以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略構成を示す図である。
図1において、1はカラーレーザプリンタ、1Aはカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このプリンタ本体1AにはシートPに画像を形成する画像形成部205と、中間転写部207と、画像形成部205にシートPを給送する給紙部206と、定着部216が設けられている。なお、このカラーレーザプリンタ1は、シートの裏面に画像を形成することができるようになっており、このため表面(一面)に画像が形成されたシートPを反転させて再度、画像形成部205に搬送する再搬送部215が設けられている。
ここで、画像形成部205は、略水平方向に配置され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスステーション20(20a,20b,20c,20d)を備えている。
このプロセスステーション20は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像を担持すると共に不図示のステッピングモータにより駆動される像担持体である感光体ドラム11(11a,11b,12c,11d)を備えている。また、感光体ドラム表面を一様に帯電するローラ帯電器12(12a,12b,12c,12d)を備えている。
さらに、画像情報に基づいてレーザビームを照射して一定速度で回転する感光体ドラム上に静電潜像を形成するスキャナ13(13a,13b,13c,13d)を備えている。また、感光体ドラム上に形成された静電潜像にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像装置14(14a,14b,14c,14d)を備えている。そして、これらローラ帯電器12、スキャナ13、現像装置14等は感光体ドラム11の周囲に回転方向に沿ってそれぞれ配されている。
なお、スキャナ13は、回転多面鏡の反射光を検出する不図示のビームディテクトセンサ(BDセンサ)を備えており、BDセンサへのレーザビームの入射回数(BD信号)をカウントすることによって、画像とシートのタイミングを合わせることができる。また、ブラック画像を露光するスキャナ13aはBD信号を所定の分周比で分周した信号を後述する図2に示すCPU501へ出力している。
給紙部206は、プリンタ本体下部に設けられ、シートPを収納する給紙カセット21(21a,21b,21c,21d)と、給紙カセット21に積載収納されたシートPを送り出すピックアップローラ22(22a,22b,22c,22d)とを備えている。ここで、ピックアップローラ22は後述する図3に示すソレノイド504を動作させると、ギアとカムの作用によりシートPを送り出す動作を行う。
なお、27は手差しトレイ、28はシートPを収納するデッキであり、デッキ28に収納されたシートPもピックアップローラ60によって送り出される。
そして、画像形成動作が開始されると、ピックアップローラ22によりシートPは給紙カセット21から一枚ずつ分離給送され、或はデッキ28からピックアップローラ60により一枚ずつ分離給送される。さらに、この後、引き抜きローラ24(24a,24b,24c,24d),62、レジ前ローラ26を経てレジストローラ25に搬送される。また、手差しトレイ27に収納されたシートは、BCローラ29によって一枚ずつ分離され、レジ前ローラ26によってレジストローラ25まで搬送される。
なお、このときレジストローラ25は停止状態であり、この後、後述するようにシートPの斜行が補正されると、レジストローラ25は後述する中間転写ベルト30に形成されたトナー像とシートPの先端とが一致するタイミングで駆動される。
中間転写部207は、感光体ドラム11の外周速度と同期して矢印に示す各プロセスステーション20の配列方向に沿って回転駆動される中間転写体である中間転写ベルト30を備えている。ここで、この中間転写ベルト30は、駆動ローラ32、中間転写ベルト30を挟んで二次転写領域を形成する従動ローラ34及び不図示のばねの付勢力によって中間転写ベルト30に適度な張力を与えるテンションローラ33に張架されている。
なお、中間転写ベルト30の材料として例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPVdF(ポリフッ化ビニリデン)などが用いられる。また、駆動ローラ32は、ステッピングモータからの回転力の伝達によって回転するものであり、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタンまたはクロロプレン)をコーティングすることにより中間転写ベルト30とのスリップを防ぐようにしている。
この中間転写ベルト30は、内側には4個の、それぞれ感光体ドラム11と共に中間転写ベルト30を挟持し、一次転写部を構成する一次転写ローラ35(35a,35b,35c,35d)が配されている。なお、これら一次転写ローラ35は不図示の転写バイアス用電源に接続されている。そして、この一次転写ローラ35から中間転写ベルト30に転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト30に多重転写され、中間転写ベルト30上にフルカラー画像が形成される。
また、従動ローラ34に対向するように二次転写ローラ36が配置されており、この二次転写ローラ36は中間転写ベルト30の最下方の表面に当接すると共に、レジストローラ25により搬送されたシートPを中間転写ベルト30と共に挟持搬送する。そして、二次転写ローラ36と中間転写ベルト30のニップ部をシートPが通過する際、この二次転写ローラ36にバイアスを印加することにより、シートPに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。
なお、中間転写ベルト30上の二次転写領域の下流側には、ポリウレタンゴム等により形成されたクリーナーブレード51及び廃トナーを収納する廃トナーボックス52を備え、画像形成面をクリーニングするクリーニング装置50が設けられている。
定着部216は中間転写ベルト30を介してシートP上に形成されたトナー画像をシートPに定着させるものである。この定着部216は、内部に熱源を備えた定着ローラ41a及び定着ローラ41aに加圧されるローラ41bとからなるローラ対41a,41bと、このローラ対41a,41bから排出されてきたシートを搬送する内排紙ローラ44とを備えている。そして、トナー像を保持したシートPは、この定着部216を通過する際に熱及び圧力が加えられることによりトナー像が定着される。
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ1の画像形成動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、まず中間転写ベルト30の回転方向において一番上流にあるプロセスステーション20dにおいて、感光体ドラム11dに対し、スキャナ13dによりレーザ照射を行い、感光体ドラム上に潜像を形成する。この後、現像装置14dにより、この潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成する。
次に、このようにして感光体ドラム11d上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された転写ローラ35dにより、一次転写領域において中間転写ベルト30に一次転写される。次に、トナー像は中間転写ベルト30と共に、プロセスステーション20dよりもトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像が形成される次のプロセスステーション20cの感光体ドラム11cと転写ローラ35cとにより構成される一次転写領域まで搬送される。
そして、中間転写ベルト上のトナー画像上に画像先端を合わせて次のトナー像が転写される。以下、同様の工程が繰り返され、この結果、4色のトナー像が中間転写ベルト30上において一次転写され、中間転写ベルト30上にフルカラー画像が形成される。
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット21に収容されたシートPは、ピックアップローラ22及びBCローラ23により一枚ずつ分離給送された後、引き抜きローラ24a、レジ前ローラ26を経由してレジストローラ25まで搬送される。
或は、デッキ28に収容されたシートPは、ピックアップローラ60、給紙ローラ61により一枚ずつ分離給送された後、引き抜きローラ62、レジ前ローラ26を経由してレジストローラ25まで搬送される。さらに、手差しトレイ27に収納されたシートは、BCローラ29によって一枚ずつ分離され、レジ前ローラ26によってレジストローラ25まで搬送される。
この時、レジストローラ25は停止しており、この後、シートPは、シート先端と中間転写ベルト30に形成されたトナー像とが一致するタイミングで回転を開始するレジストローラ25により二次転写ローラ36と中間転写ベルト30とのニップ部に搬送される。
そして、二次転写ローラ36と中間転写ベルト30により挟持搬送されると共に、二次転写ローラ36と中間転写ベルト30のニップ部を通過する際、二次転写ローラ36に印加されるバイアスにより、シートPに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。
次に、このようにトナー像が転写されたシートPは、定着部216において加熱及び加圧されることにより、トナー像が定着される。なお、このようにして画像が定着された後、このシートPは、内排紙ローラ44を通過した後、切り替え部材73によって、搬送先が切り替えられる。
ここで、切り替え部材73が、フェイスアップ排紙側にある場合は、シートは外排紙ローラ45によってフェイスアップ排紙トレイ2に排出される。一方、切り替え部材73がフェイスダウン排紙側にある場合は、シートは反転ローラ72(72a,72b,72c)の方向へ搬送され、フェイスダウン排紙トレイ3へ排出される。さらに、シートの両面に画像を形成する場合には、シートPは反転ローラ72によるスイッチバックにより、再搬送部215に入り込み、この後、再搬送ローラ74(74a,74b,74c,74d)により、再度、レジストローラ25へと搬送されて行く。
なお、図1において、64a〜64dは給紙リトライセンサ、66はデッキ引き抜きセンサ、67はレジストセンサ、68は内排紙センサ、69はフェイスダウン排紙センサ、70は両面プレレジセンサ、71は両面再給紙センサである。そして、これらのセンサによりシートの搬送路通過を検知するようにしている。また、76は手差しトレイ27上のシートの有無を検知する手差しトレイ紙有無検知センサ、5はプリンタ本体1Aの画像形成に必要な動作を制御する制御ユニット、4はプリンタ本体1Aの上面に配置された操作部である。
そして、この操作部4により、給紙方法(カセット給紙、デッキ給紙、手差し給紙)の選択、排紙トレイ(フェイスアップトレイ2、フェイスダウントレイ3)の選択、シートの種類の選択等を行う。
ところで、図1において、124は給紙部206により給送されたシートPを画像形成部205に搬送するシート搬送装置であり、このシート搬送装置124は、既述した引き抜きローラ24a、レジ前ローラ26、レジストローラ25等を備えている。また、このシート搬送装置124は、レジストローラ25とレジ前ローラ26の間に、シートの斜行を補正する斜行補正ユニットを設けている。
図2は、このような斜行補正ユニット100の構成を示す図である。図2に示すように、斜行補正ユニット100は、シートの斜行状態をシート搬送方向と平行な状態に補正する斜行補正部101と、斜行補正部101により斜行が補正されたシートをセンタに戻す戻しエリア102とを備えている。
ここで、斜行補正部101には、幅方向に、所定間隔を設けて配置されると共に、それぞれ独立した駆動源により駆動される一対(複数)の斜行補正ローラである第1及び第2斜行補正ローラ201,202が設けられている。そして、この第1及び第2斜行補正ローラ201,202は、それぞれ独立してシートを搬送しながら旋回させることによりシートの斜行を補正するようになっている。
また、第1及び第2斜行補正ローラ201,202のシート搬送方向上流側には、幅方向に、所定間隔を設けて配置され、シートの先端を検出する2個(複数)の先端検知センサである第1及び第2斜行検知センサ208,209が設けられている。
さらに、この第1及び第2斜行検知センサ208,209のシート搬送方向上流側には、シートを第1及び第2斜行補正ローラ201,202に搬送する搬送ローラである上流ローラ210が設けられている。また、第1及び第2斜行補正ローラ201,202のシート搬送方向下流側には、幅方向に、所定間隔を設けて配置される2個の斜行補正起動センサ211が設けられている。
一方、戻しエリア102には、斜行補正部101においてシート搬送方向と平行な状態に補正されたシートの側端位置を検知するCIS204と、シートを挟持した状態で幅方向に移動可能な横シフトローラ203を備えている。また、横シフトを開始するための横シフト開始センサ212が設けられている。
図3は、このような構成のカラーレーザプリンタ1の制御ブロック図であり、図3において、501はCPU、502はCPU501が実行すべき制御プログラムを記憶したROM、503はプログラム実行時のRAMである。
505はピックアップローラ22、BCローラ23,29及び引き抜きローラ24を駆動する給紙モータ、504はピックアップローラ22によりシートを給送する際、駆動されるソレノイドである。また、506はレジストローラ25を駆動するレジストモータである。
そして、このCPU501にはレジセンサ67、プレレジセンサ64及び既述したスキャナ13からのBD信号が入力される。なお、CPU501は、内部に不図示の複数のタイマを有しており、その中の一つではBD信号をカウントし、所定のタイミングを生成し、作像開始信号を出力する。そして、この作像開始信号によって画像露光が開始される。
また、画像露光の開始からBD信号を所定数カウント後、レジストモータ506を駆動してレジストローラ25を回転させる。その一方で、レジストローラ25の回転駆動の開始に間に合うように、画像露光の開始から適切な時間経過後に紙搬送動作を開始すれば、画像とシート材の同期をとることが可能となる。
また、図3において、507、508は第1及び第2斜行補正ローラ201,202を駆動する第1及び第2斜行補正モータ、509は上流ローラ210を駆動する搬送モータである。そして、CPU501は、シートの斜行量に応じて第1及び第2斜行補正モータ507,508及び搬送モータ509の回転数を増減することにより、第1及び第2斜行補正ローラ201,202、上流ローラ210のシート搬送速度を増減する。
次に、本実施の形態に係る斜行補正制御について説明する。
まず、図4の(a)に示すようにシートPが斜行した状態で搬送されると、斜行状態にあるシートPの先端を、第1及び第2斜行検知センサ208,209が異なったタイミングで検知する。そして、この第1及び第2斜行検知センサ208,209からの検知信号がCPU501に入力され、CPU501は、第1及び第2斜行検知センサ208,209からのシート先端の検知時間差に基づいて斜行量を検出する。
ここで、本実施の形態において、CPU501は検出されたシートの斜行量が、現在のシート搬送速度において補正することが可能な所定の斜行量を超えているかを判断し、超えている場合には後述するようにシート搬送速度を減速する。
次に、斜行補正起動センサ211においてシートの先端を検知すると、検出された斜行量に応じて第1及び第2斜行補正ローラ201,202を用いて、図4の(b)に示すように遅れているシート先端部分が先行しているシート先端部分に追いつくようにする。
具体的には、先行しているシート先端側の斜行補正ローラの速度を一定時間減速することにより、先行しているシート先端部分に、遅れているシート先端部分が追いつくようにする。もしくは、遅れているシート先端側の斜行補正ローラ側の速度を一定時間加速することにより、遅れているシート先端部分が先行しているシート先端部分に追いつくようにする。なお、この一定時間は、斜行量に応じた値である。
次に、斜行補正部101を抜けたシートPは、破線で示す搬送中心220とは、ずれがある状態で、戻しエリア102に入る。このため、戻しエリア102では、まず、図5の(a)に示すようにCIS204により、シートPの横レジを測定する。この横レジ量情報は、CPU501に入力され、CPU501は、この横レジ量情報に基づき、横シフトローラ203のシフトローラ駆動軸214を幅方向に移動させる。
そして、このような横シフトローラ駆動軸214の移動に伴って横シフトローラ203が図5の(b)に示す矢印Aで示す幅方向に移動し、これに伴いシートPは搬送中心220にシートPの中心を合わせながら矢印Bで示す方向に搬送される。
次に、このような斜行補正制御についての図6に示すフローチャートを用いて説明する。
シート搬送が開始されると(S101)、シートは斜行補正部101へ進入し、この後、シートの先端が第1及び第2斜行検知センサ208,209に到達すると(S102のY)、第1及び第2斜行検知センサ208,209はONとなる。
ここで、シートが斜行している場合は、第1及び第2斜行検知センサ208,209がONとなるタイミングが異なるので、CPU501は、この斜行検知センサ208,209のONの時間差とシート搬送速度に基づいて斜行量を計算(検出)する(S103)。
次に、斜行量検出部を構成するCPU501は、計算された斜行量と、ROM502に格納されているシート搬送速度に対する補正可能な斜行量とを比較し、シートの斜行量が、現在のシート搬送速度で補正が可能かを判断する(S104)。即ち、現在のシートの斜行量が、現在のシート搬送速度において補正が可能な所定の斜行量を超えているかを判断する。
そして、比較の結果、補正が可能と判断した場合には(S104のY)、即ちシートの斜行量が現在のシート搬送速度において補正可能な斜行量を超えていないと判断した場合は、斜行補正起動センサ211がシートを検知するのを待つ(S106)。この後、斜行補正起動センサ211がシートを検知すると(S106のY)、シートをニップした状態の上流ローラ210を全て離間(ニップ解除)させ(S107)、シートから離間させる。
次に、第1斜行検知センサ208が先にシートを検知したかを確認する(S108)。そして、第1斜行検知センサ208が先にシートを検知している場合は(S108のY)、第2斜行検知センサ側のシートの先端部分が第1斜行検知センサ側のシートの先端部分に追いつくよう第2斜行補正ローラ202の速度を増速する(S109)。なお、この増速する値は、そのときのシート搬送速度及びシートの斜行量によって異なる。
また、第1斜行検知センサ208が先にシートを検知していない場合は(S108のN)、第1斜行検知センサ側のシートの先端部分が第2斜行検知センサ側のシートの先端部分に追いつくよう第1斜行補正ローラ201の速度を増速する(S110)。なお、この増速する値も、そのときのシート搬送速度及びシートの斜行量によって異なる。
そして、このように第1又は第2斜行補正ローラ201,202を増速した後、設定された補正時間が経過すれば(S111のY)、速度を変更した全てのローラの搬送速度をシートが斜行補正部101に来る前の元の搬送速度へ戻す(S112)。これにより、斜行補正を終了する(S113)。
なお、比較の結果、補正可能でないと判断した場合には(S104のN)、今のシート搬送速度では補正時間内に斜行を補正できないので、シート搬送速度を斜行量に応じて斜行補正可能なシート搬送速度に落とす(減速する)。
ここで、本実施の形態において、ROM502には、補正可能な所定の斜行量を超えた斜行量と、所定の斜行量を超えた場合におけるシート搬送速度とを対応させるテーブルが記憶されている。そして、このテーブルに基づき、斜行量に応じたシートの搬送速度となるようシートの搬送速度を減速する。
さらに、このようにシート搬送速度を減速する場合には、シートの補正を行う補正時間を再計算する(S105)。なお、シート搬送速度に対する補正時間は、ROM502に格納されている。そして、このように補正時間を再計算した後、斜行補正起動センサ211がシートを検知するのを待つ(S106)。
ところで、これまではシートが斜行している場合、遅れている側のシートの先端部分を先行しているシートの先端部分に合わせるようシート搬送速度を増速する処理について説明したが、シートが斜行している場合、シート搬送速度を減速するようにしても良い。
次に、このような斜行補正ローラのシート搬送速度を減速して斜行補正を行う斜行補正制御について図7に示すフローチャートを用いて説明する。
シート搬送が開始されると(S201)、シートは斜行補正部101へ進入し、この後、シートの先端が第1及び第2斜行検知センサ208,209に到達すると(S202のY)、第1及び第2斜行検知センサ208,209はONとなる。
ここで、シートが斜行している場合は、第1及び第2斜行検知センサ208,209がONとなるタイミングが異なるので、CPU501は、この斜行検知センサ208,209のONの時間差とシート搬送速度に基づいて斜行量を計算(検出)する(S203)。
次に、CPU501は、計算された斜行量と、ROM502に格納されているシート搬送速度に対する補正可能な斜行量とを比較し、シートの斜行量が、現在のシート搬送速度で補正が可能かを判断する(S204)。
そして、比較の結果、補正が可能と判断した場合には(S204のY)、斜行補正起動センサ211がシートを検知するのを待つ(S206)。この後、斜行補正起動センサ211がシートを検知すると(S206のY)、シートをニップした状態の上流ローラ210を全て離間(ニップ解除)させ(S207)、シートから離間させる。
次に、第1斜行検知センサ208が先にシートを検知したかを確認し、先にシートを検知している場合は(S208のY)、第1斜行補正ローラ202の速度を減速する(S209)。なお、この減速する値は、斜行量によって異なる。
また、第1斜行検知センサ208が先にシートを検知していない場合は(S208のN)、第2斜行補正ローラ202の速度を減速する(S210)。なお、減速する値は、斜行量によって異なる。
そして、このように第1又は第2斜行補正ローラ201,202を減速した後、設定された補正時間が経過すれば(S211のY)、速度を変更した全てのローラの搬送速度をシートが斜行補正部101に来る前の元の搬送速度へ戻す(S212)。これにより、斜行補正を終了する(S213)。
なお、比較の結果、補正可能でない判断した場合には(S204のN)、即ち補正可能な斜行量を超えている場合は、シートの斜行量に応じて斜行補正可能なシート搬送速度を決定し、シート搬送速度を落とす(減速する)。さらに、このようにシート搬送速度を減速する場合には、シートの補正を行う補正時間を再計算する(S205)。なお、搬送速度に対する補正時間は、ROM502に格納されている。そして、このように補正時間を再計算した後、斜行補正起動センサ211がシートを検知するのを待つ(S206)。
次に、このような斜行補正制御の具体例を説明する。
なお、シート搬送速度がV0の時に、補正可能な最大斜行量をZ0、シート搬送速度がV3の時に補正可能な最大斜行量をZ1とする。ここで、2つのシート搬送速度V0,V3の関係はV0>V3であり、シート搬送速度が速いほど補正可能な最大斜行量は少なくなることから、補正可能な最大斜行量Z0,Z1の関係はZ0<Z1となる。
図8は、シート搬送速度がV0で搬送されているシートの斜行量がZ2(0<Z2<Z0)の状態、即ちシートPが補正可能な範囲内で斜行している状態を示す図である。この場合、シートPの手前側先端部分が先行しているため、図9に示すように、シートPの奥側先端部分に対応する第1斜行補正ローラ201の速度をV1へ加速し、第1及び第2斜行補正ローラ201,202の速度差をd0とする。
そして、このような第1斜行補正ローラ201に対する速度制御を、予め設定された斜行補正時間(期間)t0の間に行うことにより、シートPの斜行補正を行うことができる。なお、このとき、シートPが、第1及び第2斜行補正ローラ201,202よりも上流に位置する上流ローラ210(一つとは限らない)に挟持されている場合は、図10のように上流ローラ210を離間状態とし、シートから離間させる。
図11は、シートPの斜行量がZ0に近いZ3(Z3≒Z0)の状態、即ちシートPが斜行量が大きいが、まだ補正可能な範囲内で斜行している状態を示す図である。この場合、シートPの手前側先端部分が先行しているため、図12に示すようにシートPの奥側先端部分に対応する第1斜行補正ローラ201の速度をV2(>V1)へ加速し、第1及び第2斜行補正ローラ201,202の速度差をd1とする。
ここで、このようにシートの斜行量がZ0に近い場合でも、速度差d1が増しているため、シート旋回速度が速くなり斜行補正が可能となっている。そして、このような第1斜行補正ローラ201に対する速度制御を、予め設定された斜行補正時間(期間)t0の間に行うことにより、シートPの斜行補正を行うことができる。なお、このとき、シートPが、上流ローラ210(一つとは限らない)に挟持されている場合は、図10のように上流ローラ210を離間状態にする。
図13は、シートPの斜行量がシート搬送速度V0のときの補正可能な最大斜行量Z0を超えたZ4(Z0<Z4<Z1)のときの状態を示す図である。この場合、シート搬送速度がV0では、斜行補正部101内では斜行補正を行うことができない。
そこで、このような場合、即ちシートの斜行量が補正可能な斜行量を超えている場合は、シートの斜行量に応じて斜行補正可能なシート搬送速度を決定する。この場合は、図14に示すように上流ローラ210のシート搬送速度をV3へ減速すると共に、第1及び第2斜行補正ローラ201,202のシート搬送速度をV3へ減速する。また、このようにシート搬送速度を減速する場合には、シートの補正を行う補正時間を再計算する。
そして、このように上流ローラ210、第1及び第2斜行補正ローラ201,202のシート搬送速度をV3へ減速した後、上流ローラ210により、シートPはシート搬送速度V3で第1及び第2斜行補正ローラ201,202に搬送される。
この後、シートPの手前側先端部分が先行しているため、シートPの奥側先端部分に対応する第1斜行補正ローラ201のシート搬送速度を、V3からV4へ加速し、第1及び第2斜行補正ローラ201,202の速度差をd1とする。また、斜行補正時間を再計算したt2にすることにより、シートPの斜行補正を行う。
このようにシートPの斜行量が補正可能な斜行量を超えている場合は、シート搬送速度を減速すると共に、減速したシート搬送速度に応じてシートの補正を行う補正時間を再計算する。そして、このような第1及び第2斜行補正ローラ201,202の速度差d1で、補正時間t2シートを搬送することにより、シートPの斜行補正を行うことができる。なお、このとき、シートPが、上流ローラ210(一つとは限らない)に挟持されている場合は、図10のように上流ローラ210を離間状態にする。
このように、本実施の形態では斜行量が所定の斜行量を超えた場合には、斜行補正を行う前に、第1及び第2斜行補正ローラ201,202と上流ローラ210を減速させるようにしている。そして、減速した上流ローラ210によりシートを、減速した斜行補正ローラ201,202に搬送するようにしている。これにより、第1及び第2斜行補正ローラ201,202の斜行補正する際の速度差を抑えることができ、この結果、シートにダメージを与えることなくシートの斜行を補正することができる。
なお、これまでの説明においては、本発明に係るシート搬送装置を画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタに用いた場合について述べてきた。しかし、本発明は、これに限らず、例えばシートPを画像読取部に傾きがなく、また画像読取部における正確な位置合わせを行うことができるよう本発明に係るシート搬送装置を画像読取装置にも適用することができる。