JP2008300480A - 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシート及び有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシート及び有機薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シロキサン化合物を含有する保護層を設けることで、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極および少なくとも1つの別種の電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
構成層として保護層を有し、該保護層がシロキサン化合物を含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシート及び有機薄膜トランジスタの製造方法に関する。
従来、有機薄膜トランジスタ(TFT)の性能の不安定化を招来する要因としては、大気中の酸素、水、その他(浮遊物質等)が挙げられ、これらから有機薄膜トランジスタを保護するために保護層(保護膜ともいう)の設置が種々検討されている。
有機薄膜トランジスタの保護層の形成は、CVD法、スパッタ法等のドライプロセス、スピンコート、印刷法等のウェットプロセス等が従来は用いられてきている。
しかしながら、CVD法等のドライプロセスでは、パターン化する際のリソグラフ工程が煩雑になるだけでなく、保護層形成時に付与される熱やプラズマなどの劣化因子により有機半導体層中の有機半導体材料の劣化が起こりやすく、また、印刷法等のウェットプロセスでは、保護層形成に用いられている有機溶剤等により、やはり、有機半導体層の溶解等が起こるなどの問題点が指摘されている。
上記のような問題点にたいして、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを保護層に使用する技術(例えば、非特許文献1参照。)、電界効果型トランジスタを保護する保護層としてポリマーラテックス膜を用いる技術(例えば、特許文献1参照。)等が提案されている。
しかしながら、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー自体が水分にたいして脆弱であるために有機薄膜トランジスタの性能劣化の防止効果が十分ではなく、また、ポリマーラテックス膜からなる保護層は、絶縁性が低いという問題点と同時に、機械的圧力により有機半導体層へのダメージが起こりやすいという問題点があった。
特開2005−223107号公報 C.D.Sheraw et al.,Applied Physics Letters, Vol.80,pp.1088−1090(2002)
本発明の目的は、シロキサン化合物を含有する保護層を設けることで、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極および少なくとも1つの別種の電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
構成層として保護層を有し、該保護層がシロキサン化合物を含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2.前記シロキサン化合物がポリシロキサンであることを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタ。
3.前記保護層が少なくとも有機半導体層に接して設けられていることを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
4.前記ソース電極、ドレイン電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
5.前記流動性電極材料が導電性有機材料を含有することを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタ。
6.前記有機半導体層が、別種の電極に接合していることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載にの有機薄膜トランジスタ。
7.前記別種の電極が金属材料からなることを特徴とする前記6に記載の有機薄膜トランジスタ。
8.前記別種の電極が二つあり、各々ソース電極、ドレイン電極に接合することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
9.前記ゲート絶縁層の表面の水接触角が、60°以上であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタ。
10.前記有機半導体層は、有機半導体材料溶液からのキャスト膜であることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタ。
11.前記1〜10のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタが基板上に集積化されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
12.前記1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを製造するにあたり、前記保護層を、シロキサン化合物を含有する、溶液または分散液を用いて形成する工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
13.前記溶液または前記分散液に含まれる溶媒の50質量%以上が水であることを特徴とする前記12に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
14.前記1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを製造するにあたり、前記シロキサン化合物の前駆体を含む、溶液または分散液を用いて、該前駆体を含む塗膜を形成する工程、次いで、得られた塗膜に硬化処理を施し、前記前駆体をシロキサン化合物を生成させる工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明により、シロキサン化合物を含有する保護層を設けることで、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
本発明においては、請求項1〜10のいずれか1項に規定される構成により、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、併せて、該有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について説明する。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタの構成、次いで本発明の有機薄膜トランジスタを構成する各層の材料および製造方法の順に述べる。
《有機薄膜トランジスタの構成》
従来、有機薄膜トランジスタを作製するプロセスにおいては、ソース電極、ドレイン電極等はフォトリソグラフィーを用いて形成される。従って、トップコンタクト型構成に比べ、有機薄膜トランジスタ素子として、バスラインや電極の導電性が確保でき、また、プロセスダメージの影響を受けにくいボトムコンタクト型構成がとられることが多い。
これは、プロセスダメージを受けやすい有機半導体膜の形成に先立って、ゲート、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、さらには、ゲートバスライン、データバスライン、画素電極、また配線等のパターニングを、後の半導体層の形成とは関係なく行えるためである。
本発明者等は、請求項1に記載のように、構成層として保護層を設けることにより、トップコンタクト型構成、ボトムコンタクト型構成のどちらの構成においても、有機薄膜トランジスタ(TFT)、またTFTシートの配線の導電性を確保しながら、移動度が高く安定した動作が可能なTFTを得ることができることを見出した。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタおよびその製造方法について好ましい実施の形態をもとに説明する。
図1(a)〜(e)に、有機薄膜トランジスタとして好適な本発明の有機薄膜トランジスタ素子の代表的な構成例を示す。
尚、図1(a)、(b)、(c)及び(e)で各々示される構成は、トップコンタクト型の構成例の一例を示すものであり、図1(d)で示される構成は、ボトムコンタクト型の構成例の一例が示されている。を示すものである。
図1(a)に示す構成は、基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、ゲート絶縁層に接して別種の電極である第1の電極(E1)、第2の電極(E2)、有機半導体層4、ソース電極5、ドレイン電極6が形成されており、ソース電極5およびドレイン電極6は有機半導体層4の上面に接合した、トップコンタクト型の構成をとっている。
ソース電極5およびドレイン電極6はそれぞれが第1の電極(E1)および第2の電極(E2)に接合した構造をとなっている。
前記ゲート絶縁層3、第1の電極(E1)、第2の電極(E2)、有機半導体層4、ソース電極5、ドレイン電極6を被覆するように保護層7が設けられる。
図1(a)の構成においては、有機薄膜トランジスタ中のバスライン(ソースバスライン)および画素電極等本発明における別種の電極は、それぞれ第1の電極(E1)、第2の電極(E2)として有機半導体膜の形成に先立って形成され、電極としてはソース電極5、ドレイン電極6のみが有機半導体層4の形成後に設けられる。
また、ゲート絶縁層3の表面に有機半導体材料を含む溶液を用いて有機半導体層4を形成する時には、該溶液のゲート絶縁層3の表面でのハジキを抑え、有機半導体層4の製膜性を向上させる観点から、ゲート絶縁層3の表面に、予めシランカップリング剤等による処理を行い、水接触角が60度以上になるように調整することが好ましく、更に好ましくは、90度以上になるように調整することである。
上記のように水接触角を調整することにより、有機薄膜トランジスタの性能を向上させることができ、また、電極近傍、界面での有機半導体分子の乱れなどに起因するコンタクト抵抗のバラツキ等を低減するためにも有効である。
水接触角の測定方法については、ゲート絶縁層のところで説明する。
続いて、図1の(b)〜(e)に、本発明の有機薄膜トランジスタ(TFT)として好ましく用いられる構成の一形態を示す。
図1の(b)に示す構成は、図1(a)の構成に比べて、別種の電極である第1の電極(E1)、第2の電極(E2)が、保護層7によって被覆されていない構成例である。
しかしながら、本発明に係る保護層7により被覆されていないが、バスライン(ソースバスライン)および画素電極等、本発明における別種の電極は、それぞれ第1の電極(E1)、第2の電極(E2)として有機半導体膜の形成に先立って形成されている。(図示はしていない。)
図1の(c)に示す構成は、図1の(a)に比べて、有機半導体層4上のチャネル部分の表面に保護層7を形成したものである。これにより有機半導体層4の形成後、ソース電極5、ドレイン電極6の形成や、その後のプロセスに対し、有機半導体層4の特にチャネルを構成する部分の保護の役割をするほか、保護層4の形成によって、ソース電極5、ドレイン電極6の精度のよいパターニングを同時に行える利点を有している。
図1の(d)に示す構成は、有機薄膜トランジスタ中のバスライン(ソースバスライン)および画素電極等本発明における別種の電極として形成された、第1の電極(E1)、第2の電極(E2)が、各々ソース電極5、ドレイン電極6を兼ねるものであり、該第1の電極(E1)、該第2の電極(E2)が形成された後に、有機半導体層4がチャネル領域並びに前記第1の電極(E1)、前記第2の電極(E2)を部分的に被覆するように設けられる。
その後、本発明に係る保護層7が前記第1の電極(E1)、前記第2の電極(E2)、有機半導体層4を被覆するように設けられる。
図1の(e)に示す構成は、別種の電極として2種の電極を形成している、図1の(a)、(c)、(d)に対し、別種の電極として第2の電極(E2)一種のみを形成した構成の一例を示している。
有機半導体層4の形成に先だって、例えば、該第2の電極(E2)を画素電極として予め形成しておき、有機半導体4の形成後に、ドレイン電極6、そしてソース電極5をソースバスラインと一緒に形成する。
その後、本発明に係る保護層7を有機半導体層4のチャネル領域、ソース電極5、ドレイン電極6、第2の電極(E2)を被覆するように設ける。ここで、図1(e)に示す構成では、ソース電極5、第2の電極(E2)については、全面被覆ではなく、部分被覆となっている。
本発明においては、別種の電極とは、例えば、有機薄膜トランジスタシートを構成するソースバスライン、また画素電極等を指す。
前記のように、ソース電極、ドレイン電極、および表示素子の駆動のため形成されるバスライン、また画素電極等は、前記のソース、ドレイン電極と同時に、あるいはこれと前後して、またソース、ドレイン電極と一体に或いは連結して形成される。
例えば、ゲートにはゲートバスラインが、またソース電極には、ソースバスラインが一体に或いは連結し、またこれと対向するドレイン電極には、画素電極が一体に或いは連結し形成される。
従って、有機薄膜トランジスタあるいはTFTシートの製造において、これらの別種の電極も、ゲート電極、或いはドレイン電極と、一体に、或いは連結するよう各種のパターニング方法を用い、それぞれのパターンに作り込まれる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、構成層として、支持体上に、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、また、前記画素電極やバスライン等、別種の電極の作製を含む電極等を有し、チャネルを形成する有機半導体層、更に、保護層を有する有機薄膜トランジスタ(TFT)、またTFTシートの製造において、保護層の形成時に、有機半導体層がプロセスダメージの影響を受けにくく、また同時にバスラインや電極との導電性が安定して確保できるトップコンタクト型構成またはボトムコンタクト型構成を有する有機薄膜トランジスタである。
《保護層》
本発明の有機薄膜トランジスタに係る保護層について説明する。
保護層としては、被覆対象である有機半導体層(膜)に影響を与えない材料を用い、更にまた、保護層の上にパターニングのために、感光性樹脂層等の感光性組成物を形成するような場合には、その塗布工程において、光感応性樹脂層のパターニング処理時にも影響を受けない材料であるが好ましい。
本発明者等は、そのような材料を種々検討した結果、本発明に係る保護層の形成材料として下記に示すようなシロキサン化合物が最適な材料特性を有することを見出した。
本発明に係るシロキサン化合物は、従来公知の保護層材料として検討されてきた、例え、親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、HEMA、アクリル酸、アクリルアミド等の成分からなるホモポリマー、共重合体等)の水溶液や分散液を用いて形成された保護層に比べて、有機半導体層の保護性能にすぐれていることがわかった。
本発明に係る保護層は、シロキサン化合物を含有することが特徴である。
(シロキサン化合物)
本発明に係るシロキサン化合物について説明する。
本発明に係るシロキサン化合物としては、従来公知の低分子、オリゴマー、高分子のいずれも用いることができるが、有機薄膜トランジスタの特性劣化防止性能に優れ、また、製膜性が良好等の観点から、ポリシロキサン化合物が好ましく、更に好ましくはポリジメチルシロキサン化合物である。
シロキサン化合物の例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2−ジメチルビニルシロキサン−トリシクロデカン(2DMVS−TCD)、DVS−BCB(ジビニルシロキサン−ビス−ベンゾシクロブタン)、ポリ(ジメチルシロキサン)(例えば、Si(CH33−O−(Si(CH32O)n−Si(CH33等の組成式で表される、ポリジメチルシロキサンのエラストマー等も含まれる。)、ポリフェニルメチルシロキサン、3,3,3トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン−co−ジフェニルシロキサン)、ポリ(メチルフェニルシロキサン−co−ジフェニルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−co−メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
本発明に用いられるポリシロキサン化合物は、アニオン重合、縮合重合、または開環重合など、当業者に周知の多くの方法の何れによって調製されてもよい。
《保護層の作製方法》
本発明に係る保護層の作製方法について説明する。
本発明に係る保護層の形成方法としては、上記のシロキサン化合物を含む溶液または分散液を用いて塗布を行う方法が用いられるが、保護層形成時に、被覆対象である、有機半導体層の溶解、有機半導体層中の有機半導体材料の溶出等を防止する観点から、溶媒または分散媒として水が50質量%以上、より好ましくは80%以上含まれる分散液を用いることが好ましい。
すなわち、シロキサン化合物、好ましくはポリシロキサンを主要成分とする水系エマルジョンを用いて、塗設し保護層を設ける態様が好ましい。
このような水系エマルジョンとしては、特開平5−93135号公報、特開平8−85760号公報、特開平10−183064号公報、特開2000−281971号公報、特開2002−363407号公報、特開2005−306994号公報等に記載されたエマルジョンを用いることができる。形成されたシロキサン化合物を主成分とする塗膜をさらに硬化させて用いても良い。
保護層の形成手段としては、印刷法、インクジェット法等により有機半導体層上または有機半導体チャネル上にパターン形成することができる。
また、印刷法、インクジェット法等に用いる、溶液または分散液は、従来公知の有機溶媒や分散剤を用いて調製することができる。
また、保護層を有機半導体チャネル上にパターン形成するには、光感応性樹脂層と組み合わせて用いることで、フォトリソグラフィー法によって保護層をパターニング形成することができる。
保護層のパターニングは、後述するソース電極及びドレイン電極のパターニングと同時に行うことが好ましい。この場合、保護層を塗布後に、これに接して層の全面に感光性樹脂の溶液を塗布し、感光性樹脂層を形成しフォトリソグラフ法によりパターニングする。
また、有機半導体層上に形成される光感応性樹脂層(レジスト材料)等も、ソース電極やドレイ電極パターンの形成時において有機半導体層の保護層として使用可能である。
(保護層の膜厚、保護層の光透過率)
保護層の膜厚は100nm〜10μmの層である。さらに後述するゲート絶縁層の材料も用いることができる。また、保護層は、光透過率が10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下である。これにより、有機半導体層(膜)光により特性劣化するのを抑えることができる。
《電極の形成材料及び電極の形成方法》
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、基板上へのゲート電極、ゲート絶縁層(膜)の形成、更には、別種の電極までは、有機半導体層が形成されていないため、従来の、マスクを用いた真空蒸着や、スパッタ法、フォトリソグラフィープロセスやエッチング工程等が各電極のバターニングにそのまま使用できる。
(ゲート電極、別種の電極)
ゲート電極、またこれら別種の電極としては、導電性材料であれば特に限定されず、種々の金属材料を用いることができ、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、マグネシウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、導電性が十分確保できる金属材料が好ましく、特に、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、アルミニウム等が好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタ等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法等がある。
(ソース電極、ドレイン電極)
また、有機半導体層(膜)を形成した後に形成されるソース電極、ドレイン電極については、従来の真空蒸着プロセス、また、スパッタリングや、それに付随するレジストを用いるパターニングプロセスが有機半導体層にダメージを与えることがあることから、流動性電極材料を用い、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法、インクジェット法等によって形成することが好ましい。
本発明に係る保護層は、ソース電極、ドレイン電極を形成する流動性電極材料、例えば、導電性ペースト等、導電性材料溶液或いは分散液等を、反撥し、はじくことがこのましい。
この反撥作用により、本発明に係る保護層の存在する領域においては、流動性電極材料がはじかれるために、ソース電極、ドレイン電極各々の形成領域に電極材料が自動的にパターニングされる。
以下、図3に、本発明に係る保護層7が形成された有機半導体層(膜)上に、インクジェット法によって電極材料を供給し、ソース、ドレイン電極をそれぞれ精度よく形成する過程を示す。
図3(a)は、有機半導体層4上にシリコーンゴム層を保護層7としてチャネル部分に形成し、さらにこの上からインクジェット法などによりソース、ドレイン電極領域に電極材料、例えば、PEDOT/PSSの水分散液をインクとしてこれを連続的に吐出する過程である。
保護層7はインクをはじくので、保護層7に電極材料ははじかれるため、電極材料印刷のパターン精度が低くとも、電極自体は精度よく形成される。
また、図3(b)、(c)に示すように、例えば電極材料インクを、保護層7を含みソース、ドレイン電極の二つを跨ぎこれをカバーする領域に吐出しても、保護層7が電極材料をはじくので、ソース、ドレインそれぞれの電極に吐出されたインクは自動的に分離するため同様に、電極パターンは精度よく形成される。
また、この方法によって、TFTのチャネル長は形成した保護層の被膜幅、例えばインクジェットの液滴の容量や吐出量等によって一意に制御でき、ソース、ドレイン電極のショート等が防止され、極めて簡単な方法で、精度が高く、信頼性の高い有機薄膜トランジスタが形成される。
流動性電極材料としては、導電性微粒子分散液、また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液等があるが、本発明に係るソース電極、ドレイン電極の形成には、導電性有機材料を含有することが好ましい。
導電性有機材料としては導電性ポリマーが好ましく、導電性ポリマーとしては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT−PSS)などが好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
導電性分散液としては、例えば金属等からなる導電性微粒子を、好ましくは有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や有機溶剤又はその混合物である分散媒中に分散させたペースト或いはインク等の導電性微粒子分散液が挙げられる。有機半導体層上に形成されることから特に水を主体とする分散媒として用いた前記の分散液が好ましい。
導電性微粒子の金属材料(金属微粒子)としては、白金、金、銀、コバルト、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができるが、特に仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
このような金属微粒子分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子分散物である。
分散される金属微粒子の平均粒径としては、20nm以下であることが本発明の効果の点で好ましい。
また、金属微粒子分散物に導電性ポリマーを含有させることが好ましく、これをパターニングして押圧、加熱等によりソース電極、ドレイン電極を形成すれば、導電性ポリマーにより有機半導体層とのオーミック接触を可能とできる。即ち金属微粒子の表面に、導電性ポリマーを介在させて、半導体への接触抵抗を低減させ、かつ、金属微粒子を加熱融着させることで、さらに本発明の効果を高めることができる。
導電性ポリマーとしては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることが好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などが好適に用いられる。
金属微粒子の含有量は導電性ポリマーに対する質量比で0.00001〜0.1が好ましい。この量を超えると金属微粒子の融着が阻害されることがある。
これらの金属微粒子分散物で、電極を形成した後、加熱により前記の金属微粒子を熱融着させてソース電極、ドレイン電極を形成する。また電極形成時に、概ね、1〜50000Pa、さらに1000Pa〜10000Pa程度の押圧をかけ、融着を促進することも好ましい。
加熱また加圧する方法としては、加熱ラミネータなどに用いられる方法をはじめ、公知の方法を用いることができる。
《有機半導体層》
本発明に係る有機半導体層について説明する。
有機半導体層を構成する材料(有機半導体材料ともいう)としては、分子中にヘテロ原子を含む縮合多環芳香族化合物が好ましく、特にSi、S、Sn、O、N、Geのヘテロ原子が好ましい。縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、フタロシアニン、ポルフィリン等の化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
《一般式(OSC1)で表される縮合多環芳香族化合物》
より具体的には、Si、S、Sn、O、N、Geのヘテロ原子を含む下記一般式(OSC1)で表される縮合多環芳香族化合物が好ましい。
Figure 2008300480
式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、Z1またはZ2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1またはn2は0〜3の整数を表す。
一般式(OSC1)において、R1〜R6で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、t−オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ホスホノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(OSC1)において、Z1またはZ2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R1〜R6で各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
《一般式(OSC2)で表される縮合多環芳香族化合物》
更に、Si、S、Sn、O、N、Geのヘテロ原子を含む下記一般式(OSC2)で表される縮合多環芳香族化合物が好ましい。
Figure 2008300480
式中、R7またはR8は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環を表し、n1またはn2は0〜3の整数を表す。
一般式(OSC2)において、R7またはR8で表される置換基は一般式(OSC1)においてR1〜R6で各々表される置換基と同義である。
また、Z1またはZ2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R1〜R6で各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
前記一般式(OSC2)において、更に、R7及びR8が一般式(SG1)で表されることが好ましい。
Figure 2008300480
式中、R9〜R11は置換基を表し、Xはケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、またはスズ(Sn)を表す。上記一般式(SG1)において、R9〜R11で表される置換基は前記一般式(OSC1)におけるR1〜R6で表される置換基と同義である。
以下に、前記一般式(OSC2)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
Figure 2008300480
Figure 2008300480
Figure 2008300480
上記例示化合物の中で特に好ましくは、OSC2−1で具体的に挙げられる6,13−ビスアルキルシリルエチニルペンタセンである。
有機半導体材料として、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体を本発明に係る上記ヘテロ原子を含む縮合多環芳香族化合物に加えて用いることができる。特にポリチオフェン及びそのオリゴマーの内、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
更に銅フタロシアニンや特開平11−251601号公報に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等が挙げられる。
これらのπ共役系材料の内でも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体も用いることができる。更にポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
また、本発明においては、有機半導体層(膜)に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体層を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、およびLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布などの方法を挙げることができる。
この中で生産性の観点で、有機半導体材料の溶液を用い簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等、半導体溶液をキャストする方法が好ましい。
尚、Advanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等の前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機半導体材料の薄膜を形成しても良い。
これら有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、用いる有機半導体材料により異なるが、一般に1μm以下、特に10nm〜300nmが好ましい。
また、これら有機半導体層(膜)を半導体溶液をキャストする方法により作製する場合、有機半導体材料溶液の溶媒としては任意の溶媒を用いることができ、例えば、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系など広範囲の有機溶媒から、有機半導体化合物に応じて適宜選択されるが、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、キシレン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
前記ゲート絶縁層上への、塗布性や成膜性の観点から、最も好ましくは、脂肪族系の有機溶媒、具体例として、シクロヘキサンやヘキサンを含むことが好ましい。
《ゲート絶縁層》
ゲート絶縁層(膜)としては、ゲート電極形成後に形成されるものであり、種々の絶縁層を用いることができる。特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
ゲート絶縁層(ゲート絶縁膜ともいう)の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤または水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理によるゲート絶縁層(膜)の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また、有機化合物皮膜(有機化合物層ともいう)としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。
また、これら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。
ゲート絶縁層(膜)の表面には、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルジシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
また、これら配向処理をすることで、形成されるゲート絶縁層の表面は、水に対する接触角が60度以上、好ましくは80度以上であるような疎水性の膜とすることがTFTの性能向上のため好ましい。これらのゲート絶縁層を有する基材上に、本発明に係わる有機半導体材料薄膜を形成させ、ソース電極、ドレイン電極を形成し本発明に係わる有機薄膜トランジスタが製造される。
(水接触角の測定)
ここで、本発明に係る水接触角とは、従来の水接触角の測定装置を用いることができるが、例えば、接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃、50%RHの環境下で測定されたものである。
《支持体(基板、基盤等ともいう)》
本発明の有機薄膜トランジスタの形成に用いられる支持体(基盤、基盤等)としてはガラスやフレキシブルな樹脂製シートが用いられ、例えば、プラスチックフィルムを、支持体または有機薄膜トランジスタを有するシートとして用いることができる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可撓性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
《感光性樹脂》
また、感光性樹脂としては、ポジ型、ネガ型の公知の材料を用いることができるが、レーザで露光が行えるレーザ感光性の材料を用いることが好ましい。
このような感光性樹脂として、
(1)特開平11−271969号公報のような色素増感型の光重合感光材料、
(2)特開平9−179292号公報のような赤外線レーザに感光性を有するネガ型感光材料、
(3)特開平9−171254号公報のような赤外線レーザに感光性を有するポジ型感光材料が挙げられる。
上記の中でも工程が暗所に限定されない点で、(2)、(3)が好ましい。
感光性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
感光性樹脂層を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法が用いられる。
感光性樹脂層が形成されたら、感光性樹脂層にパターニング露光を行う。パターニング露光を行う光源としては、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられ、好ましくは赤外に発振波長があるもので、半導体レーザーである。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
露光された光感応性樹脂層の現像には、水系アルカリ現像液が好適である。アルカリ性化合物のアルカリ現像液中における濃度は、通常、1質量%〜10質量%、好ましくは2質量%〜5質量%である。
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。
また必要により、光感応性樹脂層を除去する工程を加えることができる。アルコール系、エーテル系、ケトン系などの前記感光性樹脂層の有機溶媒から適宜選択して除去に用いる。
《有機薄膜トランジスタシート》
本発明の有機薄膜トランジスタシートについて説明する。
図4は、本発明の有機薄膜トランジスタ素子が樹脂支持体上に複数配置されるTFTシートの1例を示す概略の等価回路図である。
TFTシート11はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ14を有する。12は各有機薄膜トランジスタ14のゲート電極のゲートバスラインであり、13は各有機薄膜トランジスタ14のソース電極のソースバスラインである。
各有機薄膜トランジスタ14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。
図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
図5に、上記等価回路に準じた、本発明の、実際のTFTシートの有機薄膜トランジスタ素子、電極、バスライン等の配置例を示す。TFTシートとしてはアディショナルキャパシタタイプで、シート状支持体(図示されていない)上にまずゲート電極2を有し、ゲート絶縁層(図示されていない)を介して有機半導体膜4をチャネルとして連結されたソース電極5及びドレイン電極6を有し、ゲート電極2はゲートバスライン12と、ソース電極は第1の電極E1と一体に形成されたソースバスライン13と連結されている。
また、ドレイン電極6は、第2の電極(E2)(即ちここでは画素電極)と連結する。また、ゲートバスラインに設けられたもう一つの電極14と画素電極との間に、アディショナルキャパシタとして蓄積コンデンサが形成されている。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明はこれらに限定されない。
実施態様1:図1(a)の構成を有する有機薄膜トランジスタ素子の作製例
図6、図7は、図1(a)の構成を有する本発明の有機薄膜トランジスタの製造プロセスの一例を示す図である。
工程1:図6(a)
支持体1上にゲート電極2およびゲートバスライン、ゲート絶縁膜3、第1の電極E1(ソースバスライン)、また第2の電極E2(画素電極)のパターンが形成された支持体を得た。
(支持体の作製)
テトラメトキシシラン3.04g(20mmol)と、塩化メチレン1.52gと、エタノール1.52gとを混合した後、0.5%硝酸水溶液を0.72g加えて加水分解を行い、室温でそのまま1時間攪拌を続けた。
エタノール5.3gと酢酸メチル60.9gの混合溶媒にジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L50)を溶解させた後、テトラメトキシシランを加水分解した前記の溶液と混合し、更に1時間攪拌を行った後、ゴムベルト上にギャップ巾800μmのドクターブレードで成膜した。
ベルトを搬送させながら、得られたフィルムを120℃で30分間乾燥させ、厚さ200μmの支持体1を作製した。動的粘弾性の測定から得られたTgは226℃であった。
支持体1の表面に50W/m2/分の条件でコロナ放電処理を施し、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層Uとした。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
(ゲート電極形成)
上記の下引き層U上に、下記組成の光感応性樹脂1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した。
(光感応性樹脂1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
Figure 2008300480
発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートバスラインおよびゲート電極のパターンを露光した後、アルカリ水溶液で現像し、レジスト像を得た。
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートラインおよびゲート電極2を作製した。
(ゲート絶縁層形成)
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、10質量%ホウ酸アンモニウム水溶液中で、2分間、100Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化皮膜を作製した。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
更にフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により、厚さ100nmの酸化珪素層を設け、ゲート絶縁層3とした。
(別種の電極形成)
次いで、マスクを用い、真空蒸着法により厚さ10nmのクロムを、次いで100nmの厚さの金を重ねて成膜することで、第1の電極(ソースバスライン)E1、また第2の電極(画素電極)E2をそれぞれ形成した。
工程2(有機半導体層の形成):図6(b)及び図6(c)
次に、ゲート絶縁膜3の上に、化合物OSC2−1のトルエン溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、吐出し、窒素ガス中で、90℃で15秒乾燥および熱処理を行い、厚さ50nmの有機半導体層4を形成した。
工程3(ソース電極及びドレイン電極の形成):図6(d)、(e)
次に、電極形成材料である、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P)をインクジェット法によりインク液滴として吐出し、図6(d)に示すように、ソース電極、ドレイン電極のパターンを印刷し、60℃で乾燥させ、厚さ20nmで、ソース電極5、ドレイン電極6を各々作製した(図6(e))。尚チャネル長L=30μmとした。
工程4(保護層の形成):図7(f)、(g)
次に、保護層形成材料である、ポリジメチルシロキサンを5質量%含有する水分散液を調製し、スピンコート塗布により塗布した後、加熱乾燥することにより、膜厚2μmの膜を、図7(f)、(g)に示すように形成し、保護層7とした。
実施態様2:図1(c)の構成を有する有機薄膜トランジスタ素子の作製例
図8、図9は、図1(c)の構成を有する本発明の有機薄膜トランジスタの製造プロセスの一例を示す図である。
工程1:図8(a)〜図8(c)
前記実施態様1と同様に、支持体上にゲート電極2およびゲートバスライン、ゲート絶縁層3、第1の電極E1(ソースバスライン)、また第2の電極E2(画素電極)、さらに有機半導体層4を形成した。
工程2:図8(d)及び図8(e)
〈保護層7の形成〉
次に、有機半導体層4上に下記組成物2をアイソパーE”(イソパラフィン系炭化水素、エクソン化学(株)製)に溶解した溶液を水性分散液とし、固形分濃度10.3質量%に希釈したものをインクとして、ピエゾ方式のインクジェット法によりパターンに従って吐出し、加熱(100℃)、乾燥して、厚さ0.4μmの保護層7をパターニング形成した。
(組成物2)
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子量約60,000) 100部
HMS−501(両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基数/分子量=0.69mol/g、チッソ(株)製) 7部
ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン 3部
SRX−212(白金触媒、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、) 5部
工程3:図9(f)〜図9(h)
〈ソース電極及びドレイン電極形成〉
保護層7を形成後、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P)をインクジェット法により、保護層7の領域を含んで、印刷パターン部が別種の電極間を跨ぐように有機半導体層4上に供給する。
即ち、図3(b)に示すように、インクジェット法により連続的に矢印方向に電極材料液を吐出する。保護層7があるためにインクは、印刷後にはソース、ドレイン電極部分に分離して、保護層7のある部分にはインクが乗らない。
即ち保護層7部分のインク反撥により、図9(g)や図3(c)に示すようなパターンが自然に形成される。
次いで、これを100℃で乾燥させソース電極5及びドレイン電極6を形成させる。なお、電極は、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)から成る厚さ20nmの層である。図9(h)に作製した有機薄膜トランジスタを示す。
以上、実施態様により本発明に係わる有機薄膜トランジスタの好ましい製造方法を示したが、形成された本発明に係わる有機薄膜トランジスタは、キャリア移動度が高く、かつ動作にバラツキが少ない良好な動作特性を示した。
本発明の有機薄膜トランジスタは、トップコンタクト型でも、ボトムコンタクト型でもどちらでも十分なトランジスタ性能が発揮されるが、製造過程において、有機半導体層がプロセスダメージの影響を受けにくい製造方法により製造されているため、それにより、良好な動作特性を示す有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタシートを得ることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタの代表的な構成例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの別の代表的な構成例を示す概略断面図である。 反撥層が形成された有機半導体膜上に、ソース、ドレイン電極を形成する過程を示す概略図である。 本発明の有機薄膜トランジスタ素子が支持体上に複数配置される有機薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。 本発明の有機薄膜トランジスタシートに設けられた、有機薄膜トランジスタ、電極、バスライン等の配置例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの製造プロセスの一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの製造プロセスの一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの製造プロセスのさらに別の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの製造プロセスのさらに別の一例を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 有機半導体膜
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 保護層
E1 第1の電極
E2 第2の電極
11 TFTシート
12 ゲートバスライン
13 ソースバスライン
14 有機薄膜トランジスタ
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路

Claims (14)

  1. 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極および少なくとも1つの別種の電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
    構成層として保護層を有し、該保護層がシロキサン化合物を含有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記シロキサン化合物がポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記保護層が少なくとも有機半導体層に接して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記ソース電極、ドレイン電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記流動性電極材料が導電性有機材料を含有することを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機半導体層が、別種の電極に接合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載にの有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記別種の電極が金属材料からなることを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記別種の電極が二つあり、各々ソース電極、ドレイン電極に接合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 前記ゲート絶縁層の表面の水接触角が、60°以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタ。
  10. 前記有機半導体層は、有機半導体材料溶液からのキャスト膜であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタ。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の有機薄膜トランジスタが基板上に集積化されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを製造するにあたり、前記保護層を、シロキサン化合物を含有する、溶液または分散液を用いて形成する工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  13. 前記溶液または前記分散液に含まれる溶媒の50質量%以上が水であることを特徴とする請求項12に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを製造するにあたり、前記シロキサン化合物の前駆体を含む、溶液または分散液を用いて、該前駆体を含む塗膜を形成する工程、次いで、得られた塗膜に硬化処理を施し、前記前駆体をシロキサン化合物を生成させる工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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