JP2007294718A - 有機半導体膜及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

有機半導体膜及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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桂 平井
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Abstract

【課題】第1の目的は、簡便なウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体膜及び該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタを提供することであり、第2の目的は、大気中あるいは高温、高湿度下においても経時安定性に優れた有機薄膜トランジスタを提供することである。
【解決手段】比誘電率εrが1.8〜12.0である有機溶媒を1×10-2〜1×103ppm含有することを特徴とする有機半導体膜。
【選択図】なし

Description

本発明は有機半導体膜及び該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタに関するものである。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、さらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機ELともいう)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になりつつある。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリング等の真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要であり、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きく、さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1等参照)。
上記文献に記載の有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている(例えば、非特許文献2参照)。
大気圧下で、印刷や塗布等のウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。また、有機半導体による種々の有機薄膜トランジスタが提案されており、印刷やインクジェット法により簡便な方法で作製できることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
有機トランジスタや電界効果トランジスタの特性としては、ゲート電極に電圧を印加したときの電流(以下オン電流という)が大きく、かつ、オン電流とゲート電極に電圧を印加しないときの電流(以下オフ電流という)との比が大きいことが要求される。
従来のトランジスタでオン電流を大きくするにはチャネル領域のキャリア移動度を高くするか、または、チャネル領域に蓄積されるキャリアの数を多くする必要がある。しかし、チャネル領域のキャリア移動度を高くするとオフ電流も大きくなり、望ましいオン/オフ比が得られない。
さらに、有機半導体層は空気中に放置すると劣化し、素子のトランジスタとしての特性が低下してしまうという課題を有している。このような課題を解決する手段の一つとして、有機半導体層あるいは有機薄膜トランジスタを、例えば、酸化ケイ素や窒化ケイ素等の無機材料、あるいはポリビニルアルコール等のポリマー材料からなる封止膜により、保護することが提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。しかし、これらの封止技術をもってしても、高温、高湿度下における有機薄膜トランジスタの安定性を保持するには不十分であり、このように高温、高湿度下における経時安定性を改良した技術に関する提案はほとんどなされていないのが現状である。
特開平10−190001号公報 特開2000−307172号公報 特開2002−314093号公報 特表2003−525521号公報 Advanced Material誌,2002年,第2号,99頁(レビュー) SID‘02 Digest p57
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、簡便なウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体膜及び該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタを提供することであり、第2の目的は、大気中あるいは高温、高湿度下においても経時安定性に優れた有機薄膜トランジスタを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.比誘電率εrが1.8〜12.0である有機溶媒を1×10-2〜1×103ppm含有することを特徴とする有機半導体膜。
2.前記有機溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素から選ばれる有機溶媒であることを特徴とする前記1に記載の有機半導体膜。
3.前記有機溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素であることを特徴とする前記2に記載の有機半導体膜。
4.前記有機溶媒の沸点が50〜250℃であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
5.前記有機半導体膜を構成する少なくとも一つの有機半導体材料が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
Figure 2007294718
(式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。)
6.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記5に記載の有機半導体膜。
Figure 2007294718
(式中、R7、R8は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。)
7.前記一般式(2)における置換基R7、R8が下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記6に記載の有機半導体膜。
Figure 2007294718
(式中、R9〜R11は置換基を表し、XはSi、GeまたはSnを表す。)
8.前記有機半導体膜が前記有機溶媒を用いた塗布法により形成された層であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
9.基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機半導体層が前記1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体膜からなる層であることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
本発明により、簡便なウェットプロセスで製造でき、トランジスタ特性に優れた有機半導体膜及び該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタ、大気中あるいは高温、高湿度下においても経時安定性に優れた有機薄膜トランジスタを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳しく説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
《有機溶媒》
(比誘電率)
本発明に係る有機半導体膜(有機半導体層)に含有する有機溶媒は、比誘電率εrが1.8〜12.0の有機化合物である。以下、誘電率及び比誘電率について説明する。コンデンサーの極板の間に絶縁物を入れると、その静電容量が増加する。真空の場合の静電容量をC0、絶縁物を挿入した場合の静電容量をCとすれば、C/C0がその絶縁物の比誘電率εrを与える。また、真空の誘電率をε0としたとき、ε0εrをその絶縁物の誘電率という。
主な液体有機化合物の比誘電率については、化学便覧II−502〜504、表13−17に記載がある。本特許では、前記表に記載の比誘電率を参考にしている。
比誘電率が1.8より低い有機化合物、例えば、プロパン(比誘電率1.6)やメタン(比誘電率1.7)等は、室温において気体であり、有機溶媒として用いることはできないが、比誘電率が1.8以上の有機化合物、例えばペンタン(比誘電率1.8)であれば、室温で液体(沸点36℃)であるので、有機溶媒として使用できるため、本発明では、比誘電率1.8以上の有機溶媒に限定している。
(有機溶媒含有量)
溶媒として用いられる比誘電率1.8〜12.0の液体有機化合物は、一般的に無極性あるいは低極性溶媒として分類されるものが多い。本発明に効果的に適用される有機溶媒は、一般的に無極性あるいは低極性溶媒として分類されるものが好ましく、該有機溶媒を有機半導体層中に1×10-2〜1×103ppm含有することで、トランジスタ特性、特に高温、高湿度下におけるトランジスタ特性に優れた有機薄膜トランジスタを得ることができる。
本発明に係る有機半導体層は、有機溶媒を1×10-2〜1×103ppm含有し、好ましくは有機溶媒を0.1〜100ppm含有する。
本発明に係る有機半導体層中に含有される有機溶媒量は、パージ&トラップサンプラーを取り付けたガスクロマトグラフィー質量分析法(PT−GC/MS)で測定することができる。具体的には、10cm×10cm四方の有機薄膜トランジスタ素子を作製し、ガス回収用のチャンバーと有機ガス吸着管(TENAX GR)に有機半導体層中に含有する有機溶媒を吸着させ、PT−GC/MS測定を行った。溶媒濃度は、濃度既知の基準試料を用いて作成した検量線より求めた。
(有機溶媒の種類)
本発明に係る有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
芳香族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、m−ジヨードベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、ジクロロトルエン、ジブロモトルエン、ジフルオロトルエン、クロロキシレン、ブロモキシレン、ヨードキシレン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼン、ヨードエチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、クロロシクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
脂肪族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、デカン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン、3,3,5−トリメチルヘプタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、4−エチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2−メチルオクタン、ドデカン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、p−メンタン、デカリン、シクロヘキシルベンゼン等の環状脂肪族炭化水素等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる脂肪族炭化水素としては、環状脂肪族炭化水素が好ましい。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。
また、本発明に係る有機溶媒は、50〜250℃の沸点を有するものが好ましい。有機半導体層中に含有させる有機溶媒量を調整する上で、有機溶媒の沸点が50℃より低くなると、揮発性が高くなりすぎるため、有機半導体層中に望ましい量の有機溶媒を留めることが難しくなり、また、250℃より高くなると、有機半導体層中に含有する有機溶媒量を望ましい量に調整するために、必要以上の高温下に有機半導体層をさらす必要が生じ、有機半導体層の劣化を招く結果となり好ましくない。
《有機薄膜トランジスタ》
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよく、またその形態を問わない。
(有機半導体材料)
前記有機半導体チャネルを構成する本発明に係る有機半導体材料は、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよい。
有機半導体材料としては、例えば、特開平5−55568号等にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、特開平4−167561号等に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、特開2004−319982号等に開示されているベンゾポルフィリン等のポルフィリン類、その他、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体、テトラチアフルバレン類等といった低分子量化合物や、特開平8−264805号等に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、また、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等(これらの多くは『アドバンスド−マテリアル』(Advanced Material)誌,2002年,第2号,99ページに記載されている)が一般的に知られている。その中でも、有機半導体材料として、低分子量化合物を用いた場合に本発明の効果がより発揮され、特に数平均分子量が5000以下の低分子量有機半導体材料を用いると、高移動度で駆動する有機薄膜トランジスタを得る上でより好ましい。
前述した有機半導体材料の中でも、低分子量化合物として、例えば、ピレン、コロネン、オバレン等やその誘導体、アントラセン、ペンタセン等やその誘導体(アセン類)、ルブレンやその誘導体等に代表される縮合多環式炭化水素類、ベンゾジチオフェン、アントラジチオフェン等やその誘導体等に代表されるヘテロ原子を含む縮合多環式芳香族化合物類、チオフェンオリゴマー等が好ましい例として挙げられる。ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号、同第03/28125号、米国特許第6,690,029号、特開2004−107216号等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第03−136964号等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127,No.14,4986等に記載のアセン類及びその誘導体等が挙げられる。
有機半導体材料としては、前記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)において、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。
1〜R6で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、トリエチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
1、Z2で表される置換または無置換の芳香族炭化水素環としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
1、Z2で表される置換または無置換の芳香族複素環としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等が挙げられる。
また、有機半導体材料としては、前記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
一般式(2)において、R7、R8は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。
7、R8で表される置換基としては、前記一般式(1)のR1〜R6で表される置換基と同義である。
1、Z2で表される置換または無置換の芳香族炭化水素環としては、前記一般式(1)のZ1、Z2で表される置換または無置換の芳香族炭化水素環と同義である。
1、Z2で表される置換または無置換の芳香族複素環としては、前記一般式(1)のZ1、Z2で表される置換または無置換の芳香族複素環と同義である。
また、前記一般式(2)における置換基R7、R8が前記一般式(3)で表されることが好ましい。
一般式(3)において、R9〜R11は置換基を表し、XはSi、GeまたはSnを表す。
9〜R11で表される置換基としては、前記一般式(1)のR1〜R6で表される置換基と同義である。XはSiまたはGeであることが好ましい。
これらの例としては下記の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007294718
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本発明において、有機半導体層を形成する方法としては、真空蒸着により形成する蒸着プロセス、あるいは、キャストコート、ディップコート、スピンコート等の塗布法やインクジェット印刷、スクリーン印刷等の印刷法等に代表される溶液プロセス等が挙げられるが、本発明では、溶液プロセスにより基板上に有機半導体膜を形成することが好ましい。
また、本発明に係る有機半導体層中に含有する有機溶媒は、有機半導体膜を形成後、溶媒蒸気中に封入する等して含有させてもよいが、本発明の有機溶媒を、有機半導体材料溶液あるいは分散液を調製する際に用いて、前記溶液プロセスに適用することが好ましい。
また、沸点が比較的低い有機溶媒を用いる場合は、基板温度は室温付近でも好ましい有機半導体膜を得ることができるが、より高沸点の有機溶媒を用いる場合は、基板を加熱する等して、有機溶媒含有量を適切な量に調整することが好ましい。この場合、有機半導体ウェット膜を形成した後に基板を加熱あるいは真空下に置く等して、有機溶媒含有量を調整してもよいが、加熱した基板上に有機半導体溶液を塗布する方法が、有機溶媒含有量の調整及び有機半導体の配向性向上あるいは結晶性膜成長を促進する上でより好ましい。
また、本発明をより効果的なものとするため、有機半導体層上あるいは必要な構成要素により構成された有機薄膜トランジスタ自体に、公知の無機材料あるいは有機ポリマー材料等を用いて、有機半導体膜を保護する保護膜(封止膜)を形成することが好ましい。保護膜を形成する方法としては、特表2003−525521号、同2004−506985号、特開2002−314093号、同2003−258164号等に記載されているような公知の技術を適用することができる。また、後述するゲート絶縁層として用いる絶縁膜を保護膜として適用することもできるし、後述する支持体を支持体上に作製した有機薄膜トランジスタ上にさらに貼り付けたり、ポリマーシートによってラミネートしたりすることで、保護膜を形成してもよい。
本発明で用いられる基板は、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、シランカップリング剤による処理のように、基板上に自己配列型の薄膜を形成するようなものがより好ましい。前記シランカップリング剤としては、オクタデシルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、i−ブチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、4−フェニルブチルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリクロロシラン等の公知の材料が好ましい例として挙げられるが、本発明はこれらに限らない。また、シランカップリング剤を用いた表面処理方法については、特開2004−327857号、同2005−32774号、同2005−158765号等に開示されているような、公知の方法を適用することができる。例えば、CVD法等の気相法、スピンコート法やディップコート法等の液相法、さらにスクリーン印刷法、マイクロモールド法、マイクロコンタクト法、インクジェット法等の印刷法等を適用することができる。
また、シランカップリング剤による処理を行う前に、基板(例えば、シリコン基板上に形成された熱酸化膜等の絶縁膜)表面に対して酸素プラズマ処理、UVオゾン処理等の親水化処理(表面に水酸基−OHを形成する処理)を行うことが、緻密で強固な自己組織化単分子膜を形成する上で好ましいことが一般的に知られており、前述した特許文献等にも記載されている。さらに、一般的によく知られたラビング等の配向処理を施してもかまわない。
本発明において形成される有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られた有機薄膜トランジスタ(TFT)の特性は、半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体材料により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
また、有機半導体層には、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、本発明に用いられる有機半導体材料とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては、アクセプター、ドナーのいずれも使用可能であり、アクセプター、ドナーとしては公知の材料を用い、その導入には公知のプロセスを用いることができる。
本発明の好ましい態様の一つである前記ボトムゲート型の有機薄膜トランジスタを例にとれば、有機薄膜トランジスタは、支持体上にゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層、ソース電極、ドレイン電極がそれぞれ最適に配置されることで構成されるものである。
従って、例えば、支持体上に、ゲート電極を形成した後、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上に前記の方法にて、活性層(有機半導体層(薄膜))を形成した後、それぞれ、ソース、ドレイン電極を形成することにより本発明の有機薄膜トランジスタは形成される。
また、例えば、ゲート絶縁膜形成後、ゲート絶縁膜上にソース、ドレイン電極パターンを形成し、該ソース、ドレイン電極間に、有機半導体チャネルをパターニングにより形成してもよい。
このように支持体上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層(有機半導体層)、ソース電極、ドレイン電極を、それぞれ必要な場合には適宜パターニングし、最適に配置することで、本発明の有機薄膜トランジスタは得られる。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタの活性層(有機半導体層(薄膜))以外の、有機薄膜トランジスタを構成するその他の構成要素について説明する。
本発明において、前記ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、スズ、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ、アンチモン、酸化インジウム−錫(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト、及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物が用いられるが、特に白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO及び炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いて電極形成する方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明においては、前記ソース、ドレイン電極は、前記導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液等の流動性電極材料から形成されることが好ましく、例えば金属等からなる導電性微粒子を、好ましくは有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や有機溶剤またはその混合物である分散媒中に分散させ、ペーストあるいはインク等の導電性微粒子分散液とし、これを塗設、パターニングすることで、電極を形成することが好ましい。
導電性微粒子の金属材料(金属微粒子)としては、白金、金、銀、コバルト、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができるが、特に仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
このような金属微粒子分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853号等に示されたコロイド法、特開2001−254185号、同2001−53028号、同2001−35255号、同2000−124157号、同2000−123634号等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子分散物である。
分散される金属微粒子の平均粒径としては、20nm以下であることが本発明の効果の点で好ましい。
また、金属微粒子分散物に導電性ポリマーを含有させることが好ましく、これをパターニングして押圧、加熱等によりソース電極、ドレイン電極を形成すれば、導電性ポリマーにより有機半導体層とのオーミック接触を可能とできる。即ち、金属微粒子の表面に、導電性ポリマーを介在させて、半導体への接触抵抗を低減させ、かつ、金属微粒子を加熱融着させることで、さらに本発明の効果を高めることができる。
導電性ポリマーとしては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることが好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が好適に用いられる。
金属微粒子の含有量は導電性ポリマーに対する質量比で0.00001〜0.1が好ましい。この量を超えると金属微粒子の融着が阻害されることがある。
これらの金属微粒子分散物で、電極を形成した後、加熱により前記の金属微粒子を熱融着させてソース電極、ドレイン電極を形成する。また電極形成時に、概ね、1〜50000Pa、さらに1000〜10000Pa程度の押圧をかけ、融着を促進することも好ましい。
上記金属微粒子分散物を用いて電極様にパターニングする方法としては、例えば、金属微粒子分散物をインクとして用いて印刷法によりパターニング方法がある。また、インクジェット法によりパターニングする方法があり、これは金属微粒子分散物をインクジェットヘッドより吐出し、金属微粒子の分散物をパターニングする方法であり、インクジェットヘッドからの吐出方式としては、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式等のオンデマンド型や静電吸引方式等の連続噴射型のインクジェット法等公知の方法によりパターニングすることができる。
加熱また加圧する方法としては、加熱ラミネータ等に用いられる方法をはじめ、公知の方法を用いることができる。
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化錫、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。これらの内好ましいのは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化珪素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法(大気圧プラズマCVD法)、ディップコート法、キャスト法、リールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウエットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウエットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布乾燥する所謂ゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは大気圧プラズマ法である。
大気圧プラズマ法による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号、同11−133205号、特開2000−121804号、同2000−147209号、同2000−185362号等に記載されている。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また、有機化合物皮膜の形成法としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては前記ウエットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
また、支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができると共に、衝撃に対する耐性を向上できる。
特に、プラスチックフィルムを支持体として用いる場合は、例えば、特開2004−134694号に開示されているようなガスバリア層を始めとして、酸素、液体(水)、光等から有機薄膜トランジスタ素子を保護するための少なくとも一層、あるいは多層構成のバリア層をさらに有することが好ましい。
図1に本発明の有機薄膜トランジスタ(TFT)の構成例を示す。
図1(a)は、支持体6上に、マスクを用いて金等を蒸着によりパターン形成することにより、あるいは、金属微粒子を含む層のパターンを形成した後、金属微粒子を含む層を加熱加圧して融着させる等して、ソース電極2、ドレイン電極3を形成し、ソース、ドレイン電極間に有機半導体材料層1を形成し、その上にゲート絶縁層5を形成し、さらにその上にゲート電極4を形成して有機TFTを形成したものである。
図1(b)、(c)に、トップゲート型の有機薄膜トランジスタの他の構成例を示す。
また、図1(d)〜(f)はボトムゲート型の有機TFTの構成例を示す。図1(d)は支持体6上にゲート電極4を形成した後、ゲート絶縁層5を形成し、その上にソース電極2、ドレイン電極3を形成して、該ソース、ドレイン電極間のゲート絶縁層上に有機半導体材料層1を形成してボトムゲート型の有機TFTを形成したものである。同様に他の構成例を図1(e)、(f)に示す。なかでも図1(f)は支持体6上にゲート電極4を形成した後、ゲート絶縁層5を形成し、その上に有機半導体材料層1を形成した後、さらにソース電極2、ドレイン電極3を形成して有機TFTを形成したものである。9は基板である。
図2は、前記有機薄膜トランジスタを用いて、液晶、電気泳動素子等の出力素子様に構成されたTFTシートの概略等価回路図の1例である。
TFTシート10はマトリクス配置された多数の有機TFT11を有する。7は各有機TFT11のゲートバスラインであり、8は各有機TFT11のソースバスラインである。各有機TFT11のソース電極には、例えば液晶、電気泳動素子等の出力素子12が接続され、表示装置における画素を構成する。画素電極は光センサの入力電極として用いてもよい。図示の例では、出力素子として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《TFT素子の作製》
図1(f)に記載の層構成を有する有機薄膜トランジスタ素子(以下、TFT素子と呼ぶ)1を作製した。
まず、ゲート電極4としての比抵抗0.02Ω/cmのSiウエハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層5とした。以下、これを基板1と呼ぶ。
基板1上に真空蒸着機を用いて化合物1の蒸着膜(厚さ25nm)を形成した。さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着し、ソース電極2及びドレイン電極3を形成した。ソース電極2及びドレイン電極3は、各々幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=5mm、チャネル長L=50μmである。最終的に、前述した化合物1の蒸着膜(有機半導体層)が外部環境に曝されないように、ポリイミド薄膜で封止することでTFT素子1を作製した。
また、前述した化合物1の蒸着膜上にソース電極2及びドレイン電極3を形成した基板を窒素雰囲気下でトルエンの蒸気を含有する容器中に封入し、表1のように溶媒含有量を調整した後、ポリイミド薄膜で封止することで、TFT素子2及びTFT素子3を作製した。
TFT素子1〜3において、有機半導体層中の有機溶媒含有量は、PT−GC/MS測定により求めた。
Figure 2007294718
Figure 2007294718
《TFT素子の評価》
(トランジスタ特性)
以上のように作製したTFT素子1〜3は、pチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。それぞれのTFT素子について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらにON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求め、結果を表2に示した。また、25℃、湿度45%の条件下で1ヶ月放置したとき、及び50℃、湿度60%の条件下で1ヶ月放置したとき、それぞれのキャリア移動度及びON/OFF比についても評価し、表2に示した。
Figure 2007294718
表2より、有機半導体層中に有機溶媒を1×10-2〜1×103ppm含有する本発明の有機薄膜トランジスタは、比較に比べて、特に高温、高湿度下における経時劣化を抑える効果が大きいことが分かった。
実施例2
《TFT素子の作製》
実施例1で作製した基板1を用いて、ヘキサメチルジシラザンによる表面処理(60℃に加熱したヘキサメチルジシラザンの1%トルエン溶液中に基板を10分間浸漬後、トルエンで洗浄し、乾燥)を行い、これを基板2とした。
基板2上に化合物2の0.5%メタノール溶液をスピンコート(1000rpm、30秒)し、塗布膜(厚さ25nm)を形成した。次に、実施例1と同様にソース電極2及びドレイン電極3を形成後、封止膜を貼り付けることでTFT素子4を作製した。
さらに、TFT素子4の作製において、有機半導体材料、有機溶媒を表3に示すように変更し、また塗布膜の乾燥状態を制御することで溶媒含有量を表3のように調整した以外は同様にして、TFT素子5〜19を作製した。
TFT素子4〜19において、有機半導体層中の有機溶媒含有量は、PT−GC/MS測定により求めた。
Figure 2007294718
Figure 2007294718
《TFT素子の評価》
(トランジスタ特性)
実施例1と同様にして、TFT素子4〜19についてトランジスタ特性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2007294718
表4より、有機半導体層中に含有する有機溶媒の比誘電率εrが1.8〜12.0の範囲内に入らない比較の有機薄膜トランジスタでは、本発明に比べてトランジスタ特性がはるかに劣ることが分かった。
実施例3
《TFT素子の作製》
実施例1で作製した基板1を窒素雰囲気下、ホットプレート上で加熱しながら、基板上に化合物1の0.1%1,2−ジクロロベンゼン溶液を展開し、基板全面に塗布膜(厚さ25nm)を形成した。さらに、実施例2と同様にして、TFT素子20を作製した。
さらに、TFT素子20の作製において、有機半導体材料、有機溶媒を表5に示すように変更し、また塗布膜の乾燥状態を制御することで溶媒含有量を表5のように調整した以外は同様にして、TFT素子21〜28を作製した。
TFT素子20〜28において、有機半導体層中の有機溶媒含有量は、PT−GC/MS測定により求めた。
有機半導体層中の有機溶媒含有量は、封止膜を形成する前の各TFT素子を用いて、PT−GC/MS測定により求めた。
Figure 2007294718
《TFT素子の評価》
(トランジスタ特性)
実施例1と同様にして、TFT素子20〜28についてトランジスタ特性を評価した。その結果を表6に示す。
Figure 2007294718
実施例2及び3の結果より、有機半導体層中に含有する有機溶媒の比誘電率εrが1.8〜12.0の範囲内に入るものでも、溶媒含有量が1×10-2〜1×103ppmの範囲内に入らないものでは、経時劣化が大きくなることが分かった。例えば、TFT素子18及び25では、移動度に関しては高温、高湿度下においても経時劣化がほとんど見られないものの、ON/OFF比が大幅に劣化することが分かった。
以上の結果より、本発明の有機薄膜トランジスタは、比較に比べて、トランジスタ特性(キャリア移動度、ON/OFF比)に優れ、大気中あるいは高温−高湿度下においても経時安定性に優れた有機薄膜トランジスタであることが分かった。
本発明の有機薄膜トランジスタの構成例を示す図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの概略等価回路図の1例である。
符号の説明
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 ゲートバスライン
8 ソースバスライン
9 基板
10 TFTシート
11 有機TFT
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路

Claims (9)

  1. 比誘電率εrが1.8〜12.0である有機溶媒を1×10-2〜1×103ppm含有することを特徴とする有機半導体膜。
  2. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素から選ばれる有機溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体膜。
  3. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素であることを特徴とする請求項2に記載の有機半導体膜。
  4. 前記有機溶媒の沸点が50〜250℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
  5. 前記有機半導体膜を構成する少なくとも一つの有機半導体材料が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
    Figure 2007294718
    (式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。)
  6. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機半導体膜。
    Figure 2007294718
    (式中、R7、R8は水素原子または置換基を表し、Z1、Z2は置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表し、n1、n2は0〜3の整数を表す。)
  7. 前記一般式(2)における置換基R7、R8が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項6に記載の有機半導体膜。
    Figure 2007294718
    (式中、R9〜R11は置換基を表し、XはSi、GeまたはSnを表す。)
  8. 前記有機半導体膜が前記有機溶媒を用いた塗布法により形成された層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
  9. 基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機半導体層が請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体膜からなる層であることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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