、芳香族第一級ジアミン、たとえばジフェニルメタンジアミンと芳香族三塩基酸無水物、たとえばトリメリット酸無水物のモノまたはジアシルハライド誘導体から製造されるポリアミドイミド、芳香族三塩基酸無水物と芳香族ジイソシアネート化合物、たとえばジフェニルメタンジイソシアネートとから製造されるポリアミドイミドなどがあり、さらに、アミド結合に比べてイミド結合の比率を大きくしたポリアミドイミドとして、芳香族、脂肪族または脂環族ジイソシアネート化合物と芳香族四塩基酸二無水物および芳香族三塩基酸無水物とから製造されるポリアミドイミド等があり、いずれのポリアミドイミド樹脂であっても使用することができる。
上記芳香族系樹脂に併用できる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、エーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。また、フッ素樹脂が塗膜形成時の収縮を防ぐウレタン樹脂、アクリル樹脂を併用することができる。
摺動層を形成する混合樹脂組成物におけるフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合割合は、フッ素樹脂および耐熱性樹脂の合計を100質量部として、耐熱性樹脂の割合が1〜90質量部、好ましくは5〜85質量部、より好ましくは10〜80質量部である。耐熱性樹脂の割合が1質量部未満であると、金属基材とフッ素樹脂との線膨張係数の差が大きくなり、摺動層に引張り応力がかかり表面にひび割れが生じやすくなる。また、耐熱性樹脂の割合が90質量部を超えるとフッ素樹脂の割合が少なくなり、摺動性が不十分となる。
上記フッ素樹脂と上記耐熱性樹脂とを混合した水系塗布液または溶媒系塗布液を作製して、この塗布液を基板上に塗布・乾燥後、焼成して、未架橋前の混合樹脂組成物被膜が作製できる。
水系塗布液は、主溶媒としての水にフッ素樹脂および耐熱性樹脂の微粒子を分散させることで得られる。溶媒としては耐熱性樹脂を溶解させると共に、水と任意の割合で混合するN−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン系極性溶媒を配合することが好ましい。
溶媒系塗布液は、耐熱性樹脂を溶解させた有機溶媒にフッ素樹脂を溶解または分散させることで得られる。有機溶媒としては上記非プロトン系極性溶媒が好ましい。
上記塗布液には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤、カーボンブラックなどの無機顔料等が溶媒に配合される。また、消泡剤、乾燥剤、増粘剤、レベリング剤、ハジキ防止剤などを配合できる。
電子線照射前の混合樹脂組成物被膜は、上記耐熱性樹脂を非プロトン極性溶媒に溶解させた樹脂溶液に、フッ素樹脂を溶解した溶媒系塗布液、またはフッ素樹脂の微粒子を分散させた分散型塗布液を用いて、塗布・乾燥後、焼成して製造することができる。上述したように、この混合樹脂組成物被膜を形成する過程において、フッ素樹脂が摺動層表面側に分布し、耐熱性樹脂が基材側に分布することで、基材との密着性に優れると共に、摺動性に優れた被膜が得られる。
鉄系金属材表面に摺動層を有する摺動部材の製造方法について以下説明する。
(1)鉄系金属材の表面処理工程
鉄系金属材は、摺動層形成前にショットブラスト等を用いて、予め金属材表面の粗さ(Ra)を1.0〜2.0μmに調整し、その後、石油ベンジン等の有機溶剤内に浸漬させ、5分〜1時間程度超音波脱脂を行なうことが好ましい。
(2)上記塗布液の塗装工程
上記塗布液を塗装する前に、例えば、水分散液の分散性を向上させるために、ボールミルを用いて、例えば40rpmで1時間回転させ再分散する。下地層を焼成することなく、乾燥された下地層表面に、この再分散した水系塗布液を100メッシュの金網を用いて濾過し、スプレー法を用いて塗装する。
(3)上記塗布液の乾燥工程
塗布液を塗布後乾燥する。乾燥条件としては、例えば90℃の恒温槽内で30分程度の乾燥が好ましい。乾燥後の混合樹脂組成物層の層厚さは5〜40μm、好ましくは10〜20μmの範囲内である。5μm未満であると、被膜の密着不良による剥離や初期摩耗の摩耗により、金属基材が露出するおそれがある。40μm超であると、被膜形成時のクラック発生や運転中に剥離して潤滑状態が悪化するおそれがある。層厚さを5〜40μmの範囲とすることで、初期摩耗による金属基材の露出を防止でき、運転中における剥離を長期間にわたって防止できる。
なお、上記水系塗布液の塗装方法としては、スプレー法以外にディッピング法、刷毛塗り法など被膜を形成できるものであれば使用できる。被膜の表面粗さ、塗布形状をできるだけ小さくし、層厚さの均一性を考慮するとスプレー法が好ましい。
(4)混合樹脂組成物層被膜の焼成工程
混合樹脂組成物層の乾燥後、加熱炉内、空気中で配合されているフッ素樹脂の融点以上の温度、好ましくは(融点(Tm)+30℃)〜(融点(Tm)+100℃)、5〜40分の範囲内で、混合樹脂組成物層を焼成する。配合されているフッ素樹脂がPTFEの場合、好ましくは380℃の加熱炉内で30分間焼成する。
(5)表面フッ素樹脂層の架橋工程
焼成後の被膜に、照射温度が配合されているフッ素樹脂の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下、好ましくはフッ素樹脂層の融点より20℃低い温度から該融点の30℃高い温度以下にて、また、照射線量が250kGy超750kGy以下で放射線を照射してフッ素樹脂層を架橋させる。放射線としては、α線(α崩壊を行なう放射性核種から放出されるヘリウム−4の原子核の粒子線)、β線(原子核から放出される陰電子および陽電子)、電子線(ほぼ一定の運動エネルギーを持つ電子ビーム;一般に、熱電子を真空中で加速してつくる)などの粒子線;γ線(原子核、素粒子のエネルギー準位間の遷移や素粒子の対消滅、対生成などによって放出・吸収される波長の短い電磁波)などの電離放射線を用いることができる。これらの放射線の中でも、架橋効率や操作性の観点から、電子線およびγ線が好ましく、電子線がより好ましい。特に電子線は、電子線照射装置が入手しやすいこと、照射操作が簡単であること、連続的な照射工程を採用することができることなどの利点を有している。
照射温度がフッ素樹脂の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下の温度範囲以外ではフッ素樹脂の架橋が十分に進まない。フッ素樹脂の高硬度化が十分に進まない。また、照射雰囲気は架橋を効率的に行なうため、真空引きや不活性ガス注入により照射領域の酸素濃度を低くする必要がある。酸素濃度の範囲は0〜300ppmが好ましい。酸素濃度を以上のような濃度範囲に維持するには操作性やコスト面の観点から窒素ガス注入による不活性雰囲気が好ましい。
照射線量が250kGy以下であると架橋が不十分となり、摩耗量が大きく、金属基材が露出してしまう場合がある。また、照射線量が750kGy超であると架橋が必要以上に進み、被膜の硬度が上昇することで、脆化し、剥離等の被膜損傷が起こりやすくなる場合がある。
照射するときの加速電圧は40kV以上500kV未満、好ましくは50〜100kVである。40kV未満であるとフッ素樹脂層の表面層近傍の架橋が十分でなく、500kV以上であるとフッ素樹脂層全体に架橋が進む。放射線をフッ素樹脂層に照射すると、フッ素樹脂内部で放射線の強度が減衰するため、放射線を照射した表面近傍には放射線が充分届くが、他の面には放射線が届かないことを利用してフッ素樹脂層の表面近傍領域および傾斜材料としての架橋構造を形成できる。
フッ素樹脂層の表面層近傍が架橋構造を有していることについては、以下のように確認できる。一般に、フッ素系樹脂、特にポリテトラフルオロエチレン樹脂は化学的に非常に安定で、有機溶媒などに対しても極めて安定であるため、分子構造あるいは分子量などを同定することは困難である。しかしながら19F Magic angle Spinning(MAS)核磁気共鳴(NMR)法(High speed magic angle nuclear magnetic resonance)による測定ならびに解析により、摺動層の架橋構造を同定することが可能となる。
例えば、架橋PTFE樹脂は、未架橋PTFE樹脂に比較して、固体19F Magic angle Spinning(MAS)核磁気共鳴(NMR)チャートに出現する化学シフト値(δppm)が未架橋PTFE樹脂の−82ppm、−122ppm、−126ppmに加えて、−68ppm、−70ppm、−77ppm、−80ppm、−109ppm、−112ppm、−152ppm、および−186ppmから選ばれる少なくとも1つの化学シフト値が出現するか、または−82ppmに出現する化学シフト値のシグナル強度が、未架橋PTFE樹脂のシグナル強度に比較して増加する。これらの化学シフト値の測定ならびに解析により、PTFE樹脂の架橋構造が同定できる。
主溶媒としての水にフッ素樹脂の微粒子を分散させた水系塗布液を90℃の恒温槽内で30分程度の乾燥条件により塗布後乾燥後、空気中で380℃の加熱炉内で30分間焼成して、厚さ4μmの未架橋フッ素樹脂被膜を作製した。このフィルムを5枚密接して積層し、一方の面から、40kVの加速電圧にて750kGyの照射線量を電子線照射した。照射後、フッ素樹脂被膜を分離して、それぞれのフィルムについて、日本電子株式会社製NMR装置JNM−ECX400を用いて、上記実験例に従いNMR測定を行なった。測定の結果、照射面から照射と反対側の面に存在するフィルムに向かって架橋に伴うシグナル強度が低下し、傾斜構造を有していることが分かった。
摺動部材を構成する鉄系金属基材の厚さが薄い場合、混合樹脂組成物からなる摺動層は、耐熱性樹脂の配合により、フッ素樹脂単独よりも線膨張係数が鉄系金属基材の線膨張係数に近くなる。例えば、線膨張係数(×10-5/k)は鉄が1.21、PTFEが10.0、芳香族ポリアミドイミド樹脂が3.06であるので、混合樹脂組成物の線膨張係数は鉄に近づくことになる。その結果、摺動層表面の反りや被膜のひび割れを防ぐことができる。
上記摺動層を有する鉄系金属材は、摺動層が鉄系金属材との密着性に優れ、また摺動面が油中においても耐摩耗性に優れているので、鉄系金属材製保持器、この保持器を有する転がり軸受に好適に用いることができる。特に油中で使用され、針状ころを転動体とした転がり軸受であるエンジンのコンロッド大端部軸受、コンロッド小端部軸受またはクランクシャフト支持軸である場合に好適である。
また、本発明の混合樹脂組成物からなる摺動層は、上述したように、フッ素樹脂被膜を形成した際の線膨張係数が鉄系金属基材に近くなるので、例えば、基材の厚さが50μmであるスラストフォイル軸受に好適に適用できる。このスラストフォイル軸受において、摺動層がPTFE樹脂単独であると被膜の剥離が見られるなど密着性に劣り、また軸受面が大きく反るなどの不具合が発生するが、混合樹脂組成物からなる摺動層はこれらの不具合が見られなかった。
上記摺動層を有する転がり軸受用保持器の構造を図3に示す。図3は針状ころを転動体とする転がり軸受用鉄系金属製保持器の斜視図である。
保持器6は、針状ころを保持するためのポケット7が設けられ、各ポケットの間に位置する柱部8と、この柱部8を固定する両側円環部9、10とで、各針状ころの間隔を保持する。柱部8は針状ころを保持するため、柱部の中央部で山折・谷折に屈曲され、両側円環部9、10との結合部において平面視円形の膨らみを有する平板の複雑な形状とされている。本保持器の製造方法は、素形材より円環を削り出し、ポケット7をプレス加工により打抜きで形成する方法、平板をプレス加工した後、適当な長さに切断し、円環状に丸めて溶接により接合する方法などを採用することができる。この保持器6の表面部位にフッ素樹脂被膜の摺動層が形成されている。摺動層を形成する保持器の表面部位は潤滑油またはグリースと接触する部位であり、針状ころと接触するポケット7の表面を含めた保持器6の全表面に摺動層を形成することが好ましい。
図4は転がり軸受の一実施例である針状ころ軸受を示す斜視図である。図4に示すように、針状ころ軸受11は複数の針状ころ12と、この針状ころ12を一定間隔、もしくは不等間隔で保持する保持器6とで構成される。エンジンのコンロッド部用軸受の場合、軸受内輪および軸受外輪は設けられず、直接に、保持器6の内径側にクランク軸やピストンピン等の軸が挿入され、保持器6の外径側がハウジングであるコンロッドの係合穴に嵌め込まれて使用される。内外輪を有さず、長さに比べて直径が小さい針状ころ12を転動体として用いるので、この針状ころ軸受11は、内外輪を有する一般の転がり軸受に比べて、コンパクトなものとなる。
上記針状ころ軸受を使用した4サイクルエンジンの縦断面図を図5に示す。
図5は本発明の転がり軸受の一例として針状ころ軸受を使用した4サイクルエンジンの縦断面図である。4サイクルエンジンは、吸気バルブ13aを開き、排気バルブ14aを閉じてガソリンと空気を混合した混合気を吸気管13を介して燃焼室15に吸入する吸入行程と、吸気バルブ13aを閉じてピストン16を押し上げて混合気を圧縮する圧縮行程と、圧縮された混合気を爆発させる爆発行程と、爆発した燃焼ガスを排気バルブ14aを開き排気管14を介して排気する排気行程とを有する。そして、これらの行程で燃焼により直線往復運動を行なうピストン16と、回転運動を出力するクランク軸17と、ピストン16とクランク軸17とを連結し、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッド18とを有する。クランク軸17は、回転中心軸19を中心に回転し、バランスウェイト20によって回転のバランスをとっている。
コンロッド18は、直線状棒体の下方に大端部21を、上方に小端部22を設けたものからなる。クランク軸17は、コンロッド18の大端部21の係合穴に取り付けられた針状ころ軸受11aを介して回転自在に支持されている。また、ピストン16とコンロッド18とを連結するピストンピン23は、コンロッド18の小端部22の係合穴に取り付けられた針状ころ軸受11bを介して回転自在に支持されている。
摺動性に優れた針状ころ軸受を使用することにより、小型化あるいは高出力化された2サイクルエンジンや4サイクルエンジンであっても耐久性に優れる。
図4では軸受として針状ころ軸受について例示したが、本発明の転がり軸受は、上記以外の円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受、フォイル軸受等としても使用できる。特に、油潤滑環境下で使用され、鉄系金属材製保持器を使用する転がり軸受に好適に使用できる。
また、上記摺動層を有する鉄系金属材は、基油と増ちょう剤とから構成されるグリース潤滑下においても耐摩耗性に優れているので、鉄系金属材製保持器、この保持器を有する転がり軸受に好適に用いることができる。グリースは、高速回転時の発熱による軸受の昇温や、鋼からなる転動体および保持器の摩擦により生じる金属摩耗粉が混入することに起因して劣化する。これに対して、本発明の摺動層を相互に摺動する鉄系金属材の少なくとも一方に設けることで、鉄同士が相互に摺動する場合よりも、金属摩耗粉の経時的な増加量(グリースへの混入量)を抑えることができる。この結果、グリースの劣化を抑制でき、グリースの潤滑寿命を延伸できる。
グリース潤滑される軸受の一例として、鉄道車両の主電動機用の軸受は、温度変化に起因した主軸の軸方向への膨張および収縮に対応するため、固定側の軸受として玉軸受が用いられる一方で、自由側の軸受としては主軸の膨張および収縮に対応可能な円筒ころ軸受が用いられる。固定側の玉軸受は、例えば深溝玉軸受であり、鋼球と鉄板波型保持器とを備えている。また、自由側の円筒ころ軸受は、鋼製の円筒ころと黄銅揉抜保持器とを備えている。これらの主電動機用軸受が高温、高速回転下で使用される場合には、例えば、リチウム石けんおよび鉱油を有するグリースが潤滑剤として用いられる。
このような鉄道車両の主電動機用軸受におけるグリースの潤滑寿命は、軸受の転動疲労寿命に対して短いため、現状では所定の走行距離毎に実施される車両の分解検査においてグリースの詰め替え作業(メンテナンス)が行なわれる。また、現状のメンテナンス周期においても、上記の理由等により、グリースの劣化が進行している場合が多い。この軸受として本発明の転がり軸受を適用することで、グリースの潤滑寿命を延伸でき、上記メンテナンス周期を延伸できる。
実施例1〜実施例5
焼入れ焼戻し処理したクロムモリブデン鋼(SCM415)製φ44mm×幅22mmのニードル軸受保持器(基材表面硬度 Hv:484〜595)を準備して、表1に示す塗布液を用いて表面摺動層となる塗膜を塗布・乾燥・焼成した。乾燥時間は90℃の恒温槽内で30分間乾燥し、加熱炉内で表1に示す焼成温度にて30分間焼成した。表1において、PAIは芳香族ポリアミドイミド樹脂を、PESはポリエーテルサルホン樹脂をそれぞれ表す。
その後、以下の条件で保持器にPTFE樹脂層表面側から電子線照射を行なった。
使用装置:浜松ホトニクス株式会社製EBエンジン
加速電圧:70kV
照射線量:700kGy、750kGy
照射時の被膜温度:340℃
照射時のチャンバー内雰囲気:加熱窒素
表面処理された上記ニードル軸受保持器を以下の方法で評価した。摩耗量試験装置の概要を図5に示す。
SUJ2製、焼入れ焼戻し処理HRC62、凹部表面粗さ0.1〜0.2μmRaの凹状相手材24を垂直方向から回転軸に取り付けた保持器6に所定の荷重25で押し付けた状態で、回転軸とともに保持器6を回転させることにより保持器6表面に施した被膜の摩擦特性を評価し摩耗量を測定した。測定条件は、荷重:440N、潤滑油:鉱油(10W−30)、滑り速度:930.6m/分、測定時間:100時間である。また、その時の剥離量を目視で観察することでPTFE被膜の密着性についても評価した。剥離量は比較例1を基準として、最大剥離箇所の剥離面積が大きい場合を×、小さい場合を△、より小さい場合を○とした。また、摩耗試験後の外観写真を同時に示す。なお凹R部半径は、保持器半径よりも20〜55μm大きい寸法で設定した。潤滑油は保持器の半分の高さまで浸漬する量を使用した。結果を表1に示す。
比較例1
樹脂組成物をフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物とすることなく、実施例1で用いたフッ素樹脂単独の被膜を形成する以外は、実施例1と同一のニードル軸受保持器を得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
樹脂組成物をフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物とすることなく、実施例1で用いた芳香族ポリアミドイミド樹脂単独の被膜を形成し、電子線照射をしない以外は、実施例1と同一のニードル軸受保持器を得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。なお、摩耗量が大きいため、剥離量および外観写真による評価は中止した。
本発明は、潤滑油中、高滑り速度、高面圧の条件下においても摩耗を抑制でき摺動材が得られるので、特に、鉄系金属材製保持器を用いた潤滑油中で使用される保持器およびこの保持器を用いた転がり軸受の分野で使用できる。
1 摺動部材
2 摺動層
3 鉄系金属材
4 基材層側領域
5 表面側領域
6 保持器
7 ポケット
8 柱部
9 円環部
10 円環部
11 針状ころ軸受
12 針状ころ
13 吸気管
14 排気管
15 燃焼室
16 ピストン
17 クランク軸
18 コンロッド
19 回転中心軸
20 バランスウェイト
21 大端部
22 小端部
23 ピストンピン
24 凹状相手材
25 荷重

Claims (8)

  1. 基材表面に摺動層を有する摺動部材であって、
    前記摺動層は樹脂組成物からなる摺動層であり、前記樹脂組成物はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、
    前記耐熱性樹脂の含有割合は、前記混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、前記摺動層の表面側よりも前記基材側に多く、前記フッ素樹脂の含有割合は、前記混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、前記基材側よりも前記摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれており、
    前記フッ素樹脂は、前記摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、前記摺動層の基材側の面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有することを特徴とする摺動部材。
  2. 前記摺動層は、該摺動層の表面およびその近傍領域に前記三次元構造を有することを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  3. 前記摺動層は前記三次元構造から前記二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有することを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  4. 前記基材が鉄系金属材であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  5. 前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  6. 前記耐熱性樹脂が非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  7. 転がり軸受の転動体を保持する鉄系金属材製保持器であって、
    この鉄系金属材保持器が請求項1記載の摺動部材により形成されていることを特徴とする鉄系金属材製保持器。
  8. 請求項7記載の鉄系金属材製保持器を使用した転がり軸受。
JP2016153083A 2015-08-03 2016-08-03 摺動部材、転がり軸受および保持器 Pending JP2017032143A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015153737 2015-08-03
JP2015153737 2015-08-03

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017032143A true JP2017032143A (ja) 2017-02-09

Family

ID=57987051

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016153083A Pending JP2017032143A (ja) 2015-08-03 2016-08-03 摺動部材、転がり軸受および保持器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017032143A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023276316A1 (ja) * 2021-06-30 2023-01-05 武志 菊地 免震台ユニット、および免震プレート

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005201367A (ja) * 2004-01-15 2005-07-28 Daikin Ind Ltd 摺動部材、摺動部材の製造方法及び摺動部材用塗料
JP2008286375A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Ntn Corp 摺動部材用組成物および転がり軸受
JP2010151203A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Daido Metal Co Ltd 摺動部材の製造方法
JP2011074938A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Sumitomo Electric Fine Polymer Inc 摺動部品及びその製造方法
JP2011075021A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Ntn Corp 摺動部材、保持器および転がり軸受
JP2011167965A (ja) * 2010-02-19 2011-09-01 Raytech Corp 傾斜材料製品ならびにその製造方法
JP2014109292A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Sumitomo Denko Shoketsu Gokin Kk 摺動部材

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005201367A (ja) * 2004-01-15 2005-07-28 Daikin Ind Ltd 摺動部材、摺動部材の製造方法及び摺動部材用塗料
JP2008286375A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Ntn Corp 摺動部材用組成物および転がり軸受
JP2010151203A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Daido Metal Co Ltd 摺動部材の製造方法
JP2011074938A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Sumitomo Electric Fine Polymer Inc 摺動部品及びその製造方法
JP2011075021A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Ntn Corp 摺動部材、保持器および転がり軸受
JP2011167965A (ja) * 2010-02-19 2011-09-01 Raytech Corp 傾斜材料製品ならびにその製造方法
JP2014109292A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Sumitomo Denko Shoketsu Gokin Kk 摺動部材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023276316A1 (ja) * 2021-06-30 2023-01-05 武志 菊地 免震台ユニット、および免震プレート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6769775B2 (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
WO2015115655A1 (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
WO2017022795A1 (ja) フォイル軸受
JP2009150518A (ja) スラスト軸受用摺動部材
JP2017032142A (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
JP6457285B2 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
WO2017022801A1 (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
JP2017032143A (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
JP6517523B2 (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
JP2018059629A (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
WO2017022794A1 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
WO2018062407A1 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2007002912A (ja) 転がり軸受
JP6577193B2 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2020051506A (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2020051439A (ja) 摺動部材、転がり軸受および保持器
WO2018030275A1 (ja) 転がり軸受用保持器の加熱方法
JP2946272B2 (ja) 転がり軸受
JP2018059628A (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP6517562B2 (ja) 主電動機用軸受
JP2017032092A (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2020051444A (ja) 駆動車輪用軸受装置
JP2017032093A (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP6855974B2 (ja) 転がり軸受及びその製造方法
JP2014234901A (ja) 転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190726

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200609

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20201201