JP6802647B2 - 画像形成装置およびシート搬送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置、特に複写機・レーザビームプリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置およびシート搬送装置に関するものである。
特許文献1によれば、画像形成部にシートが突入する前に先行シートと後続シートのシート間隔を測定し、目標間隔との差分に応じて給紙モータを一時的に増速させてシート間隔を調整することが提案されている。これにより、シート間隔を目標間隔に維持できるようになる。シート間隔とは、先行シートの後端から後続シートの先端までの距離または時間のことである。シート間隔を測定するためにはシートセンサが必要となる。特許文献2、3によれば、シートによって押されて回動するフラグと、フラグの回動によって透光状態と遮光状態とが切り替わるフォトインタラプタが提案されている。
特開2002−132765号公報 特開2014−40329号公報 特開2015−16922号公報
シート間隔を測定するためのシートセンサは搬送路の下流側と上流側に配置される。上流側に配置されるシートセンサは主に先行シートと後続シートとのシート間隔を目標間隔に維持するために使用される。一方で、下流側に配置されるシートセンサは主にジャム(紙詰まり)を検知するために使用される。シートセンサは機械的な機構を含むため、ある間隔以上のシート間隔でなければ検知できない。したがって、上流側のシートセンサによって求められたシート間隔に誤差があると、必要以上にシート間隔が短く調整されてしまい、その結果、下流側のシートセンサがシート間隔を検知できず、ジャムが発生したと誤って検知してしまう場合がある。反対に、必要以上にシート間隔が長く調整されてしまうと、スループット(単位時間に形成可能が画像形成枚数)が低下する。そこで、本発明は、シート間隔を従来よりも精度よく制御することを目的とする。
本発明は、たとえば、
搬送路においてシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路においてシートを検知する第一検知手段と、
前記搬送路において前記第一検知手段よりもシートの搬送方向の下流側に配置され、シートを検知する第二検知手段であって、前記第二検知手段で検知可能な最小紙間よりも前記第一検知手段で検知可能な最小紙間のほうが短い、第二検知手段と、
前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔と目標間隔との差分に応じて前記先行シートの後端から前記後続シートの先端までの間隔の調整量を決定する決定手段と、
前記先行シートの搬送方向における長さの基準値に対する、前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された前記先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差に応じて、前記調整量を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された前記調整量に応じた時間にわたり前記搬送手段の搬送速度が増速または減速するよう前記搬送手段を制御する制御手段と
を有し、
前記補正手段は、前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知できるように前記誤差に応じて前記調整量を補正することを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、シート間隔を従来よりも精度よく制御することが可能となる。
画像形成装置の一例を示す断面図 ローラと各モータの関係を示す図 制御系を示すブロック図 シートセンサの構造と動作を説明する図 削減量を決定する処理を示すフローチャート 搬送速度と搬送時間を説明する図 削減量を決定する処理を示すフローチャート シートセンサの構造と動作を説明する図 ローラと各モータの関係を示す図 搬送制御部の機能を示す図 画像形成装置の一例を示す断面図 制御系を示すブロック図
[実施例1]
<画像形成装置>
図1は画像形成装置100の概略断面図である。本実施例での画像形成装置100は電子写真方式のプリンタであるが、本発明を適用可能な画像形成装置はインクジェット方式、熱転写方式など、他の画像形成方式を採用していてもよい。感光ドラム122は、感光体であり、かつ、像担持体であり、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)vpsで回転する。帯電ローラ123は感光ドラム122の表面を一様に帯電させる。光学走査装置140は画像信号に応じた光ビームを出力する。光ビームは反射ミラー141によって反射されて、感光ドラム122の表面に照射され、静電潜像を形成する。現像ローラ121はトナーを付着させて静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。
給紙カセットに収容されているシートSは給紙ローラ102によりピックアップされ、分離ローラ103によって一枚ずつに分離されて、搬送路に送り出される。搬送路の上流側に設けられた搬送ローラ104とレジローラ106は搬送路においてシートを搬送する搬送手段の一例である。搬送ローラ104とレジローラ106の搬送速度は変速自在であり、これらの搬送速度が変化することで、シートSの搬送速度が変化する。これにより先行シートの後端から後続シートの先端までのシート間隔(いわゆる紙間)が目標間隔に維持される。なお、シート間隔の調整は搬送ローラ104により実行され、レジローラ106は関与しなくてもよい。目標間隔は所望のスループットを達成するために、画像形成装置100の設計段階で決定されたシート間隔である。レジローラ106よりも下流側に配置された搬送ローラ104の周速度は一定(周速度vps)に制御される。つまり、搬送ローラ104から感光ドラム122(またはレジローラ106)までの区間にシートSの先端が位置しているときに、シートSの搬送速度が可変制御される。
転写ローラ108が感光ドラム122とともにシートSを挟持しながら搬送することで、感光ドラム122上のトナー画像がシートSに転写される。定着装置130は、定着フィルム133と加圧ローラ134を有している。シートSは定着フィルム133と加圧ローラ134とによって挟持されながら搬送され、トナー画像が定着する。その後、シートSは排出ローラ110に送り込まれ、排出トレイ111に排出される。なお、感光ドラム122、転写ローラ108、加圧ローラ134および排出ローラ110も搬送手段の一例である。
搬送路にはシートを検知するための複数のシートセンサが配置される。トップセンサ107は搬送路においてシートSの搬送方向の上流側に配置され、シートSを検知する第一検知手段の一例である。トップセンサ107は搬送方向におけるシートSの長さを検知したり、シート間隔を検知したりするために利用される。排紙センサ109は搬送路においてシートSの搬送方向の下流側に配置され、シートSを検知する第二検知手段の一例である。排紙センサ109は主にシートSのジャム(紙詰まり)を検知するために利用される。
<駆動機構>
図2は各ローラと、各ローラを駆動する駆動源との関係を表す図である。画像形成装置100では、駆動源として給紙モータ301とメインモータ302が使用されている。給紙モータ301とメインモータ302も搬送手段の一部として理解されてもよい。給紙モータ301は給紙クラッチ310を介して給紙ローラ102と分離ローラ103を駆動する。さらに、給紙モータ301は、搬送ローラ104とレジローラ106を駆動している。メインモータ302は感光ドラム122、現像ローラ121、加圧ローラ134、排出ローラ110を駆動する。給紙モータ301の回転速度を制御することでシート間隔が調整される。なお、増速によるシート間隔調整(以下、加速制御と呼ぶ)の説明を容易にするために給紙モータ301としてはステッピングモータが採用される。ただし、給紙モータ301としてはDCブラシレスモータやブラシモータ等も採用可能である。シート間隔調整が実行されていない期間では搬送ローラ104とレジローラ106の周速度も周速度vpsに制御される。なお、レジローラ106の周速度が常に周速度vpsに制御される場合、レジローラ106はメインモータ302によって駆動されてもよい。この場合、シート間隔を検知するためのシートセンサは搬送ローラ104の近くに配置される。
<制御系>
図3は制御系を示すブロック図である。搬送制御部202はマイクロプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの演算装置と、RAMおよびROMなどの記憶装置を有している。搬送制御部202はトップセンサ107や排紙センサ109を用いて搬送方向におけるシートSの長さやシート間隔を検知または測定する。搬送制御部202は、シート間隔の測定値に基づき給紙モータ301を制御して、シートの搬送速度を一時的に変更し、シート間隔を目標間隔に制御する。また、搬送制御部202は、トップセンサ107がシートSの先端を検知したタイミングを画像形成の開始タイミングとして利用する。搬送制御部202は排紙センサ109の検知結果に基づきジャムを検知する。たとえば、搬送制御部202は、トップセンサ107がシートSの先端を検知したタイミングから所定期間が過ぎても排紙センサ109がシートSの先端を検知できなかったりすると、ジャムが発生したと判定する。とりわけ、搬送制御部202は、排紙センサ109がシートSの先端を検知してから所定期間が過ぎても後端を検知できなければ、定着装置130でジャムが発生したと判定する。搬送制御部202は、適宜、メインモータ302や給紙クラッチ310を制御する。搬送制御部202は、操作パネル211を通じて操作者により入力された情報に基づき、シートサイズを特定する。
とりわけ、搬送制御部202は、トップセンサ107の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までのシート間隔と目標間隔との差分に応じて先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔の削減量Qを決定する。さらに、搬送制御部202は、先行シートの後端と後続シートの先端とを排紙センサ109で検知できるように削減量Qを補正する。なお、削減量Qは、トップセンサ107の検知結果に基づき測定された先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差に応じて補正される。この誤差は先行シートの搬送方向における長さの公称値(基準値)に対する誤差である。搬送制御部202は、削減量Qに応じた時間にわたり搬送ローラ104やレジローラ106の搬送速度が一時的に増加するよう給紙モータ301を制御する。
<シートセンサ>
図4Aないし図4Fはトップセンサ107や排紙センサ109などのシートセンサ400の構造と動作を説明する図である。シートセンサ400は、シートSによって押されて回動軸403を中心に回動するフラグ402と、フラグ402の回動によって透光状態と遮光状態とが切り替わるフォトインタラプタ401と、フラグ402を所定の位置に戻すためのバネ407を有している。なお、図4Dが示すように、フォトインタラプタ401は発光素子405と受光素子406を有している。フラグ402が発光素子405と受光素子406との間にある状態が遮光状態であり、フラグ402が発光素子405と受光素子406との間にない状態が透光状態である。
次に、シートセンサ400を用いたシート間隔の求め方について説明する。シートSは搬送ガイド404に沿って上流側(右側)から下流側(左側)に向かって搬送される。図4Aはフラグ402のホームポジションを示している。フラグ402にシートSが関与していない期間において、フラグ402はバネ407の力によってホームポジションに停止する。フラグ402がホームポジションに停止しているときは、フラグ402が発光素子405から受光素子406に向かう光を遮光する。図4Bが示すようにシートSがシートセンサ400に到達するとシートSの先端がフラグ402を押し、それによって回動軸403を中心としてフラグ402が回動する。その結果、フォトインタラプタ401が遮光状態から透光状態に変化する。受光素子406が発光素子405からの光を受光したことで出力する検知信号を受信することで、搬送制御部202は、シートSの先端が端部検知位置P1に到着したことを認識する。このように、シートSの先端が端部検知位置P1に到着すると、フォトインタラプタ401の受光素子406が検知信号を出力する。なお、シートSの先端が端部検知位置P1に到着したときに、フラグ402の回動角度をθ1とする。図4Cが示すように、シートSはさらに下流へ搬送され、最終的に、シートSの後端がフラグ402を抜ける。シートSの後端が抜け位置P2を通過すると、バネ407によってフラグ402がホームポジションへの復帰を開始する。シートSの後端が抜け位置P2を通過したときにおけるフラグ402の回動角度をθ2とする。復帰を開始したタイミングから時間Tbが経過したときに、フラグ402が端部検知位置P1を通過し(回動角度がθ1に戻り)、フォトインタラプタ401が透光状態から遮光状態に変化する。搬送制御部202は、受光素子406からの検知信号が途絶えたことで、シートSの後端を認識する。
シートSの搬送速度は周速度vpsに一致するため、シートSの搬送速度もvpsとする。端部検知位置P1から抜け位置P2までの距離をLfとする。先行シートの後端が検知されたタイミングから、後続シートの先端が検知されるタイミングまでの遮光期間Txは、フォトインタラプタ401が遮光状態を維持する。よって、搬送制御部202は以下の式を用いてシート間隔Lintrvlを決定できる。
Lintrvl = ( Tx + Tb ) * vps + Lf・・・Eq.1
遮光期間Txに搬送速度vpsを乗算して得られる距離がシート間隔Lintrvlの元になる距離である。しかしこの距離には、図4Aないし図4Cが示すように、フォトインタラプタ401のタイムラグが考慮されなければならない。後続シートの先端が端部検知位置P1に到達したときには、先行シートの後端は端部検知位置P1から距離Lfを進み、さらに、戻り時間Tbに搬送速度vpsを乗算して得られる距離も下流に進んでいる。それ故、Eq.1が成立する。
ここで、距離Lfやフラグ402の戻り時間Tbは工場出荷時に実験により測定されるか、シミュレーションにより求められ、搬送制御部202が内蔵するROMなどに保持される。しかし、図4Eや図4Fが示すように、実際にはシートSのこしやカールによって抜け位置P2にばらつきが発生する。バネ407のばね定数にも個体差が存在する。したがって、距離Lfや戻り時間Tbは設計値と異なることがある。そのようなケースでは実際のシート間隔LactとEq.1から求まるシート間隔Lintrvlに差異が発生する。Eq.1から求まるシート間隔Lintrvlが実際のシート間隔Lactよりも長くなると、シート間隔の削減量が多くなりすぎてしまう。シートセンサ400が検知可能なシート間隔には下限値が存在する。つまり、実際のシート間隔Lactが下限間隔Lmin_intrvlよりも短くなると、シートセンサ400は先行シートの後端と後続シートの先端を検知できなくなる。搬送制御部202は、先行シートの先端を検知してから所定期間を過ぎても先行シートの後端を検知できないため、先行シートがジャムを起こしたと判定してしまう。実際にはジャムが発生していないにもかかわらず、搬送制御部202は、ジャムを誤検知して画像形成動作を停止し、操作パネル211にジャムメッセージを表示してしまう。これはユーザビリティの低下を招くだろう。逆にシート間隔Lintrvlを実際よりも短く計算してしまうと、実際のシート間隔Lactが目標間隔Ltを超えてしまう。つまり、スループットが低下する。そこで、本実施例では、以下のような改良が適用されてもよい。
<シート間隔調整>
連続プリント中の給紙モータ301の増速によるシート間隔調整(以下、加速制御と呼ぶ)が説明される。搬送制御部202はトップセンサ107によるシート先端検知からシート後端検知までの給紙モータ301のステップ数をカウントすることで、シート有り距離L1を求める。つまり、搬送制御部202はフォトインタラプタ401の受光素子406が検知信号を出力している間は継続的に給紙モータ301のステップ数をカウントする。さらに、搬送制御部202は、先行シートの後端検知から後続シートの先端検知までのステップ数をカウントすることで、シート無し距離L2を求める。つまり、搬送制御部202はフォトインタラプタ401の受光素子406が検知信号の出力を停止している間も継続的に給紙モータ301のステップ数をカウントする。図4Cに示したように、トップセンサ107の端部検知位置P1から抜け位置P2までの距離をLfとする。また、フラグ402が抜け位置P2から端部検知位置P1に戻るまでの戻り時間をTbとする。先行シートについてのシート長の測定結果Lmsrと先行シートと後続シートのシート間隔Lintrvlはこれらのパラメータを用いて表現される。
Lmsr = L1 − Lf − Tb * vps・・・Eq.2
Lintrvl = L2 + Lf + Tb * vps・・・Eq.3
シート有り距離L1は、シートSの先端が端部検知位置P1に到着してからフラグ402が端部検知位置P1に戻るまでにシートSの先端が進む距離を含む。つまり、シート有り距離L1には、端部検知位置P1から抜け位置P2までの距離Lfに加え、戻り時間Tb中に先端が進んだ距離(Tb*vps)が含まれてしまっている。よって、シートSの長さの測定結果Lmsrは、シート有り距離L1から距離LfとTb*vpsとを減算することで求められる。Eq.3はEq.1から求められる。すなわち、シート無し距離L2は遮光期間Txの間に先行シートの後端が進む距離に相当する。
ところで、距離Lfと戻り時間Tbは代表的なシートを搬送する実験やシミュレーションにより工場出荷時に求められる値である。上述した通りこれらの値と実際の値には誤差が生じる。よって、より精度よくシート間隔を調整するためには、これらの誤差が考慮されなければならない。
排紙センサ109もトップセンサ107と同様にシートセンサ400により実現されているものとする。ここでは、排紙センサ109により検知可能な下限間隔Lmin_intrvlの求め方について説明する。下限間隔Lmin_intrvlについては、距離Lfおよび戻り時間Tbに加え、ノイズ対策時間Tcが考慮されてもよい。ノイズ対策時間Tcは、排紙センサ109のフォトインタラプタ401がシート無し状態になってから搬送制御部202がシート無しを確定するまでの時間である。よって、下限間隔Lmin_intrvlはEq.4により求められる。
Lmin_intrvl = Lf + ( Tb + Tc ) * vps・・・Eq.4
ここで、距離Lfと戻り時間Tbは排紙センサ109を構成するメカの公差とシートSの種類との組み合わせによって決定される値のうちで、下限間隔Lmin_intrvlを最大にする値である。これらは実験やシミュレーションによって工場出荷時に決定される。最終的に求められた下限間隔Lmin_intrvlは搬送制御部202に内蔵されたROMに格納される。
<削減量の決定方法>
図5のフローチャートを用いて加速制御による削減量Qの決定方法が説明される。削減量Qは測定されたシート間隔Lintrvlと目標間隔Ltとの誤差に応じて決定されるものであり、シート間隔の削減量である。搬送制御部202はトップセンサ107で後続シートの先端を検知すると以下の処理を実行する。
S1で搬送制御部202は操作パネル211を通じて操作者により指定されたシートのサイズから先行シートの搬送方向における長さ(以下、公称値L0と呼ぶ)を決定する。搬送制御部202は、シートのサイズ(例:B5、B5R、A4、A4R、B4、A3など)に対応した公称値L0を予めROMに保持している。ここで、公称値L0とはシートのサイズの基準値、規格値であり、例えばA4の場合は297mm、A3の場合は420mmである。よって、搬送制御部202は、指定されたサイズに対応する公称値L0をROMから読み出す。
S2で搬送制御部202は先行シートの長さの測定結果LmsrをRAMから取得する。搬送制御部202はEq.2を用いて先行シートの長さの測定結果Lmsrを求め、予め搬送制御部202に内蔵されているRAMに保持しているものとする。
S3で搬送制御部202は測定結果Lmsrから公称値L0を減算して長さの差分Δを求める。
S4で搬送制御部202は差分Δが0以上であるかどうか、つまり、測定結果Lmsrが公称値L0以上であるかどうかを判定する。差分Δが0以上であれば、測定結果Lmsrが公称値L0以上であるため、搬送制御部202は、S5に進む。一方で、差分Δが0未満であれば、測定結果Lmsrが公称値L0未満であるため、搬送制御部202は、S8に進む。
測定結果Lmsrが公称値L0以上となるケースは2つある。1つ目のケースは、実際に公称値L0よりもシート長が長いケースである。2つ目のケースは、図4Fに示したケースである。このケースでは、公称値L0とシート長は一致するもののEq.2で想定されているシートSの挙動が実際の挙動と一致していないケースである。前者のケースでは目標間隔Ltとシート間隔の測定結果Lintrvlの差分だけ、後続シートを加速すればよい。しかし、後者のケースでは、シートSの長さの測定結果Lmsrに含まれている誤差の分だけシート間隔の測定結果Lintrvlは短く算出されている。そのため、目標間隔Ltとシート間隔の測定結果Lintrvlの差分だけ後続シートを加速したとしても、シート間隔はΔだけ目標よりも長くなってしまい、スループットが低下する。そこで、削減量QをΔだけプラス補正すれば、スループットを適切に維持できる。しかし、前者のケースでも同様に削減量QをΔだけプラス補正してしまうと、シート間隔が詰まりすぎてしまい、排紙センサ109でシート間隔を検知できなくなりうる。つまり、ジャムの誤検知等が発生しうる。そこで、本実施例では、削減量Qをプラス補正したときに(シート間隔の削減量を増加したときに)排紙センサ109がシート間隔を検知可能かどうかが考慮される。
S5で搬送制御部202は削減量Qをプラス補正したときに(シート間隔の削減量を増加したときに)排紙センサ109がシート間隔を検知可能かどうかを判定する。たとえば、搬送制御部202は目標間隔Lt − 差Δが排紙センサ109で検知可能な下限間隔Lmin_Intrvl以上かどうかを判定してもよい。削減量Qをプラス補正しても排紙センサ109がシート間隔を検知可能であれば、S6に進む。
S6で搬送制御部202は削減量Qをプラス補正する。たとえば、搬送制御部202は、シート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltを減算して削減量Qを決定し、削減量Qに差Δを加算することで削減量Qを補正する。
一方で、S5において、削減量Qをプラス補正すると排紙センサ109がシート間隔を検知できなくなる場合、搬送制御部202は、S9に進む。搬送制御部202は、差Δを用いて削減量Qを補正しない。つまり、搬送制御部202は、シート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltを減算して削減量Qを決定する。
ところで、S4において、差Δが0未満であれば、測定結果Lmsrが公称値L0未満であるため、搬送制御部202は、S8に進む。測定結果Lmsrが公称値L0未満となるケースも2つ存在する。1つ目のケースは実際に公称値L0よりもシート長が短いケースである。2つ目のケースは公称値L0とシート長は一致するものの、図4Eに示したようにEq.2が実際のシートの挙動と一致していないケースである。前者のケースでは目標間隔Ltとシート間隔の測定結果Lintrvlの差分だけ後続シートを加速すればよい。しかし、後者のケースではシートの長さの誤差分だけシート間隔の測定結果Lintrvlが長く算出される。そのため、目標間隔Ltとシート間隔の測定結果Lintrvlの差分だけ後続シートを加速してしまうと、シート間隔が詰まりすぎてしまい、排紙センサ109がシート間隔を検知できなくなる。つまり、ジャムの誤検知等が発生しうる。そのため、削減量Qを差Δに応じて補正しないときに、排紙センサ109がシート間隔を検知できるかどうかが考慮される。
S8で搬送制御部202は、削減量Qを差Δに応じて補正しないときに、排紙センサ109がシート間隔を検知できるかどうかを判定する。たとえば、搬送制御部202は、目標間隔Ltから−Δを減算して得られる値が下限間隔Lmin_intrvl以上となるかどうかを判定する。なお、S4でΔは負の値と判定されているため、−Δは正の値となる。削減量Qを差Δに応じて補正しないときに排紙センサ109がシート間隔を検知できるのであれば、搬送制御部202はS9に進む。
S9で搬送制御部202は、差Δを用いて削減量Qを補正しない。つまり、搬送制御部202は、シート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltを減算して削減量Qを決定する。
一方で、削減量Qを差Δに応じて補正しないと排紙センサ109がシート間隔を検知できなくなる恐れがあるのであれば、搬送制御部202はS10に進む。
S10で搬送制御部202は削減量Qをマイナス補正する。たとえば、搬送制御部202は、シート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltと−Δを減算して削減量Qを決定する。
<加速制御>
図6を用いて加速制御について説明する。本実施例では加速制御の実施時に搬送制御部202は給紙モータ301の回転速度を増速することで、シートSの搬送速度をvpsからvaccまで増速させる。図6に示すようにvpsからvaccに加速するに必要となる加速時間をTacc[msec]とする。vaccからvpsに減速するために必要となる減速時間をTdec[msec]とする。加速期間における削減量をQacc[mm]とし、減速期間における削減量をQdec[mm]とする。これらの値はROMに保持されている給紙モータ301のスピードアップテーブルやスローダウンテーブルより決定される。説明を簡単にするため、削減量QがQacc+Qdecより大きい場合を一例とする。加速制御で所望の削減量Qを得るには速度vaccに到達してからQ − Qacc − Qdec[mm]だけ、シート間隔が短縮さればよい。これをQsteadyとする。搬送制御部202は、速度vaccでの搬送時間Tsteady[msec]を以下の式から求める。
Tsteady=(Q − Qacc − Qdec)/(vacc−vps)・・・Eq.5
以上のように、連続プリントの2枚目以降はトップセンサ107でシートの先端を検知したタイミングで削減量Qが決定される。そして、搬送制御部202は削減量Qから加速期間Tsteadyを決定する。搬送制御部202は時刻t1に給紙モータ301の加速を開始すると、時刻t1からTacc+Tsteady[msec]だけ経過したときに、給紙モータ301の減速を開始する。これにより搬送速度がvaccからvpsに戻る。
図6では加速制御について説明したが、減速制御によりシート間隔を長くする場合も同様である。このように加速制御を実施することで、トップセンサ107の測定誤差によって排紙センサ109でシート間隔を検知できなくなるケースが削減され、かつ、スループットも維持されるようになろう。
[実施例2]
実施例1では先行シートのシート長の測定結果Lmsrと操作者により指定された公称値との差Δを用いて削減量Qの決定方法が選択された。これは操作者がシートSのサイズを正しく指定することが前提とされている。よって、操作者が誤ったサイズを指定してしまうと、削減量Qが正しく決定されなくなってしまう。そこで、実施例2では予め測定した測定誤差の範囲から削減量を決定する例について説明する。なお、実施例2において実施例1と共通する事項については説明を省略する。
図4Aないし図4Fを用いて説明したように、トップセンサ107はフラグ402、フォトインタラプタ401、バネ407などを有している。そのため、シート間隔の測定誤差には以下の要因が存在する。
・フラグ402の形状の公差
・フラグ402とフォトインタラプタ401の取り付け公差
・バネ407のばね定数の公差
・シートSの先端やシートSの後端が搬送路の上側(図4E)を通るのか、下側(図4F)を通るか
これらの組み合わせを変えながら実験を行うことで、シート間隔の測定誤差がとり得る範囲が判明する。シート長Lpの測定結果はLp−ΔLminからLp+ΔLmaxまでの範囲でばらつくものとする。1枚のシートについてのシート長Lpの下限値と上限値との差ΔLはΔLmin+ΔLmaxである。よって、シート長の測定結果Lmsrの測定誤差のとり得る範囲は−ΔLmaxないし+ΔLminまでの範囲である。
図7は実施例2におけるシート間隔の調整量(削減量Q)の決定処理を示すフローチャートである。
S11で搬送制御部202は下限間隔Lmin_intrvl、目標間隔Ltおよび測定誤差の取り得る範囲ΔLmax、ΔLminを取得する。たとえば、搬送制御部202はこれらのパラメータをROMから読み出す。あるいは、搬送制御部202は、スループットから目標間隔Ltを演算して求めてもよい。
S12で搬送制御部202は測定誤差が最大になっても下限間隔Lmin_intrvlを確保できるかどうかを判定する。削減量Qの初期値はシート間隔の測定結果Lintrvlと目標間隔Ltとの差である。シート間隔の測定誤差は、シート長の測定誤差と同じ成分が含まれるため‐ΔLminから+ΔLmaxの範囲になる。誤差成分が最大になると補正後のシート間隔は目標間隔Lt − ΔLminとなる。この値が下限間隔Lmin_intrvl以上となっていれば、誤差が最大となっても下限間隔Lmin_intrvl以上のシート間隔が確保されるようになる。そこで、搬送制御部202は(目標間隔Lt−ΔLmin)が下限間隔Lmin_intrvl以上かどうかを判定してもよい。(目標間隔Lt−ΔLmin)が下限間隔Lmin_intrvl以上であれば、後続シートをさらにΔLだけ加速してシート間隔を削減しても、下限間隔Lmin_intrvlは確保されるため、搬送制御部202はS13に進む。
S13で搬送制御部202は削減量Qをプラス補正する。たとえば、搬送制御部202はシート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltを減算し、さらにΔLmaxを加算して削減量Qを求めてもよい。
一方で、測定誤差が最大になると下限間隔Lmin_intrvlを確保できないと判定すると、搬送制御部202はS14に進む。S14で搬送制御部202は削減量Qをマイナス補正する。たとえば、搬送制御部202は、シート間隔の測定結果Lintrvlから目標間隔Ltを減算して削減量Qを決定し、削減量QからΔLminを減算することで削減量Qを補正する。
このように削減量Qを補正することで削減量Qを適切に補正することが可能となる。ところで、ΔLminとΔLmaxはシートSが搬送路のどこを通るかを考慮して実験的に求められる。しかし、シートの種類(坪量、コートの有無など)に応じてΔLminとΔLmaxは異なる。様々な種類のシートを実験に用いることで、種類に依存しないΔLminとΔLmaxが求められ、ROMに格納されてもよい。あるいは、シートSの種類ごとに実験を行って種類ごとのΔLminとΔLmaxが求められ、ROMに格納されてもよい。この場合、搬送制御部202は、操作パネル211を通じて操作者により指定された種類に対応するΔLminとΔLmaxをROMから読み出してこれらを加算してΔLを求めてもよい。
このように実施例2では工場出荷時に測定誤差のとり得る範囲を求めておき、この範囲に応じて削減量Qが決定される。よって、トップセンサ107の測定誤差によって排紙センサ109でシート間隔を検知できなくなるケースが削減され、かつ、スループットも維持されるようになろう。
[実施例3]
実施例1、2ではトップセンサ107としてフォトインタラプタ401とフラグ402を有したシートセンサ400が説明された。しかし、本発明では他のタイプのシートセンサが採用されてもよい。実施例3では回転式のシートセンサについて説明する。なお、実施例3において実施例1、2と共通する事項については説明が省略される。
図8Aないし図8Fは回転式のシートセンサ400’の構造と動作を説明する図である。シートセンサ400’は回動中心となる軸904、シートSを検知するためのフラグ902、フォトインタラプタ用のフラグ903、フォトインタラプタ901とを有している。フラグ902とフラグ903は軸904に固定されており、一緒に回転する。シートSは搬送ガイド404に沿って右方から左方へ搬送されるものとする。
図8AはシートSが通紙されていない状態のシートセンサ400’を示している。図8Aにおいてフラグ902はホームポジションに位置している。シートSが通紙されていない状態ではカム機構とバネなどの動力源とによってフラグ902がホームポジションに復帰する。フラグ902がホームポジションに位置しているときは、フォトインタラプタ901がフラグ903によって遮光状態に維持される。
図8Bが示すようにシートSがシートセンサ400’に到達するとシートSの先端がフラグ902を押すことによって軸904が反時計回りに回転する。シートSの先端が先端検知位置P3に到達すると、フォトインタラプタ901が遮光状態から透光状態に変化する。これにより搬送制御部202はシートSの先端を検知することができる。シートSがさらに搬送されると、シートSの先端はフラグ902の突起部とは係合しなくなる。
図8Cが示すように、シートSの中央部が突起部と係合することになる。このとき突起部の周速度はシートSの搬送速度よりも小さくなるものの、不図示のカム機構によってフラグ902は反時計回りに回転する。なお、フラグ902には120度の間隔で3つの突起部が設けられている。1枚のシートSがシートセンサ400’を通過する度に、カムの作用によってフラグ902は120度ずつ回転する。
図8Dが示すように、シートSの後端が後端検知位置P4に到達したタイミングでフォトインタラプタ901が透光状態から遮光状態に変化する。これにより、搬送制御部202はシートSの後端を検知することができる。
実施例1では端部検知位置P1と抜け位置P2の距離Lfに加えて、トップセンサ107のフラグ402の戻り時間Tbに依存してシート間隔Lintrvlの測定結果に誤差が発生していた。一方、回転式のシートセンサ400’の場合、図8Eや図8Fに示すようにシートSのこしやカールに起因するシートSの姿勢が誤差の主な要因となる。
図9は実施例3における画像形成装置100の各ローラと、ローラを駆動するモータの関係を表している。カム1001はシートセンサ400’の軸904を120度ずつ回転させる。
実施例1で説明したEq.2、Eq.3に代えて実施例3ではEq.6、Eq.7を採用する。
Lmsr = L1 + Lf’・・・Eq.6
Lintrvl = L2 − Lf’・・・Eq.7
ここで、Lf’は、図8Dに示すように、先端検知位置P3から後端検知位置P4までの距離である。Lf’は代表的なシートSを搬送する実験を工場出荷時に実行することで求められる。したがって、上述したように、実際の先端検知位置P3から後端検知位置P4までの距離に対して誤差が生じうる。実施例3は、シート長の測定結果Lmsrとシート間隔の測定結果Lintrvlについての求め方が異なる以外は実施例1と同じである。回転式のシートセンサ400’を用いたシート間隔の測定誤差の取りうる範囲は以下の要因が影響する。
・フラグ902の形状の公差
・フラグ903の形状の公差
・軸904の取り付け公差
・フォトインタラプタ901の取り付け公差
・シートSの先端やシートSの後端が搬送路の上側(図8E)を通るのか、下側(図8F)を通るか
これらの組み合わせに応じて測定誤差の取りうる範囲が予め実験により求められる。よって、実施例2は回転式のシートセンサ400’にも適用できる。
このように回転式のシートセンサ400’がトップセンサ107として採用されても実施例1、2のアイデアを適用することができる。つまり、実施例3でも実施例1、2と同様に、トップセンサ107の測定誤差によって排紙センサ109でシート間隔を検知できなくなるケースが削減され、かつ、スループットも維持されるようになろう。
<まとめ>
図10を用いて実施例1ないし3に関する搬送制御部202の機能について説明する。これらの機能は、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで実現されても良いし、ASICやFPGAのハードウエアによって実現されても良い。あるいは、一部の機能がソフトウエアによって実現され、残りの機能がハードウエアによって実現されてもよい。長さ測定部501はトップセンサ107の検知結果に基づきシートSの先端から後端までの長さLmsrを測定する。指定部506は操作者により指定されたシートのサイズに基づいて先行シートの搬送方向における長さの公称値L0を取得する取得手段として機能する。間隔測定部502はトップセンサ107の検知結果に基づき先行シートの後端から後続シートの先端までのシート間隔Lintrvlを測定する。ジャム検知部503は排紙センサ109の検知結果に基づきジャムの発生を検知する。
決定部504は、トップセンサ107の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までのシート間隔Lintrvlと目標間隔Ltとの差分dに応じて先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔の調整量(例:削減量Q)を決定する。補正部505は、先行シートの後端と後続シートの先端とを排紙センサ109で検知できるように調整量を補正する。たとえば、補正部505は、先行シートの搬送方向における長さの公称値に対する、トップセンサ107の検知結果に基づき測定された先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差Δに応じて、調整量を補正する。図6を用いて説明したように、モータ制御部507は、補正された調整量に応じた時間にわたり搬送ローラ104やレジローラ106の搬送速度が一時的に増加または減少するよう給紙モータ301を制御する。これにより従来よりも精度よくシート間隔を制御することが可能となる。つまり、スループットを維持しつつ、ジャムの誤検知を削減することも可能となろう。
S5に関して説明したように、判定部510は、目標間隔Lt、誤差Δおよび所定間隔である下限間隔に基づき、シート間隔を削減しても先行シートの後端と後続シートの先端とを排紙センサ109で検知できるかどうかを判定してもよい。ここでは、目標間隔Ltと誤差Δとの差が下限間隔Lmin_intrvl以上かどうかが判定されてもよい。これは、シート間隔Lintrvlから、シート間隔Lintrvlと目標間隔Ltとの差分dと誤差Δを削減して得られる値が、下限間隔Lmin_intrvl以上かどうかを判定することに相当する。補正部505は、判定部510の判定結果に応じて削減量Qを増加、維持または減少させる。
S4に関して説明したように、第一判定部511は、トップセンサ107の検知結果に基づき測定された先行シートの搬送方向における長さの測定値Lmsrが先行シートの搬送方向における長さの公称値以上(基準値以上)であるかどうかを判定する。S5に関して説明したように、第二判定部512は、測定値Lmsrが公称値以上である場合に、目標間隔Ltから誤差Δを減算して得られる差が下限間隔Lmin_intrvl以上であるかどうかを判定してもよい。補正部505は、測定値Lmsrが公称値以上であり、かつ、目標間隔Ltから誤差Δを減算して得られる差が下限間隔Lmin_intrvl以上である場合に、削減量Qを増加させる。つまり、S6に関して説明したように、補正部505は、削減量Qを誤差Δの分だけ増加させる。これによりスループットが改善する。一方で、補正部505は、測定値Lmsrが公称値以上であるものの、目標間隔Ltから誤差Δを減算して得られる差が所定間隔以上でない場合には、削減量Qを補正しない。この場合は、削減量Q=差分dとなる。これにより排紙センサ109がシート間隔を検知できるようになり、ジャムの誤検知が減少するだろう。
S8に関して説明したように、第三判定部513は、測定値Lmsrが公称値以上でない場合に、公称値に対する測定値の差Δを目標間隔Ltから減算して得られる差が所定間隔以下(または所定間隔未満)であるかどうかを判定する。なお、所定間隔は下限間隔Lmin_intrvlである。補正部505は、測定値Lmsrが公称値以上でなく、かつ、公称値に対する測定値の差Δを目標間隔Ltから減算して得られる差が下限間隔Lmin_intrvl以下である場合には、削減量Qを補正しない。これにより排紙センサ109がシート間隔を検知できるようになり、ジャムの誤検知が減少するだろう。一方、補正部505は、測定値Lmsrが公称値以上でなく、かつ、公称値に対する測定値の差Δを目標間隔Ltから減算して得られる差が下限間隔Lmin_intrvl以下でない場合に、削減量Qを削減する。たとえば、補正部505は公称値から測定値Lmsrを減算して得られる差Δの分だけ削減量Qを削減してもよい。これによりスループットが改善する。
図6を用いて説明したように、モータ制御部507は、削減量Qに応じた時間にわたり、搬送ローラ104等の搬送速度を、第一搬送速度vpsから第一搬送速度よりも速い第二搬送速度vaccに増速する。第一搬送速度vpsは画像形成装置100のスループットに基づき決定された速度である。これによりシート間隔が削減され、スループットが改善する。たとえば、モータ制御部507は、搬送速度の増速を開始したタイミングt1を起点とした第一期間Taccにおいて搬送速度を線形に増加させる。これらは制御テーブルとしてスピードアップテーブルをROMに保持しておくことで容易に実現可能である。さらに、モータ制御部507は、搬送速度が第二搬送速度vaccに到達したタイミングを起点とした第二期間Tsteadyにおいて搬送速度を第二搬送速度vassに維持する。さらに、モータ制御部507は、第二期間に続く第三期間Tdecにおいて搬送速度を線形に減少させて第一搬送速度vpsに戻す。これらは制御テーブルとしてスローダウンテーブルをROMに保持しておくことで容易に実現可能である。
図7を用いて説明したように、判定部510は、ΔLminを目標間隔Ltから減算して得られる値が所定間隔以上かどうかを判定してもよい。なお、ΔLminは、トップセンサ107において発生しうる先行シートの搬送方向における長さの測定値Lmsrの誤差の上限値であって予め工場出荷時に求められたものである。S13に関して説明したように、補正部505は、目標間隔Ltから減算して得られる値が所定間隔以上である場合に削減量Qを上限値ΔLの分だけ増加させる。これによりスループットが改善する。一方、S14に関して説明したように、補正部505は、目標間隔LtからΔLminを減算して得られる値が所定間隔以上でない場合に削減量Qを上限値ΔLの分だけ減少させる。これにより排紙センサ109でシート間隔を検知できるようになる。なお、上限値ΔLは、トップセンサ107を構成する複数の部材の形状のバラツキ、複数の部材の取り付け公差、およびトップセンサ107を通過する際のシートの姿勢のバラツキに基づき予め決定されてもよい。
トップセンサ107としては様々なタイプのシートセンサを採用可能である。図4Aなどを用いて説明したように、トップセンサ107は、シートSの先端に押されて回動軸403を中心に回動するフラグ402を有していてもよい。さらにトップセンサ107は、フラグ402の位相に応じて遮光状態と透光状態とが切り替わるフォトインタラプタ401を有していてもよい。図4Aなどを用いて説明したように、フラグ402はシートSの先端に押されて第一方向に回動し、シートSの後端がフラグ402を通過すると第一方向と反対の第二方向に回動してもよい。図8Aなどを用いて説明したように、シートSが通過する間に一定角度ずつフラグ903が回動するように規制するカム1001をさらに有していてもよい。
以上で説明した実施例では、トップセンサ107が後続のシートを検知すると後続のシートを加速させることで、先行するシートと後続のシートの間隔を削減するものとして説明した。しかし、搬送制御部202は、トップセンサ107が後続のシートを検知すると後続のシートを減速させることで、先行するシートと後続のシートの間隔を拡大してもよい。この場合、上述した調整量は増加量または拡大量となる。いずれにしても本発明は、シート間隔を規定間隔に調整するためにシートの加速や減速を行う搬送制御に適用可能である。上記の実施例では排紙センサ109が検知可能な最小紙間よりもトップセンサ107が検知可能な最小紙間が短いことを前提としている。しかし、本発明はこのような制限は必須ではない。搬送制御部202は、先行シートの搬送方向における長さ(公称値)に対する、先行シートの長さの測定値の誤差があまりにも大きいこと(誤差が所定の閾値を超えていること)を検知してもよい。このような場合に、搬送制御部202は、シートサイズが一致しないというエラー(サイズエラー)が発生したと判定し、シートの搬送を含む画像形成動作を停止する。なお、上述した実施例で説明した誤差とは、サイズエラーが発生しない程度の誤差のことである。
図11は給紙オプション150を装着された画像形成装置100を示している。給紙オプション150は、標準カセットと同じサイズのシートSや異なるサイズのシートSを収容および給紙する給紙装置またはシート搬送装置である。給紙ローラ152が回転すると、シートSが1枚ずつ給紙される。搬送ローラ153は給紙ローラ152から受け渡されたシートSを搬送ローラ104に送り込む。搬送ローラ104はシートSをレジローラ106に送り込む。これにより、給紙オプション150から供給されたシートSにも画像が形成される。給紙センサ154は給紙オプション150から画像形成装置100へ給紙されるシートを検知するシートセンサであり、上述した第一検知手段として機能しうる。この場合、上述したトップセンサ107や排紙センサ109が第二検知手段として機能してもよい。
図12Aは給紙オプション150を制御するオプション制御部250を示している。オプション制御部250は搬送制御部202から給紙を指示されると、給紙モータ251を駆動することで、給紙モータ251により給紙ローラ152を回転させる。これにより、シートSが給紙される。さらに、オプション制御部250はメインモータ252を駆動することで搬送ローラ153を回転させる。これにより、シートSが画像形成装置100へ搬送される。なお、オプション制御部250は、給紙センサ154によりシートSの先端が検知されたことや、後端が検知されたことを搬送制御部202へ通知する。これにより、搬送制御部202は給紙オプション150から供給されたシートSの先端や後端の位置を認識できるようになる。
図12Bはオプション制御部250が省略され、搬送制御部202が給紙モータ251、メインモータ252および給紙センサ154に接続し、これらを直接的に制御することを示している。このように、画像形成装置100に設けられた搬送制御部202が給紙オプション150を直接的に制御してもよい。
上述したシートの搬送制御は給紙オプション150にも適用可能である。搬送ローラ153は搬送路においてシートを搬送する搬送手段の一例である。給紙センサ154は搬送路においてシートを検知する検知手段の一例である。オプション制御部250または搬送制御部202は給紙センサ154の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔と目標間隔との差分に応じて先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔の調整量を決定する決定手段(例:決定部504)の一例である。オプション制御部250または搬送制御部202は先行シートの搬送方向における長さの基準値に対する、検知手段の検知結果に基づき測定された先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差に応じて、調整量を補正する補正手段(例:補正部505)の一例である。オプション制御部250または搬送制御部202は補正手段によって補正された調整量に応じた時間にわたり搬送手段の搬送速度が増速または減速するよう搬送手段を制御する制御手段(例:モータ制御部507)の一例である。なお、図10に示した搬送制御部202の機能の一部またはすべてがオプション制御部250により実現されてもよい。
図11においては一つのシートセンサ(給紙センサ154)だけが設けられているが、給紙オプション150が複数のシートセンサを有していてもよい。この場合に、シートの搬送方向において上流側に配置されているシートセンサが上述した第一検知手段として機能し、下流側に配置されているシートセンサが上述した第二検知手段として機能する。オプション制御部250はこれらの二つのシートセンサを用いてシートの搬送制御を実行するが、この搬送制御は搬送制御部202が実行する搬送制御と同様のものであってもよい。
100…画像形成装置、104…搬送ローラ、106…レジローラ、107…トップセンサ、109…排紙センサ、301…給紙モータ、302…メインモータ、401…フォトインタラプタ、402…フラグ

Claims (16)

  1. 搬送路においてシートを搬送する搬送手段と、
    前記搬送路においてシートを検知する第一検知手段と、
    前記搬送路において前記第一検知手段よりもシートの搬送方向の下流側に配置され、シートを検知する第二検知手段であって、前記第二検知手段で検知可能な最小紙間よりも前記第一検知手段で検知可能な最小紙間のほうが短い、第二検知手段と、
    前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔と目標間隔との差分に応じて前記先行シートの後端から前記後続シートの先端までの間隔の調整量を決定する決定手段と、
    前記先行シートの搬送方向における長さの基準値に対する、前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された前記先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差に応じて、前記調整量を補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された前記調整量に応じた時間にわたり前記搬送手段の搬送速度が増速または減速するよう前記搬送手段を制御する制御手段と
    を有し、
    前記補正手段は、前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知できるように前記誤差に応じて前記調整量を補正することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記目標間隔、前記誤差および前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知可能な所定間隔に基づき、前記先行シートの後端から前記後続シートの先端までの間隔から前記差分および前記誤差を削減しても前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知できるかどうかを判定する判定手段をさらに有し、
    前記補正手段は、前記判定手段の判定結果に応じて前記調整量を増加、維持または減少させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  3. 前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された前記先行シートの搬送方向における長さの測定値が前記先行シートの搬送方向における長さの基準値以上であるかどうかを判定する第一判定手段と、
    前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記目標間隔から前記誤差を減算して得られる差が、前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知可能な所定間隔以上であるかどうかを判定する第二判定手段とをさらに有し、
    前記補正手段は、前記測定値が前記基準値以上であり、かつ、前記目標間隔から前記誤差を減算して得られる差が前記所定間隔以上である場合に、前記調整量を増加させ、前記測定値が前記基準値以上であるものの、前記目標間隔から前記誤差を減算して得られる差が前記所定間隔以上でない場合に、前記調整量を補正しないことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  4. 前記補正手段は、前記測定値が前記基準値以上であり、かつ、前記目標間隔から前記誤差を減算して得られる差が前記所定間隔以上である場合に、前記調整量を前記誤差の分だけ増加させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  5. 前記測定値が前記基準値以上でない場合に、前記基準値に対する前記測定値の差を前記目標間隔から減算して得られる差が前記所定間隔以下であるかどうかを判定する第三判定手段をさらに有し、
    前記補正手段は、前記測定値が前記基準値以上でなく、かつ、前記基準値に対する前記測定値の差を前記目標間隔から減算して得られる差が前記所定間隔以下である場合に、前記調整量を補正せず、前記測定値が前記基準値以上でなく、かつ、前記基準値に対する前記測定値の差を前記目標間隔から減算して得られる差が前記所定間隔以下でない場合に、前記調整量を削減することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  6. 前記補正手段は、前記測定値が前記基準値以上でなく、かつ、前記基準値に対する前記測定値の差を前記目標間隔から減算して得られる差が前記所定間隔以下でない場合に、前記基準値から前記測定値を減算して得られる差の分だけ前記調整量を削減することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御手段は、前記調整量に応じた時間にわたり、前記搬送手段の搬送速度を、前記画像形成装置のスループットに基づき決定された第一搬送速度から前記第一搬送速度よりも速い第二搬送速度に増速することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御手段は、前記搬送手段の搬送速度の増速を開始したタイミングを起点とした第一期間において前記搬送手段の搬送速度を線形に増速させ、前記搬送手段の搬送速度が前記第二搬送速度に到達したタイミングを起点とした第二期間において前記搬送手段の搬送速度を前記第二搬送速度に維持し、前記第二期間に続く第三期間において前記搬送手段の搬送速度を線形に減速させて前記第一搬送速度に戻すことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  9. 操作者により指定された前記シートのサイズに基づいて前記先行シートの搬送方向における長さの基準値を取得する取得手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  10. 前記第一検知手段において発生しうる前記先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差の上限値を前記目標間隔から減算して得られる値が、前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知可能な所定間隔以上であるかどうかを判定する判定手段をさらに有し、
    前記補正手段は、前記目標間隔から減算して得られる値が前記所定間隔以上である場合に前記調整量を増加させ、前記目標間隔から減算して得られる値が前記所定間隔以上でない場合に前記調整量を減少させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  11. 前記補正手段は、前記目標間隔から減算して得られる値が前記所定間隔以上である場合に前記調整量を前記上限値の分だけ増加させ、前記目標間隔から減算して得られる値が前記所定間隔以上でない場合に前記調整量を前記上限値の分だけ減少させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記上限値は、前記第一検知手段を構成する複数の部材の形状のバラツキ、前記複数の部材の取り付け公差、および前記第一検知手段を通過する際のシートの姿勢のバラツキに基づき予め決定されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  13. 前記第一検知手段は、
    シートの先端に押されて回動軸を中心に回動するフラグと、
    前記フラグの位相に応じて遮光状態と透光状態とが切り替わるフォトインタラプタとを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  14. 前記フラグは前記シートの先端に押されて第一方向に回動し、前記シートの後端が前記フラグを通過すると前記第一方向と反対の第二方向に回動することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記シートが通過する間に一定角度ずつ前記フラグが回動するように規制するカム機構をさらに有することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  16. 搬送路においてシートを搬送する搬送手段と、
    前記搬送路においてシートを検知する第一検知手段と、
    前記搬送路において前記第一検知手段よりもシートの搬送方向の下流側に配置され、シートを検知する第二検知手段であって、前記第二検知手段で検知可能な最小紙間よりも前記第一検知手段で検知可能な最小紙間のほうが短い、第二検知手段と、
    前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された先行シートの後端から後続シートの先端までの間隔と目標間隔との差分に応じて前記先行シートの後端から前記後続シートの先端までの間隔の調整量を決定する決定手段と、
    前記先行シートの搬送方向における長さの基準値に対する、前記第一検知手段の検知結果に基づき測定された前記先行シートの搬送方向における長さの測定値の誤差に応じて、前記調整量を補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された前記調整量に応じた時間にわたり前記搬送手段の搬送速度が増速または減速するよう前記搬送手段を制御する制御手段と
    を有し、
    前記補正手段は、前記先行シートの後端と前記後続シートの先端とを前記第二検知手段で検知できるように前記誤差に応じて前記調整量を補正することを特徴とするシート搬送装置。
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