JP2008159971A - 導電パターン形成方法、有機薄膜トランジスタ製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタ - Google Patents

導電パターン形成方法、有機薄膜トランジスタ製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜トランジスタにおいて、より確実に半導体材料層また電極や配線パターン、特に、高精度なパターニングが要求されるソース、ドレイン電極のパターンを形成する方法を提供することにあり、更に電極パターンと共に移動度が高い半導体チャネルを高精度、再現性よく形成する方法を提供することにある。
【解決手段】基板上にパターン化された導電層を形成する導電パターン形成方法において、基板に対する導電層の接着性を高める接着層を基板表面上にパターン化する工程、
前記接着層が形成された表面、及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程、前記接着層が形成されていない基板表面上に形成された導電層のみを除去する工程、からなることを特徴とする、導電パターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は導電パターンの形成方法、有機薄膜トランジスタの製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタに関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてFPD(フラットパネルディスプレイ)に対するニーズが高まっている。また、情報化の進展に伴い、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には、通常スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
しかしながら、このようなTFT素子の製造では、真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスを何度も繰り返して各層を形成せざるを得ず、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっていた。例えば、TFT素子では、通常それぞれの層の形成のために真空蒸着、ドープ、フォトリソグラフ、現像等の工程を何度も繰り返す必要があり、何十もの工程を経て素子を基板上に形成している。
スイッチング動作の要となる半導体部分に関しても、p型、n型等、複数種類の半導体層を積層している。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされる等、設備の変更が容易ではない。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるを得ず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイをこうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にSi系TFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料の他、例えば、有機レーザー発振素子や、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタ素子(有機TFT素子)への応用が期待されている。
これらのような有機材料が半導体層であるデバイスを実現できれば、低温での真空ないし低圧蒸着による形成や、更にその分子構造を適切に改良することによって溶剤に可溶化することができればインクジェット法、または印刷法などといった簡便な溶液プロセスによって製造できると考えられる。
このような低温プロセス・溶液プロセスによる製造は、透明樹脂基板上へのTFT素子の形成を可能とし、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)安価なディスプレイとすることができると考えられる。
これまでに半導体層として検討されてきた材料としては、ペンタセンやテトラセンといったアセン類、またこれらに置換基を導入した化合物、フタロシアニンやポルフィリン類、及びこれらの前駆体、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、ナフタレン、アントラセンに5員の芳香族複素環が対称に縮合した化合物、モノ、オリゴ及びポリジチエノピリジン、更にはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子などが挙げられる。
有機半導体層を形成する基板表面には、有機半導体層を形成する前にオクタデシルトリクロロシラン、HMDS等による表面処理が一般に施されている。このような表面処理を施すことで、有機薄膜トランジスタ性能、特にキャリア移動度が大幅に向上することがよく知られている(例えば、非特許文献1)。
また、ディスプレイ等に適用する場合、複数の有機TFT素子をアレイ化する必要があるが、隣接するTFT素子間の有機半導体層は各々分離されていることが、オフ電流を低減する上で好ましく、例えば、特許文献1では、レーザーアブレーションによって各TFT素子を分断する方法が開示されている。しかし、この方法では、有機半導体層を基板全面に形成した後、分断するため、余分な領域にまで有機半導体層が形成されることになり、コスト面でも好ましくない。必要な領域にのみ有機半導体層を形成する方法としては、例えば、有機半導体層を堆積させる基板表面に表面エネルギーの異なる領域を予め形成しておくことで、有機半導体層を塗布と同時にパターニングする方法がいくつか提案されており、プロセス上の簡便さ、コストの面からも好ましい技術であると言える(例えば、特許文献2)。このように、有機半導体層を塗布と同時にパターニングさせるためには、前もって基板表面を表面エネルギーの異なる領域にパターン化しておく必要があるが、表面エネルギーの異なる領域パターンの形成方法としては、例えば、基板全面に形成した単分子膜の一部を短波長のUV照射あるいはプラズマ照射で除去する方法、光により分解する機能性基を有するシランカップリング剤を用いる方法、スタンプにより必要な領域に単分子膜を形成する方法、レジストで形成したパターンを含む基板上に単分子膜を形成後、レジストを除去する方法などが挙げられる。しかし、これらの方法では、プロセス面、コスト面でまだまだ不十分であり、より簡便に、より確実に有機半導体層をパターニングする方法の開発が今も望まれている。
一方、溶液プロセスの適用は有機半導体層だけでなく、電極や配線等の形成時にも必要とされ、上述したような表面エネルギーパターン上に導電性材料溶液を堆積することで配線パターンを形成する方法はいくつか提案されているが、特に、トランジスタのチャネルを決めるソース、ドレイン電極パターンは、簡便なプロセスかつ、高精度なパターニングが要求されるため、これまで知られた方法ではまだまだ不十分であると言える。
Synthetic Metals 148 (2005) 75−79 米国特許出願公開2005/9248号明細書 特開2003−234522号公報
薄膜トランジスタにおいて、より確実に半導体材料層また電極や配線パターン、特に、高精度なパターニングが要求されるソース、ドレイン電極のパターンを形成する方法を提供することにあり、更に電極パターンと共に移動度が高い半導体チャネルを高精度、再現性よく形成する方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段によって達成される。
1.基板上にパターン化された導電層を形成する導電パターン形成方法において、
基板に対する導電層の接着性を高める接着層を基板表面上にパターン化する工程、
前記接着層が形成された表面、及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程、
前記接着層が形成されていない基板表面上に形成された導電層のみを除去する工程、
からなることを特徴とする、導電パターン形成方法。
2.半導体デバイスにおいて導電層を基板上にパターン化することを特徴とする、前記1に記載の導電パターン形成方法。
3.前記導電層が前記半導体デバイスにおける配線または電極を構成することを特徴とする、前記2に記載の導電パターン形成方法。
4.前記半導体デバイスが薄膜トランジスタであることを特徴とする、前記2又は3に記載の導電パターン形成方法。
5.前記薄膜トランジスタが有機薄膜トランジスタであることを特徴とする、前記4に記載の導電パターン形成方法。
6.前記パターン化された導電層が前記薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のうち、少なくともひとつを形成することを特徴とする、前記4又は5に記載の導電パターン形成方法。
7.前記接着層を基板表面上にパターン化する工程、前記接着層の表面及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程、前記接着層が形成されていない基板表面に形成された導電層のみを除去する工程、により前記ソース電極およびドレイン電極を形成することを特徴とする、前記6に記載の導電パターン形成方法。
8.前記接着層の表面及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程の後に、導電層が形成されていない基板表面の表面エネルギーを変える第1の表面処理工程を有することを特徴とする、前記7に記載の導電パターン形成方法。
9.前記接着層が形成されていない基板表面に形成された導電層を除去する工程の後に、導電層が除去された表面が、第1の表面処理工程で得られた表面とは異なる表面エネルギーを有するように、更に、第2の表面処理工程を有することを特徴とする、前記7に記載の導電パターン形成方法。
10.前記表面処理工程がシランカップリング剤による処理工程であることを特徴とする、前記8又は9に記載の導電パターン形成方法。
11.第1の表面処理工程で用いる第1のシランカップリング剤と、第2の表面処理工程で用いる第2のシランカップリング剤が異なる材料からなることを特徴とする、前記10に記載の導電パターン形成方法。
12.導電層が除去された表面上に薄膜トランジスタのチャネルが形成されることを特徴とする、前記7〜10のいずれか1項に記載の導電パターン形成方法。
13.前記チャネルを溶液プロセスで形成することを特徴とする、前記12に記載の導電パターン形成方法。
14.前記5〜13のいずれか1項に記載の導電パターン形成方法を工程の一部に用いて製造したことを特徴とする、有機薄膜トランジスタ製造方法。
15.前記14に記載の有機薄膜トランジスタ製造方法を用いて製造したことを特徴とする、有機薄膜トランジスタ。
本発明により従来に比べ、より簡便、より確実に高精度で、電極、配線パターンが得られると共に精度よく移動度の高いチャネル形成が行え、高性能の半導体デバイスが得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明は、基板上にパターン化された導電層を形成する導電パターン形成方法であって、高精度に、電極、配線パターンを形成する導電パターン形成方法に関するものである。
位置精度よく、また再現性よく導電パターンを形成するために、先ず、基板に対する導電層の接着性を高める接着層を基板表面上にパターン化する。次いで、前記接着層が形成された表面、及び接着層が形成されていない基板表面の一部にも、導電層を形成する。
その後、前記接着層が形成されていない基板表面上に形成された導電層のみを除去し、当初接着層を形成した領域のみに導電層を残すことで、精度よく導電パターンを形成する。
接着層が形成されない領域に形成された導電層は、洗浄、ラビング等によって容易に除去されるため、接着層が形成された領域のみに導電層、即ち、電極や配線等の導電パターンを精度よく形成することが出来る。
この方法によれば、より簡便な溶液プロセスにて、大まかな領域に、例えば金属微粒子を含有する流動性電極材料、例えば、導電性ペースト等を用いて適用しても、その後、接着層が形成された領域のみに導電材料を堆積できるため、精度のよい導電パターン形成が行える。
所定の比抵抗値をもつ導電層を精度よく形成するには、蒸着等により所定の導電率をもつ例えば、金属等の導電膜を形成しなければならないが、本発明においては、導電パターン状に薄い接着層を形成した後に、導電層を、例えば、溶液プロセス等で、接着層上に、接着層が形成された表面、及び、接着層が形成されていない基板表面の一部も含む形で、即ち大まかに、導電性材料を適用する。本発明は、その後、接着層が形成されていない基板表面上に形成された導電層を、洗浄や、ラビング等で除去することで、接着層が形成された表面上にのみ導電層を形成できるため、簡便に精度よく導電パターンが得られる特徴がある。
本発明の導電パターン形成方法は、後述するトップゲート型、またボトムゲート型の薄膜トランジスタ素子いずれにも適用でき、例えば図1のトップゲート型薄膜トランジスタ(断面図で示す)、ソース電極2、ドレイン電極3、またゲート電極4及びゲートバスライン、ソースバスライン等配線に適用できる。ボトムゲート型においても同様である。
トップゲート型薄膜トランジスタ素子において基板6上にソース電極2、ドレイン電極3、又その配線(ソースライン等)を形成する場合、更に、ゲート電極、ゲートバスラインを形成する場合、また、ボトムゲート型薄膜トランジスタ素子においては、ゲート電極4、そしてゲート絶縁層5上にソース電極2、ドレイン電極3を形成する場合等に適用することができる。
特に、ソース電極2、ドレイン電極3、またソースバスライン等配線に適用することが、電極間に半導体チャネルを形成するため互いの位置精度と厳密さが必要であることから、また、後述する、半導体チャネルのパターニングと組み合わせ、高精度の導電パターンが形成できると共にキャリア移動度の高い半導体チャネル(半導体層)を形成でき、高性能の薄膜トランジスタが形成できるので好ましい。
上記のうち接着層としては、基板表面と接着性がよく、また電極材料と親和性が高い金属、乃至金属酸化物の薄層(1nm〜10nm)を挙げることが出来、例えば、金属酸化物表面を有する基板、或いは絶縁層等上に導電層の形成に先立って形成される。接着層は導電層の基板との密着性を向上させる層であり、前記金属酸化物表面、絶縁層等に親和性が高い層であり金属の接着層としてはクロムが好ましい。接着層は蒸着、CVD法、スパッタ法等により、マスクパターンを介し、また、レジスト等を用いフォトリソグラフィー法によりパターニング形成することができる。接着層形成後、電極或いは配線として充分な、導電性の高い導電パターンとするまで、後述の電極材料を用い導電層を形成することができる。導電層の形成においては、厳密なパターンの制御は必要とされない。
接着層形成後の導電層の形成は、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料、液状電極材料により形成するのが好ましいが、蒸着等であっても予め電極パターンが接着層により形成されているので、厳密なパターンの制御は必要としない点好ましい。
図4、5により、ソース電極、ドレイン電極を形成した例を用いて本発明を説明する。
図4(a)〜図4(c)に示すような工程に従い、例えば、コロナ放電処理、酸化ケイ素膜等下引き済みのポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を基板6としてこの上に、感光性樹脂を用いてゲート電極4及びゲートバスラインをパターニング形成し、CVD法を用いて酸化ケイ素からなる絶縁層を形成した基板Aを用いて説明する。
まず、基板Aの所望の位置にソース電極、ドレイン電極パターンを有するマスクを用いてクロムを蒸着(膜厚約5nm)することにより、接着層8を形成した(図5(a))。
続いて、接着層8を形成後、接着層及び、ソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域を含む領域上に、流動性電極材料として、液状の金ナノ粒子をインクジェットにより堆積後、加熱乾燥して導電層を作製する(図5(b)−2)。
更に、導電層を形成した基板を超音波洗浄処理、或いはラビング処理を行う。これにより接着層上に形成された導電層以外は導電層が除去され、ソース電極2、ドレイン電極3を形成する(図5(c))。導電層のインクジェットによる印刷は接着層が形成された表面、及び接着層が形成されていない基板表面の一部も含む大凡の領域で構わない。フォトリソグラフィー法等を用いずにソース電極、ドレイン電極間のチャネルの境界が明確で、かつ再現性高く接着層パターンに忠実な導電層パターンが得られる。
因みに、不必要な導電層を確実に除去するため、カプトンテープ(登録商標)などの粘着テープを用いて、付着した電極材料を剥離することもできる。
また、導電層として、例えば金をクロムと同じマスクで蒸着した場合に比べても、ソース電極、ドレイン電極間のチャネルの境界が明確で、かつ再現性高く、形成することができる。
図5(b)−1、図5(c)の手順で作製したソース電極2、ドレイン電極3を有する図5(c)に図示した基板上、ソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域に、例えば、有機半導体化合物のトルエン溶液を滴下し、有機半導体層1を形成することで、有機薄膜トランジスタ素子が得られる。
本発明においては、基板に対する導電層の接着性を高める接着層を形成することにより基板表面上に形成された接着層パターン領域のみに、精度高くかつ再現性よく導電層パターンを形成することができる。本発明の別の態様では、この導電パターン形成方法を用い、同時に半導体チャネル形成を行うことにより、高いキャリア移動度を有する半導体チャネルを高精度で再現性よく行うことが出来る。
即ち、本発明においては、前記接着層が形成された表面と共に、接着層が形成されていない基板表面の一部にも導電層が形成されるが、この接着層が形成されていない基板表面の一部として、接着層のうちソース電極、ドレイン電極となる領域に隣接するソース電極、ドレイン電極間の半導体チャネルを形成すべき領域を選択する。
半導体チャネルの再現性のよい形成は電極或いは導電パターンの形成と共に薄膜トランジスタの精度即ち特性の安定性やバラツキをなくすという点で重要である。
本発明においては、前記接着層が形成された表面と共に導電層が形成される接着層が形成されていない基板表面の一部として、接着層のうちソース、ドレイン電極となる領域に隣接した半導体チャネル領域を選択し、接着層、そして半導体チャネル領域に導電層を適用する。この場合は、半導体チャネル形成領域(部位)は、例えば、マスク或いはパターニング手段を用いて厳密に位置精度よく導電層を形成する。即ち、接着層部分と、ソース電極、ドレイン電極となるべき接着層間の半導体チャネルを形成すべき領域に導電層をまず形成する。
次いで、導電層が形成された以外の領域、即ち、電極及び配線となる導電パターン領域、及び半導体チャネル形成領域以外の領域において、第1の表面処理を行ってその表面エネルギーを変え、有機半導体層と親和性が低く低表面エネルギーで反発性の強い表面とする。その後超音波洗浄、ラビング等によって、接着層上に形成された導電層以外、即ち、有機半導体層を形成すべき半導体チャネル領域に形成された導電層を除去する。これにより、電極を含む導電パターン(導電層)が、また、半導体チャネル領域においては基板表面が露出し、それ以外の部分は第1の表面処理剤により処理された表面が露出した状態となる。
第1の表面処理剤による表面エネルギーの低い状態は、有機半導体層と親和性がない。
その後、有機半導体溶液を適用すると、第1の表面処理剤により表面処理を受けた領域は、有機半導体溶液をはじくので、チャネル形成領域に有機半導体溶液は自然に集まり、これにより半導体チャネルを精度よく再現性よく形成することが出来る。
また、第1の表面処理剤による処理を行った後、導電層を除去し、更に、導電層が除去された後の接着層が形成されていない基板表面の一部(チャネル形成すべき部位)であって、基板表面が露出された領域に、有機半導体溶液と親和性を高める第2の表面処理剤による処理を行って、第1の表面処理を行った表面とは異なった表面エネルギー状態とすることが、より好ましい。
第2の表面処理を行う第2の表面処理剤としては、有機半導体材料と親和性のある有機半導体材料構造類似の構造を分子中に有する表面処理剤が好ましい。
第2の表面処理により、チャネルの境界が明確で、再現性高く、半導体材料膜を形成することができると同時に、表面処理を受けた基板表面に表面処理剤による自己組織化膜が形成するので、これにより有機半導体材料薄膜の配向度(または結晶化)が向上するのでキャリア移動度が向上し好ましい。
図5における基板Aを用いてこれを説明する。
前記図5(b)−2の手順で接着層8を形成後、図5(b)−2の如く、接着層8上及びソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域を含む領域上に流動性電極材料として例えば、金ナノ粒子をインクジェットにより堆積、加熱乾燥し導電層9を形成する。
電極及び半導体チャネル領域は導電層により覆われており、この状態で、第1の表面処理を例えば、オクチルトリクロロシラン(C817SiCl3)を用いて行う。
これにより導電層が形成されていない基板表面の表面エネルギーが変化(低下)して有機半導体層或いは有機半導体溶液との親和性が低下する。
更に、図5(b)−2で形成した基板を例えば超音波洗浄することで、チャネル領域上の導電層が除去できる。ソース電極2、ドレイン電極3が形成し、またチャネル領域においては基板Aの絶縁層表面が露出する(図5(c))。
続いて、第2の表面処理として、シランカップリング剤溶液に基板を浸漬し第2の表面処理を施した。絶縁層表面が露出したチャネル領域においては第1の表面処理とは異なる有機半導体材料溶液の塗れ性がよい親和性が高い表面エネルギー状態となる。
次いで、ソース電極2、ドレイン電極3間のチャネル領域に大凡の位置に、有機半導体化合物の例えばトルエン溶液(0.01〜1%程度)を滴下すれば、有機半導体材料溶液は第1の表面処理が施された領域はこれを弾くので、第2の表面処理が施された半導体チャネル領域に溶液は乾燥しつつ自然に集まり有機半導体層がチャネル領域に形成する。有機半導体溶液を適用しても表面処理剤の選択によって、チャネル形成領域の境界が明確再現性が高く、かつ配向性に優れるためキャリア移動度が高い半導体チャネルを形成することができる。
第1の表面処理剤、また、第2の表面処理剤はいずれもシランカップリング剤であることが好ましく、例えば、基板表面が、ゲート絶縁層であれば酸化珪素、酸化チタン等表面に水酸基等、シランカップリング剤と反応する基を有しており好ましい。また基板上に新たに電極層を形成して、導電パターンを形成する場合、基板表面が、シランカップリング剤と反応性を有する基、例えば水酸基、アミノ基等を表面に有するもので有れば好ましい。また、これらの基を表面に有する有機高分子であってもよい。
第1の表面処理剤としては、有機半導体材料(溶液)のはじきが高くなる、低表面エネルギーを形成する表面処理剤が好ましく、これら第1の表面処理剤としては、π電子系芳香族基乃至原子団を有する有機半導体材料(溶液)に対し、親和性が低い表面エネルギーの小さい表面を形成することのできる、アルキルシラン、アルキルジシラザン類からなるシランカップリング剤が好ましい。アルキルシラン、アルキルジシラザン類には、ハロゲン原子、アルコキシ基等基板表面の水酸基等と反応性を有する基が置換されてもよい。
これらのアルキルシラン、アルキルジシラザン類の例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等、
また、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等、更にアルキルジシラザン類としてはヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
具体的には、信越化学社製のケイ素化合物試薬、または米国のGelest,Inc.Metal−Organics for Material&Polyer Technology、チッソ社製SILICON CHEMICALS等の化合物カタログに記載されているものの中からアルキルシラン、アルキルジシラザン類を選択して用いればよい。
本発明においては、特にオクチルトリエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンが好ましい表面処理剤である。
第1の領域における水の接触角は70度以上であることが好ましい。また、第1の領域におけるトルエンの接触角が、第2の領域におけるトルエンの接触角に対して大きいことが上記の第1の領域と同じパターンで薄膜が形成され、精度の高いパターニングが可能となるため好ましく、さらに、有機薄膜トランジスタにおいて、より高い電界効果移動度を得ることができる。
基板の表面粗さなどの影響もあるが、第2の領域のトルエンの接触角は3〜20度、さらに5〜15度がより好ましい。また第1の領域のトルエンの接触角は、15〜100度、さらに20〜90度がより好ましい。
第1の領域の表面処理を行う表面処理剤としてフッ素原子を含有する基、また、フッ素を含有するアルキル基(フルオロアルキル基)を含有するシラン、アルキルシラザン類、中でもパーフルオロアルキル基を含有するシラン、アルキルシラザン類が好ましい。
これらの代表的具体例を以下に示す。
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン
パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(信越化学製KBM7103)
ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン
(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン
ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン
ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン
ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン
ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン
1,8−ビス(トリクロロシリルエチル)ヘキサデカフルオロオクタン
これらの化合物は、信越化学、アヅマックス等から製品として入手可能である。
第2の表面処理剤は、有機半導体材料溶液の濡れ性を向上させる材料である。好ましい表面処理剤としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる
Figure 2008159971
一般式(1)において、Xは、ケイ素、ゲルマニウム、錫、及び鉛から選ばれるいずれかの原子を表し、Zは、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、及び鉛(Pb)から選ばれる何れかの原子を表す。R1〜R6は各々水素原子又は置換基を表す。Yは連結基を表す。
一般式(1)において、R1〜R3で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、等が挙げられる。
上記の置換基のうち特に好ましいのは、アルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
なお、上記の各種置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、R1、R2及びR3は相互に同一であっても、異なっていてもよい。
Xで表される金属原子のうち、好ましいのは、Si、Geである。
Yで表される連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)、アリーレン基などの炭化水素基のほか、ヘテロ原子を含む基(例えば、−O−、−S−等のカルコゲン原子を含む2価の基、−N(R)−基、ここで、Rは、水素原子またはアルキル基を表し、該アルキル基は、前記一般式(1)において、R13で表されるアルキル基と同義である)等が挙げられる。
また、上記のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基の各々においては、2価の連結基を構成する炭素原子の少なくとも一つが、カルコゲン原子(酸素、硫黄等)や前記−N(R)−基等で置換されていても良い。
更に、Yで表される連結基としては、例えば、2価の複素環基を有する基が用いられ、例えば、オキサゾールジイル基、ピリミジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピランジイル基、ピロリンジイル基、イミダゾリンジイル基、イミダゾリジンジイル基、ピラゾリジンジイル基、ピラゾリンジイル基、ピペリジンジイル基、ピペラジンジイル基、モルホリンジイル基、キヌクリジンジイル基等が挙げられ、また、チオフェン−2,5−ジイル基や、ピラジン−2,3−ジイル基のような、芳香族複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物ともいう)に由来する2価の連結基であってもよい。
また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のようなヘテロ原子を会して連結する基であってもよい。
上記連結基のうち、好ましいのは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアリーレン基等の炭化水素連結基である。
前記一般式(1)において、Zで表される原子の中、好ましいのは、Si、Tiである。
4〜R6は、R1〜R3と同義であるが、置換基として、少なくともアルコキシ基またはハロゲン原子のいずれかを有していることが好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008159971
これら具体例として挙げられた各化合物等は、例えば、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
シランカップリング剤を用いた表面処理方法については、特開2004−327857号公報、同2005−32774号公報、同2005−158765号公報の各公報等に開示されているような公知の方法を適用することができる。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着)法等の気相法、スピンコート法やディップコート法等の液相法、更にスクリーン印刷法、マイクロモールド法、マイクロコンタクト法、インクジェット法等の印刷法などを適用することができる。
中でも本発明に好ましく用いられる方法としては、表面処理剤の溶液に基体を浸漬、または表面処理剤の溶液を基体に塗布して乾燥する湿式法が好ましい。
(湿式法)
湿式法では、例えば、基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布して、乾燥する。
(プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法)
表面処理剤(プラズマCVD法では薄膜形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50℃〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により薄膜を形成する熱CVD法や、前述の大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01Pa〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いてもよいが、移動度の向上、薄膜の均一性、薄膜の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から大気圧プラズマ法が好ましい。
次いで、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
《有機半導体層》
本発明に係る有機半導体層について説明する。
(有機半導体材料)
前記有機半導体チャネルを構成する本発明に係る有機半導体材料は、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよい。有機半導体材料としては、例えば、特開平5−55568号公報等にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、特開平4−167561号公報等に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、特開2004−319982号公報等に開示されているベンゾポルフィリン等のポルフィリン類、その他、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体、テトラチアフルバレン類等といった低分子量化合物や、特開平8−264805号公報等に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、またポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など(これらの多くは「アドバンスド・マテリアル」(Advanced Material)誌2002年、第2号99頁に記載されている)が一般的に知られている。その中でも、有機半導体材料として低分子量化合物を用いた場合に本発明の効果がより発揮され、特に、重量平均分子量が5000以下の低分子量有機半導体材料を用いると、高移動度で駆動する有機薄膜トランジスタを得る上でより好ましい。
前述した有機半導体材料の中でも、低分子量化合物として、例えば、ピレン、コロネン、オバレン等やその誘導体、アントラセン、ペンタセン等やその誘導体(アセン類)、ルブレンやその誘導体等に代表される縮合多環式炭化水素類、ベンゾジチオフェン、アントラジチオフェン等やその誘導体等に代表されるヘテロ原子を含む縮合多環式芳香族化合物類、チオフェンオリゴマー等が好ましい例として挙げられる。ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986等に記載のアセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの中でも特に、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986等に記載されるようなエチニル置換基を有する縮合多環式芳香族化合物類が好ましく用いられる。
これらの例としては下記の有機半導体化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008159971
また、本発明においては、有機半導体層(有機半導体膜ともいう)に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えば、アミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、所謂ドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
《有機半導体材料(有機半導体分子ともいう)の分子量》
本発明に係る有機半導体材料としては、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよいが、分子量100〜5000の範囲が好ましい。
ここで、分子量は、当該業者周知の質量分析装置を用いて測定するが、分子量分布を示す化合物(オリゴマーや高分子等)の分子量(本願では、オリゴマー、高分子の分子量としては、重量平均分子量Mwを用いる。)、該分子量分布の測定は、市販のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法などを用いて測定する。
(重量平均分子量(Mw)の測定及び分子量分布(Mw/Mn)について)
本発明に係る有機半導体材料の分子量は、上記のように100〜5000の範囲が好ましい。更に、前記有機半導体材料が、オリゴマー、高分子のように分子量分布(Mw/Mn)を有するような場合、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(分子量分布)は、3以下であることが好ましい。
本発明に係る有機半導体材料の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定は、THF(テトラヒドロフラン)をカラム溶媒として用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分子量測定を行うことができる。
本発明に係る有機半導体材料の重量平均分子量(Mw)の測定について説明する。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHF(脱気処理を行ったものを用いる)を1ml加え、室温下にてマグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45μm〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)装置に注入する。
GPC測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。
カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard column等の組合せ等が好ましい。
検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
本発明では、下記の測定条件にて分子量測定を行った。
(測定条件)
装置:東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/またはUV
溶出液流速:0.6ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう)を作成、分子量の算出に使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
《有機半導体層の形成方法》
本発明に係る有機半導体層の形成方法について説明する。
有機半導体層を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、及びLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布等の方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体層を塗布により形成することが好ましい。塗布法としては、有機半導体の溶液を用いて簡単、且つ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット印刷等が好まれる。
なお、Advanced Material誌1999年第6号、480〜483頁に記載のように、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成してもよい。
(塗布に用いられる有機溶媒)
有機半導体液滴を作製する際に使用される有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
芳香族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、m−ジヨードベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、ジクロロトルエン、ジブロモトルエン、ジフルオロトルエン、クロロキシレン、ブロモキシレン、ヨードキシレン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼン、ヨードエチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、クロロシクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
脂肪族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、デカン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン、3,3,5−トリメチルヘプタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、4−エチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2−メチルオクタン、ドデカン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、p−メンタン、デカリン、シクロヘキシルベンゼン等の環状脂肪族炭化水素等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。本発明に用いられる脂肪族炭化水素としては環状脂肪族炭化水素が好ましい。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。また、有機溶媒は50℃〜250℃の沸点を有するものが好ましい。
(有機半導体層の膜厚)
これら有機半導体層の膜厚としては特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
《絶縁層》
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート電極の絶縁層としては、種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、所謂ゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマCVD法である。
絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等、あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は電解液として硫酸、燐酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。また、これら絶縁膜の膜厚としては一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
これらの有機、無機の皮膜は前記表面処理剤による表面処理を受けるとき、皮膜表面は、また、例えばシランカップリング剤中のアルコキシシラン、ハロゲノシラン等の基と反応性をもつ水酸基、アミノ基等の反応性基を有することが好ましい。
後述の支持体、基板についても同様であり、例えばシリコン基板等の場合には、表面に熱酸化膜を形成したり、また、表面がシランカップリング剤に対する反応性基をもたない基板の場合、基板上に、酸化珪素層等ヒドロキシ基を有する材料層を形成することが好ましい。
《支持体》
支持体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができる。
中でも、本発明に係る基板は、樹脂からなることが好ましく、例えば、プラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに衝撃に対する耐性を向上できる。
《電極材料》
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極またはドレイン電極を形成する電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。
電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に白金、金、銀、ITO、導電性ポリマー及び炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成したもの、特に導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が塗布或いは印刷等により電極パターンを形成でき好ましい。
また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、例えば、公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、好ましくは粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報の各公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
本発明における電極また配線等の導電パターンの形成方法は、接着層を形成した基板上に、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて導電性薄膜を形成する。公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成してもよく、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法等もある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。
更に導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
また、無電解メッキ法による電極形成法は、電極を設ける部分にメッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせる触媒を配した後に、メッキ剤を接触させるものである。
これにより前記触媒とメッキ剤とが接触し、前記部分に無電解メッキが施されて、電極が形成される。電極形成に無電解メッキを利用する方法は、低抵抗の電極を煩雑な工程なしに簡便、低コストで形成することができる。
また、本発明において、半導体チャネル領域のパターニングを行わない場合、接着層を厳格にパターニングすることで、導電層形成時に厳密なパターニングは必要なく精度よく導電パターンが形成できる。
本発明においては、また、ソース電極及びドレイン電極表面を、更に特許文献1等に記載があるようなチオール化合物等で表面修飾してもよい。
《保護層》
本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、前記大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
《有機薄膜トランジスタ素子の製造》
有機薄膜トランジスタは、基板上に有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上に絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよい。具体的な素子の層構成例は図1、図2に示す如くとなる。
図3は、本発明の有機薄膜トランジスタ(TFT)が複数配置される薄膜トランジスタ素子シート10の1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタ素子シート10は、マトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ11を有する。16は各有機薄膜トランジスタ11のゲート電極のゲートバスラインであり、17は各有機薄膜トランジスタ11のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ11のドレイン電極には、出力素子12が接続され、この出力素子12は、例えば、液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子12として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
このような、基板上に有機TFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタ素子シートの作製に本発明の方法を用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、基板がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
(好ましい実施の形態)
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明はこれらに限定されない。
《有機薄膜トランジスタ素子101の製造》
《基板Aの作製》:図4(a)〜図4(c)
図4(a)〜図4(c)に示すような工程に従い、本発明の有機薄膜トランジスタの一態様である、ボトムゲート型で且つ、ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製するために用いる基板Aを作製した。
《下引き層7の形成》:図4(a)
基板6として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、該フィルム上に、先ず50W/m2/分の条件でコロナ放電処理を施した。
次いで、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
《下引き層形成用塗布液の組成》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
更に、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層7とした。大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
《大気圧プラズマ処理条件》
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)
0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmaxを5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
《ゲート電極の形成》:図4(b)
次いで、ゲート電極4を形成する。
即ち、上記の下引き層7上に下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した後、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートバスライン及びゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。
更に、その上に、スパッタ法により厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスライン及びゲート電極4を作製した。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極4上に陽極酸化被膜を形成した(図4では省略。)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。このようにして陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
《絶縁層の形成》:図4(c)
次いで、更にフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法の使用ガスを下記に変更し、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmの絶縁層5を形成した。
(使用ガス)
不活性ガス:アルゴン 98.9体積%
反応性ガス:水素ガス 0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積%
以上により、支持体上にゲート電極、ゲート絶縁層が形成された基板Aを作製した。
《導電パターンの形成》
《ソース電極2、ドレイン電極3の形成》:図5(a)〜図5(c)
次いで、基板Aを用いて、本発明の導電パターンの一例であるソース電極2、ドレイン電極3を形成する。
《接着層8の形成》:図5(a)
まず、基板Aの所望の位置にソース電極、ドレイン電極パターンを有するマスクを用いてクロムを蒸着(膜厚約5nm)することにより、接着層8を形成した。
続いて、接着層上及び、ソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域に堆積されるような開口部を有するマスクを用いて金を蒸着(膜厚約50nm)することで導電層9を形成した(図5(b)−1)。
また別に、接着層8を形成後、接着層及び、ソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域を含む領域上に金ナノ粒子をインクジェットにより堆積後、80℃で10分間加熱乾燥した(図5(b)−2)。
更に、図5(b)−1、図5(b)−2で形成した基板をそれぞれ超音波洗浄器中で10分間処理することで、接着層上以外の電極材料を除去して、ソース電極2、ドレイン電極3を形成した(図5(c))。
因みに、不必要な導電層を確実に除去するため、カプトンテープ(登録商標)などの粘着テープを用いて、ソース電極、ドレイン電極以外に付着した導電材料を剥離することもできる。
図5(b)−1、図5(c)の手順で、ソース電極2、ドレイン電極3を形成することで、工程数の多いフォトリソグラフィーを用いることなく、また、金をクロムと同じマスクで蒸着した場合に比べ、ソース電極、ドレイン電極間のチャネルの境界が明確で、かつ再現性高く、形成することができた。
また、図5(b)−2、図5(c)の手順で、ソース電極2、ドレイン電極3を形成することで、より簡便な、流動性電極材料を用いた溶液プロセスにて導電材料を堆積でき、導電材料液で直接パターンを形成する場合に比べ、ソース電極、ドレイン電極間のチャネルの境界が明確で、かつ再現性高く形成することができた。
《有機半導体層の形成》
図5(b)−1、図5(c)の手順で作製したソース電極2、ドレイン電極3を有する図5(c)に図示した基板上に、ソース電極、ドレイン電極間のチャネル領域に、窒素雰囲気下、ホットプレート上で60℃に加熱しながら、有機半導体化合物例(化合物(1))のトルエン溶液(0.1%)を滴下し、有機半導体層1(厚さ50nm)を形成することで、有機薄膜トランジスタ素子101を製造した。(有機半導体層を有機半導体化合物(1)の溶液中に浸漬して形成するドロップキャスト法によって形成してもよい。)
《有機薄膜トランジスタ素子102の製造》
有機薄膜トランジスタ素子1の製造における、図5(b)−2の手順で接着層8及び、ソース電極2、ドレイン電極3間のチャネル領域を含む領域上に金ナノ粒子をインクジェットにより堆積後、80℃で10分間加熱乾燥した後、第1の表面処理を以下の手順で行った。(このとき、150℃で加熱することにより、金属微粒子を熱融着したほうがより好ましい。)
オクチルトリクロロシラン(C817SiCl3)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、更に、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、導電層が形成されていない基板表面のみの表面エネルギー状態を変えるような第1表面処理を行った。
更に、図5(b)−2で形成した基板を超音波洗浄器中で10分間処理することで、チャネル領域上の導電層を除去し、ソース電極2、ドレイン電極3を形成した(図5(c))。
チャネル領域上の導電層は除去され基板Aの絶縁層表面が露出した。
このとき、第1の表面処理が施された絶縁層上の水による接触角(25℃)は、105°であった。
続いて、第2の表面処理として、シランカップリング剤(化合物例ST−8)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させることで、第2の表面処理を施した。後の工程でチャネルが形成される絶縁層表面領域の表面エネルギー状態を、第1の表面処理が施された絶縁層表面とは異なる表面エネルギー状態となるよう処理した。
《有機半導体層の形成》
図5(b)−1、図5(c)の手順で作製したソース電極2、ドレイン電極3を有する図5(c)に図示した基板上の、ソース電極、ドレイン電極間のチャネルが形成される絶縁層表面領域の大凡の位置に、窒素雰囲気下、ホットプレート上で60℃に加熱しながら、有機半導体化合物例(化合物(1))のトルエン溶液(0.1%)を滴下した。有機半導体層はトルエンの蒸発と共に第2の表面処理が施されたソース電極、ドレイン電極間のチャネルが形成される絶縁層表面領域に集まり有機半導体層1(厚さ50nm)が形成した。これにより有機薄膜トランジスタ素子102を製造した。
(有機半導体層を有機半導体化合物(1)の溶液中に浸漬して形成するドロップキャスト法によって形成してもよい。)
《有機薄膜トランジスタの評価》
得られた有機薄膜トランジスタ素子101、102の各々について、トランジスタ特性の評価を行った。TFT素子101、102は、いずれもpチャネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。各々の有機薄膜トランジスタ素子について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、更に、ON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求めた。
その結果、TFT素子101では、キャリア移動度0.21(cm2/V・s)、ON/OFF比2×105、TFT素子2では、キャリア移動度0.68(cm2/V・s)、ON/OFF比1×107と、いずれも良好なトランジスタ特性を得ることができた。
特に、TFT素子102では、チャネル領域上に第2の表面処理を施すことで高いキャリア移動度が得られ、チャネル領域以外に有機半導体層が形成されないような表面処理を施すことで、OFF電流を低減することができ、すなわち高いON/OFF比を達成することができた。
以上により、本発明によって、簡便な方法により作製でき、トランジスタ特性に優れた有機薄膜トランジスタを得ることができた。
本発明の有機薄膜トランジスタの構成の一例(トップゲート型)を示す模式図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの構成の一例(ボトムゲート型)を示す模式図である。 本発明の有機薄膜トランジスタシートの一例を示す等価回路図の概略図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の工程の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の工程の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 下引き層
8 接着層
9 導電層
10 有機薄膜トランジスタ素子シート
11 有機薄膜トランジスタ
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
16 ゲートバスライン
17 ソースバスライン

Claims (15)

  1. 基板上にパターン化された導電層を形成する導電パターン形成方法において、
    基板に対する導電層の接着性を高める接着層を基板表面上にパターン化する工程、
    前記接着層が形成された表面、及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程、
    前記接着層が形成されていない基板表面上に形成された導電層のみを除去する工程、
    からなることを特徴とする、導電パターン形成方法。
  2. 半導体デバイスにおいて導電層を基板上にパターン化することを特徴とする、請求項1に記載の導電パターン形成方法。
  3. 前記導電層が前記半導体デバイスにおける配線または電極を構成することを特徴とする、請求項2に記載の導電パターン形成方法。
  4. 前記半導体デバイスが薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項2又は3に記載の導電パターン形成方法。
  5. 前記薄膜トランジスタが有機薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項4に記載の導電パターン形成方法。
  6. 前記パターン化された導電層が前記薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のうち、少なくともひとつを形成することを特徴とする、請求項4又は5に記載の導電パターン形成方法。
  7. 前記接着層を基板表面上にパターン化する工程、前記接着層の表面及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程、前記接着層が形成されていない基板表面に形成された導電層のみを除去する工程、により前記ソース電極およびドレイン電極を形成することを特徴とする、請求項6に記載の導電パターン形成方法。
  8. 前記接着層の表面及び接着層が形成されていない基板表面の一部に導電層を形成する工程の後に、導電層が形成されていない基板表面の表面エネルギーを変える第1の表面処理工程を有することを特徴とする、請求項7に記載の導電パターン形成方法。
  9. 前記接着層が形成されていない基板表面に形成された導電層を除去する工程の後に、導電層が除去された表面が、第1の表面処理工程で得られた表面とは異なる表面エネルギーを有するように、更に、第2の表面処理工程を有することを特徴とする、請求項7に記載の導電パターン形成方法。
  10. 前記表面処理工程がシランカップリング剤による処理工程であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の導電パターン形成方法。
  11. 第1の表面処理工程で用いる第1のシランカップリング剤と、第2の表面処理工程で用いる第2のシランカップリング剤が異なる材料からなることを特徴とする、請求項10に記載の導電パターン形成方法。
  12. 導電層が除去された表面上に薄膜トランジスタのチャネルが形成されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の導電パターン形成方法。
  13. 前記チャネルを溶液プロセスで形成することを特徴とする、請求項12に記載の導電パターン形成方法。
  14. 請求項5〜13のいずれか1項に記載の導電パターン形成方法を工程の一部に用いて製造したことを特徴とする、有機薄膜トランジスタ製造方法。
  15. 請求項14に記載の有機薄膜トランジスタ製造方法を用いて製造したことを特徴とする、有機薄膜トランジスタ。
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