JP5454143B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗布法により形成されたゲート絶縁膜を有する薄膜トランジスタの製造方法に関する。
有機薄膜トランジスタの製造においては、真空蒸着法や、スピンコート法、キャスト法といったウェットプロセスにより、ゲート絶縁膜や、ゲート絶縁層上に直接有機半導体層(以下「有機半導体薄膜」ともいう。)を形成している。
ゲート絶縁層の形成方法としては、無機材料の場合、RF(DC)スパッタ法やCVD法等が多く用いられる。他に、良質な絶縁膜を均一にゲート電極上に形成するために、AlやTaといった誘電率の高い酸化物が得られる金属をゲート電極とし、陽極酸化という手法を用いる場合もある。例えば、ゲート絶縁層として酸化シリコン、有機半導体としてペンタセンを用いた有機薄膜トランジスタ(以下、「有機TFT」ともいう。)の作製では、ペンタセン薄膜を真空蒸着法で直接ゲート絶縁層上に形成している。
酸化珪素等の金属酸化物による絶縁層は、絶縁特性は優れているが、基板上に形成された酸化珪素層は真空系を用いるために成膜効率が悪い、また基板特に可撓性基板上に形成された場合、基板との接着性が悪い、基板を湾曲させたときに絶縁層にクラックが生じる等の問題があり、得られる有機TFTの性能に悪影響を及ぼしていた。
一方、移動度の高い良質な有機TFTを製造するには、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成する際の、基板とゲート絶縁層との、また、ゲート絶縁層と有機半導体層との界面の密着性が重要となる。しかし、一般にSiO等の金属酸化膜は表面エネルギーが高く、一般に疎水性である有機半導体はこれらの金属酸化膜に対する濡れ性が悪い。そこで、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)やヘキサメチルジシラザン(HMDS)等の表面処理剤でゲート絶縁層の表面エネルギーを改質し、有機半導体のゲート絶縁層に対する濡れ性を向上させる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ゲート絶縁膜の表面を分子中にフェニル基などの芳香族基を有するシランカップリング剤を用いて処理することにより、有機半導体材料との界面に芳香環を配することにより特性が向上し、閾値の変動が改善されるという技術が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
また、ゲート絶縁膜の表面処理層(SAM膜)に光分解型の材料を用いて、露光部を親水化処理し、親水性の電極材料雄(溶液、銀ペーストなど)を供給し電極を形成するものがある(例えば、特許文献5)。
移動度の高い良質な有機TFTを製造するには、これらの表面処理材料を用いた方法により、基板との接着性が高いパターンを形成する必要があるが、例えば酸化珪素等の真空系による絶縁材料をのぞき、塗布層から形成されるゲート絶縁膜等の絶縁膜においてはこれらの表面処理は不可能であった。
特開2004−327857号公報 国際公開第04/114371号パンフレット 特開2005−158765号公報 米国特許出願公開第2005/110006号明細書 特開2005−79560号公報
従って、本発明は、ゲート絶縁膜を、塗布層およびそのプラズマ処理によって形成し、表面処理材料により表面エネルギーを制御して精度よく有機半導体薄膜パターンを形成することで、高性能の有機薄膜トランジスタを製造する方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
1.基体上に設けられた珪素を含有する層を、酸化処理として酸素プラズマ処理又はUVオゾン処理することにより、表面に酸化珪素を含有する層を形成した層を、ゲート絶縁膜として用いることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
.前記酸化処理が、大気圧プラズマ法による酸素プラズマ処理であることを特徴とする前記1記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.基体上にゲート電極を形成した後、珪素を含有する層を設けることを特徴とする前記1又は2記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.珪素を含有する層が、塗布により形成されることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.珪素を含有する層が、珪素原子を有するポリマーを含む層であることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.珪素を含有する層が、珪素原子を含有するポリマーの層からなることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.半導体薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする前記1〜6の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
.表面処理材料のパターンにより、ゲート絶縁膜表面の表面エネルギーを変化させることを特徴とする前記1〜7の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
前記表面処理材料のパターンにより、ゲート絶縁膜表面の表面エネルギーを低下させることを特徴とする前記8記載の薄膜トランジスタの製造方法。
10.前記表面処理材料がシランカップリング剤またはチタンカップリング剤であることを特徴とする前記8又は9記載の薄膜トランジスタの製造方法。
11前記表面処理材料のパターンが形成された表面に、溶液を供給した後、該溶液のキャスト膜のパターンを形成することを特徴とする前記8〜10の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
12.前記キャスト膜が、電極であることを特徴とする前記11記載の薄膜トランジスタの製造方法。
13.前記キャスト膜が、有機半導体層であることを特徴とする前記11記載の薄膜トランジスタの製造方法。
14.前記酸化珪素を含有する層への表面処理材料による表面処理方法が、大気圧プラズマ法によることを特徴とする前記8〜13の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
15.前記表面処理材料のパターン化が、波長300nm以下の紫外線照射によるものであることを特徴とする前記8〜14のいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
本発明により、塗布形成(成膜効率が高い)され、かつ基板への接着性がよいゲート絶縁膜が得られ、表面エネルギーを利用し半導体層等を無機膜同等の精密さでパターン形成することができ、高性能の薄膜トランジスタを得ることができる。
本発明に係わる有機薄膜トランジスタの作製プロセスの1例を示す概略図である。 本発明に係わる有機薄膜トランジスタの作製の別の例を示す概略図である。 本発明に係わる有機薄膜トランジスタの作製の別の例を示す概略図である。
符号の説明
1 基体
3、4 表面層
6 ソース電極
6’ ドレイン電極
7 有機半導体層
8 ゲート絶縁層
9 ゲート電極
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明においては、基体上に設けられた珪素を含有する層を設け、これを、酸化処理、例えば酸素プラズマに晒す(酸素プラズマ処理)ことにより表面に酸化珪素を含有する層を形成する。酸素プラズマ処理することにより表面に形成される酸化珪素を含有する層は高1比誘電率、高絶縁性の酸化珪素薄膜であり、基体上へ珪素を含有する層を設ける方法は限定されないが、塗布等のウェットプロセスを用いても高誘電率、高絶縁性の酸化珪素薄膜が得られることに本発明の特徴がある。基体上への塗布により、珪素を含有する層を設け、さらに、これを酸素プラズマに晒す(酸素プラズマ処理する)ことにより酸化珪素を含有する層が表面層として形成するので、これを絶縁膜(誘電体層)として薄膜トランジスタ等に用いることができ、スパッタ等の真空プロセスを用いず、塗布によっても表面処理可能な酸化珪素を含有する絶縁膜が得られる。
また、この表面は、例えば、シランカップリング剤或いはチタンカップリング剤等の表面処理材料と反応性を有するためこれと反応して単分子膜を形成できる。単分子膜のパターンを形成すれば、表面エネルギーを変化させることが出来るので(膜形成により表面エネルギーは低下させることができる)。従って、例えば、有機薄膜トランジスタにおいて、塗布膜によって酸化珪素膜を形成でき、かつ、これをゲート絶縁膜(層)として用いれば、電極、あるいは有機半導体層等のパターン形成を精度よく行うことができる。これにより、移動度の高い有機半導体薄膜を得ることが出来る。
本発明において、基体上に設けられる珪素を含有する層は、前述の如く、形成方法は問わず、塗布膜でなくともよい。また、珪素を含有する層は、珪素原子を有する有機化合物を含有する層であれば限定はなく、酸素プラズマ処理によって、処理を受けた表面層に酸化珪素を含む層を形成できれものであればよい。しかしながら珪素原子を有する化合物として好ましいのは珪素原子を有するポリマーである。
また、前記珪素を含有する層は、珪素原子を有するポリマーの層であることが好ましい。
珪素原子を有するポリマーの層を形成するには限定はないが、これを溶解乃至分散した溶媒と共に、基体上に塗布することにより、基体上に接着性よく容易にポリマーの薄膜を形成することができる。
形成したポリマー層は酸素プラズマに晒すことで、表面層の珪素原子を有するポリマーは、酸化物SiOx(酸化珪素)を形成する。
このような酸化珪素を表面層に含有するポリマー層は、内部層は有機層であるが、表面層は酸化珪素を含有し、絶縁性、誘電性に優れるため、スパッタ等による酸化珪素薄膜と同様に、ゲート絶縁膜(層)として用いることができる。また、酸化珪素が、アルコキシシラン、ハロゲノシラン等の表面処理材料と反応しうる置換基(例えばヒドロキシ基)を表面に有するため、表面層は表面処理材料と反応して自己組織化単分子膜を形成できるので、これを電極や半導体薄膜のパターニングに利用することができる。即ち、表面処理材料をパターニングして、電極、あるいは半導体層等を密着性よく、精度よく、パターニングすることができる。
本発明において、珪素原子を有するポリマーとしては下記式で表される骨格を有するポリマーが挙げられる。
下記式で表されるポリシロキサン類、
(ここにおいて、R〜Rは水素原子、置換基を表し、置換基として、好ましくはアルキル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基としては炭素原子数1〜8までの直鎖分岐のアルキル基、アリール基として好ましいのはフェニル基であり、それぞれ任意の基で置換されていてもよい。nは50〜100000の整数である。)
下記式で表されるトリメチルシリルスチレン系ポリマー、
下記式で表されるポリシラン類、
(ここにおいて、R、Rは水素原子、置換基を表し、置換基として、好ましくはアルキル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基としては炭素原子数1〜8までの直鎖分岐のアルキル基、アリール基として好ましいのはフェニル基であり、それぞれ任意の基で置換されていてもよい。)
下記式で表されるポリ(p−ジシラニルフェニレン)、
(ここにおいて、Rは水素原子または置換基を表し、置換基として、好ましくはアルキル基、アリール基等が挙げられる。)
下記式で表されるポリシルセスキオキサンを主骨格とするポリマーなどがある。
以上において、nは50〜100000の整数である。
これらの珪素原子を含有するポリマーは、応用物理、56,51(1987),高分子,37,460(1988),S.A.MacDonald,H.Ito,C.G.Willson:Microelectronic Eng.,1,269(1983)等の文献にあり、レジスト材料として用いられているポリマーである。
本発明に用いる珪素原子を含有するポリマーとして、公知のポリシラザン類も用いることができる。
塗布は、これらの珪素原子を有するポリマーを溶媒に溶解して通常の塗布方法、例えばスプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などにより基体上に塗布すればよい、又印刷法、インクジェット法等の方法により塗布してもよい。
溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。またこれら溶媒は2種以上混合して使用してもよい。
このような塗布によって得た層は酸素プラズマ処理を行うことで酸化珪素を含有する表面層を形成することが出来、例えば、樹脂支持体を基体とする場合の下引き層や、ゲート絶縁層等の絶縁層として用いることが出来る。
プラズマ空間の形成は、高周波をかけた電極間に、酸素を含むガスを送りプラズマ発生させたり、また、マグネトロンスパッタリング等のスパッタ手段を用いることができる。
これらの方法のうち、反応速度が速い大気圧プラズマ法が特に好ましい方法である。なお、大気圧下とは、20〜110kPaの圧力を表すが、好ましくは93〜104kPaである。
本発明においては、酸素含むガスを反応性ガスとして、大気圧プラズマ法を用いて、酸素プラズマを発生させ、基体上に形成された珪素原子を有するポリマー層を、プラズマ空間に晒すことが好ましい。酸素プラズマ処理によって、ポリマー層表面のポリマーはプラズマ酸化を受け表面層中に酸化珪素を形成させ、残余の有機物は揮散して、表面に酸化珪素層を形成させる。
大気圧プラズマ法では、アルゴンガス等の不活性ガスを放電ガスとして、これと共に反応ガス(酸素を含むガス)を放電空間(電極間)に導入して、電極間に高周波電界を印加して、放電ガスを励起させ、プラズマ発生させ、反応ガスと接触させて酸素を含むプラズマを発生させ、基体表面をこれに晒すことで酸素プラズマ処理を行う。
高周波電源として0.5kHz以上、2.45GHz以下、また、電極間に供給する電力は、好ましくは0.1W/cm以上、50W/cm以下である。
印加する高周波電界は、単周波の高周波電圧でも2周波数の高周波電界を印加してもよい。
使用するガスは、基体上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、放電ガス(不活性ガス)と、反応ガスの混合ガスである。反応ガス(酸素ガス)は、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。0.1〜10体積%であることがより好ましいが、さらに好ましくは、0.1〜5体積%である。
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンや、窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスが好ましく用いられる。
また、反応ガスを放電空間である電極間に導入するには、常温常圧で構わない。
大気圧下でのプラズマ法については特開平11−61406、同11−133205、特開2000−121804、同2000−147209、同2000−185362等に記載されている。
このような処理によって、表面に酸化珪素を有する層が形成されるため、高絶縁性、高誘電性の膜となり、高絶縁性、高誘電性の膜を塗布方式で形成することが出来る。
また、基体上に設けられる珪素を含有する層(薄膜)を酸化処理する方法としては、UVオゾン法を用いることもできる。UVオゾン法は、酸素の存在下で、紫外光を照射し、酸化反応を進行させる方法である。紫外光の波長は、100nm〜450nm、特に好ましくは150〜300nm程度の所謂、真空紫外光を照射することが好ましい。光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、キセノンエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。またその時、50℃〜400℃、好ましくは100℃〜250℃の範囲で加熱することが好ましい。
このような処理によって、表面に酸化珪素が形成された層は、酸化珪素表面が水酸基等の活性基を有しており、表面処理材料と反応性を有する表面となるため、表面処理材料の単分子膜を利用することでキャリア移動度の高い半導体材料薄膜のパターニングが精度よく行える。
(好ましい実施の形態)
図1に、基体上に設けられた珪素を含有する層を、酸素プラズマ処理等、酸化処理することで酸化珪素を含有する層とした本発明に係わるゲート絶縁層を用いる有機薄膜トランジスタの作製プロセスを好ましい実施の形態の1例により示す。
ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)をコロナ放電処理後、ハードコート層(2μm)、さらに厚さ50nmの酸化ケイ素膜(厚さ50nm)を設け下引き層とした基体1上に、以下の方法によりゲート電極9を形成する(図1(1))。
《ゲート電極の形成》
下引き層上に下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した後、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cmのエネルギー密度でゲートバスラインおよびゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。
さらに、その上に、スパッタ法により厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスラインおよびゲート電極9を作製した。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極9上に陽極酸化被膜を形成した(図1では省略。)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極9を形成した後、基板をよく洗浄し、10質量%燐酸アンモニウム水溶液中で2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施す。このようにして陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
《絶縁層の形成》
次いで、珪素を有するポリマー、例えばポリ(p−トリメチルシリルスチレン)のTHF(テトラヒドロフラン)溶液を乾燥膜厚として例えば500nmとなるよう塗布してゲート絶縁層8を形成する(図1(2))。
次いで、これを例えば、大気圧プラズマ法を用いて、酸素プラズマ処理を1分間行った。
例えば放電出力:10W/cmで、
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.75体積%
からなるガスを使用し酸素プラズマ処理を行う。
以上により、支持体上にゲート電極9、ゲート絶縁層8、さらに、表面が酸素プラズマに晒されたことでゲート絶縁層8は酸化珪素を含む表面層3を有している(図1(3))。表面層の酸化珪素はXPSスペクトルによるSi2pの結合エネルギーの増加から確認できる。装置は、例えばアルバックファイ社製Quantera SXMを用いることができる。
なお、図においては、ゲート絶縁層8の表面に酸化珪素を含む表面層3が形成された場合を示したが、例えば酸化処理条件によって、反応の深さを変化させ、ポリマーからなるゲート絶縁層8全体を、表面層3同等の酸化珪素層としてもよい。
次いで、このゲート絶縁層上に、半導体材料として例えばOSC2−1を用いて、酸素プラズマ処理されたゲート絶縁層上に有機半導体層7を形成した。即ち、OSC2−1のトルエン溶液(0.5質量%)を調製し、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネル形成領域に吐出し(図1(4))、窒素ガス中で乾燥して、例えば膜厚20nmの有機半導体層7を形成した(図1(5))。
次に、同じくピエゾ方式のインクジェット法を用いて、ソース電極、ドレイン電極パターン領域上に液状電極材料、例えば、銀ペースト、またはPEDOT/PSS等の溶液等の液状電極材料を適用(図1(6))、加熱乾燥してソース6、ドレイン電極6’をそれぞれ作製することができる(図1(7))。
このようにして、珪素を含有する層を酸素プラズマに晒すことで形成した膜をゲート絶縁層とした薄膜トランジスタ素子を得ることができる。ボトムゲート、トップコンタクト型薄膜トランジスタが形成される。
本発明に係わる珪素を含有する層をプラズマ処理することで形成された酸化珪素を含有する層をゲート絶縁層としてこのように薄膜トランジスタを得ることができる。
珪素を含有する層を酸素プラズマに晒すことで、珪素を含有する層は表面に酸化珪素を有する層が形成されるので、表面処理材料と反応性を有する水酸基等の活性基を有しており、これをゲート絶縁層として用いたとき、その上に半導体材料膜あるいは電極等のパターンを形成する際、位置精度よくパターニングを行うことが可能である。特に有機半導体溶液また半導体前駆体溶液や、液状電極材料を用いる場合に有用である。
本発明においては、珪素を含むポリマー層を、酸素を含むプラズマに晒すことで形成される表面層は、表面処理材料による単分子膜を形成して、表面をパターニングすることができる。
表面処理材料としては、シランカップリング剤、あるいはチタンカップリング剤等が好ましく、表面処理材料と反応させ、表面処理材料のパターンを形成することでゲート絶縁層等の表面の表面エネルギーを変え、電極、あるいは半導体材料等のパターニングが可能となる。
これらの表面処理材料としては、表面エネルギーが低い表面を形成することのできる、アルキルシラン類、アルキルジシラザン類等のシランカップリング剤またチタンカップリング剤が好ましい。酸化珪素を含有する表面は、これらとの反応によって単分子膜を形成することができその表面エネルギーが低下する。表面エネルギーの低下は、例えば接触角の変化としてみることができる。
酸化珪素が形成された表面への、表面処理材料による処理は、前記表面と表面処理材料とを接触させて行う。表面処理材料が気化できる場合には、その蒸気を、例えば、50℃〜300℃の加温温度条件、雰囲気において基板表面に接触させる所謂熱CVD法を取ることができる。前述したプラズマ処理を利用し、キャリアガスと同時に表面処理材料を供給しながらプラズマCVD法、大気圧プラズマ法により処理を行ってもよい。また、表面処理材料、あるいはその溶液を用いてこれに基板を浸漬し、同様に加温する等で容易に表面処理を行うことができる。あるいは、室温あるいは任意に温度制御された基板表面上に、表面処理材料、あるいはその溶液を、スピンコートやスプレー法など、公知の塗布法により塗設し、必要に応じてポストベーク処理を行ってよい。
表面処理材料のパターン化の方法としては、任意の手段を取ることができる。フォトレジストを用いて非処理部を保護したうえで、処理部の基板表面に表面処理材料あるいはその溶液を供給し接触させ、パターン化された表面処理を施した後、レジストを除去してもよい。非処理部の保護には、処理部となる開口部を有するマスクを用い、上述の大気圧プラズマ法などにより、開口部の表面処理を行ってもよい。また、インクジェット法やスクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷法等によって、直接供給しパターンを形成してもよい。
さらに、表面全体に表面処理膜を形成した後、低圧水銀灯やキセノンエキシマー光源などからの真空紫外線を、例えば波長300nm以下の紫外線照射により、フォトマスクを介して露光し、露光部の表面処理材を分解させて、パターン化するのは好ましい。また真空紫外光によるレーザーアブレーションを用いてもよい。さらに、フォトレジストを用いて保護したうえで、酸素プラズマ処理や電子線照射等によるドライエッチングを行った後、露出した表面処理材処理部の基板表面に表面処理材料あるいはその溶液を供給し接触させ、レジストを除去して表面処理のパターンを形成してもよい。
これらの表面処理された表面において、水の接触角は50度以上、50〜170度がより好ましく、90〜130度であることが好ましい。
接触角は接触角計(例えば、CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定した場合の測定値である。
溶液プロセスによって電極、あるいは半導体層を形成する場合、表面処理材料による単分子膜が形成された領域は、表面エネルギーが低く(接触角が大きい)、液状電極材料例えば電極材料溶液、分散液あるいはペースト、又半導体材料溶液等をはじくので、電極、又半導体層のパターニングを精度よく行うことができる。
本発明において表面処理材料として好ましく用いられるシランカップリング剤としては、アルキルシラン類、アルキルジシラザン類であり、ハロゲン原子、アルコキシ基等基板表面の活性基(水酸基等)と反応性を有する基が置換されている。特に末端にアルキル基を有するものが好ましい。
これらアルキルシラン、アルキルジシラザン類の例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等、また、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等、更にアルキルジシラザン類としてはヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
具体的には、信越化学社製のケイ素化合物試薬、または米国のGelest,Inc.Metal−Organics for Material&Polyer Technology、チッソ社製SILICON CHEMICALS等の化合物カタログに記載されているものの中からアルキルシラン、アルキルジシラザン類を選択して用いればよい。
また、フッ素原子を含有する基、また、フッ素を含有するアルキル基(フルオロアルキル基)を含有するシラン、アルキルシラザン類も好ましい。
これらの代表的具体例を以下に示す。
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(信越化学製KBM7103)
ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン
(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン
ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン
ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン
1,8−ビス(トリクロロシリルエチル)ヘキサデカフルオロオクタン
これらの化合物は、信越化学、アヅマックス等から製品として入手可能である。
本発明においては、特にオクチルトリエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンが好ましい表面処理剤である。
また、下記一般式(1)で表される表面処理材料も本発明に係る酸化珪素を含有する層からなるゲート絶縁膜上に好適に用いることができる。
一般式(1)において、R〜Rは各々水素原子又は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基を含む置換基、R〜Rは、R〜Rと同義である。Xは、ケイ素、ゲルマニウム、錫、および鉛から選ばれるいずれかの原子を表し、Zは、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、および鉛(Pb)から選ばれるいずれかの原子を表す。Yは任意の連結基を表す。
〜Rは、R〜Rと同義であるが、置換基として、少なくともアルコキシル基またはハロゲン原子のいずれかを有していることが好ましい。
Xで表される金属原子のうち、好ましいのは、Si、Geである。
また、Zで表される原子の中、好ましいのは、Si、Tiである。
Yで表される連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)、アリーレン基など、また、ヘテロ原子を含む基(例えば、−O−、−S−等のカルコゲン原子を含む2価の基、−N(R)−基、ここで、Rは、水素原子またはアルキル基を表し、該アルキル基は、前記一般式(1)において、R〜Rで表されるアルキル基と同義である)等が好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
これら具体例として挙げられた各化合物等は、例えば、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
また、チタンカップリング剤としては、同上の珪素をチタンで置き換えた化合物が挙げられる。トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート等、日本曹達株式会社等により入手できるものである。
本発明においては、このように、好ましくは塗布により形成される珪素を含有する層を有する基体上に表面処理材料を適用して表面改質を行って表面パターンを形成することができる。
表面処理材料は、表面改質を行って表面パターンを形成するほか、有機半導体層形成時、形成される有機半導体層の配向を向上させ、キャリア移動度を高め、良好なトランジスタ特性を得るため、有機半導体層を形成する領域(チャネル形成領域)に用いることもできる。
次ぎに、本発明の薄膜トランジスタの製造方法によって作製される薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタの構成要素についてより詳細に説明する。
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、半導体薄膜(層)としては、有機半導体あるいは例えば金属酸化物半導体等の無機半導体いずれであってもよい。
半導体薄膜を構成する無機半導体としては、例えば金属薄膜の酸化や、有機金属を分解酸化(加熱、分解反応)することで、非晶質酸化物を形成する、例えば特開2003−179242号公報に記載された様な金属酸化物半導体、また、例えば、特開平8−264794号公報に記載されたような、塩化亜鉛等の金属ハライドプレカーサー溶液をインクジェット法等により基板上に適用し、加熱・酸化処理して形成される酸化物半導体、また、Electrochemical and Solid−State Letters,10(5) H135−H138 (2007)に記載されたような、塩化亜鉛、又塩化錫等の金属ハライド溶液を基板上に適用して薄膜を形成した後、熱分解により形成された金属酸化物半導体薄膜などが挙げられるが、このように前駆体溶液、また前駆体分散液等を用い、塗布、インクジェット法、印刷等、溶液プロセスによりこれを基板上に適用し、これに酸化処理を施し半導体層とする方法により得られるものを好ましく用いることができる。酸化処理としては、プラズマ酸化処理等でもよい。
金属微粒子分散液を前駆体として用いることで、金属微粒子含有層を塗布等の溶液プロセスで形成でき、同様の熱処理あるいは酸化処理によって金属酸化物半導体層を形成できる。本発明においては溶液プロセスにより得られる半導体薄膜が好ましい。
金属酸化物半導体に含まれる金属原子はインジウム、錫、亜鉛のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウムまたはアルミニウムを含むことが好ましい。
好ましい組成比としては、Inを1とした時に、ZnSn1−y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2である。また、Inを1とした時に、GaまたはAlの組成比は0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2である。
これら半導体の薄膜の膜厚は1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。
製造条件の制御で、例えば電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にしたものが好ましい。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
また、本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、半導体薄膜(層)としては、有機半導体を用いることが好ましい。
〔有機半導体薄膜:有機半導体層〕
有機薄膜トランジスタの場合、有機半導体薄膜(「有機半導体層」ともいう。)を構成する有機半導体材料としては、後述する種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能である。
有機半導体材料としての縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、フタロシアニン、ポルフィリンなどの化合物およびこれらの誘導体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェンおよびそのオリゴマー、ポリピロールおよびそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレンおよびそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタンなどのシアノ化合物、フラーレンおよびこれらの誘導体或いは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェンおよびそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、下記に示す化合物などのオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドと共に、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)およびN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、およびアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
有機半導体材料として、また、下記一般式(OSC1)で表される化合物が好ましい。
式中、R〜Rは水素原子または置換基を表し、ZまたはZは置換又は無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1またはn2は0〜3の整数を表す。
一般式(OSC1)において、R1〜で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、tert−オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(OSC1)において、ZまたはZで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R〜Rで各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
さらに、下記一般式(OSC2)で表される化合物が好ましい。
(式中、RまたはRは水素原子または置換基を表し、ZまたはZは置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1又はn2は0〜3の整数を表す。)
一般式(OSC2)において、RまたはRで表される置換基は、般式(OSC1)においてR〜Rで各々表される置換基と同義である。また、ZまたはZで表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R〜Rで各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
前記一般式(OSC2)において、さらに、置換基R−およびR−が一般式(SG1)で表されることが好ましい。
(式中、R〜R11は置換基を表し、Xはケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、またはスズ(Sn)を表す。)
上記一般式(SG1)において、R〜R11で表される置換基は、前記一般式(1)におけるR〜Rで表される置換基と同義である。
以下に、前記一般式(OSC2)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、有機半導体材料としては、J.Am.Chem.Soc.2006年,128巻,12604頁、J.Am.Chem.Soc.2007年,129巻,2224頁、Liquid Crystals誌2003年,30巻,603〜610頁に記載される化合物を用いることができる。
また、本発明においては、有機半導体層に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体層を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、およびLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布などの方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。特に、本発明に係わるパターン形成方法により有機半導体層を形成する場合、有機半導体溶液を、パターニングされた基体表面に塗布、適用することが好ましい。
有機半導体溶液を作製する際に使用される有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
脂肪族炭化水素としては、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサンシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。また、有機溶媒は50℃〜250℃の沸点を有するものが好ましい。
なおAdvanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成しても良い。
これら有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
(電極)
本発明の薄膜トランジスタ素子において、ソース電極またはドレイン電極は、前記無電解メッキ法により形成されるが、ソース電極およびドレイン電極の一つはゲート電極と共に無電解メッキによらない電極であってよい。その場合、電極は公知の方法、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に、白金、金、銀、ITO、導電性ポリマーおよび炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性(液状)電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を、必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法により電極を形成する場合、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性(液状)電極材料を用いるのが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタ素子のゲート絶縁層としては、本発明のパターン形成方法に用いる珪素を含有する層をプラズマ空間に晒し、表面層に酸化珪素を含有する層を形成させた層を用いるものである。その他、絶縁膜を形成する場合については、種々の絶縁膜を用いることができる。比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
〔基体について〕
基体を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明に係わる薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、薄膜トランジスタ素子の耐久性が向上する。
本発明に係わる薄膜トランジスタ素子においては、支持体がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物および無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、およびポリマーを含む下引き層を有することが好ましい。下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物および無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は大気圧プラズマ法等で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
図1に、本発明に係わるボトムゲート、ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの作製例を示す。
〈下引き層の形成〉
基体1として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、該フィルム上に、先ず50W/m/分の条件でコロナ放電処理を施した。
次いで、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
《下引き層形成用塗布液の組成》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
更に、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層とした(図1では省略した)。大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
《大気圧プラズマ処理条件》
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)
0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmaxを5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
《ゲート電極の形成》
次いで、ゲート電極を形成する。
即ち、上記の下引き層上に下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した後、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cmのエネルギー密度でゲートバスラインおよびゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。
更に、その上に、スパッタ法により厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスラインおよびゲート電極9を作製した(図1(1))。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極9上に陽極酸化被膜を形成した(図1では省略。)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、10質量%燐酸アンモニウム水溶液中で2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。このようにして陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
《絶縁層の形成》
次いで、珪素を有するポリマー(ポリ(p−トリメチルシリルスチレン):重合度n=1000)のトルエン3%溶液を乾燥膜厚で400nmとなるよう塗布してゲート絶縁層8を形成した(図1(2))。
次いで、これを上述した大気圧プラズマ法と同じ装置を用いて室温25℃にて下記使用ガスを用いて酸素プラズマ処理を1分間行った。
(使用ガス)
不活性ガス:窒素 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.75体積%
以上により、支持体上にゲート電極、ゲート絶縁層8が形成された基体を作製した。表面層が酸素を含むプラズマに晒されたことでゲート絶縁層は酸化珪素を含む厚さ10nmの表面層3が形成された(図1(3))。表面層の酸化珪素はXPSによるSi2pの結合エネルギーの増加から確認された。装置はアルバックファイ社製Quantera SXMを用いた。
次に、半導体材料として、OSC2−1を用いて、有機半導体層を形成した。即ち、OSC2−1のトルエン溶液(0.5質量%)を調製し、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネル領域に吐出し、大気中で自然乾燥した。膜厚30nmの有機半導体層が形成された。
次に、有機半導体層上に液状電極材料5である銀ナノ粒子インク(平均粒子径8nmの銀微粒子のトルエン分散物)をインクジェット法により堆積後、180℃で30分間、窒素中で加熱して乾燥した。乾燥と共に親水化領域に金銀ナノ粒子インクは集まり親水化領域上に電極が位置精度よく形成された(厚み100nm)。
以上により、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタは良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−15Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は0.4cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は6.2、閾値は−5Vであった。
比較例
ゲート絶縁膜表面の酸化処理を行わなかった以外は、実施例1と全く同様に素子を作製した。
この薄膜トランジスタは、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−15Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は0.07cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は4.8、閾値は−15Vであった。
実施例2
基体1として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、下記絶縁層まで実施例1と同じに行った。
《絶縁層の形成》
次いで、珪素を有するポリマー(ポリ(p−トリメチルシリルスチレン):重合度n=1000)のトルエン3%溶液を乾燥膜厚で400nmとなるよう塗布してゲート絶縁層8を形成した(図2(2))。
次いで、これを上述した大気圧プラズマ法と同じ装置を用いて室温25℃にて下記使用ガスを用いて酸素プラズマ処理を1分間行った。
(使用ガス)
不活性ガス:窒素 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.75体積%
以上により、支持体上にゲート電極、ゲート絶縁層8が形成された基体を作製した。表面層が酸素を含むプラズマに晒されたことでゲート絶縁層は、酸化珪素を含む厚さ約10nmの表面層3を有している(図2(3))。表面層の酸化珪素はXPSによるSi2pの結合エネルギーの増加から形成が確認された。装置はアルバックファイ社製Quantera SXMを用いた。
(表面処理)
オクチルトリエトキシシランを原料ガスとして下記条件で連続的に、表面層3上を20秒間大気圧プラズマ処理した。大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
(大気圧プラズマ処理条件)
〔使用ガス〕
不活性ガス:窒素 98.25体積%
原料ガス:オクチルトリエトキシシラン 1.75体積%
〔放電条件〕
高周波電源:13.56MHz
放電出力:5W/cm
以上の方法により、オクチル基を表面に有する単分子膜4が基体表面全面に形成された(図2(4))。
(表面処理材料のパターン化)
次に、ソース、ドレイン電極のパターンに対応した光透過部を有する、石英基板上のクロムマスクMを密着させ、これを介して、低圧水銀灯を用いて紫外光(波長185nm、および254nm)を照射した(図2(5))。
これにより、オクチルトリクロロシランにより表面処理された表面のうち電極に対応する部分の表面の単分子膜を分解した。エタノールで洗浄して分解物を除去し、ソース、ドレイン電極に対応するパターンに表面層3を露出させた(図2(6))。
(ソース、ドレイン形成)
次に、露出されたソース電極、ドレイン電極パターン状に液状電極材料5である銀ナノ粒子インク(平均粒子径8nmの銀微粒子のトルエン分散物)をインクジェット法により堆積後、180℃で30分間加熱して乾燥した(図2(7)〜(8))。乾燥と共に親水化領域に銀ナノ粒子インクは集まり親水化領域上にソース電極6、ドレイン電極6’がそれぞれ位置精度よく形成された(厚み100nm)。
次に、半導体材料として、OSC2−1を用いて、有機半導体層を形成した。即ち、OSC2−1のトルエン溶液(0.5質量%)を調製し、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネル領域に吐出し、大気中で自然乾燥した。膜厚100nmの有機半導体層7が形成された(図2(9)、(10))。チャネル長L(ソース、ドレイン間の距離)は5μm、チャネル幅Wは50μmであった。以上により、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタは良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−15Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は0.6cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は7.3、閾値は−3Vであった。
実施例3
珪素を有するポリマーを、ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量Mw=100万)に変更した以外は実施例2と全く同様に素子を作製した。
素子は、p型のエンハンスメント動作を示した。キャリア移動度は0.7cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は7.1、閾値は−3Vであった。
実施例4
実施例2にて、ソース・ドレイン電極を形成した後、UVオゾン洗浄を行い、電極および表面層の表面を洗浄した。さらに、ペンタフルオロベンゼンチオールの0.1%エタノール溶液に基板ごと1分間浸漬し、エタノールでよく洗浄した。窒素ブローにより乾燥させた後、ヘキサメチルジシラザンを、スピンコートで塗布し、大気中で乾燥させた。
次に、半導体材料として、OSC2−1を用いて、実施例2と同様に有機半導体層を形成した。以上により、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタは良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−15Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は0.7cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は6.8、閾値は−3Vであった。
実施例5
オクチルトリクロロシランによる表面処理まで実施例2と同じに行った。(図3(4))
次に、半導体のパターンに対応した光透過部を有する、石英基板上のクロムマスクMを密着させ、これを介して、低圧水銀灯を用いて紫外光(波長185nm、および254nm)を照射した(図3(5))
これにより、オクチルトリクロロシランにより表面処理された表面のうち半導体に対応する部分の表面の単分子膜を分解した。エタノールで洗浄して分解物を除去し、半導体ソース、ドレイン電極に対応するパターンに下引き層表面を露出させた(図3(6))
次に、半導体材料として、OSC2−1を用いて、有機半導体層を形成した。即ち、OSC2−1のトルエン溶液(0.1質量%)を調製し、上記の基板を浸漬してディップコートし、大気中で自然乾燥させると、半導体の露光パターンに対応する幅10μm、長さ50μm、膜厚40nmの有機半導体層7が形成された(図3(7)、(8))。
次に、ソース、ドレイン電極のパターンに対応した光透過部を有する、石英基板上のクロムマスクMを密着させ、これを介して、低圧水銀灯を用いて紫外光を照射した(図3(9))。
これにより、オクチルトリクロロシランにより表面処理された表面のうち電極に対応する部分の表面の単分子膜を分解し、表面層3を露出させた(図3(10))。
次に、露出されたソース電極、ドレイン電極パターン上に液状電極材料5である銀ナノ粒子インク(平均粒子径8nmの銀微粒子の水分散物)に浸漬し、ディップコートした後(図3(11))、窒素中で180℃で30分間加熱して、ソース電極6、ドレイン電極6’を形成した(図3(12))。それぞれの電極サイズは、幅10μm、長さ50μm、膜厚100nmであり、チャネル長L(電極間の間隔)は5μm、チャネル幅Wは50μmであった。
以上により、薄膜トランジスタを作製した。
この薄膜トランジスタは良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−15Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は0.7cm/Vs、on/off比(ドレイン電流の最大値と最小値の比率の対数)は7.2、閾値は−5Vであった。
以上のように、本発明に係わる、珪素を含有する層をプラズマ空間に晒すことで形成された皮膜はゲート絶縁膜(層)として有用である。またこの皮膜を有する基体上には、表面処理材料を用いこれをパターニングする方法により、電極、また有機半導体薄膜を位置精度よく形成することができ、また、所定の表面処理によりキャリア移動度の高い有機半導体薄膜を得ることができ、特性のよい有機薄膜トランジスタおよびTFTシートを得ることができる。

Claims (15)

  1. 基体上に設けられた珪素を含有する層を、酸化処理として酸素プラズマ処理又はUVオゾン処理することにより、表面に酸化珪素を含有する層を形成した層を、ゲート絶縁膜として用いることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記酸化処理が、大気圧プラズマ法による酸素プラズマ処理であることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 基体上にゲート電極を形成した後、珪素を含有する層を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 珪素を含有する層が、塗布により形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 珪素を含有する層が、珪素原子を有するポリマーを含む層であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 珪素を含有する層が、珪素原子を含有するポリマーの層からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 半導体薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 表面処理材料のパターンにより、ゲート絶縁膜表面の表面エネルギーを変化させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  9. 前記表面処理材料のパターンにより、ゲート絶縁膜表面の表面エネルギーを低下させることを特徴とする請求項8記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 前記表面処理材料がシランカップリング剤またはチタンカップリング剤であることを特徴とする請求項8又は9記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  11. 前記表面処理材料のパターンが形成された表面に、溶液を供給した後、該溶液のキャスト膜のパターンを形成することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  12. 前記キャスト膜が、電極であることを特徴とする請求項11記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  13. 前記キャスト膜が、有機半導体層であることを特徴とする請求項11記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  14. 前記酸化珪素を含有する層への表面処理材料による表面処理方法が、大気圧プラズマ法によることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  15. 前記表面処理材料のパターン化が、波長300nm以下の紫外線照射によるものであることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
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